特許第5764713号(P5764713)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5764713移動体通信装置、管理装置、移動体通信方法、移動体通信プログラム、及び記録媒体
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5764713
(24)【登録日】2015年6月19日
(45)【発行日】2015年8月19日
(54)【発明の名称】移動体通信装置、管理装置、移動体通信方法、移動体通信プログラム、及び記録媒体
(51)【国際特許分類】
   H04W 4/04 20090101AFI20150730BHJP
   G01C 21/26 20060101ALI20150730BHJP
   G08G 1/09 20060101ALI20150730BHJP
   H04W 76/02 20090101ALI20150730BHJP
【FI】
   H04W4/04 113
   G01C21/26 A
   G08G1/09 H
   H04W76/02
【請求項の数】8
【全頁数】23
(21)【出願番号】特願2014-504581(P2014-504581)
(86)(22)【出願日】2012年3月15日
(86)【国際出願番号】JP2012056768
(87)【国際公開番号】WO2013136499
(87)【国際公開日】20130919
【審査請求日】2014年3月28日
(73)【特許権者】
【識別番号】000005016
【氏名又は名称】パイオニア株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100104503
【弁理士】
【氏名又は名称】益田 博文
(72)【発明者】
【氏名】加来 文伸
【審査官】 石川 雄太郎
(56)【参考文献】
【文献】 特開2010−237934(JP,A)
【文献】 特表2002−530006(JP,A)
【文献】 特開2008−252624(JP,A)
【文献】 特開2009−272951(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04W 4/00−99/00
G01C 21/26
G08G 1/09
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
移動体に搭載又は携帯されて、無線通信によって他の移動体通信装置と情報を送受信する移動体通信装置であって、
当該移動体通信装置の現在位置を含む所定の地理的範囲内に存在する他の移動体通信装置に、所定の会話種別情報を含む会話要求情報を送信する要求送信手段と、
前記所定の会話種別情報に承諾する他の移動体通信装置に対し、会話の内容を示す会話内容情報を送信する会話手段と、
を有し、
前記要求送信手段は、
当該移動体通信装置のユーザが指定する会話設定を示す会話種別情報と、リダイレクト先として指定した所定の管理装置へのアクセス情報とを含んだ会話要求情報をブロードキャストで送信することを特徴とする移動体通信装置。
【請求項2】
請求項1記載の移動体通信装置において、
前記会話手段は、
前記アクセス情報に基づいて前記所定の管理装置へアクセスした他の移動体通信装置に対し、前記所定の管理装置を介して前記会話内容情報を送信する、
ことを特徴とする移動体通信装置。
【請求項3】
請求項1又は2記載の移動体通信装置において、
他の移動体通信装置から送信された前記会話要求情報を受信する要求受信手段と、
当該移動体通信装置のユーザが前記会話要求情報に含まれる会話種別情報が示す会話設定に承諾する場合に、前記会話要求情報に含まれるアクセス情報に基づいて所定の管理装置にアクセスするアクセス手段と、
を更に有し、
前記会話手段は、
前記所定の管理装置へアクセスした他の移動体通信装置に対して、前記所定の管理装置を介して前記会話内容情報を送受することを特徴とする移動体通信装置。
【請求項4】
請求項1記載の移動体通信装置において、
当該移動体通信装置の現在位置情報を取得する取得手段、を更に有し、
前記要求送信手段は、
当該移動体通信装置のユーザが指定する会話設定を示す会話種別情報と、前記取得した現在位置情報と、を含んだ会話要求情報を所定の管理装置へ送信し、
前記会話手段は、前記所定の管理装置が指定した他の移動体通信装置に対し、前記所定の管理装置を介して前記会話内容情報を送信することを特徴とする移動体通信装置。
【請求項5】
移動体に搭載又は携帯される移動体通信装置と情報を送受信する管理装置であって、
第1の移動体通信装置から、当該第1の移動体通信装置の現在位置情報及び所定の会話種別情報を含む会話要求情報を受信する要求受信手段と、
前記受信した現在位置情報の位置を含む所定の地理的範囲内に存在する前記第1の移動体通信装置とは異なる移動体通信装置のうち、前記受信した会話種別情報に承諾する第2の移動体通信装置に前記第1の移動体通信装置から受信した会話内容情報を送信する内容送信手段と、
を有することを特徴とする管理装置。
【請求項6】
移動体に搭載又は携帯されて、無線通信によって他の移動体通信装置と情報を送受信する移動体通信装置に用いられる移動体通信方法であって、
当該移動体通信装置の現在位置を含む所定の地理的範囲内に存在する他の移動体通信装置に、所定の会話種別情報を含む会話要求情報を送信する要求送信工程と、
前記所定の会話種別情報に承諾する他の移動体通信装置に対し、会話の内容を示す会話内容情報を送信する会話工程と、
を含み、
前記要求送信工程では、
当該移動体通信装置のユーザが指定する会話設定を示す会話種別情報と、リダイレクト先として指定した所定の管理装置へのアクセス情報とを含んだ会話要求情報をブロードキャストで送信することを特徴とする移動体通信方法。
【請求項7】
請求項6に記載の移動体通信方法を、移動体通信装置により実行させることを特徴とする移動体通信プログラム。
【請求項8】
請求項7に記載の移動体通信プログラムが、前記移動体通信装置により読み取り可能に記憶されていることを特徴とする記録媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、移動体が搭載又は携帯する移動体通信装置が、他の不特定の移動体通信装置と会話を開始するための移動体通信装置、管理装置、移動体通信方法、移動体通信プログラム、及び記録媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
近年では移動体通技術の向上に伴い、例えば車両に搭載するナビゲーション装置や、歩行者が携帯する無線携帯端末などの移動体通信装置の間で情報を送受する技術が多く提案されている。
【0003】
例えば特許文献1には、複数のナビゲーション装置が共通のサーバを介して間接的に、又は相互間で直接的にメールやチャットの形態で情報を送受して、ナビゲーション装置どうしのコミュニケーションを図る技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007−255908号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら上記従来技術では、お互いに既知又はサーバに登録済みの相手としかコミュニケーションを取ることができない。一方、例えば渋滞や天候などのようにその時点で当該移動体通信装置が位置している地理的範囲内で共有し得る状況に関した話題で、当該地理的範囲内にいる不知・不特定の他者と容易にコミュニケーションを図ることが可能な通信技術が要望されていた。
【0006】
本発明が解決しようとする課題には、上記した問題が一例として挙げられる。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、請求項1記載の発明は、移動体に搭載又は携帯されて、無線通信によって他の移動体通信装置と情報を送受信する移動体通信装置であって、当該移動体通信装置の現在位置を含む所定の地理的範囲内に存在する他の移動体通信装置に、所定の会話種別情報を含む会話要求情報を送信する要求送信手段と、前記所定の会話種別情報に承諾する他の移動体通信装置に対し、会話の内容を示す会話内容情報を送信する会話手段と、を有し、前記要求送信手段は、当該移動体通信装置のユーザが指定する会話設定を示す会話種別情報と、リダイレクト先として指定した所定の管理装置へのアクセス情報とを含んだ会話要求情報をブロードキャストで送信する。
【0008】
上記課題を解決するために、請求項5記載の発明は、移動体に搭載又は携帯される移動体通信装置と情報を送受信する管理装置であって、第1の移動体通信装置から、当該第1の移動体通信装置の現在位置情報及び所定の会話種別情報を含む会話要求情報を受信する要求受信手段と、前記受信した現在位置情報の位置を含む所定の地理的範囲内に存在する前記第1の移動体通信装置とは異なる移動体通信装置のうち、前記受信した会話種別情報に承諾する第2の移動体通信装置に前記第1の移動体通信装置から受信した会話内容情報を送信する内容送信手段と、を有する。
【0009】
上記課題を解決するために、請求項記載の発明は、移動体に搭載又は携帯されて、無線通信によって他の移動体通信装置と情報を送受信する移動体通信装置に用いられる移動体通信方法であって、当該移動体通信装置の現在位置を含む所定の地理的範囲内に存在する他の移動体通信装置に、所定の会話種別情報を含む会話要求情報を送信する要求送信工程と、前記所定の会話種別情報に承諾する他の移動体通信装置に対し、会話の内容を示す会話内容情報を送信する会話工程と、を含み、前記要求送信工程では、当該移動体通信装置のユーザが指定する会話設定を示す会話種別情報と、リダイレクト先として指定した所定の管理装置へのアクセス情報とを含んだ会話要求情報をブロードキャストで送信する。
【0010】
上記課題を解決するために、請求項記載の発明は、移動体通信プログラムであって、請求項に記載の移動体通信方法を、移動体通信装置により実行させる。
【0011】
上記課題を解決するために、請求項記載の発明は、記録媒体であって、請求項に記載の移動体通信プログラムが、前記移動体通信装置により読み取り可能に記憶されている。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の移動体通信装置の実施形態であるナビゲーション装置を搭載した車両の構成例を示す斜視図である。
図2】ナビゲーション装置のハードウェア構成例を示すブロック図である。
図3】車両を中心とした無線通信可能範囲に相当する地理的範囲の一例を示す図である。
図4】会話要求パケットのデータ構成の一例を示す図である。
図5】会話要求パケットに含める各情報データの具体的な入力例を表す図である。
図6】実施形態の場合で会話が開始されるまでの車両間におけるパケットの送受状況を示すシーケンスチャートの一例である。
図7】会話開始を提起する側のナビゲーション装置本体のCPUが実行する制御内容を表すフローチャートの一例である。
図8】会話開始を承諾する側のナビゲーション装置本体のCPUが実行する制御内容を表すフローチャートの一例である。
図9図5以外の会話要求パケットに含める各情報データの具体的な入力例を表す図である。
図10】会話要求パケットを複数段階で分けて送信する場合の図6に対応するシーケンスチャートの一例である。
図11】外部のサーバを介して会話する場合の図1に対応する車両の構成例を示す斜視図である。
図12】会話種別に対応する複数のサーバを介して会話する場合の図6に対応するシーケンスチャートの一例である。
図13】サーバが指定した相手を通信対象に特定する場合の図6に対応するシーケンスチャートの一例である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施形態のうちの一つを図面を参照しつつ説明する。
【0014】
図1は、本発明の移動体通信装置の実施形態であるナビゲーション装置を搭載した車両の構成例を示す斜視図である。この図1において、ナビゲーション装置Sは、移動体である車両Vの周囲に位置する他車両と無線通信を行うための無線通信アンテナ1を備えている。
【0015】
図2は、ナビゲーション装置Sのハードウェア構成例を示すブロック図の一例である。この図2において、ナビゲーション装置Sは、無線通信アンテナ1、マイク2、スピーカ3、タッチパネルディスプレイ4、及びナビゲーション装置本体5を有している。
【0016】
無線通信アンテナ1は、ナビゲーション装置本体5の無線通信制御部(後述)から入力された各種送信情報を所定の無線通信可能距離まで無線通信により送信するとともに、当該車両Vの周囲から各種受信情報を無線通信により受信して上記無線通信制御部に出力する機能を有する。
【0017】
マイク2は、当該車両Vの運転者や同乗者であるユーザが発音した音声を集音し音声情報としてナビゲーション装置本体5に入力する機能を有する。スピーカ3は、ナビゲーション装置本体5から出力された音声情報をユーザに対して発音する機能を有する。
【0018】
タッチパネルディスプレイ4は、例えばLCDパネルとその表面に設けられた透過性のタッチパネルなどで構成され、ナビゲーション装置本体5のグラフィックコントローラ(後述)から入力された画像信号に基づいて上記LCDパネルに画像を表示するとともに、上記タッチパネルの領域上でユーザが接触した位置を検出してナビゲーション装置本体5に入力する機能を有する。
【0019】
ナビゲーション装置本体5は、CPU11、記憶装置12、グラフィックコントローラ13、GPS14、車速センサ15、及び無線通信制御部16を有している。
【0020】
CPU11は、所定のプログラムの動作によって各種の演算を行うとともに、他の各部との間で情報の交換や各種の制御指示を出力することで、ナビゲーション装置S全体を制御する機能を有する。
【0021】
記憶装置12は、ROM12a、RAM12b、及び記憶媒体12cを有する。ROM12aは、各種の処理プログラムやその他必要な情報が予め書き込まれた情報記憶媒体である。RAM12bは、上記各種のプログラムを実行する上で必要な情報の書き込み及び読み出しが行われる情報記憶媒体である。記憶媒体12cは、例えばフラッシュメモリ、ハードディスクなどの不揮発性の情報記憶媒体であり、後述する車両付帯情報やユーザ付帯情報などの各種情報を予め記憶している。
【0022】
グラフィックコントローラ13は、CPU11の制御によってビデオRAM(図示せず)及び上記GPS14などから画像データを取得し、この画像データに基づく画像信号を上記タッチパネルディスプレイ4に表示させる機能を有する。
【0023】
GPS14は、車両Vの現在地の測位を行い現在位置情報を取得する。当該取得された情報を用いて、ナビゲーション装置Sは、予め記憶している地図情報に基づいて上記現在位置の周辺の地形、道路、及び施設等の情報を取得することができる。
【0024】
車速センサ15は、当該車両Vの走行速度を検出する機能を有する。ナビゲーション装置本体5が備える上記CPU11は、この車速センサ15の検出信号に基づき、当該車両Vが停止中の状態であるか、もしくはどのくらいの走行速度で走行しているか、を識別することができる。
【0025】
無線通信制御部16は、上記無線通信アンテナ1を介した無線通信による各種情報の送受信を制御する機能を有する。なお、無線通信のフォーマットとしては、例えばWi−Fi(いわゆる無線LAN)、DSRC、又はミリ波レーダー等の各種のフォーマットが適用可能であり、特に送信においては所定の空中線電力に対応する無線通信可能距離まで送信できる。また、ナビゲーション装置Sの個体ごとに通信アドレスが割り当てられており、無線通信制御部16は通信アドレスで通信対象を識別して個別に情報を送受する。
【0026】
以上の構成のナビゲーション装置Sは、上述したように無線通信制御部16が無線通信アンテナ1を介して所定の無線通信可能範囲内に各種送信情報を送信できる。この無線通信可能範囲は、通常の場合、図3の例に示すように当該車両Vを中心に上記無線通信可能距離を半径とした略円形の地理的範囲となる。例えば上述した各種のフォーマットでの無線通信では、無線通信可能距離は長くても1kmに満たない場合が多い。したがって、当該車両Vの現在位置を含むこの無線通信可能範囲内に存在する他の車両とは、例えば天候、渋滞、及び利用可能な近隣施設の有無などといった地理的条件に影響を受ける状況を共有している可能性が高い。このように同じ状況を共有している者どうしであれば、例え見知らぬ不知の他者に対してもその共通する状況を話題としてコミュニケーションを図りたい場合がある。特に車両に搭載されるナビゲーション装置や携帯電話などのような移動通信装置では、それ自体の現在位置が常に移動するとともに、周囲の地理的範囲に存在する他者もその多くが常に入れ替わるため、同じ地理的状況を共有する他者は常に不知、不特定である場合がほとんどである。
【0027】
本実施形態のナビゲーション装置Sでは、当該車両Vの現在位置を中心とした無線通信可能範囲に存在する他の不特定の車両のユーザに対して、所定の会話設定を指定する会話要求パケットをブロードキャストで送信して会話の開始を提起する。そして他の車両で同等の機能を有するナビゲーション装置がこの会話要求パケットを受信し、そのユーザが当該会話要求パケットで指定されている会話設定に承諾する場合に会話応答パケットを返信することで会話が開始される。なお、本実施形態で行う会話は、いわゆるメールやチャットのようなテキストデータを介した態様での会話を想定する。
【0028】
図4は、上記会話要求パケットのデータ構成の一例を示す図である。この図4において、会話要求パケットは、ヘッダと、会話種別情報と、属性情報と、会話メッセージ情報とを有している(各データの具体例は後述の図5参照)。
【0029】
ヘッダは、無線通信のフォーマットに対応して当該会話要求パケットの送受に関する情報が記述されるデータであり、この中には当該会話要求パケットの送信元である当該ナビゲーション装置Sの通信アドレス、つまり当該会話要求パケットに対して応答する際の返信先アドレスが含まれている。
【0030】
会話種別情報は、当該会話要求パケットが提起する会話設定を示すデータであり、大分類の情報と小分類の情報とが含まれている。大分類は、会話の提起の仕方やどのような形態で進めるかといった会話形態を示す情報であり、小分類は提起する会話の具体的なテーマを示す情報である。それぞれは予め設定されている複数の定型句から選択してもよいし、ユーザが任意に記述してもよい。
【0031】
属性情報は、当該会話要求パケットの送信元である当該ナビゲーション装置Sのユーザや搭載車両(当該車両V)に関するデータであり、例えば走行状況情報、車両付帯情報、及びユーザ付帯情報などがある。走行状況情報としては、例えばGPS14で検出した現在位置情報や、その時点の走行速度、燃料残量などがある。また車両付帯情報としては、当該車両Vの車種、車重、及び当該ナビゲーション装置Sのオプション機能(オーディオ・ビジュアル機能、経路探索機能等)などがある。ユーザ付帯情報としては、例えば性別、年齢、及び移動目的などがある。これらのうち実際に送信する属性情報の内容は、上記会話種別情報の会話設定に関係するものを任意又は自動的に選定すればよい。
【0032】
会話メッセージ情報は、会話の開始を提起するにあたって当該会話要求パケットを送信するユーザが補足的に添付する比較的短いテキストデータであり、会話のきっかけとするメッセージなどその内容をユーザが自由に入力できる。
【0033】
以上の各データのうち、ヘッダと会話種別情報が会話要求パケットに必須のデータであり、その他の属性情報及び会話メッセージは必要に応じて任意に付加されるデータである。また、ユーザどうしの会話を柔軟に進めるためにも、会話種別情報が示す会話設定や属性情報の選定はあくまで指標とすべきであって、厳密に区別する必要はない。なお、上記の会話要求パケットが、各請求項記載の会話要求情報に相当する。
【0034】
図5は、会話要求パケットに含める上記各情報データの具体的な入力例を表す図である。図5(a)では、渋滞の状況についての会話を提起しており、図示する例として大分類に「会話」を、小分類に「つぶやき」を設定し、属性情報として上記GPS14で検出した自車両の現在位置情報を添付している。これらのデータを有する会話要求パケットを受信した他のナビゲーション装置では、大分類、小分類、及び会話メッセージを出力するとともに、当該会話要求パケットの送信元の車両の現在位置が地図画像上に表示されて、自車両と同じ車道又は接続する車道にいるかなどを確認できる。
【0035】
図5(b)では、付近の施設利用についての質問を提起しており、図示する例として大分類に「質問」を、小分類に「ガソリンスタンド」を設定し、属性情報として自車両の現在位置情報を添付している。これらのデータを有する会話要求パケットを受信した他のナビゲーション装置では、大分類、小分類、及び会話メッセージを出力するとともに、当該会話要求パケットの送信元の車両の現在位置が地図画像上に表示されて、その付近のガソリンスタンドについて詳しく知っているかなどを確認できる。
【0036】
図5(c)では、燃費についての運転評価を競い合うゲームを提起しており、図示する例として大分類に「ゲーム」を、小分類に「燃費エコ度対決」を設定し、属性情報として自車両の燃費特性、車種情報、及び現在位置情報を添付している。これらのデータを有する会話要求パケットを受信した他のナビゲーション装置では、大分類、小分類、及び会話メッセージを出力するとともに、当該会話要求パケットの送信元の車両の各属性情報と現在位置が表示されて、同じ道路状況(市街地、山間部、信号機の設置間隔など)であるかも含めて自車両と対等に競える条件であるかなどを確認できる。なおこの場合には、同様の燃費運転評価機能を有するナビゲーション装置を搭載した車両どうしでしか会話が成立しない。
【0037】
図5に示したこれら会話要求パケットの例では、同じ地理的範囲に存在しているからこそ共有しうる状況を話題としており、お互いに不知の者どうしであっても会話を図るきっかけとなりうる。そして会話要求パケットを受信した側のユーザにとっても、会話種別、属性、及び会話メッセージを参照することで、提起された会話の開始に対する承諾を判定しやすくなる。
【0038】
図6は、本実施形態の場合で会話が開始されるまでの車両間におけるパケットの送受状況を示すシーケンスチャートの一例である。この図6において、まず最初に車載装置I(ナビゲーション装置に相当、以下同様)が所定の会話設定を示す会話要求パケットをブロードキャストで送信して会話の開始を提起する。この車載装置Iの搭載車両を中心とした無線通信可能範囲内にいる全ての他の車両の車載装置II、III(他の移動体通信装置に相当、以下同様)が上記会話要求パケットを直接受信する。そして、その会話種別の会話設定(大分類の会話形態と小分類の会話テーマ)の内容が予めそれぞれのユーザにより承諾してもよいと設定されている内容の場合だけ、当該会話要求パケットの各情報データをユーザに出力する。なお、図示する例では、車載装置II、IIIのいずれにおいても受信した会話設定の内容が予め承諾してもよいと設定されている場合を示している。
【0039】
これら自動承諾した車載装置II、IIIのうち、そのユーザが会話種別情報の会話設定で会話をしてもよいと任意に承諾して所定の操作を行った場合だけ、その車載装置(図示する例では車載装置II)が当該会話要求パケットの会話要求に応答する会話応答パケットを返信する。つまり本実施形態では、受信した会話種別の会話設定に対して事前の設定による自動承諾と、その場のユーザの判断での任意承諾の二重の承諾を経て初めて会話応答パケットが返信される。この際、受信した会話要求パケットのヘッダに含まれている返信先アドレスに対して、当該会話要求パケットに対応する内容の会話応答パケットを個別に返信する。また、この会話応答パケットには、当該会話応答パケットを返信したナビゲーション装置の通信アドレスが返信元アドレスとしてヘッダに含まれている(特に図示せず)。なお、この会話応答パケットが、各請求項記載の会話応答情報に相当する。
【0040】
以上のパケットの送受によって、車載装置I、IIがお互いを当該会話設定における通信対象として特定する。このように会話の通信対象が特定された後には、会話内容の情報を示す会話内容パケットを通信対象どうしで送受して会話を行う。なお、この会話内容パケットが、各請求項記載の会話内容情報に相当する。
【0041】
ここで、本実施形態では上述したように、会話要求パケット、会話応答パケット、会話パケットにそれぞれ含まれる各情報データは、比較的短いテキストデータの形態としている。これらのテキストデータをユーザに出力する場合には、対応する文字列をタッチパネルディスプレイ4に表示するとともに、音声合成機能によって対応する音声の形態でスピーカ3から読み上げる。また入力に関しても、例えばタッチパネルディスプレイ4上でのソフトウェアキーボード(図示省略)を介した押下入力で入力してもよいし、またはユーザが発音した音声をマイク2で検出し音声認識機能によってテキストデータに変換してもよい。また、車両の走行安全性を確保するためにも、各情報データの入出力は例えば当該車両Vが停車中又は一定の低速度で操舵のない安定走行状態の場合にだけ可能とする。
【0042】
図7は、以上説明した動作態様のうち会話の開始を提起する側としての機能を実現するために、ナビゲーション装置本体5のCPU11が実行する制御内容を表すフローチャートの一例である。
【0043】
図7において、まずステップS5において、会話要求パケットに含める会話種別情報を設定する。具体的には大分類に対応する会話形態の情報と小分類に対応する会話テーマの情報をそれぞれユーザからの入力内容に基づいて設定する。この会話種別の設定では、上述したように予め設定されている複数の定型句からの選択により設定してもよいし、ユーザが任意に設定してもよい。
【0044】
ステップS10へ移り、属性情報を設定する。具体的には、走行状況情報、車両付帯情報、及びユーザ付帯情報などのうち、上記ステップS5で設定した会話種別情報の会話設定に関係するものを自動的又はユーザによる任意で選定し、GPS14や車速センサ15からの検出値や記憶媒体12cなどに記憶されている各種情報を属性情報として設定する。なお、この属性情報の設定はユーザが任意で省略してもよい。
【0045】
ステップS15へ移り、会話メッセージを作成する。具体的には、ユーザから任意に入力された比較的短い文章を会話メッセージに設定する。なお、この会話メッセージの作成についてもユーザが任意で省略してもよい。また、以上のステップS5〜ステップS15における各情報の入力については、タッチパネルディスプレイ4を介したソフトウェアキーボードでの押下操作によって入力してもよいし、またはマイク2を介してユーザが発音入力した音声情報を音声認識によってテキストデータに変換して入力してもよい。
【0046】
ステップS20へ移り、会話要求パケットを生成する。具体的には、上記ステップS5〜ステップS15で入力した各情報に加えて、当該ナビゲーション装置Sに割り当てられている通信アドレスを返信先アドレスとしてヘッダに含めて、上記図4に示したデータ構成の会話要求パケットを生成する。
【0047】
ステップS25へ移り、上記ステップS20で生成した会話要求パケットを、無線通信制御部16の無線通信可能範囲内でブロードキャストで送信する。なお、このステップS25の手順が、各請求項記載の要求送信手段及び要求送信工程に相当する。
【0048】
ステップS30へ移り、上記ステップS25で送信した会話要求パケットに対応する会話応答パケットを無線通信制御部16で受信したか否かを判定する。対応する会話応答パケットをまだ受信していない場合、判定は満たされず、ステップS35へ移る。なお、このステップS30の手順が、各請求項記載の応答受信手段に相当する。
【0049】
ステップS35では、上記ステップS25で会話要求パケットを送信してから上記ステップS30での会話応答パケットの不受信の判定を継続している状態が所定時間経過しかた否かを判定する。不受信状態がまだ所定時間経過していない場合、判定は満たされず、ステップS30に戻って同様の手順を繰り返す。
【0050】
一方、不受信状態が所定時間経過した場合には、判定が満たされ、ステップS40へ移る。
【0051】
ステップS40では、上記ステップS25で送信した会話要求パケットに対する会話応答パケットが受信されないとし、言い換えればユーザが提起した会話に対する応答がないとしてその旨を報知し、このフローを終了する。
【0052】
また一方、上記ステップS30の判定において、会話要求パケットに対応する会話応答パケットを受信した場合には、判定が満たされ、ステップS45へ移る。
【0053】
ステップS45では、受信した会話応答パケットに含まれている返信元アドレスを通信対象の通信アドレスとして設定し、対応するナビゲーション装置のユーザを会話相手に特定する。
【0054】
ステップS100へ移り、上記ステップS45で設定した通信対象の通信アドレスのナビゲーション装置との間で会話内容情報を含んだ会話内容パケットを送受する会話通信処理を行う(詳細な説明は省略)。そしてこのフローを終了する。なお、上記ステップS100の手順が各請求項記載の会話手段及び会話工程に相当する。
【0055】
図8は、提起された会話設定に承諾して応答する側としての機能を実現するために、ナビゲーション装置本体5のCPU11が実行する制御内容を表すフローチャートの一例である。
【0056】
図8において、まずステップS205において、会話要求パケットを無線通信制御部16で受信したと判定するまでループ待機し、受信した場合にはステップS210へ移る。なお、このステップS205の手順が、各請求項記載の要求受信手段に相当する。
【0057】
ステップS210では、上記ステップS205で受信した会話要求パケットに含まれる会話種別の会話設定が、当該ナビゲーション装置Sのユーザにより予め承諾するよう設定されている内容であるか否かを判定する。もしくは、受信した会話種別がナビゲーション装置の所定の機能を利用する内容である場合には、当該ナビゲーション装置Sがその機能に対応しているか否かで自動的に判定してもよい。もちろんこの事前承諾の設定については、ユーザがどのような会話種別の会話設定に対しても承諾するよう設定されていてもよいし、逆にユーザが全ての会話種別の会話設定に対して承諾しないよう設定されていてもよい。受信した会話種別の会話設定が予め承諾しないよう設定されている内容のものである場合、判定は満たされず、受信した会話要求パケットの処理が拒否されてそのままこのフローを終了する。なお、このステップS210の手順が、各請求項記載の拒否手段に相当する。
【0058】
一方、受信した会話種別の会話設定が予め承諾するよう設定されている内容のものである場合、判定が満たされ、ステップS215へ移る。
【0059】
ステップS215では、上記ステップS205で受信した会話要求パケットを上記記憶媒体12cに記憶する。
【0060】
ステップS220へ移り、当該ナビゲーション装置Sを搭載している車両Vの走行状態が、会話種別情報、属性情報、及び会話メッセージ情報を出力可能な状態であるか否かを判定する。具体的には、車速センサ15から検出した当該車両Vの走行速度が0又は低速度、もしくは高速度であっても一定した安定走行状態であって各種情報をユーザに出力しても走行安全性を確保できるか否かを判定する。さらに、特に図示しない操舵センサなどの検出に基づいて現在操舵中であるか否かを考慮してもよい。各種情報を出力可能な状態であると判定されるまでループ待機し、出力可能な状態と判定された場合にはステップS225へ移る。
【0061】
ステップS225では、受信した会話種別に対応するユーザインターフェース(図中ではUIと略記)を生成する。なお、このユーザインターフェースの生成処理は、上記ステップS220のループ待機中にバックグラウンド処理によって行ってもよい。
【0062】
ステップS230へ移り、上記ステップS215で保存した会話要求パケット中に含まれる会話種別情報、属性情報、会話メッセージ情報の内容を、上記ステップS225で生成したユーザインターフェースに基づいて出力する。具体的には、それぞれテキストデータの形態の各種情報を、ユーザインターフェースに基づいてタッチパネルディスプレイ4に文字列で表示、または音声合成機能によってスピーカ3から読み上げて出力する。また、属性情報に会話要求パケットを送信した車両の現在位置情報が含まれている場合には、地図画面上で対応する位置の表示も行う。
【0063】
ステップS235へ移り、受信した会話要求に対して応答する旨の操作入力があったか否かを判定する。言い換えると、提起された会話の開始に対してユーザから任意承諾を受けたか否かを判定する。なお、このユーザからの入力においても、タッチパネルディスプレイ4を介した押下操作による入力でもよいし、またはマイク2を介した音声認識による入力でもよい。受信した会話種別に対してユーザが承諾しない旨の操作入力があった場合、判定は満たされず、このフローを終了する。
【0064】
一方、受信した会話種別に対してユーザが承諾する旨の操作入力があった場合、判定が満たされ、ステップS240へ移る。
【0065】
ステップS240では、受信した会話種別に対応する当該ナビゲーション装置S側の属性情報を設定する。具体的には、走行状況情報、車両付帯情報、及びユーザ付帯情報などのうち、受信した会話種別情報の会話設定に関係するものを自動的又はユーザによる任意で選定し、各種センサからの検出値や記憶媒体12cなどに記憶されている各種情報を属性情報として設定する。なお、この属性情報の設定についてもユーザが任意で省略してもよい。
【0066】
ステップS245へ移り、会話応答パケットを生成する。具体的には、上記ステップS240で入力した属性情報に加えて、必要であれば応答用の会話メッセージ情報も入力し、当該ナビゲーション装置Sに割り当てられている通信アドレスを返信元アドレスとしてヘッダに含めて会話応答パケットを生成する(このデータ構成については特に図示せず)。
【0067】
ステップS250へ移り、上記ステップS215で保存した会話要求パケットのヘッダに含まれている返信先アドレスに対して、上記ステップS245で生成した会話応答パケットを個別送信する。なお、このステップS250の手順が、各請求項記載の応答送信手段に相当する。
【0068】
ステップS255へ移り、上記返信先アドレスを通信対象の通信アドレスとして設定し、対応するナビゲーション装置のユーザを会話相手に特定する。
【0069】
ステップS100へ移り、上記ステップS255で設定した通信対象の通信アドレスのナビゲーション装置との間で会話内容情報を含んだ会話内容パケットを送受する会話通信処理を行う。そしてこのフローを終了する。なお、上記のステップS100の手順が各請求項記載の会話手段及び会話工程に相当する。
【0070】
以上説明したように、上記実施形態のナビゲーション装置Sにおいては、車両(移動体に相当)に搭載又は携帯されて、無線通信によって他のナビゲーション装置(他の移動体通信装置に相当)と情報を送受信するナビゲーション装置S(移動体通信装置に相当)であって、当該ナビゲーション装置Sの現在位置を含む所定の地理的範囲内に存在する他のナビゲーション装置に、所定の会話種別情報を含む会話要求パケット(会話要求情報に相当)を送信するステップS25の手順(要求送信手段に相当)と、前記所定の会話種別情報に承諾する他のナビゲーション装置に対し、会話の内容を示す会話内容パケット(会話内容情報に相当)を送信するステップS100の手順(会話手段に相当)と、を有する。
【0071】
また、上記実施形態のナビゲーション装置Sが実行する移動体通信方法においては、車両(移動体に相当)に搭載又は携帯されて、無線通信によって他のナビゲーション装置(他の移動体通信装置に相当)と情報を送受信するナビゲーション装置S(移動体通信装置に相当)に用いられる移動体通信方法であって、当該ナビゲーション装置Sの現在位置を含む所定の地理的範囲内に存在する他のナビゲーション装置に、所定の会話種別情報を含む会話要求パケット(会話要求情報に相当)を送信するステップS25の手順(要求送信工程に相当)と、前記所定の会話種別情報に承諾する他のナビゲーション装置に対し、会話の内容を示す会話内容パケット(会話内容情報に相当)を送信するステップS100の手順(会話工程に相当)と、を含む。
【0072】
まずお互いに不知の者どうしが会話を開始するためには、その会話の提起側と承諾側の両方が同じ会話種別について会話する意志があることを確認する必要がある。そこで本実施形態によると、同じ地理的範囲に存在しているからこそ共有しうる状況を話題とすることで、お互いに不知の者どうしであっても会話を図るきっかけにしやすい。そして最初に会話の開始を提起する側のユーザとしてもそのような共有状況に関する話題で会話の開始を提起したいという必要性が高く、またそのような会話の開始を提起された側のユーザにとっても、会話種別情報が示す会話設定を参照することで提起された会話の開始に対する承諾を判定しやすくなる。これにより、不知・不特定の他者に対しても会話相手の通信対象に特定しやすくなる。この結果、地理的範囲内にいる不知・不特定の他者と容易にコミュニケーションを図ることが可能となる。
【0073】
なお、ナビゲーション装置などのように車両に搭載する車載装置に限られず、例えば歩行者等が携帯する携帯電話や携帯情報端末などの携帯装置にも適用でき、それら車載装置と携帯装置の区別なくコミュニケーションを図ることも容易となる。
【0074】
上述した構成に加えてさらに、前記ステップS25の手順は、当該ナビゲーション装置Sのユーザが指定する会話設定を示す会話種別情報を含んだ会話要求パケットをブロードキャストで送信し、前記ステップS100の手順は、前記会話要求パケットに対応する会話応答パケット(会話応答情報に相当)を他のナビゲーション装置から受信し、前記会話応答パケットを送信した前記他のナビゲーション装置に対して前記会話内容パケットを送信する。
【0075】
このようにすると、会話の開始を提起する側として、その会話の形態やテーマを示す会話種別を会話要求パケットで具体的に明示できる。そしてその会話要求パケットに対して応答する会話応答パケットを返信した他のナビゲーション装置こそ、通信対象として特定できる。このようにして会話の提起側と承諾側の両方が同じ会話種別について会話する意志があることを確認でき、会話の提起側からその承諾側へ会話内容パケットを送信できる。
【0076】
上述した構成に加えてさらに、他のナビゲーション装置から送信された前記会話要求パケットを受信するステップS205の手順(要求受信手段に相当)と、
当該ナビゲーション装置Sのユーザが前記会話要求パケットに含まれる会話種別情報が示す会話設定に承諾する場合に、前記会話要求パケットに対応する会話応答パケットを、前記会話要求パケットを送信した他のナビゲーション装置へ送信するステップS250の手順(応答送信手段に相当)と、を有し、前記ステップS100の手順は、前記会話応答パケットを送信した先の前記他のナビゲーション装置に対して、前記会話内容パケットを送信する。
【0077】
このようにすると、会話の開始を承諾する側として、その会話の形態やテーマを示す会話種別を会話要求パケットで具体的に確認できる。そして当該ナビゲーション装置Sのユーザがその会話種別の会話設定に承諾する場合に、会話要求パケットに対して応答する会話応答パケットを返信した先の他のナビゲーション装置を、通信対象として特定できる。このようにして会話の提起側と承諾側の両方が同じ会話種別について会話する意志があることを確認でき、会話の承諾側からその提起側へ会話内容パケットを送信できる。
【0078】
上述した構成に加えてさらに、前記会話要求パケットに含まれる会話種別情報が示す会話設定が、予め当該ナビゲーション装置Sのユーザが承諾しないとして設定したものである場合に、前記会話要求パケットに対する処理を拒否するステップS210の手順(拒否手段に相当)を有する。
【0079】
このようにすると、高い頻度で多数の会話要求パケットを受信する状況であっても、予め承諾している会話設定の会話要求パケットだけを出力し、ユーザはさらにその中から厳選して会話応答パケットを返信できる。このため、ユーザは予め承諾するつもりのない会話設定の会話要求パケットに対する処理を自動的に省略することができ、例えば車載装置である場合には車両の走行安全性を確保できる。
【0080】
上述した構成に加えてさらに、前記会話種別情報は、会話形態を示す大分類(会話形態情報に相当)と、会話のテーマを示す小分類(会話テーマ情報に相当)とを含んでいる。このようにすると、会話開始を提起する側が意図する会話内容がより具体的かつ明確となり、それを参照する承諾側も応答するか否かを判定しやすくなる。
【0081】
上述した構成に加えてさらに、前記会話要求パケットは、当該ナビゲーション装置Sの車両又はユーザについての属性情報のうち前記会話種別情報に対応する内容のものを含んでいる。このようにすると、会話開始を提起する側の具体的な状況を明示することができ、それを参照する承諾側も応答するか否かを判定しやすくなる。また、多数ある属性情報のうちから会話種別に対して関係のあるものだけを明示することができ、承諾する側の判定が煩雑になることを防ぐことができる。
【0082】
上述した構成に加えてさらに、前記会話要求パケットは、当該ナビゲーション装置Sのユーザが入力した会話メッセージ情報を含んでいる。このようにすると、会話開始を提起する側の状況や意図をさらに具体的に明示することができ、それを参照する承諾側も提起側の印象や会話の必要性を汲み取って応答するか否かを判定しやすくなる。
【0083】
上述した構成に加えてさらに、前記会話要求パケット及び前記会話応答パケットにそれぞれ含まれる各情報を音声を介して入出力するマイク2及びスピーカ3を有する。このようにすると、特にナビゲーション装置のような車載装置に対して車両の運転中でも情報の確認や操作が容易となり、走行安全性を確保しやすくなる。
【0084】
なお本実施形態では、会話要求パケット、会話応答パケット、及び会話内容パケットの各情報データをテキストデータの態様としていたが、これに限られない。他にも、各情報データ自体をマイク2で入力した音声情報の態様そのままとしてもよく、出力時にはその音声情報を再生して発音させてもよいし、必要に応じて音声認識機能により文字列としてタッチパネルディスプレイ4に表示させてもよい。
【0085】
上述した構成に加えてさらに、前記会話要求パケット及び前記会話応答パケットにそれぞれ含まれる各情報を、当該車両が安全な走行状態にある場合のみ出力させるステップS220の手順を有する。このようにすると、特に運転操作に注意を要する加減速時や操舵時において各情報の出力を保留するため、車両の走行安全性を確保しやすくなる。なお、各情報をユーザに出力する場合だけでなく、ユーザが各情報を入力する場合でも車両が安全な走行状態にある場合のみ入力を受け付けるようにすることで、さらなる走行安全性を確保しやすくできる。
【0086】
上述した構成に加えてさらに、前記会話要求パケット及び前記会話応答パケットに通信対象の現在位置情報が含まれている場合、当該現在位置情報に対応する現在位置を表示するステップS230の手順を有する。このようにすると、相手の具体的な地理的状況や、自車両の位置又は目的の施設の位置などに対する相手の位置関係を把握することができ、会話開始の提起に対する承諾側の判定が容易となったり、会話中の参照情報として活用できる。
【0087】
上述した構成に加えてさらに、前記所定の地理的範囲は、当該ナビゲーション装置Sの無線通信可能範囲としている。このようにすると、各パケットを送受する通信対象の存在範囲を、それらパケットを直接送受信可能な無線通信可能範囲そのままで設定することができる。そして通常の無線通信可能範囲内では、例えば天候、渋滞、及び利用可能な近隣施設の有無などといった地理的条件に影響を受ける状況を他の車両と共有する可能性が高いため、不知・不特定の他者とのコミュニケーションが図りやすくなる。
【0088】
また、会話要求パケットに含める会話種別情報に応じて、当該パケットを送信する際の電波強度を変えるようにしても良い。例えば、会話種別が「近接する車両に対する会話」に分類される場合は、通常よりも小さな電波強度で当該パケットを出力するようにすれば、近接する車両に限定して会話要求を行うことが可能となる。また、同様に、会話要求パケットに含める会話種別情報に応じて、当該パケットを送信する際の通信方法を変えるようにしても良い。例えば、会話種別が「近接する車両に対する会話」に分類される場合は、通信可能な範囲が狭い通信方法によって(例えば無線LAN方式であったのを、Bluetooth(登録商標)方式に変えて)当該パケットを出力するようにすれば、近接する車両に限定して会話要求を行うことが可能となる。
【0089】
なお、会話要求パケットに含める会話種別情報として、上記図5で示した例ではいずれも地理的条件に影響を受ける内容のものばかりを示したが、本発明はこれに限られない。例えば、図9に示すような音楽情報の交換や共有などといった地理的条件に関係のない他の話題を会話種別に設定してもよい。この場合でも、例えばユーザ付帯情報を参照して相手が同じ年代や性別であれば共通する好みの音楽情報の交換を期待できるなどのように、属性情報を添付することは有用である。また、会話内容パケット等で送受する情報についても、テキストデータの態様の会話内容情報だけでなく、図示する例のプレイリストデータのようなアプリケーションデータ等や、音楽データなどのデータファイルそのものを送受してもよい。また、上記図5(c)に示したゲーム形態の会話を行った場合、結果を保存、蓄積して後に履歴として参照したり、ネットワークを通じて他者に公開できるようにしてもよい。このように会話の開始時点では不知・不特定の他者であっても、その後に同じ相手と会話を繰り返して属性情報を蓄積することにより親交を深めるきっかけとすることもできる。
【0090】
なお、本発明は、上記実施形態に限られるものではなく、その趣旨及び技術的思想を逸脱しない範囲内で種々の変形が可能である。
【0091】
(1)第1変形例:会話要求パケットを複数段階に分けて送信する場合
上記実施形態では、会話開始を提起する側が、会話種別情報、属性情報、及び会話メッセージ情報を1つの会話要求パケットにまとめて送信していたが、本発明はこれに限られない。他にも、各情報データを振り分けた複数の会話要求パケットを段階的に送信してもよい。
【0092】
この第1変形例においては、例えば上記図6に対応する図10のシーケンスチャートに示すように、まず最初に会話開始を提起する側の車載装置Iから会話種別のみを含めた1次会話要求パケットをブロードキャストで送信する。これを受信した各車載装置II、IIIが、それぞれの事前設定に基づいて自動的に承諾、不承諾を判定する。自動承諾した車載装置IIだけが、1次会話要求パケットに対応する1次会話応答パケットを個別返信する。次にこの1次会話応答パケットを受信した提起側の車載装置Iが、属性情報と会話メッセージ情報を含めた2次会話要求パケットを、1次会話応答パケットの返信元に個別送信する。これを受信した車載装置IIでユーザが属性情報と会話メッセージ情報を確認して任意に承諾した場合に、2次会話応答パケットを車載装置Iに個別返信し、当該車載装置Iがこれを受信する。これにより、車載装置I、IIがお互いを通信対象として特定して、会話内容パケットの送受を開始する。
【0093】
以上において、車載装置I側で1次会話要求パケットを送信する手順が各請求項記載の1次要求送信手段に相当し、1次会話応答パケットを受信する手順が各請求項記載の1次応答受信手段に相当し、2次会話要求パケットを送信する手順が各請求項記載の2次要求送信手段に相当し、2次会話応答パケットを受信する手順が各請求項記載の2次応答受信手段に相当する。また、車載装置II側で1次会話要求パケットを受信する手順が各請求項記載の1次要求受信手段に相当し、1次会話応答パケットを送信する手順が各請求項記載の1次応答送信手段に相当し、2次会話要求パケットを受信する手順が各請求項記載の2次要求受信手段に相当し、2次会話応答パケットを送信する手順が各請求項記載の2次応答送信手段に相当する。
【0094】
以上説明したように、本変形例のナビゲーション装置Sにおいては、会話開始の提起側の手順として、当該ナビゲーション装置Sのユーザが指定する会話設定を示す会話種別情報を含んだ1次会話要求パケットをブロードキャストで送信する手順(1次要求送信手段に相当)と、前記1次会話要求パケットに対応する1次会話応答パケットを他のナビゲーション装置から受信する手順(1次応答受信手段に相当)と、当該ナビゲーション装置Sの車両又はユーザについての属性情報のうち前記会話種別情報に対応する内容のものと、当該ナビゲーション装置Sのユーザが入力した会話メッセージ情報の少なくとも一方を含んだ2次会話要求パケットを、前記1次会話応答パケットを送信した前記他のナビゲーション装置に送信する手順(2次要求送信手段に相当)と、前記2会話要求パケットに対応する2次会話応答パケットを、前記2次会話要求パケットを受信した前記他のナビゲーション装置から受信する手順(2次応答受信手段に相当)と、を有し、前記2次会話応答パケットを送信した前記他のナビゲーション装置を通信対象として特定する。
【0095】
このようにすると、会話の開始を提起する側として、まず会話の形態やテーマを示す会話種別に承諾した相手に対してだけ、当該提起側についての具体的な属性情報と会話メッセージ情報を明示できる。これにより、例えばできるだけ不特定多数の不知の他者には知られたくないといった特別の事情のある属性情報や会話提起の詳細な意図を、会話種別に承諾した相手だけに明示することができ、会話内容や属性情報の秘匿性を向上できる。
【0096】
上述した構成に加えてさらに、会話開始の承諾側の手順として、他のナビゲーション装置から送信された1次会話要求パケットを受信する手順(1次要求受信手段に相当)と、当該ナビゲーション装置Sのユーザが前記1次会話要求パケットに含まれる会話種別情報が示す会話設定に承諾する場合に、前記1次会話要求パケットに対応する1次会話応答パケットを、前記1次会話要求パケットを送信した前記他のナビゲーション装置へ送信する手順(1次応答送信手段に相当)と、前記1次会話応答パケットを受信した前記他のナビゲーション装置から送信された2次会話要求パケットを受信する手順(2次要求受信手段に相当)と、当該ナビゲーション装置Sのユーザが前記2次会話要求パケットに含まれる属性情報及び会話メッセージに承諾する場合に、前記2次会話要求パケットに対応する2次会話応答パケットを、前記2次会話要求パケットを送信した前記他のナビゲーション装置へ送信する手順(2次応答送信手段に相当)と、を有し、前記2次会話応答パケットを送信した先の前記他のナビゲーション装置を通信対象として特定する。
【0097】
このようにすると、会話の開始を承諾する側として、まず会話の形態やテーマを示す会話種別だけで1次的に承諾を判定することができ、承諾した場合だけ提起側についての具体的な属性情報と会話メッセージ情報を確認できる。これにより、例えば最初の承諾の判定において属性情報や会話提起の詳細な意図まで考慮せずに簡略的に判定することができ、会話要求パケットを多数受信する場合でもその絞り込みを効率的に行うことができる。
【0098】
(2)第2変形例:会話種別に対応する複数のサーバを介して会話する場合
上記実施形態及び第1変形例では、会話開始の提起側と承諾側が相互に直接無線通信で会話内容情報を送受していたが、本発明はこれに限られない。他にも、各会話種別に対応する複数のサーバを介して会話内容情報を送受してもよい。
【0099】
この第2変形例においては、例えば上記図1に対応する図11に示すように、ナビゲーション装置Sがその無線通信可能範囲内で他の車両のナビゲーション装置と通信可能であるとともに、車道付近に多数設置されている中継局21を介した通信ネットワークNWで外部の複数のサーバ22にアクセスできる。これらサーバ22はそれぞれ会話種別情報の会話設定に対応して設けられたサーバであって、大多数のユーザにアクセス情報(IPアドレスなど)が知られている公共のサーバに限らず、個人等が設置したサーバであってもよい。なお、これらサーバが、各請求項記載の管理装置に相当する。
【0100】
そして、例えば上記図6に対応する図12のシーケンスチャートに示すように、まず最初に会話開始を提起する側の車載装置Iから、会話種別とそれに対応するリダイレクト先であるサーバへのアクセス情報を含めたアクセス要求パケットをブロードキャストで送信する。図示する例では、同一の車載装置Iから2種類の会話種別A、Bにそれぞれ対応する第1のアクセス要求パケットと第2のアクセス要求パケットをブロードキャスト送信している。第1のアクセス要求パケットにはリダイレクト先のアクセス情報として会話種別Aに対応するサーバIのアクセス情報が含まれており、第2のアクセス要求パケットにはリダイレクト先のアクセス情報として会話種別Bに対応するサーバIIのアクセス情報が含まれている。なお、この場合の各アクセス要求パケットが、各請求項記載の会話要求情報に相当する。
【0101】
これら2種類のアクセス要求パケットを受信した各車載装置II、III、IVが、それぞれ自動判定またはユーザの任意判定によって各アクセス要求パケットのそれぞれの会話種別に対する承諾、不承諾を個別に判定する。そして会話種別Aに承諾する車載装置II、IIIが、第1のアクセス要求パケットに含まれるアクセス情報に基づいて対応するリダイレクト先のサーバIにアクセスする。これにより車載装置Iと車載装置II、IIIとがお互いを会話種別Aにおける通信対象に特定し、会話内容パケットをサーバIを介して送受する。一方、会話種別Bに承諾する車載装置IVが、第2のアクセス要求パケットに含まれるアクセス情報に基づいて対応するリダイレクト先のサーバIIにアクセスする。これにより車載装置Iと車載装置IVとがお互いを会話種別Bにおける通信対象に特定し、会話内容パケットをサーバIIを介して送受する。
【0102】
すなわち、アクセス要求パケットの送受だけを車載装置間で直接行い、そのアクセス要求パケットを受信した車載装置が対応するサーバへアクセスすることで会話提起に対する承諾の応答に代え、当該サーバを介して会話内容情報の送受を行う。
【0103】
以上において、車載装置I側で、第1のアクセス要求パケット及び第2のアクセス要求パケットを送信する手順が各請求項記載の要求送信手段に相当する。また、車載装置II、III、IV側で、第1のアクセス要求パケット及び第2のアクセス要求パケットを受信する手順が各請求項記載の要求受信手段に相当し、各アクセス要求パケットのアクセス情報に基づいて対応するサーバにアクセスする手順が各請求項記載のアクセス手段に相当する。
【0104】
以上説明したように、本変形例のナビゲーション装置Sにおいては、当該ナビゲーション装置Sのユーザが指定する会話設定を示す会話種別情報と、リダイレクト先として指定した所定のサーバ(管理装置に相当)へのアクセス情報とを含んだアクセス要求パケット(会話要求情報に相当)をブロードキャストで送信し(要求送信手段に相当)、前記ステップS100の手順は、前記アクセス情報に基づいて前記所定のサーバへアクセスした他のナビゲーション装置に対し、前記所定のサーバを介して前記会話内容パケットを送信する。
【0105】
このようにすると、予め登録していない不知・不特定の他者に対しても会話種別に対応するサーバにアクセスさせて通信対象に特定しやすくなり、例えばトンネルの通過などによる一時的な通信障害が生じた場合でも会話相手が送信した会話内容情報をもらさずサーバから受信することができる。また、リダイレクト先のサーバを介することで、当該サーバにアクセスした複数のナビゲーション装置間で会話することが可能となる。
【0106】
上述した構成に加えてさらに、他のナビゲーション装置から送信された前記アクセス要求パケット(会話要求情報に相当)を受信する手順(要求受信手段に相当)と、当該ナビゲーション装置Sのユーザが前記アクセス要求パケットに含まれる会話種別情報が示す会話設定に承諾する場合に、前記アクセス要求パケットに含まれるアクセス情報に基づいて所定のサーバにアクセスする手順(アクセス手段に相当)と、を更に有し、前記ステップS100の手順は、前記所定のサーバへアクセスした他のナビゲーション装置に対して、前記所定のサーバを介して前記会話内容パケットを送受する。
【0107】
このようにすると、不知・不特定の他者から勧められる未登録のサーバに対しても容易にアクセスして当該他者を通信対象に特定しやすくなり、例えば一時的な通信障害が生じた場合でも会話相手が送信した会話内容情報をもらさずサーバから受信することができる。
【0108】
(3)第3変形例:サーバが指定した相手を通信対象に特定する場合
上記実施形態及び第1、第2変形例では、ナビゲーション装置間で無線通信を介して直接送受した会話種別に基づいて通信対象を特定していたが、本発明はこれに限られない。他にも、全てのナビゲーション装置が共通の中央サーバにアクセスし、当該中央サーバから指定された他のナビゲーション装置を通信対象に特定してもよい。
【0109】
この第3変形例においては、会話開始の提起側と承諾側という立場の概念がなく、全てのナビゲーション装置が共通の中央サーバに対して等しく会話の参加を申請する立場となる。例えば上記図6に対応する図13のシーケンスチャートに示すように、いずれの車載装置I、II、IIIも同じ会話種別Aでの会話の参加を希望しているとして共通の中央サーバにアクセスし、いずれも会話種別情報Aを含んだ会話申請パケットを集中送信する。なお、この会話申請パケットには、それぞれのGPS14で取得した現在位置情報も含めて送信する。なお、中央サーバが、各請求項記載の管理装置に相当する。また、会話申請パケットが、各請求項記載の会話要求情報に相当する。また、GPS14が、各請求項記載の取得手段に相当する。
【0110】
そしてこれら複数の会話申請パケットを受信した中央サーバは、それぞれの現在位置情報を照合して所定の地理的範囲内に存在するナビゲーション装置どうしであって、さらに会話種別の会話設定が一致しているナビゲーション装置どうしをそれぞれお互いの通信対象として指定する。図示する例では、同じ地理的範囲Mに存在する車載装置Iと車載装置IIとがお互いに通信対象として指定され、また車載装置IIの現在位置で重複する他の地理的範囲Nでは車載装置IIと車載装置IIIが存在しているため、それらがお互いに通信対象として指定される。これにより全ての車載装置I、II、IIIが会話種別Aでの会話の参加を希望している場合でも、車載装置Iと車載装置IIの組み合わせ、車載装置IIと車載装置IIIとの組み合わせでお互いを通信対象に特定し、通信対象どうしだけで会話内容パケットを中央サーバを介して送受する。
【0111】
すなわち、車載装置間でのパケットの直接的な送受(いわゆる車車間通信)は全く行われず、完全に共通の中央サーバを介したパケットの送受(いわゆる車路車間通信)だけが行われる。なお、本変形例においては、地理的範囲の設定が無線通信可能範囲のような物理的根拠に基づく地理的範囲に限られず、中央サーバで任意に設定することができる。例えば無線通信可能距離とは関係ない形や広さで設定してもよいし、または行政区画等の他の根拠に基づく地理的範囲であってもよく、会話種別の会話設定の内容に応じて可変的に設定してもよい。
【0112】
以上において、各車載装置I、II、IIIで、会話申請パケットを中央サーバに送信する手順が各請求項記載の要求送信手段に相当する。また、中央サーバで、会話申請パケットを受信する手順が各請求項記載の要求受信手段に相当し、各車載装置I、II、IIIのそれぞれの通信対象を指定して会話内容パケットを送信する手順が各請求項記載の内容送信手段に相当する。また、各車載装置I、II、IIIのうち、2つの車載装置I、II又は2つの車載装置II、IIIのそれぞれの組み合わせが、各請求項記載の第1の移動体通信装置及び第2の移動体通信装置の組み合わせに相当する。
【0113】
以上説明したように、当該ナビゲーション装置Sの現在位置情報を取得するGPS14(取得手段に相当)、を更に有し、当該ナビゲーション装置Sのユーザが指定する会話設定を示す会話種別情報と、前記取得した現在位置情報と、を含んだ会話申請パケット(会話要求情報に相当)を所定の中央サーバ(管理装置に相当)へ送信し(要求送信手段に相当)、前記ステップS100の手順は、前記所定の中央サーバが指定した他のナビゲーション装置に対し、前記所定の中央サーバを介して前記会話内容パケットを送信する。
【0114】
このようにすると、各ナビゲーション装置が会話申請パケットを送信するだけで、それぞれのユーザが承諾判定することなく希望する会話種別に応じた会話相手の通信対象が自動的に指定され特定できる。また、属性情報を照合することで、例えば車種別、走行車道別、又は年代別といったさらなるグループ分けを行ってもよい。また、中央サーバは、地理的範囲、会話種別、及び属性情報を照合して対応する通信対象候補の検索とリストアップだけを行い、最終的にユーザが通信対象を選択して特定できるようにしてもよい。
【0115】
また、本変形例の中央サーバにおいては、車両(移動体に相当)に搭載又は携帯されるナビゲーション装置S(移動体通信装置に相当)と情報を送受信する中央サーバ(管理装置に相当)であって、第1のナビゲーション装置から、当該第1のナビゲーション装置の現在位置及び所定の会話種別情報を含む会話申請パケット(会話要求情報に相当)を受信する手順(要求受信手段に相当)と、前記受信した現在位置情報の位置を含む所定の地理的範囲内に存在する前記第1のナビゲーション装置とは異なるナビゲーション装置のうち、前記取得した会話種別情報に承諾する第2のナビゲーション装置に前記第1のナビゲーション装置から受信した会話内容パケット(会話内容情報に相当)を送信する手順(内容送信手段に相当)と、を有する。
【0116】
本発明では互いに通信対象として特定し合う複数のナビゲーション装置の関連付けの1つの根拠として地理的範囲を用いているが、本変形例の中央サーバによればこの地理的範囲を無線通信可能範囲といった物理的な制限によらず任意に設定できる。
【0117】
また、以上既に述べた以外にも、上記実施形態や各変形例による手法を適宜組み合わせて利用しても良い。
【符号の説明】
【0118】
1 無線通信アンテナ
2 マイク
3 スピーカ
4 タッチパネルディスプレイ
5 ナビゲーション装置本体
11 CPU
12 記憶装置
13 グラフィックコントローラ
14 GPS(取得手段に相当)
15 車速センサ
16 無線通信制御部
21 中継局
22 サーバ(管理装置に相当)
S ナビゲーション装置(移動体通信装置に相当)
V 車両
図1
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