(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
アルコキシシラン化合物を加水分解することによってシラノール化合物を形成した後、該シラノール化合物を縮合反応させることによって得られるシロキサン化合物および1−t−ブトキシ−2−プロパノールを含有し、前記シロキサン化合物がフッ素原子を有する有機基を含有し、かつフッ素原子を全固形分中10重量%以上含有し、硬化して硬化膜となる固体撮像素子用シロキサン樹脂組成物を硬化してなる屈折率が1.45以下である硬化膜を有する固体撮像素子。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下に本発明について具体的に説明する。
【0013】
本発明のシロキサン樹脂組成物は、後述するシロキサン化合物と1−t−ブトキシ−2−プロパノールを含有する。1−t−ブトキシ−2−プロパノールを含有することで、塗布ムラのない膜が得られ、かつ下地段差の被覆性も良好となる。
【0014】
本発明のシロキサン樹脂組成物に用いられるシロキサン化合物は、アルコキシシラン化合物を加水分解することによってシラノール化合物を形成した後、該シラノール化合物を縮合反応させることによって得られるシロキサン化合物であることが好ましい。アルコキシシラン化合物は、下記一般式(1)〜(3)のいずれかで表されるアルコキシシラン化合物から選ばれた1種以上が好ましい。
【0015】
R
1Si(OR
4)
3 (1)
R
1は水素原子、アルキル基、アルケニル基、アリール基またはそれらの置換体を表す。R
1の炭素数は1から20の範囲であることが好ましい。R
1は、硬化膜の用途に応じて適切なものを選ぶことができる。例えば、硬化膜の耐クラック性の点からは、R
1としてフェニル基を有するアルコキシシラン化合物を用いることが好ましい。また、屈折率の低い硬化膜を得たい場合には、R
1としてメチル基やフッ素原子を含有するアルキル基を有するアルコキシシラン化合物を用いることが好ましい。R
4はメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基またはブチル基を表し、それぞれ同一でも異なっていても良い。R
4は、加水分解反応の容易さや原料入手の観点から、メチル基またはエチル基が好ましい。
【0016】
R
2R
3Si(OR
5)
2 (2)
R
2およびR
3は、それぞれ水素、アルキル基、アルケニル基、アリール基またはそれらの置換体を表し、同一でも異なっていても良い。R
2およびR
3の炭素数は1から20の範囲であることが好ましい。R
5はメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基またはブチル基を表し、それぞれ同一でも異なっていても良い。R
5は、加水分解反応の容易さや原料入手の観点から、メチル基またはエチル基が好ましい。
【0017】
Si(OR
6)
4 (3)
R
6はメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基またはブチル基を表し、それぞれ同一でも異なっていても良い。R
6は、加水分解反応の容易さや原料入手の観点から、メチル基またはエチル基が好ましい。
【0018】
これら一般式(1)〜(3)のいずれかで表されるアルコキシシラン化合物は、単独で用いても、2種以上を組み合わせて用いても良い。
【0019】
一般式(1)〜(3)で表されるアルコキシシラン化合物の具体例を以下に示す。
【0020】
一般式(1)で表される3官能性シラン化合物としては、例えば、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン
、メチルトリプロポキシシラン、メチルトリイソプロポキシシラン、メチルトリブトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、ヘキシルトリメトキシシラン、オクタデシルトリメトキシシラン、オクタデシルトリエトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、フェニルトリイソプロポキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−クロロプロピルトリメトキシシラン、3−(N,N−ジグリシジル)アミノプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシシプロピルトリメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、γ−メタクリルオキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メタクリルオキシプロピルトリエトキシシラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−β−(アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、β−シアノエチルトリエトキシシラン、グリシドキシメチルトリメトキシシラン、グリシドキシメチルトリエトキシシラン、α−グリシドキシエチルトリメトキシシラン、α−グリシドキシエチルトリエトキシシラン、β−グリシドキシエチルトリメトキシシラン、β−グリシドキシエチルトリエトキシシラン、α−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、α−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、β−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、β−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリプロポキシシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリイソプロポキシシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリブトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、α−グリシドキシブチルトリメトキシシラン、α−グリシドキシブチルトリエトキシシラン、β−グリシドキシブチルトリメトキシシラン、β−グリシドキシブチルトリエトキシシラン、γ−グリシドキシブチルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシブチルトリエトキシシラン、δ−グリシドキシブチルトリメトキシシラン、δ−グリシドキシブチルトリエトキシシラン、(3,4−エポキシシクロヘキシル)メチルトリメトキシシラン、(3,4−エポキシシクロヘキシル)メチルトリエトキシシラン
、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリプロポキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリブトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリエトキシシラン、3−(3,4−エポキシシクロヘキシル)プロピルトリメトキシシラン、3−(3,4−エポキシシクロヘキシル)プロピルトリエトキシシラン、4−(3,4−エポキシシクロヘキシル)ブチルトリメトキシシラン、4−(3,4−エポキシシクロヘキシル)ブチルトリエトキシシラントリフルオロメチルトリメトキシシラン、トリフルオロメチルトリエトキシシラン、トリフルオロプロピルトリメトキシシラン、トリフルオロプロピルトリエトキシシラン、パーフルオロプロピルトリメトキシシラン、パーフルオロプロピルトリエトキシシラン、パーフルオロペンチルトリメトキシシラン、パーフルオロペンチルトリエトキシシラン、トリデカフルオロオクチルトリメトキシシラン、トリデカフルオロオクチルトリエトキシシラン、トリデカフルオロオクチルトリプロポキシシラン、トリデカフルオロオクチルトリイソプロポキシシラン、ヘプタデカフルオロデシルトリメトキシシラン、ヘプタデカフルオロデシルトリエトキシシランなどが挙げられる。
【0021】
一般式(2)で表される2官能性シラン化合物としては、例えば、ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、ジフェニルジエトキシシラン、メチルフェニルジメトキシシラン、メチルビニルジメトキシシラン、メチルビニルジエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、γ−アミノプロピルメチルジエトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、γ−メタクリルオキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−メタクリルオキシプロピルメチルジエトキシシラン、グリシドキシメチルジメトキシシラン、グリシドキシメチルメチルジエトキシシラン、α−グリシドキシエチルメチルジメトキシシラン、α−グリシドキシエチルメチルジエトキシシラン、β−グリシドキシエチルメチルジメトキシシラン、β−グリシドキシエチルメチルジエトキシシラン、α−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、α−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、β−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、β−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジプロポキシシラン、β−グリシドキシプロピルメチルジブトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジメトキシエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルエチルジメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルエチルジエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルビニルジメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルビニルジエトキシシラン、トリフルオロプロピルメチルジメトキシシラン、トリフルオロプロピルメチルジエトキシシラン、トリフルオロプロピルエチルジメトキシシラン、トリフルオロプロピルエチルジエトキシシラン、トリフルオロプロピルビニルジメトキシシラン、トリフルオロプロピルビニルジエトキシシラン、ヘプタデカフルオロデシルメチルジメトキシシラン、3−クロロプロピルメチルジメトキシシラン、3−クロロプロピルメチルジエトキシシラン、シクロヘキシルメチルジメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルジメトキシシラン、オクタデシルメチルジメトキシシランなどが挙げられる。これらのうち、得られる塗布膜に可とう性を付与させる目的には、ジメチルジアルコキシシランが好ましく用いられる。
【0022】
一般式(3)で表される4官能性シラン化合物としては、例えば、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシランなどが挙げられる。
【0023】
本発明のシロキサン樹脂組成物の屈折率を下げる、あるいは撥水性を付与する場合には、フッ素原子を有する有機基を含有するアルコキシシロキサン化合物を含むことが好ましい。フッ素原子を含有する有機基の例としては、トリフルオロメチル基、トリフルオロプロピル基、パーフルオロプロピル基、パーフルオロペンチル基、トリデカフルオロオクチル基などが挙げられる。フッ素原子含有量を増やすことで屈折率の低い膜が得られることから、シロキサン樹脂組成物の全固形分に対して10重量%以上、より好ましくは15重量%以上のフッ素原子を含有することが好ましい。固体撮像素子用オンチップマイクロレンズパターンの平坦化膜には、マイクロレンズの集光効率向上の観点から、屈折率の低い材料を用いることが好ましい。このため、該用途には、フッ素原子を含有する有機基を含有し、かつ芳香環を含有しないアルコキシシラン化合物を用いることが好ましい。
【0024】
本発明のシロキサン樹脂組成物に含まれるシロキサン化合物は、所望の膜厚や用途により任意に選ぶことができ、0.1〜80重量%が一般的である。
【0025】
本発明のシロキサン樹脂組成物は、シロキサン硬化膜を形成するため、全固形分中のシロキサン化合物の含有量が10重量%以上であることが好ましい。より好ましくは20重量%以上である。
【0026】
本発明のシロキサン樹脂組成物は、屈折率制御や耐クラック性や弾性率の向上などのため金属化合物を含有してもよい。金属化合物の例としては、金属化合物粒子が挙げられる。その中でも、数平均粒子径1nm〜200nmの金属化合物粒子が好ましい。透過率の高い硬化膜を得るためには、数平均粒子径1nm〜70nmであることがより好ましい。ここで、金属化合物粒子の平均粒子径は、ガス吸着法や動的光散乱法、X線小角散乱法、透過型電子顕微鏡や走査型電子顕微鏡により粒子径を直接測定する方法などにより測定することができる。本発明における数平均粒子径とは、動的光散乱法により測定した値をいう。
【0027】
金属化合物粒子の例としては、シリコン化合物粒子、アルミニウム化合物粒子、スズ化合物粒子、チタン化合物粒子、ジルコニウム化合物粒子などが挙げられ、用途により適当なものを選ぶことができる。例えば、高屈折率の硬化膜を得るには酸化チタン粒子などのチタン化合物粒子や、酸化ジルコニウム粒子などのジルコニウム化合物粒子が好ましく用いられる。また、低屈折率の硬化膜を得るには、中空シリカ粒子などを含有することが好ましい。
【0028】
市販されている金属化合物粒子の例としては、酸化スズ−酸化チタン複合粒子の”オプトレイクTR−502”、”オプトレイクTR−504”、酸化ケイ素−酸化チタン複合粒子の”オプトレイクTR−503”、”オプトレイクTR−520”、”オプトレイクTR−513”、酸化チタン粒子の”オプトレイクTR−505”((以上、商品名、触媒化成工業(株)製)、酸化ジルコニウム粒子((株)高純度化学研究所製)、酸化スズ−酸化ジルコニウム複合粒子(触媒化成工業(株)製)、酸化スズ粒子((株)高純度化学研究所製)などが挙げられる。
【0029】
金属化合物粒子の含有量に特に制限はなく、用途によって適当な量とすることができるが、シロキサン樹脂組成物の全固形分の1〜70重量%程度とするのが一般的である。
【0030】
本発明のシロキサン樹脂組成物は、例えば、アルコキシシラン化合物を加水分解した後、該加水分解物を1−t−ブトキシ−2−プロパノールの存在下で縮合反応させることによって得ることができる。また、1−t−ブトキシ−2−プロパノール以外の溶媒の存在下、あるいは無溶媒にてアルコキシシラン化合物を加水分解した後、該化合物を縮合反応させ、これに1−t−ブトキシ−2−プロパノールを加えてもよい。
【0031】
加水分解反応は、溶媒中、酸触媒および水を1〜180分かけて添加した後、室温〜110℃で1〜180分反応させることが好ましい。このような条件で加水分解反応を行うことにより、急激な反応を抑制することができる。反応温度は、より好ましくは40〜105℃である。加水分解反応の溶媒として、1−t−ブトキシ−2−プロパノールを用いてもよい。
【0032】
加水分解反応は、酸触媒の存在下で行うことが好ましい。酸触媒としては、塩酸、酢酸、蟻酸、硝酸、蓚酸
、硫酸、リン酸、ポリリン酸、多価カルボン酸あるいはその無水物、イオン交換樹脂などの酸触媒が挙げられ、特に蟻酸、酢酸またはリン酸を含む酸性水溶液が好ましい。これら酸触媒の含有量は、加水分解反応時に使用される全アルコキシシラン化合物100重量部に対して、好ましくは0.05重量部以上、より好ましくは0.1重量部以上であり、また、好ましくは10重量部以下、より好ましくは5重量部以下である。上記範囲内の酸触媒を用いて加水分解反応を行うことにより、反応を容易に制御することができる。
【0033】
アルコキシシラン化合物の加水分解反応によりシラノール化合物を得た後、シラノール化合物を取り出すことなく、反応液を、50℃以上、溶媒の沸点以下で1〜100時間加熱し、縮合反応を行うことが好ましい。また、シロキサン化合物の重合度を上げるために、再加熱もしくは塩基触媒の添加を行うことも可能である。
【0034】
加水分解における各種条件は、反応スケール、反応容器の大きさ、形状などを考慮して設定すればよい。たとえば酸濃度、反応温度、反応時間などを適切な範囲に設定することによって、目的とする用途に適した物性を得ることができる。
【0035】
アルコキシシラン化合物の加水分解反応および該加水分解物の縮合反応の溶媒は特に限定されず、無溶媒で反応を行ってもよいが、シロキサン樹脂組成物の安定性、濡れ性、揮発性などを考慮して選択することが好ましい。溶媒は2種類以上用いることも可能である。溶媒の具体例としては、例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、イソブタノール、t−ブタノール、ペンタノール、4−メチル−2−ペンタノール、3−メチル−2−ブタノール、3−メチル−3−メトキシ−1−ブタノール、1−t−ブトキシ−2−プロパノール、ジアセトンアルコールなどのアルコール類;エチレングリコール、プロピレングリコールなどのグリコール類;エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、エチレングリコールジブチルエーテル、ジエチルエーテルなどのエーテル類;メチルエチルケトン、アセチルアセトン、メチルプロピルケトン、メチルブチルケトン、メチルイソブチルケトン、ジイソブチルケトン、シクロペンタノン、2−ヘプタノンなどのケトン類;ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミドなどのアミド類;エチルアセテート、プロピルアセテート、ブチルアセテート、イソブチルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、3−メトキシブチルアセテート、3−メチル−3−メトキシブチルアセテート、乳酸メチル、乳酸エチル、乳酸ブチルなどのアセテート類;トルエン、キシレン、ヘキサン、シクロヘキサンなどの芳香族あるいは脂肪族炭化水素のほか、γ−ブチロラクトン、N−メチル−2−ピロリドン、ジメチルスルホキシドなどを挙げることができる。本発明においては、加水分解反応および縮合反応の溶媒として1−t−ブトキシ−2−プロパノールを用いることがより好ましい。また、1−t−ブトキシ−2−プロパノールとこれ以外の溶媒との混合溶媒を用いてもよい。硬化膜の透過率、耐クラック性などの点で、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、γ−ブチロラクトンなども好ましく用いられる。
【0036】
加水分解反応反応によって溶媒が生成する場合には、無溶媒で加水分解させることも可能である。反応終了後に、さらに溶媒を添加することにより、樹脂組成物として適切な濃度に調整することも好ましい。また、加水分解後に、生成アルコールなどを加熱および/または減圧下にて適量を留出させて除去し、その後好適な溶媒を添加してもよい。
【0037】
加水分解反応時に使用する溶媒の量は、全アルコキシシラン化合物100重量部に対して、50重量部以上が好ましく、80重量部以上がより好ましい。一方、上限は1000重量部以下が好ましく、500重量部以下がより好ましい。溶媒量を上記範囲とすることで反応の制御がし易くなり、溶媒可溶の樹脂を容易に得ることができる。
【0038】
また、加水分解反応に用いる水は、イオン交換水が好ましい。水の量は任意に選択可能であるが、アルコキシシラン化合物1モルに対して、1.0〜4.0モルの範囲で用いることが好ましい。
【0039】
本発明のシロキサン樹脂組成物は、樹脂組成物の硬化を促進させる、あるいは硬化を容易にする各種の硬化剤を含有してもよい。硬化剤の具体例としては、窒素含有有機物、シリコーン樹脂硬化剤、各種金属アルコレート、各種金属キレート化合物、イソシアネート化合物およびその重合体、メラミン樹脂、多官能アクリル樹脂、尿素樹脂などがあり、これらを一種類、ないし2種類以上含有してもよい。なかでも、硬化剤の安定性、得られた塗布膜の加工性などから金属キレート化合物が好ましく用いられる。
【0040】
金属キレート化合物としては、チタニウムキレート化合物、ジルコニウムキレート化合物、アルミニウムキレート化合物およびマグネシウムキレート化合物が挙げられる。これらの金属キレート化合物は、金属アルコキシドにキレート化剤を反応させることにより容易に得ることができる。キレート化剤の例としては、アセチルアセトン、ベンゾイルアセトン、ジベンゾイルメタンなどのβ−ジケトン;アセト酢酸エチル、ベンゾイル酢酸エチルなどのβ−ケト酸エステルなどを挙げることができる。金属キレート化合物の好ましい具体的な例としては、エチルアセトアセテートアルミニウムジイソプロピレート、アルミニウムトリス(エチルアセトアセテート)、アルキルアセトアセテートアルミニウムジイソプロピレート、アルミニウムモノアセチルアセテートビス(エチルアセトアセテート)、アルミニウムトリス(アセチルアセトネート)などのアルミニウムキレート化合物、エチルアセトアセテートマグネシウムモノイソプロピレート、マグネシウムビス(エチルアセトアセテート)、アルキルアセトアセテートマグネシウムモノ
イソプロピレート、マグネシウムビス(アセチルアセトネート)などのマグネシウムキレート化合物が挙げられる。
【0041】
硬化剤の含有量は、シロキサン樹脂組成物中の全シロキサン化合物100重量部に対して、好ましくは0.1重量部以上、より好ましくは0.5重量部以上であり、一方、好ましくは10重量部以下、より好ましくは6重量部以下である。ここで、全シロキサン化合物量とは、アルコキシシラン化合物、その加水分解物およびその縮合物の全てを含む量のことを言う。
【0042】
また、シロキサン化合物は酸により硬化が促進されるので、熱酸発生剤等の硬化触媒を含有することも好ましい。熱酸発生剤としては、スルフォニウム塩、芳香族ジアゾニウム塩、ジアリールヨードニウム塩、トリアリールスルフォニウム塩、トリアリールセレニウム塩等の各種オニウム塩系化合物、スルフォン酸エステル、ハロゲン含有化合物等が挙げられる。
【0043】
具体例として、スルフォニウム塩としては、4−ヒドロキシフェニルジメチルスルフォニウム トリフレート(試作品「W」 三新化学工業(株)製)、ベンジル−4−ヒドロキシフェニルメチルスルフォニウム トリフレート(試作品「O」 三新化学工業(株)製)、2−メチルベンジル−4−ヒドロキシフェニルメチルスルフォニウム トリフレート(試作品「N」 三新化学工業(株)製)、4−メチルベンジル−4−ヒドロキシフェニルメチルスルフォニウム トリフレート、4−ヒドロキシフェニルメチル−1−ナフチルメチルスルフォニウム トリフレート、4−メトキシカルボニルオキシフェニルジメチルスルフォニウム トリフレート(試作品「J」 三新化学工業(株)製)、ベンジル−4−メトキシカルボニルオキシフェニルメチルスルフォニウム トリフレート(試作品「T」 三新化学工業(株)製)、4−アセトキシフェニルベンジルメチルスルフォニウム トリフレート(試作品「U」 三新化学工業(株)製)、4−アセトキシフェニルメチル−4−メチルベンジルスルフォニウム トリフレート、4−アセトキシフェニルジメチルスルフォニウム トリフレート(試作品「V」 三新化学工業(株)製)、4−ヒドロキシフェニルジメチルスルフォニウム ヘキサフルオロフォスフェート、ベンジル−4−ヒドロキシフェニルメチルスルフォニウム ヘキサフルオロフォスフェート、2−メチルベンジル−4−ヒドロキシフェニルメチルスルフォニウム ヘキサフルオロフォスフェート、4−メチルベンジル−4−ヒドロキシフェニルメチルスルフォニウム ヘキサフルオロフォスフェート、4−ヒドロキシフェニルメチル−1−ナフチルメチルスルフォニウム ヘキサフルオロフォスフェート、4−メトキシカルボニルオキシフェニルジメチルスルフォニウム ヘキサフルオロフォスフェート、ベンジル−4−メトキシカルボニルオキシフェニルメチルスルフォニウム ヘキサフルオロフォスフェート、4−アセトキシフェニルベンジルメチルスルフォニウム ヘキサフルオロフォスフェート(試作品「A」 三新化学工業(株)製)、4−アセトキシフェニルメチル−4−メチルベンジルスルフォニウム ヘキサフルオロフォスフェート、4−アセトキシフェニルジメチルスルフォニウム ヘキサフルオロフォスフェート(商品名「SI−150」 三新化学工業(株)製)、「SI−180L」(三新化学工業(株)製)、4−ヒドロキシフェニルジメチルスルフォニウム ヘキサフルオロアンチモネート、ベンジル−4−ヒドロキシフェニルメチルスルフォニウム ヘキサフルオロアンチモネート、2−メチルベンジル−4−ヒドロキシフェニルメチルスルフォニウム ヘキサフルオロアンチモネート、4−メチルベンジル−4−ヒドロキシフェニルメチルスルフォニウム ヘキサフルオロアンチモネート、4−ヒドロキシフェニルメチル−1−ナフチルメチルスルフォニウム ヘキサフルオロアンチモネート、4−メトキシカルボニルオキシフェニルジメチルスルフォニウム ヘキサフルオロアンチモネート、ベンジル−4−メトキシカルボニルオキシフェニルメチルスルフォニウム ヘキサフルオロアンチモネート、4−アセトキシフェニルベンジルメチルスルフォニウム ヘキサフルオロアンチモネート、4−アセトキシフェニルメチル−4−メチルベンジルスルフォニウム ヘキサフルオロアンチモネート、4−アセトキシフェニルジメチルスルフォニウム ヘキサフルオロアンチモネート
、ベンジル−4−ヒドロキシフェニルメチルスルフォニウム ヘキサフルオロアンチモネート等が挙げられる。
【0044】
芳香族ジアゾニウム塩としては、クロロベンゼンジアゾニウムヘキサフルオロフォスフェイト、ジメチルアミノベンゼンジアゾニウムヘキサフルオロアンチモネ−ト、ナフチルジアゾニウムヘキサフルオロフォスフェイト、ジメチルアミノナフチルジアゾニウムテトラフルオロボレート等が挙げられる。
【0045】
ジアリールヨードニウム塩としては、ジフェニルヨードニウムテトラフルオロボレート、ジフェニルヨードニウムヘキサフルオロアンチモネ−ト、ジフェニルヨードニウムヘキサフルオロフォスフェイト、ジフェニルヨードニウムトリフレート、4,4´−ジ−t−ブチル−ジフェニルヨードニウムトリフレート、4,4´−ジ−t−ブチル−ジフェニルヨードニウムテトラフルオロボレート、4,4´−ジ−t−ブチル−ジフェニルヨードニウムヘキサフルオロフォスフェイト等が挙げられる。
【0046】
トリアリールスルフォニウム塩としては、トリフェニルスルフォニウムテトラフルオロボレート、トリフェニルスルフォニウムヘキサフルオロフォスフェイト、トリフェニルスルフォニウムヘキサフルオロアンチモネ−ト、トリ(p−クロロフェニル)スルフォニウムテトラフルオロボレート、トリ(p−クロロフェニル)スルフォニウムヘキサフルオロフォスフェイト、トリ(p−クロロフェニル)スルフォニウムヘキサフルオロアンチモネ−ト、4−t−ブチルトリフェニルスルフォニウムヘキサフルオロフォスフェイト等が挙げられる。
【0047】
トリアリールセレニウム塩としては、トリフェニルセレニウムテトラフルオロボレート、トリフェニルセレニウムヘキサフルオロフォスフェイト、トリフェニルセレニウムヘキサフルオロアンチモネ−ト、ジ(クロロフェニル)フェニルセレニウムテトラフルオロボレート、ジ(クロロフェニル)フェニルセレニウムヘキサフルオロフォスフェイト、ジ(クロロフェニル)フェニルセレニウムヘキサフルオロアンチモネ−ト等が挙げられる。
【0048】
スルフォン酸エステル化合物としては、ベンゾイントシレート、p−ニトロベンジル−9,10−エトキシアントラセンー2−スルフォネート、2−ニトロベンジルトシレート、2,6−ジニトロベンジルトシレート、2,4−ジニトロベンジルトシレート等が挙げられる。
【0049】
ハロゲン含有化合物としては、2−クロロ−2−フェニルアセトフェノン、2,2´,4´−トリクロロアセトフェノン、2,4,6−トリス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(p−メトキシスチリル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−フェニル−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(p−メトキシフェニル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(4´−メトキシ−1´−ナフチル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、ビス−2−(4−クロロフェニル)−1,1,1−トリクロロエタン、ビス−1−(4−クロロフェニル)−2,2,2−トリクロロエタノール、ビス−2−(4−メトキシフェニル)−1,1,1−トリクロロエタン等が挙げられる。
【0050】
その他、5−ノルボルネン−2,3−ジカルボキシイミジルトリフレート(商品名「NDI−105」 みどり化学(株)製)、5−ノルボルネン−2,3−ジカルボキシイミジル トシレート(商品名「NDI−101」 みどり化学(株)製)、4−メチルフェニルスルフォニルオキシイミノ−α−(4−メトキシフェニル)アセトニトリル(商品名「PAI−101」 みどり化学(株)製)、トリフルオロメチルスルフォニルオキシイミノ−α−(4−メトキシフェニル)アセトニトリル(商品名「PAI−105」 みどり化学(株)製)、9−カンファースルフォニルオキシイミノ α−4−メトキシフェニルアセトニトリル(商品名「PAI−106」 みどり化学(株)製)、1,8−ナフタルイミジル ブタンスルフォネート(商品名「NAI−1004」 みどり化学(株)製)、1,8−ナフタルイミジル トシレート(商品名「NAI−101」 みどり化学(株)製)、1,8−ナフタルイミジル トリフレート(商品名「NAI−105」 みどり化学(株)製)、1,8−ナフタルイミジル ノナフルオロブタンスルフォネート(商品名「NAI−109」 みどり化学(株)製)等の熱酸発生剤も例として挙げることができる。
【0051】
本発明のシロキサン樹脂組成物は、固形分が適当な濃度となるよう溶媒を用いて濃度を調整してもよい。濃度に特に制限はないが、例えば、スピンコートにより膜形成を行う場合には、固形分濃度を5〜50重量%とするのが一般的である。本発明のシロキサン樹脂組成物は1−t−ブトキシ−2−プロパノールを含有するものであるが、他の溶媒を1種以上含有してもかまわない。この場合、1−t−ブトキシ−2−プロパノールの含有量は、全溶媒中20重量%以上であることが好ましく、50重量%であることがより好ましく、80重量%以上であることがさらに好ましい。1−t−ブトキシ−2−プロパノールの含有量を増やすことで、段差被覆性がより良好となる。他の溶媒としては、具体的には、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、エチレングリコールジブチルエーテルなどのエーテル類、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピルアセテート、ブチルアセテート、イソブチルアセテート、3−メトキシブチルアセテート、3−メチル−3−メトキシブチルアセテート、乳酸メチル、乳酸エチル、乳酸ブチルなどのアセテート類、アセチルアセトン、メチルプロピルケトン、メチルブチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロペンタノン、2−ヘプタノンなどのケトン類、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、イソブチルアルコール、ペンタノ−ル、4−メチル−2−ペンタノール、3−メチル−2−ブタノール、3−メチル−3−メトキシ−1−ブタノール、ジアセトンアルコールなどのアルコール類、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素類、γ−ブチロラクトン、N−メチルピロリジノンなどが挙げられる。これらのうち、特に好ましい溶媒の例は、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、ジアセトンアルコール、γ−ブチロラクトンなどである。
【0052】
本発明のシロキサン樹脂組成物における全溶媒の含有量は、全シロキサン化合物100重量部に対して、30重量部以上が好ましく、50重量部以上が好ましい。一方、9900重量部以下が好ましく、5000重量部以下がより好ましい。
【0053】
本発明のシロキサン樹脂組成物には、必要に応じて、粘度調整剤、界面活性剤、安定化剤、着色剤、ガラス質形成剤などを含有してもよい。
【0054】
また、本発明のシロキサン樹脂組成物に感光性を付与するため、各種感光剤を含有してもよい。例えば、キノンジアジド系感光剤などを含有する場合、露光部をテトラメチルアンモニウムヒドロキシド水溶液などのアルカリ水溶液で溶解することで、ポジのレリーフパターンを得ることができる。また、光架橋剤や光酸発生剤などを含有することでネガ感光性を付与することができる。
【0055】
キノンジアジド系感光剤としては、フェノール性水酸基を有する化合物にナフトキノンジアジドのスルホン酸がエステルで結合した化合物が好ましい。フェノール性水酸基を有する化合物としては、例えば、Bis−Z、BisOC−Z、BisOPP−Z、BisP−CP、Bis26X−Z、BisOTBP−Z、BisOCHP−Z、BisOCR−CP、BisP−MZ、BisP−EZ、Bis26X−CP、BisP−PZ、BisP−IPZ、BisCR−IPZ、BisOCP−IPZ、BisOIPP−CP、Bis26X−IPZ、BisOTBP−CP、TekP−4HBPA(テトラキスP−DO−BPA)、TrisP−HAP、TrisP−PA、BisOFP−Z、BisRS−2P、BisPG−26X、BisRS−3P、BisOC−OCHP、BisPC−OCHP、Bis25X−OCHP、Bis26X−OCHP、BisOCHP−OC、Bis236T−OCHP、メチレントリス−FR−CR、BisRS−26X、BisRS−OCHP(以上、商品名、本州化学工業(株)製)、BIR−OC、BIP−PC、BIR−PC、BIR−PTBP、BIR−PCHP、BIP−BIOC−F、4PC、BIR−BIPC−F、TEP−BIP−A(以上、商品名、旭有機材工業(株)製)、4,4’−スルホニルジフェノール(和光純薬(株)社製)、BPFL(商品名、JFEケミカル(株)製)が挙げられる。これらのうち、Bis−Z、TekP−4HBPA、TrisP−HAP、TrisP−PA、BisRS−2P、BisRS−3P、BIR−PC、BIR−PTBP、BIR−BIPC−F、4,4’−スルホニルジフェノール、BPFLがより好ましい。
【0056】
好ましく用いられるキノンジアジド系感光剤としては、これらフェノール性水酸基を有する化合物に4−ナフトキノンジアジドスルホン酸あるいは5−ナフトキノンジアジドスルホン酸をエステル結合で導入したものが挙げられるが、これ以外の化合物を使用することもできる。
【0057】
キノンジアジド系感光剤の含有量は、シロキサン化合物100重量部に対して1重量部以上が好ましく、2重量部以上がより好ましい。また、50重量部以下が好ましく、10重量部以下がより好ましい。1重量部以上とすることで、実用的な感度でパターン形成を行うことができる。また、50重量部以下とすることで、透過率やパターン解像性に優れた樹脂組成物が得られる。
【0058】
キノンジアジド系感光剤の分子量は、好ましくは300以上、より好ましくは350以上であり、好ましくは1000以下、より好ましくは800以下である。分子量を300以上とすることで、未露光部の溶解抑止効果が得られ、また分子量を1000以下とすることでスカム等のない良好なレリーフパターンが得られる。
【0059】
キノンジアジド系感光剤を含有する場合、未露光部に未反応の感光剤が残留し、加熱硬化後に膜の着色が生じることがある。透明な硬化膜を得るためには、現像後の膜全面に紫外線を照射してキノンジアジド化合物を分解し、その後に加熱硬化を行うことが好ましい。
【0060】
光架橋剤としては、4,4’−ジアジドカルコン、2,6−ジ−(4’−アジドベンジリデン)シクロヘキサノン、2,6−ジ−(4’−アジドベンジリデン)−4−メチルシクロヘキサノン等のビスアジド化合物などを挙げることができる。
【0061】
光酸発生剤としては、オニウム塩化合物、ハロゲン含有化合物、ジアゾケトン化合物、ジアゾメタン化合物、スルホン化合物、スルホン酸エステル化合物、スルホンイミド化合物などを例として挙げることができる。
【0062】
オニウム塩化合物の具体的な例としては、ジアゾニウム塩、アンモニウム塩、ヨードニウム塩、スルホニウム塩、ホスホニウム塩、オキソニウム塩などを挙げることができる。好ましいオニウム塩としてはジフェニルヨードニウムトリフレート、ジフェニルヨードニウムピレンスルホネート、ジフェニルヨードニウムドデシルベンゼンスルホネート、トリフェニルスルホニウムトリフレート、トリフェニルスルホニウムヘキサフルオロアンチモネート、トリフェニルスルホニウムナフタレンスルホネート、(ヒドロキシフェニル)ベンジルメチルスルホニウムトルエンスルホネートなどが挙げられる。
【0063】
ハロゲン含有化合物の具体的な例としては、ハロアルキル基含有炭化水素化合物、ハロアルキル基含有ヘテロ環状化合物などが挙げられる。好ましいハロゲン含有化合物としては1,1−ビス(4−クロロフェニル)−2,2,2−トリクロロエタン、2−フェニル−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−ナフチル−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジンなどを挙げることができる。
【0064】
ジアゾケトン化合物の具体的な例としては、1,3−ジケト−2−ジアゾ化合物、ジアゾベンゾキノン化合物、ジアゾナフトキノン化合物などが挙げられる。好ましいジアゾケトン化合物は1,2−ナフトキノンジアジド−4−スルホン酸と2,2,3,4,4’−テトラヒドロキシベンゾフェノンとのエステル、1,2−ナフトキノンジアジド−4−スルホン酸と1,1,1−トリス(4−ヒドロキシフェニル)エタンとのエステルなどを挙げることができる。
【0065】
ジアゾメタン化合物の具体的な例としては、ビス(トリフルオロメチルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(シクロヘキシルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(フェニルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(p−トリルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(2,4−キシリルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(p−クロロフェニルスルホニル)ジアゾメタン、メチルスルホニル−p−トルエンスルホニルジアゾメタン、シクロヘキシルスルホニル(1,1−ジメチルエチルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(1,1−ジメチルエチルスルホニル)ジアゾメタン、フェニルスルホニル(ベンゾイル)ジアゾメタン等を挙げることができる。
【0066】
スルホン化合物の具体的な例としては、β−ケトスルホン化合物、β−スルホニルスルホン化合物などが挙げられる。好ましい化合物としては、4−トリスフェナシルスルホン、メシチルフェナシルスルホン、ビス(フェニルスルホニル)メタンなどが挙げられる。
【0067】
スルホン酸エステル化合物の例としては、アルキルスルホン酸エステル、ハロアルキルスルホン酸エステル、アリールスルホン酸エステル、イミノスルホネートなどが挙げられる。スルホン酸化合物の具体的な例としてはベンゾイントシレート、ピロガロールトリメシレート、ニトロベンジル−9,10−ジエトキシアントラセン−2−スルホネートなどを挙げることができる。
【0068】
スルホンイミド化合物の具体的な例としてはN−(トリフルオロメチルスルホニルオキシ)スクシンイミド、N−(トリフルオロメチルスルホニルオキシ)フタルイミド、N−(トリフルオロメチルスルホニルオキシ)ジフェニルマレイミド、N−(トリフルオロメチルスルホニルオキシ)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシルイミド、N−(トリフルオロメチルスルホニルオキシ)−7−オキサビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシルイミド、N−(トリフルオロメチルスルホニルオキシ)ビシクロ[2.2.1]ヘプタン−5,6−オキシ−2,3−ジカルボキシルイミド、N−(トリフルオロメチルスルホニルオキシ)ナフチルジカルボキシルイミド、N−(カンファースルホニルオキシ)スクシンイミド、N−(カンファースルホニルオキシ)フタルイミド、N−(カンファースルホニルオキシ)ジフェニルマレイミド、N−(カンファースルホニルオキシ)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシルイミド、N−(カンファースルホニルオキシ)−7−オキサビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシルイミド、N−(カンファースルホニルオキシ)ビシクロ[2.2.1]ヘプタン−5,6−オキシ−2,3−ジカルボキシルイミド、N−(カンファースルホニルオキシ)ナフチルジカルボキシルイミド、N−(4−メチルフェニルスルホニルオキシ)スクシンイミド、N−(4−メチルフェニルスルホニルオキシ)フタルイミド、N−(4−メチルフェニルスルホニルオキシ)ジフェニルマレイミド、N−(4−メチルフェニルスルホニルオキシ)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシルイミド、N−(4−メチルフェニルスルホニルオキシ)−7−オキサビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシルイミド、N−(4−メチルフェニルスルホニルオキシ)ビシクロ[2.2.1]ヘプタン−5,6−オキシ−2,3−ジカルボキシルイミド、N−(4−メチルフェニルスルホニルオキシ)ナフチルジカルボキシルイミド、N−(2−トリフルオロメチルフェニルスルホニルオキシ)スクシンイミド、N−(2−トリフルオロメチルフェニルスルホニルオキシ)フタルイミド、N−(2−トリフルオロメチルフェニルスルホニルオキシ)ジフェニルマレイミド、N−(2−トリフルオロメチルフェニルスルホニルオキシ)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシルイミド、N−(2−トリフルオロメチルフェニルスルホニルオキシ)−7−オキサビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシルイミド、N−(2−トリフルオロメチルフェニルスルホニルオキシ)ビシクロ[2.2.1]ヘプタン−5,6−オキシ−2,3−ジカルボキ
シルイミド、N−(2−トリフルオロメチルフェニルスルホニルオキシ)ナフチルジカルボキシルイミド、N−(4−フルオロフェニルスルホニルオキシ)スクシンイミド、N−(2−フルオロフェニルスルホニルオキシ)フタルイミド、N−(4−フルオロフェニルスルホニルオキシ)ジフェニルマレイミド、N−(4−フルオロフェニルスルホニルオキシ)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシルイミド、N−(4−フルオロフェニルスルホニルオキシ)−7−オキサビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシルイミド、N−(4−フルオロフェニルスルホニルオキシ)ビシクロ[2.2.1]ヘプタン−5,6−オキシ−2,3−ジカルボキシルイミド、N−(4−フルオロフェニルスルホニルオキシ)ナフチルジカルボキシルイミド等を挙げることができる。
【0069】
その他、5−ノルボルネン−2,3−ジカルボキシイミジルトリフレート(商品名「NDI−105」 みどり化学(株)製)、5−ノルボルネン−2,3−ジカルボキシイミジル トシレート(商品名「NDI−101」 みどり化学(株)製)、4−メチルフェニルスルフォニルオキシイミノ−α−(4−メトキシフェニル)アセトニトリル(商品名「PAI−101」 みどり化学(株)製)、トリフルオロメチルスルフォニルオキシイミノ−α−(4−メトキシフェニル)アセトニトリル(商品名「PAI−105」 みどり化学(株)製)、9−カンファースルフォニルオキシイミノ α−4−メトキシフェニルアセトニトリル(商品名「PAI−106」 みどり化学(株)製)、1,8−ナフタルイミジル ブタンスルフォネート(商品名「NAI−1004」 みどり化学(株)製)、1,8−ナフタルイミジル トシレート(商品名「NAI−101」 みどり化学(株)製)、1,8−ナフタルイミジル トリフレート(商品名「NAI−105」 みどり化学(株)製)、1,8−ナフタルイミジル ノナフルオロブタンスルフォネート(商品名「NAI−109」 みどり化学(株)製)等も例として挙げることができる。
【0070】
これらの光酸発生剤は単独あるいは2種以上用いることもできる。光酸発生剤の含有量は、シロキサン化合物100重量部に対して0.01重量部
以上が好ましく、0.1重量部以上がより好ましい。一方、20重量部以下が好ましく、10重量部以下がより好ましい。光酸発生剤の量を上記範囲とすることで、スカムや現像不良のない良好なパターンが得られる。
【0071】
本発明のシロキサン樹脂組成物は、塗布時のフロー性向上のために、各種界面活性剤を含有してもよい。界面活性剤の種類に特に制限はなく、例えば、フッ素系界面活性剤、シリコーン系界面活性剤、ポリアルキレンオキシド系界面活性剤、ポリ(メタ)アクリレート系界面活性剤などを用いることができる。
【0072】
フッ素系界面活性剤の具体的な例としては、1,1,2,2−テトラフロロオクチル(1,1,2,2−テトラフロロプロピル)エーテル、1,1,2,2−テトラフロロオクチルヘキシルエーテル、オクタエチレングリコールジ(1,1,2,2−テトラフロロブチル)エーテル、ヘキサエチレングリコール(1,1,2,2,3,3−ヘキサフロロペンチル)エーテル、オクタプロピレングリコールジ(1,1,2,2−テトラフロロブチル)エーテル、ヘキサプロピレングリコールジ(1,1,2,2,3,3−ヘキサフロロペンチル)エーテル、パーフロロドデシルスルホン酸ナトリウム、1,1,2,2,8,8,9,9,10,10−デカフロロドデカン、1,1,2,2,3,3−ヘキサフロロデカン、N−[3−(パーフルオロオクタンスルホンアミド)プロピル]−N,N′−ジメチル−N−カルボキシメチレンアンモニウムベタイン、パーフルオロアルキルスルホンアミドプロピルトリメチルアンモニウム塩、パーフルオロアルキル−N−エチルスルホニルグリシン塩、リン酸ビス(N−パーフルオロオクチルスルホニル−N−エチルアミノエチル)、モノパーフルオロアルキルエチルリン酸エステルなどの末端、主鎖および側鎖の少なくとも何れかの部位にフルオロアルキルまたはフルオロアルキレン基を有する化合物からなるフッ素系界面活性剤を挙げることができる。また、市販品としては、メガファックF142D、同F172、同F173、同F183(以上、大日本インキ化学工業(株)製)、エフトップEF301、同303、同352(新秋田化成(株)製)、フロラードFC−430、同FC−431(住友スリーエム(株)製))、アサヒガードAG710、サーフロンS−382、同SC−101、同SC−102、同SC−103、同SC−104、同SC−105、同SC−106(旭硝子(株)製)、BM−1000、BM−1100(裕商(株)製)、NBX−15、FTX−218((株)ネオス製)などのフッ素系界面活性剤を挙げることができる。
【0073】
シリコーン系界面活性剤の市販品としては、SH28PA、SH7PA、SH21PA、SH30PA、ST94PA(いずれも東レ・ダウコーニング・シリコーン(株)製)、BYK−333(ビックケミー・ジャパン(株)製)などが挙げられる。その他の界面活性剤の例としては、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンジステアレートなどが挙げられる。
【0074】
界面活性剤の含有量は、シロキサン樹脂組成物中0.0001〜1重量%とするのが一般的である。これらは、1種あるいは2種以上使用してもよい。
【0075】
本発明のシロキサン樹脂組成物を基材上に塗布して塗布膜を作製し、これを加熱して乾燥、硬化させることにより硬化膜を形成することができる。
【0076】
本発明におけるシロキサン樹脂組成物の塗布方法としては、マイクログラビアコーティング、スピンコーティング、スリットコーティング、ディップコーティング、カーテンフローコーティング、ロールコーティング、スプレーコーティング、流し塗り法などを好ましく用いることができる。
【0077】
加熱および乾燥条件は、適用される基材、および樹脂組成物によって決定されるべきだが、通常は室温以上、400℃以下の温度で、0.5〜240分間の処理を行うことが好ましい。硬化温度は100〜400℃がより好ましく、さらに好ましくは150〜400℃である。また、減圧下で加熱、乾燥を行ってもよい。
【0078】
塗布膜および硬化後の膜厚に特に制限はないが、ともに0.001〜100μmの範囲が一般的である。
【0079】
本発明のシロキサン樹脂組成物に感光性を付与した場合は、フォトリソグラフィにより任意のパターンを形成することができる。パターン形成プロセスの例としては、次の方法が挙げられる。本発明のシロキサン樹脂組成物を塗布し、80℃〜130℃程度の任意の温度で加熱乾燥する。次いで、任意の露光光源を用いてパターン露光を行う。露光後、任意の現像液で現像を行い、所望のパターンを得る。パターン形成後、加熱硬化を行うことで硬化膜のパターンを得ることができる。このプロセスにおいて、露光後に必要に応じて露光後ベークを行ってもよい。露光光源に制限はなく、i線、g線、h線等の紫外線や、KrF(波長248nm)レーザー、ArF(波長193nm)レーザー等を用いることができる。
【0080】
本発明のシロキサン樹脂組成物により形成された塗布膜および硬化膜は、固体撮像素子などに形成されるオンチップマイクロレンズ、反射防止膜に使われるハードコート層、半導体装置のバッファコート、平坦化材、液晶ディスプレイの保護膜のほか、層間絶縁膜、導波路形成用材料、位相シフター用材料、各種保護膜など各種光学物品として用いることができる。中でも、酸化チタン粒子や酸化ジルコニウム粒子を含む場合には、高い透明性と比較的高い屈折率を両立できることから、固体撮像素子上に形成されるオンチップマイクロレンズや反射防止膜に使われるハードコート層として特に好適に用いられる。このような用途においては、硬化膜の屈折率は1.55以上が好ましく、1.60以上がより好ましい。また、フッ素原子を含有する場合には高い透明性と低い屈折率を発現することから、固体撮像素子のオンチップマイクロレンズ上に形成される平坦化膜や各種反射防止膜として好ましく用いられる。このような用途においては、硬化膜の屈折率は1.50以下が好ましく、1.45以下がより好ましい。例えば、特開2003−86778記載の半導体装置において、層内レンズの上に本発明のシロキサン樹脂組成物を塗布、硬化させて平坦化膜とし、該平坦化膜上にカラーフィルタ、保護膜、外部マイクロレンズ等を順次形成することで集光効率の高い固体撮像素子を形成することができる。また、いずれの用途においても、膜厚1μmの硬化膜の、波長400nmにおける透過率は95%以上であることが好ましく、98%以上であることがより好ましい。
【実施例】
【0081】
以下に実施例を挙げて本発明を説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。なお、各実施例における特性評価は以下の方法により行った。
【0082】
硬化膜の作製
図1に示すように、ポリイミドパターン1により高さ0.7μmの段差を設けた6インチシリコン基板3に、シロキサン樹脂組成物を塗布し、ついでホットプレ−ト(大日本スクリーン製造(株)製SCW−636)を用いて、120℃で3分プリベークして塗布膜を得た。この塗布膜を、空気雰囲気下のホットプレート上で200℃で5分加熱し、硬化膜を得た。
【0083】
塗布膜および硬化膜の膜厚測定
大日本スクリーン製造(株)製ラムダエースSTM−602を使用し、塗布膜および硬化膜の膜厚の測定を行った。
【0084】
塗布膜の段差被覆性評価
ポリイミドパターンによる高さ0.7μmの段差の近傍の測定点a、b、c、および段差のない平坦部分の測定点dにおいて、塗布膜の膜厚を測定した。ここで、
図1に示すように、測定点aはポリイミドパターン1の端部から距離10μmの点、測定点bは距離100μmの点、測定点cは距離500μmの点、測定点dは距離5mm以上で段差のない部分である。((a〜cの最大値)−d)/dの値により段差被覆性を評価した。この値が小さいものほど段差による膜厚の変動が小さく、段差被覆性が良好である。
【0085】
塗布ムラの評価
マイクロレンズアレイパターン上にシロキサン樹脂組成物を塗布し、塗布ムラ評価用基板を得た。塗布ムラ評価用基板の断面図を
図2a)に、上面図を
図2b)に示す。マイクロレンズアレイパターンは、シリコン基板3上にポリイミドパターン1により形成されたもので、5μm角、高さ0.7μmの凸パターンが1.25μm間隔で形成されている。該パターン上でのシロキサン樹脂組成物の塗布ムラの有無を光学顕微鏡で観察し評価した。評価結果例を
図3に示す。
図3b)を塗布ムラあり、
図3a)を塗布ムラなしと評価した。
【0086】
透過率の測定
5cm角のガラス基板上に作製した膜厚1.0μmの硬化膜について、紫外−可視分光光度計UV−260(島津製作所(株)製)を用いて、400nmの透過率を測定した。
【0087】
屈折率の測定
5cm角のガラス基板上に作製した膜厚1.0μmの硬化膜について、プリズムカプラーMODEL2010(METRICON(株)社製)を用い、室温22℃での波長632.8nm(He−Neレーザー光源使用)における屈折率を測定した。なお、ここで測定した屈折率は、膜面に対して垂直方向の屈折率(TE)である。
【0088】
合成例1 キノンジアジド化合物の合成
乾燥窒素気流下、TrisP−PA(商品名、本州化学工業(株)製)21.22g(0.05モル)と5−ナフトキノンジアジドスルホン酸クロリド(東洋合成(株)製、NAC−5)26.8g(0.1モル)を1,4−ジオキサン450gに溶解させ、室温にした。ここに、1,4−ジオキサン50gとトリエチルアミン12.65gの混合液を、系内が35℃以上にならないように滴下した。滴下後40℃で2時間攪拌した。トリエチルアミン塩を濾過し、濾液を水に投入した。その後、析出した沈殿を濾過で集め、1%塩酸水1Lで洗浄した。その後、さらに水2Lで2回洗浄した。この沈殿を真空乾燥機で乾燥し、下記式で表されるキノンジアジド化合物を得た。
【0089】
【化1】
【0090】
参考例1
メチルトリメトキシシラン 20.4g(0.15mol)、フェニルトリメトキシシラン 69.4g(0.35mol)、1−エトキシ−2−プロパノール190gを反応容器に入れ、この溶液に、水30.6gおよびリン酸0.48gを、撹拌しながら、反応温度が40℃を越えないように滴下した。滴下後、フラスコに蒸留装置を取り付け、得られた溶液をバス温105℃で2.5時間加熱撹拌して、加水分解により生成したメタノールを留去しつつ反応させた。その後、溶液をバス温130℃でさらに2時間加熱撹拌した後、室温まで冷却し、ポリマー溶液A(固形分33重量%)を得た。
【0091】
得られたポリマー溶液A20gを取り、1−t−ブトキシ−2−プロパノール30gを加えて希釈し、樹脂組成物1を得た。
【0092】
得られた樹脂組成物1を用い、前記のように段差を有するシリコン基板上に塗布し、120℃で3分プリベークを行って塗布膜を得た。ここで段差被覆性および塗布ムラの評価を行った。また、別途ガラス基板上に形成した塗布膜を硬化させて硬化膜とした後、透過率および屈折率の測定を行った。
【0093】
参考例2
1−エトキシ−2−プロパノールのかわりに1−t−ブトキシ−2−プロパノールを用いる以外は
参考例1と同様に加水分解および縮合を行い、ポリマー溶液B(固形分30重量%)を得た。得られたポリマー溶液B20gを取り、これに1−t−ブトキシ−2−プロパノール30gを加えて希釈し、樹脂組成物2を得た。得られた樹脂組成物2を用い、
参考例1と同様に評価を行った。
【0094】
実施例
1
メチルトリメトキシシラン 147g(1.08mol)、トリフルオロプロピルトリメトキシシラン 118g(0.54mol)、1−t−ブトキシ−2−プロパノール320gを反応容器に入れ、この溶液に、水100gおよびリン酸0.88gを、撹拌しながら、反応温度が40℃を越えないように滴下した。滴下後、フラスコに蒸留装置を取り付け、得られた溶液をバス温105℃で2.5時間加熱撹拌して、加水分解により生成したメタノールを留去しつつ反応させた。その後、溶液をバス温130℃でさらに2時間加熱撹拌した後、室温まで冷却し、ポリマー溶液C(固形分30重量%)を得た。
【0095】
得られたポリマー溶液C20gを取り、これに1−t−ブトキシ−2−プロパノール25gを加えて希釈し、樹脂組成物3を得た。この樹脂組成物中のシロキサン樹脂中のフッ素含有量は22.5重量%であった。得られた樹脂組成物3を用い、
参考例1と同様に評価を行った。
【0096】
参考例
3
参考例2で得たポリマー溶液Bを10g取り、これに触媒化成工業(株)製酸化ケイ素−酸化チタン複合粒子である”オプトレイクTR−520”(固形分濃度30%、γ−ブチロラクトン溶液)5gおよび1−t−ブトキシ−2−プロパノール15gを加えて撹拌し、樹脂組成物4を得た。得られた樹脂組成物4を用い、
参考例1と同様に評価を行った。
【0097】
参考例
4
メチルトリメトキシシラン 20.4g(0.15mol)、フェニルトリメトキシシラン 69.4g(0.35mol)、1−t−ブトキシ−2−プロパノール190gを反応容器に入れ、この溶液に、水27.0gおよびリン酸0.31gを、撹拌しながら反応温度が40℃を越えないように滴下した。滴下後、フラスコに蒸留装置を取り付け、得られた溶液をバス温105℃で1時間加熱撹拌して、加水分解により生成したメタノールを留去しつつ反応させた。その後、溶液をバス温130℃でさらに4時間加熱撹拌した後、室温まで冷却し、ポリマー溶液D(固形分41.5重量%)を得た。
【0098】
得られたポリマー溶液D20gと、合成例1で得たキノンジアジド化合物0.58gを1−t−ブトキシ−2−プロパノール30gに溶解し、樹脂組成物5を得た。
【0099】
得られた樹脂組成物5を用い、前記のように段差を有するシリコン基板上に塗布し、90℃で2分プリベークを行って塗布膜を得た。ここで段差被覆性および塗布ムラの評価を行った。また、別途ガラス基板上に形成した塗布膜を硬化させて硬化膜とした後、透過率および屈折率測定を行った。
【0100】
つぎに、以下の手順でポジ型感光特性の評価を行った。樹脂組成物5を6インチシリコンウエハ上に回転塗布した。次いで、塗布膜を100℃のホットプレート(Mark−7)で2分間ベークし、厚さ1μmのプリベーク膜を作製した。このプリベーク膜を、i線ステッパー(GCA製DSW−8000)を用いて0〜800mJ/cm
2の露光量にて25mJ/cm
2ステップで露光した。次いで、2.38重量%のテトラメチルアンモニウム(TMAH)水溶液(三菱ガス化学(株)製、ELM−D)で45秒現像し、純水でリンスした。得られたパターンを光学顕微鏡で観察したところ、350mJ/cm
2の露光量で幅5μmのポジパターンが解像していた。
【0101】
実施例
2
メチルトリメトキシシラン 147.1g(1.08mol)、トリフルオロプロピルトリメトキシシラン 117.9g(0.54mol)、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン 44.4g(0.18mol)、1−t−ブトキシ−2−プロパノール320gを反応容器に入れ、この溶液に、水100gおよびリン酸0.77gを、撹拌しながら反応温度が40℃を越えないように滴下した。滴下後、フラスコに蒸留装置を取り付け、得られた溶液をバス温70℃で1時間加熱撹拌した。さらに溶液をバス温115℃で2時間加熱撹拌した後、室温まで冷却し、ポリマー溶液E(固形分47.9重量%)を得た。
【0102】
得られたポリマー溶液E20gと、光酸発生剤であるPAI−101(みどり化学製)0.1gを1−t−ブトキシ−2−プロパノール30gに溶解し、樹脂組成物6を得た。この樹脂組成物中において、シロキサン樹脂中のフッ素含有量は17重量%であった。
【0103】
得られた樹脂組成物6を用い、
参考例
4と同様にして段差被覆性および塗布ムラの評価、透過率および屈折率の測定を行った。
【0104】
つぎに、以下の手順でネガ型感光特性の評価を行った。樹脂組成物6を6インチシリコンウエハ上に回転塗布した。次いで、90℃のホットプレート(Mark−7)で2分間ベークし、厚さ1μmのプリベーク膜を作製した。このプリベーク膜を、i線ステッパー(GCA製DSW−8000)を用いて0〜800mJ/cm
2の露光量にて25mJ/cm
2ステップで露光した。さらに、90℃のホットプレートで1分間PEB(post exposure bake)を行い、2.38%のテトラメチルアンモニウム(TMAH)水溶液(三菱ガス化学(株)製、ELM−D)で60秒現像し、純水でリンスした。得られたパターンを光学顕微鏡で観察したところ、200mJ/cm
2の露光量で幅5μmのネガパターンが解像していた。
【0105】
参考例
5
ジメチルジメトキシシラン 12.02g(0.10mol)、メチルトリメトキシシラン 47.68g(0.35mol)、テトラエトキシシラン 9.61g(0.05mol)1−t−ブトキシ−2−プロパノール200gを反応容器に入れ、この溶液に、水26.1gおよびリン酸0.488gを、撹拌しながら、反応温度が40℃を越えないように滴下した。滴下後、フラスコに蒸留装置を取り付け、得られた溶液をバス温105℃で2.5時間加熱撹拌して、加水分解により生成したメタノールを留去しつつ反応させた。その後、溶液をバス温130℃でさらに2時間加熱撹拌した後、室温まで冷却し、ポリマー溶液F(固形分28重量%)を得た。
【0106】
得られたポリマー溶液F20gを取り、これに1−t−ブトキシ−2−プロパノール20gを加えて希釈し、樹脂組成物7を得た。得られた樹脂組成物7を用い、
参考例1と同様に評価を行った。
【0107】
参考例
6
ビニルトリメトキシシラン 14.82g(0.10mol)、メチルトリメトキシシラン 47.68g(0.35mol)、テトラエトキシシラン 9.61g(0.05mol)1−t−ブトキシ−2−プロパノール200gを反応容器に入れ、この溶液に、水29.7gおよびリン酸0.488gを、撹拌しながら、反応温度が40℃を越えないように滴下した。滴下後、フラスコに蒸留装置を取り付け、得られた溶液をバス温105℃で2.5時間加熱撹拌して、加水分解により生成したメタノールを留去しつつ反応させた。その後、溶液をバス温130℃でさらに2時間加熱撹拌した後、室温まで冷却し、ポリマー溶液G(固形分26重量%)を得た。
【0108】
得られたポリマー溶液G20gを取り、これに1−t−ブトキシ−2−プロパノール20gを加えて希釈し、樹脂組成物8を得た。得られた樹脂組成物8を用い、
参考例1と同様に評価を行った。
【0109】
比較例1
参考例1で得られたポリマー溶液20gを取り、これに1−n−ブトキシ−2−プロパノール30gを加えて希釈し、樹脂組成物A1を得た。得られた樹脂組成物A1を用い、
参考例1と同様に評価を行った。
【0110】
比較例2
参考例1で得られたポリマー溶液20gを取り、これにプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート35gを加えて希釈し、樹脂組成物A2を得た。得られた樹脂組成物A2を用い、
参考例1と同様に評価を行った。
【0111】
比較例3
参考例1で得られたポリマー溶液20gを取り、これに乳酸エチル18gを加えて希釈し、樹脂組成物A3を得た。得られた樹脂組成物A3を用い、
参考例1と同様に評価を行った。
【0112】
実施例1〜
2、参考例1〜6、比較例1〜3の評価結果を表1に示す。
【0113】
【表1】