(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下に、工事使用エレベータの乗りかごの実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。
【0009】
[実施形態1]
本実施形態の工事使用エレベータの乗りかごを
図1から
図4に基づいて説明する。
図1及び
図2において、符号1は本実施形態の乗りかごを示す。
【0010】
乗りかご1は、工事中の建物内の工事使用エレベータ(図示略)における仮設の乗りかごを構成するものであり、昇降路内に配設され、駆動源としての電動機やシーブ等を備えた駆動装置(図示略)によって昇降路内を昇降する。この乗りかご1は、床板10と天井板20と側板30A〜30Dとを備える。
【0011】
床板10には、本設の乗りかごの床板を用いる。ここで、本設の乗りかごの床板の大きさは、建物毎に同じ大きさのものもあれば、建物毎に違う大きさのものもある。従って、本実施形態の乗りかご1は、異なる大きさの床板にも臨機応変に対応させるべく、側板30A〜30Cを大きさが変えられるように構成することで、工事終了後に別の工事使用エレベータへの移設を可能にする。一方、この乗りかご1においては、その床板10の大きさに合わせた同等の大きさの天井板20を用意する。
【0012】
側板30Aは、乗りかご1の背面を成すものである。側板30Bは、乗りかご1の右側面を成すものである。側板30Cは、乗りかご1の左側面を成すものである。側板30Dは、乗りかご1の前面を成すと共に、人の乗り降りや荷物の出し入れを可能にする開口部40を成すものである。尚、ここで云う前面とは、ホール側のことを云う。また、ここで云う左右は、ホール側から乗りかご1を見た際の左右方向のことを云う。
【0013】
側板30A〜30Cは、少なくとも2枚のパネル部材を備える。ここでは、各図に示す様に、2枚のパネル部材31,32を備えたものとして例示する。この側板30A〜30Cは、平面に沿う方向で且つ昇降方向に対して直交する方向に大きさを変化させる。これが為、その2枚のパネル部材31,32は、その直交方向で少なくとも一部分の平面同士が互いに重なり合うように配置する。夫々のパネル部材31,32は、その平面が互いに同じ大きさを持つものとして成形してもよく、その平面が互いに異なる大きさを持つものとして成形してもよい。但し、後者の場合には、昇降方向の長さが夫々のパネル部材31,32で同じ長さとなるように成形する。
【0014】
更に、この側板30A〜30Cには、その2枚のパネル部材31,32の平面の間に配置され、この夫々のパネル部材31,32を互いの平面に沿う方向で且つ昇降方向に対して直交する方向にスライドさせるスライド機構33を設ける。そのスライド機構33は、少なくとも側板30A〜30Cの上部と下部に1つずつ配置する。例えば、この例示では、その直交方向に延在させた所謂ガイドレールをスライド機構33として利用する。
【0015】
スライド機構33は、パネル部材31の一方(乗りかご1のかご室内側)の平面に固定された第1ガイド部材33aと、その平面と対向するパネル部材32の平面に固定された第2ガイド部材33bと、を備える。その第1ガイド部材33aと第2ガイド部材33bは、上記の直交方向に延在させたガイド部材であり、その直交方向へと互いにスライド可能な状態で係合されている。これが為、このスライド機構33は、その直交方向へと夫々のパネル部材31,32をスライドさせることができると共に、夫々のパネル部材31,32の分離を防いでいる。
【0016】
側板30A〜30Cは、パネル部材31,32をスライドさせて大きさを決めた後、下部側を床板10に固定すると共に、上部側に天井板20を固定する。これが為、この側板30A〜30Cには、
図1及び
図2に示す様に、パネル部材31,32の下部と上部とに各々固定部材34A,34Bをボルト等の締結部材(図示略)で取り付ける。固定部材34Aは、側板30A〜30Cの床板10への取り付け部の役目を果たす。固定部材34Bは、側板30A〜30Cの天井板20への取り付け部の役目を果たす。その固定部材34A,34Bは、パネル部材31,32の平面に対して直交方向に延設した固定部を有している。その固定部は、乗りかご1の外側(かご室内とは反対のかご室外側)に設ける。この乗りかご1においては、下部側の固定部材34Aの固定部と床板10とをボルト等の締結部材(図示略)で固定し、且つ、上部側の固定部材34Bの固定部と天井板20とをボルト等の締結部材(図示略)で固定する。尚、この固定部材34A,34Bは、大きさを決めた側板30A〜30Cのパネル部材31,32が再びスライドしないように保持する役割も果たしている。また、この固定部材34A,34Bは、パネル部材31,32の内の少なくとも一方に固定部として一体成形したものであってもよい。
【0017】
背面の側板30Aは、その左右方向の両端に、左右の側板30B,30Cとの締結に使う固定部35A,35Bを備える。その固定部35A,35Bは、パネル部材31,32の平面に直交する方向へと当該パネル部材31,32に各々立設する。この固定部35A,35Bは、かご室外側に設ける。
【0018】
一方、右側面の側板30Bは、背面の側板30Aとの締結に使う固定部36Aを備えると共に、前面側の端部に側板30Dとの締結に使う固定部36Bを備える。固定部36Aは、その平面が側板30Aの固定部35Aの平面に重ね合わされる位置に設ける。ここで、パネル部材32を延設した部位を固定部36Aとして利用する。固定部36Bは、パネル部材31の平面に直交する方向へと当該パネル部材31に立設する。この固定部36Bは、かご室外側に設け、その平面を側板30Dの平面に重ね合わせる。
【0019】
また、左側面の側板30Cは、背面の側板30Aとの締結に使う固定部37Aを備えると共に、前面側の端部に側板30Dとの締結に使う固定部37Bを備える。固定部37Aは、その平面が側板30Aの固定部35Bの平面に重ね合わされる位置に設ける。ここで、パネル部材32を延設した部位を固定部37Aとして利用する。固定部37Bは、パネル部材31の平面に直交する方向へと当該パネル部材31に立設する。この固定部37Bは、かご室外側に設け、その平面を側板30Dの平面に重ね合わせる。
【0020】
側板30Dは、乗りかご1を側方から見た際にコの字状を成す部材である。この乗りかご1においては、2枚の側板30Dを用意し、夫々の側板30Dを左右方向に間隔を空けて配置する。この乗りかご1においては、その夫々の側板30Dの成す隙間が上述した開口部40となる。側板30Dは、下部側の固定部38Aを床板10にボルト等の締結部材(図示略)で固定し、且つ、上部側の固定部38Bを天井板20にボルト等の締結部材(図示略)で固定する。その固定部38A,38Bは、かご室外側に設けている。尚、この側板30Dは、他の側板30A〜30Cと同じ様に、少なくとも2枚のパネル部材とスライド機構とを設け、その大きさを変化させるように構成してもよい。
【0021】
この様に、この乗りかご1は、側板30A〜30Cの夫々のパネル部材31,32を上述したが如くスライド機構33でスライドさせ、側板30A〜30Cの大きさを変化させることができる。例えば、この側板30A〜30Cは、本設の床板10の大きさに合わせて、
図3及び
図4の上図に示す様に、その大きさを小さくしたり、
図3及び
図4の下図に示す様に、その大きさを大きくしたりすることができる。
【0022】
この乗りかご1は、その組み立てに際して、先ず、本設の床板10の大きさに合わせて側板30A〜30Cの大きさを変化させた上で、この側板30A〜30Cを床板10の上に載置し、この側板30A〜30Cにおける固定部材34Aの固定部と床板10とを乗りかご1の外側から締結部材で固定する。尚、この例示では、固定部材34A,34Bを介して側板30A〜30Cを床板10と天井板20とに固定するので、この固定部材34A,34Bを床板10に載せる前にパネル部材31,32に取り付けておく。更に、その床板10には、固定部38Aを介して側板30Dも外側から締結部材で固定する。この乗りかご1では、全ての側板30A〜30Dを床板10に固定した後、その側板30A〜30D同士を固定部35A,35B,36A,36B,37A,37Bにおいてかご室外側から締結部材で固定する。
【0023】
続いて、この乗りかご1においては、その側板30A〜30Dの上に天井板20を載置し、側板30A〜30Cにおける固定部材34Bの固定部と天井板20とをかご室外側から締結部材で固定すると共に、側板30Dの固定部38Bと天井板20とをかご室外側から締結部材で固定する。その天井板20には、かご室内側から照明50を締結部材で取り付ける。
【0024】
この乗りかご1は、その解体に際して、先ず、照明50をかご室内で天井板20から取り外す。そして、この乗りかご1においては、その天井板20と側板30A〜30Dとを固定している締結部材をかご室外側から外し、その側板30A〜30Dから天井板20を取り外す。続いて、この乗りかご1においては、側板30A〜30D同士を固定している締結部材をかご室外側から外し、この側板30A〜30Dと床板10とを固定している締結部材もかご室外側から外した後、この側板30A〜30Dを床板10から取り外す。側板30A〜30Cは、例えば、その大きさを一番小さくして運搬する。
【0025】
この乗りかご1は、工事終了後、この様にして解体され、次の工事現場で上記の様にして再び組み立てられる。その際、新たな工事現場では、そこの建物内における本設の床板10の大きさに合わせて側板30A〜30Cの大きさを変化させ、大きさの異なる仮設の乗りかご1を作り出すことができる。
【0026】
以上示した様に、本実施形態の乗りかご1は、建物の外部に仮設エレベータを設置できなくても、本設の昇降路を利用して人荷を運搬することができる。また、この乗りかご1は、本設の乗りかごのかご室内の傷付きを防ぐことができ、且つ、その乗りかごが出来上がらずとも工事中の人荷の運搬を行うことができる。更に、この乗りかご1は、多くの部品を再利用して、別の工事現場に簡単に移設することができるので、設置に要する費用を低く抑えることもできる。
【0027】
[実施形態2]
本実施形態の工事使用エレベータの乗りかごを
図5から
図8に基づいて説明する。
図5において、符号2は本実施形態の乗りかごを示す。
【0028】
この乗りかご2は、前述した実施形態1の乗りかご1において、天井板20を各図に示す天井板120に置き換えたものである。
【0029】
その天井板120は、
図6及び
図7に示す様に、互いの配置によって矩形を成す4枚の第1から第4のパネル部材121〜124と、少なくとも一部分の平面同士が互いに重なり合う2枚のパネル部材の間(第1パネル部材121と第2パネル部材122との間及び第3パネル部材123と第4パネル部材124との間)に配置し、その2枚のパネル部材を互いに左右方向へとスライドさせる左右スライド機構125と、少なくとも一部分の平面同士が互いに重なり合う2枚のパネル部材の間(第1パネル部材121と第3パネル部材123との間及び第2パネル部材122と第4パネル部材124との間)に配置し、その2枚のパネル部材を互いに前後方向へとスライドさせる前後スライド機構126と、を備える。
【0030】
第1から第4のパネル部材121〜124は、互いに同等の形状と大きさの部材であり、L字に成形する。以下、この第1から第4のパネル部材121〜124を第1から第4のL字パネル部材121〜124と云う。この天井板120においては、第1L字パネル部材121の第1延伸部121aと第2L字パネル部材122の第1延伸部122aの平面同士を互いに重ね合わせると共に、第3L字パネル部材123の第1延伸部123aと第4L字パネル部材124の第1延伸部124aの平面同士を互いに重ね合わせて配置する。更に、この天井板120においては、第1L字パネル部材121の第2延伸部121bと第3L字パネル部材123の第2延伸部123bの平面同士を互いに重ね合わせると共に、第2L字パネル部材122の第2延伸部122bと第4L字パネル部材124の第2延伸部124bの平面同士を互いに重ね合わせて配置する。天井板120は、この第1から第4のL字パネル部材121〜124の配置によって矩形を成す。
【0031】
左右スライド機構125は、第1L字パネル部材121の第1延伸部121aと第2L字パネル部材122の第1延伸部122aの平面の間に2つ配置する。この左右スライド機構125は、第1延伸部121aのかご室内側の平面に固定された第1ガイド部材125aと、その平面と対向する第1延伸部122aの平面に固定された第2ガイド部材125bと、を備える。その第1ガイド部材125aと第2ガイド部材125bは、左右方向に延在させたガイド部材であり、左右方向へと互いにスライド可能な状態で係合されている。これが為、この左右スライド機構125は、左右方向へと第1L字パネル部材121と第2L字パネル部材122とを互いにスライドさせることができると共に、第1L字パネル部材121と第2L字パネル部材122の分離を防いでいる。
【0032】
更に、この左右スライド機構125は、第3L字パネル部材123の第1延伸部123aと第4L字パネル部材124の第1延伸部124aの平面の間にも2つ配置する。この左右スライド機構125は、第1延伸部124aのかご室内側の平面に固定された第1ガイド部材125aと、その平面と対向する第1延伸部123aの平面に固定された第2ガイド部材125bと、を備える。その第1ガイド部材125aと第2ガイド部材125bは、左右方向に延在させた状態で配置する。これが為、この左右スライド機構125は、左右方向へと第3L字パネル部材123と第4L字パネル部材124とを互いにスライドさせることができると共に、第3L字パネル部材123と第4L字パネル部材124の分離を防いでいる。
【0033】
また、前後スライド機構126は、第1L字パネル部材121の第2延伸部121bと第3L字パネル部材123の第2延伸部123bの平面の間に2つ配置する。この前後スライド機構126は、第2延伸部121bのかご室内側の平面に固定された第1ガイド部材126aと、その平面と対向する第2延伸部123bの平面に固定された第2ガイド部材126bと、を備える。その第1ガイド部材126aと第2ガイド部材126bは、前後方向に延在させたガイド部材であり、前後方向へと互いにスライド可能な状態で係合されている。これが為、この前後スライド機構126は、前後方向へと第1L字パネル部材121と第3L字パネル部材123とを互いにスライドさせることができると共に、第1L字パネル部材121と第3L字パネル部材123の分離を防いでいる。
【0034】
更に、この前後スライド機構126は、第2L字パネル部材122の第2延伸部122bと第4L字パネル部材124の第2延伸部124bの平面の間にも2つ配置する。この前後スライド機構126は、第2延伸部124bのかご室内側の平面に固定された第1ガイド部材126aと、その平面と対向する第2延伸部122bの平面に固定された第2ガイド部材126bと、を備える。その第1ガイド部材126aと第2ガイド部材126bは、前後方向に延在させた状態で配置する。これが為、この前後スライド機構126は、前後方向へと第2L字パネル部材122と第4L字パネル部材124とを互いにスライドさせることができると共に、第2L字パネル部材122と第4L字パネル部材124の分離を防いでいる。
【0035】
従って、この天井板120は、矩形状態を保ったままで、左右方向への大きさの変更が可能であると共に、前後方向への大きさの変更も可能である。
【0036】
本実施形態の乗りかご2を組み立てる際、乗りかご1と同じ様に床板10に側板30A〜30Dを取り付ける。天井板120は、その側板30A〜30Dの上に載せる前に、その大きさを床板10又は床板10に取り付けた側板30A〜30Dの上面の成す矩形の大きさに合わせるべく、左右方向と前後方向に第1から第4のL字パネル部材121〜124を動かす。そして、この乗りかご2においては、その天井板120を側板30A〜30Dの上に載せ、乗りかご1と同じ様に締結部材で天井板120と側板30A〜30Dとを固定する。
【0037】
その天井板120には、かご室内側から照明50が取り付けられる。第1から第4のL字パネル部材121〜124には、照明50を固定する為の螺子部121c,122c,123c,124cが各々設けられている(
図8)。その螺子部121c,122c,123c,124cは、雄螺子でも雌螺子でもよい。また、この螺子部121c,122c,123c,124cは、天井板120の大きさを変化させても照明50が取り付けられるように、第1から第4のL字パネル部材121〜124に複数箇所ずつ設ける。この螺子部121c,122c,123c,124cは、例えば、天井板120を正方形に変化させたときに、その対角線上に間隔を空けて配置する。
【0038】
この乗りかご2を解体する際には、乗りかご1と同じ様に照明50と天井板120を取り外す。その天井板120は、その大きさを一番小さくして運搬する。以後の解体作業は、乗りかご1のときと同じである。
【0039】
この乗りかご2は、工事終了後、この様にして解体され、次の工事現場で上記の様にして再び組み立てられる。その際、新たな工事現場では、そこの建物内における本設の床板10の大きさに合わせて側板30A〜30Cと天井板120の大きさを変化させ、大きさの異なる仮設の乗りかご2を作り出すことができる。
【0040】
以上示した様に、本実施形態の乗りかご2は、本設の乗りかごのかご室内の傷付きを防ぐことができ、且つ、その乗りかごが出来上がらずとも工事中の人荷の運搬を行うことができる。更に、この乗りかご2は、天井板120まで含めた多くの部品を再利用して、別の工事現場に簡単に移設することができるので、設置に要する費用を低く抑えることもできる。
【0041】
[実施形態3]
本実施形態の工事使用エレベータの乗りかごを
図9から
図13に基づいて説明する。
図9において、符号3は本実施形態の乗りかごを示す。
【0042】
この乗りかご3は、前述した実施形態1又は2の乗りかご1,2において、側板30A〜30Cを各図に示す側板230A〜230Cに置き換えたものである。ここでは、実施形態2の乗りかご2を基にした乗りかご3を例に挙げる。
【0043】
側板230A〜230Cは、
図10に示す様に、パネル部材231,232と、側板30A〜30Cと同じスライド機構33と、を備える。この側板230A〜230Cは、側板30A〜30Cと同じ様に、スライド機構33によってパネル部材231,232をスライドさせ、その大きさを変化させる。
【0044】
パネル部材231は、側板30A〜30Cのパネル部材31に対して、床板10側と天井板120側とに、各々かご室内とかご室外とを連通させる開口部231a,231bを形成したものである。その開口部231a,231bは、パネル部材231を床板10側と天井板120側とに締結する際の締結部材B(
図11,12)の近くに配置し、その締結作業等をかご室内側から実施させる為のものである。また、パネル部材232は、側板30A〜30Cのパネル部材32に対して、床板10側と天井板120側とに、各々かご室内とかご室外とを連通させる開口部232a,232bを形成したものである。その開口部232a,232bは、パネル部材232を床板10側と天井板120側とに締結する際の締結部材B(
図11,12)の近くに配置し、その締結作業等をかご室内側から実施させる為のものである。
【0045】
そのパネル部材231には、開口部231a,231bに開閉蓋261が設けられている。また、パネル部材232には、開口部232a,232bに開閉蓋262が設けられている。その開閉蓋261,262は、締結作業時に開くことで開口部231a,231b,232a,232bを室内外で連通させ、締結作業後に閉じることで開口部231a,231b,232a,232bを閉塞させる。
【0046】
例えば、床板10側の開閉蓋261,262は、上方へとスライドさせることで開き動作となり、下方へとスライドさせることで閉じ動作となるスライド式の蓋を利用することができる(
図11)。一方、天井板120側の開閉蓋261,262は、下方へとスライドさせることで開き動作となり、上方へとスライドさせることで閉じ動作となるスライド式の蓋を利用することができる(
図12)。
【0047】
また、かご室内側のパネル部材232の開閉蓋262については、一端に蝶番を備え、手前側(かご室内側)に倒すことで開き動作となる可倒式の蓋を利用することができる(
図13)。ここでは、床板10側の開閉蓋262を例に挙げている。その蝶番は、開閉蓋262が矩形であるならば、4つの端部の何れに設けてもよい。
【0048】
以上示した様に、本実施形態の乗りかご3は、組み立てる際に、側板230A〜230Cと床板10及び天井板120とをかご室内側から締結部材Bで締結することができ、且つ、解体する際に、その側板230A〜230Cと床板10及び天井板120との間を締結している締結部材Bをかご室内側から取り外すことができる。従って、この乗りかご3は、実施形態1又は2の乗りかご1,2と同等の効果を得られるだけでなく、組み立て作業と解体作業が容易になる。
【0049】
ここで、その開閉蓋261,262と開口部231a,231b,232a,232bは、パネル部材231,232において互いに重なり合うことの無い部分に設けてもよい。この場合の開閉蓋261,262は、スライド式でもよく、可倒式でもよい。これに依っても、この乗りかご3は、同様の効果を得ることができる。
【0050】
また、その開閉蓋261,262と開口部231a,231b,232a,232bは、側板230A〜230Cを締結する際に利用してもよい。これに依れば、この乗りかご3は、組み立て作業性と解体作業性が更に向上する。
【0051】
[実施形態4]
本実施形態の工事使用エレベータの乗りかごを
図14から
図16に基づいて説明する。
図14において、符号4は本実施形態の乗りかごを示す。
【0052】
この乗りかご4は、前述した実施形態1,2又は3の乗りかご1,2,3において、天井板20,120の固定構造を以下の構造のものに置き換えたものである。ここでは、実施形態2の乗りかご2を基にした乗りかご4を例に挙げる。従って、この乗りかご4では、乗りかご2の天井板120を下記の天井板320に置き換えている。
【0053】
天井板320は、
図14,
図15及び
図16に示す様に、天井板120に対して、組み立て時にかご室内側で折り畳みと引き起こしとが可能な固定部材327を加えたものである。その固定部材327は、天井板320の四隅に各々設ける。この例示では、四角柱の棒材を固定部材327として利用し、その端部を蝶番又は回転支持軸を介して第1から第4のパネル部材121〜124に1つずつ取り付ける。尚、この例示では天井板320の四隅に固定部材327を1つずつ設けたが、その固定部材327は、4つの側板30A〜30Dに少なくとも1つずつ固定される配置であればよい。
【0054】
この乗りかご4の組み立て時には、天井板320の大きさを決めた後、その天井板320を側板30A〜30Dの上に載置する。その際、折り畳まれている4本の固定部材327は、天井板320を側板30A〜30Dの上に載せる前又は載せた後に引き起こす。そして、この乗りかご4においては、かご室内側から夫々の固定部材327に設けてある貫通孔にボルト等の締結部材Bを挿入し、側板30A〜30Dに設けている雌螺子部に螺合させることで、天井板320を側板30A〜30Dに固定する。また、解体時には、かご室内側から締結部材Bを外し、天井板320を側板30A〜30Dから取り外す。
【0055】
以上示した様に、本実施形態の乗りかご4は、組み立て時又は解体時に、かご室内側で且つ実施形態1,2又は3の乗りかご1,2,3よりも下側で天井板320と側板30A〜30Dとの間の締結部材Bの締結作業又は取り外し作業を行うことができる。従って、この乗りかご4は、実施形態1,2又は3の乗りかご1,2,3と同等の効果を得られるだけでなく、天井板320の組み立て作業と解体作業が容易になる。
【0056】
[実施形態5]
本実施形態の工事使用エレベータの乗りかごを
図17及び
図18に基づいて説明する。
【0057】
これまで説明してきた実施形態1〜4においては、大きさを決めた側板30A〜30C(230A〜230C)を固定部材34A,34Bで保持させるものとして例示している。本実施形態は、その保持をより簡易な方法で実施できるよう側板30A〜30C(230A〜230C)を下記の側板430A〜430Cに置き換えたものである。ここでは、側板30A〜30Cを基にした側板430A〜430Cを例に挙げる。
【0058】
その側板430A〜430Cは、各図に示す様に、パネル部材431,432と、側板30A〜30Cと同じスライド機構33と、を備える。この側板430A〜430Cは、側板30A〜30Cと同じ様に、スライド機構33によってパネル部材431,432をスライドさせ、その大きさを変化させる。
【0059】
また、この側板430A〜430Cは、スライドさせたパネル部材431,432をその位置で保持する保持機構439を備える。その保持機構439は、パネル部材431,432の内の一方に設けた第1保持部439aと、その内の他方に設けた第2保持部439bと、を備える。この例示では、パネル部材431に第1保持部439aを設け、パネル部材432に第2保持部439bを設ける。パネル部材431は、その第1保持部439aをパネル部材31に設けたものである。パネル部材432は、その第2保持部439bをパネル部材32に設けたものである。この保持機構439は、側板430A〜430Cにおける床板10側と天井板20(120,320)側とに各々設ける。
【0060】
第1保持部439aは、保持穴又は保持溝である。また、第2保持部439bは、その保持穴又は保持溝への出し入れが可能な突出部である。ここでは、第1保持部439aを保持溝として例示する。以下においては、第1保持部439aを「保持溝439a」と云い、第2保持部439bを「突出部439b」と云う。
【0061】
保持溝439aは、かご室内側とかご室外側とを連通させる貫通穴であり、パネル部材431,432のスライド方向に所定の間隔を空けて複数個形成する。
【0062】
突出部439bは、パネル部材432に形成した溝部432cの中で出し入れ自在に配置される。その溝部432cと突出部439bとの間には、弾性部材439cが配設されている。その弾性部材439cは、その間で突出部439bをパネル部材431に向けて押し動かす弾発力を付与するものである。この突出部439bは、パネル部材431,432がスライド機構33の第1ガイド部材33aと第2ガイド部材33bを嵌め込むことで組まれたとき、弾性部材439cの弾発力によって、溝部432cの中に挿入された状態のままで、先端がパネル部材431における保持溝439aの形成されていない平面に当接する。この突出部439bは、その当接状態からパネル部材431,432をスライドさせ、保持溝439aの存在している位置に来ると、この保持溝439aの中に入り込む。これにより、パネル部材431,432は、その位置で保持される。突出部439bは、保持状態からパネル部材431,432を更にスライドさせようとすると、先端が保持溝439aの壁面によって当該保持溝439aからの脱離方向に押し動かされるので、弾性部材439cの弾発力に抵抗して溝部432cの中に押し戻されながら保持溝439aから抜け出す。従って、パネル部材431,432は、再びスライドする。尚、保持溝439aの壁面形状と突出部439bの先端形状は、突出部439bが保持溝439aの中に入っている状態でパネル部材431,432をスライドさせようとした際に、その突出部439bの先端が保持溝439aの壁面によって当該保持溝439aからの脱離方向に押し動かされるように形成する。
【0063】
以上示した様に、本実施形態の側板430A〜430Cは、スライドさせた後のパネル部材431,432同士の固定と当該パネル部材431,432の再度のスライドが容易なものとなっている。従って、本実施形態の乗りかごは、実施形態1,2,3又は4の乗りかご1,2,3,4と同等の効果を得られるだけでなく、側板430A〜430Cの組み立て作業と解体作業が容易になる。
【0064】
以上、本発明に関する実施形態を説明したが、この実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。この実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。この実施形態等は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。