特許第5764844号(P5764844)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5764844
(24)【登録日】2015年6月26日
(45)【発行日】2015年8月19日
(54)【発明の名称】自動販売機のリユースシステム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 50/00 20120101AFI20150730BHJP
   G06Q 50/04 20120101ALI20150730BHJP
【FI】
   G06Q50/00 100
   G06Q50/04
【請求項の数】2
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2012-49538(P2012-49538)
(22)【出願日】2012年3月6日
(65)【公開番号】特開2013-186570(P2013-186570A)
(43)【公開日】2013年9月19日
【審査請求日】2014年8月26日
(73)【特許権者】
【識別番号】313000128
【氏名又は名称】サントリー食品インターナショナル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107308
【弁理士】
【氏名又は名称】北村 修一郎
(72)【発明者】
【氏名】桑原 博之
(72)【発明者】
【氏名】神中 正隆
(72)【発明者】
【氏名】長谷川 博道
【審査官】 塩田 徳彦
(56)【参考文献】
【文献】 特開2006−163777(JP,A)
【文献】 特開2008−165658(JP,A)
【文献】 米国特許第6321983(US,B1)
【文献】 特開2000−48066(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00 − 50/34
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
廃棄予定の自動販売機の筐体を構成する複数の筐体ユニットの各々の再利用の可否、および、当該筐体ユニットを構成する部品ユニットの再利用の適当性の評価値を記録する廃棄自動販売機データベースと、
前記部品ユニット毎に、前記廃棄予定の自動販売機から取得した当該部品ユニットを使用するために必要な金額と、新品の当該部品ユニットを使用するために必要な金額と、を記録する部品ユニットデータベースと、
前記廃棄自動販売機データベースの記録内容と前記部品ユニットデータベースの記録内容とに基づいて、再利用可能な前記筐体ユニットを組み合わせて前記自動販売機を組み立てるために必要な金額が所定条件下で最小となるように、前記自動販売機を構成する再利用可能な前記筐体ユニットを取得する前記廃棄予定の自動販売機を決定する再利用機決定部と、を備えた自動販売機のリユースシステム。
【請求項2】
前記廃棄予定の自動販売機は複数の集積拠点に集積され、
前記廃棄予定の自動販売機が集積されている前記集積拠点から組み立てが行われる組み立て拠点までの移送の金額を記録する移送費データベースを備え、
前記再利用機決定部は、さらに前記移送費データベースに記録されている前記移送の金額に基づいて前記筐体ユニットの組み合わせを求める請求項1記載の自動販売機のリユースシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、廃棄予定の自動販売機をリユースするための自動販売機のリユースシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、地球環境等への配慮やコスト削減のために工業製品のリユースやリサイクルが行われるようになっている。工業製品には様々なものが存在するが、自動販売機は廃棄ルートがほぼ定まっているため、リユース等が行い易いものの一つである。
【0003】
自動販売機は、故障等により使用できなくなった場合だけでなく、設置年数等の条件を充足した際にも、廃棄されることがある。このような場合には、部品や筐体を構成するユニット(筐体ユニット)の中にはリユース可能なものもある。そのため、これらの部品や筐体ユニットを効率的にリユースするために、以下のようなシステムが提案されている。
【0004】
例えば、特許文献1には、自動販売機の各構成部品の使用条件を考慮してその使用時間および余寿命を所定期間ごとに算出し、該算出した使用時間および余寿命と、部品名、利用開始年月および理論寿命とを含む部品情報を格納する手段と、該格納された部品情報を前記自動販売機の管理者に提供する手段と、を備え、前記構成部品の寿命を管理するシステムが開示されている。
【0005】
この特許文献1のシステムでは、自動販売機の各構成部品の寿命が管理することができるため、廃棄予定の自動販売機の構成部品の余寿命が把握できるため、各構成部品のリユース等が可能であるか否かをチェックするための工数を削減することができる。
【0006】
また、引用文献2には、自動販売機の部品に係る部品情報を蓄積したデータベースを管理するデータベース管理装置と、前記データベースに蓄積した部品情報を前記データベース管理装置から取得する複数の端末装置とを備え、前記データベースには、前記自動販売機の部品を識別する識別データと、該部品の使用履歴を示す履歴データと、該部品の保管場所を示す保管場所データと、前記保管場所から前記端末装置に対応する輸送先に該部品を輸送する料金を示す輸送料データとを対応付けて蓄積し、前記端末装置は、対象部品の希望条件を示す条件データを入力する入力手段と、前記データベース管理装置から複数の部品の前記識別データと前記履歴データと前記輸送料データとを受信する受信手段と、前記受信手段により受信した複数の部品の履歴データと前記入力手段により入力した条件データとを比較してリユース可能な複数の部品を選定し、さらにこの選定した複数の部品に対応する輸送料データに基づいてリユースする部品の識別データを特定する特定手段と、を備えたシステムが開示されている。
【0007】
この引用文献2のシステムでは、輸送料を考慮しながらリユース可能な部品を自動的に特定することができ、これによりリユース可能な部品を新たな自動販売機の製造のために供給することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2003−217009号公報
【特許文献2】特開2003−256591号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
上述したように、特許文献1のシステムでは、部品の余寿命を管理することができるため、廃棄予定の自動販売機から取り出した部品がリユース可能であるか否かをチェックするための工数は削減することができる。また、特許文献2のシステムでは、輸送料を最適化するという観点から、ストックされているリユース部品から新たな自動販売機の製造に使用するリユース部品を選択することができる。
【0010】
しかしながら、これらのシステムは、部品のリユースには適用することはできるが、筐体ユニット、特に、部品ユニットを備えた筐体ユニットを効率的にリユースするために用いることはできない。
【0011】
上記課題に鑑み、本発明の目的は、部品ユニットを備えた自動販売機の筐体ユニットを効率的にリユースする自動販売機のリユースシステムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
前記課題を解決するために、本発明の自動販売機のリユースシステムは、廃棄予定の自動販売機の筐体を構成する複数の筐体ユニットの各々の再利用の可否、および、当該筐体ユニットを構成する部品ユニットの再利用の適当性の評価値を記録する廃棄自動販売機データベースと、前記部品ユニット毎に、前記廃棄予定の自動販売機から取得した当該部品ユニットを使用するために必要な金額と、新品の当該部品ユニットを使用するために必要な金額と、を記録する部品ユニットデータベースと、前記廃棄自動販売機データベースの記録内容と前記部品ユニットデータベースの記録内容とに基づいて、再利用可能な前記筐体ユニットを組み合わせて前記自動販売機を組み立てるために必要な金額が所定条件下で最小となるように、前記自動販売機を構成する再利用可能な前記筐体ユニットを取得する前記廃棄予定の自動販売機を決定する再利用機決定部と、を備えている。
【0013】
この構成では、廃棄自動販売機データベースには、自動販売機の筐体を構成する筐体ユニットの再利用の可否が記録されているため、この情報に基づいて、新たな自動販売機を製造するための各筐体部品をいずれの自動販売機から取り出すかを決定することができる。また、廃棄自動販売機データベースには、筐体ユニットが備えている各部品ユニットの再利用の適合性、すなわち、品質も記録されている。一方、部品ユニットデータベースには、廃棄されるデータベースから取得した部品ユニットを再利用するための費用、例えば、取り外し,整備,取り付け等の費用と、新品の部品ユニットを使用するための費用、例えば、新品の部品ユニットの価格,取り付け費用等と、が記録されている。再利用機決定部は、これらの情報に基づいて、廃棄される自動販売機から各筐体ユニットを取得して、新たな自動販売機を製造するための総費用が所定条件下で最小となるように、再利用する自動販売機、すなわち、各筐体ユニットを取得する自動販売機を決定する。なお、本発明の所定条件とは無条件をも含む概念である。
【0014】
このように、本発明の自動販売機のリユースシステムを用いれば、各筐体ユニットをいずれの自動販売機から取得すべきかが自動的に決定されるため、効率的な自動販売機のリユースを行うことができる。さらに、再利用する自動販売機は所定条件下で費用を最小化しているため、製造コストを抑制することができる。
【0015】
廃棄される自動販売機は一箇所に集積されるのではなく、複数の集積拠点に集積された後に、製造拠点に移送され、そこで筐体ユニットがリユースされる場合がある。このような場合には、筐体ユニットをリユースするためには、自動販売機の移送費用を考慮する必要がある。そのため、本発明の自動販売機のリユースシステムの好適な実施形態の一つでは、前記廃棄予定の自動販売機は複数の集積拠点に集積され、前記廃棄予定の自動販売機が集積されている前記集積拠点から組み立てが行われる組み立て拠点までの移送の金額を記録する移送費データベースを備え、前記再利用機決定部は、さらに前記移送費データベースに記録されている前記移送の金額に基づいて前記筐体ユニットの組み合わせを求める。
【0016】
この構成では、各集積拠点から自動販売機の組み立て(製造)が行われる拠点までの移送費用を考慮して、再利用する自動販売機を決定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明の自動販売機のリユースの仕組みの概略図である。
図2】本発明の自動販売機のリユースシステムの構成およき機能ブロックを表す図である。
図3】本発明の自動販売機のリユースシステムの処理の流れを表すフローチャートである。
図4】廃棄自動販売機データベースの例である。
図5】部品ユニットデータベースのデータベーススキーマの例である。
図6】部品ユニット情報の取得処理の流れを表すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明に係る自動販売機は、複数の筐体ユニットにより筐体が構成されており、少なくともいずれかの筐体ユニットは部品ユニットを備えている。本実施形態では、筐体ユニットは本体およびドアである。また、筐体ユニットとしてのドアは、部品ユニットとして、意匠ユニット(表),意匠ユニット(裏),販促ユニット(表),販促ユニット(裏),取出口ユニット,接客ユニット,断熱ユニット(上),断熱ユニット(下)を備えている。
【0019】
本発明の自動販売機のリユースシステムでは、このような自動販売機が廃棄された際に、各々の自動販売機からリユース可能な筐体ユニット(本体およびドア)を取り外し、それらを組み合わせて新たな自動販売機を組み立てる(製造する)ために、各筐体ユニットを取得する自動販売機を決定するためのものである。
【0020】
図1は、本発明に係る自動販売機のリユースの仕組みの概略図である。図に示すように、廃棄される自動販売機Vは整備拠点B(本発明の集積拠点の例)と呼ばれる拠点に集積される。なお、図には2つの整備拠点B1,B2のみを表しているが、整備拠点Bの数は適宜変更可能である。以下の説明では、整備拠点B1,B2を区別する必要がない場合には、整備拠点Bと総称する。
【0021】
整備拠点Bに廃棄される自動販売機が集積されると、人為的に各筐体ユニットのリユースの可否、および、部品ユニットのリユースの適合性が判定され、自動販売機の識別情報とともに廃棄自動販売機データベースD1に登録される。
【0022】
本実施形態では、自動販売機のリユース、すなわち、廃棄される自動販売機から取り出した筐体ユニットを組み合わせることによる新たな自動販売機の製造は、リユースセンターAと呼ばれる拠点で行われる。そのため、自動販売機のリユースシステムはリユースセンターAで用いられる。
【0023】
リユースセンターAでは、自動販売機のリユースシステムを用いて、廃棄自動販売機データベースD1に登録されている自動販売機の中から、各筐体ユニットを取得する自動販売機を決定する。そして、各整備拠点Bに対して、決定された自動販売機の移送を指示し、移送された自動販売機から筐体ユニットを取得(取り外し)、それらを組み合わせて新たな自動販売機を製造する。
【0024】
図2は、本実施形態における自動販売機のリユースシステムのシステム構成および各機能部を表す図である。図に示すように、各整備拠点Bには汎用コンピュータにより構成された端末Tが備えられている。端末Tは、ネットワークNを介して廃棄自動販売機データベースD1,部品ユニットデータベースD2,移送費データベースD3にアクセスすることができる。
【0025】
廃棄自動販売機データベースD1は、DBMS(DataBase Management System)とハードディスク等の不揮発性記憶媒体により構成されており、上述したように、整備拠点に集積された廃棄される自動販売機の型番、識別情報と、その自動販売機の各筐体ユニットのリユースの可否、各部品ユニットのリユースの適合性とが関連付けられて記録される。なお、自動販売機の識別情報は自動販売機の機体番号等の各自動販売機を一意に特定可能な情報を用いる。また、本実施形態では、筐体ユニットのリユースの可否は、リユース可/リユース不可の2値であり、部品ユニットのリユースの適合性は、A〜Eの5段階としている。ここで、A〜Dはリユースが可能であり、Eはリユースが不可能であることを表している。また、A〜Dはリユースする際の整備の必要の程度を表しており、例えば、Aは整備することなくリユースが可能であることを表している。
【0026】
部品ユニットデータベースD2は、後述するように、部品ユニットをリユースする際に必要な費用と、新品の部品ユニットを使用する際の費用とを記録している。
【0027】
移送費データベースD3は、後述するように、各整備拠点BからリユースセンターAに自動販売機を移送するために必要な費用を記録している。
【0028】
本実施形態では、廃棄自動販売機データベースD1,部品ユニットデータベースD2,移送費データベースD3は、整備拠点BおよびリユースセンターA以外の拠点に設置しているが、いずれかの整備拠点Bに設置してもよいし、リユースセンターAに設置しても構わない。また、これらを一つのDBMSにより管理しても構わない。
【0029】
本実施形態の自動販売機のリユースシステムは、汎用コンピュータにより構成されており、図に示すように、条件取得部11,情報取得部12,再利用機決定部13、移送指示部14を備えている。なお、本実施形態では、これらの機能部はCPUとソフトウェアとの協働により構成されているが、ハードウェアのみで構成しても構わない。
【0030】
条件取得部11は、端末Tに入力された自動販売機のリユースシステムを動作させるための各種条件を取得する。なお、本実施形態での条件とは、リユース対象とする自動販売機を抽出(絞り込む)ための抽出条件と、リユース対象とされた自動販売機から筐体ユニットを取得する自動販売機を決定するための条件(以下、決定条件と称し、本発明の所定条件の例である)とを含んでいる。取得された条件は、情報取得部12,再利用機決定部13に送られる。
【0031】
情報取得部12は、各データベースにアクセスして必要な情報を取得する。例えば、廃棄自動販売機データベースD1からは、条件取得部11により取得された条件に含まれる自動販売機の型番等の条件に一致する自動販売機の情報を取得する。また、部品ユニットデータベースD2や移送費データベースD3からは、各自動販売機に搭載されている部品ユニットの情報や各整備拠点Bからの移送費の情報を取得する。取得した情報は再利用機決定部13に送られる。
【0032】
再利用機決定部13は、条件取得部11により取得された条件と情報取得部12により取得した情報とに基づいて、リユースする筐体ユニットを取得する自動販売機を決定する。このとき、再利用機決定部13は、所定の条件下で、自動販売機の製造コストが少なくなるように、各筐体ユニットを取得する自動販売機を決定する。決定された自動販売機の情報は移送指示部14に送られる。
【0033】
再利用機決定部13により決定された自動販売機の情報を取得した移送指示部14は、その自動販売機を集積している整備拠点Bに対して自動販売機の移送を指示する。
【0034】
図3は、本発明の自動販売機のリユースシステムの処理の流れを表すフローチャートである。なお、本処理に先立って、各整備拠点Bでは、廃棄される自動販売機が運び込まれると、作業者は、筐体ユニットである本体およびドアがリユース可能であるか否かを判定するとともに、上述した各部品ユニットのリユースの適合性を判定する(以下、これらの判定処理をプレチェックと称する)。オペレータ等は、各整備拠点Bの端末Tを操作して、これらのプレチェックの結果を廃棄自動販売機データベースD1に入力する。なお、本実施形態の廃棄自動販売機データベースD1には、自動販売機の型番、機体番号(識別情報)、プレチェックの結果に加えて、プレチェックの日付、製造メーカ、年式も記録されている。
【0035】
図4は、廃棄自動販売機データベースD1に記録されている情報の例である。図に示すように、本実施形態の廃棄自動販売機データベースD1は、2つのテーブルから構成されており、機体番号により関連付けられている。図4(a)のテーブルには、自動販売機の機体番号,型番,メーカ,年式,プレチェック日付,その自動販売機が集積されている整備拠点Bの識別情報が記録されている。一方、図4(b)のテーブルには、自動販売機の機体番号とプレチェック結果が記録されている。
【0036】
まず、オペレータ等は、リユースセンターAに設置されている端末Tを操作して、抽出条件および決定条件を入力し、入力された条件は条件取得部11により取得される(#01)。例えば、抽出条件として、「メーカ=“xyz”」,「年式=2000〜2005」等が入力される。また、決定条件として、「製造台数=100」,「投入台数=300」,「製造費用=100000円」等が入力される。条件取得部11により取得された抽出条件は情報取得部12に送られ、決定条件は再利用機決定部13に送られる。
【0037】
抽出条件を取得した情報取得部12は、廃棄自動販売機データベースD1から、その抽出条件を充足する自動販売機の情報を取得する(#02)。例えば、抽出条件が「メーカ=“xyz”」,「年式=2000〜2005」,「型番=“abc”」であれば、メーカが“xyz”、かつ、年式が2000年から2005年、かつ、型番が“abc”の自動販売機の情報(以下、自動販売機情報と称する)が取得される。上述したように、本実施形態では、廃棄自動販売機データベースD1には図4の情報が記録されているため、本実施形態の自動販売機情報は[機体番号,型番,メーカ,年式,プレチェック日付,整備拠点,プレチェック結果]を要素とするリストの形式で表現することができる。ここで、プレチェック結果は[本体リユース可否,ドアリユース可否,意匠ユニット(表)リユース適合度,・・・,断熱ユニット(下)リユース適合度]である。
【0038】
情報取得部12は、自動販売機情報を取得すると、部品ユニットデータベースD2から、その自動販売機情報に含まれている各自動販売機の各筐体ユニットの部品ユニットの情報(以下、部品ユニット情報と称する)を取得する(#03)。
【0039】
図5は、本実施形態における部品ユニットデータベースD2のデータベーススキーマである。図に示すように、本実施形態の部品ユニットデータベースD2は、筐体ユニットテーブル、部品ユニットテーブル、費用テーブルから構成されている。筐体ユニットテーブルは、各型番の自動販売機が備えている筐体ユニット(本体,ドア)の型番を記録している。部品ユニットテーブルは各型番の筐体ユニットが備えている部品ユニットの型番を記録している。なお、本実施形態では本体は部品ユニットを備えていないため、本体型番にリンクする部品ユニットテーブルは図示していない。費用テーブルは、各型番の部品ユニットに関する費用を記録するものであり、本実施形態では、廃棄される自動販売機からその部品ユニットを取り出すために必要な費用、取り出した部品ユニットの整備費用、新品の部品ユニットの価格が費用テーブルに記録されている。なお、上述したように、本実施形態では、部品ユニットのリユースの適合性は5段階あり、B〜Dランクの場合には整備が必要である。そのため、ランク毎に整備費用を記録している。
【0040】
図6は、情報取得部12がこのような部品ユニットデータベースD2から部品ユニット情報を取得するための具体的な処理の流れを表すフローチャートである。まず、自動販売機情報から一の要素を選択し(#11)、この要素から型番(自動販売機型番)を抽出する(#12)。次に、情報取得部12は、部品ユニットデータベースD2に対して、抽出した型番の自動販売機を構成する筐体ユニットの型番、その筐体ユニットが備えている部品ユニット型番、その部品ユニットを使用する際の費用を取得するためのクエリを作成する(#13)。そして、このクエリを部品ユニットデータベースD2に実行させることにより、情報取得部12は部品ユニット情報を取得する(#14)。したがって、部品ユニット情報には、自動販売機型番,筐体ユニットの型番,部品ユニットの型番,部品ユニットを使用する際の費用が含まれる。自動販売機情報に未処理の要素がなくなるまで(#15のNo分岐)、この処理を繰り返す。
【0041】
また、情報取得部12は、移送費データベースD3から、自動販売機を移送するための費用を移送費情報として取得する(#04)。移送費情報は、例えば、各整備拠点BからリユースセンターAまでの移送費が含まれている。より具体的には、例えば、1台のトラックに積載可能な自動販売機の台数と、自動販売機をそのトラックによって各整備拠点BからリユースセンターAに移送する費用を含めることができる。
【0042】
このようにして取得された自動販売機情報、部品ユニット情報および移送費情報は再利用機決定部13に送られる。
【0043】
決定条件、自動販売機情報、部品ユニット情報、移送費情報を取得した再利用機決定部13は、これらの条件および情報に基づいて、リユースする筐体ユニットやリユースする部品ユニットを取得する自動販売機(以下、再利用機と称する)を決定する(#05)。具体的には、再利用機決定部13は、再利用機から筐体ユニットや部品ユニットを取得し、新たな自動販売機を製造するための総費用が所定の条件下で最小となるように再利用機を決定する。この所定の条件は、決定条件によって定められる。
【0044】
上述したように、本実施形態の自動販売機は、筐体ユニットとして本体とドアとを備えている。したがって、廃棄される自動販売機から筐体ユニットを取得して、取得した筐体ユニットを組み合わせて、新たな自動販売機を製造するためには、少なくともリユース可の本体と、リユース可のドアが必要である。したがって、再利用機決定部13は、自動販売機情報から、本体がリユース可となっている自動販売機と、ドアがリユース可となっている自動販売機との組み合わせを作成する。
【0045】
ただし、単に、本体がリユース可の自動販売機とドアがリユース可の自動販売機との組み合わせを作成すると、費用が高くなるおそれがある。そのため、本発明の自動販売機のリユースシステムでは、所定の条件下で、製造に係る総費用が最小となるように、再利用機を決定する。
【0046】
例えば、整備拠点B1にリユース可のドアを有する自動販売機V1とリユース可の本体を有する自動販売機V2とがあり、整備拠点B2にはリユース可の本体を有する自動販売機V3があるとする。なお、これらの筐体ユニットの全ての部品ユニットのリユースの適合性はAであるとする(すなわち、部品ユニットは整備や交換の必要がない)。この場合に、新たに1台の自動販売機を製造するためには、V1とV2との組み合せと、V1とV3との組み合わせが考えられる。ここで移送費用に着目すると、V1とV2との組み合わせでは整備拠点B1からの移送費用が必要となる。一方、V1とV3との組み合わせでは整備拠点B1からの移送費用と整備拠点B2からの移送費用とが必要となる。したがって、費用が最小となるのは、V1とV2との組み合わせである。したがって、再利用機はV1,V2となり、V1から取得されたドアとV2から取得された本体とから、新たな自動販売機が製造される。
【0047】
また、製造の費用は他の観点からも考えることができる。例えば、部品ユニットの整備や交換のコストである。例えば、上述の例と同様の自動販売機が整備拠点B1,B2にあるとする。ただし、ここでは、V1の接客ユニットのリユースの適合性がC、V2の接客ユニットのリユースの適合性がB、V3の接客ユニットのリユースの適合性がAである。
【0048】
リユースの筐体ユニットから自動販売機を製造する場合には、全ての部品ユニットのリユースの適合性、すなわち、品質がAであることが望ましい。したがって、上述の例では、ドアをV1から、本体をV2から、接客ユニットをV3から取得すると、全ての部品ユニットの品質がAとなる。一方、V1やV2から取得した接客ユニットを整備して使用することも可能である。そこで、これらの費用の比較が行われる。すなわち、V1やV2から接客ユニットを取り外し、整備し、取り付ける費用と、V3を整備拠点B2から移送し、接客ユニットを取り外し、新たな自動販売機に取り付ける費用と、が比較され、総費用の小さい方の組み合わせが選択される。例えば、V2から取得した接客ユニットをリユースするための費用<V1から取得した接客ユニットをリユースするための費用<V3から取得した接客ユニットをリユースするための費用、であるとすると、費用が最小となるのは、V1とV2との組み合わせである。したがって、再利用機はV1,V2となり、V1から取得されたドアとV2から取得された本体、および、V2から取得された接客ユニットとから、新たな自動販売機が製造される。
【0049】
ただし、V2から取得した接客ユニットをリユースするための費用を含めた自動販売機の製造費が、決定条件に含まれる製造費用を超えた場合には、V1の接客ユニットの交換を行わないと決定しても構わない。この場合には、再利用機はV1,V2となり、V1から取得されたドアとV2から取得された本体から新たな自動販売機が製造され、この自動販売機の接客ユニットのリユースの適合性、すなわち、品質はCのままである。
【0050】
また、部品ユニットの品質をAにする場合、廃棄される自動販売機から取得した部品ユニットをリユースするのではなく、新品の部品ユニットを使用しても構わない。当然ながら、これらのいずれを用いるかは、費用に基づいて決定される。すなわち、部品ユニットを取得する自動販売機の移送費用+部品ユニットの取り外し費用+部品ユニットの整備費用と、新品の部品ユニットの価格と、が比較されて、いずれを用いるかが決定される。
【0051】
上述の例では、1台の自動販売機の製造であったため、比較的単純な費用比較により、再利用機を決定することができた。しかしながら、実際には、本発明の自動販売機のリユースシステムは、複数台の自動販売機の製造のために用いられ、整備拠点Bやそこに集積される自動販売機の台数も多くなっている。そのため、上述のような単純な費用比較では再利用機を決定することは困難であるが、総当り計算や線形計画法等の手法を用いることにより、再利用機を決定することができる。
【0052】
なお、本実施形態では、単に、所定台数の自動販売機を製造するための総費用が最小となるように再利用機を決定するのではなく、所定条件、すなわち、決定条件下で総費用が最小となるように再利用機を決定している。例えば、決定条件に投入台数を設定することにより、リユースに用いる自動販売機の台数を設定された投入台数以内に収めつつ、総費用が最小となるように再利用機を決定する。なお、本発明における所定条件は条件なしをも含んでいる。すなわち、これは決定条件が未設定の場合であり、この場合には、単に総費用が最小となるように再利用機が決定される。
【0053】
このようにして、決定された再利用機の情報(以下、再利用機情報と称する)は移送指示部14に送られる。また、再利用機決定部13は、再利用機情報に基づいて、新たな自動販売機を製造するための指示書を作成し、出力する。この指示書には、各筐体ユニットをいずれの自動販売機から取得するのか、各筐体ユニットの組み合わせ、各部品ユニットをいずれの自動販売機から取得し、整備が必要であるか否か、または、新品の部品ユニットを使用するのか、等が記載されている。
【0054】
移送指示部14は再利用機情報に基づいて、各整備拠点Bに対して自動販売機の移送指示を送る(#06)。そして、各整備拠点BからリユースセンターAに自動販売機が移送されてくると、指示書に基づいて新たな自動販売機の製造が行われる。
【0055】
〔別実施形態〕
(1)上述の実施形態では、移送指示部14により、自動販売機の移送依頼が行われるよう構成したが、再利用機決定部13の出力に基づいて人為的に移送依頼を行う構成としても構わない。
【0056】
(2)上述の実施形態では、再利用機決定部13は、廃棄する自動販売機の移送費用を含めて再利用機を決定したが、移送費用を含めずに再利用機を決定しても構わない。この場合には、移送費データベースD3が不要となる。
【産業上の利用可能性】
【0057】
本発明は、廃棄予定の自動販売機から取得した筐体ユニットから新たな自動販売機を製造するための自動販売機のリユースシステムに用いることができる。
【符号の説明】
【0058】
A:リユースセンター
B:整備拠点
B1:整備拠点
B2:整備拠点
D1:廃棄自動販売機データベース
D2:部品ユニットデータベース
D3:移送費データベース
N:ネットワーク
T:端末
V:自動販売機
11:条件取得部
12:情報取得部
13:再利用機決定部
14:移送指示部
図1
図2
図3
図4
図5
図6