(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5764785
(24)【登録日】2015年6月26日
(45)【発行日】2015年8月19日
(54)【発明の名称】セグメントレゾルバ
(51)【国際特許分類】
G01D 5/20 20060101AFI20150730BHJP
H02K 24/00 20060101ALI20150730BHJP
H02K 1/14 20060101ALI20150730BHJP
【FI】
G01D5/20 110H
H02K24/00
H02K1/14 Z
【請求項の数】1
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2011-89227(P2011-89227)
(22)【出願日】2011年4月13日
(65)【公開番号】特開2012-220443(P2012-220443A)
(43)【公開日】2012年11月12日
【審査請求日】2014年4月10日
(73)【特許権者】
【識別番号】000203634
【氏名又は名称】多摩川精機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100110423
【弁理士】
【氏名又は名称】曾我 道治
(74)【代理人】
【識別番号】100084010
【弁理士】
【氏名又は名称】古川 秀利
(74)【代理人】
【識別番号】100094695
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 憲七
(74)【代理人】
【識別番号】100111648
【弁理士】
【氏名又は名称】梶並 順
(74)【代理人】
【識別番号】100147500
【弁理士】
【氏名又は名称】田口 雅啓
(72)【発明者】
【氏名】石橋 和之
【審査官】
深田 高義
(56)【参考文献】
【文献】
特開2003−121107(JP,A)
【文献】
特開2005−055183(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01D 5/20
H02K 1/14
H02K 24/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ロータコア(2)の外周面(2a)に接近した状態で配設されたステータコアと、前記ステータコアに設けられたステータ巻線(4)と、を備え、前記ステータコアは前記ロータコア(2)の外周面(2a)の一部の角度範囲(θ)のみに対応して配設されたセグメントステータコア(1)よりなり、
前記セグメントステータコア(1)は、前記外周面(2a)の軸方向(C)に沿って互いに離間して設けられた一対の磁極(3)間に形成された第1スロット(1A)を有する1個のSIN出力用ステータコア(1M)と、前記外周面(2a)の軸方向(C)に沿って互いに離間して設けられた一対の磁極(3)間に形成された第2スロット(1C)を有する1個のCOS出力用ステータコア(1N)と、前記SIN出力用ステータコア(1M)と前記COS出力用ステータコア(1N)とを接続するための接続体(10)と、からなり、前記各スロット(1A,1C)毎に磁束の流れ(A)が完結するようにして二相の出力を得るようにしたセグメントレゾルバにおいて、
前記SIN出力用ステータコア(1M)と前記COS出力用ステータコア(1N)は、全体形状がコ字形よりなり、前記ロータコア(2)は、前記外周面(2a)に円周方向(2B)に沿って形状が変化する凹凸面(2A)を有するバリアブルリラクタンス型ロータよりなり、前記SIN出力用ステータコア(1M)と前記COS出力用ステータコア(1N)とは全く同一形状に形成され、前記接続体(10)は前記SIN出力用ステータコア(1M)と前記COS出力用ステータコア(1N)間に位置していることを特徴とするセグメントレゾルバ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、セグメントレゾルバに関し、特に、ロータコアの軸方向に沿って配設した一対の磁極間にスロットを有することにより、磁束の流れを各スロット毎に完結することによって、磁束の流れを安定させるための新規な改良に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、用いられていたレゾルバとしては、例えば、特許文献1に開示されている構成があるが、このレゾルバの輪状ステータの一部をカットし、ロータの外周面に対応する所定角度範囲のみを残したセグメントステータコアを用いた構成が、
図4に示されるように、特許文献2として開示されている。
すなわち、
図4において符号1で示されるものは、バリアブルリラクタンス型のロータコア2に対応して所定角度範囲のみの形状からなるセグメントステータコアであり、このセグメントステータコア1の内面1aには、内方へ向けて突出する複数の磁極3が所定の角度間隔で設けられている。
【0003】
前記各磁極3には、図示しない絶縁カバーを介してステータ巻線4が設けられ、前記ロータコア2の軸心位置は、前記セグメントステータコア1の軸心位置からずらせて設定されていることにより、偏心して配設されている。
尚、前記ステータ巻線4は、周知のように、図示しない励磁巻線と出力巻線の組合せによって構成されている。
【0004】
従って、前述の従来構成において、前記ロータコア2が回転すると、このロータコア2の外周2aと各磁極3との間のギャップにおけるギャップパーミアンスが変化し、このギャップパーミアンスの変化による各磁極3の磁束の変化による出力電圧の変化を検出することによってロータコア2の回転角度等を検出していた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2002−168652号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従来のセグメントレゾルバは、以上のように構成されていたため、次のような課題が存在していた。
すなわち、セグメントステータコア1が所定の角度範囲に対応しているのみであるため、各磁極3とロータコア2との間で流れる磁束流れAは、セグメントステータコア1の両端以外のスロット1Aでは磁束流れAが完結して正常な流れとなるが、セグメントステータコア1の両端のスロット1Bにおいては、磁束流れBで示されるように、磁束の流れのバランスが悪くなり、前記磁束流れAのように磁束の流れが完結せず、回転角度検出の精度に対する悪影響が大であった。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明によるセグメントレゾルバは、ロータコア2の外周面2aに接近した状態で配設されたステータコアと、前記ステータコアに設けられたステータ巻線4と、を備え、前記ステータコアは前記ロータコア2の外周面2aの一部の角度範囲θのみに対応して配設されたセグメントステータコア1よりな
り、
前記セグメントステータコア1は、前記外周面2aの軸方向Cに沿って
互いに離間して設けられた一対の磁極3間に形成された第1スロット1Aを有する
1個のSIN出力用ステータコア1Mと、前記外周面2aの軸方向Cに沿って
互いに離間して設けられた一対の磁極3間に形成された第2スロット1Cを有する
1個のCOS出力用ステータコア1Nと、前記SIN出力用ステータコア1Mと前記COS出力用ステータコア1Nとを接続するための接続体10と、からなり、前記各スロット1A,1C毎に磁束の流れAが完結する
ようにして二相の出力を得るようにしたセグメントレゾルバ
において、
前記SIN出力用ステータコア1Mと前記COS出力用ステータコア1Nは、全体形状がコ字形よりなり、前記ロータコア2は、前記外周面2aに円周方向2Bに沿って形状が変化する凹凸面2Aを有するバリアブルリラクタンス型ロータよりなり、前記SIN出力用ステータコア1Mと前記COS出力用ステータコア1Nとは全く同一形状に形成され、前記接続体10は前記SIN出力用ステータコア1Mと前記COS出力用ステータコア1N間に位置している構成である。
【発明の効果】
【0008】
本発明によるセグメントレゾルバは、以上のように構成されているため、次のような効果を得ることができる。
すなわち、ロータコアの外周面に接近した状態で配設されたステータコアと、前記ステータコアに設けられたステータ巻線と、を備え、前記ステータコアは前記ロータコアの外周面の一部の角度範囲のみに対応して配設されたセグメントステータコアよりなるセグメントレゾルバにおいて、前記セグメントステータコアは、前記外周面の軸方向に沿って
互いに離間して設けられた一対の磁極間に形成された第1スロットを有する
1個のSIN出力用ステータコアと、前記外周面の軸方向に沿って
互いに離間して設けられた一対の磁極間に形成された第2スロットを有する
1個のCOS出力用ステータコアと、前記SIN出力用ステータコアと前記COS出力用ステータコアとを接続するため
前記SIN,COS出力用ステータコア間に位置する1個の接続体と、からなり、前記各スロット毎に磁束の流れが完結することにより、各スロットの磁束量の不均一化を解消することができ、更に、円周方向にステータコアを設置するのに必要なスペースを大幅に低減することが可能となり、レゾルバの塔載位置の制約が厳しい構成への適用が広がり、セグメントレゾルバのメンテナンス性の向上に大きく貢献できる。
また、前記SIN出力用ステータコアと前記COS出力用ステータコアは、
全く同一形状で全体形状がコ字形よりなることにより、セグメントステータコアの形状を必要最小限の構成とすることができ、セグメントレゾルバの全体形状を大幅に小型化できる。
また、前記ロータコアは、前記外周面に円周方向に沿って形状が変化する凹凸面を有するバリアブルリラクタンス型ロータよりなることにより、巻線の少ない、かつ、構造が簡単で安価な構成を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本発明によるセグメントレゾルバの全体構成を示す斜視図である。
【
図4】従来のセグメントレゾルバを示す要部の平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明は、ロータコアの軸方向に沿って配設した一対の磁極間にスロットを有することにより、磁束の流れを各スロット毎に完結することによって、磁束の流れを安定させるようにしたセグメントレゾルバを提供することを目的とする。
【実施例】
【0011】
以下、図面と共に本発明によるセグメントレゾルバの好適な実施の形態について説明する。
尚、従来例と同一又は、同等部分には同一符号を付して説明する。
図1において、符号2で示されるものは、周知のバリアブルリラクタンス(VR)型のロータコアであり、このロータコア2の外周面2aには、所要の軸倍角(nX)で検出するための円周方向2Bに沿って形状が変化する凹凸面2Aが形成されている。
【0012】
前記ロータコア2の外周面2aに接近する近傍位置には、
1個のSIN出力用ステータコア1Mと
1個のCOS出力用ステータコア1Nとを有するセグメントステータコア1が配設されている。
前記各ステータコア1Mと1Nは、全く同一形状に構成され、
図1及び
図2に示されるように、全体形状がコ字形に形成され、その両端に一対の磁極3が
互いに離間して一体に形成されている。
【0013】
前記各磁極3には、周知のように、励磁巻線4a及び出力巻線4bとからなるステータ巻線4が巻回され、各磁極3の先端面3aは前記ロータコア2の外周面2aに接近して配設されている。
前記各ステータコア1M,1Nは、
図1及び
図2で示されるように、
各1個よりなると共に一対の各磁極3間に1個の第1又は第2スロット1A又は1Cが形成され、各ステータコア1M、1Nの長さ方向Lはロータコア2の軸方向Cに沿って設けられている。
【0014】
前記各ステータコア1M,1Nは、
図3で示されるように、
各ステータコア1M,1N間に位置している長手形状の接続体10で互いにロータコア2の円周方向2Bに沿って離間した状態で接続されており、前記各ステータコア1M,1Nと接続体10とは、
図3のように、セグメントレゾルバ11を平面的にみた場合、全体形状がコ字形をなしており、前記セグメントステータコア1は、ロータコア2の外周面2aの一部の角度範囲θのみに対応して配設されている。
【0015】
前述の構成において、本発明のセグメントレゾルバ11を作動させる場合、前記ステータ巻線4の励磁巻線4aに励磁信号を印加して発生する磁束流れAは、
図2で示されるように、各ステータコア1M,1Nの各スロット1A,1C毎にループを描いて流れることにより完結し、ロータコア2の回転に供い変化する磁束流れAの強弱変化を出力巻線4bによって二相の出力電圧として検出し、周知のように、ロータコア2の回転角度の検出を行うことができる。
尚、前述の二相に構成されたセグメントステータコア1を、前記ロータコア2の外周面2aの円周方向に沿って複数個配設することにより、多重冗長系のセグメントレゾルバ11を構成することができる。また、複数個用いることのメリットとして高精度化に貢献する。
【産業上の利用可能性】
【0016】
本発明によるセグメントレゾルバは、1XからnXまでのセグメントレゾルバ及び冗長系のセグメントレゾルバを簡単に構成することができる。
【符号の説明】
【0017】
1 セグメントステータコア
1a 内面
1A,1C 第1、第2スロット
1M SIN出力用ステータコア
1N COS出力用ステータコア
L 長さ方向
C 軸方向
A 磁束流れ
2 ロータコア
2a 外周面
2B 円周方向
3 磁極
3a 先端面
4 ステータ巻線
4a 励磁巻線
4b 出力巻線
10 接続体
11 セグメントレゾルバ
θ 角度範囲