(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
可撓性を有する回路基板と、該回路基板表面に実装されるイメージ撮像デバイスと、前記イメージ撮像デバイス上に実装されるレンズハウジングと、前記イメージ撮像デバイス下方の裏面に取り付けられる補強材とを含むデジタルカメラモジュールであって、
前記レンズハウジングが前記補強材に直接接続され、
前記可撓性を有する回路基板が、可撓性の基層と、該可撓性の基層上に形成される第1、第2の導電性のトレース層と、イメージ撮像デバイス用の複数の第1接触パッドと、コネクタ(214)と、を備え、
記第1の導電性のトレース層が、イメージ撮像デバイスの実装される側の第1面上に設けられており、
前記第2の導電性のトレース層が、前記第1面の反対の第2面に設けられており、前記可撓性を有する回路基板を通って前記第1の導電性のトレース層に接続されており、
前記複数の第1接触パッドが、前記第1の導電性のトレース層に電気的に接続されており、
前記コネクタ(214)が、複数の第2接触パッドを備え、該第2接触パッドが前記第2の導電性のトレース層に電気的に接続されており、
前記可撓性を有する回路基板が、第2面側へと曲げて用いられ、前記第1接触パッドの各々が、前記第1の導電性のトレース層上に接着されるニッケルからなる層と、前記ニッケルからなる層上に接着される金からなる層とからなり、
前記可撓性を有する回路基板が、屈曲した状態で、ホスト装置側のコネクタ(614)に接続されてなる
ことを特徴とするデジタルカメラモジュール。
【背景技術】
【0002】
イメージの撮像、保存にフィルムを用いる従来のカメラとは異なり、デジタルカメラはさまざまな半導体素子を用いている。これら半導体素子はまとめてイメージ撮像デバイスと称される。これらの小さなシリコンチップは何百万もの感光性ダイオード、すなわちフォトサイトを有する。シャッター(メカニカルシャッターあるいは電子シャッター)が開いていると、各フォトサイトは、電荷を集め、入射光の強さと明るさを記録する。より多くの入射光があると、より多くの電荷が集まる。各フォトサイトに記録された輝度は、撮像イメージに対応した画素の輝度及び/又は色を表示する値として保存される。輝度値/色の値(色種を指定する値)は、ディスプレイ上のドットや印刷されたページの色や明るさを決定するのに用いられ、イメージを再現する。
【0003】
イメージ撮像デバイスはデジタルカメラ内に実装される。結果、イメージ撮像デバイスは、レンズ及びカメラ本体の開口部と一線上に並んでいる。シリコンチップ(ダイ)は、概してセラミック・リードレス・チップキャリア(CLCC:ceramic leadless chip carrier)上に実装される。結果として、セラミック・リードレス・チップキャリアはプリント基板(PCB:printed circuit board)上に実装される。セラミック・リードレス・チップキャリア(CLCC)はセラミック材からなり、高温に対する耐久性を備えるので、電気的に接続させるためのはんだ付けにも耐えられることとなる。セラミック・リードレス・チップキャリアは鉛を有していないが、周囲に1組の接触パッドを備え、リフローはんだ付け工程を介して、PCB基板と電気的に接続する。また、セラミック・リードレス・チップキャリアは、別の1組の接触パッドあるいは鉛製フレームによって、ダイと電気的接続を行う(例、ワイヤボンディング)。実装工程において、セラミック・リードレス・チップキャリア(CLCC)の接触パッドは、プリント基板にある電気めっきを施したパッドと接続される(例、はんだ付けを介して)。そして、レンズはダイとCLCCを覆うPCB基板に実装される。最後に、プリント基板はカメラ内の所定位置で実装され
る。結果、レンズはカメラ内の開口部と一線上に並んでいる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来技術におけるデバイスやその組立て方法にはデバイス製造工程及びデバイスの質の面で課題を残している。イメージ撮像デバイスをカメラ開口部と一列に並べることは困難である。特に、小型のカメラ(例、携帯電話のカメラ)にこのことはあてはまる。多くのデバイスがプリント基板に実装されているため、許容誤差が蓄積し、イメージ撮像デバイスを開口部と一線上に配列する時の精度は低減する。加えて、PCB基板は概して他のコンポーネント(キーパッドなど)を備えていて、そのコンポーネントは他の開口部と一線上に並んでいなければならなく、さらに複雑な配置調整の問題が生じる。
【0005】
図1は従来技術による上述の配置調整の問題に対する解決法の一例である。ある特定の実施形態において、カメラデバイス(100)は独立したカメラモジュール(102)を備え、そのカメラモジュールは可撓性部材を用いて、メインPCB(108)と接続する。独立したカメラモジュール(102)はPCB(106)を備え、そのPCB(106)はCLCC(104)を支持する。結果として、PCB(106)はダイ(114)を支持する。PCB(106)は、フレキシブル基板(フレキシブル回路基板(FPC:flexible printed circuit)(120)を介してメインPC(108)と接続される。そのFPC(120)は独立したカメラモジュールPCB(102)とメインPCB(108)間のデータ/電力を伝達する。FPC(120)は、独立したカメラモジュールPCB(102)とメインPCB(108)の物理的な連結を解除させることが可能である。
【0006】
図1のデバイスは配置問題を軽減するものだが、別の問題を生じさせる。例えば、カメラモジュール(100)は前に述べた実施形態以上に多くのコンポーネントが必要となる。それはFPC(120)や付加的なPCB(106)のようなコンポーネントである。さらに、付加的なコンポーネントを有することは、付加的な組み立て工程を要することを意味する。付加的なコンポーネント、付加的な組み立て工程にかかるコストが増え、製品の全コストも増大する。
【0007】
カメラモジュール(100)は、多数の電気接続を有する。そのため、不良の原因箇所が増大する。特に、カメラモジュール(100)は少なくとも4組の電気接続を有する。1組目の電気接続(112)はダイ(114)とCLCC(104)の間に存在する。2組目の電気接続(113)はCLCC(104)とPCB(106)の間に存在する。3組目の電気接続(コネクタ(136)の内側)はPCB(106)とFPC(120)の間に存在する。最後に、4組目の電気接続(コネクタ(138)の内側)はFPC(120)とメインPCB(108)の間に存在する。電気接続の数が増えるにつれ、不良の原因箇所が増大し、全体としての製品に対する信頼性が低くなる。
【0008】
したがって、必要とされるのは、配置的問題が軽減されたデバイスである。それは、従来技術の解決方法よりも少ないコンポーネントでなければならない。また、必要とされるデバイスは、より少ない電気的接続(例、はんだ付けの接続点など)を用いて、配置的問題を軽減させたデバイスである。そして、それは、従来技術の解決方法よりも不良の原因箇所が少なくなければならない。さらに、必要とされるデバイスは、従来技術よりも少ない製造工程及び/または短時間の組み立て時間でできあがるものでなければならない。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、従来技術に係る課題を解決するものであり、この課題の解決は、デジタルカメラモジュールを提供することにより図られる。このデジタルカメラモジュールは、FPC基板上に据付けられるイメージ撮像デバイスを備える。FPC基板上へのイメージ撮像デバイスの据付は、許容誤差に関連する光学的配列並びに電気的接続部分の数を、従来技術に係るデバイスと比較して、大幅に低減させる。本発明は更に、デジタルカメラモジュールの組立を素早く且つ効率的に行なうことを可能とする。デジタルカメラモジュールは、デジタルカメラを構成する他の部品と簡単に整列状態となることが可能である。
【0010】
デジタルカメラモジュールのある実施形態において、イメージ撮像デバイスは、直接的に(例えば、接着剤により)、FPC基板上に据付けられる。補強材(例えば、回路ボード材料の板片)は、FPC基板の背面に据付けられ、補強材は、FPC基板上へのイメージ撮像デバイスのワイヤボンディング工程を補助することとなる。更に/或いは、追加の要素(例えば、レンズハウジング)の据付工程を補助することとなる。
【0011】
特定の実施形態において、FPC基板は、導電性のトレース層を備える。トレース層は、可撓性の基層の一方の面又は両面に形成される。
更に特定の実施形態において、可撓性の基層は、耐熱性を有する剛性のポリマ樹脂(例えば、ポリイミド)を備える。導電性のトレース層上に接触パッドが形成され、トレース
層への電気的接続を可能とする。これら接触パッドは、例えば、導電性のトレース上に形成されたニッケルからなる層と、ニッケルからなる層上に形成される金からなる層を備える。必要に応じて、電気的な絶縁表面層(例えば、ソルダーマスク)が、トレース層上に形成される。この絶縁表面層は、FPC基板上の開口部を定め、接触が接触パッドになされることを可能とする(例えば、ワイヤボンディング)。
【0012】
本明細書中で示される特定の実施形態において、イメージ撮像デバイスは、むき出しの集積回路チップ(ICチップ)のダイである。このダイは、イメージ撮像表面並びにダイ上に形成される接触(ダイボンド)パッド(例えば、ニッケルからなる層と金からなる層)を備える。ダイボンドパッドは、FPC基板の接触パッドとの直接的な電気的接続を可能とする。例えば、イメージ撮像デバイスのダイボンドパッドは、金製のボールボンダを用いたワイヤボンディングを介して、FPC基板のワイヤボンドパッドに電気的に接続される。
【0013】
必要に応じて、デジタルカメラモジュールは更に、レンズハウジングを備える。レンズハウジングは、イメージ撮像デバイス上に据付けられる。本明細書中で示される特定の実施形態において、レンズハウジングは、FPC基板上に据付けられ、FPC基板の反対側の面に配された補強材に固定される。背面補強材は、例えば、ガラス含有エポキシ樹脂材料を備える。レンズハウジングは、少なくとも1つの取付用柱部を備える。この柱部は、FPC基板に形成される少なくとも1つの開口部並びに補強材に形成される少なくとも1つの対応する開口部を貫通するように配される。
【0014】
必要に応じて、FPC基板上にコネクタが形成され、このコネクタは、カメラモジュールと他の回路ボード又は部品との電気的接続を可能とする。特定の実施形態において、コネクタは、複数のコネクタパッド(例えば、ニッケルからなる層及び金からなる層)を備える。コネクタパッドは、FPC基板の導電トレース上に形成される。
更に特定の実施形態において、コネクタパッドは、FPC基板の一方の面上に形成される。また、補強材が、FPC基板の反対側の面に据付けられる。この補強材は、ZIF形式のFPCコネクタの形成を可能とする。
【0015】
本明細書中において、デジタルカメラモジュールを製造する方法も説明される。この方法は、FPC基板を提供する段階、イメージ撮像デバイスを提供する段階及びFPC基板上にイメージ撮像デバイスを据付ける段階を備える。
【0016】
特定の方法において、FPC基板を提供する段階が、FPC基板の可撓性を有する基層上に1若しくはそれ以上の導電トレース層を形成する段階を備える。
更なる特定の方法において、電気的接触パッドが、トレース層上に形成される。必要に応じて、接触パッドは、導電トレース上にニッケルからなる層を形成し、ニッケルからなる層上に金からなる層を形成することにより作り出される。金属層は、その後、電気的接触部の形態にパターン加工を施される。必要に応じて、FPC基板を提供する段階は、導電性を有するトレース層上に電気的に絶縁する層を形成する段階を含む。
【0017】
他の特定の方法において、イメージ撮像デバイスを提供する段階が、集積回路チップ上に電気的接触パッド(例えば、ニッケル−金)を形成する段階を備える。また、イメージ撮像デバイスをFPC基板上に据付ける段階が、イメージ撮像デバイスの接触パッドをFPC基板の接触パッドに直接的に接続する段階を備える。
更に特定の形態において、イメージ撮像デバイスの接触パッドは、FPC基板の接触パッドに電気的に接続され、この接続は、接着剤を用いた金製のスタッドの熱圧縮ボンドを行なうことによりなされる。
【0018】
可撓性の基板上にイメージ撮像デバイスを据付ける段階は更に、イメージ撮像デバイスの下方において、FPC基板に補強材を据付ける(例えば、接着剤を用いて)段階を備える。
特定の方法において、補強材は、イメージ撮像デバイスが取付けられたFPCの面の反対側の面に据付けられる。加えて/或いは、補強材は、FPC基板の接触パッドの下方に少なくともその一部が配されるように位置決めされる。これにより、FPC基板の接触パッドのワイヤボンディング工程を補助することが可能となる。
【0019】
必要に応じて、本発明の方法は更に、イメージ撮像デバイス上で、FPCに対してレンズハウジングを据付ける段階を備える。特定の方法において、レンズハウジングを据付ける段階は、レンズハウジングを補強材に固定する段階を備える。
更に特定の方法は、レンズハウジングと補強材のうち一方に形成された複数の取付用柱部を、レンズハウジングと補強材のうち他方に形成された複数の相補的開口部に挿入する段階を備える。
【0020】
本発明に係る方法は、必要に応じて、FPC基板上でコネクタを形成する段階を備える。特定の方法において、コネクタを形成する段階は、FPC基板の導電性のトレース層上にコネクタパッド(例えば、Ni Auパッド)を形成する段階を備える。
更に特定の方法において、コネクタを形成する段階は、FPC基板の表面上に電気的接触部を形成する段階と、電気的接触部と反対側のFPC基板の第2の面に補強材を取付ける段階を備える。
【発明を実施するための形態】
【0022】
本発明は以下の図を参考に説明される。そして、ほぼ同じ要素には、同様の符号が付されている。本発明は先行技術に伴う諸問題をFPC基板上にイメージ撮像デバイスを実装するシステムと方法を提供することで解決する。以下の記載において、本発明の全体が理解できるよう、数多くの具体的かつ詳細な事項について説明する(例、特定の構成材料、FPC基板の構造など)。これらの特定の実施形態から逸脱しても、本発明は実施できることを当業者は理解すべきである。また、他の実施形態において、既知の電子回路製造工程の詳細(例、材質選択、組み立て、集束工程など)や既知のコンポーネントの詳細については省略する。それは本発明が不必要に曖昧にならないようにするためである。
【0023】
図2はデジタルカメラモジュール(200)の分解図である。そして、デジタルカメラモジュール(200)はイメージ撮像デバイス(204)を備える。そのイメージ撮像デバイス(204)は、FPC基板(202)に直接取り付けられている。さらに、デジタルカメラモジュール(200)はレンズハウジング(208)とコネクタ(214)を備える。レンズハウジング(208)はFPC基板(202)に実装されている。また、コネクタ(214)はFPC基板(202)の側端部に形成されている。
【0024】
この特定の実施形態において、イメージ撮像デバイス(204)は、むき出しのダイ(例、ICチップ)である。そのダイはイメージ撮像面(218)センサアレイ、データ処理回路(図示せず)、そして複数のダイ接合パッド(216)を備える。センサアレイ(218)は(センサアレイ(218)上に)結像されたイメージを電気信号に変換する。この変換はデータ処理回路で行われる。ダイ接合パッド(216)は電気的接続を提供する。その電気的接続は、データ処理回路がデータと命令をデバイス(204)の外側にある電子回路との間でやりとりする。(例、撮像したイメージのデータ表示、イメージを記録する命令など)。例えば、この特定の実施形態において、ダイ接合パッド(216)はワイヤ(220)でFPC基板にあるワイヤ接合パッド(224)と接合される。そして、ダイ接合パッドはFPC基板内の導電トレース(
図2では図示せず)を通じて、(FPC基板上の各コンポーネント)はFPC基板にあるコネクタ(214)のコネクタ接触面(250)(
図5)と電気的に結合されている。
【0025】
イメージ撮像デバイス(204)は、非導電性接着剤を用いて、物理的に直接FPC基板(202)に取り付けられる。イメージ撮像デバイス(204)はFPC基板(202)上に配置される。この配置工程には、高精度自動取り付け装置、及びガイドとしてのフレキシブル基板上の基準マーカーが用いられる。これにより、イメージ撮像面(218)の工学的中心位置が光軸(222)上に位置することとなる。当業者にとって上述の半導体素子の取り付け装置は周知である。さらに、エポキシを用いて、イメージ撮像デバイス(204)がFPC回路基板に対して取り付けられると、複数のイメージ撮像デバイス(204)がFPC基板(202)に対する平面度は、±1度内の精度で維持される。そして、イメージ撮像面(218)は光軸(222)に対して、ほぼ直角をなす。エポキシの厚さのばらつきはレンズ調整を通じて補正されるが、この点については、下記においてさらに詳しく説明する。
【0026】
受動コンポーネント(201)は付加的な電気コンポーネントを代表する。付加的な電気コンポーネントはイメージ撮像デバイス(204)の必要に応じて電子回路に組み込むことができる。付加的な電気コンポーネントはFPC基板(202)の導電トレースを通じて電子回路に結合されている。ここで説明された実施形態において、受動コンポーネント(201)はコンデンサ、レジスタ、インダクタなどといったデバイスである。受動コンポーネント(201)は導体パッド(図示せず)上に実装され、FPC基板(202)にある導電トレースと電気的に接続する。受動コンポーネント以外の電気デバイスは、FPC基板(202)の電子回路に実装され、及び/又は、組み込まれることとなる。
【0027】
補強材(206)はFPC基板(202)の背面に取り付けられ(例、熱硬化性アクリル系接着剤を用いて)、その後、組み立て作業(電気的接続のワイヤボンディング、ダイの取り付け、付加的な機械的あるいは電気的デバイスの取り付けなど)の物理的支持を提供する。ガラスを混ぜたエポキシ樹脂材料で補強材(206)を形成すると、十分な断熱性と剛性を備えることが発明者により確かめられた。必要に応じて、補強材(206)は他の材料、限定するわけではないがポリイミド、FR4、金属などを用いて、形成することができる。この特定の実施形態において、補強材(206)は延長部(228)を有し、イメージ撮像デバイス(204)が取り付けられた箇所以外のFPC基板(202)の部分も十分に支持する。そして、補強材(206)が、受動コンポーネント(201)に対して支持領域を提供することで、受動コンポーネント(201)はレンズハウジング(208)の接触域外でFPC基板(202)と物理的、電気的に結合する。
【0028】
レンズハウジング(208)はレンズモジュール(210)とベース(236)を有する。レンズモジュール(210)が1以上のレンズと他のコンポーネント(例、赤外フィルタなど)を備えること、そして、1以上のレンズと他のコンポーネントはセンサアレイ(218)上にはっきりとした視像の結像に必要不可欠であることを当業者は承知であろう。レンズモジュール(210)の具体的光学コンポーネントは用途に応じて異なってくるが、特に本発明とは関係がない。レンズモジュール(210)は1組の雄ネジ(211)を備える。その雄ネジは、ベース(236)の内側にある相補的な雌ネジ(図示せず)と螺合する。それゆえ、レンズモジュール(210)はレンズハウジングベース(236)にねじ込んだり、抜いたりすることができる。ベース(236)内でレンズモジュール(210)を回すと、回す方向に応じて、レンズモジュール(210)はセンサアレイ(218)に近づいたり、遠ざかったりすることができる。これによって、センサアレイ(218)に対するイメージの結像が容易に行われる。
【0029】
レンズハウジングベース(236)は4つの取付け柱部(230)を介して、FPC基板に一線上に並べられ、取付けられる。FPC基板(202)と背面補強材(206)はそれぞれ複数の開口部(232)と(234)を備える。開口部(232)は開口部(234)と一線上に配されていて、それぞれの開口部に取付け柱部が貫通する。そして、背面補強材(206)はレンズハウジング(208)の取付け柱部(230)と結合される。その結合は、例えば、熱溶接あるいは接着によってなされる。レンズハウジング(208)がイメージ撮像デバイス(204)の直上にあるFPC基板(202)に実装されるよう、開口部(232)は配置がなされる。また、開口部(232)はレンズモジュール(210)の中心を光軸(222)が通るように、配置される。
【0030】
コネクタ(214)はFPC基板(202)の端部に形成される。また、コネクタ(214)はカメラモジュール(200)からデバイス(例、携帯電話、カメラ本体など)内で固定されたPCBへの電気的接続を供給する。コネクタ(214)は複数のコネクタ接続部を有する(
図2では図示せず)。このコネクタ接続部は、フレキシブル基板(202)の下面、及びフレキシブル基板(202)の上面に用いられた補強材(212)上に取り付けられている。補強材(212)は剛性を備え、電気絶縁材で形成されている。また、補強材(212)は例えば、補強材(206)と同じ材料で形成することが可能である。補強材(212)とFPC基板(202)の終端におけるコネクタ接触部で雄電気コネクタを形成する。そしてこの雄電気コネクタが対応する、ホストボード(host board)上
にある雌電気コネクタと雄電気コネクタは接続される。
【0031】
図1に示すカメラモジュール(100)と比較して、カメラモジュール(200)はイメージ撮像デバイス(204)を取り付けるのに必要とされる部品点数は少なくて済む。特に、導電回路トレースがFPC基板(202)内に形成されるため、PCB(106)とコネクタ(136)は不要となる。さらに、イメージ撮像デバイス(204)は直接FPC基板(202)上に取り付けられているため、CLCC(104)は不要となる。したがって、これらの要素の機能は維持しつつも、カメラモジュール(200)は先行技術に用いた要素を減らすことができる。
【0032】
上述の通り、先行技術のカメラモジュール(100)はダイ(114)とメインPCB(108)の結合に少なくとも連続した4つの接続が必要となる。ダイ(114)とCLCC(104)の間のワイヤボンディング接続は1つの接続として数える。それは、たとえ2つの接続であるとしても、1つの接続として数える。その一方、(本発明の)カメラモジュール(200)はイメージ撮像デバイス(204)ともうひとつ別のPCBを接続するのに2つの連続した接続のみで済む。1つ目の接続はイメージ撮像デバイス(204)のダイ接合パッド(216)と、FPC基板(202)上のワイヤ接合パッド(224)とのワイヤボンディング接続である。2つ目の接続はコネクタ(214)のコネクタ接触パッドと、ホストPCB上の雌コネクタとの接続である。したがって、少なくとも2つの接続が、各ダイ接合パッド(216)から除去されている。典型的なイメージ撮像デバイスは周囲に44のダイ接続パッドを備えているため、88箇所の電気的接続が回路から除去されることとなる。
【0033】
図3はFPC基板(202)の断面図である。
図3は、イメージ撮像デバイス(204)、補強材(206)、補強材(212)がFPC基板上にあることを示す。
図3は実際の寸法とは異なる。例えば、FPC基板(202)の厚さは多いに強調されていて、その細部構造を示している。
【0034】
FPC基板(202)は可撓性のある基層(238)を備える。その基層は例えば、ポリイミドからなる。フレキシブル基板(202)はさらに導電トレース(240)を備える。導電トレースは上層の金属層(239)、下層の金属層(241)で構成され、ともに銅からなる。導電トレース(240)は導電経路を提供し、ダイ接続パッド(224)、ワイヤ接続パッド(243)、そしてコネクタ接続パッド(250)間を連結する。複数の導電路(248)(1つのみ図示されている)が可撓性のある基層(238)を貫通するように形成される。そして複数の導電路は、上方金属層(239)で形成されたトレース(240)と、下方金属層(241)で形成されたトレース(240)間の電気的接続を提供する役割をもっている。
【0035】
金属層(239)と(241)は
図3では、FPC基板(202)の全長に対して中断されずに延伸しているが、FPC基板(202)の横断面において、金属層(239)と(241)は連続していないのが通常である。むしろ、実際の断面図は、特定の回路設計によって決定されるのだが、金属層(239)と(241)の間に形成されたトレース(240)(フォトリソグラフィーあるいは他の適切な手段で形成される)の経路によって決定される。これら回路設計は電子設計における当業者の技量からすれば、十分に対応できる範囲である。
【0036】
FPC基板(202)はさらに上部と下部に絶縁層(242)を備える。これらの層は、例えば、ソルダレジストで形成されている。絶縁層(242)は開口部をもっている。その開口部はワイヤ接合パッド(224)、受動コンポーネントパッド(243)、そしてコネクタ接続パッド(250)を露出させる。接触パッド(224)(243)そして(250)はニッケル層(246)を有する。このニッケル層は、導電トレース(240)上に形成されている。金からなる層(244)はニッケル層(246)上に形成されている。金からなる層(244)はパッド(216)と(224)とのワイヤボンディング接続に適した表面を提供する。例えば、ダイ接合パッド(216)とワイヤ接合パッド(224)は金からなる回路線による接合(252)を通じて、電気的に結合されている。さらに、金からなる層(244)は接触パッド(216)、(224)、(243)及びコネクタパッド(250)の腐食を防ぐ。ニッケル層(246)は、金からなる層(244)とトレース(240)の間に配置されているのだが、金からなる層(244)が銅トレース(240)と直接接触するのを回避する。そして、ニッケル層(246)は金からなる層(244)とトレース(240)の両方に対して適切に接着する。
【0037】
図3で示すように、補強材(206)は接着剤(254)を用いて、FPC基板(202)に取り付けられている。補強材(206)は、イメージ撮像デバイス(204)の下方に位置し、イメージ撮像デバイス(204)の配される面に対して反対側のFPC基板(202)にある。補強材(206)はFPC基板(202)に対して剛性を与えている。そして、イメージ撮像デバイス(204)の取り付け、ワイヤボンディング接続、ダイの取り付け、受動コンポーネント(201)の取り付け、そしてレンズハウジングベース(236)の取り付けといった後に続く組み立て工程を容易にする。補強材(206)はイメージ撮像デバイス(204)の幾何学的境界(外形輪郭線)を越えて延出している。
【0038】
補強材(212)は接着剤(254)を用いて、FPC基板(202)の上面に実装され、コネクタ(214)を形成する。補強材(212)はコネクタ接触面(250)の上に位置する。補強材(212)は剛性を備え、電気的絶縁材(FR4あるいはポリイミド)で形成されている。補強材(212)の剛性が付与されることで、コネクタ(214)は対応するコネクタにしっかりと差し込む際の補助がなされる。
【0039】
図4は組み立てられたカメラモジュール(200)の前面斜視図であり、カメラモジュール(200)が直立位置にあることを示す。そして、レンズハウジング(208)がFPC基板(202)の一方の端部に取り付けられ、コネクタハウジングベース(214)がFPC基板(202)のもう一方の端部に取り付けられているのを示す。レンズモジュール(210)はその長さの大部分がハウジングベース(236)に対して螺合されている。レンズモジュールがイメージ撮像デバイスに対して焦点距離が合わせられると(ベース(236)内で回転することによって)、レンズモジュール(210)はベース(236)に対して所定位置で固定される。その固定は、例えば、レーザー溶接あるいは他の最適な手段でなされる。
【0040】
図5はカメラモジュール(200)の背面図である。この図が示すコネクタ接触パッド(250)はFPC基板(202)の背面(
図3の底面)に形成されている。コネクタ接触パッド(250)は一般的に受動コンポーネントパッド(243)やワイヤ接続パッド(224)と同時かつ同じ方途で形成される。したがって、コネクタパッド(250)はニッケル層(246)を有することとなる。このニッケル層(246)は導電トレース(240)上に形成される。また、金からなる層(244)はニッケル層(246)上に形成される。当然のこととして、ニッケル層(246)は
図5では図示されていない。
【0041】
また、
図5は開口部(232)を通って配置される取付け柱部(230)を示している。取付け柱部(230)は開口部(232)内で接着剤、熱溶接、あるいは任意の適切な手段によって固定される。例えば、柱部(230)はそれぞれにネジ部を有し、止めナットの相補的ネジ部と係合する。
【0042】
図6はカメラモジュール(200)を組み込んだ、カメラ(600)の側面図である。カメラモジュール(200)に加えて、カメラ(600)はメインホストPCB(602)、ファインダー(604)を有する。そして、メインホストPCB(602)、ファインダー(604)はカメラハウジング(606)に取り付けられている。カメラハウジング(606)は前部開口部(608)、後部開口部(610)を備える。レンズハウジング(208)がその前部開口部(608)に取り付けられる。また、ユーザーインプット/アウトプット(I/O)デバイス(612)はその後部開口部(610)に取り付けられる。
【0043】
メインPCB(602)はカメラ(600)の一次制御回路、ユーザーI/O(612)そして雌電気コネクタ(614)を司る。そして雌電気コネクタ(614)はカメラモジュール(200)のコネクタ(214)を受け入れる。ファインダー(604)は単に視認用の筒として代表的に示されている。当業者にとって、ファインダーの設計は既知のものであり、あまり本発明と関連性があるわけではない。さらに、ユーザーI/Oが単なる押しボタン(例、電子シャッターボタン)として示されているが、ユーザーI/Oは任意の望ましいI/Oコンポーネントであってもよい。例えば、ユーザーI/Oは、キーパッド、ディスプレイなど、カメラ操作に有益なものであってもよい。
【0044】
特定の実施形態において、FPC基板(202)は屈曲した状態で配され、光軸(222)がメインPCB(602)に対して、垂直位置にあることを示す。しかしながら、本発明の利点は、レンズモジュール(208)及びメインPCB(602)間の相対的な方向位置を特定の用途に応じて変更できることにある。例えば、デジタルカメラモジュール(200)とメインPCB(602)は相互に取り付けられ、光軸(222)がメインPCB(602)と平行にすることができる。実際、レンズモジュール(208)はハウジングの一部に実装することさえできる。このハウジングの一部は、ハウジングの別の箇所と移動可能に接続されている。また、ハウジングの別の箇所(フリップ型の携帯電話の分離部分)には、メインPCB(602)が実装されている。開口部(608)内のレンズモジュール(208)の配列は、開口部(610)内のユーザーI/O(610)の配列とは別個に定められている。
【0045】
図7はデジタルカメラモジュール(200)の製造方法(700)を要約したフローチャートである。第一段階(702)でFPC基板が用意される。次に、第二段階(704)でイメージ撮像デバイスが用意される。それから、第三段階(706)において、光学コンポーネントが用意される。次に第四段階(708)で、イメージ撮像デバイスがFPC基板に実装される。最後に、第五段階(710)で、光学コンポーネントがイメージ撮像デバイスに実装される。
【0046】
図8は方法(700)の第一段階(702)(FPC基板を提供する)を実施する一つの方法(800)を要約したフローチャートである。最初の段階(802)で、可撓性のある基層が供給される。次に第二段階(804)として、導電トレースが可撓性のある基層上に形成される。それから、第三段階(806)において、接触パッドが導電トレース上に形成される。最後に、第四段階として、絶縁層が導電トレース及び可撓性のある基層(238)上に形成される。
【0047】
図9は方法(700)の第四段階(708)(FPC基板にイメージ撮像デバイスを実装する)を実施する一つの方法(900)を要約したフローチャートである。第一段階(902)において、接着剤が用意される。それから、第二段階(904)で、補強材が用意される。次に、第三段階(906)にて、補強材がFPC基板の背面に実装される。それから、第四段階(908)において、接着剤が補強材とは反対側にあるFPC基板の前面表面に使用される。次に第五段階(910)において、イメージ撮像デバイスが接着剤上に戴置される。そして、第六段階(912)で、接着剤が硬化する。最後に、第七段階(914)で、イメージ撮像デバイスのダイ接合パッドがFPC基板のワイヤ接合パッドにワイヤボンディング接続される。
【0048】
図10は方法(700)の第五段階(710)(光学コンポーネントがイメージ撮像デバイスに実装される)を実施する一つの方法(1000)を要約したフローチャートである。第一段階(1002)において、レンズハウジングが用意される。次に、第二段階(1004)において、レンズハウジングがイメージ撮像デバイス上に配置される。それから、第三段階(1006)で、レンズハウジングが補強材に取り付けられる。
【0049】
本発明における特定の実施形態の説明はここで終わりとする。ここまで述べてきた特徴は本発明の技術的範囲から逸脱せずに上記に記載した特徴の多くが代替され、変更され、もしくは省略できる。例えば、本明細書で開示された接触パッドやコネクタパッドの代わりに、異なる導電材質(例、銅、アルミニウムなど)を用いることができる。もうひとつ他の例は、本明細書で述べられた典型的なレンズハウジングの代わりに、異なるレンズハウジングを用いることができる。本明細書で述べられた特定の実施形態に対するこれらの変更形態及びその他変更形態は、本明細書による開示を見れば、当業者は容易に構築できる。