特許第5764774号(P5764774)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5764774
(24)【登録日】2015年6月26日
(45)【発行日】2015年8月19日
(54)【発明の名称】遊技機
(51)【国際特許分類】
   A63F 7/02 20060101AFI20150730BHJP
【FI】
   A63F7/02 326Z
   A63F7/02 334
【請求項の数】1
【全頁数】28
(21)【出願番号】特願2011-58549(P2011-58549)
(22)【出願日】2011年3月16日
(65)【公開番号】特開2012-192045(P2012-192045A)
(43)【公開日】2012年10月11日
【審査請求日】2014年3月7日
(73)【特許権者】
【識別番号】395018239
【氏名又は名称】株式会社高尾
(72)【発明者】
【氏名】中山 博夫
(72)【発明者】
【氏名】久保 慶太
【審査官】 鶴岡 直樹
(56)【参考文献】
【文献】 特開2010−167124(JP,A)
【文献】 特開2010−178891(JP,A)
【文献】 特開2010−115222(JP,A)
【文献】 特開2010−178903(JP,A)
【文献】 特開平10−263171(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A63F 7/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ケース基体とケース蓋体を具備し、前記ケース基体とケース蓋体とを組み合わせて閉止したときに形成される空間部に電気的作動装置を制御するための制御基板を収納する基板ケースと、
前記ケース基体の外側に突設された基体突設片と、
前記ケース蓋体の外側に突設されると共に前記ケース基体とケース蓋体とを組み合わせて閉止したときに前記基体突設片と対向状態となる蓋体突設片と、
該対向状態となった前記蓋体突設片及び前記基体突設片を被覆するカバー部材と、を備え、
前記基体突設片は、該基体突設片と前記蓋体突設片とが対向状態となったとき、ICタグシールを該両突設片に跨って貼付するための基体シール貼付部を備え、
前記蓋体突設片は、前記基体突設片と前記蓋体突設片とが対向状態となったとき、前記ICタグシールを該両突設片に跨って貼付するための蓋体シール貼付部を備え、
前記対向状態において前記基体突設片及び前記蓋体突設片によって形成される間隙部に進退可能に収容されると共に、カバー連動手段によって前記蓋体突設片及び前記基体突設片を被覆する前記カバー部材と係止されて該カバー部材が前記両突設片から離脱するに伴い連動して前記ICタグシールを切断する切断部材を備え、
前記切断部材が前記ICタグシールを切断するとき、切断部材が進行する方向とは逆方向に向かって前記ICタグシールを抑圧するシール抑圧手段と、
前記シール抑圧手段を前記カバー部材の内部に係止するカバー部材係止手段を備え、
前記シール抑圧手段は、カバー部材係止手段によって係止されたカバー部材が前記蓋体突設片及び前記基体突設片を被覆するとき、前記ICタグシールを前記切断部材が進行する方向とは逆方向に向かう付勢力によって抑圧する弾性部材を備えたこと、
特徴とする遊技機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基板ケースを備えた遊技機に関するものであり、より詳しくは、不正行為の行われたことをより確実に発見可能な遊技機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から遊技機は、当否抽選等によって遊技者が享受できる利益に影響を及ぼす制御を司る各種制御基板を備えてきた。このような制御基板は、ケース基体とケース蓋体で構成される基板ケースに収納されて、当該基板ケースが遊技機裏面側の所定位置に配設されることで、遊技機を構成するものである。一方、上述した各種制御基板に何らかの不正工作を施し、或いは制御基板ごと不正な制御基板に交換するなどの不正行為を行うことで、不正に大きな利益を享受することを狙った所謂ゴト行為が後を絶たなかった。このようなゴト行為は、基板ケースのケース基体とケース蓋体を開けて行う必要があり、ゴト行為が行われたことを速やかに認知することで被害を最小限に止めるために、基板ケースを封印する様々な工夫が為されてきた。例えば、基板ボックスを構成する上蓋部材とベース部材とから各々突出して重合する複数の重合結合部を形成し、当該重合結合部を締結部材により固着せしめて開封不能に封印し、重合結合部を切除しなければ開封できないようにした技術(例えば、特許文献1参照)などがある。
しかし、開封の際の切除等で発生する破壊痕跡を、認知不能な程度に極めて巧みに止めて、殆ど残らないようにすることで、遊技店等の発見を遅らせて、不正に大きな利益を得るゴト事案が続発するようになった。これに対処するために、ICタグシールをケース基体とケース蓋体に跨って貼付することで基板ケースの封印手段とする技術が採用されるようになった。詳述すると、ICタグシールは、シール薄体の内部に、ID情報が格納されたICチップと、当該ICチップから延設されて、ID情報を外部に向けて発信可能なアンテナ部を備えており、アンテナ部から発信されたID情報をICタグリーダーで読み取ることが可能となっている。基板ケースを開放するためには、ICタグシールを剥がしたり、破いたりする必要があり、その際にアンテナ部が毀損することでICタグリーダーでの読み取りが正常には行われないことを根拠に、基板ケースの開放が行われたことを推察することが可能となっている。また、ICタグシールが剥がれたり、破れたりした異常な状態が痕跡として残り、視覚的にも容易に確認可能となった。このICタグシールを封印手段として採用した基板ケースとして、ICタグシールを破壊した場合にID情報の読み取りを確実に不可能とすることを目的とした技術(例えば、特許文献2参照)が考案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平10−263171号公報
【特許文献2】特開2010−115222号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前記特許文献2に記載された遊技機の基板ケースの場合、ICチップとアンテナ部とを接続する接続部を切断するための、刃上部72、刃先51、或いは切れ刃51等の、所謂切断機構を備えている。そして、基板ケースを開放する際には、貼付されたICタグシールによって覆われた貼付部の内部に位置する前記切断機構が、外部に変位することにより、ICタグシールを内側から外側に向かって突き破る態様で破断するに伴い接続部を切断するように構成されている。この点、内側から外側に向かって変位する切断機構がICタグシールに当接し、更に変位するにつれて切断機構からICタグシールへ加わる圧力は大きくなり、この圧力に耐え切れなくなってICタグシールが破断する。つまり、切断機構からICタグシールへ加わる圧力に対抗する圧力があってこそ、ICタグシールが変位せずに破断に至るのであって、特許文献2に記載された技術では、この圧力をICタグシールの粘着力(貼付力)にのみ依存している。しかしながら、このようなシールの粘着力は、時間の経過、使用される環境(温度、湿度)、或いは何らかの原因による化学的な変性等により、変化することが想定される。こうして粘着力が弱くなってしまうとICタグシールは、切断機構により破断されずに、切断機構と共に変位してしまうことになり、ID情報の読み取りを不可能とすることが出来ず、不正に基板ケースが開放されたことを速やかに発見することが出来ない、という問題があった。
本願発明は係る課題に鑑みなされたものであり、切断機構からICタグシールへ加わる圧力に対抗する圧力を、ICタグシールの粘着力(以下に貼付力、貼着力或いは接着力とも記載する)にのみ依存することなく、当該対抗する圧力を発生するシール抑圧手段を備えて、ICタグシールを確実に破断することで、ICタグシールの粘着力が弱くなってしまっても、基板ケースが開放された場合のID情報の読み取りをより確実に不可能とし、不正行為による被害を極力抑えることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するためになされた本発明の請求項1記載の遊技機は、ケース基体とケース蓋体を具備し、前記ケース基体とケース蓋体とを組み合わせて閉止したときに形成される空間部に電気的作動装置を制御するための制御基板を収納する基板ケースと、前記ケース基体の外側に突設された基体突設片と、前記ケース蓋体の外側に突設されると共に前記ケース基体とケース蓋体とを組み合わせて閉止したときに前記基体突設片と対向状態となる蓋体突設片と、該対向状態となった前記蓋体突設片及び前記基体突設片を被覆するカバー部材と、を備え、前記基体突設片は、該基体突設片と前記蓋体突設片とが対向状態となったとき、ICタグシールを該両突設片に跨って貼付するための基体シール貼付部を備え、前記蓋体突設片は、前記基体突設片と前記蓋体突設片とが対向状態となったとき、前記ICタグシールを該両突設片に跨って貼付するための蓋体シール貼付部を備え、前記対向状態において前記基体突設片及び前記蓋体突設片によって形成される間隙部に進退可能に収容されると共に、カバー連動手段によって前記蓋体突設片及び前記基体突設片を被覆する前記カバー部材と係止されて該カバー部材が前記両突設片から離脱するに伴い連動して前記ICタグシールを切断する切断部材を備え、前記切断部材が前記ICタグシールを切断するとき、切断部材が進行する方向とは逆方向に向かって前記ICタグシールを抑圧するシール抑圧手段と、を備えたことを特徴とする。
【0006】
また、遊技機は、前記基体シール貼付部と蓋体シール貼付部に跨ってICタグシールが貼付された後に、前記シール抑圧手段を前記基体突設片及び/又は蓋体突設片に係止する突設片係止手段を備えるようにしても良い
【0007】
また、請求項1に記載の遊技機は、前記シール抑圧手段を前記カバー部材の内部に係止するカバー部材係止手段を備え、前記シール抑圧手段は、カバー部材係止手段によって係止されたカバー部材が前記蓋体突設片及び前記基体突設片を被覆するとき、前記ICタグシールを前記切断部材が進行する方向とは逆方向に向かう付勢力によって抑圧する弾性部材を備えた、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
請求項1に記載の遊技機によれば、切断部材によって下方から加えられる力に対抗する力を、ICタグシールの貼付力に依存することなく、シール抑え部材のICタグシールを抑え込む力に依存するので、仮にICタグシールの貼付力が何らかの原因で低下していても、常に確実に切断することが可能となる。
【0009】
なお、前記基体シール貼付部と蓋体シール貼付部に跨ってICタグシールが貼付された後に、前記シール抑圧手段を前記基体突設片及び/又は蓋体突設片に係止する突設片係止手段を備えるようにした遊技機であれば、シール抑圧手段を基体突設片及び/又は蓋体突設片に係止する突設片係止手段を備えたことにより、基体シール貼付部と蓋体シール貼付部に跨って貼付したICタグシールを、シール抑圧手段が確実に抑え込むことが可能となる。
【0010】
また、シール抑圧手段が突設片係止手段によって係止されることで、シール抑圧手段が一定の位置で係止されて、切断部材との離隔状態すなわちクリアランス等の条件が常に一定の条件を維持可能となるので、一定の切断状態を発生可能となる。
【0011】
また、シール抑圧手段が突設片係止手段によって係止されることで、シール抑圧手段が一定の位置で係止されるため、ICタグシールに対して常に一定の条件で抑え込むこと、つまり、切断の最初から最後まで確実にICタグシールが浮き上がることの無いように抑え込むことが可能となり、これにより一定の切断状態を発生可能となる。
【0012】
さらに、シール抑圧手段が突設片係止手段によって基体突設片及び/又は蓋体突設片に係止されることで、シール抑圧手段が確実にICタグシールを抑え込んでいるか否かの検査を、カバー部材を被せる前に、容易に行うことが可能となり、これにより、不正行為の行われたことをより確実に発見可能となる。
【0013】
また、請求項1に記載の遊技機は、ICタグシールを切断部材が進行する方向とは逆方向に向かう付勢力によって抑圧する弾性部材を備えたことにより、カバー部材が前記蓋体突設片及び前記基体突設片を被覆するとき、弾性部材がICタグシールを切断部材が進行する方向とは逆方向に向かう付勢力によって抑圧するので、ICタグシールを、確実に抑え込むことが可能となる。
【0014】
また、カバー部材が前記蓋体突設片及び前記基体突設片を被覆する際に、弾性部材が徐々に加圧するので、弾性部材がICタグシールを抑圧する状態の変化や異常を確認しながら、確実に装着することが可能となる。
【0015】
さらに、シール抑圧手段の弾性部材をカバー部材の内部に係止したので、封印が完了することとなるカバー部材の装着までは、ICタグシールの上面部を遮蔽するものが無く、ICタグシールの異常を容易に確認出来る。したがって、封印作業の最終段階であるカバー部材の装着の直前で、ICタグシールの異常が発見出来れば、ICタグシールの交換や修正等の作業が可能となるので、これにより、不正行為の行われたことをより確実に発見可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明を適用した第1の実施形態のパチンコ機1の裏面図
図2】パチンコ機1の電気構成図
図3】ICタグシールの構成を説明する概略説明図
図4】本実施例の基板ケースの組み付け状態を説明する概略斜視図
図5】実施例1の基板ケースを備えた主制御装置20の構成を説明する概略斜視図
図6】実施例1の基体突設片72、蓋体突設片82、切断部材90、基体側シール抑え部材110、及び蓋体側シール抑え部材111の組み付け状態を説明する概略斜視図
図7】実施例1における本発明のカバー部材、切断部材及びシール抑圧手段の作用を説明する概略説明図
図8】実施例2の基体突設片72、蓋体突設片82、切断部材290及びシール抑え部材210の組み付け状態を説明する概略斜視図
図9】実施例2における本発明のカバー部材、切断部材及びシール抑圧手段の作用を説明する概略説明図
図10】実施例3の基体突設片72、蓋体突設片82、切断部材390及びシール抑え部材310の組み付け状態を説明する概略斜視図
図11】本発明のシール抑圧手段の係止構成に係る他の変形例について説明する概略説明図
図12】実施例4の基体突設片72、蓋体突設片82、切断部材490、シールカバー465及びシール抑え部材410の組み付け状態を説明する概略斜視図
図13】実施例4における本発明のカバー部材、切断部材及びシール抑圧手段の作用を説明する概略説明図
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下に本発明の好適な実施形態について説明する。なお、本発明の実施の形態は下記の実施例に何ら限定されるものではなく、本発明の技術的範囲に属する種々の形態を採ることができ、各実施例に記載された内容を適宜組み合わせることが可能なことはいうまでもない。
[実施例1]
【0018】
本発明を適用した実施形態の遊技機たるパチンコ機を説明する。なお、本発明の特徴はパチンコ機裏面側に設けられた基板ケースの構成にあり、本実施形態におけるパチンコ機の遊技盤等を含む前面側の構成は、一般的なパチンコ機に採用される周知技術であるため、正面図及び遊技盤等の図面及び詳細な説明は割愛し、概略構成のみ説明する。
【0019】
図1は、本発明を適用した第1の実施形態のパチンコ機の裏面図である。図1に示すように、パチンコ機1の裏側は、縦長の固定外郭保持枠をなす外枠2にて構成の各部を保持する構造としてある。さらに、図示しない遊技盤を脱着可能に取り付ける内枠3が収納されている。内枠3は、図示しない前枠と同様に、一方の側縁(図示右側)の上下位置が前記外枠2にヒンジ結合され開閉可能に設置されている。内枠3には、遊技球流下通路が形成されており、上方(上流)から球タンク11、タンクレール12、払出ユニット13が設けられ、払出ユニット13の中には払出装置が設けられている。この構成により、図示しない遊技盤に配設された何れかの入賞口に遊技球が入賞すれば、球タンク11からタンクレール12を介して所定個数の遊技球(賞球)が払出ユニット13により払出球流下通路を通り、パチンコ機1の表側に設けられた上皿(図示しない)に払い出される。また、本実施形態では前記賞球を払い出す払出ユニット13により、貸出ボタンの操作で払い出される貸球も払い出す構成としてある。また、パチンコ機1の裏側には、主制御装置20、払出制御装置21、演出図柄制御装置22、サブ統合制御装置23、発射制御装置24、電源基板25が設けられている。演出図柄制御装置22、サブ統合制御装置23はサブ制御装置に該当する。これらの各種制御装置等は、電気的作動装置等を制御するための制御基板と、該制御基板を収容する基板ケースを備える。さらに、本実施形態では、主制御装置20が本発明の要部である基板ケースを備えるものである。なお、本発明の基板ケースを、主制御装置20に限定せず、払出制御装置21、演出図柄制御装置22、サブ統合制御装置23、発射制御装置24、電源基板25に備えるようにしても良い。本発明の基板ケースは、遊技機としてのパチンコ機1に設けられた後述する各種電気的作動装置を制御するための制御基板を収納するものである。
【0020】
主制御装置20、演出図柄制御装置22、サブ統合制御装置23は遊技盤に設けられ、払出制御装置21、発射制御装置24、電源基板25は内枠3に設けられている。図1では発射制御装置24は、払出制御装置21に遮蔽されて設けられている。
【0021】
また、球タンク11の右側には、外部接続端子板14が設けてあり、外部接続端子板14により、遊技状態や遊技結果を示す信号がホールコンピュータ15(図2参照)へ送られる。なお、従来はホールコンピュータへ信号を送信するための外部接続端子板には、盤用(遊技盤側から出力される信号をホールコンピュータへ出力するための端子)と枠用(枠側(前枠、内枠3、外枠2)から出力される信号をホールコンピュータへ出力するための端子)の2種類を用いていたが、本実施形態では、ひとつの外部接続端子板14を介して遊技状態や遊技結果を示す信号をホールコンピュータへ送信する。
【0022】
図2は、本実施例のパチンコ機1の電気的構成図である。パチンコ機1の各種電気的作動装置に係る電気的構成は、図示のとおり、主制御装置20を中心にして構成されている。なお、このブロック図には、単に信号を中継するだけのためのいわゆる中継基板及び電源回路等は記載していない。また、詳細の図示は省略するが、主制御装置20、払出制御装置21、演出図柄制御装置22、サブ統合制御装置23のいずれもCPU、ROM、RAM、入力ポート、出力ポート等を備えているが、本実施例では発射制御装置24にはCPU、ROM、RAMは設けられていない。しかし、これに限るわけではなく、発射制御装置24にCPU、ROM、RAM等を設けてもよい。さらに、スイッチは、便宜上、SWと省略して記載する場合がある。
【0023】
主制御装置20には、遊技盤に配設された第1特図始動口(図示しない)に入球した遊技球を検出する第1始動口スイッチ30、第2特図始動口(図示しない)に入球した遊技球を検出する第2始動口スイッチ31、普通図柄を作動させる普図始動口(図示しない)に入球した遊技球を検出する普図作動スイッチ32、大入賞口(図示しない)に入球した遊技球を計数するためのカウントスイッチ33、普通入賞口(図示しない)に入球した遊技球を検出する左入賞口スイッチ34、右入賞口スイッチ35等の検出信号が、主制御装置20に入力されるよう構成されている。
【0024】
主制御装置20は搭載しているプログラムに従って動作して、上述の検出信号などに基づいて遊技の進行に関わる各種のコマンドを生成して払出制御装置21及びサブ統合制御装置23に出力する。
また主制御装置20は、図柄表示装置中継端子板26を介して接続されている第1特図表示装置9、第2特図表示装置10、普図(普通図柄)表示装置7の表示及び普図保留数表示装置8の点消灯を制御する。
【0025】
更に、主制御装置20は、大入賞口ソレノイド36を制御することで大入賞口の開閉を制御し、普電役物ソレノイド37を制御することで第2特図始動口の開閉を制御する。
主制御装置20からの出力信号は試験信号端子(図示しない)にも出力される他、図柄変動や大当り(特別遊技ともいう)等の管理用の信号が外部接続端子板14に出力されてホールコンピュータ15に送られる。主制御装置20と払出制御装置21とは双方向通信が可能に構成されている。
【0026】
払出制御装置21は、主制御装置20から送られてくるコマンドに応じて払出モータ40を駆動させて賞球を払い出させる。本実施例においては、賞球として払い出される遊技球を計数するための払出スイッチ41の検出信号は払出制御装置21に入力され、払出制御装置21で賞球の計数が行われる構成を用いる。この他にも主制御装置20と払出制御装置21に払出スイッチ41の検出信号が入力され、主制御装置20と払出制御装置21の双方で賞球の計数を行う構成を用いることも考えられる。
【0027】
なお、払出制御装置21はガラス枠開放スイッチ42、内枠開放スイッチ43、満杯スイッチ44、球切れスイッチ45からの信号が入力され、満杯スイッチ44により下皿(図示しない)が満タンであることを示す信号が入力された場合及び球切れスイッチ45により球タンク11に遊技球が少ないあるいは無いことを示す信号が入力されると払出モータ40を停止させ、賞球の払出動作を停止させる。なお、満杯スイッチ44、球切れスイッチ45も、その状態が解消されるまで信号を出力し続ける構成になっており、払出制御装置21は、その信号が出力されなくなることに起因して払出モータ40の駆動を再開させる。
【0028】
また、払出制御装置21はCRユニット端子板46を介してCRユニット(プリペイドカードユニット)47と交信することで払出モータ40を作動させ、貸し球を排出する。払出された貸し球は払出スイッチ41に検出され、検出信号は払出制御装置21に入力される。なお、CRユニット端子板46は精算表示装置48とも双方向通信可能に接続されており、精算表示装置48には、遊技球の貸出しを要求するための球貸スイッチ49、精算を要求するための精算スイッチ50、残高表示器(図示しない)が接続されている。
【0029】
また、払出制御装置21は、外部接続端子板14を介して賞球に関する情報、枠(内枠3、前枠)の開閉状態を示す情報などをホールコンピュータに送信するほか、発射制御装置24に対して発射停止信号を送信する。
なお本実施例では遊技球を払い出す構成であるが、入賞等に応じて発生した賞球を払い出さずに記憶する封入式の構成にしても良い。
【0030】
発射制御装置24は発射モータ51を制御して、遊技球を遊技領域に発射させる。なお、発射制御装置24には払出制御装置21以外に発射ハンドル(図示しない)からの回動量信号(図示しない)、タッチスイッチ52からのタッチ信号、発射停止スイッチ53からの発射停止信号が入力される。
回動量信号は、遊技者が発射ハンドルを操作することで出力され、タッチ信号は遊技者が発射ハンドルに触ることで出力され、発射停止スイッチ信号は、遊技者が発射停止スイッチ53を押すことで出力される。なお、タッチ信号が発射制御装置24に入力されていなければ、遊技球は発射できないほか、発射停止スイッチ信号が入力されているときには、遊技者が発射ハンドルを触っていても遊技球は発射できないようになっている。
【0031】
サブ統合制御装置23はサブ制御装置に該当し、主制御装置20から送信されてくるデータ及びコマンドを受信し、それらを演出表示制御用、音制御用及びランプ制御用のデータに振り分けて、演出表示制御用のコマンド等は演出図柄制御装置22に送信し、音制御用及びランプ制御用は自身に含まれている各制御部位(音声制御装置及びランプ制御装置としての機能部)に分配する。そして、音声制御装置としての機能部は、音声制御用のデータに基づいて音LSIを作動させることによってスピーカ54からの音声出力を制御し、ランプ制御装置としての機能部はランプ制御用のデータに基づいてランプドライバを作動させることによって各種LED、ランプ55を制御する。 また、サブ統合制御装置23には、演出ボタン56が接続されており、遊技者が演出ボタン56を操作した際には、その信号がサブ統合制御装置23に入力される。さらに、サブ統合制御装置23には、音量調節スイッチ57からの信号が入力されることにより、スピーカ54の音量を調節可能に構成されている。
【0032】
サブ統合制御装置23と演出図柄制御装置22とは双方向通信が可能である。
演出図柄制御装置22は、サブ統合制御装置23から受信したデータ及びコマンド(共に主制御装置20から送信されてきたものとサブ統合制御装置23が生成したものとがある)に基づいて演出図柄表示装置6を制御して、擬似図柄等の演出画像を演出図柄表示装置6の画面に表示させる。
【0033】
以上、本発明の遊技機の一例として、本実施形態のパチンコ機1の基本的な構成を説明してきた。ところで、本発明は、上述したようにICタグシールを、当該ICタグシールの粘着力(貼付力)にのみ依存することなく、確実に切断することで、基板ケースが開放された場合のID情報の読み取りをより確実に不可能にし、ひいては不正行為による被害を極力抑えることを目的とするものであるが、ここで、本発明の要部が切断する対象としてのICタグシールについて、予め説明する。
【0034】
図3は、本発明の要部が切断する対象としての、ICタグシールの構成を説明する概略説明図である。図3に示すように、ICタグシール60は、略矩形状の薄体で形成されたシール基体60cと、該シール基体60cの略中央位置に設けられて固有のID情報が記録されたICチップ60aと、該ICチップ60aから、図示右斜め上方向及び左斜め下方向に向かって夫々帯状に延設されるアンテナ部60bと、該アンテナ部60b上且つICチップ60aから図示左斜め下方向に向かって線状に設けられる接続部60dを備える。
接続部60dは、ICチップ60aとアンテナ部60bとを電気的に接続状態とし、これにより、ICチップ60aは、記録されたID情報をアンテナ部60bを介して送信可能に構成されている。このように構成されるICタグシール60に対して、ICチップ60aのID情報を外部から読取装置によって読み取ることが可能となっている。これにより、読取装置による読み取り結果から、ICチップ60aの真贋判定や、ICタグシール60の状態判定を行うことが出来る。本発明の要部である基板ケースにも、このようなICタグシール60が封印手段として採用されている。本実施例では、上述したように、主制御装置20が本発明の要部である基板ケースを備えるものであり、次に当該基板ケースの構成について説明する。
【0035】
図4は、本実施例の基板ケースの組み付け状態を説明する概略斜視図である。なお、図4に示す主制御装置20は、本発明の要部を説明する上で必要としない構成を図1の主制御装置20から割愛して示したものである。また、本発明の特徴は、上述したように、主制御装置20に限定したものではなく、他の制御装置であっても、ICタグシールを封印手段とする本発明の基板ケースを備えるものであれば良い。
図4に示すように、本実施例の主制御装置20は、少なくともケース基体70とケース蓋体80を具備してなる。ケース基体70とケース蓋体80を組み合わせて本発明の基板ケースが構成されている。当該基板ケースは、パチンコ機1に設けられた各種電気的作動装置の制御機能を司る図示しない制御基板を、内部に形成された空間に収納可能となっている。さらに、ケース基体70とケース蓋体80を組み合わせて封印する手段としての上述したICタグシール60を被覆するシールカバー65も備える。
【0036】
図5を参照して、基板ケースを備えた主制御装置20の構成についてさらに説明する。図5は、本実施例の基板ケースを備えた主制御装置20の構成を説明する概略斜視図である。本実施例の主制御装置20の基板ケースは、ケース基体70、ケース蓋体80、切断部材90、及びカバー部材としてのシールカバー65を備える。さらに、ケース基体70は、制御基板を収容する基体本体部71と、該基体本体部71の上部に基体突設片72を備え、ケース蓋体80は、同じく制御基板を収容する蓋体本体部81と、該蓋体本体部81の上部に蓋体突設片82を備える。
さらに、本実施例のシール抑圧手段として、ケース基体70側には基体側シール抑え部材110を、ケース蓋体80側には蓋体側シール抑え部材111を備える。
では次に、図6も併せて参照しながら、これらの構成についてさらに詳述する。図6は、本実施例の基体突設片72、蓋体突設片82、切断部材90、基体側シール抑え部材110、及び蓋体側シール抑え部材111の組み付け状態を説明する概略斜視図である。
【0037】
先ず、本発明のシール抑圧手段としての、基体側シール抑え部材110、及び蓋体側シール抑え部材111の構成について説明する。
基体側シール抑え部材110は、略薄板帯状に形成された抑え帯片110aと、該抑え帯片110aの左右両側部に左右対称のL字状に形成されてなる係止舌片110bを備える。一対の係止舌片110b、110bは、それぞれ後述する基体突設片72の一対の係止孔72a、72aに挿入されて基体側シール抑え部材110を係止する。基体側シール抑え部材110が係止されると、抑え帯片110aの裏面部がICタグシール60を下方、すなわち切断部材90がICタグシール60を切断する方向とは逆の方向に向かって、抑圧するように構成されている。
なお、本実施例では、基体側シール抑え部材110を一定の幅の帯状材で形成した例を示したが、他の構成であっても良い。例えば、係止孔72aに挿入される係止舌片110bの幅よりも、抑え帯片110aの幅を広く、すなわち基体シール貼付部の図示手前側と同じ位置まで拡幅して設けても良い。このように構成することによって、切断部材90が切断の際に上下に通過する位置に近接した位置まで、ICタグシール60を抑え込むことになり、ICタグシール60を切断部材90と抑え帯片110aで、さらに好適な条件で剪断することが出来る。
さらに、本実施例の抑え帯片111aと、係止舌片111bを備える蓋体側シール抑え部材111は、基体側シール抑え部材110と対称に構成されているので、説明を割愛する。
【0038】
次いで本実施例の、ケース基体70の基体本体部71は、図示前面が開口した底の浅い箱状に形成され、図示左右の立ち上がり部には、略逆L字状に形成された係止凸部75が4箇所設けられている。
また、基体本体部71の外側且つ上部には、後述するICタグシール60が貼付されるための基体シール貼付部72bを備え、断面略逆L字の薄板状に形成された基体突設片72が突設されている。該基体突設片72は、基体本体部71の上部から上方に向かって、所定の高さで形成されている。より詳述すると、基体突設片72は、基体本体部71の上部の立ち上がり部から、上方すなわち基体本体部71の外側方向に向かって、所定の高さまで薄板状に立ち上がり形成され、次いで手前側に向かって略直角に折れ曲がって平面部が形成されてなる。
【0039】
なお、基体突設片72の当該平面部と、後述する蓋体突設片82の平面部が対向して近接した状態においては、一定の間隙をもって離隔するように構成されており(図6(A)参照)、本実施例では、後述する切断部材90が挿通されるとき、基体突設片72及び蓋体突設片82が切断部材90に干渉せず、且つ切断部材90がICタグシール60を切断するに好適なクリアランスに設定されている。
【0040】
基体突設片72の平面部の図示左右両側部には、矩形状に形成されてなる一対の係止孔72a、72aが穿設されている。当該係止孔72a、72aには、上述したように、基体側シール抑え部材110の一対の係止舌片110b、110bが夫々挿入されて、これにより基体側シール抑え部材110が基体突設片72に係止される。当該係止によって、基体側シール抑え部材110が基体突設片72の基体シール貼付部72bに貼付されたICタグシール60を、図示上方から下方に向かって、剥離しないように抑えつけるように作用するものである。
【0041】
さらに、基体突設片72は、上述した立ち上がり部及び平面部の外側部分に基体シール貼付部72bを備える。基体シール貼付部72bは、図示したように(図6参照)、平面部から僅かに低い幅広の溝部で形成され、図示しない立ち上がり部の裏面側にまで延設されてなる。当該溝部の幅は、図5に示すICタグシール60の左右の幅寸法よりも僅かに大きく形成されており、ICタグシール60を貼付する際に、当該溝部の中に貼付するようにすることで、大きくずれて貼付されることを防止するようにしている。当該溝部はICタグシール60の貼付位置の目安となるものである。
【0042】
基体突設片72の図示左右には、基体突設片72の左右両側部に当接する位置に、一対の左基体カバー支持部74aと右基体カバー支持部74bが設けられている。左基体カバー支持部74aは、縦長の略直方体状に形成されると共に、上部半分が上方に向かって先細りする傾斜状に形成されてなる。右基体カバー支持部74bは、左基体カバー支持部74aと対称に形成されている。このように傾斜状に形成された左基体カバー支持部74aと右基体カバー支持部74bが、基体突設片72を挟んで設けられていることにより、後述するシールカバー65を前記傾斜に沿わせて下降させることで、容易に被せることが出来る。また、左基体カバー支持部74aと右基体カバー支持部74bは、シールカバー65の凹部の内側に丁度嵌入できるように構成されている。
【0043】
ケース蓋体80の蓋体本体部81は、図示しない裏面部が開口し、断面凸字状の、且つ箱状に形成されている。また、蓋体本体部81の裏面側には、上述したケース基体70の係止凸部75に対応して、該係止凸部75が挿入且つ図示上下方向にスライドすることによって、ケース基体70とケース蓋体80を組み合わせて閉止することが可能な、図示しない係止凹部が4箇所設けられている。なお、このようにケース基体70とケース蓋体80が組み合わされて閉止されたことにより形成される内部空間に、上述した制御基板(図示しない)が収納される。また、該制御基板は、ケース基体70とケース蓋体80の何れに取り付けられる構成であっても良い。
【0044】
本実施例では、蓋体本体部81の外側且つ上部には、上述した、基体突設片72、左基体カバー支持部74a、及び右基体カバー支持部74bに対応して、これと対称の構成で、蓋体突設片82、左蓋体カバー支持部84a、及び右蓋体カバー支持部84bが突設されている。基体突設片72と同様に、蓋体突設片82は、蓋体シール貼付部82bを備え、ケース基体70とケース蓋体80が組み合わされて閉止されたとき、図6(A)に示すように、基体突設片72と蓋体突設片82は、互いに相対する位置で配設される状態、すなわち対向状態となる。すなわち、基体突設片72及び蓋体突設片82が対向状態となったとき、ICタグシール60を、当該両突設片に跨って貼付するための貼付部として、基体突設片72は基体シール貼付部72bを、また蓋体突設片82は蓋体シール貼付部82bを備えるものである。さらに、当該状態において、基体突設片72と蓋体突設片82との間には、図示した所定の間隙が形成される。当該間隙は、図示左右両方向に向かって一定の狭い幅の間隙が延設されてなる。こうして形成された間隙には、後述する切断部材90が自由に進退出来る所定のクリアランスで嵌入可能となっている。この点については、切断部材90の構成を説明した後で詳述する。
繰り返しになるが、このように基体突設片72及び蓋体突設片82が対向状態となり、次いで切断部材90が基体突設片72と蓋体突設片82との間隙に挿入され収容される状態となり、更にICタグシール60が当該両突設片に跨って貼付された状態で、基体突設片72の係止孔72a、72aに基体側シール抑え部材110の一対の係止舌片110b、110bが夫々挿入されて、また、蓋体突設片82の係止孔82a、82aに蓋体側シール抑え部材111の一対の係止舌片111b、111bが夫々挿入されて、これによってICタグシール60を基体シール貼付部72b及び蓋体シール貼付部82bから剥離しないように抑えこむものである。
このように、基体突設片72の係止孔72a、72a及び基体側シール抑え部材110の一対の係止舌片110b、110bは、ICタグシール60が貼付された後に、基体側シール抑え部材110を基体突設片72に係止する本発明の突設片係止手段である。同様に、蓋体突設片82の係止孔82a、82a及び蓋体側シール抑え部材111の一対の係止舌片111b、111bは、ICタグシール60が貼付された後に、蓋体側シール抑え部材111を蓋体突設片82に係止する本発明の突設片係止手段である。
さらに詳述すれば、図6(B)に示したように、基体突設片72及び蓋体突設片82の間隙に挿入された切断部材90が、ICタグシール60を切断すべく図示上昇する際、切断部材90が接触することでICタグシール60が基体シール貼付部72b及び蓋体シール貼付部82bから剥離しようとしても、切断部材90の反対側すなわち図示ICタグシール60の直上に基体側シール抑え部材110及び蓋体側シール抑え部材111が配設されていることにより、ICタグシール60の変位を制限する作用を為すものである。つまり、ICタグシール60の貼付力(貼着力、接着力)に依存することなく、確実にICタグシール60を切断(剪断)可能とする。
【0045】
次に、本実施例の切断部材90の構成について説明する。切断部材90は、図5乃至図6に示すように、薄板状に形成された切断板片91と、該切断板片91の図示左側方に左ガイド部94を備え、図示右側方に右ガイド部95を備える。左ガイド部94及び右ガイド部95の下方には、夫々、本発明のカバー連動手段としての左ガイド弾性部94a及び右ガイド弾性部95aを備える。左ガイド部94、右ガイド部95、左ガイド弾性部94a、及び右ガイド弾性部95a、については、後に詳述する。
さらに詳述すると、切断板片91は、図示左右方向の略中央且つ上部に、前面視略M字状に形成されて更に裏面上方から前面下方に向かう下り傾斜状のシェア角を備えてなるICチップ近傍切断部92を備え、該ICチップ近傍切断部92の左側方には図示左方向に向かって僅かに上り傾斜すると共に、上辺部が鋭角に形成されてなる左切れ刃部93aが設けられ、同じく右側方には図示右方向に向かって僅かに上り傾斜すると共に、上辺部が鋭角に形成されてなる右切れ刃部93bが設けられている。このように、本実施例のICチップ近傍切断部92、左切れ刃部93a、及び右切れ刃部93bは、左右方向、また前後方向に傾斜状に形成されることにより、ICタグシール60を切断するための好適なシェア角を得ることが可能となっている。このように、本実施例の切断部材90は、図6(B)に図示したICチップ60aの両側方に向かって延設されるアンテナ部60bの何れかの部分を確実に切断し、更に該切断をシール基体60cにも及ぼすことで、ICタグシール60を2つに分断するものである。
【0046】
上述した左ガイド部94は、略薄板状に形成されると共に、切断板片91に直交して設けられる。また、左ガイド部94の下半分には、左ガイド弾性部94aを備える。左ガイド弾性部94aは、弾性を有する樹脂等の素材で形成され、下方に向かうにしたがって、図示左側すなわち切断部材90の外側方向に開いた状態で構成される。これにより、左ガイド弾性部94aは外側つまり左方向からの加圧により右側つまり中央に向かって撓むようになっている。なお、左ガイド部94及び、左ガイド弾性部94aの幅は、ケース基体70とケース蓋体80が組み合わされた状態(図6(A)参照)における左基体カバー支持部74a及び左蓋体カバー支持部84aが形成する間隙に嵌入可能な寸法で構成されている。
本実施例では、以上説明してきた左ガイド部94、及び左ガイド弾性部94aとは対称の構成で、右ガイド部95、及び右ガイド弾性部95aが設けられている。そして、後述するが、切断部材90が具備する左ガイド弾性部94a及び右ガイド弾性部95aは、相対する基体突設片72及び蓋体突設片82を、シールカバー65が被覆したときに、切断部材90と該シールカバー65が係止され、該係止作用によって、シールカバー65が基体突設片72及び蓋体突設片82から離脱するときに、切断部材90がシールカバー65の変位に連動して変位し、結果としてICタグシール60を切断するための、本発明のカバー連動手段として構成されている。
【0047】
切断部材90は、このように構成されることで、図6(A)に示すように相対する基体突設片72と蓋体突設片82が形成する上述した間隙に挿入可能となっている。具体的には、対向状態となった基体突設片72と蓋体突設片82は、図示左右方向に略一定幅の間隙だけ離隔して固定配置される。前記間隙の幅は、切断部材90の切断板片91の厚みより僅かに大きく形成されており、当該間隙に切断板片91が嵌入されることで、切断部材90が基体突設片72と蓋体突設片82の内部に形成される空間に挿通自在に収容可能となる。さらに、付け加えると、切断板片91が前記間隙に嵌め込まれ、左ガイド部94は左基体カバー支持部74aと左蓋体カバー支持部84aの間隙に嵌め込まれ、右ガイド部95は右基体カバー支持部74bと右蓋体カバー支持部84bの間隙に嵌め込まれる。このように嵌め込まれて図示最下部まで挿入されることにより、本実施例の切断部材90は、相対する基体突設片72と蓋体突設片82が形成する間隙に収容可能且つ、進退可能に構成されている。左ガイド部94が左基体カバー支持部74aと左蓋体カバー支持部84aに進退可能に挟まれて支持され、同じく、右ガイド部95が右基体カバー支持部74bと右蓋体カバー支持部84bに進退可能に挟まれて支持されることにより、切断部材90がシールカバー65と連動する際に、切断部材90の姿勢が一定の起立状態を維持しつつスムーズに上昇変位し、これにより予め設定された上記ICタグシール60を切断するに好適なシェア角の効果を充分に発揮することが可能となる。
【0048】
次いで、本実施例のカバー部材としてのシールカバー65の構成について、図7も参照しつつ説明する。図7は、本実施例における本発明のカバー部材、切断部材及びシール抑圧手段の作用を説明する概略説明図である。シールカバー65は、略直方体状且つ下方に向かって開口した箱状に形成され、図示左右の立下り部の最下部には内側に向かって楔状の係止部65a、及び係止部65bを備える。また、シールカバー65は、図6(B)に示すように、対向状態に位置する基体シール貼付部72b及び蓋体シール貼付部82bに跨って貼付されたICタグシール60を被覆すると共に、基体突設片72、蓋体突設片82、切断部材90等を完全に内部に収容した状態で、係止部65a及び係止部65bによって切断部材90を係止可能に構成されている。当該係止構造及び作用については、後に詳述する。
【0049】
次に、このように構成される本実施例の基板ケースの組み付け方法及び封印(封止)方法を説明する。
先ず、図5に示すケース基体70の4箇所の係止凸部75を、ケース蓋体80の図示しない係止凹部に挿入して図示上下方法にスライドすることにより、ケース基体70とケース蓋体80を組み合わせて閉止する。この際、予めケース基体70若しくはケース蓋体80の何れかに、制御基板を取り付けておくことで、内部空間に制御基板を収容することになる。更に、ケース基体70とケース蓋体80は、図示しない係止手段(例えば、ネジ止め等)により係止する。
こうしてケース基体70とケース蓋体80が組み合わされると、次いで、図6(A)に示すように対向状態となった基体突設片72と蓋体突設片82に対して、上述したように切断部材90が上方から下方に向かって挿入されて配置される。切断部材90が収納配置されると、図6(B)に示すようにICタグシール60を、基体突設片72の図示裏面側の基体シール貼付部72bと、蓋体突設片82の図示表面側の蓋体シール貼付部82bとに跨って貼付する。ICタグシール60が貼付されると、最後に、図7(A)、(B)に示すように、シールカバー65を上方から下方に向かって嵌め込んで被覆し、切断部材90と係止することで組み付け及び封印作業が完了する。このように組みつけられた本発明の基板ケースは、ICタグシール60を破断しない限り開封すなわちケース基体70とケース蓋体80とを離隔することは出来ないように構成されている。本発明の要部としての基板ケースは、以上説明してきたように構成されるものであるが、続いてその作用効果について、先ず図7を参照して説明する。
【0050】
図7(A)はシールカバー65の装着前の状態、図7(B)は装着時すなわち切断部材90を係止した状態、図7(C)はICタグシール60による封印状態を解くためにシールカバー65を取り外した状態、をそれぞれ示している。便宜上、シールカバー65はハッチングを施した概略断面図により示し、手前側に位置する蓋体突設片82は省略した。
先ず図7(A)には、切断部材90が基体突設片72及び蓋体突設片82の間隙に挿入され最下部まで到達して収容され、次いでICタグシール60が貼付された状態で、更に基体側シール抑え部材110が係止された状態(図示しないが、蓋体側シール抑え部材111も係止されている)が示されている。当該状態において、基体突設片72の基体シール貼付部72bの上面部は、切断部材90のICチップ近傍切断部92よりも僅かに高い位置で構成されている。便宜上図示しない蓋体突設片82の蓋体シール貼付部82bの上面部の高さ位置も、上述した基体突設片72の基体シール貼付部72bの上面部と同様である。
【0051】
このように切断部材90が基体突設片72及び蓋体突設片82の間隙に収容され、ICタグシール60が貼付された状態において、シールカバー65を図示矢印方向(下方向)に変位させて装着する。装着及び係止過程について詳述する。シールカバー65を、左基体カバー支持部74a及び右基体カバー支持部74b、さらに図示しない左蓋体カバー支持部84a及び右蓋体カバー支持部84bの傾斜部に沿わせて降下させると、シールカバー65の係止部65aが、切断部材90の左ガイド弾性部94aを図示右側に加圧して撓ませ、一方、係止部65bが、同じく右ガイド弾性部95aを図示左側に加圧して撓ませる。さらに降下が進んで最下部まで到達すると、各ガイド弾性部は、対応する係止部からの加圧から解放されて、左ガイド弾性部94aは左方向に、右ガイド弾性部95aは右方向にそれぞれ開いて現状復帰する。このとき、楔状の係止部65aの上部と左ガイド弾性部94aの下部、及び係止部65bの上部と右ガイド弾性部95aの下部が、それぞれ当接して係止される。このように、切断部材90が、シールカバー65に係止されると、図7(B)に示す状態となる。本実施例のケース基体70及びケース蓋体80は、当該状態とすることにより、ICタグシール60によって封印(封止)状態となる。
【0052】
なお、本実施例の係止部65a及び係止部65bは、シールカバー65の図示前後方向の全域に亘って設けられているのではなく、左ガイド弾性部94a及び右ガイド弾性部95aに対応する箇所にのみ突設されている。このようにすることにより、シールカバー65の図示した左右の内壁と、左基体カバー支持部74aと左蓋体カバー支持部84a(図示しない)及び、右基体カバー支持部74bと右蓋体カバー支持部84b(図示しない)の夫々の外壁部との間隙を少なく出来、シールカバー65を確実に装着することが出来る。
【0053】
次いで、上述した封印状態を解除する過程における作用について説明する。図7(B)に示す状態から、シールカバー65を上方に向かって持ち上げて、対向状態にあるケース基体70の基体突設片72及びケース蓋体80の蓋体突設片82から離隔する方向に変位させる。このとき、係止部65a及び係止部65bが、それぞれ本発明のカバー連動手段としての左ガイド弾性部94a及び右ガイド弾性部95aに当接して係止されていることによって、シールカバー65の上昇変位に伴って、これに連動して切断部材90が上昇変位を開始する。
【0054】
切断部材90の上昇変位に伴い、ICチップ近傍切断部92、左切れ刃部93aの図示左端部及び右切れ刃部93bの図示右端部の図示最上部が、ICタグシール60の下面側すなわち貼付面側に到達する。さらに上昇変位が進むと、ICチップ近傍切断部92、左切れ刃部93a及び右切れ刃部93btが、ICタグシール60の下面側に当接して上方に向かって加圧する。当該加圧よりもICタグシール60の貼付力が大きい場合は、ICタグシール60が切断される。しかし、ICタグシール60の貼付力(貼着力、接着力)が経年劣化や化学反応等によって低下している場合には、本発明のシール抑圧手段としての基体側シール抑え部材110及び蓋体側シール抑え部材111が、切断部材90の上昇変位に伴うICタグシール60の浮き上がりを抑え込む。これによりICチップ近傍切断部92がアンテナ部60bを確実に切断し、更に、左切れ刃部93a及び右切れ刃部93bがシール基体60cを切断することにより、ICタグシール60を2つに切断する。
【0055】
さらに、この切断により、ICタグシール60が切断されたことが、すなわちケース基体70とケース蓋体80との封印(封止)状態が解かれたことが、外部から一見して明白に視認可能となっている。切断部材90の上昇変位がさらに進んで、基体突設片72及び蓋体突設片82から完全に離隔すると、図7(C)に示す状態となる。このとき、左切れ刃部93a及び右切れ刃部93bによって切断されたICタグシール60の切断(破断)状態は、開封が為されたことを明示された状態で残存している。このようにして、本実施例のケース基体70とケース蓋体80は封印が解除されるように構成されている。
【0056】
これまで実施例1について説明してきたが要するに、切断部材90がICタグシール60を切断するために加える圧力に対抗して姿勢を維持するための力を、ICタグシール60の貼付力(貼着力、接着力)にのみ依存することなく、ICタグシール60の上記圧力による変位を抑制するシール抑圧手段としての基体側シール抑え部材110及び蓋体側シール抑え部材111を備えることで、確実にICタグシール60を切断可能とするものである。
[実施例2]
【0057】
次に、本発明の他の実施例として、実施例2を図8及び図9を参照して説明する。図8は、実施例2の基体突設片72、蓋体突設片82、切断部材290及びシール抑え部材210の組み付け状態を説明する概略斜視図であり、図9は、実施例2における本発明のカバー部材、切断部材及びシール抑圧手段の作用を説明する概略説明図である。尚、上述した実施例1と同じ構成については、便宜上同じ符号を付記して説明するか説明を割愛することにし、ここでは本実施例の要部のみを説明する。この点は、以下の実施例の説明についても同様である。
【0058】
図8を参照して、実施例2の構成の要部及び組み付け状態を説明する。
先ず、本発明のシール抑圧手段としての、シール抑え部材210の構成について説明する。
シール抑え部材210は、略薄板帯状に形成された抑え帯片210aと、該抑え帯片210aの左右両側部且つ前後両端部、すなわち4隅に左右対称のL字状に形成されてなる係止舌片210bを備える。図示4箇所に設けられた係止舌片210bは、それぞれ後述する基体突設片72の一対の係止孔72a、72a及び、蓋体突設片82の一対の係止孔82a、82aに挿入されて、シール抑え部材210を係止する。図8(B)に示すように、シール抑え部材210が係止されると、抑え帯片210aの裏面部がICタグシール60を下方、すなわち切断部材90がICタグシール60を切断する方向とは逆の方向に向かって、抑圧するように構成されている。
更に、本実施例のシール抑え部材210は、抑え帯片210aの略中央に、横長矩形状つまり角穴状に穿設されたスリット部210cを備える。当該スリット部210cは、後述するICチップ近傍切断部292が挿通可能な大きさ及び形状で形成される。つまり、当該両構成によってICタグシール60のICチップ60aの近傍、更にいえばICチップ60aから両方向に向かって延設されるアンテナ部60bを確実に切断するように構成されている。
【0059】
なお、基体突設片72の係止孔72a、72aと、蓋体突設片82の係止孔82a、82aと、これらに挿入して係止される4箇所の係止舌片210bは、ICタグシール60が貼付された後に、シール抑え部材210を基体突設片72及び蓋体突設片82に係止する本発明の突設片係止手段である。
【0060】
次に、本実施例の切断部材290の構成について説明する。切断部材290は、薄板状に形成された切断板片291と、該切断板片291の図示左側方に左ガイド部294を備え、図示右側方に右ガイド部295を備える。左ガイド部294及び右ガイド部295の下方には、夫々、本発明のカバー連動手段としての左ガイド弾性部294a及び右ガイド弾性部295aを備える。左ガイド部294、右ガイド部295、左ガイド弾性部294a、及び右ガイド弾性部295a、については、実施例1の構成と同様である。
さらに切断板片291は、図示左右方向の略中央且つ上部に、前面視略M字状に形成されて更に裏面上方から前面下方に向かう下り傾斜状のシェア角を備えてなるICチップ近傍切断部292を備える。また、本実施例では実施例1と異なり、該ICチップ近傍切断部292の左右側方にはシェア角が設けられていない。このように、本実施例の切断部材290は、図8(B)に図示したICチップ60aの両側方に向かって延設されるアンテナ部60bの何れかの部分を確実に切断し、それ以外の部分に関しては敢えて良好な切断状態とせず、すなわち破断した状態となるように構成されている。これにより、ICタグシール60の機能は確実に不能とし、機能部以外の部分の切断状態を一見して破れた、つまり封印が解かれたことを明示する状態とするよう構成されている。
【0061】
このように構成される本実施例の要部の作用効果について、図9を参照して説明する。
図9(A)はシールカバー65の装着前の状態、図9(B)は装着時すなわち切断部材290を係止した状態、図9(C)はICタグシール60による封印状態を解くためにシールカバー65を取り外した状態、をそれぞれ示している。便宜上、シールカバー65はハッチングを施した概略断面図により示し、手前側に位置する蓋体突設片82は省略した。
先ず図9(A)には、切断部材290が基体突設片72及び蓋体突設片82の間隙に挿入され最下部まで到達して収容され、次いでICタグシール60が貼付された状態が示され、シール抑え部材210が係止された状態が示されている。当該状態において、基体突設片72の基体シール貼付部72bの上面部は、切断部材290のICチップ近傍切断部292よりも僅かに高い位置で構成されている。便宜上図示しない蓋体突設片82の蓋体シール貼付部82bの上面部の高さ位置も、上述した基体突設片72の基体シール貼付部72bの上面部と同様である。
【0062】
このように切断部材290が基体突設片72及び蓋体突設片82の間隙に収容され、ICタグシール60が貼付された状態において、シールカバー65を図示矢印方向(下方向)に変位させて装着する。装着及び係止過程について詳述する。シールカバー65を、左基体カバー支持部74a及び右基体カバー支持部74b、さらに図示しない左蓋体カバー支持部84a及び右蓋体カバー支持部84bの傾斜部に沿わせて降下させると、シールカバー65の係止部65aが、切断部材290の左ガイド弾性部294aを図示右側に加圧して撓ませ、一方、係止部65bが、同じく右ガイド弾性部295aを図示左側に加圧して撓ませる。さらに降下が進んで最下部まで到達すると、各ガイド弾性部は、対応する係止部からの加圧から解放されて、左ガイド弾性部294aは左方向に、右ガイド弾性部295aは右方向にそれぞれ開いて現状復帰する。このとき、楔状の係止部65aの上部と左ガイド弾性部294aの下部、及び係止部65bの上部と右ガイド弾性部295aの下部が、それぞれ当接して係止される。このように、切断部材290が、シールカバー65に係止されると、図9(B)に示す状態となる。本実施例のケース基体70及びケース蓋体80は、当該状態とすることにより、ICタグシール60によって封印(封止)状態となる。
なお、本実施例の係止部65a及び係止部65bは、実施例1と同様の構成であって、同様の作用効果を奏する。
【0063】
次いで、上述した封印状態を解除する過程における作用について説明する。図9(B)に示す状態から、シールカバー65を上方に向かって持ち上げて、対向状態にあるケース基体70の基体突設片72及びケース蓋体80の蓋体突設片82から離隔する方向に変位させる。このとき、係止部65a及び係止部65bが、それぞれ本発明のカバー連動手段としての左ガイド弾性部294a及び右ガイド弾性部295aに当接して係止されていることによって、シールカバー65の上昇変位に伴って、これに連動して切断部材290が上昇変位を開始する。
【0064】
切断部材290の上昇変位に伴い、ICチップ近傍切断部292の図示最上部が、ICタグシール60の下面側すなわち貼付面側に到達する。さらに上昇変位が進むと、ICチップ近傍切断部292が、ICタグシール60の下面側に当接して上方に向かって加圧する。当該加圧よりもICタグシール60の貼付力が大きい場合は、ICタグシール60が切断される。しかし、ICタグシール60の貼付力(貼着力、接着力)が経年劣化や化学反応等によって低下している場合には、本発明のシール抑圧手段としてのシール抑え部材210が、切断部材290の上昇変位に伴うICタグシール60の浮き上がりを抑え込む。これによりICチップ近傍切断部292がアンテナ部60bを確実に切断する。その状態を図9(C)に示す。
【0065】
そして、図示しないが、更に上昇変位を続けると切断板片291の両側部の上面部が、シール抑え部材210の下面部に当接して、停止する。さらに無理やり上昇させると、係止孔72a、72a及び係止孔82a、82aから、4箇所の係止舌片210bが離脱して、切断部材290は上昇変位を再開して、シェア角が形成されていない切断板片291の両側部の上面部によって、ICタグシール60を無理やり破断することになる。
【0066】
この切断により、アンテナ部60bを確実に切断すると共に、ICタグシール60が切断されたことが、すなわちケース基体70とケース蓋体80との封印(封止)状態が解かれたことが、破断されたICタグシールの状態によって外部から一見して明白に視認可能となっている。このようにして、本実施例のケース基体70とケース蓋体80は封印が解除されるように構成されている。
なお、上述した実施例では、切断板片291の両側部の上面部が、シール抑え部材210の下面部に当接して停止し、さらに無理やり上昇させると、係止孔72a、72a及び係止孔82a、82aから、4箇所の係止舌片210bが離脱する構成を説明したが、他の方法を採用しても良い。すなわち、無理やり上昇させようとしても、係止孔72a、72a及び係止孔82a、82aから、4箇所の係止舌片210bが離脱せず、さらに上昇させようとすると、シール抑え部材210が一見して明白に、且つ再使用不能な状態で破壊するような構成としても良い。このように構成することによって、ゴト師が不正に開封して、制御基板に不正処理を施した後、ICタグシールの代替品を貼付し直して、不正の痕跡を消去しようとしても、シール抑え部材210が破壊されているので、外観上でも現状復帰することが不能となり、不正を発見し易くなる。
[実施例3]
【0067】
次に、本発明の他の実施例として、実施例3を図10を参照して説明する。図10は、実施例3の基体突設片72、蓋体突設片82、切断部材390及びシール抑え部材310の組み付け状態を説明する概略斜視図である。
【0068】
図10を参照して、実施例3の構成及び作用効果を説明する。
本発明のシール抑圧手段としての、シール抑え部材310の構成について説明する。
シール抑え部材310は、略薄板帯状に形成された抑え帯片310aと、該抑え帯片310aの左右両側部且つ前後両端部、すなわち4隅に左右対称のL字状に形成されてなる係止舌片310bを備える。図示4箇所に設けられた係止舌片310bは、それぞれ後述する基体突設片72の一対の係止孔72a、72a及び、蓋体突設片82の一対の係止孔82a、82aに挿入されて、シール抑え部材310を係止する。図10(B)に示すように、シール抑え部材310が係止されると、抑え帯片310aの裏面部がICタグシール60を下方、すなわち切断部材390がICタグシール60を切断する方向とは逆の方向に向かって、抑圧するように構成されている。
更に、本実施例のシール抑え部材310は、抑え帯片310aの略中央に、やや横長矩形状つまり角穴状に穿設された抜き穴部310cを備える。当該抜き穴部310cは、後述するICチップ近傍打抜き部392が挿通可能な大きさ及び形状で形成される。つまり、当該両構成によってICタグシール60のICチップ60aを包含する近傍領域を確実に打ち抜くことで、ICタグシール60を不能とするように構成されている。
【0069】
なお、基体突設片72の係止孔72a、72aと、蓋体突設片82の係止孔82a、82aと、これらに挿入して係止される4箇所の係止舌片310bは、ICタグシール60が貼付された後に、シール抑え部材310を基体突設片72及び蓋体突設片82に係止する本発明の突設片係止手段である。
【0070】
次に、本実施例の切断部材390の構成について説明する。切断部材390は、薄板状に形成された切断板片391と、該切断板片391の図示左側方に左ガイド部394を備え、図示右側方に右ガイド部395を備える。左ガイド部394及び右ガイド部395の下方には、夫々、本発明のカバー連動手段としての左ガイド弾性部394a及び右ガイド弾性部395aを備える。左ガイド部394、右ガイド部395、左ガイド弾性部394a、及び右ガイド弾性部395a、については、実施例1の構成と同様である。
さらに切断板片391は、図示左右方向の略中央且つ上部に、前面視略凹字状に形成されたシェア角を備えてなるICチップ近傍打抜き部392を備える。ICチップ近傍打抜き部392は、ICタグシール60のICチップ60aを中心とした所定の領域に対応して、配設位置、大きさ及び形状が設定されてなる。すなわち、ICチップ近傍打抜き部392は、ICチップ60aを囲繞する一定の領域を、ICタグシールから打ち抜くことにより分離するよう構成されている。
【0071】
また、本実施例では実施例1と異なり、該ICチップ近傍打抜き部392の左右側方にはシェア角が設けられていない。このように、本実施例の切断部材390は、図10(B)に図示したICチップ60aを包含する領域部分を確実に打ち抜き、それ以外の部分に関しては敢えて良好な切断状態とせず、すなわち破断した状態となるように構成されている。これにより、ICタグシール60の機能は確実に不能とし、機能部以外の部分の切断状態を一見して破れた、つまり封印が解かれたことを明示する状態とするよう構成されている。
なお、本実施例の基体突設片72及び蓋体突設片82には、図示したように、各々対向する状態で基体突設片切欠き部396及び蓋体突設片切欠き部397が設けられている。これにより、ICチップ近傍打抜き部392が、対向状態にある基体突設片72及び蓋体突設片82によって形成される間隙部を、進退可能としている。
【0072】
このように構成される本実施例の要部の作用効果について、続いて説明する。基本的な作用は、上述した実施例2と同様である。実施例2と本実施例は、実施例2がICチップ近傍切断部292によってICチップ60aから延設されるアンテナ部60bを切断する構成であったのに対して、本実施例はICチップ近傍打抜き部392がICチップ60aを中心とした一定の領域を打ち抜くように構成されている点において相違する。
【0073】
上述したように基本的な作用は実施例2と同様であるので、ここでは封印状態を解除する過程における作用について説明する。対向状態にある基体突設片72及び蓋体突設片82の間隙部に切断部材390が収容され、ICタグシール60が貼付され、次いでシール抑え部材310が係止され、最後にシールカバー65が装着されると、封印が完了する。当該状態から、シールカバー65を上昇変位させると、本発明のカバー連動手段によって、切断部材390が上昇変移し、ICチップ近傍打抜き部392がICタグシール60の裏面側に当接する。更に上昇すると、ICチップ近傍打抜き部392が、ICタグシール60の下面側に当接して上方に向かって加圧する。当該加圧よりもICタグシール60の貼付力が大きい場合は、ICタグシール60が切断される。しかし、ICタグシール60の貼付力(貼着力、接着力)が経年劣化や化学反応等によって低下している場合には、本発明のシール抑圧手段としてのシール抑え部材310が、切断部材390の上昇変位に伴うICタグシール60の浮き上がりを抑え込む。これによりICチップ近傍打抜き部392がICチップ60aを囲繞する一定の領域を打ち抜く。ICチップ60aの周囲を分離してしまうことにより、たとえアンテナ部60bがICチップ60aから多少予定以外の方向へ延設されていても、その領域の中にICチップ60aを含む限り、確実に両方のアンテナ部60bを切断することになり、より確実に機能を奪うことが可能となる。
【0074】
そして、更に上昇変位を続けると切断板片391の両側部の上面部が、シール抑え部材310の下面部に当接して、停止する。さらに無理やり上昇させると、係止孔72a、72a及び係止孔82a、82aから、4箇所の係止舌片310bが離脱して、切断部材390は上昇変位を再開して、シェア角が形成されていない切断板片391の両側部の上面部によって、ICタグシール60を無理やり破断することになる。
【0075】
この切断により、アンテナ部60bを確実に切断すると共に、ICタグシール60が切断されたことが、すなわちケース基体70とケース蓋体80との封印(封止)状態が解かれたことが、破断されたICタグシール60の状態によって外部から一見して明白に視認可能となっている。このようにして、本実施例のケース基体70とケース蓋体80は封印が解除されるように構成されている。
【0076】
なお、ICチップ近傍打抜き部392のシェア角は、図示したものに限定せず、他の構成であっても良い。図示した態様は、前面視略凹字状に形成しているが、これを側面視凹字状に形成していても良い。アンテナ部60bの敷設状態に応じて、より確実に不能状態とすることが可能な構成であれば他の形状でも構わない。
さらに、上述した実施例では、切断板片391の両側部の上面部が、シール抑え部材310の下面部に当接して停止し、さらに無理やり上昇させると、係止孔72a、72a及び係止孔82a、82aから、4箇所の係止舌片310bが離脱する構成を説明したが、他の方法を採用しても良い。すなわち、無理やり上昇させようとしても、係止孔72a、72a及び係止孔82a、82aから、4箇所の係止舌片310bが離脱せず、さらに上昇させようとすると、シール抑え部材310が一見して明白に、且つ再使用不能な状態で破壊するような構成としても良い。このように構成することによって、ゴト師が不正に開封して、制御基板に不正処理を施した後、ICタグシールの代替品を貼付し直して、不正の痕跡を消去しようとしても、シール抑え部材310が破壊されているので、外観上でも現状復帰することが不能となり、不正を発見し易くなる。
[変形例]
【0077】
次に、上述した実施例1乃至3における、突設片係止手段の変形例について、図11を参照して説明する。図11は、本発明のシール抑圧手段の係止構成に係る他の変形例について説明する概略説明図である。図11(A)に示すように、本変形例の突設片係止手段は、基体突設片72及び蓋体突設片82の各々の上面部且つ左右両側部に設けられたシール抑え部材係止部300a、300b、301a及び301bと、シール抑え部材302の俯瞰視4隅の係止舌片302aで構成される。
【0078】
シール抑え部材係止部300a、300b、301a及び301bは、基体突設片72又は蓋体突設片82の図示左右方向中央部に向かって開口する角穴部を備えた略箱状に形成され、前記角穴部に前記係止舌片302aが挿入されて係止するように構成されている。これに対して、図11(A)の断面図に示すように、本変形例におけるシール抑え部材302は、実施例1乃至3のシール抑圧手段とは異なり、断面平板状に形成可能となっている。
【0079】
更に、他の変形例として、図11(B)に図示したように、シール抑え部材303の係止方法として、螺着構造を採用した構成も考えられる。この場合にも、シール抑え部材303は断面平板状に形成可能である。本変形例の突設片係止手段は、図示した螺着構造である。すなわち、シール抑え部材303の適宜箇所に裸子の挿通孔を穿設し、基体シール貼付部72b及び図示しない蓋体シール貼付部82bには、前記挿通孔に対応した箇所に雌螺子孔を螺設した構成であって、基体シール貼付部72b及び図示しない蓋体シール貼付部82bにICタグシール60を貼付した後、上方から前記挿通孔に挿通した螺子を雌螺子孔に螺着することで、ICタグシール60を基体シール貼付部72b及び図示しない蓋体シール貼付部82bと、シール抑え部材303で挟み込んで、ICタグシール60の変位を抑圧するものである。
このように構成することにより、上述したように、シール抑え部材303を断面平板状に形成することが出来る。また、螺着力を調整する際には、適宜、螺着箇所を増減することが容易となる。さらに、基体シール貼付部72b及び図示しない蓋体シール貼付部82bと、ICタグシール60と、シール抑え部材303が、密着して固定されるので、切断部材の上昇に伴ってICタグシール60の下面部に切断部材が当接して更に上昇すると、ICタグシール60の浮き上がり等が発生することなく、即時、切断が開始される。これにより、切断の条件が良好に維持され、確実にICタグシールの機能を奪うことが可能となる。
[実施例4]
【0080】
次に、本発明の更に他の実施例としての実施例4を、図12及び図13を参照して説明する。図12は、実施例4の基体突設片72、蓋体突設片82、切断部材490、シールカバー465及びシール抑え部材410の組み付け状態を説明する概略斜視図であり、図13は、実施例4における本発明のカバー部材、切断部材及びシール抑圧手段の作用を説明する概略説明図である。
【0081】
図12を参照して、実施例4の構成の要部及び組み付け状態を説明する。
先ず、本発明のシール抑圧手段としての、シール抑え部材410の構成について説明する。
シール抑え部材410は、図に示すように、横長の略薄板状に形成されたシール抑え基体部411と、該シール抑え基体部411の下部には略薄板状に形成されて対向する状態でシール抑え弾性部412a、シール抑え弾性部412bを備える。すなわち、シール抑え基体部411の下面部であって左側端部に、シール抑え弾性部412aの左端部が固着され、またこれとは対称に、シール抑え基体部411の下面部であって右側端部に、シール抑え弾性部412bの右端部が固着されて構成される。
本実施例のシール抑え弾性部412a及びシール抑え弾性部412bは、図示下方から上方に向かう加圧によって変形し、加圧が除かれると元の形状に復帰する弾性材等によって形成される。
また、シール抑え弾性部412aは、シール抑え基体部411の下面部であって左側端部から中央部に向かって、やや下り傾斜して設けられており、シール抑え弾性部412bはこれと対称の構成となっている。そして、シール抑え弾性部412a及びシール抑え弾性部412bの前記下り傾斜した先端部には、夫々、弾性切れ刃部413a及び弾性切れ刃部413bが設けられている。弾性切れ刃部413a及び弾性切れ刃部413bは、所定の間隙だけ離隔して設けられている。後述するが、該所定の間隙は、切断部材490が上昇変位してICチップ近傍切れ刃部492a及びICチップ近傍切れ刃部492bがICタグシール60の裏面側に当接して切断する際に、ICチップ近傍切れ刃部492a及びICチップ近傍切れ刃部492bに対して、ICタグシール60を切断するのに好適なクリアランスとなるように設定されている。
本実施例では、更に、シール抑え弾性部412a及びシール抑え弾性部412bは、図示したように下方に向かうに従って、傾斜角が緩く変化して水平に近づくように構成されている。後で詳述するが、シール抑え弾性部412a及びシール抑え弾性部412bは、本発明の弾性部材である。
更に、シール抑え基体部411の図示左側端部には、基体端部411aが設けられ、右側端部には、基体端部411bが設けられている。基体端部411a及び基体端部411bは、夫々、後述するカバー部材としてのシールカバー465のシール抑え部材係止部466a及びシール抑え部材係止部466bに挿入されて係止するものである。
【0082】
次いで、本実施例の切断部材490の構成について説明する。切断部材490は、薄板状に形成された切断板片491と、該切断板片491の図示左側方に左ガイド部494を備え、図示右側方に右ガイド部495を備える。左ガイド部494及び右ガイド部495の下方には、夫々、本発明のカバー連動手段としての左ガイド弾性部494a及び右ガイド弾性部495aを備える。左ガイド部494、右ガイド部495、左ガイド弾性部494a、及び右ガイド弾性部495a、については、上述した実施例1の構成と同様である。
さらに切断板片491は、図示左右方向の略中央且つ上部に、前面視略凹字状に形成されたシェア角を備えてなるICチップ近傍打抜き部492を備える。また、ICチップ近傍打抜き部492の上部左側には、ICチップ近傍切れ刃部492aが設けられ、同じく上部右側には、ICチップ近傍切れ刃部492bが設けられている。
更に、切断板片491の上部は、図示左側方から中央に向かって下り傾斜すると共に後方から前方に向かって下り傾斜してなる左切れ刃部493aと、図示右側方から中央に向かって下り傾斜すると共に後方から前方に向かって下り傾斜してなる右切れ刃部493bとを備える。
【0083】
本実施例のシールカバー465について図13も参照して説明する。シールカバー465の構成は、上述した実施例1のシールカバー65と同じであるが、以下の点において異なる。略箱状に形成されて下方に向かってのみ開口した構成のシールカバー465の断面図を図13(A)には示している。シールカバー465は、箱状の内側上方且つ左右両側方に、断面楔状に形成されて、相互に対向して設けられるシール抑え部材係止部466a及びシール抑え部材係止部466bを備える。上述したように、シール抑え部材係止部466a及びシール抑え部材係止部466bには、基体端部411a及び基体端部411bが各々挿入されることにより、シール抑圧手段としてのシール抑え部材410をシールカバー465に係止することが可能であって、シール抑え部材係止部466a及びシール抑え部材係止部466bは、本発明のカバー部材係止手段である。
【0084】
なお、本実施例の基体突設片72及び蓋体突設片82には、図示したように、各々対向する状態で基体突設片切欠き部496及び蓋体突設片切欠き部497が設けられている。これにより、ICチップ近傍打抜き部492が、対向状態にある基体突設片72及び蓋体突設片82によって形成される間隙部を、進退可能としている。
【0085】
このように構成される本発明の要部の組み付け方法及び作用について、説明する。先ず、対向状態にある基体突設片72及び蓋体突設片82の間隙部に、切断部材490を上方から図示矢印方向に向かって下降させて、基体突設片72及び蓋体突設片82の内部に収容する。この際、ICチップ近傍打抜き部492は、基体突設片切欠き部496及び蓋体突設片切欠き部497が設けられていることにより、基体シール貼付部72b及び蓋体シール貼付部82bに干渉することなく挿入可能となっている。
切断部材490が、基体突設片72及び蓋体突設片82の内部に収容されると、図示しないICタグシール60を、基体シール貼付部72bから蓋体シール貼付部82bに跨って貼付する(図13(A)参照)。
次に、シールカバー465の内部にシール抑え部材410を装着して収容する。図12及び図13(A)に示す上向きの矢印方向に向かって、シール抑え部材410を挿入して、基体端部411aをシール抑え部材係止部466aに、基体端部411bをシール抑え部材係止部466bに係止して装着する。
シール抑え部材410を内部に装着したシールカバー465を、図13(A)の下向きの矢印方向に向かって下降変位させる。こうして、ICタグシール60を貼付した基体突設片72及び蓋体突設片82を覆い隠すように被覆していき、図13(B)に示すように、左ガイド弾性部494aと係止部465aが係止され、右ガイド弾性部495aと係止部465bが係止されることで、組み付けが完了する。これにより、ケース基体70とケース蓋体80が封印された状態となる。
【0086】
本実施例では、上述したシールカバー465を、ICタグシール60を貼付した基体突設片72及び蓋体突設片82に被せて下降していく過程において、シール抑え弾性部412a及びシール抑え弾性部412bの下面部が、基体突設片72及び蓋体突設片82に貼付されたICタグシール60の上面部に当接する。更に下降が進行するにつれて、シール抑え弾性部412a及びシール抑え弾性部412bは徐々に撓んで行き、ICタグシール60を上方から下方に向けて加圧(付勢)していく。すなわち、後述する切断部材490がICタグシール60を切断する際に、ICタグシール60に対して切断部材490が変位する方向、換言すればICタグシール60に対して切断部材490が加圧する方向(下方から上方に向かう方向)とは逆方向に向かって、シール抑え弾性部412a及びシール抑え弾性部412bは、ICタグシール60を上述した付勢力によって抑圧するように構成されており、シール抑え弾性部412a及びシール抑え弾性部412bは、本発明の弾性部材を構成するものである。
【0087】
このように封印されたケース基体70とケース蓋体80を開封する際の作用を説明する。
ケース基体70とケース蓋体80の封印を解くためには、シールカバー465を取り去る必要がある。シールカバー465を外すために、図13(B)の状態から上方に向かってシールカバー465を変位させると、係止部465a、465bが左ガイド弾性部494a及び右ガイド弾性部495aを上方に押し上げ、これにより切断部材490が上昇する。
切断部材490が上昇するにつれて、ICチップ近傍切れ刃部492a及びICチップ近傍切れ刃部492bが上昇して、ICタグシール60の下面部を下方から上方に向かって加圧する。このとき、前記加圧とは反対方向に、すなわち上方から下方に向かって、上述したようにシール抑え弾性部412a及びシール抑え弾性部412bがICタグシール60の上面部を加圧(付勢)している。
したがって、切断部材によって下方から加えられる力に対抗する力を、ICタグシールの貼付力に依存することなく、シール抑え部材410のシール抑え弾性部412a及びシール抑え弾性部412bの付勢力に依存するので、仮にICタグシールの貼付力が何らかの原因で低下していても、常に確実に切断することが出来る。
更に、シール抑え弾性部412aの先端部である弾性切れ刃部413a、及び、シール抑え弾性部412bの先端部である弾性切れ刃部413bが、ICチップ近傍切れ刃部492a及びICチップ近傍切れ刃部492bに対して、ICタグシール60を切断する好適なクリアランスだけ離隔した位置で配置される。
当該状態から更に切断部材490が上昇すると、ICタグシール60は、弾性切れ刃部413a及び弾性切れ刃部413bと、ICチップ近傍切れ刃部492a及びICチップ近傍切れ刃部492bによって、切断(せん断)される。本実施例では、ICタグシール60のICチップ60aの近傍であり、ICチップ60aから両側方に向かって延設されるアンテナ部60bを切断するものである。
【0088】
この点を詳述する。本実施例においてもICタグシール60は、上述した実施例と同様の貼付状態である。すなわち、実施例1に係る図6(B)を参照すれば、貼付されたICタグシール60のアンテナ部60bは、図示後方の右側方から、前方の左側方に向かって延設されており、この状態は本実施例においても同様である。本実施例では、図12に図示した切断部材490の、ICチップ近傍切れ刃部492aの手前側部分でアンテナ部60bの手前側箇所を切断し、同じくICチップ近傍切れ刃部492bの奥側部分でアンテナ部60bの奥側箇所を切断するように構成されている。図13(B)に示すように、ICチップ近傍切れ刃部492a及びICチップ近傍切れ刃部492bは、封印状態においてICタグシール60の下面部に近接しており、これにより、切断部材490の上昇が開始されてICチップ近傍切れ刃部492a及びICチップ近傍切れ刃部492bにより切断が始まると、最初にICチップ60aから両側方に向かって延設されるアンテナ部60bの各々を切断することにより、ICタグシール60の機能を著しく低下若しくは不能とし、ひいてはID情報の読み取りを不可能する。
【0089】
ICチップ近傍切れ刃部492a及びICチップ近傍切れ刃部492bによる切断に続いて、左切れ刃部493a及び右切れ刃部493bによってICタグシール60が2つに分断される。更にシールカバー465を上昇させて、図13(C)に示すようにICタグシール60を貼付した基体突設片72及び蓋体突設片82から完全に取り外すと、ケース基体70とケース蓋体80の封印は解除状態となる。本実施例では、封印が解除されたことは、ICタグシール60が切断状態にあることを目視により確認出来ると共に、ICタグシール60の機能が著しく低下若しくは不能となったことによってID情報の読み取りが不可能となったことによっても確認可能となっている。
【0090】
以上、本発明に係る実施例及び変形例を説明してきた。しかし、本発明の技術思想の範囲内であれば、これに限定するものではない。
上述した実施例1乃至実施例3のシール抑圧手段は、切断部材がICタグシールを切断する際に、切断部材が進行する方向とは反対の方向に向かって、ICタグシールを抑圧する機能を備えた構成であるが、更にこの構成に加えて、単にICタグシールを抑え込むだけではなく、切断部材との作用で良好な切断(せん断)状態を発生し易いように切れ刃部を更に備えた構成としても良い
【0091】
また、上述した実施例4の切断部材490のICチップ近傍打抜き部492の形状や大きさ等は、ICタグシール60のID情報の読み取りが不可能な状態を発生させ易いのであれば、つまり、アンテナ部60bや接続部60dを確実に切断出来るのであれば、適宜異なる条件を採用しても構わない。例えば、図12に示したICチップ近傍打抜き部492は、俯瞰視略正方形状に構成されているが、前方が幅狭で短く、これに対して奥行きが長い、俯瞰視略長方形状に構成されても良い。このように構成することで、ICチップ近傍切れ刃部492a及びICチップ近傍切れ刃部492bが、アンテナ部60bの、よりICチップ60aに近い箇所を切断することが可能となり、併せて接続部60dを切断する可能性も高くなり、ICタグシール60のID情報の読み取り能力を確実に不能とすることになる。
【0092】
また、上述した手段とは逆に、ICチップ近傍打抜き部492を、前方が幅広で長く、これに対して奥行きが短い、俯瞰視略長方形状に構成されても良い。この場合には、ICチップ近傍打抜き部492の左右側端部且つ上部に設けられるICチップ近傍切れ刃部492a及びICチップ近傍切れ刃部492bを、前後端部且つ上部に設けるようにすれば良い。これに伴ってシール抑え弾性部(弾性部材)412a、412bの配設位置も併せて変更して、すなわち90度回転した状態で、シール抑え基体部411の略中央下面部であって前後両側端部から中央に向かって設けるようにすれば良い。このように構成することでも、ICチップ近傍切れ刃部492a及びICチップ近傍切れ刃部492bが、アンテナ部60bの、よりICチップ60aに近い箇所を切断することが可能となり、併せて接続部60dを切断する可能性も高くなり、ICタグシール60のID情報の読み取り能力を確実に不能とすることになる。
【0093】
また、ICチップ近傍打抜き部492を、俯瞰視円形状に構成しても良い。ICチップ近傍打抜き部492の中心位置に対応する箇所にICチップ60aが配置されることを前提とした上で、このように構成することにより、ICチップ60aを中心とした一定の円弧線に従ってICタグシール60を切断可能となる。これによって、ICタグシール60を貼付する作業において、誤ってICチップ60aを中心として回転した状態で貼付してしまっても、切断するアンテナ部60bの長さは、所定のICチップ60aからの長さで常に一定となる。これにより、煩雑な貼付作業において、ICチップ60aを所定位置に配置されるように注意すれば、ICタグシール60の貼付角度については確認する必要が無くなるため、確認作業の負担が軽減される。
【0094】
また、上述した実施例では、ICタグシールが貼付された際にICチップが載置される蓋体シール貼付部と基体シール貼付部の高さを同じにしたが、僅かに異ならせて相互に段差を形成するようにしても良い。このようにすることで、ICタグシールを貼付する際に、前記段差を手指によってICタグシールを介して認識可能となり、ICチップが所定の配置位置となっているかを容易に確認可能となる。
【符号の説明】
【0095】
20: 主制御装置(基板ケース)
60: ICタグシール
65: シールカバー(カバー部材)
70: ケース基体
72: 基体突設片
72b: 基体シール貼付部
80: ケース蓋体
82: 蓋体突設片
82b: 蓋体シール貼付部
90: 切断部材
110:基体側シール抑え部材(シール抑圧手段)
111:蓋体側シール抑え部材(シール抑圧手段)
210:シール抑え部材(シール抑圧手段)
290: 切断部材
310:シール抑え部材(シール抑圧手段)
390: 切断部材
410:シール抑え部材(シール抑圧手段)
490: 切断部材
図1
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