(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5764846
(24)【登録日】2015年6月26日
(45)【発行日】2015年8月19日
(54)【発明の名称】高電圧垂直トランジスタのためのセグメントピラーレイアウト
(51)【国際特許分類】
H01L 29/78 20060101AFI20150730BHJP
H01L 29/06 20060101ALI20150730BHJP
【FI】
H01L29/78 652F
H01L29/78 652H
H01L29/78 652P
H01L29/78 652S
H01L29/78 653A
【請求項の数】16
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2013-22106(P2013-22106)
(22)【出願日】2013年2月7日
(62)【分割の表示】特願2008-29919(P2008-29919)の分割
【原出願日】2008年2月12日
(65)【公開番号】特開2013-80983(P2013-80983A)
(43)【公開日】2013年5月2日
【審査請求日】2013年3月7日
(31)【優先権主張番号】11/707,406
(32)【優先日】2007年2月16日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】501315784
【氏名又は名称】パワー・インテグレーションズ・インコーポレーテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100082005
【弁理士】
【氏名又は名称】熊倉 禎男
(74)【代理人】
【識別番号】100067013
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 文昭
(74)【代理人】
【識別番号】100086771
【弁理士】
【氏名又は名称】西島 孝喜
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(72)【発明者】
【氏名】ヴィジェイ パルタサラティー
(72)【発明者】
【氏名】ウェイン ブライアン グラボウスキー
【審査官】
工藤 一光
(56)【参考文献】
【文献】
特開平11−233765(JP,A)
【文献】
特開2004−087520(JP,A)
【文献】
特開2006−216927(JP,A)
【文献】
特開2008−205461(JP,A)
【文献】
特開2006−351930(JP,A)
【文献】
特開2004−200540(JP,A)
【文献】
特開2001−168329(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L29/06
H01L29/78−29/792
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
各々が、ダイ上に設けられ、第1の横方向に延びる長さ及び第2の横方向に延びる幅を備えたレーストラック状を有する複数のトランジスタセグメントを具備する垂直トランジスタ装置であって、
前記トランジスタセグメントの各々が、
前記垂直の方向に延びる拡張したドレイン領域を含む半導体材料のピラーと、
前記ピラーの対向する側にそれぞれ配置された第1の誘電領域及び第2の誘電領域と、を含み、
前記第1の誘電領域は横方向において前記ピラーにより囲まれ、前記第2の誘電領域は横方向において前記ピラーを囲み、
さらに、前記トランジスタセグメントの各々は、
前記第1の誘電領域及び前記第2の誘電領域のそれぞれに配置された第1のフィールドプレート及び第2のフィールドプレートと、を含み、
前記複数のトランジスタセグメントは、複数のセクションに分けられており、
第1のセクションにおけるトランジスタセグメントは、第2のセクションにおけるトランジスタセグメントに対して前記第1の横方向においてシフトされ、
トランジスセグメントの前記第1のセクションは前記第2の横方向に延びる分離したトランジスタセグメントの行を含み、
前記第1のセクションの行における前記トランジスタセグメントの各々は、前記第2のセクションを形成する1対のトランジスタセグメントにより前記第2の横方向で分離されており、該1対のトランジスタセグメントは、端と端とが接した関係により隣接して配置されており、
前記第1のセクションにおける前記トランジスタセグメントの前記第2の誘電領域が、前記第2のセクションにおける隣接するトランジスタセグメントの前記第2の誘電領域と合体又は重なり合わされている、ことを特徴とする垂直トランジスタ装置。
【請求項2】
前記ピラーが、更に、前記ピラーの上面の近くに配置されたソース領域と、前記拡張したドレイン領域から前記ソース領域を垂直方向に分離するボディ領域と、を含む、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記ボディ領域に隣接する前記第1の誘電領域及び第2の誘電領域内に配置されたゲートを更に具備し、前記ゲートが、前記ボディ領域、前記第1のフィールドプレート及び前記第2のフィールドプレートから絶縁されている、請求項2に記載の装置。
【請求項4】
前記第1のセクションにおける前記トランジスタセグメントが、前記第2のセクションにおける前記トランジスタセグメントに対して前記第1の横方向において前記長さのある割合だけシフトされており、前記長さのある割合が前記長さの0パーセントより大きく100パーセントより小さいで範囲である、請求項1に記載の装置。
【請求項5】
前記第1のセクション及び前記第2のセクションにおける前記トランジスタセグメントの前記第2のフィールドプレートが、前記第1の横方向において実質的な長さに沿って側部で共通部材を共有する、請求項1に記載の装置。
【請求項6】
前記ピラーが前記第1の横方向及び前記第2の横方向に延びてレーストラック状のリング又は楕円を形成する、請求項1に記載の装置。
【請求項7】
前記第1のフィールドプレート及び前記第2のフィールドプレートが、前記拡張したドレイン領域から完全に絶縁されており、前記第1のフィールドプレートが横方向において前記ピラーによって囲まれ、前記第2のフィールドプレートが横方向において前記ピラーを囲む、請求項1に記載の装置。
【請求項8】
前記ボディ領域に隣接する前記ピラーの上部の近くにある前記第1の誘電領域及び前記第2の誘電領域にそれぞれ配置された第1のゲート部材及び第2のゲート部材を含むトレンチゲート構造を更に具備する、請求項2に記載の装置。
【請求項9】
前記第1のセクション及び前記第2のセクションにおける前記トランジスタセグメントの前記長さと前記幅との比が、30〜80の範囲内にある、請求項1に記載の装置。
【請求項10】
前記複数のセクションが、前記ダイの幅及び長さの全体にわたって延びる、請求項1に記載の装置。
【請求項11】
半導体ダイの上に作製されたトランジスタであって、
該半導体ダイにおける第1のエリアに配置されたトランジスタセグメントの第1のセクションであって、前記第1のセクションの前記トランジスタセクションの各々が第1の横方向に延びる長さと第2の横方向に延びる幅とを有するレーストラック状を有している、第1のセクションと、
前記半導体ダイの前記第1のエリアに隣接した第2のエリアに配置されたトランジスタセグメントの第2のセクションであって、前記第2のセクションの前記トランジスタセクションの各々が第1の横方向に延びる長さと第2の横方向に延びる幅とを有するレーストラック状を有している、第2のセクションと、
を具備し
前記第1のセクション及び前記第2のセクションにおける前記トランジスタセグメントの各々が、
前記ダイの上面の近くに配置されたソース領域と該ソース領域の下に配置された拡張したドレイン領域とを有する、垂直方向に延びる半導体材料のピラーであって、前記第1の横方向及び前記第2の横方向に延びて、連続したレーストラック状のリング又は楕円を形成するピラーと、
該ピラーの対向する側にそれぞれ配置された第1の誘電領域及び第2の誘電領域と、
を含み、
前記第1の誘電領域が横方向において前記ピラーにより囲まれ、前記第2の誘電領域が横方向において前記ピラーを囲み、
さらに、前記第1のセクション及び前記第2のセクションにおける前記トランジスタセグメントの各々は、前記第1の誘電領域及び前記第2の誘電領域のそれぞれに配置された第1のフィールドプレート及び第2のフィールドプレートと、を含み、
前記第1のセクション及び前記第2のセクションにおける隣接するトランジスタセグメントの対の前記第2のフィールドプレートが、側部で部分的に共通部材を共有しており、 前記第1のセクションの前記トランジスタセグメントは、前記第2のセクションの前記トランジスタセグメントに対して前記第1の方向に前記長さのある割合だけシフトされており、前記長さのある割合が前記長さの0パーセントより大きく100パーセントより小さいで範囲である、ことを特徴とするトランジスタ。
【請求項12】
前記第1のセクション及び前記第2のセクションにおける隣接するトランジスタセグメントの対の前記第2のフィールドプレートが、各セクションの間に分離されたダミーピラーが形成されるようにして、併合されることを特徴とする請求項11に記載のトランジスタ。
【請求項13】
前記第1のセクションにおけるトランジスタセグメントが、前記第2のセクションにおけるトランジスタセグメントに対して前記第1の横方向において前記長さの1/2だけシフトされている、請求項11に記載のトランジスタ。
【請求項14】
前記第1のセクション及び前記第2のセクションにおけるトランジスタセグメントの第2のフィールドプレートが、前記第1の横方向において実質的な長さに沿って側部で共通部材を共有している、請求項13に記載のトランジスタ。
【請求項15】
各トランジスタセグメントが、更に、
前記ソース領域及び前記拡張したドレイン領域を垂直方向に分離するボディ領域と、
該ボディ領域に隣接する前記ピラーの上部近くにある前記第1の誘電領域及び前記第2の誘電領域にそれぞれ配置された第1のゲート部材及び第2のゲート部材を含むトレンチゲート構造と、
を含む、請求項11に記載のトランジスタ。
【請求項16】
前記第1のセクション及び前記第2のセクションにおける前記トランジスタセグメントの前記長さと前記幅との比が、30〜80の範囲内にある、請求項13に記載のトランジスタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、半導体デバイス構造及び高電圧トランジスタを作製するためのプロセスに関
【背景技術】
【0002】
高電圧電界効果トランジスタ(HVFET)は、半導体技術分野においてよく知られている。多くのHVFETは、デバイスが「オフ」状態にあるときに印加される高電圧(例えば数百ボルト)を維持又は遮断する拡張ドレイン領域を含むデバイス構造を利用する。従来の垂直HVFET構造においては、半導体材料のメサ又はピラーは、オン状態での電流フローのための拡張ドレイン又はドリフト領域を形成する。トレンチゲート構造は、拡張ドレイン領域の上方にボディ領域が配置されたメサの側壁領域に隣接し、基板の上部付近で形成される。ゲートに適切な電圧電位を印加することによりボディ領域の垂直側壁部分に沿って導電チャンネルが形成され、その結果、電流は、半導体材料を通って垂直に流れ、すなわちソース領域が配置される基板の上面からドレイン領域が位置する基板の底部まで下方に流れることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−216927号公報
【特許文献2】特開平11−233765号公報
【特許文献3】特開2006−351930号公報
【特許文献4】特開2004−200540号公報
【特許文献5】特開2001−168329号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来のレイアウトにおいては、垂直HVFETは、半導体ダイ全体に延びる長い連続したシリコンピラー構造からなり、該ピラー構造は、ピラー長さに対して垂直方向で繰り返される。しかしながら、このレイアウトに伴って生じる1つの問題は、高温加工段階中にシリコンウェーハの大きな反りを生じる傾向がある点である。多くのプロセスにおいて、この反りは恒久的であり、後続の加工段階中にウェーハのツールハンドリングを妨げるほど十分大きい。
【0005】
本開示は、以下の詳細な説明及び添付図面からより完全に理解されるであろうが、これらは、図示される特定の実施形態に本発明を限定するものと解釈すべきでなく、単に説明及び理解を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の1つの態様に係る装置は、各々が、ダイ上に設けられ、第1の横方向に延びる長さ及び第2の横方向に延びる幅を備えたレーストラック形状を有する、複数のトランジスタセグメントを具備する装置であって、
前記トランジスタセグメントの各々が、
前記ダイを通って垂直方向に延びる拡張したドレイン領域を含む半導体材料のピラーと、
前記ピラーの対向する側にそれぞれ配置された第1の誘電領域及び第2の誘電領域と、を含み、
前記第1の誘電領域は横方向において前記ピラーにより囲まれ、前記第2の誘電領域は横方向において前記ピラーを囲み、
さらに、前記トランジスタセグメントの各々は、
前記第1の誘電領域及び前記第2の誘電領域のそれぞれに配置された第1のフィールドプレート及び第2のフィールドプレートと、を含み、
前記複数のトランジスタセグメントは、複数のセクションに分けられており、
該複数のセクションにおける第1のセクションは、前記第2の横方向において並列関係に配置されたトランジスタセグメントの第1の行を含み、
前記複数のセクションにおける第2のセクションは、前記第2の横方向において並列関係に配置されたトランジスタセグメントの第2の行を含む、ことを特徴とする。
【0007】
本発明の別の形態に係る装置は、各々が、ダイ上に設けられ、第1の横方向に延びる長さ及び第2の横方向に延びる幅を備えたレーストラック形状を有する、複数のトランジスタセグメントを具備する装置であって、
前記トランジスタセグメントの各々が、
前記ダイを通って垂直方向に延びる拡張したドレイン領域を含む半導体材料のピラーと、
前記ピラーの対向する側にそれぞれ配置された第1の誘電領域及び第2の誘電領域と、を含み、
前記第1の誘電領域は横方向において前記ピラーにより囲まれ、前記第2の誘電領域は横方向において前記ピラーを囲み、
さらに、前記トランジスタセグメントの各々は、
前記第1の誘電領域及び前記第2の誘電領域のそれぞれに配置された第1のフィールドプレート及び第2のフィールドプレートと、を含み、
前記複数のトランジスタセグメントは、複数のセクションに分けられており、
第1のセクションにおけるトランジスタセグメントは、第2のセクションにおけるトランジスタセグメントに対して前記第1の横方向においてシフトされ、
前記第1のセクションの行における前記トランジスタセグメントの各々は、前記第2のセクションにおける1対のトランジスタセグメントにより分離されており、該1対のトランジスタセグメントは、端と端とが接した関係により配置されており、
前記第1のセクション及び前記第2のセクションにおける前記トランジスタセグメントのうち交互に選択されたトランジスタセグメントの前記第2の誘電領域が併合されている、ことを特徴とする。
【0008】
本発明の1つの形態に係るトランジスタは、半導体ダイと、
該半導体ダイを実質的に覆うように設けられた複数のトランジスタセグメントであって、各々が第1の横方向に延びる長さ及び第2の横方向に延びる幅を有し、かつ、前記長さが前記幅の少なくとも20倍以上の大きさとなっている、複数のトランジスタセグメントと、を具備し、
前記トランジスタセグメントの各々が、
前記半導体ダイを通って垂直方向に延びる拡張したドレイン領域を含む半導体材料のピラーであって、前記第1の横方向及び前記第2の横方向に延びて、連続したレーストラック形状のリング又は楕円を形成するピラーと、
前記ピラーの対向する側にそれぞれ配置された第1の誘電領域及び第2の誘電領域と、を含み、
前記第1の誘電領域が横方向において前記ピラーにより囲まれ、前記第2の誘電領域が横方向において前記ピラーを囲み、
さらに、前記トランジスタセグメントの各々が、
前記第1の誘電領域及び前記第2の誘電領域のそれぞれに配置された第1のフィールドプレート及び第2のフィールドプレートと、を含み、
前記複数のトランジスタセグメントが、前記半導体ダイにおける対応するエリアに配置された2つ又はそれ以上のセクションに分割されている、ことを特徴とする。
【0009】
本発明の別の特徴に係るトランジスタは、半導体ダイの上に作製されたトランジスタであって、
該半導体ダイにおける第1のエリアに配置されたトランジスタセグメントの第1のセクションと、
前記半導体ダイの前記第1のエリアに隣接した第2のエリアに配置されたトランジスタセグメントの第2のセクションと、を具備し、
前記第1のセクション及び前記第2のセクションにおける前記トランジスタセグメントの各々が、
前記ダイの上面の近くに配置されたソース領域と該ソース領域の下に配置された拡張したドレイン領域とを有する、垂直方向に延びる半導体材料のピラーであって、前記第1の横方向及び前記第2の横方向に延びて、連続したレーストラック状のリング又は楕円を形成するピラーと、
該ピラーの対向する側にそれぞれ配置された第1の誘電領域及び第2の誘電領域と、を含み、
前記第1の誘電領域が横方向において前記ピラーにより囲まれ、前記第2の誘電領域が横方向において前記ピラーを囲み、
さらに、前記第1のセクション及び前記第2のセクションにおける前記トランジスタセグメントの各々は、前記第1の誘電領域及び前記第2の誘電領域のそれぞれに配置された第1のフィールドプレート及び第2のフィールドプレートと、を含み、
前記第1のセクション及び前記第2のセクションにおける隣接するトランジスタセグメントの対の前記第2のフィールドプレートが、それぞれ分離されているか、又は、部分的に合併している、ことを特徴とする。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】垂直HVFET構造体の例示的な側断面図である。
【
図2A】
図1に示された垂直HVFET構造体の例示的なレイアウトを示す図である。
【
図2B】
図2Aに示された例示的なレイアウトの一部分の拡大図である。
【
図3A】
図1に示された垂直HVFET構造体の別の例示的なレイアウトを示す図である。
【
図3B】
図3Aに示された例示的なレイアウトの一部分の拡大図である。
【
図4A】
図1に示された垂直HVFET構造体の更に別の例示的なレイアウトを示す図である。
【
図4B】
図4Aに示された例示的なレイアウトの一部分の拡大図である。
【
図5】垂直HVFET構造体の例示的なレイアウトを示す図である。
【
図6】垂直HVFET構造体の別の例示的なレイアウトを示す図である。
【
図7】垂直HVFET構造体のさらに別の例示的なレイアウトを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下の説明においては、本発明を完全に理解できるようにするために、材料の種類、寸法、構造上の特徴、加工ステップ、その他などの特定の詳細が記載される。しかしながら、当業者であれば、これらの特定の詳細は、本発明を実施するのに必須ではない場合があることは理解されるであろう。また、各図における要素は説明上のものであり、分かりやすくするために縮尺通りには描かれていないことも理解すべきである。
【0012】
図1は、N+ドープシリコン基板11上に形成されたN型シリコンの拡張ドレイン領域12を含む構造を有する垂直HVFET10の例示的な側断面を示している。基板11は、高濃度にドープされ、完成デバイス内の基板の底部に位置するドレイン電極に流れる電流に対する抵抗を最小にする。1つの実施形態において、拡張ドレイン領域12は、基板11からシリコンウェーハの上面に延びるエピタキシャル層の一部である。P型ボディ領域13と、P型領域16によって横方向に分離されたN+ドープのソース領域14a及び14bとが、エピタキシャル層の上面近くに形成される。図に示すように、P型ボディ領域13は拡張ドレイン領域12の上方に配置されて、当該拡張ドレイン領域をN+ソース領域14a及び14b並びにP型領域16から垂直に分離する。
【0013】
1つの実施形態において、拡張ドレイン領域12を含むエピタキシャル層の一部分のドープ濃度は、実質的に均一な電界分布を示す拡張ドレイン領域を生成するために線形的に漸変される。この線形的漸変は、エピタキシャル層12の上面下の或るポイントで終わることができる。
【0014】
拡張ドレイン領域12、ボディ領域13、ソース領域14a及び14b並びにP型領域16は、集合的に、
図1の例示的な垂直トランジスタ内のシリコン材料のメサ又はピラー17(両用語は、本出願において同意語として使用される)を構成する。ピラー17の両側に形成された垂直トレンチは、誘電領域15を構成する誘電材料(例えば酸化物)の層で満たされる。ピラー17の高さ及び幅、並びに隣接する垂直トレンチ間の間隔は、デバイスの降伏電圧要件によって決定付けることができる。様々な実施形態において、メサ17は、約30μm〜120μm厚の範囲の垂直高さ(厚み)を有する。例えば、凡そ1mm×1mmの寸法のダイ上に形成されたHVFETは、約60μmの垂直厚みを備えたピラー17を有することができる。更なる実施例として、各辺が約2mm〜4mmのダイ上に形成されたトランジスタ構造体は、凡そ30μ厚のピラー構造体を有することができる。或る実施形態において、ピラー17の横幅は、極めて高い降伏電圧(例えば600〜800V)を達成するために、確実に製造できる限り狭く(例えば、約0.4μm〜0.8μm幅)される。
【0015】
別の実施形態においては、ピラー17の横幅全体にわたってN+ソース領域14a及び14bの間にP型領域16を配列する(
図1に示されるように)代わりに、ピラー17の横方向長さにわたってピラー17の上部にN+ソース領域とP型領域とを交互に形成することができる。換言すれば、
図1に示されたような所与の断面図は、断面が取られた場所に応じて、ピラー17の横幅全体にわたって延びるN+ソース領域14又はP型領域16の何れかを有することになる。こうした実施形態において、各N+ソース領域14は、P型領域16の両側(ピラーの横方向長さに沿って)に隣接する。同様に、各P型領域16は、N+ソース領域14の両側(ピラーの横方向長さに沿って)に隣接する。
【0016】
誘電領域15a及び15bは、二酸化シリコン、窒化シリコン、又は他の適切な誘電材料を含むことができる。誘電領域15は、熱成長及び化学蒸着法を含む様々な公知の方法を用いて形成することができる。フィールドプレート19は、誘電層15の各々内に配置され、基板11及びピラー17から完全に絶縁される。フィールドプレート19を形成するのに使用される導電材料は、高濃度ドープのポリシリコン、金属(又は金属合金)、シリサイド、又は他の適切な材料を含むことができる。完成デバイス構造体において、フィールドプレート19a及び19bは、容量性プレートとして通常機能し、これを用いて、HVFETがオフ状態にあるとき(すなわち、ドレインが高電圧電位にまで高くなったとき)に拡張ドレイン領域の電荷を空乏化することができる。1つの実施形態において、各フィールドプレート19をピラー17の側壁から分離する酸化物領域15の横方向厚みは凡そ4μmである。
【0017】
垂直HVFETトランジスタ80のトレンチゲート構造体は、ゲート部材18a及び18bを備え、各ゲート部材は、フィールドプレート19a及び19bとボディ領域13との間のピラー17の両側の酸化物領域15a及び15b内にそれぞれ配置される。高品質の薄い(例えば〜500Å)ゲート酸化物層が、ゲート部材18をボディ領域13に隣接したピラー17の側壁から分離する。ゲート部材18は、ポリシリコン、又は何らかの他の適切な材料を含むことができる。1つの実施形態において、各ゲート部材18は、横幅が凡そ1.5μm及び深さが約3.5μmである。
【0018】
ピラー17の上部近くのN+ソース領域14及びP型ボディ領域13は各々、通常の堆積、拡散、及び/又はインプラント処理を用いて形成できることは、当業者であれば理解するであろう。N+ソース領域38の形成後、HVFET10は、従来の製造方法を用いて、ソース、ドレイン、ゲート、及びデバイスのそれぞれの領域/材料に電気的に接続するフィールドプレートを形成することによって完成することができる(明瞭にするために図示せず)。
【0019】
図2Aは、
図1に示された垂直HVFET構造体の例示的なレイアウトを示している。
図2Aの平面図は、半導体ダイ21上に上側トランジスタセクション30a及び下側トランジスタセクション30bを含む単一のディスクリートの垂直HVFETを示す。2つのセクションは、ダミーシリコンピラー32によって分離される。各セクション30は、複数の「レーストラック」形のトランジスタ構造体又はセグメントを含み、各トランジスタセグメントは、誘電領域15a及び15bによって両側を囲まれたシリコンピラー17を含む細長いリング又は楕円体を備える。ピラー17自体は、x及びy方向に横方向に延びて、連続した細長いレーストラック形のリング又は楕円体を形成する。誘電領域15a及び15b内には、それぞれのゲート部材18a及び18b並びにフィールドプレート19a及び19bが配置される。フィールドプレート19aは、丸みのあるフィンガーチップ区域(エリア)で何れの端部も終端する単一の細長い部材を備える。他方、フィールドプレート19bは、ピラー17を囲む拡大リング又は楕円体を備える。隣接するレーストラック構造体のフィールドプレート19bは、これらが共通部材を側部で共有するように併合されて示されている。参照として、
図1の断面図は、
図2Aの例示的なレイアウトの切断ラインA−A’により得ることができる。
【0020】
図2Aの実施例において、レーストラック・トランジスタセグメントの各々は、凡そ13μmのy方向の幅(すなわちピッチ)、約400μm〜1000μmの範囲のx方向の長さ、並びに約60μmのピラー高さを有する。換言すれば、セクション30a及び30bを備える個々のレーストラック・トランジスタセグメントの長さ対幅の比率は、約30〜最大80の範囲である。1つの実施形態において、各レーストラック形セグメントの長さは、そのピッチ又は幅よりも少なくとも20倍大きい。
【0021】
完成デバイスにおいて、個々のトランジスタセグメントのシリコンピラー17の各々を相互接続するために、パターン形成された金属層を用いていることは当業者であれば理解されるであろう。すなわち、実際の実施形態においては、ソース領域、ゲート部材、及びフィールドプレートの全ては、それぞれダイ上の対応する電極に互いに配線される。図示の実施形態において、各セクション30内のトランジスタセグメントは、ダイ21の幅の実質的に全体にわたってy方向に並列関係で配列される。同様に、x方向において、セクション30a及び30bのトランジスタセグメントの付加的な長さは、実質的にダイ21の長さを超えて延びる。
図2Aの例示的なレイアウトにおいて、シリコンピラーを分離する誘電領域15の幅、並びにフィールドプレートの幅は、半導体ダイ21全体にわたって実質的に均一である。均一な幅及び分離距離を有するトランジスタセグメントのレイアウトは、誘電領域15及びフィールドプレート19を備える層を一致して堆積させるのに使用される加工ステップの後での空隙又は孔の形成を防止する。
【0022】
図2Bは、
図2Aに示された例示的なレイアウトの一部分の拡大図である。明瞭にするために、トランジスタセグメントの各々のピラー17及び誘電領域15bのみが表されている。それぞれのトランジスタセグメント・セクション30a及び30bの誘電領域15bの丸みのある端部区域(エリア)を分離するダミーシリコンピラー32が示されている。換言すれば、ピラー17を定めるために半導体基板内にエッチングされる深い垂直トレンチは、ダミーシリコンピラー32もまた定める。1つの実施形態においては、ダミーシリコンピラー32は、確実に製造できる限り小さくされたx方向の幅を有するように作らされる(すなわち、トランジスタセグメント・セクションを分離する)。
【0023】
単一ダイHVFETをダミーシリコンピラー32によって分離されたセクションに区分化する目的は、細長いレーストラック形のトランジスタセグメント内の長さ方向(x方向)の応力緩和をもたらすことである。トランジスタデバイス構造体を2つ又はそれ以上のセクションに区分化又は分割すると、ダイの長さ全体にわたる機械的応力が緩和される。この応力は、ピラーの側面にある酸化物領域によって誘起され、通常、各レーストラックセグメントの丸みのある端部に集中する。したがって、トランジスタデバイス構造を2つ又はそれ以上のセクションに区分化することで機械的応力を緩和することにより、シリコンピラーの望ましくない反り、及び応力によって引き起こされるシリコンへの損傷(例えば転位)が回避される。
【0024】
高度に区分化されたレイアウトにより得られる応力緩和と、導電面積の損失との間にトレードオフが存在することは理解される。区分化をより多くすると応力緩和がより大きくなるが、導電面積が犠牲になる。一般に、ピラーの垂直高さが高くなり、半導体ダイがより大きくなるほど、より多くのトランジスタセクション又はセグメントの数が必要となる。1つの実施形態においては、60μmの高さのピラーを有する2mm×2mmダイでは、適正な応力緩和は、ダミーシリコンピラーによって分離された4つのレーストラック・トランジスタセクションを備え、各々が約13μmのピッチ(y方向)及び約450μmの長さ(x方向)を有するレイアウトを利用して、約1オームのオン抵抗を有するHVFETで提供される。
【0025】
別の実施形態においては、各ペアが異なるセクションに位置するレーストラック・トランジスタセグメントのペアを分離するためのシリコンのダミーピラーに換えて、異なる材料を含むダミーピラーを利用してもよい。ダミーピラーに使用される材料は、シリコンに近い熱膨張係数を有するか、シリコンピラーの側面にある誘電領域によって誘起される長さ方向の応力を緩和するように誘電領域の熱膨張係数と十分に異なる熱膨張係数を有する必要がある。
【0026】
図3Aは、
図1に示された垂直HVFET構造体の別の例示的なレイアウトを示している。
図3Bは、
図3Aに示された例示的なレイアウトの一部の拡大図であり、ピラー17、酸化物領域15b、及び任意的なダミーシリコンピラー33だけを示している。
図2A及び
図2Bの実施形態と同様に、
図3A及び
図3Bは、半導体ダイ21上に上側トランジスタセクション30a及び下側トランジスタセクション30bを備えた、単一のディスクリートの垂直HVFETを示す。しかしながら、
図3A及び
図3Bの実施例においては、トランジスタセクション30a及び30bの酸化物領域15b及びフィールドプレート19bで充填された深い垂直トレンチは重なり合い又は併合されて、区分化トランジスタセクションの間に小さい菱形のダミーシリコンピラー33を残す。この実施形態においては、単一のダミーピラーが、2つのセクションにわたるトランジスタセグメントの隣接するペアの4つの丸みのある端部間の中心に配置される。図示の実施形態において、ダイ21を含むトランジスタのセクション30内のN個(Nは1より大きい整数)のレーストラックセグメント又は構造体毎に、合計N−1個のダミーピラー33が存在する。
【0027】
図4Aは、
図1に示された垂直HVFET構造体の更に別の例示的なレイアウトを示している。
図4Bは、
図4Aに示された例示的なレイアウトの一部分の拡大図である。
図4Bの拡大図においては明瞭にするために、ピラー17及び酸化物領域15bのみが示されている。この実施例においては、半導体ダイ21のHVFETを備えるトランジスタセグメントは、各レーストラックセグメントの長さの半分だけ交互にシフトされた結果、上側トランジスタセクション40aと下側トランジスタセクション40bとに交互に関連付けられたレーストラック・トランジスタセグメントが得られる。換言すれば、セクション40aの列のトランジスタセグメントの各々は、セクション40bのトランジスタセグメントのペアによって分離され、当該ペアはx方向に端と端とが接した関係で配列される。
【0028】
セグメントの交互シフトは、セグメント長さのどのような割合でもよい点は理解される。換言すれば、セグメントのシフトは、長さの50%すなわち半分に限定されない。種々の実施形態は、トランジスタセグメントの長さの0%より大きく100%より小さい範囲の何れかのパーセンテージ又は割合だけ交互にシフトしたセグメントを備えることができる。
【0029】
図4A及び
図4Bの実施例において、それぞれのセクション40a及び40b内のトランジスタセグメントの交互するセグメントの誘電領域15bが併合されている。図示の特定の実施形態において、異なる隣接セクションに関連するトランジスタセグメントの丸みのある端部は、隣接するセクションのフィールドプレート19bが端部で併合(x方向において)されるように重なり合い又は併合される。また、異なるセクションの交互するトランジスタセグメントのフィールドプレート19bの延長された直線側面部分は、各セグメントの実質的な長さに沿って併合される。領域15b及び19bは、それぞれのセクション間にダミーピラー(又は分離されたダミーシリコンピラー)の有無に関わらず併合することができる点は理解される。
【0030】
上記の実施形態は特定のデバイスタイプに関連して説明してきたが、多くの修正及び変形が十分に本発明の範囲内に十分にあることを当業者であれば理解するであろう。例えば、HVFETが説明されたが、図示の方法、レイアウト及び構造は、ショットキー、ダイオード、IGBT及びバイポーラ構造を含む他の構造及びデバイスタイプにも等しく適用することができる。したがって、当該明細書及び図面は、限定を意味するものではなく例証とみなすべきである。
【符号の説明】
【0031】
15a、15b 誘電領域
17 シリコンピラー
18a、18b ゲート部材
19a、19b フィールドプレート
21 半導体ダイ
30a 上側トランジスタセクション
30b 下側トランジスタセクション
32 ダミーシリコンピラー