特許第5764858号(P5764858)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】5764858
(24)【登録日】2015年6月26日
(45)【発行日】2015年8月19日
(54)【発明の名称】遊技機
(51)【国際特許分類】
   A63F 5/04 20060101AFI20150730BHJP
【FI】
   A63F5/04 514Z
   A63F5/04 516F
【請求項の数】1
【全頁数】32
(21)【出願番号】特願2014-123098(P2014-123098)
(22)【出願日】2014年6月16日
【審査請求日】2014年10月23日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】390031772
【氏名又は名称】株式会社オリンピア
(74)【代理人】
【識別番号】100126620
【弁理士】
【氏名又は名称】石井 豪
(72)【発明者】
【氏名】百瀬 厚
(72)【発明者】
【氏名】谷口 誠
【審査官】 高木 亨
(56)【参考文献】
【文献】 特開2013−198713(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A63F 5/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
遊技媒体が投入されることに基づいて遊技を開始可能な遊技機であって、
外周面に複数種類の図柄が付された複数の回転リールと、
回転リールを回転開始させるためのスタートスイッチと、
回転中の回転リールを停止させるための停止スイッチと、
所定の図柄組合せが対応付けられた役について、当選か否かの役抽選を行う役抽選手段と、
スタートスイッチの操作に基づいて回転リールを回転させるとともに、停止スイッチの操作に基づいて回転中の回転リールを停止させる制御を行うリール制御手段と、
スタートスイッチの操作により回転開始した複数の回転リールが停止スイッチの操作により全て停止したときに、役に対応する図柄組合せが有効ライン上に表示された場合に入賞と判定する入賞判定手段と、
スタートスイッチの操作を契機として、遊技の進行が停止した状態となるフリーズを設定可能なフリーズ設定手段と、
遊技に応じて所定の演出が行われる演出状態を制御する演出制御手段と、を少なくとも備え、
役として、入賞すると遊技媒体が払い出される小役と、入賞すると遊技媒体の投入なしに次の遊技を開始させることができるリプレイと、当選状態を次遊技以降に持ち越し可能であるとともに、入賞すると小役が入賞しやすくなるボーナス遊技が開始されるボーナスと、を備え、
リール制御手段は、ボーナスとリプレイが同時に当選している場合にはボーナスに優先してリプレイが入賞するように回転リールの停止を制御するとともに、ボーナスと小役が同時に当選している場合にはボーナスに優先して小役が入賞するように回転リールの停止を制御し、
役抽選手段は、ボーナスの当選状態が持ち越されているボーナス成立状態において、ボーナスが単独で当選状態となることがないように役抽選を行い、
リプレイには、小役に対応する図柄組合せとして一般的に認識されている図柄組合せが対応付けられた小役図柄リプレイが含まれ、
フリーズ設定手段がフリーズを設定した場合に、リール制御手段が、回転リールを擬似的に回転させ、停止スイッチの操作信号の入力に基づき擬似的に回転している回転リールを擬似的に停止させることにより、擬似的に遊技を進行させることができ、
リール制御手段は、擬似的に進行する擬似遊技において、本来の遊技と同様の態様で回転リールが回転するよう回転リールの擬似的な回転を制御するとともに、本来の遊技と同様の態様で回転リールが擬似的に停止し、かつ小役図柄リプレイを含むリプレイに対応する図柄組合せが、本来の遊技で有効ラインとなるラインを含む所定のラインに表示され得るように、回転リールの擬似的な停止を制御するように形成され、
演出制御手段は、リール制御手段が、擬似遊技において小役図柄リプレイに対応する図柄組合せを表示させるように回転リールの擬似的な停止を制御する場合に、演出状態に関する所定の特典を付与可能であり、
ボーナスの当選状態が持ち越されているボーナス成立状態の遊技状態として第1状態と第2状態とが設けられ、第1状態では、第2状態よりも、擬似遊技の発生率が高くなるように設定されていることを特徴とする遊技機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、停止操作によって停止する回転リールを備えた遊技機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
この種の遊技機、例えばスロットマシンにおいては、役抽選の抽選結果について、様々な方法で遊技者に報知する演出が行われるように形成されている。そして、演出の態様として、遊技の進行が一時的に停止するフリーズや、フリーズ中に回転リールを通常と異なる態様で作動させる回胴演出が広く知られている。また、回胴演出に含まれる演出として、フリーズ中に、遊技者の操作に応じて回転リールを回転させ、ストップスイッチの操作に基づいて回転中の回転リールを停止させ、擬似的に遊技を進行させる擬似遊技が知られている。例えば、特許文献1には、ボーナスの当選を報知するために擬似遊技を行わせることが記載されており、特許文献2には、単位時間あたりの遊技媒体投入数が過大にならないように設けられている遊技待ち時間(いわゆるウエイト中)に擬似遊技を行わせることが記載されている。しかし、これらの擬似遊技は、擬似遊技の結果で当選の報知を行ったり、遊技待ち時間が手持ち無沙汰にならないようにするといった、演出の一態様という色彩が強いものであり、役抽選の結果に基づく遊技機の遊技性を左右するものではなかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2011−194146号公報
【特許文献2】特開2012−223228号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ここで、本来の遊技と擬似遊技が外見上全く同一であると、遊技者が不利益を被る場合がある。例えば、擬似遊技における遊技結果(有効ラインに表示される図柄組合せ)を見た遊技者が本来の遊技結果と勘違いして、本来の遊技が完了していないにもかかわらず、遊技を止めてしまうおそれがある。その結果、本来の遊技によって付与されるべき利益を享受できなくなる場合がある。
【0005】
一方、スロットマシンにおいては、役抽選の抽選結果として、入賞すると通常の遊技よりも有利なボーナス遊技が開始されるボーナスが設けられているが、ボーナスの当選確率は、スロットマシンの出玉の設定や規定数(1回の遊技に掛けることができるメダル数)ごとにあらかじめ定められており、ボーナス成立状態やボーナス作動状態を除き、変動してはいけないものとなっている。したがって、同一設定、同一規定数で遊技が行われる場合に、役抽選におけるボーナスの当選確率を変化させることはできないものとなっている。
【0006】
本願発明は、上記した従来技術を踏まえたうえで、第1に、擬似遊技中に遊技者が遊技を止めてしまわないようにし、第2に、役抽選におけるボーナスの当選確率を変えることなく、ボーナスの発生率を変化させるという、新たな擬似遊技の利用法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明は、以下のような構成を有する。
すなわち、本発明に係る遊技機(スロットマシンS)は、遊技媒体が投入されることに基づいて遊技を開始可能な遊技機であって、外周面に複数種類の図柄が付された複数の回転リール61〜63と、回転リール61〜63を回転開始させるためのスタートスイッチ20と、回転中の回転リール61〜63を停止させるための停止スイッチ31〜33と、所定の図柄組合せが対応付けられた役について、当選か否かの役抽選を行う役抽選手段120と、スタートスイッチ20の操作に基づいて回転リール61〜63を回転させるとともに、停止スイッチ31〜33の操作に基づいて回転中の回転リール61〜63を停止させる制御を行うリール制御手段130と、スタートスイッチ20の操作により回転開始した複数の回転リール61〜63が停止スイッチ31〜33の操作により全て停止したときに、役に対応する図柄組合せが有効ライン上に表示された場合に入賞と判定する入賞判定手段(遊技結果判定手段140)と、スタートスイッチ20の操作を契機として、遊技の進行が停止した状態となるフリーズを設定可能なフリーズ設定手段182と、を少なくとも備えている。
【0008】
またこの遊技機は、複数種類の役として、入賞すると遊技媒体が払い出される小役と、入賞すると遊技媒体の投入なしに次の遊技を開始させることができるリプレイとを備え、リプレイには、小役に対応する図柄組合せとして一般的に認識されている図柄組合せが対応付けられた小役図柄リプレイが含まれ、フリーズ設定手段182がフリーズを設定した場合に、リール制御手段130が、回転リール61〜63を擬似的に回転させ、停止スイッチ31〜33の操作信号の入力に基づき擬似的に回転している回転リール61〜63を擬似的に停止させることにより、擬似的に遊技を進行させることができ、リール制御手段130は、擬似的に進行する擬似遊技において、本来の遊技と同様の態様で回転リール61〜63が回転するよう回転リール61〜63の擬似的な回転を制御するとともに、本来の遊技と同様の態様で回転リール61〜63が擬似的に停止し、かつ小役図柄リプレイを含むリプレイに対応する図柄組合せが、本来の遊技で有効ラインとなるラインを含む所定のラインに表示され得るように、回転リール61〜63の擬似的な停止を制御するように形成されていることを特徴とする。
【0009】
本発明における擬似遊技は、本来の遊技と同様の挙動で回転リール61〜63が作動するので、遊技者は擬似遊技と認識しないまま遊技を進めることが想定される。一方、本発明では、擬似遊技の結果としてリプレイに対応する図柄組合せを表示させている。これにより、遊技者は次遊技を遊技媒体の投入なしに行うことができると認識でき、擬似遊技と本来の遊技との見分けがつかなくても、遊技者が遊技をやめてしまうのを防止できる。さらに、本発明においては、擬似遊技の結果として、小役図柄リプレイ対応する図柄組合せ(例えば「スイカ・スイカ・スイカ」や「チェリー・ANY・ANY」など)が表示されることもある。これにより、単にリプレイに対応する図柄組合せとして一般的な図柄組合せ(「リプレイ・リプレイ・リプレイ」)を表示させる場合よりも、遊技又は擬似遊技における出目が多様なものとなり、遊技者を飽きさせることがない。
なお、小役図柄リプレイに対応付けられた図柄組合せは、小役に対応する図柄として一般的に認識されている図柄を用いた同一図柄による図柄組合せとすることができる。
また、本発明においては、遊技に応じて所定の演出が行われる演出状態(例えばAT状態)を制御する演出制御手段(サブ制御装置200)を備え、演出制御手段は、リール制御手段130が、擬似遊技において小役図柄リプレイに対応する図柄組合せを表示させるように回転リール61〜63の擬似的な停止を制御する場合に、演出状態に関する所定の特典(AT抽選など)を付与可能に形成してもよい。このように形成することにより、単に、リプレイに対応する図柄組合せとして一般的な図柄組合せを表示させる場合よりも、遊技者に期待感を持たせることができ、遊技者が遊技をやめてしまうのをより効果的に防止できる。
【0010】
また、本発明は、役として、入賞すると遊技媒体が払い出される小役と、入賞すると遊技媒体の投入なしに次の遊技を開始させることができるリプレイと、当選状態を次遊技以降に持ち越し可能であるとともに、入賞すると小役が入賞しやすくなるボーナス遊技が開始されるボーナスと、を備え、リール制御手段130は、ボーナスとリプレイが同時に当選している場合にはボーナスに優先してリプレイが入賞するように回転リール61〜63の停止を制御するとともに、ボーナスと小役が同時に当選している場合にはボーナスに優先して小役が入賞するように回転リール61〜63の停止を制御し、役抽選手段120は、ボーナスの当選状態が持ち越されているボーナス成立状態において、ボーナスが単独で当選状態となることがないように役抽選を行い、ボーナスの当選状態が持ち越されているボーナス成立状態の遊技状態として第1状態と第2状態とが設けられ、第1状態では、第2状態よりも、擬似遊技の発生率が高くなるように設定されている。
【0011】
なお、フリーズが設定されているフリーズ中に、スタートスイッチ20の操作信号の入力に基づいて、擬似的に停止している回転リール61〜63を擬似的に回転させ、停止スイッチ31〜33の操作信号の入力に基づいて擬似的に回転している回転リール61〜63を擬似的に停止させることにより、複数回の擬似遊技を連続して実行可能に形成してもよい。
【発明の効果】
【0012】
本発明は、以上のように構成されているので、擬似遊技中に遊技者が遊技を止めてしまわないようにすることができる。また、役抽選におけるボーナスの当選確率を変えることなく、ボーナスの発生率を変化させるという、新たな擬似遊技の利用法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の実施の形態であって、スロットマシンの外観正面図である。
図2】本発明の実施の形態であって、スロットマシンの入力、出力及び制御装置を示すブロック図である。
図3】本発明の実施の形態であって、各回転リールの図柄配列を示す図である。
図4】本発明の実施の形態であって、当選役に対応する図柄組合せを示す表である。
図5】本発明の実施の形態であって、役抽選テーブルに規定される役の役構成を示す表である。
図6】本発明の実施の形態であって、停止スイッチの操作順と入賞役との関係を示す説明図である。
図7】本発明の実施の形態であって、内部抽選状態の移行を示す説明図である。
図8】本発明の実施の形態であって、演出状態の移行を示す説明図である。
図9】本発明の実施の形態であって、擬似遊技実行抽選テーブル及び擬似役抽選テーブルの概念図である。
図10】本発明の実施の形態であって、メイン制御装置の制御に基づく1遊技における遊技制御処理の概略を示すフローチャートである。
図11】1遊技における遊技制御処理のうちの擬似遊技実行決定処理を示すフローチャートである。
図12】1遊技における遊技制御処理のうちの回転リール回転開始処理を示すフローチャートである。
図13】回転リール回転開始処理のうちの擬似遊技実行処理を示すフローチャートである。
図14】擬似遊技実行処理のうちの擬似遊技継続判定処理を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明の好適な実施の形態を、遊技機としてスロットマシンを例に、図面に基づき説明する。
(スロットマシンS)
スロットマシンSは、図1に示すように、正面側(遊技者と対向する前面側)に開口部を有する方形の筐体Bと、この筐体Bの開口部を塞ぐ前扉Dを備えている。
筺体Bの内部には、スロットマシンSの作動を制御するための制御装置1、外周面に複数の図柄が付された3個の回転リール61,62,63を有するリールユニット2、メダルを貯留するとともに貯留されているメダルを払い出すためのホッパーユニット3、スロットマシンSに備えられた各種装置に電力を供給するための電源装置4等が設置されている。
【0015】
前扉Dには、図1に示すように、3個の回転リール61〜63の図柄を視認可能な図柄表示窓Wが形成されている。そして、この図柄表示窓Wの下方であってスロットマシンSの高さ方向略中央部は、スロットマシンSを作動させるための操作スイッチが設けられたカウンター状の操作部Cとなっている。操作部Cの上面右端にはメダル投入口5が設けられ、操作部Cの上面左側には、スロットマシンSに電子的に貯留されているメダルであるクレジットメダルを、遊技を開始するためのベットメダルに代えるための投入操作手段としてのベットスイッチ10が設けられている。
【0016】
また、操作部Cの正面左側には、回転リール61〜63を回転開始させるためのスタートスイッチ20が設けられ、操作部Cの正面中央部には、3個の回転リール61〜63を個々に停止させるための3個の停止スイッチ31,32,33が設けられている。具体的には、左側に位置する停止スイッチ31は左側に位置する回転リール61を停止させるものであり、中央に位置する停止スイッチ32は中央に位置する回転リール62を停止させるものであり、右側に位置する停止スイッチ33は右側に位置する回転リール63を停止させるものである。操作部Cの正面左端には、クレジットを払い戻すための精算スイッチ40が設けられている。
【0017】
前記ベットスイッチ10は、上下方向に移動可能なボタンスイッチであって、ベットスイッチ10の筐体内部側には、ボタンの位置移動を検出する検知部が設けられており、検知部の検出信号がベットスイッチ10の操作信号として扱われるようになっている。
スタートスイッチ20は、上下方向に揺動可能なレバースイッチであって、スタートスイッチ200の筐体内部側には、押下操作によるレバーの位置移動を検出する検知部が設けられており、検知部の検出信号がスタートスイッチ20の操作信号として扱われるようになっている。
停止スイッチ31〜33は、前後方向に移動可能なボタンスイッチであって、各停止スイッチ31〜33の筐体内部側には、特に図示しないが、押圧操作によるボタンの位置移動を検出する検知部がそれぞれ設けられており、検知部の検出信号が各停止スイッチ31〜33の操作信号として扱われるようになっている。
なお、操作部Cに設けられる操作スイッチとして、遊技者が演出内容を選択することができる演出スイッチを設けてもよい。
【0018】
前扉Dにおいて図柄表示窓Wの上方には、液晶表示装置などの画像表示部70が設けられ、図柄表示窓Wの両側に位置する前扉Dの側部及び前扉Dの上端部には、ランプ80が設けられている。また、前扉Dの下部には、メダルを貯留可能な下皿6が設けられているとともに、下皿6の奥壁には、ホッパーユニット3から払い出されたメダルを下皿6に排出するためのメダル排出口8と、メダル排出口8の両側に配置されたスピーカ90が設けられている。そして、メダル投入口5の下方であって前扉Dの裏側には、投入メダルを検知しメダルを判別するためのメダルセレクター7が設けられている。
【0019】
リールユニット2は、図示しない枠体に固定された3個のリールモータM1,M2,M3(図2参照)と、各リールモータM1〜M3の駆動軸にそれぞれ固定された3個の回転リール61〜63(図2参照)とを備えている。なお、図示しないが、リールモータM1には回転リール61が固定され、リールモータM2には回転リール62が固定され、リールモータM3には回転リール63が固定されている。
【0020】
リールモータM1〜M3は、ステッピングモータであって、図示しないが、駆動軸に連結されたロータと4相のコイルを備えており、コイルが順次励磁されることにより、ロータが回転して駆動軸が回転し、駆動軸に固定された回転リール61〜63が回転するようになっている。4相のコイルは、所定の駆動パルスが供給されることにより励磁し、駆動パルスのパルス数やパルス幅などが制御されることによって、回転リール61〜63に付されている図柄が図柄表示窓Wを上側から下側へ向けて通過するように回転リール61〜63を回転(正回転)させることができるとともに、回転リール61〜63を図柄単位で停止させることができるようになっている。
【0021】
各回転リール61〜63の外周面には、図3に示すように、赤7図柄、BAR図柄、リプレイ図柄、スイカ図柄、ベルa図柄、ベルb図柄、ベルc図柄、チェリー図柄、ダミー図柄などの図柄が、1つの回転リールにつき21個ずつ付されている。ここで、回転リールに表示されている1図柄分の領域を1コマと称し、回転リール61〜63はそれぞれ、21個の図柄に対応して等分割された21コマを有している。そして、各回転リール61〜63の外周面に連続して配置されている3つの図柄が、図柄表示窓Wから視認可能となっている。
【0022】
ここで、図柄表示窓Wを通して図柄を視認するための表示位置として、各回転リール61〜63について上段、中段、下段が設けられており、各回転リール61〜63の表示位置の組合せによって有効ラインが設定される。有効ラインとは、3個の回転リール61〜63の各表示位置にある縦3個横3個合計9個の図柄を1個ずつ繋いでできるライン(入賞ライン)のうち、入賞するために有効となる図柄組合せの並びを規定したラインである。入賞ラインは、規定数のメダルをベットすることにより有効ラインになる。本実施の形態においては、図1に示すように、回転リール61の上段に位置する図柄、回転リール62の中段に位置する図柄、回転リール63の下段に位置する図柄を繋いでできる右下がりラインLが入賞ラインとして設定されている。
そして、スロットマシンSは、スタートスイッチ20の操作によって回転開始し停止スイッチ31〜33の操作によって回転停止した回転リール61〜63の停止図柄により、役に対応付けられた図柄組合せが有効ライン上に表示される(以下、このことを入賞という)と、役に応じた利益が付与されるようになっている。
【0023】
(制御装置1)
制御装置1は、図示しないメイン基板ケースにメイン基板を収納したメイン基板ユニットと、図示しないサブ基板ケースにサブ基板を収納したサブ基板ユニットとから構成される。メイン基板及びサブ基板は、IC等の各種電子部品を搭載した制御基板であり、メイン基板はスロットマシンSの遊技に関する制御を行うメイン制御装置100(図2参照)を構成し、サブ基板は演出や報知に関する制御を行うサブ制御装置200(図2参照)を構成する。また、メイン制御装置100とサブ制御装置200との間では、メイン制御装置100からサブ制御装置200への一方へ向けてのみコマンドやデータが出力され、サブ制御装置200からメイン制御装置100へ向けてはコマンドやデータが出力されないようになっている。
ここで、メイン制御装置100の制御に基づくスロットマシンSの作動状態をメイン状態といい、サブ制御装置200の制御に基づくスロットマシンSの作動状態をサブ状態という。また、メイン状態とサブ状態とを合わせたスロットマシンSの作動状態を、遊技状態というものとする。
【0024】
(メイン制御装置100)
メイン制御装置100は、スタートスイッチ20及び停止スイッチ31〜33の操作に基づき、回転リール61〜63の回転及び停止を制御するものである。
メイン制御装置100の入力側には、図2に示すように、メダルセンサ7A、リールセンサ2A、払い出しセンサ3A、ベットスイッチ10、スタートスイッチ20、停止スイッチ61〜63及び精算スイッチ40が接続されている。ここで、メダルセンサ7Aは、図1に示すように、メダルセレクター7に設けられた検知部であって、メダル投入口5から投入されホッパーユニット3に移送されるメダルを検出するためのものである。リールセンサ2Aは、図示しないが、リールユニット2の枠体に設けられた検知部であって、回転リール61〜63に設けられたスタートインデックスを検出して回転リール61〜63の回転を検知するためのものである。払い出しセンサ3Aは、図示しないが、ホッパーユニット3に設けられた検知部であって、メダル払出装置から払い出されるメダルを検出するためのものである。
【0025】
一方、メイン制御装置100の出力側には、図2に示すように、リールモータM1〜M3、ホッパーモータ3B、ブロッカー7B、ベット表示部11及びクレジット表示部12が接続されている。ホッパーモータ3Bは、図示しないが、ホッパーユニット3に貯留されているメダルを1枚ずつ排出するメダル払出装置を駆動させるためのものである。ブロッカー7Bは、図示しないが、メダルセレクター4の内部を通過するメダルを、メダルセンサ7Aで検出される前にメダルセレクター4の外部に排出するためのメダルキャンセル装置である。排出されたメダルは、下皿6に払い戻される。ベット表示部11は、図1に示すように、図柄表示窓Wの下方に設けられた発光表示部であって、発光する発光領域の数により1回の遊技を行うために掛けた(ベットした)メダル数を表示するものである。クレジット表示部12は、同じく図柄表示窓Wの下方に設けられた7セグメント表示部であり、クレジットされているメダル数を数字で表示するものである。
【0026】
メイン制御装置100を構成するメイン基板には、図示しないが、遊技に関するプログラムやデータが記憶されたROM、ROMに記憶されたプログラム等に基づいて遊技の進行に関する制御を行うメインCPU、読み書き可能であって遊技の進行に関する制御を行うためのデータ等を一時的に記憶するRWM、I/O等、種々の電子部品が備えられている。そして、CPUがROMに記憶されたプログラムを読み込むことで、図2に示すように、投入制御手段110、役抽選手段120、リール制御手段130、遊技結果判定手段140、払出制御手段150、内部抽選状態移行手段160及び擬似遊技制御手段180の各手段として機能する。
【0027】
(投入制御手段110)
投入制御手段110は、メダル投入口5からのメダルの投入又はベットスイッチ10の操作(以下投入操作という)と、遊技結果判定手段140の判定結果に基づいて、1回の遊技を行うためのメダルが掛けられた状態(ベット状態)を設定するためのものである。
具体的には、投入制御手段110は、メダル投入口5からメダルが投入されメダルセンサ7Aがメダルを検出することに伴って、規定数を限度として、検出された数のメダルをベットされたメダルとして取り扱い、ベット状態を設定する。ここで、規定数とは、1回の遊技に掛けることができるメダルの数であり、本実施の形態においては、規定数が3である場合と3又は2である場合と1である場合が存在するが、詳細については後述する。本実施の形態では、規定数が3の場合も、2の場合も、右下がりラインLが有効ラインとなる。
【0028】
なお、投入されたメダル数に応じて、ベット表示部11にはベット表示が行われる。また、規定数のベット状態が設定されることにより、スタートスイッチ20の操作に基づく回転リール61〜63の回転開始が許容される。
また、投入制御手段110は、規定数を超えてメダルが投入された場合には、最大貯留可能数(50)を限度として、投入されたメダルがスロットマシンSに電子的に貯留(クレジット)されたものとして取り扱う。クレジット数はクレジット表示部12に表示される。なお、クレジット数が最大貯留可能数に達した場合には、ブロッカー7Bが作動してメダル投入口5から投入されたメダルがキャンセルされるようになっている。
【0029】
また、投入制御手段110は、クレジットがされている状態でベットスイッチ10が操作されベットスイッチ10の操作信号が入力されることに伴って、規定数を限度として、クレジットされたメダルをベットされたメダルとして取り扱い、ベット状態を設定する。すなわち、ベットスイッチ10の操作信号の入力に基づいて、クレジット表示部12に表示されている数値を所定の数だけ減じて表示させるとともに、ベット表示部11にクレジット表示部から減じた数のベット数を表示させる。本実施の形態では、ベットスイッチ10は、1回操作するごとに最大規定数のメダル(規定数が3の場合には3枚、規定数が3又は2の場合には2枚)がベットされるマックスベットスイッチとして機能する。クレジットが規定数に満たない場合には、ベットスイッチ10の操作によりクレジットされている分だけのメダルがベットされる。この場合には、メダル投入口5からメダルが投入されることにより規定数のベット状態を設定する。規定数のベット状態が設定されないとスタートスイッチ20の操作が有効にならない。
【0030】
なお、ベットスイッチ10を1回操作するごとに1枚のメダルがベットされるシングルベットスイッチのみを設けてもよい。あるいは、マックスベットスイッチとは別に、シングルベットスイッチを設けてもよい。
さらに、投入制御手段110は、遊技結果判定手段140が後述するリプレイの入賞を判定した場合には、前回の遊技のベット数と同一のベット数で自動的にベット状態を設定する。投入制御手段110によって自動的にベット状態が設定されること(自動ベットされること)を、再遊技の作動という。
なお、再遊技の作動中にメダル投入口5からメダルが投入された場合には、クレジットが最大貯留可能数未満であることを条件として、投入されたメダルをクレジットに移行させるようにしてもよい。
【0031】
(役抽選手段120)
役抽選手段120は、回転リール61〜63に付されている図柄による所定の図柄組合せが対応付けられた複数種類の役を対象として行う役抽選により、1又は複数の役の当選又は不当選のいずれかの抽選結果を導出するものである。役抽選手段120は、図示しないが、乱数発生手段、乱数抽出手段、役抽選テーブル、判定手段及び当選状態設定手段を備えている。乱数発生手段は、一定時間に所定(例えば0から65535)の数字を繰り返してカウントするループカウンタであり、乱数抽出手段は、スタートスイッチ20の操作信号を入力したタイミングで、ループカウンタのカウント値を読み取って記憶するものである。ループカウンタは乱数を発生しているわけではないが、ループカウンタのカウント値を乱数抽出手段が読み取ることにより、ランダムな数値を抽出できるので、便宜上乱数発生手段というものとする。役抽選テーブルは、ループカウンタがカウントする数値(乱数発生手段の発生可能な全乱数値)を全領域として所定の当選領域を規定したものである。判定手段は、カウント値抽出手段の読み取ったカウント値と役抽選テーブルの当選領域とを照合し、カウント値が所定の当選領域に属する場合には当該当選領域に対応する当選を決定し、カウント値がいずれの不当選の領域に属する場合には、「ハズレ」の決定をするものである。当選状態設定手段は、判定手段が当選を決定した場合に、当該当選に対応する当選フラグを成立させることにより当選状態を設定するものである。
【0032】
前記役としては、入賞により所定枚数のメダルが払い出される小役と、入賞により次遊技において投入操作を行うことなく再度の遊技を行えるリプレイと、入賞により次遊技からボーナス遊技が行われるボーナスとを備えている。
本実施の形態においては、図4に示すように、ボーナスとして、「赤7・赤7・赤7」の図柄組合せが対応付けられたBB(ビッグボーナス)と、「BAR・BAR・BAR」の図柄組合せが対応付けられたRB(レギュラーボーナス)とが設けられている。ボーナスが入賞すると、次遊技からボーナス遊技が開始される。ボーナス遊技は、小役の当選確率を高くすることにより小役が入賞しやすくなるように設定されている。また、ボーナス遊技は、払い出しメダルの総数があらかじめ定められた一定枚数を超えた場合に終了する。例えば、BBの入賞に伴うボーナス遊技は、200枚を超えるメダルの払い出しにより終了し、RBの入賞に伴うボーナス遊技は、50枚を超えるメダルの払い出しにより終了する。
【0033】
前記小役としては、ベル1〜ベル28までの28個のベル役が設けられている。ベル1〜ベル27役には、ベルa図柄、ベルb図柄、ベルc図柄(合わせてベル図柄という)のいずれかを組み合わせて構成される図柄組合せが対応付けられている。ベル28役には、ベル図柄、赤7図柄、青7図柄、チェリー図柄のいずれかを組み合わせて構成される図柄組合せが対応付けられている。なお、ベル28役に対応付けられた図柄組合せが有効ライン上に揃うと、各回転リール61〜63の上段位置を結ぶ上段ラインにベル図柄が揃うようになっている。
ここで、小役の入賞により払い出されるメダル数は、規定数に応じて設定されている。本実施の形態では、ボーナス遊技以外の遊技では、規定数が3枚に設定されており、ボーナス遊技では、規定数が2枚に変更されるように形成されている。そして、規定数が3(3枚掛け遊技)の場合には、入賞により9枚のメダルが払い出され、規定数が2(2枚掛け遊技)の場合には、入賞により10枚のメダルが払い出されるように形成されている。
【0034】
前記リプレイとしては、リプレイ1〜リプレイ6までの6個が設けられている。リプレイ1には「リプレイ・リプレイ・リプレイ」の図柄組合せが対応付けられ、リプレイ2には「リプレイ・ベルa・ベルa」など9個の図柄組合せが対応付けられ、リプレイ3には「リプレイ・ベルa・リプレイ」など3個の図柄組合せが対応付けられ、リプレイ4には「スイカ・スイカ・スイカ」など12個の図柄組合せが対応付けられ、リプレイ5には「チェリー・ANY・ANY」(ANYは何の図柄でもよい意味)の図柄組合せが対応付けられ、リプレイ6には「赤7・赤7・ベルa」など12個の図柄組合せが対応付けられている。いずれかの再遊技役が入賞すると、再遊技が作動し、当該遊技終了後の次遊技において、ベット操作をすることなくスタートスイッチ20が操作可能となる。
【0035】
本実施の形態における役抽選テーブルの概念図を図5に示す。ここで、図5は、複数の役抽選テーブルに設定されている当選領域の有無を示したものであり、左欄に示した当選領域が含まれていることを丸印で表している。当選領域には不当選(ハズレ)も含まれる。また、当選領域には、単独の役が当選する単独当選領域と、複数の役が同時に当選する重複当選領域がある。図5において、「BB」「RB」は、それぞれBB、RBの単独当選領域であり、「リプレイA」「リプレイF」「リプレイH」は、それぞれ、リプレイ1、リプレイ4、リプレイ6の単独当選領域である。一方、「リプレイB」〜「リプレイE」及び「リプレイG」は、複数のリプレイの重複当選領域であり、「ベルA」〜「ベルF」及び「ベル」は、複数のベル役の重複当選領域である。
役抽選テーブルとしては、図5に示すように、通常状態において用いられる通常テーブルと、リプレイ高確率状態(RT状態)で用いられるRTテーブルと、ボーナス成立状態において用いられる内部中テーブルと、ボーナス作動状態において用いられるボーナステーブルとが設けられている。
【0036】
ここで、通常状態、リプレイ高確率状態、ボーナス成立状態、ボーナス作動状態は、それぞれ、メイン制御装置100の制御に基づくメイン状態のうちの、役抽選手段120の抽選態様の違いに基づく内部抽選状態を示すものである。通常状態とは、スロットマシンSの初期状態(工場出荷時又は設定変更後)の内部抽選状態であり、リプレイ高確率状態は、通常状態よりもリプレイの当選確率が高く設定される内部抽選状態である。ボーナス作動状態とは、ボーナス遊技が行われる内部抽選状態であり、ボーナス成立状態とは、ボーナスの当選状態が持ち越されている内部抽選状態のことである。本実施の形態では、ボーナス作動状態には、BB作動状態、RB作動状態が含まれ、ボーナス成立状態には、BB成立状態と、RB成立状態が含まれる。
なお、通常状態、リプレイ高確率状態、ボーナス成立状態では、規定数が3に設定され(3枚掛け遊技のみ行うことができ)、ボーナス作動状態では規定数が2に設定される(2枚掛け遊技のみ行うことができる)ものとなっている。
【0037】
また、図5では明記していないが、ボーナステーブル以外の各役抽選テーブルにおける各小役の種類及び当選確率は同等となるように設定されている。また、各役抽選テーブルにおけるリプレイの当選確率(合算値)は、通常テーブル及び内部中テーブルでは約1/7.3、RTテーブルでは約1/1.5となるように設定されている。ボーナステーブルには小役(「ベル」)の当選領域のみが設けられている。また、リプレイの当選領域について、通常テーブルには、「リプレイD」〜「リプレイG」が設けられておらず、RTテーブルには「リプレイB」が設けられていない。内部中テーブルには「リプレイA」のみが設けられている。なお、「リプレイA」〜「リプレイE」の各当選領域の当選確率は、「リプレイF」〜「リプレイH」の各当選領域の当選確率よりも高く設定されている。すなわち、「リプレイA」〜「リプレイE」は比較的頻繁に当選するが、「リプレイF」〜「リプレイH」は希にしか当選しないようになっている。
【0038】
さて、上記した「ベルA」〜「ベルF」の6個の重複当選領域に対しては、3個の停止スイッチ31〜33に基づく6通りの操作順(打順)のうち、左側の停止スイッチ31を最初に停止操作する打順(左押し)以外の打順が割り当てられている。具体的には、「ベルA」〜「ベルC」の各当選領域に対しては、中央の停止スイッチ62を最初に停止操作する打順(中押し)が、「ベルD」〜「ベルF」の各当選領域に対しては、右側の停止スイッチ63を最初に停止操作する打順(右押し)が、それぞれ割り当てられている。割り当てられている打順が、各当選領域の当選に対する正解の打順となる。そして、「ベルA」〜「ベルF」のいずれかが当選した場合、正解の打順でストップスイッチ50が操作されたか否かによって、入賞し得るベル役が変化するようになっている。当選領域「ベルA」〜「ベルF」を総称して「打順ベル」というものとする。
【0039】
また、「リプレイB」〜「リプレイE」の4個の重複当選領域が当選した場合には、どのような打順で停止操作したかにより、入賞するリプレイが変化するようになっているが、この詳細については後述する。当選領域「リプレイB」〜「リプレイE」を総称して「打順リプレイ」というものとする。
なお、上記した役抽選テーブルの構成や当選確率は一例であって、上記した態様や数値に限られるものではない。例えば、ボーナステーブルに不当選領域が設けられていてもよい。
【0040】
上記した当選状態設定手段は、役抽選の結果、小役が当選した場合には小役フラグ(ベル1フラグなど)を成立させ、ボーナスが当選した場合にはボーナスフラグ(BBフラグ、RBフラグなど)を成立させ、リプレイが当選した場合にはリプレイフラグ(リプレイ1フラグなど)を成立させる。また、重複当選領域が当選した場合には、当該領域に含まれる全ての役に対応する当選フラグを成立させる。小役フラグ及びリプレイフラグは1回の遊技限りでリセットされるが、ボーナスフラグは、当該ボーナスが入賞するまでリセットされない。すなわち、小役、リプレイが当選した場合には当選状態が次遊技に持ち越されないが、BB又はRBが当選した場合には、当選状態が次遊技以降に持ち越されるようになっている。
【0041】
(リール制御手段130)
リール制御手段130は、スタートスイッチ20及び停止スイッチ31〜33の操作信号に基づいて、回転リール61〜63の回転及び停止を制御するためのものである。以下、リール制御手段130による回転リール61〜63の回転制御及び停止制御について説明する。
(回転制御)
リール制御手段130は、スタートスイッチ20の有効な操作信号を入力した場合に、リールユニット2のモータ駆動回路に、所定の間隔で駆動パルス(駆動信号)を出力することにより、リールモータM1〜M3を駆動させて回転リール61〜63を回転させるものである。すなわち、規定数のメダルがベットされている状態でスタートスイッチ20の操作信号を入力した場合には、前遊技における回転リール61〜63の回転開始から一定時間(4.1秒、いわゆるウエイト時間)が経過していることを条件に、全ての回転リール61〜63を一斉に、あるいは所定の順番で回転開始させる。そして、全ての回転リール61〜63の回転速度が、停止操作を可能とするためにあらかじめ設定された定常回転速度(例えば80rpm)に達すると、この定常回転速度を維持する定常回転を行わせるものとなっている。
【0042】
(停止制御)
リール制御手段130は、リールセンサ2A(図2参照)の検出信号に基づき回転リール61〜63の回転角度を把握しつつ、停止スイッチ31〜33の作動時点(停止スイッチ31〜33の操作が検出された時点=停止操作のタイミング)での回転リール61〜63の回転角度から、有効ライン上に位置している図柄を特定することができるようになっている。そして、リール制御手段130は、停止操作がされた時点において所定位置(例えば上段位置)にある回転リール61〜63の図柄を基準図柄として、回転リール61〜63の回転角度が前記基準図柄をあらかじめ定められたコマ数(最大スベリコマ数、例えば4コマ)だけ回転方向に移動させたコマ数(引き込み可能コマ数、例えば5コマ)の範囲内となるように、回転リール61〜63を停止させることができる。
【0043】
具体的には、前記基準図柄を所定位置(例えば上段位置)に停止させてもよい場合には、停止操作のタイミングで、停止信号を出力してそのまま回転リール61〜63を停止させる。また、基準図柄を所定位置に停止させることによって有効ライン上に停止させてはいけない図柄が停止することとなる場合には、リールモータM1〜M3の駆動を停止させるための駆動パルス(停止信号)を出力するタイミングを遅らせて、有効ライン上からその図柄を蹴飛ばす蹴飛ばし処理を行う。また、前記引き込み可能コマ数の範囲内に、当選した役に対応付けられた図柄組合せを構成する図柄(当選図柄)が含まれている場合には、停止信号を出力するタイミングを遅らせて、有効ライン上にその当選図柄を引き込む引き込み処理を行う。
【0044】
リール制御手段130は、これらの処理を、回転リール61〜63の停止位置候補を特定するためのあらかじめ定められた優先順位に基づいて、基準図柄から何コマ分回転させて回転リール61〜63を停止させるかを役抽選の結果及び停止操作のタイミングに応じて図柄ごとにテーブル上に規定した停止テーブルを用いて行う。
本実施の形態では、役についての優先順位が「リプレイ>小役>ボーナス」の順序で定められており、停止テーブルでは、ボーナスと小役が同時に当選している場合(ボーナス成立状態において小役が当選した場合)には小役に対応付けられた図柄を優先的に有効ライン上に引き込み、ボーナスとリプレイが同時に当選している場合(ボーナス成立状態においてリプレイが当選した場合)にはリプレイに対応付けられた図柄を優先的に有効ライン上に引き込むように形成されている。
【0045】
また、停止テーブルとしては、引き込み可能コマ数の範囲内で当選図柄を有効ライン上に引き込み、当選図柄以外の図柄を有効ライン上から蹴飛ばすように、回転リール61〜63の停止位置が規定された当選図柄引き込みテーブルと、引き込み可能コマ数の範囲内で、いかなる役に対応する図柄組合せも有効ライン上に揃わないように、回転リール61〜63の停止位置が規定されたハズレテーブルとが設けられている。停止テーブルは、3個の回転リール61〜63にそれぞれ対応して設けられており、先に停止した回転リールの停止図柄に応じて、未停止の回転リールの停止テーブルが選択されるようになっている。
【0046】
(打順ベル当選時の停止制御)
次に、「打順ベル」のいずれか、すなわち図5に示す「ベルA」〜「ベルF」のいずれかの当選領域が当選した場合の停止制御について説明する。
本実施の形態においては、「打順ベル」の領域に共通して含まれるベル28の図柄組合せを構成する図柄(ベル図柄、赤7図柄、青7図柄、チェリー図柄)は、個々の図柄組合せについてみると、全ての回転リール61〜63において最大スベリコマ数(4コマ)を超える間隔をあけずに配置されているわけではないが、複数の図柄組合せを合わせると、全ての回転リール61〜63において4コマを超える間隔をあけずに配置されているものとなっている。つまり、ベル28は、最大スベリコマ数が4コマに設定されている制御中においては、停止操作のタイミングに関わらず入賞可能な設定となっている。一方、「打順ベル」の領域に共通して含まれるベル28以外のベル役の図柄組合せを構成するベル図柄は、回転リール61〜63のいずれかにおいて4コマを超える間隔をあけて配置されている図柄が含まれており、目押しをしないと入賞できない設定となっている。そして、リール制御手段130は、役抽選により、いずれかの「打順ベル」が当選した場合には、停止操作の態様に応じて、当該領域に含まれるベル1〜27のいずれかのベル役に対応する図柄組合せを有効ライン上に停止表示させるように停止制御を行う。これらの制御は、停止スイッチ31〜33の打順に応じて設けられている停止テーブルを参照して行われる。
【0047】
具体的には、役抽選により「打順ベル」が当選した場合に、当選した当選領域に対して割り当てられている正解の打順で各停止スイッチ31〜33が操作された場合には、停止操作のタイミングに関わらず、ベル28の図柄組合せを構成する図柄を有効ライン上に引き込んで停止させる制御を行う。すなわち、そのような停止位置が設定されている停止テーブルを用いて停止位置を決定し、回転リール61〜63を停止させる(以下同様)。これによりベル28が入賞し、9枚のメダルが払い出される。一方、その正解の打順以外の打順(不正解の打順)で各停止スイッチ31〜33が操作された場合には、停止操作のタイミングが、ベル1乃至ベル27のいずれかの図柄組合せを構成する図柄を有効ライン上に引き込める場合には、それらの図柄を引き込んで停止させる制御を行う。これによりベル1乃至ベル27のいずれかが入賞し、9枚のメダルが払い出される。停止操作のタイミングで、ベル1乃至ベル27のいずれかの図柄組合せを構成する図柄を有効ライン上に引き込めない場合には、いずれの役にも対応付けられていない所定のハズレの図柄組合せであるブランクを表示させる。この場合には入賞はせずメダルが払い出されない。このように、ベル28は正解の打順で停止操作したときに入賞する正解役であり、それ以外のベル役は不正解の打順で停止操作したときに入賞する不正解役として位置づけられている。
【0048】
(リプレイ当選時の停止制御)
続いて、「打順リプレイ」のいずれか、すなわち図5に示す「リプレイB」〜「リプレイE」のいずれかの当選領域が当選した場合の停止制御について、図6に基づき説明する。
リール制御手段130は、「リプレイB」の当選時に、左押し又は右押しで停止操作された場合には、全ての回転リール61〜63においてリプレイ図柄を有効ライン上に停止させる制御を行う。すなわち、そのような停止位置が規定された停止テーブルを参照して回転リール61〜63を停止させる。これにより、停止操作のタイミングに関わらず、リプレイ1が入賞する。一方、「リプレイB」の当選時に中押しで停止操作された場合には、中央の回転リール62及び右側の回転リール63において、リプレイ図柄に優先してベル図柄を有効ライン上に引き込み、左側の回転リール61において、ベル図柄に優先してリプレイ図柄を引き込んで停止させる制御を行う。これにより、停止操作のタイミングに関わらず、リプレイ2が入賞する。
【0049】
また、「リプレイC」の当選時に、左押しで停止操作された場合には、停止操作のタイミングに関わらず、リプレイ1を入賞させ、右押しで停止操作された場合には、停止操作のタイミングに関わらず、リプレイ2を入賞させるように停止制御を行う。一方、「リプレイC」の当選時に中押しで停止操作された場合には、中央の回転リール62において、リプレイ図柄に優先してベル図柄を有効ライン上に引き込み、左側の回転リール61及び右側の回転リール63において、ベル図柄に優先してリプレイ図柄を引き込んで停止させる制御を行う。これにより、停止操作のタイミングに関わらず、リプレイ3が入賞する。
上記と同様にして、「リプレイD」の当選時に左押しで停止操作された場合にはリプレイ1を入賞させ、中押し又は右押しで停止操作された場合にはリプレイ1を入賞させるように停止制御を行う。また、「リプレイE」の当選時に左押し又は中押しで停止操作された場合にはリプレイ2を入賞させ、右押しで停止操作された場合にはリプレイ3を入賞させるように停止制御を行う。
【0050】
なお、「リプレイG」の当選時には、停止操作のタイミングによって入賞し得るリプレイが異なるようになっている。具体的には、「リプレイG」の当選時に左押しで停止操作された場合には、左側の回転リール61において、リプレイ図柄に優先してチェリー図柄を有効ライン上に引き込んで停止させる制御を行う。これにより、リプレイ5が入賞し得る。停止操作のタイミングによって、チェリー図柄を引き込めない場合には、リプレイ図柄を有効ライン上に引き込んで停止させるとともに、回転リール62、63においてもリプレイ図柄を有効ライン上に引き込んで停止させる。これにより、リプレイ1が入賞する。一方、「リプレイG」の当選時に、中押し又は右押しで停止操作された場合には、回転リール62、63においてリプレイ図柄を有効ライン上に引き込んで停止させる。そして、回転リール61において、停止操作のタイミングでチェリー図柄を引き込める場合にはチェリー図柄を有効ライン上に引き込んで停止させる。回転リール61においてチェリー図柄を引き込めた場合には、未停止の他の回転リールについては、リプレイ図柄以外の図柄を有効ライン上に引き込む場合もあるようになっている。
【0051】
ところで、本実施の形態においては、フリーズ設定手段170がフリーズを設定している場合に、スタートスイッチ20の操作信号に基づき回転リール61〜63を擬似的に回転させ、停止スイッチ30〜33の操作信号に基づき回転リール61〜63を擬似的に停止させる擬似遊技を実行可能に形成されている。上記した通常回転データに基づく回転制御及び停止制御は、本来の遊技中において行われるものであるが、本実施の形態では、リール制御手段130は、本来の遊技と同様の制御ロジックで、回転リール61〜63の擬似的な回転及び擬似的な停止を制御することができるものとなっている。擬似遊技の詳細については後述する。
【0052】
(遊技結果判定手段140)
遊技結果判定手段140は、停止スイッチ31〜33の操作によって回転リール61〜63が全て停止したときに、当該遊技の結果を判定するためのものである。
具体的には、回転リール61〜63が停止したときに所定の記憶部に記憶される停止図柄の情報に基づき、有効ライン上に揃った図柄の組合せが、所定の役に対応付けられたものか否かを判断する。そして、所定の役に対応付けられた図柄組合せが有効ライン上に表示されたと判断した場合には入賞と判定し、その判定結果情報を、払出制御手段150及び内部抽選状態移行手段160に送信する。また、有効ライン上に揃った図柄の組合せが、ブランクに係る図柄組合せである場合には、その判定結果情報を内部抽選状態移行手段160に送信する。
【0053】
(払出制御手段150)
払出制御手段150は、遊技結果判定手段140の判定結果及び精算スイッチ40の操作に基づいて、ホッパーモータ3Bを作動させてホッパーユニット3からメダルを払い出させるものである。すなわち、遊技結果判定手段140が小役の入賞を判定した場合には、当該小役の入賞に応じたメダルを払い出させ、クレジットが1以上ある場合に精算スイッチ40の操作信号を入力したときには、クレジットとして貯留されているメダルを払い出させるようになっている。
なお、入賞により払い出されるメダルを、クレジットに電子的に貯留し、クレジットを超過する払い出し分をホッパーユニット3から払い出させるようにしてもよい。
【0054】
(内部抽選状態移行手段160)
内部抽選状態移行手段160は、所定条件に基づいて、内部抽選状態の移行を決定するものである。そして、内部抽選状態移行手段160の決定に基づき、役抽選手段120がベット状態(投入メダル数)に応じた役抽選テーブルを取得して役抽選を行うことにより、図7に示す各内部抽選状態が発動する。以下、内部抽選状態移行手段160による内部抽選状態の移行の決定について説明する。
【0055】
まず、スロットマシンSの内部抽選状態は、初期状態(工場出荷時又は設定変更時)において通常状態に設定されている。そして、通常状態において、リプレイ2が入賞した場合には、内部抽選状態移行手段160は、通常状態からリプレイ高確率状態への移行を決定する。また、リプレイ高確率状態において、リプレイ3が入賞した場合、又はブランクが表示された場合には、リプレイ高確率状態から通常状態への移行を決定する。なお、通常状態においてリプレイ3が入賞した場合には通常状態を維持し、リプレイ高確率状態においてリプレイ2が入賞した場合にはリプレイ高確率状態を維持する。
通常状態又はリプレイ高確率状態において、ボーナス(「BB」又は「RB」)が当選し、当該遊技でボーナスが入賞しなかった場合には、内部抽選状態移行手段160は、通常状態からボーナス成立状態への移行を決定し、ボーナス成立状態において、ボーナスが入賞した場合には、ボーナス作動状態への移行を決定する。そして、ボーナス作動状態において、所定数を超える払い出しが終了した場合には、ボーナス作動状態から通常状態への移行を決定する。
【0056】
ここで、リプレイ高確率状態においては、後述するAT制御手段230の制御に基づき、所定条件の下で、打順ベルが当選した場合にベル28を入賞させることができる打順が報知されるようになっている。また、通常状態においては、所定条件の下で、打順リプレイが当選した場合にリプレイ2を入賞させることができる打順が報知され、リプレイ高確率状態においては、所定条件の下で、打順リプレイが当選した場合にリプレイ3を入賞させないための打順が報知されるようになっている。
【0057】
(擬似遊技制御手段180)
擬似遊技制御手段180は、擬似遊技の実行を制御するものである。擬似遊技は、後述するフリーズの設定がされているときに擬似的に進行する遊技であって、スタートスイッチ20の操作に基づき回転リール61〜63を擬似的に回転させ、擬似的に回転している回転リール61〜63を、それぞれに対応する停止スイッチ31〜33の操作に基づき擬似的に停止させるように設定されたものである。そして、擬似遊技制御手段180は、図2に示すように、実行決定手段181、フリーズ設定手段182の各手段を備えている。実行決定手段181は、所定条件に応じて、擬似遊技を開始させるか否かを決定するものである。フリーズ設定手段182は、所定の契機で、本来の遊技の進行が停止した状態となるフリーズを設定するものである。
【0058】
ここで、本実施の形態における擬似遊技の概略を説明すると、スタートスイッチ20の操作を契機にフリーズ設定手段182がフリーズを発生させることにより、リール制御手段130は回転リール61〜63を回転開始させる。この際、本来の遊技と同様の制御ロジックで回転処理や図柄参照が行われるが、フリーズ中に回転リール61〜63を回転させることを、本来の遊技の回転リール61〜63の回転と区別して擬似回転というものとする。また、回転リール61〜63が擬似回転しているときに、停止スイッチ30〜33の操作信号を入力すると、リール制御手段130が回転リール61〜63を停止させる。この際、後述する擬似役抽選の抽選結果に応じて本来の遊技と同様の引き込み処理や蹴飛ばし処理が行われるが、フリーズ中に回転リール61〜63を停止させることを、本来の遊技の回転リール61〜63の停止と区別して擬似停止というものとする。そして、3個の回転リール61〜63を擬似停止させると、1回の擬似遊技が終了したものとなる。さらに、本実施の形態では、リール制御手段130は、回転リール61〜63が擬似停止しているときに、スタートスイッチ20の操作信号を入力した場合には、回転リール61〜63を擬似回転させることができるようになっている。
【0059】
また、フリーズ中において、遊技結果判定手段140は、擬似遊技の遊技結果を判定するが、擬似遊技の結果、所定の役に対応付けられた図柄組合せが有効ライン上に表示されても、そのことによって入賞に応じた利益が付与されることはない。すなわち、小役に対応する図柄組合せが有効ライン上に表示されてもメダルの払い出しは行われず、リプレイに対応する図柄組合せが有効ライン上に表示されても再遊技は作動せず、ボーナスに対応する図柄組合せが有効ライン上に表示されてもボーナスは作動しない。フリーズ中に遊技結果判定を行うことを、本来の遊技の遊技結果判定と区別して擬似遊技結果判定というものとする。なお、本実施の形態における擬似遊技では、所定のリプレイに対応する図柄組合せを有効ライン上に表示させるようにしている。
以上のように、擬似遊技では、本来の遊技と同様の操作手順で本来の遊技と同様の回転リール61〜63の挙動が実現されるが、あくまでも、フリーズ中に操作スイッチの操作信号に基づいて行われる、メイン制御装置100の制御に基づく演出の一態様として位置づけられる。
【0060】
前記実行決定手段181は、擬似遊技の実行の有無及び態様を決定するためのものであり、図示しないが、擬似遊技実行抽選手段及び擬似役抽選手段を備えている。
擬似遊技実行抽選手段は、内部抽選状態が通常状態である場合において、遊技開始時に擬似遊技を実行するか否かの擬似遊技実行抽選を行うものである。擬似遊技実行抽選は、擬似遊技実行抽選用の乱数(例えば0〜255)と、図示しない擬似遊技実行抽選用の抽選テーブルを用いて、役抽選と同様の手法で行われる。本実施の形態では、擬似遊技実行抽選において、約1/3の確率で擬似遊技の実行が当選するように形成されている。すなわち、3回に1回の割合で擬似遊技が発生する設定となっている。擬似遊技実行抽選に当選した場合には、実行決定手段181は、1回の擬似遊技の実行を決定する。
【0061】
また、実行決定手段181は、内部抽選状態が通常状態である場合において、役抽選の結果、ボーナス(「BB」又は「RB」)が当選した場合には、擬似遊技実行抽選によらず、擬似遊技の実行を決定する。この場合には、15回の擬似遊技の実行を決定する。
ここで、擬似遊技制御手段180は、図示しない擬似遊技カウンタを備えており、実行決定手段181が1回の擬似遊技の実行を決定した場合には、擬似遊技カウンタに「1」を記憶し、実行決定手段181が15回の擬似遊技の実行を決定した場合には、擬似遊技カウンタに「15」を記憶する。そして、1回の擬似遊技の終了時に、擬似遊技カウンタの記憶値を1だけ減算するようになっている。
【0062】
擬似役抽選手段は、擬似遊技の実行が決定された場合に、当該擬似遊技において擬似当選状態に設定するための役を抽選により決定する擬似役抽選を行うものである。擬似当選状態とは、擬似遊技において所定の抽選対象(役)が擬似的に当選しているものとして扱われる状態である。
擬似役抽選は、擬似役抽選用の乱数(例えば0〜255)と擬似役抽選用の抽選テーブル(擬似役抽選テーブル)を用いて、役抽選と同様の手法で行われる。本実施の形態では、本来の遊技における役抽選の抽選対象となっている所定のリプレイ(リプレイ1、リプレイ4、リプレイ5、リプレイ6)が擬似役抽選の抽選対象となっており、擬似役抽選テーブルには、本来の遊技と同様の抽選対象から構成される当選領域が設定されている。すなわち、当選領域として、リプレイ1の単独当選領域である「リプレイa」、リプレイ4の単独当選領域である「リプレイf」、リプレイ1とリプレイ5の重複当選領域である「リプレイg」及びリプレイ6の単独当選領域である「リプレイh」が設けられている。
【0063】
擬似役抽選テーブルとしては、図9に示すように、「リプレイa」、「リプレイf」及び「リプレイg」の当選領域が、例えば20:2:1の割合で設定されたテーブル1と、「リプレイa」の当選領域のみが設定されたテーブル2と、「リプレイa」及び「リプレイh」の当選領域が、例えば1:5の割合で設定されたテーブル3とが設けられている。そして、擬似役抽選手段は、擬似遊技の発生契機及び擬似遊技の実行回数に応じて、これらの擬似役抽選テーブルを使い分けるようにしている。
【0064】
具体的には、擬似役抽選手段は、擬似遊技実行抽選の当選に基づく擬似遊技においては、上記したテーブル1を用いて擬似役抽選を行う。また、ボーナスの当選に基づく擬似遊技においては、擬似遊技の実行回数が13回目まではテーブル2を用いて擬似役抽選を行い、擬似遊技の実行回数が14回目以降(つまり、最後の2回)はテーブル3を用いて擬似役抽選を行う。そして、擬似役抽選によりいずれかの当選領域が当選すると、当選した抽選対象の擬似当選状態が設定される。すなわち、擬似遊技実行抽選の当選に基づく擬似遊技においては、リプレイ1が擬似当選状態となる場合と、リプレイ4が擬似当選状態となる場合と、リプレイ1とリプレイ5が重複してが擬似当選状態となる場合とがある。また、ボーナスの当選に基づく擬似遊技の13回目まではリプレイ1が擬似当選状態となり、14回目以降には、リプレイ1が擬似当選状態となる場合と、リプレイ6が擬似当選状態となる場合とがある。
【0065】
実行決定手段181は、擬似遊技の実行を決定した場合には、擬似遊技実行フラグをセット(ON)してその旨を記憶する。
なお、上述のように、通常状態において擬似遊技が頻繁に発生することから、内部抽選状態の移行契機となるリプレイ(リプレイ2を含む「リプレイB」「リプレイC」)の見かけ上の当選確率が低下し、通常状態からリプレイ高確率状態への移行が困難になることが懸念される。そこで、通常状態では、「リプレイB」「リプレイC」が頻繁に当選するように設定しておくことが望ましい。
【0066】
前記フリーズ設定手段182は、スタートスイッチ20の操作時に、擬似遊技実フラグがONとなっている場合に、本来の遊技の進行が停止するフリーズを発生させる。フリーズ設定手段182がフリーズを発生させることを、フリーズの設定という。そして、リール制御手段130は、フリーズの設定がされることを契機に、回転リール61〜63の擬似回転及び擬似停止による擬似遊技を進行させるようになっている。
【0067】
ここで、メイン制御装置100は、基本的には、回転リール61〜63の回転中や入賞によるメダルの払い出し中、あるいは再遊技の作動中には、ベット操作を無効としている。すなわち、メダルセレクター4をメダルキャンセル状態にし、ベットスイッチ10の操作を無効としている(操作信号を受け付けない、あるいは受け付けても無視する。以下同様)。また、回転リール61〜63の回転中はもちろんのこと、回転リール61〜63が停止していてもベットがされていない状態では、スタートスイッチ20の操作を無効とし、所定のウエイト時間が経過するまでは、スタートスイッチ20の操作に基づく回転リール61〜63の回転開始を保留する。すなわち、ウエイト時間の経過前にスタートスイッチ20の操作信号を入力しても、ウエイト時間が経過するまではリールモータM1〜M3に駆動信号が出力されないようになっている。ただし、スタートスイッチ20の操作信号に基づく役抽選処理は行われ、ウエイト時間の経過後、回転リール61〜63は再度のスタートスイッチ20の操作なしに回転開始する。また、回転リール61〜63が停止している場合はもちろんのこと、回転リール61〜63の回転開始後、回転速度が定常回転速度に達し、かつ全ての回転リール61〜63についてスタートインデックスが検知されて図柄参照が可能な状態となるまでは、停止スイッチ31〜33の操作を無効としている。
【0068】
一方、フリーズ設定手段182によってフリーズの設定がされた場合には、メイン制御装置100は、スタートスイッチ20及び停止スイッチ31〜33の操作信号を受け付けるものの、それらの信号に基づく本来的な遊技の進行を停止した状態とする。具体的には、フリーズの設定に伴い、スタートスイッチ20の操作に基づく回転リール61〜63の本来の回転開始を保留し、リール制御手段130が回転リール61〜63を擬似回転させると、回転リール61〜63の擬似回転中には、回転速度が定常回転速度に達し、かつ全ての回転リール61〜63について図柄参照が可能な状態になることを条件に停止スイッチ31〜33の操作信号を受け付ける。ただし、リール制御手段130は、本来のスタートスイッチ20の操作に基づく役抽選の結果ではなく、擬似役抽選の結果に係る擬似当選状態に対応する停止テーブルに基づいて引き込み処理や蹴飛ばし処理を行い、回転リール61〜63を擬似停止させる。ここで、擬似役抽選で「リプレイ」が当選している場合(「リプレイ」が擬似当選状態に設定された場合。以下同様)には、擬似遊技の結果、リプレイ4に対応付けられた「スイカ・スイカ・スイカ」の図柄組合せ(以下スイカ揃いという)が表示され得る。また、擬似役抽選で「リプレイ」が当選している場合には、擬似遊技においてリプレイ5に対応付けられた「チェリー・ANY・ANY」の図柄組合せ(以下チェリー揃いという)が表示され得る。さらに、擬似役抽選で「リプレイ」が当選している場合には、擬似遊技においてリプレイ6に対応付けられた「赤7・赤7・ベル(a/b/c)」の図柄組合せ(以下赤7リーチ揃いという)が表示され得る。そして、全ての回転リール61〜63が擬似停止した場合には、遊技結果判定手段140は擬似遊技結果の判定を行う。
【0069】
さて、フリーズ設定手段182は、上述した擬似遊技カウンタの記憶値が0となった場合に、スタートスイッチ20が操作されることに基づいて、フリーズの設定を解除する。
フリーズの設定が解除されると、回転リール61〜63の擬似停止が解除されて、フリーズの設定により保留されていた本来の遊技でのスタートスイッチ20の操作に基づく駆動信号の出力開始により、回転リール61〜63が本来の回転を開始する。これにより、フリーズの設定の解除契機となったスタートスイッチ20の操作に基づいて回転リール61〜63が回転し次の遊技が開始されたように見えるが、実際には、フリーズにより進行が停止していた本来の遊技が再開されるものである。
【0070】
なお、フリーズ中であってもブロッカー7Aを作動させずにメダル投入口5から投入されたメダルを受け付け可能とし、クレジットが満杯でないことを条件に、投入されたメダルをクレジットに回すようにしてもよい。
また、擬似遊技の結果、所定のリプレイの図柄組合せが表示されることに基づき、ベット表示部11に擬似的なベット表示がされるようにしてもよい。
【0071】
また、擬似遊技中にスタートスイッチ20の操作信号を受け付けた場合、本来の遊技と同様に、所定のウエイト時間が経過するまで回転リール61〜63を回転させないようにしてもよい。このように形成した場合には、より、本来の遊技と擬似遊技の見分けがつかないようにすることができる。逆に、擬似遊技中はウエイト時間を設けず、回転リール61〜63の停止後すぐにスタートスイッチ20が有効化されるようにしてもよい。このように形成した場合には、擬似遊技を迅速に進めることができる。
また、回転リール61〜63を擬似回転させた後、停止スイッチ31〜33の操作が有効となったことを、本来の遊技と同様に報知するようにしてもよい。例えば、本来の遊技において、停止スイッチ31〜33のボタンの内部に設けた発光体を赤色から青色に変えて停止操作が有効になったことを報知している場合には、擬似遊技においても同様の手法で報知する。これにより、本来の遊技と擬似遊技の見分けがつかないようにすることができる。
【0072】
さらに、電源投入時からのスロットマシンSの累積遊技回数(いわゆる回転数)をカウントし、カウント値を所定の回転数表示部に表示するように形成されている場合、擬似遊技中のスタートスイッチ20の操作を遊技回数のカウント対象としてもよい。具体的には、スタートスイッチ20の操作を契機に遊技回数のカウントを行い、スタートスイッチ20の操作を契機にフリーズが発生して擬似遊技が行われた場合には、擬似遊技の終了後のスタートスイッチ20の操作を契機に遊技回数のカウントを行うように形成する。このように形成することにより、擬似遊技を行った場合でも回転数表示部の表示が上がるので、本来の遊技と擬似遊技をより見分けのつかないものとすることができる。
【0073】
(サブ制御装置200)
サブ制御装置200は、メイン制御装置100から出力されるコマンドやデータ(遊技制御情報)に基づいて、画像表示部70やランプ80やスピーカ90等を制御する演出制御手段である。メイン制御装置100がサブ制御装置200に出力する遊技制御情報としては、スタートスイッチ20等の操作スイッチの操作に関する情報や、役抽選の抽選結果に関する情報や、回転リール61〜63の回転及び停止に関する情報や、リールユニット2の作動情報や、停止図柄の表示態様などの遊技結果に関する情報や、内部抽選状態の移行に関する情報や、擬似遊技に関する情報がある。
【0074】
サブ制御装置200を構成するサブ基板には、図示しないが、演出に関するプログラムやデータが記憶されたROM、ROMに記憶されたプログラム等に基づいて演出の進行に関する制御を行うメインCPU、読み書き可能であって遊技の進行に関する制御を行うためのデータ等を一時的に記憶するRWM、I/O等、種々の電子部品が備えられている。そして、CPUがROMに記憶されたプログラムを読み込むことで、図2に示すように、少なくとも、演出状態移行手段210、演出実行制御手段220、AT制御手段230として機能する。
【0075】
(演出状態移行手段210)
演出状態移行手段210は、サブ制御装置200の制御に基づくサブ状態のうちの、演出態様の違いに基づく演出状態の移行を制御するためのものである。
演出状態は、図8に示すように、大きく分けて、役抽選の抽選結果に関する情報等が報知されるAT(アシストタイム)状態と、AT状態以外の状態である非AT状態とがある。非AT状態には、ボーナス演出状態と、通常演出状態とがあり、AT状態には、ART(アシストリプレイタイム)状態と、ART準備状態と、復帰待ち状態とがある。ボーナス演出状態は、内部抽選状態がボーナス成立状態及びボーナス作動状態である場合の演出状態である。また、ART状態は、内部抽選状態がリプレイ高確率状態である場合の演出状態であり、ART準備状態は、後述するART抽選に当選してから内部抽選状態がリプレイ高確率状態に移行するまでの演出状態である。復帰待ち状態は、ART状態中に内部抽選状態が通常状態に移行(転落)した場合に滞在する演出状態である。通常演出状態は、上記以外の演出状態である。
【0076】
スロットマシンSは、初期状態(工場出荷時等)においては、演出状態は通常演出状態となっている。演出状態移行手段210は、通常演出状態において、ART抽選に当選した場合には、演出状態をART準備状態に移行させる。ART準備状態中(以下ART準備中と省略)において、リプレイ2が入賞した場合には、演出状態をART状態に移行させる。そして、ARTの期間として設定された回数(ARTの遊技回数)の遊技が終了すると、演出状態をART状態から通常演出状態に移行させる。
また、演出状態移行手段210は、ART状態中(以下ART中と省略)において、リプレイ3が入賞(内部抽選状態が通常状態に転落)した場合には、演出状態をART状態から復帰待ち状態に移行させる。復帰待ち状態においてリプレイ2が入賞した場合には演出状態をART状態に戻し、ARTの遊技回数が終了した場合には演出状態を通常演出状態に移行させる。
【0077】
そして、演出状態移行手段210は、通常演出状態中又はAT状態中(以下AT中と省略)にボーナスが当選した場合には、演出状態をボーナス演出状態に移行させる。そして、ボーナスの入賞に基づくボーナス遊技が終了した場合には、ARTの遊技回数が残っていることを条件に、演出状態をART準備状態に移行させる。ARTの遊技回数が残っていない場合には、通常演出状態に移行させる。また、ボーナス演出状態中にART抽選に当選した場合には、ボーナス遊技が終了した後、演出状態をART準備状態に移行させる。
【0078】
(演出実行制御手段220)
演出実行制御手段220は、画像表示部70やランプ80やスピーカ90等の演出装置の作動を制御するためのものであり、以下に述べるAT制御手段230や、図示しない演出決定手段の決定に基づき、ROMに記憶されている演出データをもとに、AT中に行われる打順ナビや、ボーナスに対応する演出その他の演出を行わせる。
打順ナビは、画像表示部70に、特定の役を入賞させるための打順や特定の図柄組合せを表示させないための打順を矢印で示したり、停止操作すべき停止スイッチ31〜33の位置を左、中、右などの文字で表示させたり、それらをスピーカ90から音声により指示したり、停止スイッチ31〜33のボタンの内部に設けた発光体の発光色を変化させて、最初に操作すべき停止スイッチ31〜33を示したりすることなどにより行われる。
ボーナスに対応する演出には、内部抽選状態がボーナス成立状態であるときに行われるボーナスの当選を示唆する演出及びボーナスの当選を告知する演出(確定演出)や、内部抽選状態がボーナス作動状態であるときに行われるボーナス遊技を盛り上げる演出が含まれる。
【0079】
(AT制御手段230)
AT制御手段230は、図示しないが、AT抽選手段、遊技回数管理手段、報知実行手段を備え、メイン制御装置100から出力される遊技制御情報や演出状態等に基づき、ATの開始及び終了を制御する。
AT抽選手段は、ATに関する抽選を行うものである。本実施の形態においては、AT抽選手段は、ART抽選及び上乗せ抽選を行う。
ART抽選は、AT状態に移行させるか否かを抽選により決定するものである。本実施の形態では、通常演出状態において、役抽選で「リプレイH」が当選した場合、ボーナス演出状態の所定時(ボーナスの入賞時、終了時など)、及び、通常演出状態中に発生した擬似遊技において、擬似役抽選で「リプレイ」又は「リプレイ」が当選した場合に、AT抽選手段がART抽選を行うようになっている。
上乗せ抽選は、ARTの遊技回数の上乗せの有無及び上乗せ回数を、抽選により決定するものである。本実施の形態では、AT中に、役抽選で「リプレイF」〜「リプレイH」が当選した場合、及び、ART準備中に発生した擬似遊技において、擬似役抽選で「リプレイ」又は「リプレイ」が当選した場合に、AT抽選手段が上乗せ抽選を行うようになっている。
【0080】
遊技回数管理手段は、ARTの遊技回数の設定や上乗せを管理するものであり、図示しないATカウンタを備えている。ATカウンタは、ARTの期間として設定された遊技回数をカウントするものである。
具体的には、遊技回数管理手段は、ART抽選に当選してAT状態への移行が確定すると、ATカウンタにARTの遊技回数を所定回数(例えば40回)分だけ設定して記憶する。そして、演出状態がART状態へと移行した場合には、ATカウンタの記憶値を、遊技開始ごとに1ずつ減算する。また、AT中に上乗せ抽選に当選した場合には、ATカウンタの記憶値に抽選で決定された数値を加算する。これにより、ARTの遊技回数が上乗せされる。
【0081】
また、遊技回数管理手段は、AT中にボーナスが入賞した場合には、ATカウンタの記憶値を保持し、ボーナス作動状態においてはATカウンタの減算を行わない。
また、ART中にブランクが表示され又はリプレイ3が入賞して内部抽選状態が通常状態に転落し、演出状態が復帰待ち状態に移行した場合には、ATカウンタの記憶値を保持する(クリアしない)ものの、復帰待ち状態においては遊技ごとにATカウンタの減算を行う。また、復帰待ち状態中において打順ベルの当選時にベル28が入賞しなかった場合には、ATカウンタを初期化(0クリア)する。
ATカウンタの記憶値が、遊技消化に基づく減算によって0になった場合、及び、ATカウンタが強制的に初期化(0クリア)された場合には、演出状態は通常演出状態に移行する。なお、ATカウンタの記憶値が0になったか否かの判定は遊技終了時に行う。
【0082】
報知実行手段は、演出実行制御手段220に打順ナビを実行させるためのものである。打順ナビには、ベル28の入賞を補助するベルナビと、内部抽選状態の移行の契機となっている役を入賞させるための移行ナビと、内部抽選状態の移行の契機となっている役を入賞させない(図柄組合せを表示させない)ための転落回避ナビとがある。
【0083】
ベルナビは、ART中に行われるものであり、「打順ベル」の当選時にベル28(正解役)が入賞する打順をナビするものである。なお、ART準備中や復帰待ち状態中においても、所定の確率でベルナビを行わせるようにしてもよい。
移行ナビは、ART準備中及び復帰待ち状態中に行われるものであり、内部抽選状態が通常状態であるときの「打順リプレイ」の当選時に、リプレイ2が入賞する打順をナビするものである。
転落回避ナビは、ART準備中、ART中及び復帰待ち状態中に行われるものであり、「打順リプレイ」の当選時にリプレイ3が入賞しない打順(リプレイ1又はリプレイ2が入賞する打順)をナビするものである。なお、ART中のベルナビも、ブランクが表示されない打順をナビする転落回避ナビとして位置づけることができる。
【0084】
ところで、本実施の形態においては、AT状態でないとき(ナビが行われない状態であるとき)に、停止スイッチ31〜33が左押し以外の打順で操作(いわゆる変則押し)されたことに基づいて、所定のペナルティを設定するようになっており、AT制御手段230は、このペナルティに関する制御をも行うものである。具体的には、AT制御手段230は、図示しないペナルティカウンタを備えており、ペナルティの設定条件に該当すると、ペナルティカウンタに所定の遊技回数がセットされる。ペナルティ遊技回数は、遊技消化ごとに減算されるが、ペナルティカウンタが遊技回数を有している間は、ART抽選や上乗せ抽選を行わない、所定のナビ(移行ナビ、転落回避ナビ)を行わない等のペナルティが実行される。また、ペナルティに該当する行為(変則押し)が行われた場合には、所定の警告表示がなされ、遊技者に適正な操作を促すようになっている。
【0085】
(スロットマシンSの作動)
上記構成を有するスロットマシンSの、メイン制御装置100の制御に基づく1遊技における遊技制御処理の概略を、図10のフローに基づき説明する。
まず、規定数のメダルがベットされた場合には(S100でYes)、スタートスイッチ20がONとなる(操作信号を入力する)ことに伴って、役抽選処理が行われる(S101、S102)。その後、擬似遊技実行判定処理が行われる(S103)とともに、回転リール61〜63の回転開始処理が行われ(S104)、いずれかの停止スイッチ31〜33がONとなった場合には、対応する回転リール61〜63についての回転停止処理が行われる(S105、S106)。全ての回転リール61〜63が停止するまでS105、106が繰り返され(S105〜S107)、全ての回転リール61〜63が停止した場合には、遊技結果判定処理及び判定結果に応じた処理が行われる(S108、S109)。具体的には、小役が入賞したと判定された場合には対応するメダルの払い出し処理が行われ、ボーナスが入賞したと判定された場合にはボーナス作動状態に移行するための処理(ボーナス用の役抽選テーブルの取得等)が行われる。また、ボーナスの当選に係る遊技でボーナスが入賞しなかったと判定された場合には、ボーナス成立状態に移行するための処理が行われる。また、リプレイが入賞したと判定された場合には、再遊技の作動の処理(自動ベット処理)が行われる。さらに、内部抽選状態の移行契機となっている役(リプレイ2、リプレイ3)が入賞したと判定された場合や、内部抽選状態の移行契機となっている図柄組合せ(ブランク)が表示されたと判定された場合には、遊技内部抽選状態を移行するための処理(役抽選テーブルとして通常テーブルやRTテーブルを取得することなど)が行われる。そして、1回の遊技が終了する。
【0086】
次に、上記S103における擬似遊技実行決定処理について、図11のフローに基づき説明する。
まず、内部抽選状態が通常状態である場合(S200でYes)において、ボーナスが当選した場合(S201でYes)には、擬似遊技回数が15回にセットされる(擬似遊技カウンタに「15」がセットされる)とともに、擬似役抽選テーブルとしてテーブル2(図9参照)が取得される(S202)。そして、擬似遊技実行フラグがONとされて(S203)、擬似遊技実行決定処理を終了する。一方、ボーナスが当選していない場合(S201でNo)には、擬似遊技発生抽選処理が行われ(S204)、擬似遊技発生抽選に当選した場合(S205でYes)には、擬似遊技回数が1回にセットされる(擬似遊技カウンタに「1」がセットされる)とともに、擬似役抽選テーブルとしてテーブル1が取得される(S206)。そして、擬似遊技実行フラグがONとされて(S207)、擬似遊技実行決定処理を終了する。
【0087】
続いて、図10のS104における回転リール回転開始処理について、図12のフローに基づき説明する。
まず、擬似遊技実行フラグがONとなっている場合(S300でYes)には、擬似遊技実行処理が行われる(S301)。その後、ウエイト時間が経過していると判断された場合(S302でYes)には、駆動信号の出力処理が行われ(S303)、本来の遊技における回転リール61〜63の回転が開始される。その後、所定の停止可能要件が満たされたことを条件に、停止スイッチ31〜33の操作無効状態が解除される(S304〜S305)。ここでの停止可能要件とは、回転リール61〜63の回転速度が定常回転速度に達し、全ての回転リール61〜63についてスタートインデックスが検知されることにより、図柄参照が可能な状態となっていることである。そして、回転リール回転開始処理を終了する。
【0088】
なお、本実施の形態では、ウエイト時間が経過していないとリールモータM1〜M3に駆動信号を出力しない構成としてあるが、ベット操作後、スタートスイッチ20が操作された場合は、ウエイト時間が経過しているか否か関わらず、駆動信号を出力するように形成してもよい。この場合は、S304の停止可能要件に、ウエイト時間が経過していることが含まれるものとなる。
【0089】
上記S301における擬似遊技実行処理について、図13のフローに基づき説明する。
まず、フリーズ設定手段182によりフリーズの設定がされ(S400)、図11のS202又はS206で取得された擬似役抽選テーブルを用いて擬似役抽選処理が行われる(S401)。なお、サブ制御装置200においては、擬似役抽選の結果(「リプレイ」「リプレイ」の当選)に応じて、AT移行抽選や上乗せ抽選が行われる。そして、擬似当選状態に応じた停止テーブルが取得され(S402)、回転リール61〜63を擬似的に回転させる擬似回転処理が行われる(S403)。その後、いずれかの停止スイッチ31〜33がONとることに伴い、取得された停止テーブルに基づき回転リール61〜63を擬似的に停止させる擬似停止処理が行われる(S404)。そして、全ての回転リール61〜63が擬似停止した場合(S405でYes)には、擬似遊技結果判定処理が行われる(S406)とともに、擬似遊技継続判定処理が行われる(S407)。そして、擬似遊技を継続すると判定された場合(S408でYes)には、擬似役抽選処理が行われ(S401)、次の擬似遊技が開始される。一方、擬似遊技を継続しないと判定された場合(S408でNo)には、フリーズの設定が解除されるとともに、擬似遊技実行フラグがOFFとされ(S409)、擬似遊技実行処理を終了する。
【0090】
上記S407の擬似遊技継続判定処理について、図14のフローに基づき説明する。
まず、残り遊技回数減算処理が行われる(S500)。残り遊技回数減算処理とは、図11のS202又はS206でセットされた擬似遊技回数(擬似遊技カウンタの記憶値)を1減算する処理である。減算の結果、残り遊技回数が0となった場合(S501でYes)には、擬似遊技の終了が決定され(S505)、スタートスイッチ20がONとなること(S506でYes)を条件に、擬似遊技継続判定処理を終了する。一方、残り遊技回数が0でない場合(S501でNo)、すなわち、セットされた擬似遊技回数が15回の場合(ボーナスの当選に基づく擬似遊技中の場合)には、残り遊技回数が2回となったこと(S502でYes)を契機に、擬似役抽選テーブルとしてテーブル3が取得される(S503)。これにより、擬似遊技において、リプレイ6に対応する赤7リーチ揃いが表示可能となる。なお、サブ制御装置200は、擬似遊技の13回目までは、ボーナスの確定報知を行わせないようになっている。確定報知を行うまでの擬似遊技の間は、ボーナスの当選を示唆する演出(例えば13回の遊技にわたる連続演出)を行わせるようにしてもいよい。そして、擬似遊技の継続が決定され(S504)、スタートスイッチ20がONとなること(S506でYes)を条件に、擬似遊技継続判定処理を終了する。
【0091】
(まとめ)
以上のように、本実施の形態では、内部抽選状態が通常状態(第1状態)である場合には、擬似遊技を頻繁に発生させ、リプレイ高確率状態(第2状態)である場合には、擬似遊技を発生させないようにしているとともに、擬似遊技では、所定のリプレイが表示されるように設定してある。これにより、通常状態では、見た目上、リプレイが表示される回数が増え、リプレイの当選確率が本来の役抽選の当選確率よりも高くなったように見えるものとなる。その反面、擬似遊技によって本来の遊技の役抽選が行われなくなることにより、見た目上の所定遊技回数あたりの小役やボーナスの当選回数が減り、小役やボーナスの当選確率が本来の役抽選の当選確率よりも低くなったように見えるものとなる。すなわち、通常状態とリプレイ高確率状態とでは、小役やボーナスの当選確率が等しく設定されているにもかかわらず、リプレイ高確率状態の方が小役やボーナスの当選確率が高くなっているように感じさせることができるものとなる。
【0092】
例えば、本来の遊技でのボーナス(「BB」「RB」)の当選確率を合算で1/198に設定した場合、リプレイ高確率状態では設定通り、1/198の確率でボーナスが当選し得る。一方、通常状態において、1/3の確率で擬似遊技を発生させ、ボーナスの当選時には15回の擬似遊技を連続して発生させるようにした場合、通常状態での見かけ上のボーナス当選確率は1/400となる。
ここで、通常状態において擬似遊技を頻発させると、単位時間あたりの消費メダル数が減ることにより、ARTが行われるリプレイ高確率状態との有利度の差が縮まる傾向となる。しかし、通常状態では本来の遊技での役抽選によってボーナスが当選する機会が減るので、その分、リプレイ高確率状態との出玉の差が大きくなる。このように、擬似遊技によって本来の遊技の役抽選が行われる割合を減らして当選確率を希釈化することにより、見かけ上のボーナスの当選確率を変化させ、通常状態(通常演出状態)に対するリプレイ高確率状態(ART状態)の有利度をより大きくすることができる。
【0093】
また、本実施の形態における擬似遊技は、本来の遊技のスタートスイッチ20の操作を契機に、本来の遊技と同様の挙動で回転リール61〜63を擬似回転させるとともに、本来の遊技と同様の挙動で回転している回転リール61〜63を停止スイッチ31〜33の操作に基づいて擬似停止させるようにしている。これにより、スタートスイッチ20の操作から、回転リール61〜63を停止させるまでの回転リール61〜63の挙動について、本来の遊技と全く見分けがつかないようにすることができ、遊技者に違和感を抱かせずにあたかも1回の遊技を消化したかのように思わせることができる。
【0094】
ここで、擬似遊技中にスタートスイッチ20の操作信号を受け付けた場合、本来の遊技と同様に、所定のウエイト時間が経過するまで回転リール61〜63を回転させないようにしてもよい。このように形成した場合には、より、本来の遊技と擬似遊技の見分けがつかないようにすることができる。逆に、擬似遊技中はウエイト時間を設けず、回転リール61〜63の停止後すぐにスタートスイッチ20が有効化されるようにしてもよい。このように形成した場合には、擬似遊技を迅速に進めることができる。
また、回転リール61〜63を擬似回転させた後、停止スイッチ31〜33の操作が有効となったことを、本来の遊技と同様に報知するようにしてもよい。例えば、本来の遊技において、停止スイッチ31〜33のボタンの内部に設けた発光体を赤色から青色に変えて停止操作が有効になったことを報知している場合には、擬似遊技においても同様の手法で報知する。これにより、本来の遊技と擬似遊技の見分けがつかないようにすることができる。
【0095】
また、擬似遊技では、回転リール61〜63の回転を本来の遊技と同等の制御ロジックを用いて行い、本来の遊技において設定されている役が当選しているものとして本来の遊技と同様の手法で引き込み処理及び蹴飛ばし処理を行わせている。このように、擬似遊技での抽選結果、回転リール61〜63の回転制御、停止制御の制御ロジックを共通化することで、設計コストや制御装置1の処理負荷を低減することができる。
また、本実施の形態では、本来の遊技におけるいずれかのリプレイを擬似役抽選の対象としており、例えば擬似役抽選で「リプレイa」(本来の遊技の役抽選における「リプレイA」と同じリプレイ1の単独当選領域)が当選した場合には、擬似遊技の遊技結果として、リプレイ1に対応付けられた図柄組合せ(リプレイ揃い)を、本来の遊技で有効ラインとなる右下がりラインLに表示させるようにしている。このように、擬似遊技の結果として、リプレイに対応付けられた図柄組合せを表示させることで、遊技者が擬似遊技を本来の遊技と勘違いしても、ベット操作なしにもう1回遊技を行うことができると認識できる。これにより、遊技者が擬似遊技の途中で遊技をやめてしまうのを防止できる。
【0096】
さらに、本実施の形態では、擬似役抽選で「リプレイf」(本来の遊技の役抽選における「リプレイF」と同じリプレイ4の単独当選領域)又は「リプレイg」(本来の遊技の役抽選における「リプレイG」と同じリプレイ1とリプレイ5の重複当選領域)が当選した場合には、擬似遊技の遊技結果として、リプレイ4に対応付けられた図柄組合せ(スイカ揃い)又はリプレイ5に対応付けられた図柄組合せ(チェリー揃い)を表示させる場合があるようになっている。また、擬似役抽選で「リプレイf」又は「リプレイg」が当選した場合には、サブ制御装置200においてAT移行抽選が行われるように形成してある。すなわち、擬似遊技において、一般に小役に対応する図柄組合せとして認識されている図柄組合せが対応付けられたリプレイ(小役図柄リプレイ)が擬似当選状態となるように形成し、この小役図柄リプレイが擬似当選状態となった場合にも、AT移行抽選等、所定の特典が付与されるように形成してある。これにより、リプレイを表示させる擬似遊技が頻発する通常状態において遊技結果(出目)が単調になるのを防ぐとともに、擬似遊技により本来の遊技における特典付与契機役の当選確率が希釈化されても、擬似遊技において当該特典付与契機役が表示され得るようにすることで、特典を受けられるようにすることができる。また、リプレイの入賞時にスイカ揃いなどの小役図柄リプレイが表示され得ることや、通常のリプレイ(リプレイ揃い)よりも小役図柄リプレイの方が期待度が高い(ATが当選する可能性がある)ことを遊技者に認知させておけば、より効果的に、遊技を途中で止めてしまうのを防止できる。
【0097】
なお、回転リール61〜63の図柄配列や有効ラインや役構成の設定によって、所定のリプレイに対応付けられた図柄組合せが有効ライン上に表示されると、無効ライン(例えば回転リール61〜63の上段位置にある図柄を結ぶ上段ラインや、回転リール61〜63の下段位置にある図柄を結ぶ下段ラインなど)にリプレイ揃いやスイカ揃いが表示されるように形成してもよい。要は、見た目上、リプレイが入賞したと認識できるようになっていればよい。
また、対応付けられた図柄組合せが有効ライン上に表示されるといずれかの無効ライン上にスイカ図柄が揃う小役や、対応付けられた図柄組合せが有効ライン上に表示されるといずれかの無効ライン上にベル図柄が揃うリプレイを設けてもよい。
【0098】
また、ボーナスが当選した場合に実行される擬似遊技では、擬似遊技回数を15回に設定するとともに、擬似遊技の13回目までは、リプレイ1に対応付けられたリプレイ揃いが表示される「リプレイa」のみが当選する擬似役抽選テーブルを用いて擬似役抽選を行い、14回目以降に、リプレイ6に対応付けられた赤7リーチ揃いを表示可能な「リプレイh」(本来の遊技の役抽選における「リプレイH」と同じリプレイ6の単独当選領域)が当選する擬似役抽選テーブルを用いて擬似役抽選を行うようになっている。加えて、擬似遊技の13回目までは、ボーナスの確定報知を行わせないようにしている。これにより、通常状態においてボーナスが当選しても、ボーナスがなかなか入賞しないようにし、その間(リプレイ揃いが表示される期間)においてボーナスの前兆演出を行わせ、期待感を煽ることができる。このようにしても、擬似遊技中はメダルを消費しないので、遊技者が出玉的な不利益を被ることはない。そして、擬似遊技の期間の終了間際に赤7リーチ揃い(BB、RB共通のリーチ目)が表示され得るようにすることで、リーチ目が出現した後は早期に本来の遊技が再開され、ボーナスの当選を確信した遊技者がボーナス図柄(赤7図柄、BAR図柄)を狙って停止操作してもなかなか揃えられなくて煩わしく感じることがないようにすることがきる。
【0099】
(変形例)
上記した実施の形態では、擬似遊技においては、本来の遊技と同等の制御ロジックを用いて回転リール61〜63の作動を制御し、回転リール61〜63が本来の遊技と同様の挙動で回転及び停止するように形成してあったが、擬似遊技における回転リール61〜63の挙動は、注意して観察すれば違いが分かるかもしれないが遊技者が一見して本来の遊技と異なる挙動であると認識できないものであれば、全く同一の制御ロジックを用いたものでなくてもよい。例えば、擬似回転中の回転リール61〜63の励磁方式を異ならせたり(本来の遊技では1−2相励磁、擬似遊技では2相励磁)、擬似停止中のステッピングモータの励磁態様を異ならせたり(本来の遊技では非励磁状態、擬似遊技では回転しない励磁状態)してもよい。すなわち、「同様の挙動」には、回転や停止の内部処理も含めて全く同一である場合の他に、見た目上は同一だが内部処理が異なる場合や、内部処理が異なるため注意して観察すれば違いが分かるが一見すれば同一(ほぼ同一)である場合も含むものである。
【0100】
また、上記した実施の形態では、擬似遊技において擬似役抽選を行い、当該擬似役抽選の結果設定される擬似当選状態に基づいて擬似停止に用いる停止テーブルを決定して擬似停止処理を行っていたが、擬似役抽選を行わず、あらかじめ定められた擬似当選状態に基づいて、擬似停止処理を行うようにしてもよい。
また、ボーナスが当選した場合に実行される擬似遊技では、赤7リーチ揃いを表示可能な擬似当選状態(擬似役抽選によるものでもあらかじめ設定したものでもよい)に基づいて、擬似停止処理を行うとともに、赤7リーチ揃いが所定回数(例えば2回)表示された場合には、擬似遊技を終了させるようにしてもよい。このように形成する場合には、通常状態中のボーナス確率を低下させるという目的を達成できるよう、擬似遊技実行抽選による擬似遊技の頻度を増やすようにしたり、上記した実施の形態のように、所定回数まではリーチ目を表示させないようにすることが望ましい。
【0101】
また、擬似遊技の結果表示される図柄組合せは、本来の遊技の役抽選の対象となっている役に対応付けられたものでなくてもよく、擬似遊技においてのみ表示される図柄組合せを設けてもよい。例えば、擬似役抽選を行う場合には擬似遊技用の役(擬似当選役)を設け、擬似役抽選を行わない場合には擬似遊技専用の擬似当選状態を設けてもよい。この場合には、擬似当選状態に基づく図柄組合せが有効ライン上に揃うと無効ラインにリプレイ揃いが表示されるように形成して、リプレイが入賞したように見せるのが好ましい。そして、擬似当選役が当選した場合や、擬似遊技でしか揃わない図柄組合せが表示された場合に、AT抽選を行うようにしてもよい。
【0102】
また、上記した実施の形態では、通常状態中のボーナス当選時以外の遊技では、1遊技ごとに擬似遊技実行抽選を行うように形成してあったが、擬似遊技実行抽選の契機は他の条件でもよい。例えば、役抽選で所定の役(リプレイなど)が当選した場合に、擬似遊技実行抽選を行うようにしたり、2回の遊技ごと、3回の遊技ごとに擬似遊技実行抽選を行うようにしてもよい。あるいは、擬似遊技の実行の有無は、抽選以外の他の方法で決定してもよい。例えば、所定の役が当選した場合には必ず擬似遊技を実行するようにしたり、3回の遊技ごとに必ず擬似遊技を実行するようにしたり、遊技回数(回転数)が所定の数(偶数、奇数、3の倍数など)となった場合に必ず擬似遊技を実行するようにしてもよい。
【0103】
あるいは、擬似遊技が行われる場合にはAT抽選を行う設定としておき、あらかじめ定められた上限回数(例えば64回)の範囲内の遊技において、擬似遊技を発生させる遊技回数を抽選により決定し、決定された遊技回数に到達したら擬似遊技を発生させるとともにAT抽選を行うように形成することができる。この場合において、擬似遊技を発生させる遊技回数の抽選は、擬似遊技が発生した本来の遊技が終了したとき(最後の停止スイッチが操作されたとき)、又は擬似遊技が発生した本来の遊技の次の遊技でスタートスイッチ20が操作されたときに行うようにする。このように形成した場合には、上限回数の範囲内で必ずAT抽選を受けることができるものとなる。
【0104】
また、上記した実施の形態では、通常状態以外の内部抽選状態では、擬似遊技が全く行われないように形成してあったが、リプレイ高確率状態や、ボーナス成立状態や、ボーナス作動状態において、通常状態よりも低い確率で、擬似遊技が行われ得るように形成してもよい。要は、役抽選において、特別状態に移行する権利を付与可能な特定の抽選結果(ボーナス当選)の導出確率が同等に設定された通常状態(第1状態)とリプレイ高確率状態(第2状態)とで、擬似遊技の発生率が異なっており、その結果として、見かけ上の特定の抽選結果の導出確率が異なるようになっていればよい。
【0105】
また、上記した実施の形態では、AT移行抽選に当選した場合にAT準備状態に移行するように形成してあったが、初期状態又はAT終了後から、あらかじめ定められた又は抽選により決定された所定回数の遊技が行われた場合には、AT準備状態に移行するように形成してもよい。この場合は、所定回数の遊技に擬似遊技を含めてカウントする。
なお、補助演出は、打順をナビすることで小役(正解役であるベル28)の入賞を補助する態様に限られず、当選している小役の種類や、小役に対応付けられた図柄組合せを表示可能な停止スイッチ31〜33の操作タイミングをナビすることにより、小役の入賞を補助するものであってもよい。
また、上記した実施の形態でのボーナスは、小役の当選確率を通常状態よりも高くすることにより小役の入賞を容易にするものであったが、ボーナスは、全ての小役を当選状態とすることにより通常状態よりも小役の入賞を容易にしたものとしてもよい。
【0106】
(他の実施の形態)
本発明は、AT(ART)を搭載していないスロットマシンにも応用することができる。
例えば、内部抽選状態として、通常状態と、ボーナス成立状態と、ボーナス作動状態があり、通常状態において、特定の遊技期間でない場合(第1状態)には擬似遊技を頻繁に発生させ、特定の遊技期間(第2状態)においては、擬似遊技を発生させないようにする。特定の遊技期間へは、例えば特定役の当選時に行われる抽選に基づいて、あるいは所定回数の遊技消化により移行するように形成する(以下特定の遊技期間について同様)。このように形成した場合には、特定の遊技期間では、見かけ上のボーナス当選確率が上昇し、ボーナス高確率ゾーンに移行したかのように見せることができる。
【0107】
また、本発明は、役抽選の結果としてのボーナスではなく、AT(ART)によって出玉を増やすようにしたスロットマシンにも応用することができる。具体的には、内部抽選状態として、通常状態と、ボーナス成立状態と、ボーナス作動状態があり、ボーナス成立状態においては、ボーナスに優先してリプレイや小役が入賞するように停止制御が行われ、ボーナスが単独で当選状態となることがない(あるいは極めて少ない)ようにして、内部抽選状態がほぼボーナス成立状態に滞在するように形成する。そして、ボーナス成立状態において、特定のリプレイが当選した場合には、AT状態(擬似ボーナス)に移行するものとする。このような仕様において、ボーナス成立状態中の、特定の遊技期間でない場合(第1状態)には擬似遊技を頻繁に発生させ、特定の遊技期間(第2状態)においては、擬似遊技を発生させないようにする。擬似遊技では、特定のリプレイの当選以外の抽選結果に基づいて擬似停止制御が行われるようにする。このように形成することにより、特定の遊技期間では、特定のリプレイの見かけ上の当選確率が上昇し、AT(擬似ボーナス)高確率ゾーンに移行したかのように見せることができる。
【0108】
また、「特定の抽選結果」には、不当選を含めてもよい。例えば、ボーナス成立状態において、ボーナスに優先して小役又はリプレイを入賞させるように制御するとともに、ボーナス成立状態における特定の遊技期間でないとき(第1状態)には、擬似遊技を(頻繁に)発生させ、特定の遊技期間(第2状態)では擬似遊技を(希にしか)発生させない。このようにすることにより、特定の遊技期間でないときは、ボーナスが単独で当選状態となりボーナスが入賞し得る不当選の見かけ上の当選確率が希釈化され、特定の遊技期間でない場合にはボーナスが入賞し難く、特定の遊技期間である場合にはボーナスが入賞しやすい、という遊技性を作り出すことができる。
【0109】
さらに、本発明における「特定の抽選結果」は、役としてのボーナスの当選や擬似ボーナスへの移行契機となる特定のリプレイの当選に限られない。
例えば、上記した実施の形態のリプレイ4のような小役図柄リプレイの当選時に、ART(AT)移行抽選が行われる仕様において、通常状態中(あるいはボーナス成立状態中)の第1状態では、上記した小役図柄リプレイを擬似当選状態に設定しない擬似遊技を行わせ、第2状態では、擬似遊技を行わせない。このように形成することにより、第2状態においてART(AT)移行抽選の契機役である小役図柄リプレイの見かけ上の当選確率が上昇し、内部抽選状態は同一のまま、小役図柄リプレイが高確率で当選する高確率ゾーンに移行したかのように見せることができる。逆に、第1状態で小役図柄リプレイを擬似当選状態に設定する擬似遊技を行わせ、第2状態では擬似遊技を行わせないようにした場合には、第1状態が高確率ゾーンの扱いとなる。
【0110】
なお、上記した実施の形態では、擬似遊技の結果、いずれかのリプレイに対応付けられた図柄組合せが表示されるように形成してあったが、本発明には、擬似遊技の結果、リプレイに対応付けられた図柄組合せ以外の図柄組合せを表示させる場合も含まれる。例えば、何の役にも対応しない単なるハズレの図柄組合せを表示させてもよい。このように形成した場合には、遊技を途中で止めさせないという効果は得られないものの、特定の抽選結果が導出される見かけ上の抽選確率を変化させることは可能である。
また、上記した実施の形態では、擬似遊技においては、本来の遊技と同様の挙動で回転リール61〜63を作動させるように形成してあったが、擬似遊技において、本来の遊技と異なる挙動であると遊技者が認識できるような挙動で回転リール61〜63を作動させるようにしてもよい。
【0111】
本発明は、上述した内容に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲における変形および改良なども含むものである。また、本発明は、矛盾を生じない範囲で、上述した実施の形態及び変形例に記載されている事項を適宜組み合わせ、あるいは組み替えてもよいものである。
さらに本発明は、スロットマシン以外の遊技機にも応用できる。例えば、遊技媒体として遊技球(パチンコ球)を用いてスロットマシンと同様の遊技を行わせるパロット遊技機などにも応用できるものである。
【符号の説明】
【0112】
S スロットマシン(遊技機) 10 ベットスイッチ
20 スタートスイッチ 31〜33 停止スイッチ
61〜63 回転リール 120 役抽選手段
130 リール制御手段 140 遊技結果判定手段(入賞判定手段)
180 擬似遊技制御手段 182 フリーズ設定手段
【要約】
【課題】擬似遊技中に遊技者が遊技を止めてしまわないようにする。
【解決手段】フリーズ中に、リール制御手段130が、本来の遊技における回転リール61〜63の回転態様と同様の態様で回転リール61〜63を擬似回転させ、停止スイッチ31〜33の操作信号の入力に基づき、擬似回転している回転リール61〜63を本来の遊技における回転リールの停止態様と同様の態様で擬似停止させる擬似遊技を実行可能であり、擬似遊技では、リプレイに対応付けられたスイカ揃いが表示され得る。通常状態では擬似遊技を高確率で発生させ、リプレイ高確率状態では擬似遊技を発生させないことにより、通常状態ではボーナスが当選し難くなる。
【選択図】図11
図1
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図10
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