(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、従来の成形金型1010においては、仮に溶融成形材料の一部が当該ガス通過路1212の出口を越えた場所(ガス排出路1214)に流れ込んでしまった場合には、当該ガス通過路の出口を越えた場所で成形材料が固化してしまうこととなる。この場合、当該ガス通過路の出口を越えた場所で固化してしまった成形材料は除去することが困難であるため、爾後のガス排出機能が低下するという問題がある。
【0008】
そこで、本発明は、上記した問題を解決するためになされたもので、仮に溶融成形材料の一部がガス通過路の出口を越えた場所で固化してしまった場合であっても、当該ガス通過路の出口を越えた場所で固化してしまった成形材料を除去することを可能とする成形金型を提供することを目的とする。また、そのような成形金型に用いるためのクリーニングピンを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
[1]本発明の成形金型は、成形時に環状のキャビティを形成する固定側金型及び可動側金型を有する成形金型本体と、前記固定側金型に取り付けられる固定側ブロック及び前記可動側金型に取り付けられる可動側ブロックを有し、前記固定側ブロックと前記可動側ブロックとの対向面には前記キャビティからのガスを通過させるとともに溶融成形材料を冷却固化するためのガス通過路並びに前記ガス及び前記溶融成形材料を前記キャビティから前記ガス通過路に導入するためのガス導入路が形成され、前記キャビティに囲まれる位置に配設される内蔵型チルベントとを備える成形金型であって、前記可動側金型及び前記可動側ブロックには、前記ガス通過路の出口を越えた位置に、互いに連続するようにガス排出用可動側金型貫通孔及びガス排出用可動側ブロック貫通孔がそれぞれ形成され、前記成形金型は、内部にガス抜き孔が形成されているクリーニングピンであって、前記ガス排出用可動側金型貫通孔及び前記ガス排出用可動側ブロック貫通孔の中で往復動することにより、成形時には前記ガス抜き孔を介して前記ガスを前記ガス通過路から外部に排出し、成形後にはピン先端部の働きにより前記ガス排出用可動側ブロック貫通孔の内周面に付着することがある成形材料を除去する機能を有するクリーニングピンをさらに備えることを特徴とする。
【0010】
このため、本発明の成形金型によれば、キャビティに囲まれる位置に内蔵型チルベントが配設されているため、環状の成形製品を製造する場合であっても、溶融成形材料中に含まれるガスをキャビティの内側から排出することが可能となり、その結果、ガス混入量が少なく、高品質な成形製品を製造することが可能となる。
【0011】
また、本発明の成形金型によれば、クリーニングピンとして、ガス通過路の出口を越えた位置に形成されたガス排出用可動側金型貫通孔及びガス排出用可動側ブロック貫通孔の中で往復動するクリーニングピンを備えるため、仮に溶融成形材料の一部がガス通過路の出口を越えた場所(すなわちガス排出用可動側ブロック貫通孔の入口)で固化してしまった場合であっても、当該ガス通過路の出口を越えた場所で固化してしまった成形材料を除去することが可能となる。
【0012】
なお、本発明の成形金型においては、クリーニングピンとして、内部にガス抜き孔が形成されているクリーニングピンを備えるため、クリーニングピンを導入することに起因してガス通過路から外部へ向かうガスの流れを妨げることもない。
【0013】
本発明の成形金型としては、金属射出成形金型(例えば、ダイカスト成形金型、重力鋳造金型及び低圧鋳造金型)、樹脂射出成形金型などの射出成形金型を好ましく例示することができる。また、成形金型本体及び内蔵型チルベントの材料としては、各種金型用金属材料(例えば、SKD61(特に、金属射出成形金型の場合)、SKD11、DC53及びSUS420J2(特に、樹脂射出成形金型の場合))を好ましく例示することができる。
【0014】
本発明の成形金型において、環状のキャビティとは、キャビティに囲まれた位置に内蔵型チルベントを配設することが可能な構造を有するキャビティのことをいい、当該環状のキャビティには、角張った外形形状を有するキャビティや、C型形状のように環の一部が欠けた形状を有するキャビティも含まれるものとする。
【0015】
[2]本発明の成形金型においては、前記ガス排出用可動側金型貫通孔及び前記ガス排出用可動側ブロック貫通孔は、前記成形金型におけるイジェクターピンが往復動する方向と平行な第1方向に沿って形成されており、前記クリーニングピンは、前記イジェクターピンと連動して往復動することが好ましい。
【0016】
このような構成とすることにより、クリーニングピンは、イジェクターピンと連動して往復動するものであるため、クリーニングピンを往復動させるために専用の駆動機構を用意する必要がなく、クリーニングピンを導入することに起因して構造が複雑になることもない。
【0017】
なお、本発明の成形金型においては、成形時においてクリーニングピンの先端がガス通過路の出口と空隙を隔てて配置されるよう構成されることが好ましい。このような構成とすることにより、仮に溶融成形材料の一部がガス通過路の出口を越えた場所に導入されてしまった場合であっても、クリーニングピンに至るまでの空隙において溶融成形材料を冷却固化させることが可能となるため、クリーニングピンが成形材料とともに固まってしまうという事態が発生するのを抑制することができる。
【0018】
[3]本発明の成形金型においては、前記クリーニングピンは、長手方向に沿ってガス抜き孔が形成されているピン本体部と、成形時に前記ガスと前記溶融成形材料とのうち前記ガスのみを前記ガス抜き孔に導入するための複数のガス導入孔を有し、前記ピン本体部の先端部に分離・結合可能に取り付けられているキャップ部とを有することが好ましい。
【0019】
このような構成とすることにより、仮に溶融成形材料の一部がクリーニングピンの先端部にまで到達してしまった場合においても、ガスのみをガス抜き孔に導入することが可能となる。
【0020】
また、仮に成形材料が複数のガス導入孔に付着してしまった場合であっても、クリーニングピン全体を交換するのではなく、キャップ部のみを交換すればよいため、交換にかかる手順を簡略化することが可能となる。
【0021】
なお、複数のガス導入孔における個々のガス導入孔のサイズ及び形状は、0.1mmの2次元的数学的膨張処理を適用した場合にガス導入孔がすべて消失するサイズ及び形状であることが好ましい。このような構成とすることにより、より確実にガスのみをガス抜き孔に導入することが可能となる。2次元的数学的膨張処理については、後述する。
【0022】
[4]本発明の成形金型においては、前記ピン本体部の先端部には、前記キャップ部を取り付けるための本体側ネジ部と、前記本体側ネジ部の基端側に位置する軸合わせ用円柱部とが形成され、前記キャップ部の基端部には、前記軸合わせ用円柱部と嵌合する形状を有する軸合わせ用凹部と、前記軸合わせ用凹部の先端側に位置し、前記本体側ネジ部に対応する構造を有するキャップ側ネジ部とが形成され、前記キャップ部は、前記軸合わせ用円柱部及び前記軸合わせ用凹部によって軸合わせされた状態で、前記本体側ネジ部及び前記キャップ側ネジ部によって、前記ピン本体部の先端部に取り付けられていることが好ましい。
【0023】
このような構成とすることにより、ピン本体部に形成された本体側ネジ部とキャップ部に形成されたキャップ側ネジ部とを用いて、キャップ部を容易に分離・結合することが可能となる。
【0024】
また、ピン本体部にキャップ部が取り付けられるときには、キャップ部は軸合わせ用円柱部及び軸合わせ用凹部によって軸合わせされるため、確実に軸合わせされた状態でキャップ部をピン本体部に取り付けることが可能となる。
【0025】
[5]本発明の成形金型においては、前記クリーニングピンが前記ガス排出用可動側ブロック貫通孔から突出したとき、前記キャップ部が、前記ガス排出用可動側ブロック貫通孔から外部に露出するように構成されていることが好ましい。
【0026】
このような構成とすることにより、キャップ部を交換する必要がある場合には、成形金型を分解することなく迅速に、キャップ部を交換することが可能となる。
【0027】
[6]本発明の成形金型においては、前記ピン本体部の外形及び前記キャップ部の外形はともに円柱形状を有し、前記キャップ部の直径をD1とし、前記ピン本体部の直径をD2としたとき、「0mm≦D2−D1≦0.05mm」の関係を満たすことが好ましい。
【0028】
このように、D2−D1の値が0mm以上であるため、キャップ部の直径がピン本体部の直径よりも大きくなることがなくなり、ガス排出用可動側ブロック貫通孔の内部でクリーニングピンをスムーズに往復動させることが可能となる。
この観点から言えば、D2−D1の値は0.01mm以上であることがより好ましい。このような構成とすることにより、ピン本体部とキャップ部との軸が完全には一致していない場合においてもガス排出用可動側ブロック貫通孔の内部でクリーニングピンをスムーズに往復動させることが可能となり、キャップ部に求められる寸法誤差に余裕を持たせ、製造を容易なものとすることが可能となる。
【0029】
一方、D2−D1の値が0.05mm以下であるため、キャップ部とガス排出用可動側ブロック貫通孔との間に成形材料が付着することが極力抑制され、成形材料を除去するというクリーニングピンの機能が損なわれることもない。
【0030】
[7]本発明の成形金型においては、前記可動側ブロックには、前記ガス排出用可動側ブロック貫通孔から外周に向かう横孔及び前記横孔から基端側に向かう縦孔が形成されるとともに、前記外周において前記横孔を閉塞する閉塞部材が取り外し自在に取り付けられ、前記クリーニングピンには、成形時において前記横孔と前記ガス抜き孔とを連結し、前記ガスを前記ガス抜き孔から前記横孔に導入するための連結孔がさらに形成されていることが好ましい。
【0031】
このような構成とすることにより、成形材料が万一横孔まで導入された場合であっても、閉塞部材を取り外して成形材料を取り除くことが可能となるため、内蔵型チルベントの寿命を長くすることが可能となる。また、内蔵型チルベントに形成された横孔及び縦孔を介してガスを排出することも可能となる。
【0032】
[8]本発明の成形金型においては、前記クリーニングピンの基端側から前記ガス抜き孔に高圧の清掃用ガスを導入する清掃用ガス導入装置をさらに備えることが好ましい。
【0033】
このような構成とすることにより、ガス抜き孔に高圧の清掃用ガスを導入することにより、クリーニングピンの先端部に付着することがある離型剤及び成形材料を除去することが可能となる。
【0034】
なお、清掃用ガス導入装置を用いて高圧の清掃用ガスを導入するタイミングは、成形前に、離型剤噴霧装置によりキャビティに対して離型剤を噴霧した後であることが好ましい。このようなタイミングで高圧の清掃ガスを導入することにより、クリーニングピンの先端部に付着することがある離型剤を成形前に除去し、クリーニングピンのガス排出機能が低下することを防ぐことが可能となる。
【0035】
[9]本発明の成形金型においては、前記内蔵型チルベントは、前記固定側ブロックとしてメス型ブロックを有し、また、前記可動側ブロックとしてオス型ブロックを有し、前記メス型ブロックは、メス型ブロック本体部及び当該メス型ブロック本体部における前記オス型ブロックと対向する面に形成された略錐形状の凹部を有し、前記オス型ブロックは、オス型ブロック本体部及び当該オス型ブロック本体部における前記メス型ブロックと対向する面に形成され、前記メス型ブロック及び前記オス型ブロックを組み合わせるとき、前記凹部との間に前記ガス通過路が形成されるような形状を有する凸部を有し、前記ガス排出用可動側ブロック貫通孔は、前記凸部の先端側から基端側に向けてオス型ブロックを貫通するように形成され、前記メス型ブロックの内部には、前記凹部を取り囲むように冷媒流路が形成されていることが好ましい。
【0036】
このような構成とすることにより、メス型ブロックの凹部とオス型ブロックの凸部との間に3次元的にガス通過路が形成されることになるため、メス型ブロックとオス型ブロックとの対向面の平面面積をそれほど大きくしなくても、ガス通過路の表面積を大きくすることが可能となる。また、メス型ブロックの内部には凹部を取り囲むように冷媒流路が形成されているため、溶融成形材料を十分に冷却固化することが可能となる。その結果、メス型ブロックとオス型ブロックとの対向面の平面面積をそれほど大きくしなくても、溶融成形材料を十分に冷却固化することが可能となり、内蔵型チルベントを小型化することが可能となる。
【0037】
また、このような構成とすることにより、溶融成形材料が、冷却固化される過程で収縮してオス型ブロック側に付着することとなるため、メス型ブロックとオス型ブロックとを容易に分離することが可能となる。略錐形状としては、錐形状の上部が平坦に加工されているような形状を好ましく例示することができる。略錐形状としては、略円錐形状、略楕円錐形状、略多角形錐形状を好ましく用いることができる。錐形状部分におけるテーパー角としては、2°〜30°の範囲内にあることが好ましい。この範囲内であれば、メス型ブロックとオス型ブロックとの対向面の平面面積をそれほど大きくしなくても、ガス通過路の表面積を十分に大きくすることが可能となる。
【0038】
本発明の成形金型においては、前記メス型ブロックは、複数のメス型ブロック構成部品が接合又は接着された構造を有し、前記複数のメス型ブロック構成部品が接合又は接着された面において、冷媒流路が形成されていることが好ましい。
【0039】
このような構成とすることにより、メス型ブロック中に上記のような冷媒流路を比較的容易に形成することが可能となる。また、ガス通過路の近傍に冷媒流路を形成することが可能となるため、冷却効力をさらに高くすることが可能となり、内蔵型チルベントをさらに小型化することが可能となる。
【0040】
なお、複数のメス型ブロック構成部品を接合する方法としては、例えば、(a)冷媒流路形成用溝が形成された接合対象部品を平面接合面で接合する接合方法(特開2007−61867号公報参照。)、(b)接合対象部品を接合したのち所定の接合力強化処理を行う接合方法(国際公開第WO2007/108058号パンフレット及び国際公開第WO2008/004311号パンフレット参照。)、(c)通電加熱装置における各電極と各接合対象部品との間にカーボンフェルトを配置した状態で当該接合対象部品を接合する接合方法(国際公開第WO2008/044776号パンフレット参照。)、(d)接合対象部品の間に薄板状の焼結鉄鋼部材又はその他の鉄鋼部材を介在した状態で当該接合対象部品を接合する接合方法(国際公開第WO2008/129622号パンフレット参照。)等を用いることができる。
【0041】
また、複数のメス型ブロック構成部品を接着する方法としては、例えば、成形金型本体と、冷媒流路形成用溝が形成された冷媒流路形成用ブロックとを耐熱性接着剤を用いて接着する接着方法(国際公開第WO2006/030503号パンフレット参照。)等を用いることができる。
【0042】
本発明の成形金型においては、前記オス型ブロックにおける前記凸部の内部にも、冷媒流路が形成されていることが好ましい。
【0043】
このような構成とすることにより、オス型ブロック側からもガス通過路を冷却すること
が可能となるため、冷却能力をさらに高くすることが可能となり、内蔵型チルベントをさらに小型化することが可能となる。
【0044】
本発明の成形金型においては、前記オス型ブロックは、複数のオス型ブロック構成部品が接合又は接着された構造を有し、前記複数のオス型ブロック構成部品が接合又は接着された面において、冷媒流路が形成されていることが好ましい。
【0045】
このような構成とすることにより、オス型ブロック中に上記のような冷媒流路を比較的容易に形成することが可能となる。また、ガス通過路の近傍に冷媒流路を形成することが可能となるため、冷却能力をさらに高くすることが可能となり、内蔵型チルベントをさらに小型化することが可能となる。
【0046】
[10]本発明の成形金型においては、前記メス型ブロック本体部における前記オス型ブロックと対向する面及び前記オス型ブロック本体部における前記メス型ブロックと対向する面のうち少なくとも一方には、前記凹部又は前記凸部を取り囲むように環状の湯溜め用溝が形成されていることが好ましい。
【0047】
このような構成とすることにより、多量の溶融成形材料が内蔵型チルベントに導入された場合であっても、当該湯溜め用溝が緩衝帯として働くため、後段のガス通過路に多量の溶融成形材料が勢い良く導入されることを抑制することが可能となる。
【0048】
[11]本発明の成形金型においては、前記可動側金型及び前記可動側ブロックには、前記湯溜め用溝が形成する湯溜めに露出するように、前記成形金型におけるイジェクターピンが往復動する方向と平行な第1方向に沿ってかつ互いに連続するように第2イジェクターピン用可動側金型貫通孔及び第2イジェクターピン用可動側ブロック貫通孔がそれぞれ形成され、前記成形金型は、前記第2イジェクターピン用可動側金型貫通孔及び前記第2イジェクターピン用可動側ブロック貫通孔の中で、前記イジェクターピンと連動して往復動することにより、成形後に、前記内蔵型チルベントの内部で固化した成形材料を押し出す第2イジェクターピンをさらに備えることが好ましい。
【0049】
このような構成とすることにより、第2イジェクターピンの働きによって、成形後に、内蔵型チルベントの内部で固化した成形材料を押し出すことが可能となる。
【0050】
[12]本発明の成形金型においては、前記ガス通過路は、連続山谷形状を有することが好ましい。
【0051】
このような構成とすることにより、ガス通過路の有効長さをさらに長くすることができるため、冷却能力をさらに高くすることが可能となり、内蔵型チルベントをさらに小型化することが可能となる。また、ガス通過路を通過する溶融成形材料の通過速度を遅くすることが可能となるため、このことによっても、冷却能力をさらに高くすることが可能となり、内蔵型チルベントをさらに小型化することが可能となる。
【0052】
[13]本発明の成形金型は、成形時にキャビティを形成する固定側金型及び可動側金型を有する成形金型本体と、成形時に前記固定側金型と前記可動側金型とが突き合わされる突き合わせ領域が前記キャビティの内部に形成される成形金型であって、前記突き合わせ領域において、前記固定側金型と前記可動側金型との対向面には、成形時に前記ガスと前記溶融成形材料とのうち前記ガスのみを通過させるガス通過路が形成され、前記可動側金型には、前記ガス通過路の出口を越えた位置にガス排出用可動側金型貫通孔が形成され、前記成形金型は、内部にガス抜き孔が形成されているクリーニングピンであって、前記ガス排出用可動側金型貫通孔の中で往復動することにより、成形時には前記ガス抜き孔を介して前記ガスを前記ガス通過路から外部に排出し、成形後にはピン先端部の働きにより前記ガス排出用可動側金型貫通孔の内周面に付着することがある成形材料を除去する機能を有するクリーニングピンをさらに備えることを特徴とする。
【0053】
このため、本発明の成形金型によれば、クリーニングピンとして、ガス通過路の出口を越えた位置に形成されたガス排出用可動側金型貫通孔の中で往復動するクリーニングピンを備えるため、仮に溶融成形材料の一部がガス通過路の出口を越えた場所(すなわちガス排出用可動側金型貫通孔の入口)で固化してしまった場合であっても、当該ガス通過路の出口を越えた場所で固化してしまった成形材料を除去することが可能となる。
【0054】
なお、本発明の成形金型においては、クリーニングピンとして、内部にガス抜き孔が形成されているクリーニングピンを備えるため、クリーニングピンを導入することに起因してガス通過路から外部へ向かうガスの流れを妨げることもない。
【0055】
[14]本発明の成形金型においては、前記ガス排出用可動側金型貫通孔は、前記成形金型におけるイジェクターピンが往復動する方向と平行な第1方向に沿って形成されており、前記クリーニングピンは、前記イジェクターピンと連動して往復動することが好ましい。
【0056】
このような構成とすることにより、上記[2]に記載した効果と同様の効果が得られる。
【0057】
[15]本発明の成形金型においては、前記クリーニングピンは、長手方向に沿ってガス抜き孔が形成されているピン本体部と、成形時に前記ガスと前記溶融成形材料とのうち前記ガスのみを前記ガス抜き孔に導入するための複数のガス導入孔を有し、前記ピン本体部の先端部に分離・結合可能に取り付けられているキャップ部とを有することが好ましい。
【0058】
このような構成とすることにより、上記[3]に記載した効果と同様の効果が得られる。なお、複数のガス導入孔における個々のガス導入孔のサイズ及び形状並びにその効果は、上記[3]に記載したものと同様である。
【0059】
[16]本発明の成形金型においては、前記ピン本体部の先端部には、前記キャップ部を取り付けるための本体側ネジ部と、前記本体側ネジ部の基端側に位置する軸合わせ用円柱部とが形成され、前記キャップ部の基端部には、前記軸合わせ用円柱部と嵌合する形状を有する軸合わせ用凹部と、前記軸合わせ用凹部の先端側に位置し、前記本体側ネジ部に対応する構造を有するキャップ側ネジ部とが形成され、前記キャップ部は、前記軸合わせ用円柱部及び前記軸合わせ用凹部によって軸合わせされた状態で、前記本体側ネジ部及び前記キャップ側ネジ部によって、前記ピン本体部の先端部に取り付けられていることが好ましい。
【0060】
このような構成とすることにより、上記[4]に記載した効果と同様の効果が得られる。
【0061】
[17]本発明の成形金型においては、前記クリーニングピンが前記ガス排出用可動側金型貫通孔から突出したとき、前記キャップ部が、前記ガス排出用可動側金型貫通孔から外部に露出するように構成されていることが好ましい。
【0062】
このような構成とすることにより、上記[5]に記載した効果と同様の効果が得られる。
【0063】
[18]本発明の成形金型においては、前記ピン本体部の外形及び前記キャップ部の外形はともに円柱形状を有し、前記キャップ部の直径をD1とし、前記ピン本体部の直径をD2としたとき、「0mm≦D2−D1≦0.05mm」の関係を満たすことが好ましい。
【0064】
このような構成とすることにより、上記[6]に記載した効果と同様の効果が得られる。
【0065】
[19]本発明の成形金型においては、前記クリーニングピンの基端側から前記ガス抜き孔に高圧の清掃用ガスを導入する清掃用ガス導入装置をさらに備えることが好ましい。
【0066】
このような構成とすることにより、上記[8]に記載した効果と同様の効果が得られる。なお、清掃用ガス導入装置を用いて高圧の清掃用ガスを導入するタイミング及び効果は、上記[8]に記載したものと同様である。
【0067】
[20]本発明のクリーニングピンは、本発明の成形金型に用いるためのクリーニングピンであって、内部にガス抜き孔が形成され、成形時には前記ガス抜き孔を介して前記ガスを前記ガス通過路から外部に排出し、成形後にはピン先端部の働きにより前記ガス排出用可動側ブロック貫通孔の内周面に付着することがある成形材料を除去する機能を有することを特徴とする。
【0068】
このため、本発明のクリーニングピンによれば、当該クリーニングピンを上記した[1]〜[12]に記載の成形金型又は[13]〜[19]に記載の成形金型に用いるとき、仮に溶融成形材料の一部がガス通過路の出口を越えた場所で固化してしまった場合であっても、当該ガス通過路の出口を越えた場所で固化してしまった成形材料を除去することが可能となる。なお、この場合、本発明のクリーニングピンによれば、内部にガス抜き孔が形成されているため、ガス通過路から外部へ向かうガスの流れを妨げることもない。
【0069】
[21]本発明のクリーニングピンにおいては、長手方向に沿ってガス抜き孔が形成されているピン本体部と、成形時に前記ガスと前記溶融成形材料とのうち前記ガスのみを前記ガス抜き孔に導入するための複数のガス導入孔を有し、前記ピン本体部の先端部に分離・結合可能に取り付けられているキャップ部とを有することが好ましい。
【0070】
このような構成とすることにより、上記[3]に記載した効果と同様の効果が得られる。なお、複数のガス導入孔における個々のガス導入孔のサイズ及び形状並びにその効果は、上記[3]に記載したものと同様である。
【0071】
[22]本発明のクリーニングピンにおいては、前記ピン本体部の先端部には、前記キャップ部を取り付けるための本体側ネジ部と、前記本体側ネジ部の基端側に位置する軸合わせ用円柱部とが形成され、前記キャップ部の基端部には、前記軸合わせ用円柱部と嵌合する形状を有する軸合わせ用凹部と、前記軸合わせ用凹部の先端側に位置し、前記本体側ネジ部に対応する構造を有するキャップ側ネジ部とが形成され、前記キャップ部は、前記軸合わせ用円柱部及び前記軸合わせ用凹部によって軸合わせされた状態で、前記本体側ネジ部及び前記キャップ側ネジ部によって、前記ピン本体部の先端部に取り付けられていることが好ましい。
【0072】
このような構成とすることにより、上記[4]に記載した効果と同様の効果が得られる。
【0073】
[23]本発明のクリーニングピンにおいては、前記ピン本体部の外形及び前記キャップ部の外形はともに円柱形状を有し、前記キャップ部の直径をD1とし、前記ピン本体部の直径をD2としたとき、「0mm≦D2−D1≦0.05mm」の関係を満たすことが好ましい。
【0074】
このような構成とすることにより、上記[6]に記載した効果と同様の効果が得られる。
【0075】
[24]本発明のクリーニングピンは、本発明の上記[7]に記載の成形金型に用いるためのクリーニングピンであって、内部にガス抜き孔が形成され、さらには成形時において前記横孔と前記ガス抜き孔とを連結し、前記ガスを前記ガス抜き孔から前記横孔に導入するための連結孔が形成され、成形時には前記ガス抜き孔及び前記連結孔を介して前記ガスを前記ガス通過路から外部に排出し、成形後にはピン先端部の働きにより前記ガス排出用可動側ブロック貫通孔の内周面に付着することがある成形材料を除去する機能を有することを特徴とする。
【0076】
このため、本発明のクリーニングピンによれば、当該クリーニングピンを上記[7]に記載の成形金型に用いるとき、仮に溶融成形材料の一部がガス通過路の出口を越えた場所で固化してしまった場合であっても、当該ガス通過路の出口を越えた場所で固化してしまった成形材料を除去することが可能となる。なお、この場合、内部にガス抜き孔が形成されているため、本発明の成形金型に用いる場合においてガス通過路から外部へ向かうガスの流れを妨げることもない。
【0077】
また、本発明のクリーニングピンは、横孔及び縦孔が形成された内蔵型チルベントとともに好適に使用することができ、そのような場合に、内蔵型チルベントに形成された横孔及び縦孔を介してガスを排出することが可能となる。
【0078】
なお、当該クリーニングピンにおいても、上記[21]〜[23]に記載した特徴を有することが好ましい。
【発明を実施するための形態】
【0080】
以下、本発明の成形金型及びクリーニングピンについて、図に示す実施の形態に基づいて説明する。
【0081】
[実施形態1]
図1は、実施形態1に係る成形金型10を説明するために示す図である。
図1(a)は成形金型10における固定側金型110を成形金型10の分割面から見た平面図であり、
図1(b)は成形金型10のA1−A1断面図である。
図2は、実施形態1に係る成形金型10における内蔵型チルベント200の縦断面図である。
図3は、実施形態1に係る成形金型10における内蔵型チルベント200を説明するために示す図である。
図3(a)は内蔵型チルベント200の斜視図であり、
図3(b)はオス型ブロック270を紙面左側にして分解した状態における内蔵型チルベント200の斜視図であり、
図3(c)はメス型ブロック220を紙面左側にして分解した状態における内蔵型チルベント200の斜視図である。
【0082】
図4は、実施形態1に係る成形金型10におけるメス型ブロック220を説明するために示す図である。
図4(a)はメス型ブロック220の縦断面図であり、
図4(b)はメス型ブロック220の上面図であり、
図4(c)はメス型ブロック構成部品250,260が接合された面で切断したときのメス型ブロック220の横断面図である。
図5は、実施形態1に係る成形金型10におけるオス型ブロック270を説明するために示す図である。
図5(a)はオス型ブロック270の縦断面図であり、
図5(b)はオス型ブロック270の上面図である。
図6は、実施形態1に係るクリーニングピン500を説明するために示す図である。
図6(a)はクリーニングピン500の縦断面図であり、
図6(b)はピン本体部510の縦断面図であり、
図6(c)はキャップ部520の縦断面図であり、
図6(d)はガス導入孔522側から見たキャップ部520の拡大平面図である。なお、
図6(a)及び
図6(b)においては、クリーニングピン500の一部(本体側ネジ部514及び軸合わせ用円中部516)については平面図で示している。
【0083】
なお、本明細書及び図面において、同一の符号を与えられているものは同様の構成及び機能を有するものとする。したがって、一度説明を行ったものに関しては、以後においては説明を省略する。
【0084】
実施形態1に係る成形金型10は、
図1に示すように、成形金型本体100と、内蔵型チルベント200と、3個の外付型チルベント300と、イジェクターピン400と、第2イジェクターピン410と、第3イジェクターピン420と、クリーニングピン500と、離型剤噴霧装置600(図示せず。)と、清掃用ガス導入装置700とを備える。
【0085】
成形金型本体100は、固定側金型110及び可動側金型120を有する。固定側金型110及び可動側金型120は、成形時に、環状のキャビティ130と、湯口140と、内蔵型チルベント200への第1排出路150と、外付型チルベント300への第2排出路160とを形成するように構成されている。
可動側金型120には、イジェクターピン400が往復動する方向(
図1(b)における紙面に対して上下方向。以下、第1方向とする。)に沿って、イジェクターピン用可動側金型貫通孔170、第2イジェクターピン用可動側金型貫通孔172、第3イジェクターピン用可動側金型貫通孔174及びガス排出用可動側金型貫通孔176が形成されている。イジェクターピン用可動側金型貫通孔170は、キャビティ130に露出している。
【0086】
内蔵型チルベント200は、
図1に示すように、キャビティ130に囲まれる位置に配設されている。
内蔵型チルベント200は、
図2に示すように、固定側ブロックとしてのメス型ブロック220及び可動側ブロックとしてのオス型ブロック270を有する。そして、メス型ブロック220とオス型ブロック270との対向面にはキャビティ130からのガスGを通過させるとともに溶融成形材料を冷却固化するためのガス通過路212並びにガスG及び溶融成形材料をキャビティ130からガス通過路212に導入するためのガス導入路210が形成されている。内蔵型チルベント200は、
図3に示すように、略円柱状の形状を有する。直径は例えば40mmであり、高さは例えば80mmである。内蔵型チルベント200は、例えば、SKD61からなる。
【0087】
メス型ブロック220は、固定側金型110に取り付けられている。メス型ブロック220は、
図2及び
図4に示すように、メス型ブロック本体部230及び当該メス型ブロック本体部230におけるオス型ブロック270と対向する面に形成された略円錐形状の凹部240を有する。凹部240は、円錐形状の上部が平坦に加工された略円錐形状を有し、先端側に向かって細くなるように10°のテーパー角がついた形状を有する。また、メス型ブロック220は、冷媒流路形成用溝252が形成されたメス型ブロック構成部品250と、冷媒導入孔264及び冷媒排出孔266並びに冷媒流路形成用溝262が形成されたメス型ブロック構成部品260とが接合面で接合された構造を有する。従って、メス型ブロック220の内部には、
図4(c)に示すように、凹部240を取り囲むように冷媒流路232が形成されている。冷媒としては、例えば、水を用いることができる。
【0088】
オス型ブロック270は、可動側金型120に取り付けられている。オス型ブロック270は、
図2及び
図5に示すように、ガス導入路212に露出するように、イジェクターピン400が往復動する方向と平行な第1方向に沿って第2イジェクターピン用可動側ブロック貫通孔278が形成されている。当該第2イジェクターピン用可動側ブロック貫通孔278は、後述する湯溜め用溝276が形成する湯溜めに露出している。また、ガス通過路212の出口を越えた位置に、第1方向に沿ってガス排出用可動側ブロック貫通孔272が形成されている。第2イジェクターピン用可動側金型貫通孔172と第2イジェクターピン用可動側ブロック貫通孔278とは、
図1に示すように、互いに連続するように形成されている。また、ガス排出用可動側金型貫通孔176とガス排出用可動側ブロック貫通孔272とは、
図1に示すように、互いに連続するように形成されている。
【0089】
オス型ブロック270は、オス型ブロック本体部280及び当該オス型ブロック本体部280におけるメス型ブロック220と対向する面に形成され、メス型ブロック220及びオス型ブロック270を組み合わせるとき、凹部240との間にガス通過路212が形成されるような形状を有する凸部282を有し、ガス排出用可動側ブロック貫通孔272は、凸部282の先端側から基端側に向けてオス型ブロック270を貫通するように形成されている。凸部282は、凹部240に対応する形状、すなわち、先端側に向かって細くなるように10°のテーパー角がついた略円錐形状を有する。オス型ブロック本体部280には、ガス導入路用溝274と、凸部282を取り囲むように環状の湯溜め用溝276が形成されている。
【0090】
外付型チルベント300は、
図1に示すように、固定側ブロック310と可動側ブロック320とを有する。図示による詳しい説明は省略するが、可動側ブロックには、第3イジェクターピン用可動側金型貫通孔174と互いに連通するように、第3イジェクターピン用可動側ブロック貫通孔が形成されている。
【0091】
イジェクターピン400は、イジェクターピン用可動側金型貫通孔170の中で所定の手順に従って往復動することにより、成形後に成形製品を押し出す。
第2イジェクターピン410は、第2イジェクターピン用可動側金型貫通孔172及び第2イジェクターピン用可動側ブロック貫通孔278の中で、イジェクターピン400と連動して往復動することにより、成形後に、内蔵型チルベント200の内部で固化した成形材料を押し出す。
第3イジェクターピン420は、第3イジェクターピン用可動側金型貫通孔174及び第3イジェクターピン用可動側ブロック貫通孔の中で、イジェクターピン400と連動して往復動することにより、成形後に、外付型チルベント300の内部で固化した成形材料を押し出す。
【0092】
イジェクターピン400、第2イジェクターピン410、第3イジェクターピン420及びクリーニングピン500は、イジェクターピン駆動機構430に接続されている。イジェクターピン駆動機構430は、
図1に示すように、前記した各ピンが挿通している挿通板432と、前記した各ピンを固定する固定板434と、挿通板432及び固定板434を駆動する駆動装置(図示せず。)とを有する。挿通板432には、第1方向に沿う方向に送気孔440が形成されており、当該送気孔440は、クリーニングピン500におけるガス抜き孔512(後述)と接続されている。イジェクターピン駆動機構430が往復動することにより、イジェクターピン駆動機構430に接続されている各ピンも往復動する。
【0093】
クリーニングピン500は、
図6に示すように、ピン本体部510と、ピン本体部510の先端部に分離・結合可能に取り付けられているキャップ部520とを有する。クリーニングピン500は、ガス排出用可動側金型貫通孔176及びガス排出用可動側ブロック貫通孔272の中で、イジェクターピン400と連動して往復動することにより、成形時にはガス抜き孔512を介してガスGをガス通過路212から外部に排出し、成形後にはピン先端部(キャップ部520)の働きによりガス排出用可動側ブロック貫通孔272の内周面に付着することがある成形材料を除去する機能を有する。なお、クリーニングピン500は、成形時においてクリーニングピン500の先端がガス通過路212の出口と空隙を隔てて配置されるよう構成されている(
図2参照。)。
【0094】
ピン本体部510には、
図6(b)に示すように、長手方向に沿ってガス抜き孔512が形成されている。ピン本体部510の先端部には、キャップ部520を取り付けるための本体側ネジ部514と、本体側ネジ部514の基端側に位置する軸合わせ用円柱部516とが形成されている。なお、符号D2は、ピン本体部510の直径を示す。D2は、8.00mmである。
【0095】
キャップ部520は、
図6(c)及び
図6(d)に示すように、成形時にガスGのみをガス抜き孔512に導入するための複数のガス導入孔522を有する。キャップ部520の基端部には、軸合わせ用円柱部516と嵌合する形状を有する軸合わせ用凹部526と、軸合わせ用凹部526の先端側に位置し、本体側ネジ部514に対応する構造を有するキャップ側ネジ部528とが形成されている。なお、符号D1は、キャップ部520の直径を示す。D1は、7.97mmである。
キャップ部520は、軸合わせ用円柱部516及び軸合わせ用凹部526によって軸合わせされた状態で、本体側ネジ部514及びキャップ側ネジ部528によって、ピン本体部510の先端部に取り付けられている。
【0096】
クリーニングピン500は、当該クリーニングピン500がガス排出用可動側ブロック貫通孔272から突出したとき、キャップ部520が、ガス排出用可動側ブロック貫通孔272から外部に露出するように構成されている(後述する
図9(b)参照。)。
【0097】
ガス導入孔522は、円柱状の孔であり、直径は0.1mm、深さは3mmである。当該ガス導入孔522のサイズ及び形状は、0.1mmの2次元的数学的膨張処理を適用した場合にガス導入孔がすべて消失するサイズ及び形状である。この場合の2次元的数学的膨張処理とは、キャップ部520の先端側から当該キャップ部520を見たとき、当該キャップ部520の各輪郭の部分から当該キャップ部520を0.1mm膨張させる処理のことである。
【0098】
図7は、実施形態1に係るクリーニングピン500におけるガス導入孔522のサイズ及び形状を説明するために示す図である。
図7(a)は実施形態1におけるガス導入孔522について2次元的数学的膨張処理を適用する前の平面図であり、
図7(b)は実施形態1におけるガス導入孔522について0.1mmの2次元的数学的膨張処理を適用した後の平面図であり、
図7(c)は変形例1におけるガス導入孔522aについて2次元的数学的膨張処理を適用する前の平面図であり、
図7(d)は変形例1におけるガス導入孔522aについて0.1mmの2次元的数学的膨張処理を適用した後の平面図であり、
図7(e)は比較例におけるガス導入孔522bについて2次元的数学的膨張処理を適用する前の平面図であり、
図7(f)は比較例におけるガス導入孔522bについて0.1mmの2次元的数学的膨張処理を適用した後の平面図である。
なお、変形例1におけるガス導入孔522aの平面形状は長方形であり、短辺が0.1mm、長辺が0.3mmであり、比較例におけるガス導入孔522bの平面形状は円であり、直径は0.3mmである。
【0099】
この場合、比較例におけるガス導入孔522bの場合には、0.1mmの2次元的数学的膨張処理を適用してもガス導入孔522aが消滅しない(
図7(f)参照。)。これに対して、実施形態1におけるガス導入孔522の場合には、0.1mmの2次元的数学的膨張処理を適用するとガス導入孔522が消滅する(
図7(b)。)。ちなみに、変形例1におけるガス通過孔522aの場合には、長辺が長いものの短辺が短いため、0.1mmの2次元的数学的膨張処理を適用するとガス導入孔522が消滅する(
図7(d)参照。)。
【0100】
離型剤噴霧装置600(図示せず。)は、成形前に固定側金型110と可動側金型120との対向面(特にキャビティ130を形成する面)に対して離型剤を噴霧する。離型剤としては、例えば、水に縣濁させたシリコン系離型剤を用いることができる。なお、離型剤は前記のものに限られず、用途や環境に応じて最適のものを用いることができる。
【0101】
清掃用ガス導入装置700は、クリーニングピン500の基端側からガス抜き孔512に高圧の清掃用ガスを導入する装置である。清掃用ガス導入装置700は、三方弁710、送気管730及び送気孔440を介してクリーニングピン500と接続されている。三方弁710は、成形時には送気管730と排気管720とを接続し、成形後、離型剤噴霧装置600が離型剤を噴霧した後には送気管730と清掃用ガス導入装置700とを接続するように構成されている。従って、成形時には、三方弁710の働きにより、排気管720から外部へガスを排出することができる。一方、成形後、離型剤噴霧装置600が離型剤を噴霧した後には、三方弁710の働きにより、清掃用ガス導入装置700からガス抜き孔512に高圧の清掃用ガスを導入することができる。
清掃用ガスとしては、例えば、空気を用いることができる。送気管730と送気孔440とは、図示しない取り付け器具によって取り付けられている。
【0102】
次に、実施形態1に係る成形金型10における内蔵型チルベント200及びクリーニングピン500の使用方法を説明する。
【0103】
図8及び
図9は、実施形態1に係る成形金型10における内蔵型チルベント200及びクリーニングピン500の動作を説明するために示す図である。
図8(a)は成形加工直前における内蔵型チルベント200及びクリーニングピン500を示す縦断面図であり、
図8(b)は成形加工中における内蔵型チルベント200及びクリーニングピン500を示す縦断面図であり、
図8(c)は成形加工後にメス型ブロック220とオス型ブロック270とがわずかに分離したときにおける内蔵型チルベント200及びクリーニングピン500を示す縦断面図であり、
図9(a)は成形加工後にメス型ブロック220とオス型ブロック270とが完全に分離したときにおける内蔵型チルベント200及びクリーニングピン500を示す縦断面図であり、
図9(b)は第2イジェクターピン410及びクリーニングピン500を突出させたときにおける内蔵型チルベント200及びクリーニングピン500を示す縦断面図であり、
図9(c)は第2イジェクターピン410及びクリーニングピン500を最初の位置に戻し、ガス抜き孔512に高圧の清掃用ガスC(空気)を導入したときにおける内蔵型チルベント200及びクリーニングピン500を示す縦断面図である。
【0104】
1.内蔵型チルベント200等の取り付け
固定側金型110におけるキャビティ130に囲まれる位置に内蔵型チルベント200におけるメス型ブロック220を取り付け、固定側金型110におけるキャビティ130の外側に外付型チルベント300における固定側ブロック310を取り付ける。同様に、可動側金型120におけるキャビティ130に囲まれる位置に内蔵型チルベント200におけるオス型ブロック270を取り付け、可動側金型120におけるキャビティ130の外側に外付型チルベント300における可動側ブロック320を取り付ける。
【0105】
2.離型剤の噴霧と清掃用ガスの導入
離型剤噴霧装置600により、固定側金型110と可動側金型120との対向面(特にキャビティ130を形成する面)に、離型剤を噴霧する。その後に、三方弁710により送気管730と清掃用ガス導入装置700とを接続し、清掃用ガス導入装置700によりクリーニングピン500の基端側からガス抜き孔512に高圧の清掃用ガスCを導入する。これにより、クリーニングピン500の先端部(キャップ部520)の複数のガス導入孔522に付着することがある離型剤を除去する(
図9(c)参照。)。
【0106】
3.成形金型10のセット
固定側金型110の上方から可動側金型120(並びに内蔵型チルベント200におけるオス型ブロック270及び外付型チルベント300における可動側ブロック320)を下降させるとともにイジェクターピン駆動機構430を下降させ、成形金型10を成形加工可能状態にセットする(
図1参照。)。このとき、第2イジェクターピン用可動側ブロック貫通孔278中には、第2イジェクターピン410が挿入されている。イジェクターピン420の先端は、湯溜め用溝276の底部に位置している(
図8(a)参照。)。次の成形加工に移行する前に、三方弁710により送気管730と排気管720とを接続する。
【0107】
4.成形加工
成形金型10の湯口140を通して溶融成形材料をキャビティ130内に注入する。溶融成形材料は、キャビティ130を満たした後に、第1排出路150を通って内蔵型チルベント200へと向かい、第2排出路160を通って外付型チルベント300へと向かう。このとき、溶融成形材料中に含まれるガスは、キャビティ130の内側からも排出されることとなる。このため、ガス混入量が少なく高品質な成形製品を製造することが可能となる。内蔵型チルベント200に導入された当該ガスは、ガス通過路212、ガス排出用可動側ブロック貫通孔272の入口、複数のガス導入孔522、ガス抜き孔512、送気孔440、送気管730、三方弁710及び排気管720を順番に通過して、外部に排出される。なお、内蔵型チルベント200に導入された溶融成形材料は、
図8(b)に示すように、ガス通過路212の部分で冷却固化する。なお、
図8(b)においては、溶融成形材料がガス通過路212の出口を越えた位置(すなわちガス排出用可動側ブロック貫通孔272の入口)まで導入された場合を示している。
図8及び
図9中、符号M1は、内蔵型チルベント200内においてガス導入路210からガス通過路212までで固化した成形材料を示す。一方、符号M2は、ガス通過路の出口を越えた場所で固化した成形材料を示す。
【0108】
5.可動側金型120の取り外し
成形加工が終了したら、
図8(c)及び
図9(a)に示すように、可動側金型120(並びにオス型ブロック270及び可動側ブロック320)とともにイジェクターピン駆動機構430を上昇させる。
なお、この明細書で可動側金型120等を上昇させるとは、
図8〜
図9の紙面に対して上昇させるという意味で用いており、実際は、鉛直方向に沿って上昇させる場合のほかに、鉛直方向に直交する方向に沿って移動させる場合も含む。要するに、固定側金型110に対して可動側金型120を分離する方向に沿って移動させるという意味である。
【0109】
6.成形製品の押し出し
その後、可動側金型120(及びイジェクターピン駆動機構430)をさらに上昇させると、成形金型10中の成形製品30(後述)が上昇し、
図9(a)に示すように、内蔵型チルベント200中の成形材料M1,M2も上昇する。その後、可動側金型120(並びにオス型ブロック270、可動側ブロック320及びイジェクターピン駆動機構430)を十分に上昇させた後に、可動側金型120(並びにオス型ブロック270、可動側ブロック320及びイジェクターピン駆動機構430)の上昇を止め、その後、イジェクターピン駆動機構430のみを下降させる。すると、イジェクターピン400及び第3イジェクターピン420が、成形製品30(後述)及び外付型チルベント300中の冷却固化した成形材料を押し出すとともに、
図9(b)に示すように、第2イジェクターピン410が、オス型ブロック270に付着している成形材料M1を押し出し、さらに、クリーニングピン500が成形材料M2を押し出す。このとき、成形材料M1は成形製品30と一体となって落下するが、成形材料M2の全部又は一部については、クリーニングピンのキャップ部520に付着したままである。
【0110】
7.離型剤の噴霧と清掃用ガスの導入
次に、イジェクターピン駆動機構430のみを上昇させ、可動側金型120と第2イジェクターピン410及びクリーニングピン500との位置関係を成形加工時の位置関係に戻す。その後、離型剤噴霧装置600により、固定側金型110と可動側金型120との対向面(特にキャビティ130を形成する面)に、離型剤を噴霧する。離型剤を噴霧した後に、三方弁710により送気管730と清掃用ガス導入装置700とを接続し、清掃用ガス導入装置700によりクリーニングピン500の基端側からガス抜き孔512に高圧の清掃用ガスCを導入する。これにより、クリーニングピン500の先端部及びキャップ部520における複数のガス導入孔522に付着することがある離型剤及び成形材料M2を除去する(
図9(c)参照。)。これにより、オス型ブロック270におけるガス排出用可動側ブロック貫通孔272の内周面及びクリーニングピン500における複数のガス導入孔522は常に清浄な状態に保たれる。
爾後、上記3.〜7.の工程を安定して繰り返すことが可能となる。
【0111】
8.成形製品の仕上げ加工
図10は、実施形態1に係る成形金型10による成形製品30を説明するために示す図である。
図10(a)及び
図10(b)はバリ32,34,36の付いた状態の成形製品30をそれぞれ別の方向から見たときの斜視図であり、
図10(c)はバリ32,34,36が除去された状態の成形製品30を
図10(a)の場合と同様の方向から見たときの斜視図である。
【0112】
可動側金型120からの取り外しが終わった直後の成形製品30には、
図10(a)及び
図10(b)に示すように、湯口140、第1排出路150、第2排出路160、内蔵型チルベント200及び外付型チルベント300の内部で冷却固化した成形材料からなるバリ32,34,36が付着している。そこで、これらのバリ32,34,36を除去した後、研磨加工などで仕上げることによって、
図10(c)に示すように、バリ32,34,36の除去された状態の成形製品30を得ることができる。
【0113】
このように、成形製品30は、実施形態1に係る成形金型10を用いて製造された成形製品である。
【0114】
以下、実施形態1に係る成形金型10及びクリーニングピン500の効果を記載する。
【0115】
実施形態1に係る成形金型10によれば、キャビティ130に囲まれる位置に内蔵型チルベント200が配設されているため、環状の成形製品30を製造する場合であっても、溶融成形材料中に含まれるガスをキャビティ130の内側から排出することが可能となり、その結果、ガス混入量が少なく、高品質な成形製品30を製造することが可能となる。
【0116】
また、実施形態1に係る成形金型10によれば、クリーニングピン500として、ガス通過路212の出口を越えた位置に形成されたガス排出用可動側金型貫通孔176及びガス排出用可動側ブロック貫通孔272の中で往復動するクリーニングピン500を備えるため、仮に溶融成形材料の一部がガス通過路212の出口を越えた場所(すなわちガス排出用可動側ブロック貫通孔272の入口)で固化してしまった場合であっても、当該ガス通過路212の出口を越えた場所で固化してしまった成形材料を除去することが可能となる。
【0117】
また、実施形態1に係る成形金型10によれば、クリーニングピン500として、内部にガス抜き孔512が形成されているクリーニングピン500を備えるため、クリーニングピン500を導入することに起因してガス通過路212から外部へ向かうガスの流れを妨げることもない。
【0118】
また、実施形態1に係る成形金型10によれば、上記したクリーニングピン500は、イジェクターピン400と連動して往復動するものであるため、クリーニングピン500を往復動させるために専用の駆動機構を用意する必要がなく、クリーニングピン500を導入することに起因して構造が複雑になることもない。
【0119】
また、実施形態1に係る成形金型10によれば、成形時においてクリーニングピン500の先端がガス通過路212の出口と空隙を隔てて配置されるよう構成されているため、仮に溶融成形材料の一部がガス通過路212の出口を越えた場所に導入されてしまった場合であっても、クリーニングピン500に至るまでの空隙において溶融成形材料を冷却固化させることが可能となり、クリーニングピン500が成形材料とともに固まってしまうという事態が発生するのを抑制することができる。
【0120】
また、実施形態1に係る成形金型10によれば、クリーニングピン500が複数のガス導入孔522を有するキャップ部520を有するため、仮に溶融成形材料の一部がクリーニングピン500の先端部にまで到達してしまった場合においても、ガスのみをガス抜き孔512に導入することが可能となる。
【0121】
また、実施形態1に係る成形金型10によれば、キャップ部520がピン本体部510の先端部に分離・結合可能に取り付けられているため、仮に成形材料が複数のガス導入孔522に付着してしまった場合であっても、クリーニングピン500全体を交換するのではなく、キャップ部520のみを交換すればよく、交換にかかる手順を簡略化することが可能となる。
【0122】
また、ガス導入孔522のサイズ及び形状は、0.1mmの2次元的数学的膨張処理を適用した場合にガス導入孔522がすべて消失するサイズ及び形状であるため、より確実にガスのみをガス抜き孔512に導入することが可能となる。
【0123】
また、実施形態1に係る成形金型10によれば、ピン本体部510の先端部には本体側ネジ部514が形成され、キャップ部520の基端部には本体側ネジ部514に対応する構造を有するキャップ側ネジ部528が形成されているため、ピン本体部510に形成された本体側ネジ部514とキャップ部520に形成されたキャップ側ネジ部528とを用いて、キャップ部520を容易に分離・結合することが可能となる。
【0124】
また、実施形態1に係る成形金型10によれば、ピン本体部510の先端部には軸合わせ用円柱部516が形成され、キャップ部520の基端部には軸合わせ用円柱部516と嵌合する形状を有する軸合わせ用凹部526が形成されているため、ピン本体部510にキャップ部520が取り付けられるときには、キャップ部520は軸合わせ用円柱部516及び軸合わせ用凹部526によって軸合わせされ、確実に軸合わせされた状態でキャップ部520をピン本体部510に取り付けることが可能となる。
【0125】
また、実施形態1に係る成形金型10によれば、クリーニングピン500がガス排出用可動側ブロック貫通孔272から突出したとき、キャップ部520が、ガス排出用可動側ブロック貫通孔272から外部に露出するように構成されているため、キャップ部520を交換する必要がある場合には、成形金型10を分解することなく迅速に、キャップ部520を交換することが可能となる。
【0126】
また、実施形態1に係る成形金型10によれば、D2−D1の値が0mm以上(D2−D1=0.03mm)であるため、キャップ部520の直径がピン本体部510の直径よりも大きくなることがなくなり、ガス排出用可動側ブロック貫通孔272の内部でクリーニングピン500をスムーズに往復動させることが可能となる。
【0127】
また、D2−D1の値が0.01mm以上(D2−D1=0.03mm)であるため、ピン本体部510とキャップ部520との軸が完全には一致していない場合においてもガス排出用可動側ブロック貫通孔272の内部でクリーニングピン500をスムーズに往復動させることが可能となり、キャップ部520に求められる寸法誤差に余裕を持たせ、製造を容易なものとすることが可能となる。
【0128】
また、D2−D1の値が0.05mm以下(D2−D1=0.03mm)であるため、キャップ部520とガス排出用可動側ブロック貫通孔272との間に成形材料が付着することが極力抑制され、成形材料を除去するというクリーニングピン500の機能が損なわれることもない。
【0129】
また、実施形態1に係る成形金型10によれば、離型剤噴霧装置600と、清掃用ガス導入装置700とを備えるため、ガス抜き孔512に高圧の清掃用ガスを導入することにより、クリーニングピン500の先端部に付着することがある離型剤及び成形材料を除去することが可能となる。
【0130】
また、実施形態1に係る成形金型10によれば、清掃用ガス導入装置を用いて高圧の清掃用ガスを導入するタイミングが、成形前に、離型剤噴霧装置600によりキャビティ130に対して離型剤を噴霧した後であるため、クリーニングピン500の先端部に付着することがある離型剤を成形前に除去し、クリーニングピン500のガス排出機能が低下することを防ぐことが可能となる。
【0131】
また、実施形態1に係る成形金型10によれば、メス型ブロック220は、凹部240を有し、オス型ブロック270は、メス型ブロック220及びオス型ブロック270を組み合わせるとき、凹部240との間にガス通過路212が形成されるような形状を有する凸部282を有するため、メス型ブロック220の凹部240とオス型ブロック270の凸部282との間に3次元的にガス通過路212が形成されることになり、メス型ブロック220とオス型ブロック270との対向面の平面面積をそれほど大きくしなくても、ガス通過路212の表面積を大きくすることが可能となる。また、メス型ブロック220の内部には凹部240を取り囲むように冷媒流路232が形成されているため、溶融成形材料を十分に冷却固化することが可能となる。その結果、メス型ブロック220とオス型ブロック270との対向面の平面面積をそれほど大きくしなくても、溶融成形材料を十分に冷却固化することが可能となり、内蔵型チルベント200を小型化することが可能となる。
【0132】
また、実施形態1に係る成形金型10によれば、凹部240が略円錐状であるため、溶融成形材料が、冷却固化される過程で収縮してオス型ブロック側270に付着することとなり、メス型ブロック220とオス型ブロック270とを容易に分離することが可能となる。
【0133】
また、実施形態1に係る成形金型10によれば、メス型ブロック220は、複数のメス型ブロック構成部品250,260が接合又は接着された構造を有し、複数のメス型ブロック構成部品250,260が接合又は接着された面において、冷媒流路232が形成されているため、メス型ブロック220中に上記のような冷媒流路232を比較的容易に形成することが可能となる。また、ガス通過路212の近傍に冷媒流路232を形成することが可能となり、冷却効力をさらに高くすることが可能となり、内蔵型チルベント200をさらに小型化することが可能となる。
【0134】
また、実施形態1に係る成形金型10によれば、オス型ブロック本体部280におけるメス型ブロック220と対向する面には、凸部282を取り囲むように環状の湯溜め用溝276が形成されているため、多量の溶融成形材料が内蔵型チルベント200に導入された場合であっても、当該湯溜め用溝276が緩衝帯として働き、後段のガス通過路212に多量の溶融成形材料が勢い良く導入されることを抑制することが可能となる。
【0135】
また、実施形態1に係る成形金型10によれば、第1方向に沿ってかつ互いに連続するように第2イジェクターピン用可動側金型貫通孔172及び第2イジェクターピン用可動側ブロック貫通孔278がそれぞれ形成され、イジェクターピン400と連動して往復動する第2イジェクターピン410をさらに備えるため、第2イジェクターピン410の働きによって、成形後に、内蔵型チルベント200の内部で固化した成形材料を押し出すことが可能となる。
【0136】
実施形態1に係るクリーニングピン500は、実施形態1に係る成形金型10が有する効果のうち、クリーニングピン500に起因する効果をそのまま有する。
【0137】
なお、実施形態1に係る成形金型10における内蔵型チルベント200における溶融成形材料の導入状態をシミュレーションすることにより、内蔵型チルベント200の効果を確認した。
図11は、実施形態1に係る成形金型10における内蔵型チルベント200に対する溶融成形材料の導入状態を説明するために示す図である。
図11(a)〜
図11(i)は導入開始から導入終了までの期間における溶融成形材料が導入されていく様子を順に示す図である。
【0138】
内蔵型チルベント200においては、オス型ブロック270の凸部282とメス型ブロック220の凹部240との間に3次元的にガス通過路212が形成されることになるため、また、メス型ブロック220の内部には凹部240を取り囲むように冷媒流路232が形成されているため、
図11に示すように、溶融成形材料を十分に冷却固化することが可能となることが確認された。また、多量の溶融成形材料が内蔵型チルベント200に導入された場合であっても、湯溜め用溝276が緩衝帯として働くため、
図11に示すように、後段のガス通過路212に多量の溶融成形材料が勢い良く導入されることを抑制することが可能であることが確認された。
【0139】
[実施形態2]
実施形態2は、請求項7に記載の成形金型に対応する実施形態である。
図12は、実施形態2に係る成形金型12を説明するために示す図である。
図12(a)は成形金型12における固定側金型110を成形金型12の分割面から見た平面図であり、
図12(b)は成形金型12のA2−A2断面図である。
図13は、実施形態2に係る成形金型12における内蔵型チルベント202の縦断面図である。
図14は、実施形態2に係る成形金型12におけるオス型ブロック290を説明するために示す図である。
図14(a)はオス型ブロック290の縦断面図であり、
図14(b)は閉塞部材296を取り外した状態のオス型ブロック290の縦断面図である。
図15は、実施形態2に係るクリーニングピン502を説明するために示す図である。
図15(a)はクリーニングピン502の縦断面図であり、
図15(b)はピン本体部530の縦断面図である。
【0140】
実施形態2に係る成形金型12は、基本的には実施形態1に係る成形金型10と同様の構成を有するが、内蔵型チルベント及びクリーニングピンの構成が実施形態1に係る成形金型10の場合とは異なる。すなわち、実施形態2に係る成形金型12においては、
図12〜
図14に示すように、可動側ブロックとしてのオス型ブロック290には、ガス排出用可動側ブロック貫通孔272から外周に向かう横孔292及び横孔292から基端側に向かう縦孔294が形成されるとともに、外周において横孔292を閉塞する閉塞部材296が取り外し自在に取り付けられている。また、クリーニングピン530には、成形時において横孔292とガス抜き孔512とを連結し、ガスをガス抜き孔512から横孔292に導入するための連結孔532がさらに形成されている。これに伴って、可動側金型122には、縦孔294と連続し、外部にガスを排出する可動側金型ガス排出孔(図示せず。)が形成されている。なお、実施形態2に係る成形金型12においては、内蔵型チルベント202を介してガスを排出することが可能であるため、送気管730と清掃用ガス導入装置700とが直接接続されている。
【0141】
このように、実施形態2に係る成形金型12は、内蔵型チルベント及びクリーニングピンの構成が実施形態1に係る成形金型10の場合とは異なるが、クリーニングピン502として、ガス通過路212の出口を越えた位置に形成されたガス排出用可動側金型貫通孔176及びガス排出用可動側ブロック貫通孔272の中で往復動するクリーニングピン502を備えるため、実施形態1に係る成形金型10の場合と同様に、仮に溶融成形材料の一部がガス通過路212の出口を越えた場所(すなわちガス排出用可動側ブロック貫通孔272の入口)で固化してしまった場合であっても、当該ガス通過路212の出口を越えた場所で固化してしまった成形材料を除去することが可能となる。
【0142】
また、実施形態2に係る成形金型12(及び実施形態2に係るクリーニングピン502)によれば、外周において横孔292を閉塞する閉塞部材296が取り外し自在に取り付けられているため、成形材料が万一横孔292まで導入された場合であっても、閉塞部材296を取り外して成形材料を取り除くことが可能となり、内蔵型チルベント200の寿命を長くすることが可能となる。また、内蔵型チルベント200に形成された横孔292及び縦孔294を介してガスを排出することも可能となる。
【0143】
なお、実施形態2に係る成形金型12は、内蔵型チルベント及びクリーニングピンの構成以外の点においては、実施形態1に係る成形金型10と同様の構成を有するため、実施形態1に係る成形金型10が有する効果のうち該当する効果をそのまま有する。
また、実施形態2に係るクリーニングピン502は、実施形態2に係る成形金型12が有する効果のうち、クリーニングピン502に起因する効果をそのまま有する。
【0144】
[実施形態3]
実施形態3は、請求項12に記載の成形金型に対応する実施形態である。
図16は、実施形態3に係る成形金型14(図示せず。)における内蔵型チルベント204の縦断面図である。
【0145】
実施形態3に係る成形金型14は、基本的には実施形態2に係る成形金型12と同様の構成を有するが、内蔵型チルベントの構成が実施形態2に係る成形金型12の場合とは異なる。すなわち、実施形態3に係る成形金型14においては、
図14に示すように、内蔵型チルベント204におけるガス通過路213は、連続山谷形状を有する。
【0146】
このように、実施形態3に係る成形金型14は、内蔵型チルベントの構成が実施形態2に係る成形金型12の場合とは異なるが、クリーニングピン502として、ガス通過路213の出口を越えた位置に形成されたガス排出用可動側金型貫通孔176及びガス排出用可動側ブロック貫通孔272の中で往復動するクリーニングピン502を備えるため、実施形態2に係る成形金型12の場合と同様に、仮に溶融成形材料の一部がガス通過路213の出口を越えた場所(すなわちガス排出用可動側ブロック貫通孔272の入口)で固化してしまった場合であっても、当該ガス通過路213の出口を越えた場所で固化してしまった成形材料を除去することが可能となる。
【0147】
また、実施形態3に係る成形金型14によれば、ガス通過路213が連続山谷形状を有するため、ガス通過路213の有効長さをさらに長くすることができ、冷却能力をさらに高くすることが可能となり、内蔵型チルベント204をさらに小型化することが可能となる。また、ガス通過路213を通過する溶融成形材料の通過速度を遅くすることが可能となるため、このことによっても、冷却能力をさらに高くすることが可能となり、内蔵型チルベント204をさらに小型化することが可能となる。
【0148】
なお、実施形態3に係る成形金型14は、内蔵型チルベントの構成以外の点においては、実施形態2に係る成形金型12と同様の構成を有するため、実施形態2に係る成形金型12が有する効果のうち該当する効果をそのまま有する。
【0149】
[実施形態4]
実施形態4は、請求項13に記載の成形金型に対応する実施形態である。
図17は、実施形態4に係る成形金型16を説明するために示す図である。
図17(a)は成形金型17における固定側金型112を成形金型16の分割面から見た平面図であり、
図17(b)は成形金型16のA3−A3断面図である。
【0150】
実施形態4に係る成形金型16は、
図17に示すように、成形金型本体104と、3個の外付型チルベント300と、イジェクターピン400と、第3イジェクターピン420と、クリーニングピン500と、離型剤噴霧装置600(図示せず。)と、清掃用ガス導入装置702とを備える。
【0151】
成形金型本体104は、固定側金型112及び可動側金型124を有する。固定側金型112及び可動側金型124は、成形時に、キャビティ132と、湯口142と、ガス通過路152と、外付型チルベント300への第2排出路162と、固定側金型112と可動側金型124とが突き合わされる7個の突き合わせ領域180とを形成するように構成されている。
ガス通過路152は、突き合わせ領域180ごとに設けられ、成形時にガスと溶融成形材料とのうちガスのみを通過させる。このようにガスのみを通過させることは、ガス通過路152の厚さを十分に小さくすることで達成することができる。当該厚さは、例えば、0.01mmである。
ガス排出用可動側金型貫通孔176は、7個の突き合わせ領域180のそれぞれにおけるガス通過路152の出口を越えた位置に形成されている。
【0152】
クリーニングピン500は、ガス排出用可動側金型貫通孔176の中で、イジェクターピン400と連動して往復動することにより、成形時にはガス抜き孔512を介してガスGをガス通過路152から外部に排出し、成形後にはピン先端部(キャップ部520)の働きによりガス排出用可動側金型貫通孔176の内周面に付着することがある成形材料を除去する機能を有する。クリーニングピン500は、7個の突き合わせ領域ごとに1つずつ存在する。このため、成形金型16は、計7個のクリーニングピン500を備えることとなる。
【0153】
清掃用ガス導入装置702は、基本的には実施形態1における清掃用ガス導入装置700と同様であるが、7個の三方弁710、排気管720及び送気管730に接続されている。
【0154】
実施形態4に係る成形金型16は、実施形態1に係る成形金型10が有する効果のうち、内蔵型チルベントに起因する効果以外の効果、すなわち、以下の効果を有する。
【0155】
実施形態4に係る成形金型16によれば、クリーニングピン500として、ガス通過路152の出口を越えた位置に形成されたガス排出用可動側金型貫通孔176の中で往復動するクリーニングピン500を備えるため、仮に溶融成形材料の一部がガス通過路152の出口を越えた場所(すなわちガス排出用可動側金型貫通孔176の入口)で固化してしまった場合であっても、当該ガス通過路152の出口を越えた場所で固化してしまった成形材料を除去することが可能となる。
【0156】
また、実施形態4に係る成形金型16によれば、クリーニングピン500として、内部にガス抜き孔512が形成されているクリーニングピン500を備えるため、クリーニングピン500を導入することに起因してガス通過路152から外部へ向かうガスの流れを妨げることもない。
【0157】
また、実施形態4に係る成形金型16によれば、上記したクリーニングピン500は、イジェクターピン400と連動して往復動するものであるため、クリーニングピン500を往復動させるために専用の駆動機構を用意する必要がなく、クリーニングピン500を導入することに起因して構造が複雑になることもない。
【0158】
また、実施形態4に係る成形金型16によれば、成形時においてクリーニングピン500の先端がガス通過路152の出口と空隙を隔てて配置されるよう構成されているため、仮に溶融成形材料の一部がガス通過路152の出口を越えた場所に導入されてしまった場合であっても、クリーニングピン500に至るまでの空隙において溶融成形材料を冷却固化させることが可能となり、クリーニングピン500が成形材料とともに固まってしまうという事態が発生するのを抑制することができる。
【0159】
また、実施形態4に係る成形金型16によれば、クリーニングピン500が複数のガス導入孔522を有するキャップ部520を有するため、仮に溶融成形材料の一部がクリーニングピン500の先端部にまで到達してしまった場合においても、ガスのみをガス抜き孔512に導入することが可能となる。
【0160】
また、実施形態4に係る成形金型16によれば、キャップ部520がピン本体部510の先端部に分離・結合可能に取り付けられているため、仮に成形材料が複数のガス導入孔522に付着してしまった場合であっても、クリーニングピン500全体を交換するのではなく、キャップ部520のみを交換すればよく、交換にかかる手順を簡略化することが可能となる。
【0161】
また、ガス導入孔522のサイズ及び形状は、0.1mmの2次元的数学的膨張処理を適用した場合にガス導入孔522がすべて消失するサイズ及び形状であるため、より確実にガスのみをガス抜き孔512に導入することが可能となる。
【0162】
また、実施形態4に係る成形金型16によれば、ピン本体部510の先端部には本体側ネジ部514が形成され、キャップ部520の基端部には本体側ネジ部514に対応する構造を有するキャップ側ネジ部528が形成されているため、ピン本体部510に形成された本体側ネジ部514とキャップ部520に形成されたキャップ側ネジ部528とを用いて、キャップ部520を容易に分離・結合することが可能となる。
【0163】
また、実施形態4に係る成形金型16によれば、ピン本体部510の先端部には軸合わせ用円柱部516が形成され、キャップ部520の基端部には軸合わせ用円柱部516と嵌合する形状を有する軸合わせ用凹部526が形成されているため、ピン本体部510にキャップ部520が取り付けられるときには、キャップ部520は軸合わせ用円柱部516及び軸合わせ用凹部526によって軸合わせされ、確実に軸合わせされた状態でキャップ部520をピン本体部510に取り付けることが可能となる。
【0164】
また、実施形態4に係る成形金型16によれば、クリーニングピン500がガス排出用可動側金型貫通孔176から突出したとき、キャップ部520が、ガス排出用可動側金型貫通孔176から外部に露出するように構成されているため、キャップ部520を交換する必要がある場合には、成形金型16を分解することなく迅速に、キャップ部520を交換することが可能となる。
【0165】
また、実施形態4に係る成形金型16によれば、D2−D1の値が0mm以上(D2−D1=0.03mm)であるため、キャップ部520の直径がピン本体部510の直径よりも大きくなることがなくなり、ガス排出用可動側金型貫通孔176の内部でクリーニングピン500をスムーズに往復動させることが可能となる。
【0166】
また、D2−D1の値が0.01mm以上(D2−D1=0.03mm)であるため、ピン本体部510とキャップ部520との軸が完全には一致していない場合においてもガス排出用可動側金型貫通孔176の内部でクリーニングピン500をスムーズに往復動させることが可能となり、キャップ部520に求められる寸法誤差に余裕を持たせ、製造を容易なものとすることが可能となる。
【0167】
また、D2−D1の値が0.05mm以下(D2−D1=0.03mm)であるため、キャップ部520とガス排出用可動側金型貫通孔176との間に成形材料が付着することが極力抑制され、成形材料を除去するというクリーニングピン500の機能が損なわれることもない。
【0168】
また、実施形態4に係る成形金型16によれば、離型剤噴霧装置600と、清掃用ガス導入装置702とを備えるため、ガス抜き孔512に高圧の清掃用ガスを導入することにより、クリーニングピン500の先端部に付着することがある離型剤及び成形材料を除去することが可能となる。
【0169】
また、実施形態4に係る成形金型16によれば、清掃用ガス導入装置を用いて高圧の清掃用ガスを導入するタイミングが、成形前に、離型剤噴霧装置600によりキャビティ132に対して離型剤を噴霧した後であるため、クリーニングピン500の先端部に付着することがある離型剤を成形前に除去し、クリーニングピン500のガス排出機能が低下することを防ぐことが可能となる。
【0170】
また、実施形態4に係る成形金型16は、突き合わせ領域180にクリーニングピン500が配設されているため、突き合わせ領域180が多い成形金型16においても、溶融成形材料中に含まれるガスを、突き合わせ領域180に形成されたガス通過路152を介して排出して溶融成形材料の流れをスムーズにすることが可能となり、その結果、ガス混入量が少なく、高品質な成形製品を製造することが可能となる。
【0171】
また、実施形態4に係るクリーニングピン500は、実施形態1に係るクリーニングピン500が有する効果をそのまま有する。
【0172】
[実施形態5]
実施形態5は、請求項13に記載の成形金型に対応する、実施形態5とは別の実施形態である。
図18は、実施形態5に係る成形金型18を説明するために示す図である。
図18(a)は成形金型18における固定側金型114を成形金型18の分割面から見た平面図であり、
図18(b)は成形金型18のA4−A4断面図である。
【0173】
実施形態5に係る成形金型18は、基本的には実施形態4に係る成形金型16と同様の構成を有するが、突き合わせ領域の形状と数、ガス通過路の形状及びクリーニングピンの数が実施形態4に係る成形金型16の場合とは異なる。すなわち、実施形態5に係る成形金型18においては、
図18に示すように、突き合わせ領域182が円形で1個であり、このため、キャビティ134は環状のキャビティともいえる。また、ガス通過路154が渦巻状であり、クリーニングピン500が1個である。これに伴って、成形金型18は、実施形態4における清掃用ガス導入装置702に代えて、清掃用ガス導入装置700(実施形態1における清掃用ガス導入装置700と同様のもの)を備える。
【0174】
このように、実施形態5に係る成形金型18は、突き合わせ領域の形状と数、ガス通過路の形状及びクリーニングピンの数が実施形態4に係る成形金型16の場合とは異なるが、クリーニングピン500として、ガス通過路154の出口を越えた位置に形成されたガス排出用可動側金型貫通孔176の中で往復動するクリーニングピン500を備えるため、実施形態4に係る成形金型16と同様に、仮に溶融成形材料の一部がガス通過路154の出口を越えた場所(すなわちガス排出用可動側金型貫通孔176の入口)で固化してしまった場合であっても、当該ガス通過路154の出口を越えた場所で固化してしまった成形材料を除去することが可能となる。
【0175】
また、実施形態5に係る成形金型18によれば、突き合わせ領域182にクリーニングピン500が配設されているため、突き合わせ領域182が形成されている成形金型18においても、溶融成形材料中に含まれるガスをキャビティ134の内側から排出することが可能となり、その結果、ガス混入量が少なく、高品質な成形製品を製造することが可能となる。
【0176】
なお、実施形態5に係る成形金型18は、突き合わせ領域の形状と数、ガス通過路の形状及びクリーニングピンの数以外の点においては、実施形態4に係る成形金型16と同様の構成を有し、実施形態4に係る成形金型16が有する効果のうち該当する効果をそのまま有する。
【0177】
以上、本発明の成形金型及びクリーニングピンを上記の実施形態に基づいて説明したが、本発明は上記の実施形態に限定されるものではない。その要旨を逸脱しない範囲において種々の様態において実施することが可能であり、例えば、次のような変形も可能である。
【0178】
(1)上記各実施形態において記載した各構成要素の寸法、個数、材質及び形状は例示であり、本発明の効果を損なわない範囲において変更することが可能である。
【0179】
(2)上記各実施形態においては、送気孔440は第1方向に沿って形成されているが、本発明はこれに限定されるものではない。
図19は、変形例2に係る成形金型20を説明するために示す図である。
図19(a)は成形金型20の縦断面図であり、
図19(b)は
図19(a)における範囲Rの拡大図である。本発明の成形金型は、
図19に示す変形例2に係る成形金型20のように、送気孔442が第1方向とは垂直に形成されていてもよい。
【0180】
(3)上記各実施形態においては、クリーニングピンにおけるキャップ部520は、円柱状のガス導入孔522を有していたが、本発明はこれに限定されるものではない。
図20は、変形例3に係るクリーニングピン504(図示せず。)におけるキャップ部540の下面図である。
図21は、変形例4に係るクリーニングピン506(図示せず。)におけるキャップ部550を説明するために示す図である。
図21(a)はキャップ部550の下面図であり、
図21(b)はキャップ部550の縦断面図である。
図22は、変形例5に係るクリーニングピン508(図示せず。)におけるキャップ部560の下面図である。
【0181】
変形例3におけるキャップ部540は、
図20に示すように、スリット状のガス導入孔542を有する。変形例4におけるキャップ部550は、、
図21に示すように、それぞれ深さの異なるスリット状のガス導入孔552,554を有する。変形例5におけるキャップ部560は、
図22に示すように、同心円状に配置されたガス導入孔562を有する。本発明のクリーニングピンにおいては、上記変形例2〜4に記載したような複数のガス導入孔を有していてもよい。なお、このような複数のガス導入孔においても、個々のガス導入孔のサイズ及び形状は、0.1mmの2次元的数学的膨張処理を適用した場合にガス導入孔がすべて消失するサイズ及び形状であることが好ましい。
【0182】
(4)上記各実施形態においては、クリーニングピンとしてピン本体部とキャップ部とを有するクリーニングピンを用いたが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、キャップ部を有さず、先端においてガス抜き孔が形成されたクリーニングピンを用いてもよい。
【0183】
(5)上記各実施形態においては、清掃用ガス導入装置を備える成形金型を用いて本発明を説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。本発明の成形金型は、清掃用ガス導入装置を備えない成形金型であってもよい。
【0184】
(6)上記各実施形態においては、2つのメス型ブロック構成部品を用いてメス型ブロックを構成することとしたが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、3つ以上のメス型ブロック構成部品を用いてメス型ブロックを構成することとしてもよい。
【0185】
(7)上記各実施形態においては、円柱形状を有する内蔵型チルベント用いたが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、楕円柱又は多角柱の形状を有する内蔵型チルベント用いてもよい。
【0186】
(8)上記各実施形態においては、内蔵型チルベントのサイズとして、直径が40mmであり、高さが80mmである場合を例にとって本発明を説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、内蔵型チルベントのサイズは、もっと小さいものであってもよいし(例えば、直径10mm〜40mm。)、もっと大きなものであってもよい(例えば、直径40mm〜400mm。)。
【0187】
(9)上記各実施形態においては、凹部及び凸粒の形状が略円錐形状であるが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、凹部及び凸部の形状が略楕円錐形状、略円柱形状又は略楕円柱形状であってもよい。
【0188】
(10)上記各実施形態においては、内蔵型チルベントは凹部を有するメス型ブロック及び凸部を有するオス型ブロックを有するが、本発明はこれに限定されるものではない。内蔵型チルベントは、例えば、凹部を有しない固定側ブロック及び凸部を有しない可動側ブロックを有してもよい。
【0189】
(11)上記各実施形態においては、オス型ブロックの凸部が、先端側に向かって細くなるように10°のテーパー角がついた略円錐形状である場合を例にとって本発明を説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、先端側に向かって細くなるように2°〜30°のテーパー角がついた略円錐形状であってもよい。
【0190】
(12)上記各実施形態においては、複数のメス型ブロック構成部品(例えば、SKD61)が直接接合された構造を有するメス型ブロックを例にとって本発明を説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、複数のメス型ブロック構成部品が薄板状の焼結鉄鋼部材(例えば、ウッデホルム株式会社製、ELMAX。)又はその他の鉄鋼部材を介在した状態で接合された構造を有するメス型ブロックであってもよい。
【0191】
(13)上記各実施形態においては、複数のメス型ブロック構成部品が接合された構造を有するメス型ブロックを例にとって本発明を説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、複数のメス型ブロック構成部品が接着剤により接着された構造を有するメス型ブロックであってもよい。
【0192】
(14)上記各実施形態においては、凸部の内部に冷媒流路が形成されていないオス型ブロックを用いたが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、凸部の内部に冷媒流路が形成されているオス型ブロックを用いてもよい。
【0193】
(15)上記各実施形態においては、オス型ブロックに湯溜め用溝が形成されている内蔵型チルベントを用いたが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、メス型ブロックに湯溜め用溝が形成されている内蔵型チルベントを用いてもよい。