(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
遊技者への遊技球の貸し出し処理と、遊技球を貯留するための記憶媒体の情報の読取りおよび書込みなどの情報処理とを行う情報処理装置と通信可能に構成されており、発射装置により遊技盤に発射された遊技球を回収し、回収した遊技球を前記発射装置により再度発射することで、内部に封入された所定数の遊技球を循環的に使用して遊技を行う遊技球封入式の遊技機であって、
遊技の進行を制御する主制御装置と、
遊技の進行に応じて演出図柄を表示する演出図柄表示装置と、
該演出図柄表示手段を制御する演出図柄制御装置と、
前記情報処理装置からの遊技球の貸出情報又は遊技球の貯留情報に基づいて遊技者が遊技に用いることができる遊技球の持ち球数の情報を受け、該持ち球数の情報に基づいて前記発射装置を制御せしめるとともに、遊技盤に設けられた複数の入賞口への入賞に応じて賞球を付与する副制御装置と、
遊技盤に発射された遊技球のうちの入賞した入賞球を検出する入賞球検出手段と、
入賞しなかったアウト球を検出するアウト球検出手段と、を具備し、
前記副制御装置は前記持ち球数の情報を前記主制御装置に送信し、
前記主制御装置は、前記受信した持ち球数の情報と、入賞に応じた賞球数と、前記入賞球検出手段による入賞球の検出数、および前記アウト球検出手段によるアウト球の検出数に応じて持ち球数を算出する第1の持ち球数算出手段を有し、算出された持ち球数を前記演出図柄制御装置を介して前記演出図柄表示装置に表示せしめる一方、
前記副制御装置は前記発射装置による発射球数および前記賞球数に応じ、前記第1の持ち球数算出手段とは別に持ち球数を算出する第2の持ち球算出手段を有し、算出された持ち球数を前記演出図柄表示装置とは異なる表示装置に表示せしめるようになしたことを特徴とする封入式遊技機。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明を適用した第1の実施形態の遊技機たるパチンコ機を説明する。本パチンコ機は、機台内に所定数の遊技球が封入されており、封入された遊技球を遊技盤の遊技領域に向けて発射するとともに、入賞した遊技球(入賞球)、入賞しなかったアウト球に関わらず発射された遊技球を回収し、回収した遊技球を再度発射することで内部の遊技球を循環的に使用して遊技を行う構成とされている。
図1に示すように、パチンコ機1は、縦長の固定外郭保持枠をなす外枠10にて構成の各部を保持する構造としてある。外枠10には、左側の上下の位置に設けたヒンジ101を介して、板ガラス110が嵌め込まれた前枠(ガラス枠)11および図略の内枠が開閉可能に設けてある。なお、これら前枠11および前記内枠はシリンダ錠18により外枠10に閉鎖ロックされ、シリンダ錠18に所定の鍵を挿入し、鍵を時計回りに操作して前記内枠を開放するようになし、反時計まわりの操作により前枠11を開放する。
前枠11の板ガラス110の奥には前記内枠に保持された遊技盤2が設けてある。
【0014】
前枠11の下部の左右両側位置にはそれぞれスピーカ112が設置してあり、これらにより遊技音が出力され、遊技の趣向性を向上させる。また前枠11には遊技状態に応じて発光する枠側装飾ランプ113のほか、遊技の異常を報知するLED類が設けてある。
【0015】
前枠11の下半部の右側には発射ハンドル14が設けてあり、該発射ハンドル14を時計回りに操作することにより前枠11の上部左端に設けられた発射装置31が作動して左斜め上方から遊技盤2に向けて遊技球が発射される。
【0016】
本パチンコ機1には遊技者のICカードから記憶内容の読み書き等の情報処理を行うカードユニット(CRユニット)60が隣接してある。尚、CRユニット60は特許請求の範囲に記載の情報処理装置に相当する。ICカードには記憶情報として、遊技球を貸出し可能な金額を示すクレジット残高、および封入式では遊技者が直接遊技球を手にできないので賞球により獲得した持ち球数などが記憶される。ICカードは、遊技開始時、クレジット残高の範囲内で遊技球の貸出しが可能であり、貸出しに応じてクレジット残高が更新される。そして遊技終了時には持ち球数が記憶される。
CRユニット60に関連してパチンコ機1には前枠11の下半部の左側に貸出SW171、返却SW172および残高表示装置173が設けてある。
また貸出SW171、返却SW172および残高表示装置173に隣接して遊技者が操作可能な遊技ボタン15と、その外周を囲むようにジョグダイヤル16が設置されている。
【0017】
遊技盤2にはレール体201によって囲まれた遊技領域20が形成されている。遊技領域20には、その中央部にセンターケースが装着され、センターケースには演出図柄表示装置21(全体の図示は省略)のLCDパネルが配設されている。またセンターケースには、周知のものと同様にワープ入口、ワープ樋(遊技球通路)、ステージなどが設けられている。
【0018】
演出図柄表示装置21の左右両側位置には遊技球が通過可能な通過ゲート22がそれぞれ設置されている。また演出図柄表示装置21の中央下方位置には、常時上方へ向かって開口し遊技球の入球が可能な第1特別図柄始動口(以下、第1特図始動口という)23と、その直下位置には普通電動役物(普電役物)により開閉可能であり、開放時にのみ入球可能の第2特別図柄始動口(以下、第2特図始動口という)24が設けられている。
【0019】
前記第1特図始動口23およびは第2特図始動口24は特別図柄(以下、単に特図という)の抽選(当否判定)を実行する始動口である。各第1および第2の特図始動口23、24は遊技球が入球すると複数種類の乱数が抽出され、抽出された乱数は特図の保留記憶として記憶される。
【0020】
第2特図始動口24は、前記通過ゲート22への遊技球の通過に起因して実行される普通図柄(以下、単に普図という)の抽選で当りとなることにより前記普電役物が所定の時間開放する。
【0021】
第1および第2特図始動口23,24の左右両側位置には複数の普通入賞口26が配されている。また、第2特図始動口24の下方には、開閉板にて開閉される大入賞口25が配され、盤面最下部にはアウト口29が設けられている。
尚、遊技盤2の遊技領域20には、多数の遊技釘が植設されている。
【0022】
図2に示すように、発射装置31は、中央に発射台310が設けられ、該発射台310へは球送り機構312の作動により開口部313を経て遊技球Bが一球ずつ送り出される。そして発射モータ314により駆動する発射槌311の作動により遊技球Bを打ち出して遊技盤2の遊技領域20へ向けて発射する。
【0023】
図3に示すように、パチンコ機1の裏側は、前記遊技盤2を脱着可能に取付ける内枠30が収納されている。内枠30は、前記前枠11と同様に、一方の側縁(
図3の右側)の上下位置が前記外枠10にヒンジ結合され開閉可能に設置されている。
そして、前枠11の裏面および内枠30には、主制御装置40、払出制御装置41、サブ統合制御装置42、演出図柄制御装置43、発射装置31、電源基板(図略)が設けられている。
主制御装置40、サブ統合制御装置42、発射装置31および演出図柄制御装置43は遊技盤2の裏面に設けられ、払出制御装置41、電源基板は内枠30に設けられている。
【0024】
また、パチンコ機の裏面には下部に、遊技盤に発射された遊技球を回収し、回収した遊技球を研磨する研磨装置45が設置されており、更に研磨した遊技球をパチンコ機の下部から上部の前記発射装置31へ送る揚送装置33が内枠30の裏面右側に沿って上下方向に設置されている。
【0025】
図4は本パチンコ機1の電気的構成を示すもので、遊技の制御を司る主制御装置40を中心に、副制御装置として払出制御装置41、サブ統合制御装置42および演出図柄制御装置43を具備する構成である。主制御装置40、払出制御装置41、サブ統合制御装置42および演出図柄制御装置43においては、何れもCPU、ROM、RAM、入力ポート、出力ポート等を備え、これら制御装置は何れもCPUにより、2ms周期又は4ms周期の割り込み信号に起因してROMに搭載しているメインルーチンおよびサブルーチンからなるプログラムが開始され、各種の制御が実行される。
【0026】
主制御装置40は、前枠(ガラス枠)11、内枠30が開放しているか否か検出するガラス枠開放SW(スイッチ)501および内枠開放SW502と電気的に接続され、遊技盤中継端子板541を介して、第1特図始動口23への入球を検出する第1始動口SW503、第2特図始動口24への入球を検出する第2始動口SW504、普図通過ゲート22への入球を検出する普通図柄作動SW505、左右の各普通入賞口26への入球を検出する左入賞口SW506、右入賞口SW507、大入賞装置25への入球を検出するカウントSW508、第1、第2特図始動口23,24や大入賞口25ないし普通入賞口26等の各入賞口へ入賞した入賞球を検出する入賞球センサ509、入賞することなくアウトとなったアウト球を検出するアウト球センサ510、不正行為を検出するための磁石センサ511、電波センサ512等と電気的に接続され、各SW、センサからの検出信号が入力される。
【0027】
尚、前記入賞球センサ509は、第1、第2特図始動口23,24や大入賞口25ないし普通入賞口26等の各入賞口へ入賞した入賞球を回収して前記研磨装置45へ送るために遊技盤の裏面に設けられた球通路の下流部に設置され、各入賞口への入賞球を一括して検出するように構成されている。
前記アウト球センサ510は、アウト口29から研磨装置45へアウト球を送る球通路に設けられている。
【0028】
主制御装置40は搭載しているプログラムに従って動作して、上述の検出信号などに基づいて遊技の進行に関わる各種のコマンドを生成し、払出制御装置41、サブ統合制御装置42、演出図柄制御装置43へ向けてのコマンドの出力や、図柄表示装置中継端子板542を介して特図表示装置27、特図保留数表示装置271、普通図柄表示装置28および普図保留数表示装置281の表示制御を行なう。尚、これら表示装置27,271,28,281は遊技盤の前面の遊技領域の外部に設けてある。
【0029】
また主制御装置40は、遊技盤中継端子板541を介して大入賞口ソレノイド513を駆動して大入賞口25を開放作動せしめ、普電役物ソレノイド514を駆動して第2特図始動口24の普電役物を開閉する。
主制御装置40は払出制御装置41と双方向通信が可能に接続されている。
【0030】
払出制御装置41は、CRユニット端子板548を介してCRユニット60と通信可能に接続されている。また、残高表示装置173を介して貸出しおよび返却SW171,172による貸出要求、返却要求の操作信号を受付けるように構成されている。払出制御装置41は、前記貸出要求、返却要求の操作信号に基づいてCRユニット60との間で通信を行い、CRユニット60に挿入されたICカードに関するクレジット残高の把握、貸出要求信号に応じた貸出し球数の設定、返却要求信号に応じてクレジット残高の返却処理等を行う。
CRユニット60は遊技施設のホールコンピュータ500と通信可能に設続され、払出制御装置41との通信内容に基づいてパチンコ機1の遊技情報をホールコンピュータ500へ送信するように構成されている。
【0031】
また払出制御装置41は、発射操作部中継端子板543を介して、持ち球数を計数する操作を行なう計数SW174の操作信号、前記発射ハンドル14の操作量を検出するハンドルボリューム520の操作量検出信号、発射停止SW522の停止検出信号、発射ハンドル14に遊技者が接触(操作)していることを検出するタッチSW521等の検出信号が入力される。
更に払出制御装置41は、発射装置中継端子板544を介して、前記発射装置31の入口での遊技球の有無を検出する発射入口センサ524、発射モータ314、前記球送り機構312を駆動する球送りソレノイド526が接続されている。そして、払出制御装置41は、主制御装置40から送られてくる遊技状況が反映されたコマンド、前記ハンドルボリューム520、タッチSW521、発射停止SW522および発射入口センサ524の信号等に基づいて発射モータ314、球送りソレノイド526を駆動制御して遊技球を発射および停止させる。
【0032】
更にまた払出制御装置41は、前記CRユニット60との通信処理、遊技球の発射に関する制御の他、研磨装置中継端子板545を介してカセットスイッチ527と研磨モータセンサ528の検出信号が入力され、これら検出信号に応じてカセットモータ529および研磨モータ530を駆動して前記研磨装置45を制御せしめる構成である。
また研磨装置45の制御の他に、払出制御装置41は、揚上中継端子板546を介して揚上入口センサ532と揚上モータ監視センサ533の検出信号が入力され、これら検出信号に応じて揚上モータ531を駆動して前記揚送装置33を制御せしめる。
更に、払出制御装置41には、内枠中継端子板547を介してパチンコ機内の遊技球の適正量を検出する適正量検出センサ534、満タンセンサ535、および夜間監視スイッチ536等の検出信号が入力される構成である。
【0033】
サブ統合制御装置42には、ジョグダイヤル16および遊技ボタン15の操作を検出する検出信号が入力される。
そしてサブ統合制御装置42は、スピーカ112を駆動して音声を出力することや、各種LEDや各種ランプ113の点灯、消灯等を制御する。更に演出図柄制御装置43へキャラクタなどを表示する擬似演出や特図の擬似図柄の表示態様のコマンドを送信する。
【0034】
演出図柄制御装置43は、LCDパネルユニットや付属ユニットと共に演出図柄表示装置21を構成している。演出図柄制御装置43は、サブ統合制御装置42から送られてくるコマンドに応じて演出図柄表示装置21のLCDパネルの表示を制御する。
【0035】
本パチンコ機1において遊技を開始する場合、ICカードのクレジット残高の範囲内で遊技球の貸出しを行いこれを遊技に使用することが可能な持ち球として遊技を開始する、又はCRユニット60へのICカード挿入時にカードに持ち球数の記憶がある場合にはこれを読み取り持ち球として遊技を開始する。
パチンコ機1の遊技は、第1、第2特図始動口23,24への入球があると、これに起因して特図当否判定用の乱数値が抽出され、該乱数値に基づいて当否判定を行い、特図表示装置27において特図の図柄変動、演出図柄表示装置21において特図に対応する擬似演出図柄の図柄変動を開始する。
前記特図の判定結果が大当りであれば、大当り図柄を決めて各表示装置21に大当り図柄を確定表示して大当り遊技(特別遊技)を実行する。大当り遊技は、大入賞装置25を開放し所定の時間または入球数が所定数に達して閉じるまでの動作を1ラウンドとして、所定数のラウンドを継続することを基本遊技としている。
尚、第2特図始動口24の普電役物は、通過ゲート22への入球に起因して普図の当否抽選が実施され、当否抽選の結果が当りであれば開放される。
また本パチンコ機1は、大当り遊技後に遊技状態が、特別図柄の当選確率が高確率となる「確変」機能が付与された遊技状態、第2特図始動口24の普電役物の開放時間が延長される「開放延長」機能が付与された遊技状態へと移行可能な構成である。
そして本パチンコ機1は、演出図柄表示装置21において、遊技に応じて特図の変動に伴う演出表示を実施するとともに、遊技に使用することが可能な遊技球としての持ち球数の表示と、賞球数を表示する構成とされている。
【0036】
以下、主制御装置40および払出制御装置41で実行される本発明に関わりの深いプログラム処理について説明する。
図5は主制御装置40で実行される「メインルーチン」のフローチャートを示し、「メインルーチン」は本処理(S100〜S110,S115)と残余処理(S111)とで構成され、2ms又は4ms周期の割り込み信号に起因して開始され、最初に正常割り込みか否かを判断する(S100)。この判断はRAMの特定アドレスに特定の数値が書き込まれているか否かに基づいて行われ、ここで否定判断(S100:no)なら初期設定(S115)を実行する。前述の正常割り込みか否かを判断するための数値は、この初期設定の一環としてRAMに書き込まれる。
【0037】
正常割り込みなら(S100:yes)、初期値乱数更新処理(S101)、特図の当否判定用の乱数値である大当り決定用乱数の更新処理(S102)、特図の大当り図柄決定用乱数の更新処理(S103)、普図の当り判定用乱数の更新処理(S104)、特図のリーチに関するリーチ判定用乱数の更新処理(S105)、特図の変動パターンに関する変動パターン決定用乱数の更新処理(S106)、入賞確認処理(S107)、当否判定処理(S108)、各出力処理(S109)、不正監視処理(S110)を行って、次に割り込み信号が入力されるまでの残余時間内には初期乱数更新処理(S111)をループ処理する。
【0038】
次に、前記の入賞確認処理(S107)、当否判定処理(S108)および各出力処理(S109)の一部のサブルーチンについて説明する。
図6に示す「始動入賞確認処理」は前記入賞確認処理(S107)のサブルーチンで、第1特図始動口23および第2特図始動口24への入球があれば(S200:yes)、入球に対応する特図の保留記憶が満杯か確認する(S201)。本実施形態における記憶可能な保留記憶数は4個である。
【0039】
保留記憶が満杯でなければ(S201:no)、S202の抽出乱数保留記憶処理において、前記入球に起因して抽出した複数の乱数値(大当り決定用乱数、大当り図柄決定用乱数、リーチ判定用乱数、変動パターン決定用乱数等)を保留記憶として記憶する。またこの処理では、第1又は第2特図保留数表示装置271,272の点灯数を1つ増加させるとともに、サブ統合装置42へ現在の保留記憶数を送信するコマンドの送信処理を行う。その後、リターンする。
【0040】
図7ないし
図10は「当否判定処理」のフローチャートを示す。
図7に示すように「当否判定処理」は、先ず、役物連続作動装置の作動を確認して大当り遊技中であるか否かを確認し(S300)、大当り遊技中でなければ(S300:no)、第1、第2特図が変動中であるか否かを確認し(S301)、変動中でなければ(S301:no)、第1、第2特図の確定図柄が表示中であるか否かを確認する(S302)。尚、前記役物連続作動装置が作動中(S300:yes)であれば「特別遊技処理」に移行する。
【0041】
前記S302の処理で確定図柄が表示中でなければ(S302:no)、
図8に示すように、特図の保留記憶があるか否かを確認する(S310)。保留記憶がなければ(S310:no)、「特別遊技処理」に移行する。保留記憶があれば(S310:yes)、記憶数を減算し、保留記憶のシフト処理を行う(S311)。該シフト処理により特図の保留記憶のうち最も古い保留記憶が当否判定の対象となる。
【0042】
次にS312の処理で、確変フラグを確認して現在の遊技状態が確変状態(高確率)であるか否かを確認する(確変フラグが「1」であれば確変中)。確変中であれば(S312:yes)、確変時の当否判定用テーブルと前記当否判定の対象となる保留記憶の大当り決定用乱数とを対比して大当りか否か当否判定を行う(S313)。
確変中でなければ(S312:no)、通常確率(低確率)の当否判定用テーブルと前記大当り決定用乱数とを対比して大当りか否か当否判定を行う(S314)。
【0043】
続くS315の処理では、S313又はS314の処理の当否判定が大当りか否かの確認を行う。
大当りであれば(S315:yes)、S316の処理において、前記当否判定の対象となる保留記憶の大当り図柄決定用乱数に基づいて大当り図柄を決定する。
S317の処理では、前記当否判定の対象となる保留記憶の変動パターン決定用乱数に基づいて、演出図柄表示装置21に表示される特図の大当り用の変動時間などといった変動パターンを決定する。
【0044】
変動パターンの決定後、S318で大当り設定処理を行う。この処理では、前記決定された大当り図柄に基づき、大当り遊技の開放パターンの設定を行う。例えば演出図柄表示装置21で実行される大当り遊技のオープニング演出の時間の設定、エンディング演出の時間の設定、および大入賞口25の開放態様の設定がなされる。更に大当り遊技終了後の特典遊技状態として確変と時短が付与されるか否かの設定、確変の継続期間を制限する確変カウンタの設定、時短の継続期間を制限する時短カウンタ設定等の処理がなされる。
【0045】
S315の処理において、大当りでなくハズレであれば(S315:no)、S319の処理において、前記当否判定の対象となる保留記憶のハズレ図柄決定用乱数に基づいてハズレ図柄を決定し、続いて、演出図柄表示装置15に表示される特図のハズレ用の変動時間などといった変動パターンを決定する(S320)。続くハズレ設定処理(S321)では、遊技状態が確変、時短であれば、これらの継続期間をカウントする確変回数と時短回数を減算する。
【0046】
S318又はS321の各設定処理の後、S322の処理では、特図表示装置16の図柄変動開始制御を行い、サブ統合制御装置83へ図柄の変動開始コマンド、図柄指定コマンドを送信し、「特別遊技処理」へ移行し大当り時には大入賞口25を開放する大当り遊技が実施される。
【0047】
前記
図7のS301の処理で特図の変動中のときは(S301:yes)、
図9に示すように、図柄の変動時間が経過したことを確認すると(S330:yes)、確定図柄表示処理(S331)において、特図表示装置27の変動表示を終了させる制御を行い、サブ統合制御装置42および演出図柄制御装置43へ変動表示および演出表示を終了させるように図柄確定コマンドを送信し、「特別遊技処理」へ移行する。
【0048】
前記
図7のS302の処理で確定図柄を表示中であれば(S302:yes)、
図10のS340の処理に移行して、確定図柄表示時間が終了したか否かを確認する。確定図柄表示時間が終了していなければ(S340:no)、「特別遊技処理」へ移行する。
一方、確定図柄表示時間が終了したことを確認すると(S340:yes)、確定図柄表示終了の処理(S341)により特図表示装置27の特図の確定図柄表示を終了させる制御を行い、サブ統合制御装置42へ特図に対応する擬似図柄の確定表示を終了させるようにコマンドを送信する。
【0049】
続いて特図の図柄が大当りになる組合せであるか否かを確認し(S342)、大当りになる組合せであったときは(S342:yes)、確変フラグが「1」であれば(S343:yes)、確変フラグに「0」をセットする(S344)。次に、時短フラグが「1」であれば(S345:yes)、時短フラグに「0」をセットする(S346)。これらの処理により大当り遊技(特別遊技)中での遊技状態を通常状態にリセットする。
【0050】
S347の処理では条件装置の作動を開始させ、S348の処理では役物連続作動装置の作動を開始させる。条件装置は大当り遊技で役物連続作動装置の作動に必要な装置であり、役物連続作動装置は特別電動役物を連続して作動させる装置である。
そして大当り開始演出処理(S349)によりサブ統合制御装置42へ大当り演出を開始させるようにコマンドを送信し、「特別遊技処理」に移行する。
【0051】
S342の処理で、大当りになる組合せでなければ(S342:no)、確変フラグが「1」であるか否かを確認し(S350)、確変フラグが「1」であり(S350:yes)、確変カウンタ(回数)が「0」であれば(S351:yes)、確変フラグを「0」にセットする(S352)。
続く処理で時短フラグが「1」であり(S353:yes)、時短カウンタ(回数)が「0」であれば(S354:yes)、時短フラグを「0」にセットする(S355)。
続くS356の状態指定コマンド送信処理では、遊技状態を示す確変フラグや時短フラグの情報等を含む状態指定コマンドを、サブ統合制御装置83へ送信する。
【0052】
S357の処理では、今回の当否抽選後の保留記憶数が「0」であるか確認し(保留記憶が有るか無いか確認)、保留記憶が無ければ(S357:yes)、サブ統合制御装置83へ向けて、次に前記特図変動開始コマンドが出力されるまで特図の図柄変動を待機するように指示する待機状態指定コマンドを送信する(S358)。その後、「特別遊技処理」に移行する。
【0053】
次に演出図柄表示装置21の持ち球数の表示に関して、主制御装置40で実行されるプログラム処理について説明する。
図11に示す「持球数加減算処理1」は、前記「メインルーチン」の「各出力処理」のサブルーチンであり、「持球数加減算処理1」では先ず、主制御装置40において遊技に使用可能な遊技球である持ち球の情報(持ち球数)の記憶が無いか否かを確認する(S400)。持ち球情報が無ければ(S400:yes)、続くS401の処理において、CRユニット60へのICカード挿入時にカードに持ち球数の記憶がある場合にカードから読み出された持ち球数情報、又はカードに持ち球数の記憶がなく遊技者により新規ないし追加により持ち球として遊技球の貸出しがなされた持ち球情報を払出制御装置41を介して受信したか否かを確認し、持ち球情報の受信を待つ。
持ち球情報の受信があれば(S401:yes)、主制御装置40内のRAMなどの記憶媒体に受信した持ち球情報(持ち球数)を記憶する(S402)。
【0054】
S400の処理で持ち球情報の記憶があれば(S400:no)、続くS403の処理において、第1、第2始動口SW503,504、左、右入賞口SW506,507、カウントSW508の検出信号により第1、第2特図始動口23,24や大入賞口25ないし普通入賞口26への入賞があったか否かを確認する。入賞が検出されれば(S403:yes)、入賞に応じて付与される賞球の数を前記持ち球情報に加算し記憶して、持ち球情報を更新する(S404)。次に前記賞球数を演出図柄表示装置21に表示させる準備(処理)を行う(S405)。
【0055】
前記S403の処理において入賞の検出が無ければ(S403:no)、入賞球センサ509による入賞球の検出、又はアウト球センサ510によるアウト球の検出があったか否かを確認する(S406)。入賞球又はアウト球の検出があれば(S406:yes)、前記持ち球情報から1を減算して持ち球情報を更新する(S407)。
そして続くS408の処理において、前記S402で記憶した持ち球情報、又はS406で更新された持ち球情報、S405での賞球数の情報がサブ統合制御装置42を介して演出図柄制御装置43へ送信され、演出図柄制御装置43の制御により現在の遊技状態の前記持ち球数と前記賞球数とを演出図柄表示装置21に表示させる。
前記S403ないしS407の処理は特許請求の範囲に記載の「持ち球数算出手段」に相当する。
尚、「持球数加減算処理1」では、既に持ち球を有しているが、貸出しにより持ち球を増やした場合には、賞球と同様に持ち球情報に貸出し分が加算する処理が実行される。
【0056】
図12に示すように演出図柄表示装置21の表示画面には、特図に関する擬似図柄表示(3桁の数字)210の右下部において上下二段に持ち球情報を表示せしめる。下部には持ち球数211を、上部には賞球表示
212を表示せしめる。尚、該表示態様は一表示例であり、これに限らず他の表示態様でもよい。
【0057】
遊技の終了は遊技者が前記計数SW174を操作することでなされる。
図13に示す「計数処理」は遊技の終了に関して主制御装置40で実行される処理である。この処理は先ず、計数SW174が操作され計数信号を受信したか否かを確認する(S500)。この場合、計数SW174は払出制御装置41と接続されており、計数信号は主制御装置40へ払出制御装置41を介して送信される。
計数信号の受信があれば(S500:yes)、続くS501の待機処理において、遊技盤を流下中の遊技球があると正確な持ち球数の算出ができないため、全ての遊技球が回収されるのに充分な所定の時間を待機とする。
そしてS502の処理において、全ての遊技球が回収されるのに充分な時間経過後に前記「持ち球数加減算処理1」により更新された持ち球情報(持ち球数)を払出制御装置41へ送信する。その後、主制御装置40の持ち球情報をクリアする(S503)。
【0058】
次に、持ち球情報に関して払出制御装置41で実行されるプログラム処理について説明する。
図14に示すように「持球情報処理1」では、先ずS600の処理において、CRユニット60へのICカード挿入時にカードから読み出された持ち球数情報、又は遊技の開始時の新規の遊技球の貸出しの発生や持ち球の補填(追加)などによりCRユニット60から持ち球情報を受信したか否かを確認する。
CRユニット60からの持ち球情報の受信があれば(S600:yes)、主制御装置40へ向けてCRユニット60からの前記持ち球情報を送信せしめる(S601)。この場合、主制御装置40では前記「持ち球数加減算処理1」(
図11)のS401、S402、S408の処理が行われる。
【0059】
前記S600においてCRユニット60からの持ち球情報の受信がなければ(S600:no)、遊技終了時の前記「計数処理」(
図13)のS502の処理により主制御装置40から持ち球情報を受信したか否かを確認する(S602)。主制御装置40から持ち球情報の受信があれば(S602:yes)、CRユニット60へ向けて主制御装置40からの持ち球情報を送信する(S603)。該持ち球情報を受信したCRユニット60は、払出制御装置41から受信した情報に基づいてICカードの情報を更新する。
【0060】
前記S602において主制御装置40からの持ち球情報の受信がなければ(S602:no)、遊技中であると見做し、遊技を終了するために計数SW174が操作されたか否かを確認し(S604)、計数SW174が操作されていれば(S604:yes)、主制御装置40へ向けて計数信号を送信せしめる(S605)。これにより、主制御装置40では前記「計数処理」を行うこととなる。
【0061】
次に本パチンコ機1の作用効果を
図15を参照して説明する。本パチンコ機1は、主制御装置40において、遊技中、特図の表示制御(特図表示部27)や演出図柄制御装置43を介して演出図柄表示装置21に遊技に応じて演出表示を行なわせるなど遊技内容に関するさまざまな処理が行われる。一方、主制御装置40は、遊技開始時、払出制御装置41より持ち球に関する情報を受け、持ち球情報を記憶するとともに、遊技中に入賞に応じた賞球、入賞球センサ509の検出、アウト球センサ510の検出に応じて前記持ち球情報を加減算して更新する。そして、主制御装置40は演出図柄制御装置43を介して演出図柄表示装置21に持ち球情報(持ち球数、賞球数)を表示せしめる。
【0062】
払出制御装置41は、CRユニット60へのICカード挿入時にカードから読み出された持ち球数情報の受信、又は貸出SW171の操作によりICカード情報に基づいて遊技球の貸出しがなされた持ち球情報を受信すると、該情報を主制御装置40へ向けて送る。
払出制御装置41は、遊技中、発射装置31および揚送装置33等を制御せしめる。そして遊技終了時に、計数SW174が操作されると、計数信号を主制御装置40へ送り、主制御装置40からの持ち球情報を受信すると、遊技球表示装置173において持ち球数や金額の表示を行う。更に持ち球情報をCRユニット60へ送信し、CRユニット60において該情報に基づいてICガードの記憶内容を更新せしめる。
【0063】
このように本パチンコ機1は、持ち球情報を遊技領域の演出図柄表示装置21に表示せしめるように構成したので、遊技者は遊技領域から目線をずらすことなく持ち球数を確認することができ、その分、遊技に集中することができ、かつ演出表示を見逃すことなく興趣の豊かな遊技を楽しむことができる。
【0064】
更に主制御装置40により持ち球数を算出するようにしたので、従来の払出制御装置で算出された持ち球数を演出図柄表示装置で表示する場合に問題と
された主制御装置と払出制御装置との間での持ち球数情報などの信号通信を頻繁に行わなければならないといった不具合を解消することができ、両制御装置40,41の間で頻繁な信号通信がない分、両者の処理負担を軽減することができ、効率よく演出図柄表示装置21に持ち球数を表示制御することができる。
また遊技の終了時に、主制御装置40で演算した持ち球情報が払出制御装置41を経てCRユニット60へ送られるので、通信網の構成も従来と同じでよく、効率よく通信できる。
【0065】
次に本発明と適用した第2の実施形態のパチンコ機を説明する。
本パチンコ機は持ち球情報の正確性を高めるために、主制御装置40および払出制御装置41の両者において個別に持ち球情報を加減算させる構成としたものである。尚、本パチンコ機の基本構成は前記第1の実施形態のそれとほぼ同一で、相違点を中心に説明する。
【0066】
本パチンコ機は、
図4および
図15の破線で示したように、払出制御装置41には、発射装置31により遊技領域へ発射した遊技球を検出する発射球センサ(球送センサ)523からの検出信号、前記入賞球509からの検出信号、および前記アウト球センサ510からの検出信号が入力するように構成されている。
【0067】
そして、払出制御装置41は
図16に示す「持ち球数加減算処理2」を実行して、主制御装置40とは別に持ち球数を算出する。尚、主制御装置40は第1の実施形態と同様に前記「持ち球数加減算処理1」を行う。
図16に示すように「持ち球数加減算処理2」では先ず、払出制御装置41において持ち球の情報(持ち球数)の記憶が無いか否かを確認する(S420)。持ち球情報が無ければ(S420:yes)、続くS421の処理において、CRユニット60へのICカード挿入時にカードに持ち球数の記憶がある場合にカードから読み出された持ち球数情報、又は遊技者により新規ないし追加により持ち球として遊技球の貸出しがなされた持ち球情報をCRユニット60から受信したか否かを確認し、持ち球情報の受信を待つ。
持ち球情報の受信があれば(S421:yes)、払出制御装置41内のRAMなどの記憶媒体に受信した持ち球情報(持ち球数)を記憶する(S422)。続くS423の処理において、前記持ち球情報を主制御装置40へ送信する。この情報により主制御装置40は前記「持ち球情報加減算処理1」を行う。
【0068】
S420の処理で持ち球情報の記憶があれば(S420:no)、続くS424の処理において、第1、第2始動口SW503,504、左、右入賞口SW506,507、カウントSW508の検出信号により第1、第2特図始動口23,24や大入賞口25ないし普通入賞口26への入賞があったか否かを確認する。入賞が検出されれば(S424:yes)、入賞に応じて払出される賞球の数を前記持ち球情報に加算し記憶して、持ち球情報を更新する(S425)。
入賞の検出は主制御装置40によりなされ、主制御装置40により入賞に応じた賞球数の情報が払出制御装置41へ送られる。そして前記S424の処理により前記情報を確認する。
これに限らず、入賞に関する前記検出信号を払出制御装置41が受信して入賞検出を確認し、検出に応じて賞球数を決定するように構成してもよい。
【0069】
前記S424の処理において入賞の検出が無ければ(S403:no)、発射装置31により遊技球を発射したこと検出する球送センサ523による検出があったか否かを確認する(S426)。前記センサ523の検出があれば(S426:yes)、前記持ち球情報から1を減算して持ち球情報を更新する(S427)。
【0070】
払出制御装置41は遊技の終了時に、
図17に示すように「持球情報処理2」を実行してCRユニット60へ向けて持ち球情報を送る。「持球情報処理2」では、遊技終了時に主制御装置40で実行される前記「計数処理」(
図13)のS502の処理により主制御装置40から持ち球情報を受信したか否かを確認する(S620)。主制御装置40から持ち球情報の受信があれば(S620:yes)、主制御装置40からの持ち球情報と、払出制御装置41で算出した持ち球情報とを照合、比較する。そして両者の情報が合致したか否かを確認する(S621)。
【0071】
両者の情報が合致すれば(S622:yes)、CRユニット60へ向けて前記持ち球情報を送信する(S623)。その後、払出制御装置41の持ち球情報をクリアする(S624)。前記払出制御装置41からの持ち球情報を受信したCRユニット60は、情報に基づいてICカードの情報を更新する。
前記情報が合致しなければ(S622:no)、S625の持ち球エラー処理において、CRユニット60を介して前記ホールコンピュータ500へ持ち球に関するエラーが発生したことを報知するとともに、主制御装置40を介して警告ランプ等を点灯して遊技施設の従業員にエラーの発生を報知せしめる。
【0072】
前記S620において主制御装置40からの持ち球情報の受信がなければ(S620:no)、遊技を終了するために計数SW174が操作されたか否かを確認し(S626)、計数SW174が操作されていれば(S626:yes)、主制御装置40へ向けて計数信号を送信せしめる(S627)。これにより、主制御装置40では前記「計数処理」(
図13)を行うこととなる。
【0073】
本パチンコ機によれば、前記第1の実施形態のパチンコ機1と同様の作用効果を奏する上、主制御装置40および払出制御装置41において個別に持ち球数を算出し、遊技終了時に両者の持ち球数を照合するようにしたので、遊技終了時の持ち球数を正確に算出することができる。
【0074】
尚、特許請求の範囲に記載の本発明は前記実施形態の構成に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲でさまざまに実施できることは勿論である。例えば、前記第1の実施形態のパチンコ機においては、遊技中に残高表示装置173には持ち球数を表示しないが、前記第2の実施形態のパチンコ機においては、遊技中に残高表示装置173に、払出制御装置41で算出した持ち球数を表示するようにしてもよい。
また第1および第2の実施形態のパチンコ機において、遊技を開始する場合、ICカードのクレジット残高の範囲内で遊技球の貸出しを行いこれを持ち球として遊技を開始する、又はCRユニット60へのICカード挿入時にカードに持ち球数の記憶がある場合にはカードから全ての持ち球数情報を払出制御装置41が読み取りこれを持ち球として遊技を開始する構成であるが、これに限らず、後者の場合にはカードから全ての持ち球数情報を読み取るのではなく、遊技者の操作により払出制御装置41が任意の数ずつ持ち球情報として読み取りこれに基づいて遊技を開始する構成としても良い。