(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下に本発明の好適な実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお本実施形態は一例であり、これに限定されるものではない。
【0013】
(第1の実施形態)
以下、本発明の第1の実施形態に係る扇風機について、図を用いて説明する。
【0014】
図1は、本発明の実施形態に係る扇風機の前面から見た全体斜視図である。
図1に示すように、扇風機100は、台座1、台座1に設けられた操作部2、台座1に立設された支柱3、支柱3内に内蔵される摺動杆4、摺動杆4に支持される送風部5、送風部5の直下近傍に設けられる人感センサ部7から構成される。
台座1の内部には、台座1に設けられた操作部2に基づいて動作を制御する制御部10(
図4、
図8、図12、図14、図16)が設けられる。
操作部2には自動首振りボタン2aや高速首振りボタン2bや風量ダイヤル2cや温度表示部2dやタイマー設定キーやモード切換キーなどが配置される。風量ダイヤル2cは、風量を一定のステップで調整可能にしても良いし、ファンモータとしてDCモータを用いて、風量ダイヤル2cの操作により印加電圧をPWM制御することで風量を無段階に設定することも可能である。
支柱3には摺動杆4を上下方向に摺動可能に組み立てられている。さらに送風部5を任意の高さで固定するための固定ボタン3aを備える。
また送風部5は、前ファンガード5a、後ファンガード5b、ファンモータ部5c、前ファンガード5aと後ファンガード5bで囲まれる空間に設けられるプロペラファン(不図示)等から構成される。
ファンモータ部5cには、
図1、
図2では図示しないファンモータ11(
図4、図8、図12、図14、図16参照)が組み込まれている。
さらに送風部5の下側には、人感センサ部7が取り付けられる。
【0015】
図2は同実施形態の扇風機を背面から見た全体斜視図である。
図2に示すように、扇風機100の背面には、送風部5の送風方向を変更させる首振り機構部5d、送風方向の仰角を設定する仰角設定部6、人感センサ部7を保持する人感センサ保持部8、さらに連結部9を備えている。
連結部9は、人感センサ保持部8を介して人感センサ部7と首振り機構部5dを連結するとともに、首振り機構部5dと送風部5とを連結するものである。従って人感センサ部7と送風部5とは一体化された構造となり、首振り動作を行わない状態で送風部5の送風方向を手動で変更することができる。
また、人感センサ部7による検知開始時には、送風部5の送風中心方向と人感センサ部7の検知中心方向とを一致させているため、人感センサ部7の検知中心方向を基準にすれば送風部5の首振り角度の制御が簡単になる。
【0016】
送風部5の送風中心方向を手動で変更する方法を具体的に説明する。
例えば、後側ファンガード5bを手に持ち左右方向にひねると、連結部9を介して人感センサ保持部8に取り付けられた人感センサ部7と送風部5は、仰角設定部6に一部分が挿嵌された連結部9の向く方向、すなわち送風中心方向に回動される。
なお、仰角設定部6の下部には突起を設けた図示しない内管部が延長され、それが摺動杆4の内壁に設けられた図示しない凹部と係合することで送風中心方向を手動で不連続に変更できる構造になっている。
【0017】
送風部5の首振り制御は、連結部9の上方に位置し、送風部5のみを駆動させるリンク機構を備える首振り機構部5dにより駆動されるが、連結部9よりも下方に位置する人感センサ部7は、駆動機構がないので首振り動作時には動かないで停止している。
さらに、後述する送風部5の首振り角度(首振り範囲)の制御を制御部10にて行うことで、人に対する適切な送風を迅速に行うことが可能となる。
また、人感センサ部7は、送風部5とは数ミリメートルの隙間を隔てて取り付けられているため、送風部5の首振り動作に支障をきたさない。さらに、人感センサ部7は扇形状の外観をなし、その中心角度はおおよそ90°である。
【0018】
人感センサ部7は、外観的には
図7(a)の全体斜視図に示すように樹脂製の上カバー筺体75と下カバー筺体76と前フィルタ77とから成り、その内部に複数、例えば3個や5個の人感センサが用いられる。
【0019】
また、
図7(b)の部分斜視図に示す上カバー筺体75には5つのスリット74a〜74eを備え、それらスリットは、遮蔽部材741〜746の二つ、例えばスリット74bでは遮蔽部材742と743の二つを対向させた隙間にて構成され、さらに人感センサを保持する凹部751,752も備えている。
【0020】
図3は同実施形態の扇風機の人感センサ部を構成する外部筺体を取り除いたあとの基板ユニット斜視図である。すなわち、
図3は、人感センサ部7の外側の上カバー筺体75、下カバー筺体76、前フィルタ77を取り除いたあとの、センサ基板ユニット70を示したものである。本実施例のセンサ基板ユニット70では、5個の人感センサで構成され、個別センサ基板71a〜71eにそれぞれ水平方向に一列に並んだ人感センサ72a〜72eやコンデンサが組み込まれている。また、センサ基板ユニット70には人感センサ部7を制御するための駆動源や検知情報のやり取りを行うためなどのコネクタ73、周囲温度を検知する温度センサ13も具備している。
【0021】
また、人感センサ72a〜72eは、図示しない人感センサ本体(PIRセンサ、焦電型の赤外線検知センサ)の検知部を楕円球面状のHDPE(高密度ポリエチレン)製の狭角レンズで覆った状態で使用している。この狭角レンズを使用することによって、人感センサ本体の検知範囲における指向性を高めて遠くまで検知することが可能になる。
【0022】
なお、本実施形態では人感センサ本体の検知部はエレメントが2つのデュアルタイプを使用しているが、縦方向の検知精度を高めるために、エレメントが縦方向に2つ並ぶ方向に人感センサ本体の向きを確認することで個別センサ基板71a〜71eに取り付けられている。
ここで使用した人感センサの視野角としては、水平方向48°、垂直方向54°のものを用いているが、狭角レンズとセンサ出力値の
しきい値調整とにより、扇風機100からの検知距離をおよそ1mから数mまで設定することができる。また、人感センサ部7が検知できる長さ(検知距離)は、最大風量である扇風機により風が人に届く距離(送風距離)と同じ距離にしておくと、殆どの部屋空間や人の存在に対応して調整可能となる。
【0023】
センサ基盤ユニット70と上カバー筺体75と、下カバー筺体76の取り付けについて説明する。
上カバー筺体75には例えば凹部751に人感センサ72aがきちんと入り込むように(他の人感センサも同様に)、センサ基板ユニット70(
図3、
図5)を装着し、続いて上カバー筺体75の溝75aに前フィルタ77を下方から挿入し、さらに下カバー筺体76で挟み込んだのち、下カバー筺体76の外側からビス止めすることで人感センサ部7が組み立てられる。従い、これらスリットにより、人感センサの検知方向を確定することができる。
【0024】
図4は、本実施例における扇風機の制御部10のブロック図である。同図において、操作部2は扇風機100の台座1に配設される。そこには自動首振りボタン2aや高速首振りボタン2bが設けられる。操作部2が設けられる台座1の内部には制御部10が設けられる。この制御部10の入力ポートには操作部2の他に、人感センサ部7が接続される。 また、制御部10の出力ポートには、送風部5の一部を構成するファンモータ11と、首振り制御の一部を構成する首振りモータ12がそれぞれ接続される。
ここで、首振りモータ12として、ステッピングモータを使用することで、細かな首振り角度設定が可能となるため、あらゆる人の存在パターンに対応する詳細な制御が可能となる。
【0025】
制御部10には、マイコンによるソフトウェア上の機能として、操作部2の操作に伴い、ファンモータ11の動作を制御するための送風制御部10aと、首振りモータ12の動作を制御するための首振り制御部10bと、人感センサ部7からの検知情報に基づく送風部5の首振り角度や、風量、首振り速度などの各種設定状態を記憶する記憶部(メモリ)10cとを備えている。
【0026】
次に、
図5及び
図6を用いて実施形態に係る扇風機の制御について詳細に説明する。
図5は制御を説明するための摸式図、
図6は制御を説明するためのフロー図である。
【0027】
図5は、扇風機100の正面に対向して二人の人M1、M2がいる場合について扇風機100上方から見下ろした状態を簡易的に示したものである。すなわち、センサ基板ユニット70上に人感センサ72a〜72eが水平方向に並んでおり、各人感サンサ72a〜72eの中心検知方向は仮想中心C0より1点鎖線で示す方向A〜Eであり、A〜E間はそれぞれ18°間隔である。また各人感センサ72a〜72eは個別に18°の方向を検知するようになっているため、5個の人感センサ全体で90°の範囲を検知できるようになっている。
【0028】
ここで、人感センサ部7がない場合には、手動で首振り角度(首振り範囲)を設定することになるが、前回設定した首振り角度にて送風部5が首振り動作を行うことになる。例えば、はじめに中心検知方向AとCとEとに人がいた場合には、首振り角度はA〜Eの範囲に設定されている(首振り角度L)。その状態から、新たに方向BとDに2人が対向するように変化したとすると、扇風機100は前回の首振り角度A〜Eが設定されたままである。そうすると、送風部5の送風方向は人のいない方向AやEまで首振ることになり、無駄な首振りを行うことになってしまう。
【0029】
そこで、人感センサ部7にて定期的に人の存在を検知させ、人のいる方向のみでの首振り角度の制御、この場合では方向B〜D間(首振り角度S)、を行うようにすることで、迅速に人のいない範囲には送風は行わず効率的に人に風を当てることを行うことができる。なお、人が一人の場合には、特に首振りを行う必要はないが、微小範囲で首振りを行うようにしてもよい。
【0030】
また、
図5では人のいる位置がセンサの中心方向の場合で説明したが、センサ間に人がいる場合、例えば隣接する2つのセンサが同じような出力値パターンで現れた場合、には、この2つのセンサ間の中間に人がいると判断することなどにより、あらゆる人の存在に対応することができる。
【0031】
図6は、自動首振り制御のうちの一つのフローを示したもので、まず扇風機100は自動首振り範囲設定がなされているかどうか、すなわち自動首振りボタン2aがONされているかの確認が行われる(ステップS1)。ステップS1において、設定されていない場合(ステップS1でNoの場合)、人が手動の首振り範囲設定を行う(ステップS8)。具体的には、ステップS8では図示しないレバーなどを用いて首振り角度(首振り範囲)を人が予め設定する。ステップS1でYesの場合、人感センサ部7がONされ(ステップS2)、続いて、人感センサ部7の検知情報に基づき、人がどの位置にいるかを即刻判断し、その領域を記憶する(ステップS3)。その後、その記憶情報を基に、制御部10は首振り範囲を自動設定する(ステップS4)と、送風部5の自動首振りを開始する(ステップS5)。その設定状態で2分経過した(ステップS6)のち、新たな人の存在を検知や変化の有無を判断し(ステップS7)、何らかの人を検知があれば、ステップS3に戻って、前のフローを繰り返す。もし、ステップS7で検知しないと判断した場合(ステップS7でNoの場合)には、自動首振りを停止する。その際はファンモータも停止しても構わない。なお、経過時間の設定は適宜変更できる。
【0032】
なお、人感サンサ部7による検知に際し、送風部5と連結部9と人感センサ部7とを予め一体的に首振り動作を行なわせれば、送風部5の水平首振り範囲の90°と人感センサ部7の右方向45°と左方向45°とから水平方向でおおよそ180°の範囲の人の存在を検知することができる。
【0033】
(第2の実施形態)
次に、第2の実施形態に係る扇風機の制御について図を用いて詳細に説明する。
【0034】
図8は、
図4に温度センサ13をさらに備えるものである。人感センサは温度依存性が高く、人感サンサの出力絶対値における判断では人の存在有無の判断を誤ることがある。そこで、事前に人感サンサの温度依存性を調べておき、人感センサの出力値に対して温度補正を加えることで、高精度な検知を行うことができる。なお、温度センサ13の存在する位置については特に限定されないが、即座に室内温度をフィードバックできることから、センサ基板ユニット70上に設けることが好ましい。
【0035】
図9は、自動首振り制御フローの変形を示したもので、
図6との差異のみについて説明すると、ステップS21において、人感センサ部7に加え温度センサ13もONさせて、温度補正した人感センサ出力値にて人の存在領域検知と記憶を行う(ステップS31)。そうすることで、首振り範囲の高精度な自動制御を行うことができる。
【0036】
(第3の実施形態)
次に、第3の実施形態に係る扇風機の制御について図を用いて詳細に説明する。
【0037】
図10は、扇風機100の正面に対向して二人の人M1、M2がいる場合について扇風機100上方から見下ろした状態を簡易的に示したものである。この場合、検知中心方向A〜E間で首振り制御を行うが、人がいない範囲B〜C、E間については特に送風する必要はない。そこで、このB〜C、Eの首振り速度については、A,Dの設定速度よりも速くすることにより、人のいない範囲は送風部5を迅速に通過させるようにするものである。すなわち、
図10に示す範囲Qでは通常の首振り速度にて、範囲Rでは高速の首振り速度にて首振りが行われる。
【0038】
図11は、本実施形態の自動首振り制御の他のフローを示したもので、まず扇風機100は高速首振り設定がなされているかどうか、すなわち高速首振りボタン2bがONされているかの確認が行われる(ステップS11)。ステップS11において、設定されていない場合(ステップS11でNoの場合)、通常の首振り速度設定、すなわち首振り速度が変わらない首振り、が行われる(ステップS18)。ステップS11でYesの場合、人感センサ部7がONされ(ステップS12)、人感センサ部7の検知情報に基づき、人がどの位置にいるかを検知して記憶(ステップS13)し、人のいない範囲に対して高速の首振り速度が設定される(ステップS14)。その後、その記憶情報を基に送風部5の首振り動作を開始する(ステップS15)。その設定状態で2分経過した(ステップS16)のち、人の存在しない領域が変化したかを判断し(ステップS17)。ステップS17で何らかの変化があれば、ステップS13に戻って、前のフローを繰り返す。また、ステップS17で変化がなければ、その首振り動作を継続する。もしステップS17でNoの場合、自動首振りを停止する。なお、経過時間の設定は適宜変更できる。
【0039】
またファンモータ11の回転数を上げることにより得られる動力を利用することで、首振り速度を高速化することも可能である。さらに前述の自動首振り範囲制御や人感センサの温度補正制御と組み合わせることで、よりユーザフレンドリーな送風制御を行うことができる。
【0040】
(第4の実施形態)
次に、第4の実施形態における扇風機100について図を用いて説明する。
【0041】
図12は本実施形態における制御部10のブロック図である。
本実施形態における制御部10は、内部に不揮発性メモリ10dを搭載するとともに、操作部2に感度を設定するための感度設定ボタン2eが設けられる。
【0042】
不揮発性メモリ10dは、電源を供給しなくても記憶している情報を保持することができるものである。不揮発性メモリ10dはフラッシュメモリ、MRAM、ReRAM、FeRAMなど種々あるがいずれの不揮発性メモリであっても良い。また本実施形態における不揮発性メモリ10dは、制御部10に単独で搭載されるものであっても、マイコン内に内蔵されるものであっても良い。
【0043】
次に本発明の扇風機100に搭載される人感センサ7の動作について
図13を用いて説明する。
図13(a)は、人感センサ部7が人体の熱を検知していない時の波形を表す。
図13(b)は、人感センサ7が人体の熱を検知している時の波形を表す。波形には3つの山が出ているが、時間が経過するにつれて、人体の熱と周囲温度との差が大きな場合から小さな場合に推移していることを示している。
【0044】
人感センサ部7はセンサ検知範囲内の温度変化を検知し、電圧値に変換して出力する。人感センサ部7が無感時、つまり熱源を検知していないときは
図13(a)に示す通り、所定の電圧値を中心に微小に揺れた電圧を出力する。人感センサ部7が反応した時、つまり熱源を検知した時は
図13(b)に示す通り、電圧値が上昇する。出力電圧値は、周囲温度と熱源との温度差によって上昇の度合いは変わる。
【0045】
本実施形態における扇風機100は、しきい値を設定し人感センサ部7の出力電圧がしきい値を超えたときに、人感センサ部7の検知範囲内に人がいると判定する。しきい値電圧は低ければ熱源検知の感度が高くなり、高くなれば感度が低くなる。
【0046】
本実施形態における扇風機100の操作部10には、人感センサの感度を設定する感度設定ボタン2eが設けられる。感度設定は、たとえば「高感度」、「中感度」、「低感度」の3段階のとき、しきい値電圧は「高感度」、「中感度」、「低感度」の順に高くなる。
【0047】
したがって、感度が「高感度」のときは
図13(b)の時間t1、t4、t6で検知することが可能となり、3つの出力波形すべてを検知することができるが、「低感度」のときは時間t3のときのみ検知が可能になるので、人体の熱と周囲温度との差が大きい波形のみ検知できる。
【0048】
感度は、感度設定ボタン2eを押して感度を変更することが可能となる。感度が更新されるごとに、制御部10は更新された感度情報を不揮発性メモリ10dに記憶させる。
【0049】
扇風機100の電源がオフになっても不揮発性メモリ10dに記憶されている感度情報は保持される。そして、電源が再びオンになった時、制御部10は不揮発性メモリ10dに記憶されている感度情報を読み出し、人感センサの検知しきい値を設定する。
【0050】
このように、感度情報を不揮発性メモリ10dに記憶させることで、電源を再びオンにした時に感度設定が同じ状態で扇風機100を使用することができる。
【0051】
(第5の実施形態)
次に、第5の実施形態について図を用いて説明する。
【0052】
図14は本実施形態における扇風機100のブロック図を示したものである。
図14は
図4に示すブロック図の制御部10に、更に不揮発性メモリ10dを備えるものである。
【0053】
本実施形態における扇風機100の動作について説明する。通常動作時、扇風機100の操作部2は、運転情報を制御部10内のメモリ10cに送信する。また、人感センサ部7は、人感センサによって感知した状態に基づいて決定された首振り範囲情報を制御部10内のメモリ10cへ送信する。
運転情報と首振り範囲情報は一定の周期で制御部10内のメモリ10cに送信しても良いし、いずれかの情報が変化したタイミングで制御部10内のメモリ10cに送信しても良い。
メモリ10cに送信されると同時に運転情報と首振り範囲情報は、不揮発性メモリ10dに記憶される。
【0054】
扇風機100の電源がオフになると、メモリ10cには電源が供給されなくなるので記憶している情報は消えてしまうが、不揮発性メモリ10dの情報は消去されること無く、保持し続ける。
電源が再度オンになったとき、制御部10は、不揮発性メモリ10dの情報を呼び出し、電源がオフになったときの運転情報と首振り情報に基づいた動作が再開される。
【0055】
また、扇風機100の電源スイッチが制御部10内のマイコン(不図示)によって状態を管理されている構成の場合は、上述のように運転情報と首振り範囲情報を通常動作時に一定の時間間隔で不揮発性メモリ10dに記憶させるのではなく、電源スイッチが押されたことをマイコンが検知することによって、その時点の運転情報と首振り範囲情報とを不揮発メモリ10dに記憶させ、その後電源供給をやめる制御を行っても構わない。
【0056】
図15は、本実施形態における自動首振り制御のフローを示したものである。
まず扇風機100は、不揮発性メモリ10dから記憶されている運転情報、首振り範囲情報を読み出す(ステップS40)。自動首振り範囲設定がなされているかどうか、すなわち自動首振りボタン2aがONされているかの確認が行われる(ステップS41)。ステップS41において、設定されていない場合(ステップS41でNoの場合)、人が手動の首振り範囲設定を行う(ステップS49)。具体的には、ステップS49では図示しないレバーなどを用いて首振り角度(首振り範囲)を人が予め設定する。ステップS41で自動首振り範囲設定の場合、人感センサ部7がONされ(ステップS42)、続いて、人感センサ部7の検知情報に基づき、人がどの位置にいるかを即刻判断し、その領域を記憶する(ステップS43)。その後、その記憶情報を基に、制御部10は首振り範囲を自動設定する(ステップS44)。首振り範囲設定後、首振り範囲情報を不揮発性メモリ10dに書き込み記憶させる(ステップ46)。次に送風部5の自動首振りを開始する(ステップS46)。その設定状態で2分経過した(ステップS47)のち、新たな人の存在を検知や変化の有無を判断し(ステップS48)、何らかの人を検知があれば、ステップS43に戻って、上述のフローを繰り返す。もし、ステップS48で検知しないと判断した場合(ステップS48でNoの場合)には、自動首振りを停止する。その際はファンモータも停止しても構わない。なお、経過時間の設定は適宜変更できる。
【0057】
このように、首振り範囲を不揮発性メモリ10dに記憶させることで、電源を再びオンにしたときでも、同じ首振り動作のまま扇風機100を使用することができる。
【0058】
(第6の実施形態)
次に、第6の実施形態について図を用いて説明する。
【0059】
図16は、本実施形態にかかる人感センサ付き扇風機100の制御部10を含むブロック図である。
【0060】
操作部2には、自動首振りボタン2a、高速首振りボタン2bに加えて感度設定ボタン2eが設けられる。感度設定は、たとえば「高感度」、「中感度」、「低感度」の3段階に対応するしきい値電圧(感度設定情報)を出力する。しきい値電圧値は、「高感度」、「中感度」、「低感度」の順に高くなる。
【0061】
人感センサ7は、検知範囲内の熱源を検知し、検知結果を検知情報として出力する。本実施形態における人感センサ7は、検知情報は電圧として出力される。このとき周囲温度と検知する人体から発する熱との温度差が大きいほど出力電圧は大きく変化し、温度差が小さくなるほど出力電圧は小さく変化する。
【0062】
制御部10内の首振り制御部10bは感度設定情報と検知情報と温度情報とに基づいて、扇風機100の周囲にある熱源を検知し、首振り範囲を決定する。首振りモータ12は、首振り制御部10bの決定する首振り範囲に基づいて駆動される。
【0063】
温度センサ13は、周囲温度を検知し周囲温度に対応する温度情報を出力する。本実施形態における温度センサ13の温度情報は電圧として出力される。
【0064】
感度設定ボタン2eから出力される感度設定情報と、人感センサ7から出力される検知情報、さらに温度センサ13から出力される温度情報は、制御部10に入力される。
【0065】
制御部10内では、人感センサ部7から出力される電圧(検知情報)が感度設定ボタン2eで設定されるしきい値電圧(感度設定情報)を上回った時、熱源が検知されたと判定される。しきい値電圧は、温度センサ13から出力される温度情報によって、微調整される。
微調整は、たとえば、周囲温度が高くなるとしきい値を低くし、周囲温度が
低くなるとしきい値を高くすることで行われる。
【0066】
本実施形態における調整は、しきい電圧を微調整するものであるが、しきい値の微調整ではなく「低感度」、「中感度」、「高感度」を切り替えるものであってもよい。
【0067】
図17は本実施形態にかかる扇風機100の人感センサ部7の検知感度の補正動作について説明する波形図である。
図17に示すように、人感センサ部7の検知情報は、周囲温度と熱源との温度差によって出力される波形が異なる。周囲温度と熱源との温度差が大きいときは出力電圧の変化が大きく、温度差が小さいときは出力電圧の変化は小さくなる。
【0068】
図17では、感度は「低感度」に設定され、時刻t1の時に人感センサ部7の出力波形は「低感度」の
しきい値電圧Vth3を超えることで、熱源を検知したことを判定する。
拡大図に示すように、本実施形態では温度センサ13の温度情報に基づいて
しきい値電圧Vth3を調整している。この調整は、周囲温度が高くなるとしきい値電圧を少し低くしたVth3−αになるように調整、周囲温度が低くなるとしきい値電圧を少し高くしたVth3+αになるように調整する。
【0069】
このような調整を行うことで、周囲温度によってしきい値電圧を変動させることによって周囲温度によって変化する人感センサの出力電圧の変動に依存しない熱源の検知が可能となる。
【0070】
(第7の実施形態)
次に、第7の実施形態について図を用いて説明する。
【0071】
本実施形態における扇風機100の構成は
図16に示すブロック図と同様の構成であるが、首振り制御部10bでは、温度センサ13によって検知される周囲温度に基づいて、扇風機100の周囲の人の存在を判定する制御が新たに搭載されている。
【0072】
図18は、本実施形態にかかる人感センサ付き扇風機100の制御を説明するための波形図である。
図18(a)は、温度センサ13で検知される周囲温度と人体などの熱源との温度差が8度の時の人感センサ部7から出力される波形である。人体の体温が一定、たとえば36度としたとき、温度差が8℃ということは、周囲温度が28℃であることを表す。
このとき、温度差が大きいため、出力電圧の変化が大きい。このとき人が存在を判定するのは、感度設定部2eで設定されるしきい値電圧(Vth、感度設定情報)より出力電圧が大きくなったとき、人が存在すると判定する。本実施形態では、検知時間tw内で一度でもしきい電圧Vthより出力電圧が大きくなったときに人が存在すると判定する。
【0073】
図18(b)は、温度センサ13で検知される周囲温度と人体などの熱源との温度差が2度の時の人感センサ部7から出力される波形である。人体の体温が36℃とすると周囲温度は34℃であることを表し、
図18(a)の時より周囲温度が高い状態であることを表している。
このとき、温度差が小さいため、出力電圧の変化は小さい。この場合、人感センサ部7が人の存在を検知して出力する出力電圧と、ノイズ電圧との差が小さいため、検知時間を
図18(a)の場合に比べて長く設定する。
本実施形態では、検知時間を18(a)の場合の3倍(3xtw)に設定している。また、人が存在すると判定も、しきい値電圧Vthより出力電圧が大きくなった回数を増やしている。本実施形態では、検知回数を
図18(a)が1回に対して3回に設定している。
言い換えるならば、
図18(a)の場合は検知時間tw内に1回検知したとき(時刻t1)、熱源を検知したと判定する。一方
図18(b)の場合は、検知時間3*tw内に3回検知したとき(時刻t1、t2、t3)に熱源を検知したと判定する。
【0074】
このような判定を行うことで、周囲温度と人体の体温との温度差が小さくなっても精度の高い人体検知を行うことが可能となる。言い換えると周囲温度に依らない熱源検知を可能とする。
【0075】
なお、本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を変えない範囲において、種々の変更、改変等が可能である。さらに、上述した実施形態同士の組み合わせであっても良い。
検知した周囲温度に基づいて温度情報を出力する温度センサと、人の存在を検知する人感センサを複数備えるとともに検知情報を出力する人感センサ部と、人感センサの感度を設定するための感度設定情報を出力する感度設定部と、温度情報と検知情報と感度設定情報とに基づいて首振り範囲を決定する首振り制御部と、を有し、検知情報と感度設定とによって人の存在を判定する検知時間を温度情報によって調整することを特徴とする人感センサ付き扇風機を提供する