(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の実施形態について図に基づいて説明する。
まず、本発明の思想を適用可能な油圧ショベルの構成について説明する。
【0020】
図1は、本発明の一実施形態に係る油圧ショベルの構成を示す側面図である。本実施形態に係る油圧ショベル1は、
図1に示すように、下部走行体2と、上部旋回体3と、作業機4と、カウンタウェイト5と、エンジン7と、キャブ10とを主に備えている。下部走行体2と上部旋回体3とにより、油圧ショベル本体が主に構成されている。
【0021】
下部走行体2は、進行方向左右両端部分に巻き掛けられた一対の履帯Pを有している。下部走行体2は、一対の履帯Pが回転することにより自走可能に構成されている。
【0022】
上部旋回体3は、下部走行体2に対して任意の方向に旋回可能に設置されている。上部旋回体3は、前方左側に、油圧ショベル1のオペレータが乗降する運転室であるキャブ10を含んでいる。上部旋回体3は、後方側に、エンジン7を収納するエンジン室、およびカウンタウェイト5を含んでいる。
【0023】
なお、本実施の形態では、キャブ10内に運転員が着座した状態で、運転員の前方側(正面側)を上部旋回体3の前方側とし、運転員の後方側を上部旋回体3の後方側とし、着座状態での運転員の左側を上部旋回体3の左側とし、着座状態での運転員の右側を上部旋回体3の右側とする。以下の説明では、上部旋回体3の前後左右と油圧ショベル1の前後左右は一致しているとする。また、以下の図においては、前後方向を図中矢印X、左右方向を図中矢印Y、上下方向を図中矢印Zで示している。
【0024】
土砂の掘削などの作業を行なう作業機4は、上下方向に作動自在に、上部旋回体3により軸支されている。作業機4は、上部旋回体3の前方側の略中央部に上下方向に作動可能に取り付けられたブーム4aと、ブーム4aの先端部に前後方向に作動可能に取り付けられたアーム4bと、アーム4bの先端部に前後方向に作動可能に取り付けられたバケット4cとを有している。ブーム4a、アーム4bおよびバケット4cはそれぞれ、油圧シリンダ58によって、駆動されるように構成されている。
【0025】
作業機4は、キャブ10に搭乗しているオペレータが作業機4の先端部を見通せるように、キャブ10に対し、キャブ10の一方の側部側である右側に設けられている。キャブ10は、作業機4の取り付け部分の側方に配置されている。
【0026】
カウンタウェイト5は、採掘時などにおいて車体のバランスをとるために上部旋回体3の後部に配置された重りである。油圧ショベル1は、カウンタウェイト5の後面の旋回半径を小さくした後方小旋回型油圧ショベルとして形成されている。このため、カウンタウェイト5の後面は、上方から見て上部旋回体3の旋回中心を中心とした円弧状に形成されている。エンジン7は、上部旋回体3の後部のエンジン室内に収容されている。
【0027】
図2は、
図1の油圧ショベル1の上部旋回体3の一部構成を示す斜視図である。
図2には、
図1に示す油圧ショベル1の上部旋回体3を左前方から見た構成の一部が図示されている。
図2に示すように、上部旋回体3は、旋回フレーム31を有している。旋回フレーム31は、油圧ショベル本体に含まれている。旋回フレーム31は、
図1に示す下部走行体2の上方に配置されており、下部走行体2に対して任意の方向に旋回自在に設けられている。
【0028】
旋回フレーム31の上面には、一対のフロアフレーム32,32が、前後方向に間隔を空けて配置されている。キャブ10は、フロアフレーム32,32上に載せ置かれている。キャブ10は、フロアフレーム32を介して、旋回フレーム31上に搭載されている。
【0029】
旋回フレーム31における左右方向の中央部の前端部には、センタブラケット33が設けられている。
図1に示す作業機4の基端部は、センタブラケット33に取り付けられている。センタブラケット33は、油圧ショベル1の作業機4を支持しており、作業機4の取り付け部分を構成している。
【0030】
旋回フレーム31の前方右側には、前カバー60が配置されている。前カバー60に対して後方側には、タンクカバー36A,38Aが配置されている。
図3は、前カバー60およびタンクカバー36A,38Aの構成を示す斜視図である。前カバー60内には、後述するタンクルーム92およびバルブルーム97が形成されている。タンクカバー36A内には、後述する燃料タンク36が収容されている。タンクカバー36Aの上面には、燃料タンク36への燃料の補給を行なうための給油口36Bが設けられている。タンクカバー38A内には、後述する作動油タンク38が収容されている。
【0031】
前カバー60は、外装カバー61と、左側面板62とを有している。外装カバー61は、前カバー60の右側面を構成しており、油圧ショベル本体の側面の一部を構成している。外装カバー61は、タンクカバー36Aの前端から、上部旋回体3の前端に向けて延出している。外装カバー61は、開閉可能に設けられている。外装カバー61は、把手61Aを有している。作業者は、把手61Aを把持して外装カバー61を回動することにより、閉じた状態の外装カバー61を開くことができる。
【0032】
図2に示す左側面板62は、前カバー60の左側面を構成している。左側面板62は、後述する還元剤タンク20、メインバルブ57などを介在して、外装カバー61と対向している。左側面板62は、センタブラケット33を介在して、キャブ10の右側面と対向している。左側面板62は、上部旋回体3の前後方向に延びている。左側面板62には、通気口69が形成されている。通気口69は、前カバー60の内部に形成されたタンクルーム92と、前カバー60の外部空間とを連通している。
【0033】
前カバー60はまた、前端板63、下段ステップ板64、立板65、上段ステップ板66、立板67、および天井板68を有している。前カバー60は、タンクカバー36A,38Aと上部旋回体3の前端との間に設けられている。
【0034】
前端板63は、上部旋回体3の前端において、垂直方向に延びて設けられている。下段ステップ板64は、前端板63の上縁から後方に向けて延出している。立板65は、下段ステップ板64の後縁から上方に向けて延出している。上段ステップ板66は、立板65の上縁から後方に向けて延出している。立板67は、上段ステップ板66の後縁から上方に向けて延出している。天井板68は、立板67の上縁から後方に向けて延出している。天井板68は、タンクカバー38Aの上面と略同一平面上に配置されている。
【0035】
前端板63から前方に突設して、ステップ34が設けられている。前端板63、下段ステップ板64、立板65、上段ステップ板66、立板67、および天井板68は、階段状の形状を構成している。ステップ34から、前カバー60の下段ステップ板64および上段ステップ板66に順番に足をかけて、天井板68上へのアクセスが容易に可能となっている。これにより、作業者は、燃料タンク36への燃料の補給、作動油タンク38への給油、およびエンジン7のメンテナンスなどの作業を、容易かつ安全に行なうことができる。
【0036】
次に、本実施の形態の油圧ショベル1における還元剤タンクから排気処理ユニットまでの還元剤配管の経路について、
図4を用いて説明する。
図4は、旋回フレーム31上の各機器の配置を示す模式的な平面図である。
図4中の下側が上部旋回体3の前方を示し、
図4中の上側が上部旋回体3の後方を示している。
図4には、
図1に示す油圧ショベル1において、旋回フレーム31上において還元剤タンク20から排気処理ユニットへ還元剤を供給するための配管(送り配管21および圧送配管25)の経路が図示されている。
【0037】
図1に示す下部走行体2および作業機4を駆動するための動力源であるエンジン7は、旋回フレーム31上に搭載されている。エンジン7は、旋回フレーム31のうち左右方向の中央側のセンタフレームの、後部に搭載されている。重量の大きいエンジン7は、油圧ショベル本体の前方に取り付けられた作業機4との重量バランスを考慮して、作業機4を支持するセンタブラケット33から離れており、かつカウンタウェイト5に近い、油圧ショベル本体の後方端に配置されている。エンジン7を収納するエンジン室は、上部旋回体3の後部に設けられている。
【0038】
エンジン室内には、冷却ユニット6およびファン8が収容されている。エンジン室内において、左側から右側へ向かって、冷却ユニット6、ファン8、エンジン7の順に並べられている。ファン8は、エンジン7によって回転駆動されて、エンジン室内を通過する空気の流れを発生する。ファン8は、油圧ショベル本体の左側から右側へ向かう空気の流れを発生する。冷却ユニット6は、ファン8の発生する空気の流れの上流側である、ファン8に対して左側に配置されている。エンジン7は、ファン8の発生する空気の流れの下流側である、ファン8に対して右側に配置されている。
【0039】
冷却ユニット6は、後述するラジエータ16(
図5)、インタークーラ、および後述するオイルクーラ59(
図6)を含んで構成されている。ラジエータ16は、エンジン7の冷却水を冷却するための冷却装置である。インタークーラは、エンジン7に供給される圧縮空気を冷却するための冷却装置である。オイルクーラ59は、油圧シリンダ58(
図1)などの、油圧ショベル1に搭載された各種の油圧アクチュエータに供給される作動油を冷却するための冷却装置である。
【0040】
油圧ショベル1はまた、エンジン室内に、エンジン7から排出される排気ガスを処理して浄化するための排気処理ユニットを備えている。排気処理ユニットは、排気処理装置12,14と、中継接続管13と、排気筒15と、還元剤の噴射ノズル28を主に備えている。
図4に示す平面視において、排気処理ユニットは、エンジン7に対して右側に配置されている。エンジン7には、エンジン7によって駆動されて作動油を移送する油圧ポンプ56(
図6参照。
図4には図示しない)が直結されている。油圧ポンプ56はエンジン7の右隣に配置されており、排気処理ユニットは油圧ポンプ56の上方に配置されている。
【0041】
排気処理装置12は、後述する排気管11(
図5)によりエンジン7と接続されている。排気処理装置14は、中継接続管13により排気処理装置12と接続されている。エンジン7から排出される排気ガスは、排気処理装置12,14を順に通過して、排気筒15から大気中に排出される。エンジン7からの排気ガスの排出の流れに対して、排気処理装置12はエンジン7の下流側に配置されており、排気処理装置14は排気処理装置12の下流側に配置されている。
【0042】
排気処理装置12は、エンジン7から排出される排気ガス中に含まれる一酸化炭素および炭化水素などの未燃焼ガスを酸化して、排気ガス中の未燃焼ガスの濃度を低下させる。排気処理装置12は、たとえばディーゼル酸化触媒装置である。排気処理装置14は、還元剤との反応によって排気ガス中に含まれている窒素酸化物を還元し、窒素酸化物を無害な窒素ガスに化学変化して、排気ガス中の窒素酸化物濃度を低下させる。排気処理装置14は、たとえば選択触媒還元式の脱硝装置である。中継接続管13には、中継接続管13内に還元剤を噴射するための噴射ノズル28が設けられている。中継接続管13は、排気ガスに還元剤を噴射し混合するミキシング配管としての機能を有している。
【0043】
油圧ショベル1はまた、排気処理ユニットへ還元剤を供給するための、還元剤供給部を備えている。還元剤供給部は、還元剤タンク20、および還元剤ポンプ22を備えている。還元剤タンク20は、排気処理装置14で使用される還元剤を貯留する。還元剤としては、たとえば尿素水が好適に用いられるが、これに限られるものではない。
【0044】
還元剤タンク20および還元剤ポンプ22は、旋回フレーム31のうち、右側のサイドフレーム上に搭載されている。還元剤ポンプ22は、エンジン室に対して前方に配置されている。還元剤タンク20は、還元剤ポンプ22よりも前方に配置されている。還元剤タンク20は、還元剤が温度上昇して劣化することを防止するために、高温の機器であるエンジン7から離れて配置されており、たとえば旋回フレーム31の前方端に配置されている。
【0045】
還元剤タンク20と還元剤ポンプ22とは、送り配管21および戻し配管23によって、互いに連結されている。送り配管21は、還元剤タンク20から還元剤ポンプ22へ還元剤を送出するための配管である。戻し配管23は、還元剤ポンプ22から還元剤タンク20へ還元剤を戻すための配管である。還元剤ポンプ22と噴射ノズル28とは、圧送配管25によって、互いに連結されている。圧送配管25は、還元剤ポンプ22から噴射ノズル28に還元剤を移送するための配管である。
【0046】
還元剤タンク20から送り配管21を経由して還元剤ポンプ22へ移送されてきた還元剤は、還元剤ポンプ22において二分岐する。排気処理に使用されない還元剤は、還元剤ポンプ22から戻し配管23を経由して、還元剤タンク20へ戻される。排気処理に使用される還元剤は、還元剤ポンプ22から圧送配管25を経由して、噴射ノズル28へ到達し、噴射ノズル28から中継接続管13内へ噴霧される。
【0047】
エンジン7からの排気ガスは、中継接続管13を経由して排気処理装置14へ流入する。中継接続管13は、排気ガスの流れにおいて、排気処理装置14の上流側に設けられている。還元剤タンク20から吸い出された還元剤は、中継接続管13に取り付けられた噴射ノズル28を経由して、中継接続管13内を流れる排気ガス中に噴射される。還元剤は、排気処理装置14に対し排気ガスの流れの上流側に噴射される。排気ガス中に噴射される還元剤の量は、排気処理装置14を通過する排気ガスの温度、および排気ガス中の窒素酸化物の濃度に基づいて、制御されている。
【0048】
還元剤タンク20が旋回フレーム31上の前方端に配置されており、排気処理装置14が旋回フレーム31上の後方端に配置されている。この配置のため、還元剤を移送する送り配管21および圧送配管25は、油圧ショベル本体の前後方向に延び、旋回フレーム31の前方端から後方端に向かって延びている。
【0049】
旋回フレーム31のうち右側のサイドフレーム上にはまた、燃料タンク36、作動油タンク38およびメインバルブ57が搭載されている。燃料タンク36は、エンジン7に供給される燃料を貯える。作動油タンク38は、油圧シリンダ58(
図1)などの油圧アクチュエータに供給される作動油を貯える。
【0050】
燃料タンク36および作動油タンク38は、重量が大きいため、旋回フレーム31上の重量バランスを考慮して、排気処理ユニットの前方の位置に配置されている。燃料タンク36への燃料の補給作業の作業性を考慮して、燃料タンク36は作動油タンク38よりも旋回フレーム31の側端近くに配置されている。燃料タンク36および作動油タンク38は、直方体状の耐圧タンクとして形成されている。燃料タンク36および作動油タンク38の前面は、メインバルブ57を収容するバルブルーム97の後壁として構成されている。
【0051】
メインバルブ57は、多数の制御弁、パイロット弁などの集合体として構成されている。メインバルブ57は、作動油タンク38から吸い出され油圧ポンプ56(
図6)により移送される作動油を、
図1に示す油圧シリンダ58、図示しない走行モータおよび旋回モータなどの油圧アクチュエータに給排する。これによりメインバルブ57は、油圧ショベル1の車体および作業機4を、オペレータの運転操作に応じて作動させる。
【0052】
メインバルブ57は、燃料タンク36および作動油タンク38よりも重量が小さいため、旋回フレーム31上の重量バランスを考慮して、燃料タンク36および作動油タンク38に対し前方に配置されている。メインバルブ57は、還元剤タンク20に対し後方に配置されている。
【0053】
メインバルブ57を収容するバルブルーム97と、還元剤タンク20を収容するタンクルーム92とは、仕切板80によって仕切られている。仕切板80は、還元剤タンク20の後方、かつメインバルブ57の前方に配置されており、還元剤タンク20とメインバルブ57との間に配置されている。仕切板80は、上部旋回体3の前後方向において、還元剤タンク20とメインバルブ57との間に介在している。
【0054】
仕切板80は、バルブルーム97の前壁として構成されている。仕切板80は、タンクルーム92の後壁として構成されている。タンクルーム92の前壁は、
図2,3に示す前端板63により構成されている。タンクルーム92の右側壁は、
図3に示す閉じた状態の外装カバー61により構成されている。タンクルーム92の左側壁は、
図2に示す左側面板62により構成されている。
【0055】
外装カバー61、左側面板62、前端板63、および仕切板80により、タンクルーム92を規定する壁部が構成されている。タンクルーム92を規定する壁部のうち、後方の壁部である仕切板80のみが、メインバルブ57と還元剤タンク20との間に介在している。タンクルーム92を規定する壁部のうち、左方の壁部である左側面板62に、通気口69(
図2)が形成されている。通気口69は、タンクルーム92の内外を連通する連通孔として構成されている。
【0056】
還元剤タンク20は、タンクルーム92内の前方の、平面視におけるタンクルーム92の角部に配置されている。還元剤タンク20は、略直方体状に形成されている。還元剤タンク20の前面は、前端板63との間にわずかな隙間を空けて、前端板63に対向している。還元剤タンク20の左面は、左側面板62との間にわずかな隙間を空けて、左側面板62に対向している。還元剤タンク20は、タンクルーム92の前壁と後壁とのうち、前壁により近い位置に配置されている。
【0057】
前端板63と左側面板62とにより形成される角部に、還元剤タンク20が配置されている。
図2,3に示すように、外装カバー61の前端部分は曲面形状である。そのため、平面視四角形状の還元剤タンク20を左側面板62に隣接して配置することにより、タンクルーム92を規定する壁部のより近くに還元剤タンク20を配置することが可能とされている。
【0058】
図5は、本実施の形態の油圧ショベル1における還元剤の経路、熱交換用の媒体の経路、およびエンジン7からの排気ガスの排気経路を模式的に示す機能図である。
図5に示すように、エンジン7から排出された排気ガスは、排気管11、排気処理装置12、中継接続管13、排気処理装置14を順に経て排気筒15から車外に排気される。排気処理装置14に対して排気ガスの流れの上流側の中継接続管13に、噴射ノズル28が設けられている。
【0059】
還元剤タンク20の内部には、還元剤90が貯留されている。還元剤タンク20の内部には、還元剤タンク20から流出する還元剤90が流れる吸出管24が配置されている。吸出管24の先端には、ストレーナ(濾過器)26が接続されている。吸出管24は、送り配管21に連結されている。還元剤タンク20から吸い出された還元剤90は、還元剤ポンプ22によって移送され、送り配管21および圧送配管25を順に経由して、噴射ノズル28へ到達する。排気処理に使用されない還元剤90は、還元剤ポンプ22から戻し配管23を経由して、還元剤タンク20へ戻される。
【0060】
噴射ノズル28は、還元剤タンク20から吸い出した還元剤90を排気処理装置14に対し排気ガスの上流側に噴射する、還元剤噴射装置としての機能を有している。噴射ノズル28により、中継接続管13内を流れる排気ガス中に還元剤90が供給される。排気処理装置14において、排気ガス中に含有される窒素酸化物が還元剤90と反応することにより、排気ガス中の窒素酸化物の濃度が減少する。還元剤90が尿素水である場合、中継接続管13内において尿素水は分解してアンモニアへと変化し、窒素酸化物とアンモニアとの反応によって窒素酸化物は無害な窒素および酸素に分解される。窒素酸化物の量が適正値に低下した排気ガスは、排気筒15から排出される。
【0061】
還元剤タンク20の内部には、還元剤90との間で熱交換する媒体(熱交換媒体)が流れる熱交換器40が配置されている。熱交換媒体としては、エンジン7の冷却水が用いられている。熱交換器40は、熱交換媒体を還元剤タンク20内に導く第1管路と、還元剤タンク20から熱交換媒体を流出させる第2管路とを有している。第1管路は、冷却水配管17に連結されている。第2管路は、冷却水配管18に連結されている。冷却水配管18には、ラジエータ16と、冷却水ポンプ19とが設けられている。
【0062】
冷却水ポンプ19の駆動によって、エンジン7の冷却水は、エンジン7、熱交換器40、ラジエータ16、および冷却水ポンプ19を、循環して流れる。エンジン7で加熱された冷却水は、熱交換器40において還元剤90と熱交換することにより、冷却される。他方、還元剤90は、冷却水から熱を受けることにより、加熱される。ラジエータ16は、冷却水と空気との熱交換を行い、冷却水を冷却するための熱交換器である。ラジエータ16において冷却された冷却水がエンジン7のウォータジャケットに流れることにより、エンジン7は適切に冷却される。
【0063】
図6は、
図1の油圧ショベル1に適用される油圧回路図である。
図6に示す本実施形態の油圧システムでは、油圧ポンプ56が、エンジン7に直結されている。油圧ポンプ56は、エンジン7によって駆動され、
図1に示す作業機4を駆動するための油圧シリンダ58などの、油圧アクチュエータを駆動するための駆動源となる。油圧ポンプ56から吐出された作動油は、メインバルブ57を経由して、油圧シリンダ58に供給される。油圧シリンダ58に供給された作動油は、メインバルブ57を介して、作動油タンク38に排出される。作動油タンク38は、その内部に作動油を貯留する。
【0064】
メインバルブ57は、油圧シリンダ58への作動油の供給および排出を制御する。メインバルブ57は、一対のパイロットポートp1,p2を有している。所定のパイロット圧を有している作動油が各パイロットポートp1,p2へ供給されることにより、メインバルブ57が制御される。
【0065】
メインバルブ57に印加されるパイロット圧は、操作レバー装置41が操作されることによって、制御される。操作レバー装置41は、オペレータによって操作される操作レバー44と、第1パイロット圧制御弁41Aおよび第2パイロット圧制御弁41Bとを有している。操作レバー44には、油圧シリンダ58の駆動を制御するための、パイロット圧制御弁41A,41Bが接続されている。
【0066】
第1パイロット圧制御弁41Aは、第1ポンプポートX1と、第1タンクポートY1と、第1給排ポートZ1とを有している。第1ポンプポートX1は、ポンプ流路51に接続されている。第1タンクポートY1は、タンク流路52に接続されている。ポンプ流路51およびタンク流路52は、作動油タンク38に接続されている。油圧ポンプ56は、ポンプ流路51に設けられている。第1給排ポートZ1は、第1パイロット管路53に接続されている。
【0067】
第1パイロット圧制御弁41Aは、操作レバー44の操作に応じて、出力状態と、排出状態とに切り換えられる。第1パイロット圧制御弁41Aは、出力状態では、第1ポンプポートX1と第1給排ポートZ1とを連通させ、操作レバー44の操作量に応じた圧力の作動油を第1給排ポートZ1から第1パイロット管路53に出力する。また、第1パイロット圧制御弁41Aは、排出状態では、第1タンクポートY1と第1給排ポートZ1とを連通させる。
【0068】
第2パイロット圧制御弁41Bは、第2ポンプポートX2と、第2タンクポートY2と、第2給排ポートZ2とを有している。第2ポンプポートX2は、ポンプ流路51に接続されている。第2タンクポートY2は、タンク流路52に接続されている。第2給排ポートZ2は、第2パイロット管路54に接続されている。
【0069】
第2パイロット圧制御弁41Bは、操作レバー44の操作に応じて、出力状態と、排出状態とに切り換えられる。第2パイロット圧制御弁41Bは、出力状態では、第2ポンプポートX2と第2給排ポートZ2とを連通させ、操作レバー44の操作量に応じた圧力の作動油を第2給排ポートZ2から第2パイロット管路54に出力する。また、第2パイロット圧制御弁41Bは、排出状態では、第2タンクポートY2と第2給排ポートZ2とを連通させる。
【0070】
第1パイロット圧制御弁41Aと第2パイロット圧制御弁41Bとは、対になっており、互いに反対向きの操作レバー44の操作方向に対応している。たとえば、第1パイロット圧制御弁41Aが操作レバー44の前方向への傾斜操作に対応し、第2パイロット圧制御弁41Bが操作レバー44の後方向への傾斜操作に対応している。第1パイロット圧制御弁41Aと第2パイロット圧制御弁41Bとは、操作レバー44の操作によって、択一的に選択される。第1パイロット圧制御弁41Aが出力状態であるとき、第2パイロット圧制御弁41Bは排出状態となる。第1パイロット圧制御弁41Aが排出状態であるとき、第2パイロット圧制御弁41Bは出力状態となる。
【0071】
第1パイロット圧制御弁41Aは、メインバルブ57の第1パイロットポートp1への作動油の供給および排出を制御する。第2パイロット圧制御弁41Bは、メインバルブ57の第2パイロットポートp2への作動油の供給および排出を制御する。操作レバー44の操作に応じて、油圧シリンダ58に対する作動油の供給および排出が制御され、油圧シリンダ58の伸張と収縮とが制御される。これにより、操作レバー44の操作に従って、作業機4の動作が制御される。
【0072】
作動油タンク38へ向けて流れる作動油の流路となるタンク流路52には、オイルクーラ59が設けられている。オイルクーラ59は、
図4に示す冷却ユニット6に含まれている。オイルクーラ59は、第1パイロット圧制御弁41Aまたは第2パイロット圧制御弁41Bから排出されて作動油タンク38へ戻る作動油を冷却する。オイルクーラ59はまた、メインバルブ57から排出されて作動油タンク38へ戻る作動油を冷却する。
図6に示すように、オイルクーラ59は、油圧シリンダ58に供給される作動油を冷却する機能を有している。
【0073】
図7は、還元剤タンク20およびメインバルブ57を側方から見た模式図である。
図7に示すように、前カバー60(
図2,3)の下段ステップ板64は、還元剤タンク20を収容するタンクルーム92の天井面を構成している。前カバー60の上段ステップ板66は、メインバルブ57を収容するバルブルーム97の天井面を構成している。
【0074】
下段ステップ板64は上段ステップ板66よりも低い位置に配置されている。タンクルーム92の天井面は、バルブルーム97の天井面よりも低い。前カバー60の立板65は、上段ステップ板66の前縁と下段ステップ板64の後縁とを連結して、上下方向に延びている。立板65は、タンクルーム92の天井面とバルブルーム97の天井面とを連結する連結板を構成している。
【0075】
還元剤タンク20は、タンク支持部20sを介して、旋回フレーム31上に搭載されている。メインバルブ57は、バルブ支持部57sを介して、旋回フレーム31上に搭載されている。旋回フレーム31上にはまた、平板状の基礎プレート部材72が設けられている。基礎プレート部材72は、旋回フレーム31と平行に配置されて、旋回フレーム31に固定されている。
【0076】
車体の前後方向における還元剤タンク20とメインバルブ57との間には、支持柱70が配置されている。支持柱70は、上下方向に沿って延びている。支持柱70の下端は、基礎プレート部材72に固定されている。支持柱70は、基礎プレート部材72を介して、旋回フレーム31上に搭載されている。
【0077】
還元剤ポンプ22を含むポンプモジュールは、車体の上下方向において、還元剤タンク20に対して上方に配置されている。ポンプモジュールは、取付部71に取り付けられている。取付部71は、支持柱70の上端に固定されている。ポンプモジュールは、支持柱70により支持されている。ポンプモジュールは、支持柱70を介して、旋回フレーム31上に搭載されている。
【0078】
仕切板80は、還元剤タンク20とメインバルブ57との間に配置されており、タンクルーム92とバルブルーム97とを仕切っている。仕切板80は、断熱効果を有している。仕切板80は、還元剤タンク20よりも後方に配置された熱源から還元剤タンク20への熱伝達を抑制する機能を有している。なお、還元剤タンク20よりも後方に配置された熱源には、エンジン7、作動油タンク38、メインバルブ57、および燃料タンク36などが含まれている。
【0079】
仕切板80は、支持柱70に対しバルブルーム97側に配置されており、支持柱70に沿って上下方向に延びている。仕切板80は、前カバー60の立板65と略同一平面上に配置されている。仕切板80は、立板65に向かって上下方向に延びている。仕切板80は、その上端が屈曲した屈曲部81と、その下端が屈曲した屈曲部82とを有している。屈曲部81は、前カバー60の下段ステップ板64の後縁に対して隙間を空けて対向し、下段ステップ板64の後方に配置されている。屈曲部82は、旋回フレーム31に対して隙間を空けて対向し、旋回フレーム31の上方に配置されている。
【0080】
仕切板80と、前カバー60または旋回フレーム31との間の隙間には、スポンジなどの図示しない閉塞材が配置されている。閉塞材によって、仕切板80と前カバー60または旋回フレーム31との間の隙間が塞がれており、これによりバルブルーム97からタンクルーム92への空気の流入が抑制されている。
【0081】
仕切板80は、ポンプモジュールを支持する支持柱70に固定されている。
図8は、仕切板80の支持構造を示す模式図である。
図8には、支持柱70および仕切板80を一体に固定した構造体を、バルブルーム97側から見上げた状態が図示されている。
【0082】
図8に示すように、仕切板80は、ボルト89を用いて支持柱70に固定され、支持柱70によって支持されている。薄板によって形成される仕切板80の複数箇所に、仕切板80を厚み方向に貫通する貫通孔が形成されている。この貫通孔の周囲に固定されたナットにボルト89を螺合することにより、仕切板80は支持柱70に取り付けられている。
【0083】
仕切板80は2つの部材により構成されており、2つの部材が別々に支持柱70にボルト止めにより固定されている。これにより仕切板80を形成するために必要な材料が低減されている。この構成に替えて、1つの板部材により仕切板80を構成してもよく、この場合は、仕切板80の支持柱70への取付がより容易になる。
【0084】
図9は、外装カバー61を開放した状態を示す斜視図である。
図9に示すように、外装カバー61は、一対のヒンジ部61Bを有している。外装カバー61は、ヒンジ部61Bによって、燃料タンク36(
図4)の前面近傍に開閉可能に取り付けられている。
【0085】
図9に示す外装カバー61を開放した状態では、タンクルーム92およびバルブルーム97の側面が開放されており、還元剤タンク20および
図9には図示しないメインバルブ57が外部に露出している。作業者は、外装カバー61を開放することにより、還元剤タンク20およびメインバルブ57に容易にアクセス可能である。そのため作業者は、外装カバー61を開けて、たとえば還元剤タンク20への還元剤の補給、メインバルブ57のメンテナンスなどの作業を、容易に行なうことが可能とされている。
【0086】
次に、本実施の形態の作用効果について説明する。
本実施の形態の油圧ショベル1は、
図4,7に示すように、作業機4に作動油を供給するメインバルブ57と、エンジン7からの排気ガスを還元反応により処理する排気処理装置14と、メインバルブ57の前方に配置され、排気処理装置14に供給される還元剤90を蓄える還元剤タンク20と、還元剤タンク20とメインバルブ57との間に配置された仕切板80とを備えている。
【0087】
メインバルブ57を流れる作動油は、外気温よりも温度が高い。たとえば外気温40℃のとき、作動油は100℃程度まで温度上昇し得る。そのため、メインバルブ57により加熱されたバルブルーム97内の空気が流動することで対流熱伝達が発生し、またメインバルブ57から直接電磁放射によって周囲の物体に放射熱伝達される。一方、還元剤タンク
20内に貯留される還元剤90は、温度が高くなると劣化するため、還元剤90への熱伝達を抑制し、還元剤90の温度上昇を防止する必要がある。たとえば還元剤90が尿素水の場合、タンクルーム
92内の温度を約60℃以下に維持する必要がある。
【0088】
還元剤タンク20とメインバルブ57との間に仕切板80を配置することにより、メインバルブ57から還元剤タンク20への放射熱伝達を抑制でき、かつ、メインバルブ57により加熱された空気が還元剤タンク20の周辺へ流れ対流熱伝達が発生することを抑制できる。還元剤タンク20への熱伝達を抑制できることにより、還元剤タンク20内に蓄えられた還元剤90の温度上昇による劣化を抑制することができる。したがって、還元剤90を排気処理装置14に供給して、排気処理装置14において適切に排気ガスを処理することが可能になる。
【0089】
また
図4,7に示すように、仕切板80は、還元剤タンク20を収容するタンクルーム92と、メインバルブ57を収容するバルブルーム97とを仕切っている。仕切板80がタンクルーム92とバルブルーム97とを別々の空間として区切り、仕切板80によってタンクルーム92とバルブルーム97とが隔てられている。仕切板80は、タンクルーム92とバルブルーム97との間の隔壁を構成している。このように仕切板80を構成することにより、メインバルブ57から還元剤タンク20への熱伝達をより確実に抑制することができる。
【0090】
仕切板80は、タンクルーム92とバルブルーム97との連通を低減して還元剤タンク20への対流熱伝達を抑制できるように、還元剤タンク20の後方かつメインバルブ57の前方の空間の全体に亘って配置されるのが好ましい。他方、仕切板80は少なくとも、還元剤タンク20の設置位置からメインバルブ57の設置位置を見た場合に、メインバルブ57が仕切板80により遮られてメインバルブ57が見えないような、形状および寸法を有している。このようにすれば、メインバルブ57から還元剤タンク20への放射熱伝達を抑制できるため、還元剤タンク20への熱伝達を低減できる効果が奏される。
【0091】
仕切板80が前カバー60または旋回フレーム31から離れており、仕切板80が前カバー60または旋回フレーム31に対して隙間を隔てて配置されている場合には、当該隙間を閉塞させてタンクルーム92とバルブルーム97との連通をより低減するための閉塞材が設けられるのが好ましい。この閉塞材は、弾性変形可能であって、仕切板80と前カバー60または旋回フレーム31との間の隙間に充填されたとき仕切板80と前カバー60または旋回フレーム31との両方に密着可能であれば、より好ましい。閉塞材は、たとえばスポンジ状のゴム製または樹脂製の部材であってもよい。
【0092】
また
図4に示すように、タンクルーム92を規定する壁部のうち、仕切板80のみが、メインバルブ57と還元剤タンク20との間に介在している。仕切板80は還元剤タンク20に対し後方に配置されており、還元剤タンク20の前方および側方には、メインバルブ57その他の発熱する機器は配置されていない。タンクルーム92の前方および側方の壁部は、油圧ショベル1の上部旋回体3の外部に露出しており、外気に触れている。
【0093】
還元剤90を加熱し得る熱源を、還元剤タンク20に対し後方のみに配置し、還元剤タンク20と熱源との間に仕切板80が配置されている構成とすることにより、還元剤タンク20への熱伝達を効果的に抑制できる。加えて、タンクルーム92を外気に接するように設けることにより、還元剤タンク20からの放熱を促進できる。したがって、還元剤タンク20内に蓄えられた還元剤90の劣化を、より確実に抑制することができる。
【0094】
また
図4に示すように、還元剤タンク20は、タンクルーム92内の前方の、平面視におけるタンクルーム92の角部に配置されている。このようにすれば、タンクルーム92の後壁を構成している仕切板80から離れた位置に還元剤タンク20が配置されるので、還元剤タンク20をメインバルブ57からより遠ざけて、メインバルブ57から還元剤タンク20への熱伝達をさらに抑制することができる。また、タンクルーム92を規定する壁部により近い位置に還元剤タンク20が配置されるので、還元剤タンク20から外気への放熱をさらに促進することができる。
【0095】
また
図2に示すように、タンクルーム92を規定する壁部のうち、左側方の壁部を構成している左側面板62に、通気口69が形成されている。通気口69により、タンクルーム92の内部と外部とが連通されている。通気口69は、タンクルーム92の内外を連通する連通孔を構成している。このようにすれば、通気口69を介してタンクルーム92内に外気が流入し、またタンクルーム92内の空気が外部へ流出できるので、還元剤タンク20から外気への放熱をさらに促進することができる。
【0096】
左側面板62に替えて、またはこれに加えて、前カバー60の前端板63および/または外装カバー61に、タンクルーム92の内外を連通する連通孔が形成されていてもよい。連通孔は、タンクルーム92の前方および側方の少なくともいずれか一方の壁部に形成されていればよい。外気に曝されている壁部に連通孔を形成すれば、熱源により加熱されていないフレッシュな外気をタンクルーム92内に導入でき、還元剤90の温度上昇をより確実に抑制できるので好ましい。
【0097】
複数の連通孔を形成すれば、タンクルーム92を経由する空気の流通をさらに促進できるので好ましい。この場合複数の連通孔は、タンクルーム92を規定する壁部のうち、異なる壁部に形成されるのが、より好ましい。たとえば、前カバー60の前端板63と左側面板62とに連通孔を形成してもよく、外装カバー61と左側面板62とに連通孔を形成してもよい。
【0098】
また
図3に示すように、油圧ショベル1は、車体の側面の一部を構成する開閉可能な外装カバー61をさらに備えている。外装カバー61は、閉じた状態で、タンクルーム92の側方の壁部を構成している。
図9に示すように、外装カバー61を開放することにより、還元剤タンク20およびメインバルブ57にアクセス可能である。このようにすれば、還元剤タンク20およびメインバルブ57のメンテナンス作業を容易に行なうことができる。たとえば、還元剤タンク20に還元剤90を補給するための補給口を、外装カバー61を開放することで外部に露出する位置に設ければ、還元剤90を容易に補給することが可能になる。
【0099】
また
図7に示すように、タンクルーム92の天井面を構成している下段ステップ板64は、バルブルーム97の天井面を構成している上段ステップ板66よりも低く配置されている。油圧ショベル1の前カバー60は、立板65をさらに備えている。立板65は、下段ステップ板64の後縁と上段ステップ板66の前縁とを連結する連結板を構成している。立板65は、上下方向に延びている。仕切板80は、立板65に向かって延びている。
【0100】
還元剤タンク20とメインバルブ57との間に配置されるべき仕切板80を、旋回フレーム31と上段ステップ板66との間の空間内に配置すると、上段ステップ板66が高い位置にあるため、仕切板80の面積が増大する。本実施の形態のように立板65に向かって延びるように仕切板80を配置するか、または、旋回フレーム31と下段ステップ板64との間の空間内に仕切板80を配置すれば、より面積の小さい仕切板80を用いることができるので、仕切板80に係るコストを低減することができる。
【0101】
また
図7に示すように、油圧ショベル1は、還元剤を移送する還元剤ポンプ22を含むポンプモジュールと、ポンプモジュールを支持する支持柱70とをさらに備えている。仕切板80は、支持柱70に固定されている。このようにすれば、仕切板80を支持および固定するための支持構造を特別に設ける必要なく、簡単な構成で仕切板80を取り付けることができる。
【0102】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなく、請求の範囲によって示され、請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
還元剤タンク内に蓄えられた還元剤の劣化を抑制できる油圧ショベルを提供する。油圧ショベルは、作業機に作動油を供給するメインバルブ(57)と、エンジン(7)からの排気ガスを還元反応により処理する排気処理装置(14)と、メインバルブ(57)の前方に配置され、排気処理装置(14)に供給される還元剤を蓄える還元剤タンク(20)と、還元剤タンク(20)とメインバルブ(57)との間に配置された仕切板(80)とを備えている。