(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5764847
(24)【登録日】2015年6月26日
(45)【発行日】2015年8月19日
(54)【発明の名称】エレベータ制御装置
(51)【国際特許分類】
B66B 3/00 20060101AFI20150730BHJP
B66B 5/02 20060101ALI20150730BHJP
【FI】
B66B3/00 Q
B66B3/00 F
B66B3/00 G
B66B5/02 H
【請求項の数】3
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2013-181949(P2013-181949)
(22)【出願日】2013年9月3日
(65)【公開番号】特開2015-48225(P2015-48225A)
(43)【公開日】2015年3月16日
【審査請求日】2013年9月3日
(73)【特許権者】
【識別番号】390025265
【氏名又は名称】東芝エレベータ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100100712
【弁理士】
【氏名又は名称】岩▲崎▼ 幸邦
(74)【代理人】
【識別番号】100101247
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 俊一
(74)【代理人】
【識別番号】100095500
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 正和
(74)【代理人】
【識別番号】100098327
【弁理士】
【氏名又は名称】高松 俊雄
(72)【発明者】
【氏名】浅賀 佑介
【審査官】
藤村 聖子
(56)【参考文献】
【文献】
特開昭58−197164(JP,A)
【文献】
国際公開第2012/101768(WO,A1)
【文献】
特開平11−147677(JP,A)
【文献】
特開平04−191273(JP,A)
【文献】
特開平06−255929(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B66B 3/00−5/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
エレベータの各階のエレベータ乗場に設置された乗場表示装置および乗場スピーカと、前記エレベータの乗りかご内に設置されたかご内表示装置およびかご内スピーカとを備えるエレベータシステムで利用されるエレベータ制御装置において、
前記エレベータシステムで発生した瞬間停電を検知する瞬間停電検知部と、
前記瞬間停電検知部で瞬間停電の発生が検知されると、前記エレベータシステムの再起動処理を行う再起動処理部と、
前記瞬間停電検知部で瞬間停電の発生が検知されると運転を停止し、運転停止後、前記再起動処理部により実行される再起動処理が完了すると運転を再開する運転制御部と、
瞬間停電の発生が検知されたことにより前記運転制御部により運転が停止されると「一時停止中」であることを報知する情報を前記乗場表示装置および前記かご内表示装置に表示させ、前記再起動処理部で再起動処理が開始されると、前記乗場表示装置および前記かご内表示装置での表示内容を「システム再起動中」であることを報知する情報に切り替える表示制御部と、
瞬間停電の発生が検知されたことにより前記運転制御部により運転が停止されると「一時停止中」であることを報知する音声情報を前記乗場スピーカおよび前記かご内スピーカから出力させ、前記再起動処理部で再起動処理が開始されると、前記乗場スピーカおよび前記かご内スピーカから出力させる音声情報を「システム再起動中」であることを報知する情報に切り替える音声出力制御部と
を備えることを特徴とするエレベータ制御装置。
【請求項2】
前記表示制御部は、前記運転制御部により運転が再開されると、前記乗場表示装置および前記かご内表示装置での表示内容を「正常に復帰した」ことを報知する情報に切り替えて所定時間表示させ、
前記音声出力制御部は、前記運転制御部により運転が再開されると、前記乗場スピーカおよび前記かご内スピーカから出力させる音声情報を「正常に復帰した」ことを報知する情報に切り替えて所定時間出力させる
ことを特徴とする請求項1に記載のエレベータ制御装置。
【請求項3】
前記運転制御部は、瞬間停電の発生により運転を停止した後、前記再起動処理部により実行される再起動処理が完了したときに、通常運転にて運転を再開する
ことを特徴とする請求項1または2に記載のエレベータ制御装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、エレベータ制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、建物内で停電が発生するとエレベータの運転が緊急停止される。緊急停止が発生すると、乗りかご内の利用者はエレベータが故障したかと思い、不安を感じる。
【0003】
そこで、エレベータの緊急停止時に、乗りかご内のスピーカから利用者に対し、発生原因等を伝える自動アナウンスを行うエレベータがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平4−39281号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
停電には、電力供給が数マイクロ秒から数百マイクロ秒程度の短い時間途絶える「瞬間停電」も含まれる。
【0006】
このような瞬間停電が発生した際は、エレベータが緊急停止されてもエレベータシステムが再起動されることで運転再開が可能であるため、運転停止時間は数分間程度である。
【0007】
しかし緊急停止時に出力される単一の自動アナウンス情報では、運転再開までに長時間を要するのか、数分程度であるかが判別できず、やはり利用者は不安を感じるという問題があった。
【0008】
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、瞬間停電によりエレベータの運転が停止したときに、短時間で運転が再開されることを利用者に認識させるエレベータ制御装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するための実施形態によればエレベータ制御装置は、瞬間停電検知部と再起動処理部と運転制御部と表示制御部と音声出力制御部とを備える。瞬間停電検知部は、エレベータシステムで発生した瞬間停電を検知する。再起動処理部は、瞬間停電の発生が検知されるとエレベータシステムの再起動処理を行う。運転制御部は、瞬間停電の発生が検知されると運転を停止し、その後再起動処理が完了すると運転を再開する。表示制御部は、
瞬間停電の発生が検知されたことにより運転制御部により運転が停止されると「一時停止中」であることを報知する情報を乗場表示装置およびかご内表示装置に表示させ、再起動処理部で再起動処理が開始されると、乗場表示装置およびかご内表示装置での表示内容を「システム再起動中」であることを報知する情報に切り替える。音声出力制御部は、
瞬間停電の発生が検知されたことにより運転制御部により運転が停止されると「一時停止中」であることを報知する音声情報を乗場スピーカおよびかご内スピーカから出力させ、再起動処理部で再起動処理が開始されると、乗場スピーカおよびかご内スピーカから出力させる音声情報を「システム再起動中」であることを報知する情報に切り替える。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】一実施形態によるエレベータ制御装置を利用したエレベータシステムの構成を示す全体図。
【
図2】一実施形態によるエレベータ制御装置の構成を示すブロック図。
【
図3】一実施形態によるエレベータ制御装置の動作を示すフローチャート。
【
図4】一実施形態によるエレベータ制御装置により出力される表示情報の遷移を示す説明図。
【発明を実施するための形態】
【0011】
〈一実施形態によるエレベータ制御装置を利用したエレベータシステムの構成〉
本発明の一実施形態によるエレベータ制御装置を利用したエレベータシステムの構成について、
図1を参照して説明する。
【0012】
本実施形態によるエレベータシステム1は、3階建ての建物に設置されたエレベータを管理し、1階のエレベータ乗場に設置された乗場操作盤10−1と、2階のエレベータ乗場に設置された乗場操作盤10−2と、3階のエレベータ乗場に設置された乗場操作盤10−3と、乗りかご内に設置されたかご内操作盤20と、各乗場操作盤10−1〜10−3、およびかご内操作盤20に接続されたエレベータ制御装置30とを備える。
【0013】
乗場操作盤10−1には、乗場表示装置11−1と、利用者が上方向に移動する際に操作する呼び登録ボタン12−1とが設置されている。また乗場操作盤10−2には、乗場表示装置11−2と、利用者が上方向に移動する際に操作する呼び登録ボタン12−2aと、利用者が下方向に移動する際に操作する呼び登録ボタン12−2bとが設置されている。また乗場操作盤10−3には、乗場表示装置11−3と、利用者が下方向に移動する際に操作する呼び登録ボタン12−3とが設置されている。
【0014】
またかご内操作盤20には、かご内表示装置21と、利用者が行き先階を操作するための行き先階登録ボタン群22と、利用者が乗りかごを戸開閉操作するための戸開閉ボタン23とが設置されている。
【0015】
エレベータ制御装置30は、
図2に示すように、瞬間停電検知部31と、運転制御部32と、再起動処理部33と、表示制御部34と、音声出力制御部35とを有する。
【0016】
瞬間停電検知部31は、当該エレベータシステム1内で発生した瞬間停電を検知する。瞬間停電とは、電力供給が短い時間(おおむね1秒未満)途絶えるかまたは電圧が降下する現象である。
【0017】
運転制御部32は、通常運転時に瞬間停電検知部31で瞬間停電の発生が検知されると、運転を一時停止する。また運転が一時停止された後、再起動処理部33により実行されるエレベータシステム1の再起動処理が完了すると、運転を再開する。
【0018】
再起動処理部33は、瞬間停電検知部31で瞬間停電の発生が検知されたことにより運転制御部32で運転が一時停止されると、当該エレベータシステム1の再起動処理を行う。
【0019】
表示制御部34は、通常運転時には、乗場表示装置11−1〜11−3およびかご内表示装置21に、乗りかごの現在位置および走行方向を表示させる。また瞬間停電検知部31で瞬間停電の発生が検知されたことにより運転制御部32により運転が停止されると、「一時停止中」であることを報知するための情報を表示させる。また再起動処理部33で再起動処理が開始されると、「システム再起動中」であることを報知するための情報を表示させる。その後、運転制御部32により運転が再開されると、「正常に復帰した」ことを報知するための情報を表示させる。
【0020】
音声出力制御部35は、瞬間停電検知部31で瞬間停電の発生が検知されたことにより運転制御部32により運転が停止されると、「一時停止中」であることを報知するための音声情報を、乗場スピーカ13−1〜13−3およびかご内スピーカ24から出力させる。また再起動処理部33で再起動処理が開始されると、「システム再起動中」であることを報知するための音声情報を出力させる。その後、運転制御部32により運転が再開されると、「正常に復帰した」ことを報知するための音声情報を出力させる。
【0021】
〈一実施形態によるエレベータ制御装置を利用したエレベータシステムの動作〉
次に、本実施形態によるエレベータシステムの動作について説明する。
図3は、エレベータシステム1内で瞬間停電が発生したときにエレベータ制御装置30で実行される処理を示すフローチャートである。また、
図4は、エレベータシステム1内で瞬間停電が発生した後、エレベータの運転が通常運転に戻るまでの間の、乗場表示装置11−1〜11−3およびかご内表示装置21の表示状態の遷移を示す説明図である。
【0022】
本実施形態によるエレベータシステム1では、通常運転時はエレベータ制御装置30の表示制御部34の制御により、乗場表示装置11−1〜11−3およびかご内表示装置21に、乗りかごの現在位置および走行方向が表示されている(S1、
図4(a))。
【0023】
通常運転時にエレベータシステム1内で瞬間停電が発生すると、瞬間停電検知部31でこれが検知される(S1の「YES」)。
【0024】
瞬間停電検知部31で瞬間停電が検知されると、運転制御部32によりエレベータの運転が一時停止される(S3)。このとき、既に登録されている乗場呼び登録、およびかご呼び登録の情報は消去される。
【0025】
瞬間停電の発生が検知されたことにより運転制御部32によりエレベータの運転が一時停止されると、乗場表示装置11−1〜11−3およびかご内表示装置21の表示が「一時停止中」であることを報知するための情報に切り替えられる(
図4(b))とともに、「一時停止中」であることを報知するための音声情報が乗場スピーカ13−1〜13−3およびかご内スピーカ24から出力される(S4)。
【0026】
また、瞬間停電の発生が検知されたことにより運転制御部32により運転が一時停止されると、再起動処理部33によりエレベータシステム1の再起動処理が開始される(S5)。
【0027】
再起動処理部33によりエレベータシステム1の再起動処理が開始されると、乗場表示装置11−1〜11−3およびかご内表示装置21の表示が「システム再起動中」であることを報知するための情報に切り替えられる(
図4(c))とともに、「システム再起動中」であることを報知するための音声情報が乗場スピーカ13−1〜13−3およびかご内スピーカ24から出力される(S6)。
【0028】
次に、ステップS4で開始されたエレベータシステム1の再起動処理が完了すると(S7の「YES」)、運転制御部32によりエレベータの運転が再開される(S8)。
【0029】
エレベータの運転が再開されると、乗場表示装置11−1〜11−3およびかご内表示装置21の表示が「正常に復帰した」ことを報知するための情報に切り替えられる(
図4(d))とともに、「正常に復帰した」ことを報知するための音声情報が乗場スピーカ13−1〜13−3およびかご内スピーカ24から出力される(S9)。この「正常に復帰した」ことを報知するための情報の表示、音声の出力は所定時間(例えば数十秒間)継続され、その後通常運転に戻り、乗場表示装置11−1〜11−3およびかご内表示装置21には、乗りかごの現在位置および走行方向が表示されるように切り替えられる(S1、
図4(a))。
【0030】
以上の本実施形態によれば、瞬間停電によりエレベータの運転が停止したときに、現在の停止が「一時停止」であること、および「システム再起動中」であることを報知することにより、故障ではなく、短時間で運転が再開されることを乗りかご内の利用者に認識させることができ、利用者の不安を除くことができる。
【0031】
また乗場でエレベータ待ちをしている利用者に対しても、登録した乗場呼びは消去されるが、故障ではなく、短時間で運転が再開されることを認識させることができる。
【0032】
本発明の実施形態を説明したが、この実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。この新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。この実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0033】
1…エレベータシステム
10−1〜10−3…乗場操作盤
11−1〜11−3…乗場表示装置
12−1、12−1a、12−2b、12−3…登録ボタン
13−1〜13−3…乗場スピーカ
20…かご内操作盤
21…かご内表示装置
22…行き先階登録ボタン群
23…戸開閉ボタン
24…かご内スピーカ
30…エレベータ制御装置
31…瞬間停電検知部
32…運転制御部
33…再起動処理部
34…表示制御部
35…音声出力制御部