(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
ケース基体とケース蓋体を具備し、前記ケース基体とケース蓋体とを組み合わせて閉止したときに形成される空間部に電気的作動装置を制御するための制御基板を収納する基板ケースと、
前記ケース基体の外側に突設された基体突設片と、
前記ケース蓋体の外側に突設されると共に前記ケース基体とケース蓋体とを組み合わせて閉止したときに前記基体突設片と対向状態となる蓋体突設片と、
該対向状態となった前記蓋体突設片及び前記基体突設片を被覆するように装着されるカバー部材と、を備え、
前記基体突設片は、該基体突設片と前記蓋体突設片とが対向状態となったとき、ICタグシールを該両突設片に跨って貼付するための基体シール貼付部を備え、
前記蓋体突設片は、前記基体突設片と前記蓋体突設片とが対向状態となったとき、前記ICタグシールを該両突設片に跨って貼付するための蓋体シール貼付部を備え、
前記蓋体シール貼付部および前記基体シール貼付部の一方は、その少なくとも一部が該シール貼付部を備える前記突設片に対して移動可能な可動シール貼付部として構成され、
前記蓋体シール貼付部および前記基体シール貼付部の内、前記一方ではない他方は、該シール貼付部を備える前記突設片に対して固定された固定シール貼付部として構成され、
前記カバー部材にて前記蓋体突設片および前記基体突設片を被覆すると、該カバー部材と前記可動シール貼付部とを互いに係止するカバー連動手段、を備え、
前記蓋体突設片及び前記基体突設片を被覆する前記カバー部材を該両突設片から離脱させると、前記カバー連動手段により前記可動シール貼付部が連動して、前記固定シール貼付部から離脱し、前記両突設片に跨って貼付された前記ICタグシールを破断させ、
前記蓋体シール貼付部および前記基体シール貼付部の一方は、前記可動シール貼付部と不動シール貼付部で構成され、前記蓋体突設片及び前記基体突設片を被覆する前記カバー部材を該両突設片から離脱させると、前記可動シール貼付部は前記不動シール貼付部から離脱し、前記一方のシール貼付部に貼付された前記ICタグシールを破断させる、ことを特徴とする遊技機。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下に本発明の好適な実施形態について説明する。なお、本発明の実施の形態は下記の実施例に何ら限定されるものではなく、本発明の技術的範囲に属する種々の形態を採ることができ、各実施例に記載された内容を適宜組み合わせることが可能なことはいうまでもない。
[実施例1]
【0013】
本発明を適用した実施形態の遊技機たるパチンコ機を説明する。なお、本発明の特徴はパチンコ機裏面側に設けられた基板ケースの構成にあり、本実施形態におけるパチンコ機の遊技盤等を含む前面側の構成は、一般的なパチンコ機に採用される周知技術であるため、正面図及び遊技盤等の図面及び詳細な説明は割愛し、概略構成のみ説明する。
【0014】
図1は、本発明を適用した第1の実施形態のパチンコ機の裏面図である。
図1に示すように、パチンコ機1の裏側は、縦長の固定外郭保持枠をなす外枠2にて構成の各部を保持する構造としてある。さらに、図示しない遊技盤を脱着可能に取り付ける内枠3が収納されている。内枠3は、図示しない前枠と同様に、一方の側縁(図示右側)の上下位置が前記外枠2にヒンジ結合され開閉可能に設置されている。内枠3には、遊技球流下通路が形成されており、上方(上流)から球タンク11、タンクレール12、払出ユニット13が設けられ、払出ユニット13の中には払出装置が設けられている。この構成により、図示しない遊技盤に配設された何れかの入賞口に遊技球が入賞すれば、球タンク11からタンクレール12を介して所定個数の遊技球(賞球)が払出ユニット13により払出球流下通路を通り、パチンコ機1の表側に設けられた上皿(図示しない)に払い出される。また、本実施形態では前記賞球を払い出す払出ユニット13により、貸出ボタンの操作で払い出される貸球も払い出す構成としてある。また、パチンコ機1の裏側には、主制御装置20、払出制御装置21、演出図柄制御装置22、サブ統合制御装置23、発射制御装置24、電源基板25が設けられている。演出図柄制御装置22、サブ統合制御装置23はサブ制御装置に該当する。これらの各種制御装置等は、電気的作動装置等を制御するための制御基板と、該制御基板を収容する基板ケースを備える。さらに、本実施形態では、主制御装置20が本発明の要部である基板ケースを備えるものである。なお、本発明の基板ケースを、主制御装置20に限定せず、払出制御装置21、演出図柄制御装置22、サブ統合制御装置23、発射制御装置24、電源基板25に備えるようにしても良い。本発明の基板ケースは、遊技機としてのパチンコ機1に設けられた後述する各種電気的作動装置を制御するための制御基板を収納するものである。
【0015】
主制御装置20、演出図柄制御装置22、サブ統合制御装置23は遊技盤に設けられ、払出制御装置21、発射制御装置24、電源基板25は内枠3に設けられている。
図1では発射制御装置24は、払出制御装置21に遮蔽されて設けられている。
【0016】
また、球タンク11の右側には、外部接続端子板14が設けてあり、外部接続端子板14により、遊技状態や遊技結果を示す信号がホールコンピュータ15(
図2参照)へ送られる。なお、従来はホールコンピュータへ信号を送信するための外部接続端子板には、盤用(遊技盤側から出力される信号をホールコンピュータへ出力するための端子)と枠用(枠側(前枠、内枠3、外枠2)から出力される信号をホールコンピュータへ出力するための端子)の2種類を用いていたが、本実施形態では、ひとつの外部接続端子板14を介して遊技状態や遊技結果を示す信号をホールコンピュータへ送信する。
【0017】
図2は、本実施例のパチンコ機1の電気的構成図である。パチンコ機1の各種電気的作動装置に係る電気的構成は、図示のとおり、主制御装置20を中心にして構成されている。なお、このブロック図には、単に信号を中継するだけのためのいわゆる中継基板及び電源回路等は記載していない。また、詳細の図示は省略するが、主制御装置20、払出制御装置21、演出図柄制御装置22、サブ統合制御装置23のいずれもCPU、ROM、RAM、入力ポート、出力ポート等を備えているが、本実施例では発射制御装置24にはCPU、ROM、RAMは設けられていない。しかし、これに限るわけではなく、発射制御装置24にCPU、ROM、RAM等を設けてもよい。さらに、スイッチは、便宜上、SWと省略して記載する場合がある。
【0018】
主制御装置20には、遊技盤に配設された第1特図始動口(図示しない)に入球した遊技球を検出する第1始動口スイッチ30、第2特図始動口(図示しない)に入球した遊技球を検出する第2始動口スイッチ31、普通図柄を作動させる普図始動口(図示しない)に入球した遊技球を検出する普図作動スイッチ32、大入賞口(図示しない)に入球した遊技球を計数するためのカウントスイッチ33、普通入賞口(図示しない)に入球した遊技球を検出する左入賞口スイッチ34、右入賞口スイッチ35等の検出信号が、主制御装置20に入力されるよう構成されている。
【0019】
主制御装置20は搭載しているプログラムに従って動作して、上述の検出信号などに基づいて遊技の進行に関わる各種のコマンドを生成して払出制御装置21及びサブ統合制御装置23に出力する。
また主制御装置20は、図柄表示装置中継端子板26を介して接続されている第1特図表示装置9、第2特図表示装置10、普図(普通図柄)表示装置7の表示及び普図保留数表示装置8の点消灯を制御する。
【0020】
更に、主制御装置20は、大入賞口ソレノイド36を制御することで大入賞口の開閉を制御し、普電役物ソレノイド37を制御することで第2特図始動口の開閉を制御する。
主制御装置20からの出力信号は試験信号端子(図示しない)にも出力される他、図柄変動や大当り(特別遊技ともいう)等の管理用の信号が外部接続端子板14に出力されてホールコンピュータ15に送られる。主制御装置20と払出制御装置21とは双方向通信が可能に構成されている。
【0021】
払出制御装置21は、主制御装置20から送られてくるコマンドに応じて払出モータ40を駆動させて賞球を払い出させる。本実施例においては、賞球として払い出される遊技球を計数するための払出スイッチ41の検出信号は払出制御装置21に入力され、払出制御装置21で賞球の計数が行われる構成を用いる。この他にも主制御装置20と払出制御装置21に払出スイッチ41の検出信号が入力され、主制御装置20と払出制御装置21の双方で賞球の計数を行う構成を用いることも考えられる。
【0022】
なお、払出制御装置21はガラス枠開放スイッチ42、内枠開放スイッチ43、満杯スイッチ44、球切れスイッチ45からの信号が入力され、満杯スイッチ44により下皿(図示しない)が満タンであることを示す信号が入力された場合及び球切れスイッチ45により球タンク11に遊技球が少ないあるいは無いことを示す信号が入力されると払出モータ40を停止させ、賞球の払出動作を停止させる。なお、満杯スイッチ44、球切れスイッチ45も、その状態が解消されるまで信号を出力し続ける構成になっており、払出制御装置21は、その信号が出力されなくなることに起因して払出モータ40の駆動を再開させる。
【0023】
また、払出制御装置21はCRユニット端子板46を介してCRユニット(プリペイドカードユニット)47と交信することで払出モータ40を作動させ、貸し球を排出する。払出された貸し球は払出スイッチ41に検出され、検出信号は払出制御装置21に入力される。なお、CRユニット端子板46は精算表示装置48とも双方向通信可能に接続されており、精算表示装置48には、遊技球の貸出しを要求するための球貸スイッチ49、精算を要求するための精算スイッチ50、残高表示器(図示しない)が接続されている。
【0024】
また、払出制御装置21は、外部接続端子板14を介して賞球に関する情報、枠(内枠3、前枠)の開閉状態を示す情報などをホールコンピュータに送信するほか、発射制御装置24に対して発射停止信号を送信する。
なお本実施例では遊技球を払い出す構成であるが、入賞等に応じて発生した賞球を払い出さずに記憶する封入式の構成にしても良い。
【0025】
発射制御装置24は発射モータ51を制御して、遊技球を遊技領域に発射させる。なお、発射制御装置24には払出制御装置21以外に発射ハンドル(図示しない)からの回動量信号(図示しない)、タッチスイッチ52からのタッチ信号、発射停止スイッチ53からの発射停止信号が入力される。
回動量信号は、遊技者が発射ハンドルを操作することで出力され、タッチ信号は遊技者が発射ハンドルに触ることで出力され、発射停止スイッチ信号は、遊技者が発射停止スイッチ53を押すことで出力される。なお、タッチ信号が発射制御装置24に入力されていなければ、遊技球は発射できないほか、発射停止スイッチ信号が入力されているときには、遊技者が発射ハンドルを触っていても遊技球は発射できないようになっている。
【0026】
サブ統合制御装置23はサブ制御装置に該当し、主制御装置20から送信されてくるデータ及びコマンドを受信し、それらを演出表示制御用、音制御用及びランプ制御用のデータに振り分けて、演出表示制御用のコマンド等は演出図柄制御装置22に送信し、音制御用及びランプ制御用は自身に含まれている各制御部位(音声制御装置及びランプ制御装置としての機能部)に分配する。そして、音声制御装置としての機能部は、音声制御用のデータに基づいて音LSIを作動させることによってスピーカ54からの音声出力を制御し、ランプ制御装置としての機能部はランプ制御用のデータに基づいてランプドライバを作動させることによって各種LED、ランプ55を制御する。 また、サブ統合制御装置23には、演出ボタン56が接続されており、遊技者が演出ボタン56を操作した際には、その信号がサブ統合制御装置23に入力される。さらに、サブ統合制御装置23には、音量調節スイッチ57からの信号が入力されることにより、スピーカ54の音量を調節可能に構成されている。
【0027】
サブ統合制御装置23と演出図柄制御装置22とは双方向通信が可能である。
演出図柄制御装置22は、サブ統合制御装置23から受信したデータ及びコマンド(共に主制御装置20から送信されてきたものとサブ統合制御装置23が生成したものとがある)に基づいて演出図柄表示装置6を制御して、擬似図柄等の演出画像を演出図柄表示装置6の画面に表示させる。
【0028】
以上、本発明の遊技機の一例として、本実施形態のパチンコ機1の基本的な構成を説明してきた。ここで、本発明の要部が、封印解除の際に切断する対象としてのICタグシールについて、予め説明する。
【0029】
図3は、本発明の要部が切断する対象としての、ICタグシールの構成を説明する概略説明図である。
図3に示すように、ICタグシール60は、略矩形状の薄体で形成されたシール基体60cと、該シール基体60cの略中央位置に設けられて固有のID情報が記録されたICチップ60aと、該ICチップ60aから、図示右斜め上方向及び左斜め下方向に向かって夫々帯状に延設されるアンテナ部60bと、該アンテナ部60b上且つICチップ60aから図示左斜め下方向に向かって線状に設けられる接続部60dを備える。
接続部60dは、ICチップ60aとアンテナ部60bとを電気的に接続状態とし、これにより、ICチップ60aは、記録されたID情報をアンテナ部60bを介して送信可能に構成されている。このように構成されるICタグシール60に対して、ICチップ60aのID情報を外部から読取装置によって読み取ることが可能となっている。これにより、読取装置による読み取り結果から、ICチップ60aの真贋判定や、ICタグシール60の状態判定を行うことが出来る。本発明の要部である基板ケースにも、このようなICタグシール60が封印手段として採用されている。本実施例では、上述したように、主制御装置20が本発明の要部である基板ケースを備えるものであり、次に当該基板ケースの構成について説明する。
【0030】
図4は、本実施例の基板ケースの組み付け状態を説明する概略斜視図である。なお、
図4に示す主制御装置20は、本発明の要部を説明する上で必要としない構成を
図1の主制御装置20から割愛して示したものである。また、本発明の特徴は、上述したように、主制御装置20に限定したものではなく、他の制御装置であっても、ICタグシールを封印手段とする本発明の基板ケースを備えるものであれば良い。
図4に示すように、本実施例の主制御装置20は、少なくともケース基体70とケース蓋体80を具備してなる。ケース基体70とケース蓋体80を組み合わせて本発明の基板ケースが構成されている。当該基板ケースは、パチンコ機1に設けられた各種電気的作動装置の制御機能を司る図示しない制御基板を、内部に形成された空間に収納可能となっている。さらに、ケース基体70とケース蓋体80を組み合わせて封印する手段としての上述したICタグシール60を被覆するシールカバー65も備える。
【0031】
図5を参照して、基板ケースを備えた主制御装置20の構成についてさらに説明する。
図5は、本実施例の基板ケースを備えた主制御装置20の構成を説明する概略斜視図である。本実施例の主制御装置20の基板ケースは、ケース基体70、ケース蓋体80、及びカバー部材としてのシールカバー65を備える。さらに、ケース基体70は、制御基板を収容する基体本体部71と、該基体本体部71の上部に基体突設片72を備え、ケース蓋体80は、同じく制御基板を収容する蓋体本体部81と、該蓋体本体部81の上部に蓋体突設片82を備える。
【0032】
次に本実施例の、ケース基体70の基体本体部71は、図示前面が開口した底の浅い箱状に形成され、図示左右の立ち上がり部には、略逆L字状に形成された係止凸部75が4箇所設けられている。
また、基体本体部71の外側且つ上部には、上述したように、基体突設片72が設けられている。
ここで、本実施例の基体突設片72について説明する。基体突設片72は、基体突設片基部72cと、該基体突設片基部72cの図示左側端部に当接して設けられた左基体カバー支持部74aと、右側端部に当接して設けられた右基体カバー支持部74bと、を備える。
基体突設片基部72cは、基体本体部71の上部から図示上方に向かって、所定の高さで形成されている。より詳述すると、基体突設片基部72cは、基体本体部71の上部の立ち上がり部から、上方すなわち基体本体部71の外側方向に向かって、所定の高さまで薄板状に立ち上がり形成され、次いで手前側に向かって略直角に折れ曲がって平面部が形成されてなる。基体突設片基部72cは、基体本体部71の上部に一体的に固着されてなる。換言すれば、本実施例の基体突設片基部72cは、断面略逆L字の薄板状に形成されている。さらに、基体突設片基部72cは、その外側部すなわち、図示上部から図示しない裏面部に亘って、所定の幅の浅い溝状に形成されてなる、ICタグシール60が貼付されるための基体シール貼付部72bを備えている。前記所定の幅は、ICタグシール60の幅より僅かに大きな寸法で設定されている。ICタグシール60を貼付する際に、当該溝部の中に貼付するようにすることで、大きくずれて貼付されることを防止するようにしている。当該溝部はICタグシール60の貼付位置の目安となるものである。
【0033】
次に、基体突設片72を構成する、左基体カバー支持部74aと右基体カバー支持部74bについて説明する。上述したように、基体突設片基部72cの左右両側部に当接する位置に、一対の左基体カバー支持部74aと右基体カバー支持部74bが設けられている。左基体カバー支持部74aは、縦長の略直方体状に形成されると共に、上部半分が上方に向かって先細りする傾斜状に形成されてなる。右基体カバー支持部74bは、左基体カバー支持部74aと対称に形成されている。このように傾斜状に形成された左基体カバー支持部74aと右基体カバー支持部74bが、基体突設片基部72cを挟んで設けられていることにより、後述するシールカバー65を前記傾斜に沿わせて下降させることで、容易に被せることが出来る。また、左基体カバー支持部74aと右基体カバー支持部74bは、シールカバー65の凹部の内側に丁度嵌入できるように構成されている。
【0034】
次いで、ケース蓋体80の蓋体本体部81は、図示しない裏面部が開口し、断面凸字状の、且つ箱状に形成されている。また、蓋体本体部81の裏面側には、上述したケース基体70の係止凸部75に対応して、該係止凸部75が挿入且つ図示上下方向にスライドすることによって、ケース基体70とケース蓋体80を組み合わせて閉止することが可能な、図示しない係止凹部が4箇所設けられている。なお、このようにケース基体70とケース蓋体80が組み合わされて閉止されたことにより形成される内部空間に、上述した制御基板(図示しない)が収納される。また、該制御基板は、ケース基体70とケース蓋体80の何れに取り付けられる構成であっても良い。
【0035】
本実施例では、蓋体本体部81の外側且つ上部には、一部の構成(左蓋体カバー支持部84a及び右蓋体カバー支持部84b)を除いて、蓋体本体部81とは別体で構成されて分離可能な、蓋体突設片82を備える。
本実施例の蓋体突設片82は、蓋体本体部81に一体的に設けられた左蓋体カバー支持部84a及び右蓋体カバー支持部84bと、蓋体突設片基部82cと、該蓋体突設片基部82cの図示左側端部に当接して一体的に設けられた左ガイド部94と、左ガイド弾性部94aと、蓋体突設片基部82cの図示右側端部に当接して一体的に設けられた右ガイド部95と、右ガイド弾性部95aと、で構成されてなる。
【0036】
先ず、左蓋体カバー支持部84a及び右蓋体カバー支持部84bについて説明する。蓋体本体部81の外側且つ上部には、図示左右側方に各々、断面長方形の角柱状に形成されてなる一対の、左蓋体カバー支持部84a及び右蓋体カバー支持部84bが立設されている。左蓋体カバー支持部84a及び右蓋体カバー支持部84bの内側の離隔距離は、後述する蓋体突設片基部82cの図示(
図6(A)参照)左右幅寸法より僅かに大きく形成されており、併せて、ケース基体70とケース蓋体80が組み合わされて閉止された際に、左基体カバー支持部74aと左蓋体カバー支持部84aとの間隙、並びに、右基体カバー支持部74bと右蓋体カバー支持部84bとの間隙が、カバー連動手段としての左ガイド弾性部94a及び右ガイド弾性部95aの図示奥行き寸法よりも僅かに大きく形成されている。さらに、左蓋体カバー支持部84a及び右蓋体カバー支持部84bの高さは、蓋体突設片基部82c、左ガイド弾性部94a及び右ガイド弾性部95aを、左蓋体カバー支持部84a及び右蓋体カバー支持部84bに当接しながら嵌め込んで、
図6(B)のように装着したとき、左ガイド部94及び右ガイド部95の下面部を、左蓋体カバー支持部84a及び右蓋体カバー支持部84bの上面部で、丁度支持する高さとなっている。このように構成されることにより、上述したように装着状態となった際には、本実施例の蓋体突設片82が、安定した姿勢を維持可能となっている。これと共に、本実施例のシールカバー65を装着した際に、好適な嵌め合い状態となるようにも機能するようになっている。
【0037】
次に、左蓋体カバー支持部84a及び右蓋体カバー支持部84b以外の蓋体突設片82の構成について説明する。
本実施例の蓋体突設片基部82cは、上述した基体突設片基部72cとは略対称の構成となっている。すなわち、蓋体突設片基部82cは、蓋体本体部81の上部から図示上方に向かって、所定の高さで形成されている。つまり、蓋体突設片基部82cは、蓋体本体部81の上部の立ち上がり部から、上方すなわち蓋体本体部81の外側方向に向かって、所定の高さまで薄板状に立ち上がり形成され、次いで奥側に向かって略直角に折れ曲がって平面部が形成されてなる。本実施例の蓋体突設片基部82cは、断面略逆L字の薄板状に形成されている。さらに、蓋体突設片基部82cは、その外側部すなわち、図示上部から図示表面部に亘って、所定の幅の浅い溝状に形成されてなる、ICタグシール60が貼付されるための蓋体シール貼付部82bを備えている。基体シール貼付部72bと同様に、前記所定の幅は、ICタグシール60の幅より僅かに大きな寸法で設定されている。ICタグシール60を貼付する際に、当該溝部はICタグシール60の貼付位置の目安となる点も、基体シール貼付部72bと同様である。
【0038】
左ガイド部94は、図示略矩形状且つ薄板状に形成されると共に、蓋体突設片基部82cの左側端部の上部に直交し且つ当接して設けられる。該左ガイド部94の下面部の手前側部分は、上述したように、基体突設片72と蓋体突設片82が対向した状態に配置された際、左蓋体カバー支持部84aの上面部に支持されるように構成されている。
【0039】
また、左ガイド弾性部94aは、縦長の矩形状薄板で形成され、図示のとおり、その上辺部が左ガイド部94の下辺部且つ蓋体突設片基部82cの左側端部に当接する位置に固着されている。また、上辺部を起点として左側方且つ下方に向かって傾斜して形成(
図7参照)される。左ガイド弾性部94aの奥行き幅は、左基体カバー支持部74a及び左蓋体カバー支持部84aの間隙よりも僅かに小さな寸法で形成される。また、左ガイド弾性部94aの上下方向の高さは、シールカバー65が被せられて装着された際に、後述する係止部65aによって係止される大きさで形成されている。
このように構成される左ガイド弾性部94aは、加圧により一旦は変形し、除圧されると現状復帰する弾性部材により形成される。これにより、シールカバー65が被せられていく過程において、係止部65aが左ガイド弾性部94aを右方向に向かって加圧することで、左ガイド弾性部94aは下端部が右方向に変位して、すなわち左ガイド弾性部94a全体の傾斜が緩くなる方向に変形して、シールカバー65の装着が完了する位置まで到達すると、
図7に示すような状態に係止されることで、左ガイド弾性部94aへの加圧の少なくとも一部が除圧されて、少なくとも現状に近い状態に復帰する。本実施例では、当該状態においても、完全な現状復帰となっていないことで、左ガイド弾性部94aの下端部がシールカバー65を左方向に、すなわち内側から外側に向かって加圧している。これにより、係止部65aによる係止に加えて、より強く係止される。
【0040】
上述した左ガイド部94及び左ガイド弾性部94aと、右ガイド部95及び右ガイド弾性部95aは、対称の構成及び作用を為すものであり、説明を割愛する。
但し、上述した左ガイド弾性部94aの作用は、右ガイド弾性部95aの作用と共に為される、共同作用として発生するものであり、左ガイド弾性部94a及び右ガイド弾性部95aは、本発明のカバー連動手段である。
また、上述したように、左ガイド部94と右ガイド部95は蓋体突設片基部82cの左右両側端部に当接するように設けられており、また蓋体突設片基部82cと基体突設片基部72cは対称構造となっている。これにより、基体突設片72と蓋体突設片82が対向状態に位置して組み合わせられた際(
図6参照)、左ガイド部94の後方右側面部及び、右ガイド部95の後方左側面部によって、基体突設片基部72cの上部の平板部の前方両側端部を挟み込むように作用する。これによって、基体突設片72と蓋体突設片82が対向状態に位置したときに、蓋体突設片基部82cの姿勢を一定に保つことが容易となるように構成されている。
【0041】
さらに、蓋体突設片基部82cには、蓋体シール貼付部82bが設けられている。具体的な構成は、上述したように蓋体突設片基部82cと基体突設片基部72cとが対称構造であることから、基体シール貼付部72bと対称であるため、説明を割愛する。
【0042】
次に、本発明のカバー部材としてのシールカバー65の構成について説明する。シールカバー65は、略直方体状且つ下方に向かって開口した箱状に形成され、図示(
図7参照)左右の立下り部の最下部には内側に向かって、上述した楔状の係止部65a、及び係止部65bを備える。また、シールカバー65は、
図6(B)に示すように、対向状態に位置する基体シール貼付部72b及び蓋体シール貼付部82bに跨って貼付されたICタグシール60を被覆すると共に、基体突設片72及び蓋体突設片82を完全に内部に収容した状態で、係止部65a及び係止部65bによって左ガイド弾性部94a及び右ガイド弾性部95aを係止可能に構成されている。
なお、本実施例の係止部65a及び係止部65bは、シールカバー65の図示前後方向の全域に亘って設けられているのではなく、左ガイド弾性部94a及び右ガイド弾性部95aに対応する箇所にのみ突設されている。このようにすることにより、シールカバー65の図示した左右の内壁と、左基体カバー支持部74a及び、右基体カバー支持部74bとの夫々の外壁部との間隙を少なく出来、シールカバー65を確実に装着することが出来る。
【0043】
では、このように構成される本実施例の基体突設片72及び蓋体突設片82の組み付け方法及び基板ケースの封印方法等を、
図6も参照して説明する。
図6は、本実施例の基体突設片72、及び蓋体突設片82の組み付け状態を説明する概略斜視図である。
先ず、
図5に示すように、ケース基体70の基体本体部71又はケース蓋体80の蓋体本体部81の何れか所定の側に、本実施例のパチンコ機1に係る各種電気的作動装置を制御するための制御基板を取り付ける。制御基板の取り付けが完了したら、ケース基体70とケース蓋体80を相互に対向して突合せ、ケース基体70の4箇所の係止凸部75を、図示しない4箇所の係止凹部に組み合わせて閉止する。当該閉止状態にある基体本体部71及び蓋体本体部81の上部構造を
図6(A)に示す。当該閉止状態となると、次に、蓋体突設片82のうちで、蓋体本体部81に固着された左蓋体カバー支持部84a及び右蓋体カバー支持部84bを除く別体構成としての蓋体突設片基部82c等を、図示矢印方向に向かって下降して装着する。当該装着が完了すると、上述したように、装着姿勢を一定に維持されるようになっている。このとき、本実施例の、蓋体突設片82は、ケース基体70とケース蓋体80が組み合わされて閉止したとき、基体突設片72と対向状態となるよう構成されている。
【0044】
次いで、基体突設片72と蓋体突設片82が対向状態となると、ICタグシール60を基体シール貼付部72bの図示裏面側から、蓋体シール貼付部82bの表面側に跨って、
図6(B)に示す状態で貼付する。貼付の際には、上述したように浅底の溝状に形成された基体シール貼付部72bと蓋体シール貼付部82bの領域内に、これを目安として行う。本実施例では、ICタグシールのICチップ60aが、基体シール貼付部72bと蓋体シール貼付部82bの境界に位置するように貼付するようにしている。
このように、本実施例の基体突設片72は、基体突設片72と蓋体突設片82とが対向状態となったとき、ICタグシール60を該両突設片に跨って貼付するための基体シール貼付部72bを備え、蓋体突設片82は、基体突設片72と蓋体突設片82とが対向状態となったとき、ICタグシール60を該両突設片に跨って貼付するための蓋体シール貼付部82bを備えるものである。
【0045】
さらに、本実施例では、蓋体シール貼付部82bは、該蓋体シール貼付部82bを備えた蓋体突設片82に対して、左蓋体カバー支持部84a及び右蓋体カバー支持部84bを残して変位することが可能な本発明の可動シール貼付部である。また、基体シール貼付部72bは、該基体シール貼付部72bを備える基体突設片72に対して、一体的に備えられることで固定された本発明の固定シール貼付部である。
【0046】
ICタグシール60の貼付が完了すると、次に、シールカバー65を
図7(A)の図示矢印方向に下降させて、対向状態にある基体突設片72と蓋体突設片82を外部に対して被覆するように装着する。シールカバー65は、本発明のカバー部材である。上述したように、装着完了位置まで下降すると、左ガイド弾性部94aと係止部65aが係止され、右ガイド弾性部95aと係止部65bが係止される。すなわち、蓋体シール貼付部82bを備えた蓋体突設片基部82cと一体的に固着された左ガイド弾性部94aと右ガイド弾性部95aが、係止部65aと係止部65bにより係止されることで、シールカバー65と蓋体シール貼付部82bは相互に係止されるものである。すなわち、左ガイド弾性部94aと右ガイド弾性部95aは、本発明のカバー連動手段を構成する。当該係止状態となると、本発明の基板ケースの封印が完了することになる。なお、当該封印を解除するためには、シールカバー65を外す以外に方法はない。
【0047】
本発明の要部としての基板ケースは、以上説明してきたように構成されるものであるが、続いてその作用効果について、
図7を参照して説明する。
図7は、本実施例における本発明のカバー部材、固定シール貼付部及び可動シール貼付部の作用を説明する概略説明図である。
図7(A)は、上述してきたように、本発明の対向状態にある基体突設片72と蓋体突設片82に対して、外部から被覆するようにシールカバー65を装着した状態であり、このとき、シールカバー65と可動シール貼付部としての蓋体シール貼付部82bは、カバー連動手段を介して係止されている。封印を解除するために、
図7(B)に図示する矢印方向にシールカバー65を上昇変位させると、これに伴って、左ガイド弾性部94a及び右ガイド弾性部95aに一体的に構成される蓋体突設片基部82cが上昇を開始する。つまり、蓋体突設片基部82cに設けられた蓋体シール貼付部82bが上昇変位する。このとき、ICタグシール60が蓋体シール貼付部82bから跨って貼付されている基体シール貼付部72bについては、基体本体部71に固定されており、変位しない。したがって、シールカバー65及び蓋体シール貼付部82bがさらに上昇変位を続けると、ICタグシール60は、破断若しくは、蓋体シール貼付部82bの上部に形成される平面部の後方側辺縁部に応力集中が起こり、この後方側辺縁部に沿って切断される。ICタグシール60の破断若しくは切断が発生した後、さらにシールカバー65を上昇変位させた結果を、
図7(B)に図示した。ICタグシール60の破断若しくは切断された状態が痕跡として残るため、当該封印が解かれたことを容易に視認可能となっている。本実施例ではこのように、ICタグシール60の切断に特化した切断機構を備えることなく、ICタグシール60を切断するように作用するものである。
すなわち、蓋体突設片82及び基体突設片72を被覆するシールカバー65を該両突設片から離脱させると、左ガイド弾性部94a及び右ガイド弾性部95aにより蓋体シール貼付部82bが連動して、基体シール貼付部72bから離脱し、前記両突設片に跨って貼付されたICタグシール60を破断させるように作用する。
[実施例2]
【0048】
次に、本発明の他の実施例として、実施例2を
図8及び
図9を参照して説明する。
図8は、実施例2の基体突設片72及び蓋体突設片182の組み付け状態を説明する概略斜視図であり、
図9は、実施例2における本発明のカバー部材、固定シール貼付部、不動シール貼付部及び可動シール貼付部の作用を説明する概略説明図である。尚、上述した実施例1と同じ構成については、便宜上同じ符号を付記して説明するか説明を割愛することにし、ここでは本実施例の要部のみを説明する。
【0049】
図8を参照して、実施例2の構成の要部及び組み付け状態を説明する。本実施例の要部の特徴を端的に示すと、実施例1と比較した場合、実施例1の蓋体突設片基部82c及び蓋体シール貼付部82bの下部が、蓋体本体部81に固定して設けられている点である。以下、この点を含めて詳述する。
本実施例では、蓋体本体部81の外側且つ上部には、一部の構成(左蓋体カバー支持部184a、右蓋体カバー支持部184b及び不動蓋体突設片190a)を除いて、蓋体本体部81とは別体で構成されて分離可能な、蓋体突設片182を備える。
本実施例の蓋体突設片182は、蓋体本体部81に一体的に設けられた左蓋体カバー支持部184a及び右蓋体カバー支持部184bと、可動蓋体突設片182aと、不動蓋体突設片190a、で構成される。
【0050】
可動蓋体突設片182aの構成について説明する。可動蓋体突設片182aは、中央に可動蓋体シール貼付部182bを備えた可動蓋体突設片基部182cと、可動蓋体突設片基部182cの図示左側端部に設けられた左ガイド部194と左ガイド弾性部194aと、可動蓋体突設片基部182cの図示右側端部に設けられた右ガイド部195と右ガイド弾性部195aと、で構成される。
可動蓋体突設片182aの構成は、可動蓋体シール貼付部182bと可動蓋体突設片基部182cの構成以外は、上述した実施例1の構成と符号が異なるのみであるため、説明は割愛する。可動蓋体突設片基部182cと可動蓋体シール貼付部182bの構成も、基本的には実施例1の蓋体突設片基部82cと蓋体シール貼付部82bの構成と同じであるが、高さが実施例1の概ね半分に減少して形成されている。この場合の可動蓋体シール貼付部182bの高さは、ICタグシール60を貼付した際に、
図8(B)に示すようにICタグシール60の下端部が下方にはみ出して貼付出来ない高さに形成されている。
可動蓋体シール貼付部182bは、蓋体突設片182から離脱可能な本発明の可動シール貼付部である。
【0051】
不動蓋体突設片190aの構成について説明する。不動蓋体突設片190aは、蓋体突設片基部82cと同じ奥行き寸法で形成される厚板状に構成され、その高さは、実施例1の蓋体突設片基部82cと本実施例の可動蓋体突設片基部182cとの差で構成される。すなわち、可動蓋体突設片182aを不動蓋体突設片190aの不動蓋体突設片基部190cの上面部に載置した際に、可動蓋体シール貼付部182bと基体シール貼付部72bが同じ高さとなるように構成されている。また、不動蓋体突設片基部190cの前面部には、可動蓋体シール貼付部182bと同様に不動蓋体シール貼付部190bが形成されている。そして、該不動蓋体突設片190aは、蓋体本体部81に固定して設けられている。
不動蓋体シール貼付部190bは、蓋体突設片182から離脱不能すなわち、蓋体突設片182に固定された本発明の不動シール貼付部である。したがって、本実施例の蓋体突設片182のシール貼付部は、可動シール貼付部としての可動蓋体シール貼付部182bと、不動シール貼付部としての不動蓋体シール貼付部190bで構成され、可動蓋体シール貼付部182bと不動蓋体シール貼付部190bが組み合わされた状態において、ICタグシール60を所定の適正な状態に貼付することが可能な構成となっている。
なお、本実施例における蓋体シール貼付部は、可動蓋体シール貼付部(可動シール貼付部)182bと不動蓋体シール貼付部(不動シール貼付部)190bで構成されるものである。
【0052】
このように構成された基体突設片72及び蓋体突設片182等の組み付け方法、封印方法等について説明する。
図8(A)に示す状態までは実施例1と同様なので省略し、当該状態から可動蓋体突設片182aを図示矢印方向に下降させて、実施例1の場合と同様に所定の装着姿勢を維持可能に装着する。このとき、可動蓋体突設片基部182cの下端部と不動蓋体突設片基部190cの上面部が当接するようになる。次いで、ICタグシール60を、基体シール貼付部72bの裏面側から、可動蓋体シール貼付部182b、さらには不動蓋体シール貼付部190bまで跨って貼付する。このとき、ICタグシール60は、本発明の固定シール貼付部から、可動シール貼付部及び不動シール貼付部までに、跨って貼付されていることになる。
【0053】
ICタグシール60の貼付作業がこのように完了すると、次に基体突設片72及び蓋体突設片182を被覆するシールカバー65を装着する。この作業も実施例1と同様で、所定の装着位置まで到達すると、カバー連動手段としての左ガイド弾性部194aと右ガイド弾性部195aが係止部65a、65bに係止され、これにより間接的にシールカバー65と可動シール貼付部としての可動蓋体シール貼付部182bが互いに係止される。当該係止が完了したことによって、本実施例の基板ケース(ケース基体70とケース蓋体80)は封印(封止)状態となり、当該状態から開封するためには、シールカバー65を取り外すことが必要となる。
【0054】
こうして封印された基板ケースの開封時に為される本実施例要部の作用について、説明する。
封印状態を示す
図9(A)の状態から、開封するためにシールカバー65を、
図9(B)に図示した矢印方向に向かって上昇変位させることにより、基体突設片72及び蓋体突設片182から離脱させると、これに伴って、左ガイド弾性部194a及び右ガイド弾性部195aに一体的に構成される可動蓋体突設片基部182cが上昇を開始する。同時に、可動蓋体突設片基部182cに設けられた可動蓋体シール貼付部182bが上昇変位する。
このとき、ICタグシール60が跨って貼付されている、不動蓋体シール貼付部190c、可動蓋体シール貼付部182b、及び基体シール貼付部72bのうち、不動蓋体シール貼付部190cは蓋体本体部81に固定されており、基体シール貼付部72bは基体本体部71に固定されており、変位しない。
したがって、シールカバー65並びに可動蓋体シール貼付部182bがさらに上昇変位を続けると、本実施例のICタグシール60は、実施例1と異なって、ICタグシール60の破断(切断)が異なる2箇所において発生するようになっている。詳述すると、一方においては実施例1と同様に、可動蓋体シール貼付部182bの上部に形成される平面部の後方側辺縁部に応力集中が起こり、この後方側辺縁部に沿って切断される。この破断による結果として、ICタグシール60の破断部の一方(他方は前方視である
図9(B)では視認不能)のみをシール破断部62aとして示した。
他方、ICタグシール60の、不動蓋体シール貼付部190bと可動蓋体シール貼付部182bに跨って貼付された箇所において、もう一つの破断が発生する。不動蓋体シール貼付部190bが蓋体本体部81に固定されているのに対して、変位可能な可動蓋体シール貼付部182bが離脱すると、蓋体突設片182のシール貼付部に貼付されたICタグシール60の破断が発生する。この破断による結果として、シール破断部62bと62cを図示した。
ICタグシール60の破断若しくは切断が発生した後、さらにシールカバー65を上昇変位させた結果を、
図9(B)に図示した。ICタグシール60の破断若しくは切断された状態が痕跡として残るため、当該封印が解かれたことを容易に視認可能となっている。本実施例ではこのように、ICタグシール60の切断に特化した切断機構を備えることなく、ICタグシール60を切断するように作用するものであると共に、複数箇所においてICタグシール60の破断が発生し、当該痕跡がより視認し易くなっている。さらにいえば、本実施例の構成によって、複数の方向からでも破壊痕跡を視認可能となる。つまり、
図9(B)の上方から確認した場合、シール破断部62aや図示しないシール破断部62aに対応した破断部によって、開封が行われたことを確認可能であり、また、
図9(B)の前方から確認した場合、シール破断部62b、62cによって、開封が行われたことを確認可能となっている。
このように本実施例では、蓋体突設片182に設けられる蓋体シール貼付部を、可動シール貼付部としての可動蓋体シール貼付部182bと不動シール貼付部としての不動蓋体シール貼付部190bで構成し、封印を解除する際に、蓋体突設片182及び基体突設片72を被覆するカバー部材としてのシールカバー65を該両突設片から離脱させると、可動蓋体シール貼付部182bは不動蓋体シール貼付部190bから離脱し、蓋体突設片182に設けられる蓋体シール貼付部に貼付されたICタグシール60を破断させるものである。
【0055】
以上、本発明に係る実施例を説明してきた。しかし、本発明の技術思想の範囲内であれば、これに限定するものではない。
例えば、実施例1では、本発明の固定シール貼付部として基体シール貼付部72bを、また可動シール貼付部として蓋体シール貼付部82bを例示したが、逆に、固定シール貼付部として蓋体シール貼付部82bで、また可動シール貼付部として基体シール貼付部72bにより構成しても良い。このようにすることにより、遊技機に取り付けられた状態で開封の確認をする際に、確認が容易となる状態に適宜変更可能である。
【0056】
同様に、実施例2では、本発明の基体シール貼付部を、可動シール貼付部としての可動蓋体シール貼付部182bと、不動シール貼付部としての不動蓋体シール貼付部190bと、で構成したものを例示したが、逆に、本発明の蓋体シール貼付部を可動シール貼付部と不動シール貼付部とで構成するようにしても良い。このようにすることにより、遊技機に取り付けられた状態で開封の確認をする際に、確認が容易となる状態に適宜変更可能である。
【0057】
なお、実施例1及び実施例2において、基体突設片基部72c、蓋体突設片基部82c、及び可動蓋体突設片基部182cを、所定の高さまで薄板状に立ち上がり形成され、次いで略直角に折れ曲がって平面部が形成されてなる、断面略逆L字の薄板状に形成されている例を示したが、これに限定することは無い。例えば、断面略逆L字の薄板状とすることで形成される内部空間を備えない、つまり前記平面部の奥行き寸法を厚みとする、略厚板状に形成された構成であっても良い。このように構成することにより、可動シール貼付部が変位して基体突設片或いは蓋体突設片から離脱する際に、ICタグシールを破断する上で発生する荷重によって上記した各突設片基部が変形或いは破損することなくICタグシールを破断することが可能となる。また、ICタグシールの貼付作業においても、各突設片基部が堅牢であることにより、作業性、正確性が向上する。
【0058】
また、各シール貼付部の構成として、ICタグシールの幅より僅かに大きな寸法で設定された浅い溝状に形成され、これにより、ICタグシールの左右方向の貼付位置の目安となる構成を例示したが、これに加えて、前後方向の貼付位置の目安となる機能を備えたものでも良い。例えば、ICタグシールの少なくとも前または後端部の貼付位置の目安となるラインを備えるものや、前記貼付位置となる箇所を終点として前記溝部を終了させてそこから先を起伏させるもの、などでも良い。このようにすることで、貼付されたICタグシールのICチップの位置が前後方向で常に一定となるため、ICタグシールの機能の低下の程度を一定にすることが可能となる。また、予め貼付される所定の前後位置を設定しておけば、破断(切断)されるアンテナ部の位置が自ずから決まり、ICチップに可能な限り近傍を切断するように設定することで、接続部の切断やICチップから延設されるアンテナ部の残部を極力短くすることが可能となり、ICタグシールの機能の低下を効果的に実現可能となる。
【0059】
また、実施例2の可動蓋体シール貼付部(可動シール貼付部)182bと、不動蓋体シール貼付部(不動シール貼付部)190bの上下方向の高さは略同じ程度に設定されている例を示したが、これに限定するものではない。寧ろ、可動蓋体シール貼付部(可動シール貼付部)182bと不動蓋体シール貼付部(不動シール貼付部)190bにおけるICタグシール60の貼付力(貼着力、接着力)が均等となるような構成が望ましい。例えば、可能な限り、不動蓋体シール貼付部(不動シール貼付部)190bにおけるICタグシールの貼付面積を大きくするために、不動蓋体シール貼付部(不動シール貼付部)190bの高さを大きく設定する方法が望ましい。或いは、前記貼付力に依存せず、他の固着方法(別構成のシール端部固着手段として、抑え部材や螺着構成など)により固定する方法でも良い。ICタグシール60の前側端部が確実に破断して不動蓋体シール貼付部(不動シール貼付部)190bに残留出来れば良い。このようにすることで、可動蓋体シール貼付部(可動シール貼付部)182bが不動蓋体シール貼付部(不動シール貼付部)190bから離脱するに伴って、不動蓋体シール貼付部(不動シール貼付部)190b側に貼付された部分の貼付力が、破断力より小さく、これにより破断を発生しない状態を回避することが出来るため、確実に複数方向から封印解除の痕跡を確認することが可能となる。
【0060】
また、上述した実施例の可動シール貼付部としての蓋体シール貼付部82b、及び可動蓋体シール貼付部182bは、上部且つ後方の辺縁部が左右方向に直線状に形成されているが、これが波形状、山形状等で形成されても良い。このようにすることにより、破断(切断)後のICタグシールのシール破断部62aの形状が前記波形状や山形状に形成され、破断したことを一目瞭然に視認することが可能となる。
【0061】
さらに、上述した実施例では、ICタグシールが貼付された際にICチップが載置される蓋体シール貼付部と基体シール貼付部の高さを同じにしたが、僅かに異ならせて相互に段差を形成するようにしても良い。このようにすることで、ICタグシールを貼付する際に、前記段差を手指によってICタグシールを介して認識可能となり、ICチップが所定の配置位置となっているかを容易に確認可能となる。