(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、荒加工に着目した場合には、砥石に対して、研削抵抗の低減および摩耗の低減が要求される。研削抵抗を低減することにより、発熱を抑制することができ、加工能率を向上することにもつながる。また、摩耗を低減することにより、砥石寿命を向上することができる。
【0005】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、主として荒加工に適したCBN砥石を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
(請求項1)本発明のCBN砥石は、立方晶窒化ホウ素(CBN)砥粒を結合剤により結合することにより成形されるCBN砥石において、前記CBN砥粒は、四面体結晶構造をもつ単結晶CBN砥粒と多結晶CBN砥粒とを含み、前記単結晶CBN砥粒は、前記CBN砥粒全体の体積に対して50体積%以上の割合で配合され、前記CBN砥石における前記結合剤の内部には、外気に連通する連続気孔を有さず、かつ、外気に連通しない微細孤立気孔が設けられ
、前記単結晶CBN砥粒の平均粒径は、前記多結晶CBN砥粒の平均粒径の3/5〜4/5である。
【0007】
(請求項2)本発明
において、前記微細孤立気孔の平均粒径は、前記CBN砥粒の1〜10数%になるように形成する
とよい。
【0008】
(請求項3)本発明において、前記結合剤は、酸化物粒子および非結晶ガラスを含んで形成されるビトリファイドボンド結合剤である
とよい。
【発明の効果】
【0009】
(請求項
1,2)本発明によれば、四面体構造をもつ単結晶CBN砥粒が鋭利なへき開面を有することにより、研削抵抗を低減することに寄与する。一方、多結晶CBN砥粒が高い靱性を有することにより、多結晶CBN砥粒自体が摩耗しにくい。そして、多結晶CBN砥粒が摩耗しにくいのに対して、四面体構造をもつ単結晶CBN砥粒は、破砕しやすい。その結果、CBN砥石表面においては、多結晶CBN砥粒が最も径方向外側に位置し、四面体構造をもつ単結晶CBN砥粒は、多結晶CBN砥粒よりも僅かに径方向内側に位置する状態になる。つまり、多結晶CBN砥粒が最も大きな力を受けるのに対して、四面体構造をもつ単結晶CBN砥粒は、比較的受ける力が小さくなる。
【0010】
CBN砥石表面がこのような状態になることで、多結晶CBN砥粒による耐摩耗性を十分に発揮させながら、四面体構造をもつ単結晶CBN砥粒による研削抵抗の低減化を発揮することができる。加えて、単結晶CBN砥粒の体積割合を50体積%以上にすることで、四面体構造をもつ単結晶CBN砥粒が確実に被加工物を研削する状態にすることができる。従って、本発明のCBN砥石は、特に荒加工に要求される性質を十分に発揮できるCBN砥石となる。
【0011】
さらに、本発明によれば、結合剤の内部に連続気孔を有さず、微細孤立気孔が設けられている。結合剤の内部に連続気孔を有するCBN砥石においては、砥粒の保持力を十分に発揮できない。そのため、多結晶CBN砥粒および単結晶CBN砥粒を上述したような状態で保持することが容易ではない。つまり、上述したような、耐摩耗性を向上させつつ、研削抵抗を低減するという効果を十分に発揮できない。一方、結合剤の内部に気孔そのものを有しない構造も考えられるが、保持力が高くなるが、ドレッシングが容易ではないという問題があるため、適用することができない。そこで、本発明のように、結合剤の内部に微細孤立気孔を設けることにより、保持力を十分に発揮することができる構造とすることで、多結晶CBN砥粒と単結晶CBN砥粒の位置を適切な状態で保持することができる。その結果、確実に、耐摩耗性を向上しつつ、研削抵抗を低減することができる。
【0012】
(請求項3)本発明によれば、確実に、結合剤の内部に微細孤立気孔を形成できる。従って、上述した効果を確実に発揮
できる。
【発明を実施するための形態】
【0014】
(CBN砥石の構成)
本実施形態のCBN砥石を用いた砥石車の構成について、
図1および
図2を参照して説明する。
図1に示すように、砥石車10は、鉄又はアルミニウム等の金属で成形された円盤状の基体20と、基体20の外周面に接着された複数のCBN砥石30とを備えて構成される。複数のCBN砥石30は、径方向厚さ5〜10mmの円弧状に形成されており、すべてのCBN砥石30により円環状に形成される。
【0015】
図2に示すように、CBN砥石30は、四面体構造をもつ単結晶の立方晶窒化ホウ素(CBN)砥粒31と、多結晶CBN砥粒32と、ビトリファイドボンド結合剤33とを備えて構成される。
【0016】
四面体構造をもつ単結晶CBN砥粒31は、荷重を受けると比較的容易に破砕されやすい性質を有することにより、鋭利なへき開面を有する状態となる。特に、四面体構造をもつことにより、鋭利なへき開面が顕著に現れる。多結晶CBN砥粒32は、高い靱性を有する。そして、単結晶CBN砥粒31と多結晶CBN砥粒32とを合わせた合計体積に対して、単結晶CBN砥粒31の割合を50体積%以上としている。また、単結晶CBN砥粒31の平均粒径と多結晶CBN砥粒の平均粒径の比は、3/5〜4/5の範囲内となるようにしておく。なお、配合割合および平均粒径の比についての詳細は、後述する。
【0017】
ビトリファイドボンド結合剤33は、酸化物粒子33aおよび非結晶ガラス33bから構成される。ビトリファイドボンド結合剤33は、単結晶CBN砥粒31および多結晶CBN砥粒32のそれぞれの外周を覆い、単結晶CBN砥粒31および多結晶CBN砥粒のそれぞれを結合させる。また、ビトリファイドボンド結合剤33内には、微細孤立気孔33cが所定量設けられている。それぞれの微細孤立気孔33cは、外気に連通されないように設けられている。つまり、微細孤立気孔33cは、外気に連通する連続気孔ではない。従って、ビトリファイドボンド結合剤33には、外気に連通する連続気孔は形成されていない。
【0018】
以下、ビトリファイドボンド結合剤33について、より詳細に説明する。酸化物粒子33aは、非結晶ガラス33bの強度を高めるために添加されるものであり、例えばケイ酸塩鉱物であるZrSiO
4(ジルコン)、TiO
2(チタニア)、ZrO
2(ジルコニア)、Cr
2O
3(クロミア)、酸化アルミニウム(Al
2O
3)等が用いられる。非結晶ガラス33bは、例えばホウケイ酸ガラス、リン酸塩ガラス、ホウ酸塩ガラス等が用いられる。酸化物粒子33aと非結晶ガラス33bの線熱膨張係数は、結合されるCBN砥粒31,32の線熱膨張係数とほぼ同じ値である(3.5±2)×10−6(1/℃)の範囲内にあるものが好ましい。このようにすることで、CBN砥粒31,32と酸化物粒子33aおよび非結晶ガラス33bとは、温度の変化によって剥離する恐れはなく、CBN砥石30は品質の維持が図られる。
【0019】
ビトリファイドボンド結合剤33を構成する酸化物粒子33aと、非結晶ガラス33bは体積比で3:7〜4:6の範囲内で混合され形成される。これは酸化物粒子33aの混合割合を30%以下にすると、非結晶ガラス33bの流動性が抑制できず焼成前或いは焼成中にCBN砥石30の形状を保てず角部がだれてしまう。また、混合割合を40%以上にすると、酸化物粒子33aを含んだ状態での非結晶ガラス33bが強くかつ硬くなり過ぎ、ドレス性が悪くなるとともに研削時の発熱量が多くなり研削焼けを生じる可能性があるためである。そこで、CBN砥石30は、酸化物粒子33aの混合割合を30〜40体積%とすることにより、適切な硬さで所望形状に焼成している。
【0020】
また、CBN砥石30内において、ビトリファイドボンド結合剤33の占める体積AとCBN砥粒31,32の占める合計体積Bとの比率A/Bは、1〜6の範囲で形成されるのがよい。この体積の比率はCBN砥粒31,32の集中度に換算すると50〜200に相当し、この低集中度によって、CBN砥石30は初期から大きな研削抵抗を受けることなく、研削焼けの起きる恐れがない。
【0021】
酸化物粒子33aとして例えばZrSiO
4(ジルコン)粒子が混入され焼成されたビトリファイドボンド結合剤33は、CBN砥粒31,32の外周を覆って、隣接する各CBN砥粒31,32間の隙間を埋め、各CBN砥粒31,32と結合している。CBN砥粒31,32間の隙間に埋められたビトリファイドボンド結合剤33内には、所定体積比の微細孤立気孔33cが形成されている。微細孤立気孔33cとは外気と連通することなく形成された微細な孤立した気泡である。ここで、所定体積比とは、ビトリファイドボンド結合剤33のCBN砥粒31,32に対する保持力を維持するとともに、かつ、ビトリファイドボンド結合剤33に対する良好なドレス性を維持するのに適した体積比である。当該体積比は、ビトリファイドボンド結合剤33を構成する非結晶ガラス33bの体積に対して8%±4%とされるのがよい。微細孤立気孔33cの体積のコントロールは、後述する製造過程で混入される発泡剤の量を調整することによって行なわれる。また、微細孤立気孔33cの平均粒径は、ビトリファイドボンド結合剤33のCBN砥粒31,32に対する保持力を維持するとともに、かつ、ビトリファイドボンド結合剤33に対する良好なドレス性を維持するために、CBN砥粒31,32の粒径の1〜10数%になるよう形成されるのが望ましい。
【0022】
(砥石車の製造方法)
次に、砥石車10の製造方法について説明する。まず、砥石車10構成する円弧状のCBN砥石30の製造方法について説明する。ビトリファイドボンド結合剤33の原材料となる酸化物粒子33aの粉末と非結晶ガラス33bの粉末とを、体積比が3:7〜4:6の範囲内になるように均一に混ぜ合わせる。また、四面体構造をもつ単結晶CBN砥粒31と多結晶CBN砥粒32とを、体積比が90:10〜50:50の範囲内になるように均一に混ぜ合わせる。また、単結晶CBN砥粒31の平均粒径および多結晶CBN砥粒32の平均粒径の比は、3/5〜4/5の範囲内となるようにしている。
【0023】
続いて、ビトリファイドボンド結合剤33の中に単結晶CBN砥粒31および多結晶CBN砥粒32を混入して、各CBN砥粒31,32を均等に分散させる。このとき、ビトリファイドボンド結合剤33の体積AとCBN砥粒31,32の合計体積Bとの体積比A/Bが、1〜6の範囲になるようにする。
【0024】
さらに、ビトリファイドボンド結合剤33中に微細孤立気孔33cを形成するための発泡剤として例えばhBN(6方晶窒化ホウ素)等を粉末状態にて均等に混ぜ合わせる。このとき、発泡剤の投入量は、非結晶ガラス33bの体積に対して0.5%〜2%とするのが望ましい。なお、発泡剤は、ホタル石(CaF
2)や炭酸カルシウム(CaCo
3)等でもよい。
【0025】
次に、混ぜ合わされたビトリファイドボンド結合剤33、CBN砥粒31,32および発泡剤を型内に入れて、所定の圧力にてプレスし成形した後に焼成する。ここで、プレス圧を調整することにより、ビトリファイドボンド結合剤33の結合力を若干調整することが可能である。そして、焼成する際に、発泡剤である例えばhBN(6方晶窒化ホウ素)と非結晶ガラス33bとが反応してガスが発生する。発生したガスが、ビトリファイドボンド結合剤33の中に形成される微細孤立気孔33cとなる。
【0026】
このようにして、ビトリファイドボンド結合剤33の中に多数の微細孤立気孔33cが形成され、かつ、四面体構造をもつ単結晶CBN砥粒31と多結晶CBN砥粒32とが含まれたCBN砥石30が形成される。このとき、微細孤立気孔33cの平均粒径は、CBN砥粒31,32の平均粒径に対して1%〜10数%程度になるよう形成されるのが望ましい。例えば、単結晶CBN砥粒31の粒径が100μmであれば、微細孤立気孔33cの平均粒径は数μm〜十数μmとするのがよく、発泡剤の混入量を調整して対応する。そして、
図1に示すように、成形された円弧状の複数のCBN砥石30を、基体20の外周面に接着剤で貼り付けて、砥石車10を完成させる。
【0027】
(評価試験)
次に、上述したCBN砥石30について、砥石寿命および研削抵抗について評価を行うための試験を行った。
【0028】
(試験条件)
評価試験の条件は、次のとおりである。被加工物は、ダクタイル鋳鉄(FCD)により円柱形状に形成され、外周面に高周波焼入れが施されている。砥石車10は、直径350mmの円盤状とする。周速を80m/sとし、研削能率を50mm
3/mm/sとする。
【0029】
そして、砥石車10を構成するCBN砥石30について、多結晶CBN砥粒32と単結晶CBN砥粒31の体積比、および、多結晶CBN砥粒32と単結晶CBN砥粒31の平均粒径比を変更したものを用いた。本試験においては、多結晶CBN砥粒32と単結晶CBN砥粒の体積比は、0:100、10:90、25:75、100:0の4種類について行った。また、多結晶CBN砥粒32と単結晶CBN砥粒を含むものについては、多結晶CBN砥粒32の平均粒径と単結晶CBN砥粒31の平均粒径の比は、1:1、2:3の2種類について行った。
【0030】
(試験結果)
当該試験の結果を
図3に示す。
図3において、Aは、単結晶CBN砥粒31を100体積%としたものであり、Bは、多結晶CBN砥粒32を100体積%としたものである。また、C1は、多結晶CBN砥粒32と単結晶CBN砥粒31の体積比が10:90であり、多結晶CBN砥粒32と単結晶CBN砥粒31の平均粒径比が1:1である。C2は、多結晶CBN砥粒32と単結晶CBN砥粒31の体積比が10:90であり、多結晶CBN砥粒32と単結晶CBN砥粒31の平均粒径比が2:3である。D1は、多結晶CBN砥粒32と単結晶CBN砥粒31の体積比が25:75であり、多結晶CBN砥粒32と単結晶CBN砥粒31の平均粒径比が1:1である。D2は、多結晶CBN砥粒32と単結晶CBN砥粒31の体積比が25:75であり、多結晶CBN砥粒32と単結晶CBN砥粒31の平均粒径比が2:3である。
【0031】
図3から分かるように、Bで示す多結晶CBN砥粒32を100体積%とした場合には、Aで示す単結晶CBN砥粒31を100%とした場合に比べて、砥石寿命は向上するが、研削抵抗が大きくなってしまう。そこで、単結晶CBN砥粒31を100%とした場合と同程度の研削抵抗であって、砥石寿命が向上するものが望まれる。ここで、多結晶CBN砥粒32と単結晶CBN砥粒31とを配合したC1,C2,D1,D2について、両者を配合していないA,Bと比較するために、AとBとを結ぶ直線を基準として考える。
【0032】
つまり、C1,C2,D1,D2は、当該直線よりも下側、すなわち、砥石寿命を同程度とした点に比べると研削抵抗が低減されていることを意味する。このように、多結晶CBN砥粒32と単結晶CBN砥粒31とを配合することにより、砥石寿命を確保しつつ、研削抵抗を低減することができる。
【0033】
また、研削抵抗が高くなると、研削焼けを生じるおそれがある。そのため、研削抵抗はある程度低い範囲で適用する必要がある。そして、
図3のAで示す単結晶CBN砥粒31を100体積%とした場合の研削抵抗と比べて、C1,C2,D1,D2における研削抵抗は、それほど大きくなっているわけではない。つまり、C1,C2,D1,D2における研削抵抗であれば、十分に適用範囲内であると言える。このように、単結晶CBN砥粒31のみの場合に比べて研削抵抗をほぼ同程度とすることができるにも関わらず、砥石寿命は、格段に向上していることが分かる。
【0034】
次に、
図3を参照して、多結晶CBN砥粒32の平均粒径と単結晶CBN砥粒31の平均粒径の比を異ならせた場合について考察する。つまり、
図3におけるC1とC2の比較、および、D1とD2の比較を行う。
【0035】
多結晶CBN砥粒32と単結晶CBN砥粒31の体積比を10:90とした場合に、単結晶CBN砥粒31の平均粒径を多結晶CBN砥粒32の平均粒径に対して2/3としたC2は、同じ平均粒径のC1に比べて、砥石寿命は同程度であるが、研削抵抗が低減されている。また、多結晶CBN砥粒32と単結晶CBN砥粒31の体積比を25:75とした場合にも、単結晶CBN砥粒31の平均粒径を多結晶CBN砥粒32の平均粒径に対して2/3としたD2は、同じ平均粒径のD1に比べて、砥石寿命は同程度であるが、研削抵抗が低減されている。このように、単結晶CBN砥粒31の平均粒径を多結晶CBN砥粒32の平均粒径に対して2/3とすることにより、砥石寿命は同程度であるのに対して、研削抵抗を低減することができる。
【0036】
(考察)
ここで、多結晶CBN砥粒32と単結晶CBN砥粒31とを配合することで研削抵抗が格段に低減できる理由について、検討した結果を以下に考察する。
図2に示すように、砥石車10の外周の表面において、多結晶CBN砥粒32および単結晶CBN砥粒31が、ビトリファイドボンド結合剤33から露出している。このように、各CBN砥粒31,32が、ビトリファイドボンド結合剤33から露出することにより、被加工物を研削することができる。
【0037】
ここで、四面体構造をもつ単結晶CBN砥粒31は、上述したように、荷重を受けると比較的容易に破砕されやすい性質を有することにより、鋭利なへき開面を有する状態となる。一方、多結晶CBN砥粒32は、靱性が高いため、単結晶CBN砥粒31のように破砕されることは少ない。そのため、
図2に示すように、砥石車10の表面においては、多結晶CBN砥粒32が最も径方向外側に位置し、四面体構造をもつ単結晶CBN砥粒31は、多結晶CBN砥粒32よりも僅かに径方向内側に位置する状態になる。つまり、多結晶CBN砥粒32が最も大きな力を受けるのに対して、四面体構造をもつ単結晶CBN砥粒31は、比較的受ける力が小さくなる。
【0038】
砥石車10の表面がこのような状態になることで、多結晶CBN砥粒32が耐摩耗性を十分に発揮することにより、四面体構造をもつ単結晶CBN砥粒31が破砕されにくくすることができる。つまり、砥石寿命が向上することになる。そして、破砕されにくくなった四面体構造をもつ単結晶CBN砥粒31により、研削抵抗の低減化を確実に発揮することができる。加えて、単結晶CBN砥粒31の体積割合を50体積%以上にすることで、露出する単結晶CBN砥粒31の割合を多くすることができる。その結果、四面体構造をもつ単結晶CBN砥粒31によって被加工物を確実に研削する状態にすることができる。つまり、研削抵抗を確実に低減することができる。
【0039】
さらに、単結晶CBN砥粒31の平均粒径を多結晶CBN砥粒32の平均粒径に対して4/5以下にすると良い。このように、単結晶CBN砥粒31の平均粒径を多結晶CBN砥粒32の平均粒径よりも小さくすることで、
図2に示すように、砥石車10の表面において、多結晶CBN砥粒が最も径方向外側に位置し、四面体構造をもつ単結晶CBN砥粒31を多結晶CBN砥粒32より径方向内側に位置する状態にできる。
【0040】
加えて、単結晶CBN砥粒31の平均粒径を多結晶CBN砥粒32の平均粒径に対して3/5以上にすると良い。このように、単結晶CBN砥粒31の平均粒径を多結晶CBN砥粒32の平均粒径に対してあまりにも小さくしすぎないことで、
図2に示すように、砥石車10の表面において、ビトリファイドボンド結合剤33から確実に露出するようにできる。従って、単結晶CBN砥粒31の平均粒径を多結晶CBN砥粒32の平均粒径に対して3/5〜4/5とすることで、砥石車10の表面において、多結晶CBN砥粒が最も径方向外側に位置し、四面体構造をもつ単結晶CBN砥粒31を多結晶CBN砥粒32より僅かに径方向内側に位置する状態にできる。
【0041】
さらに、ビトリファイドボンド結合剤33の中に、連続気孔を有さず、微細孤立気孔33cを設けることにより、CBN砥粒31,32の保持力が向上する。これにより、上述したように、各CBN砥粒31,32を上述した状態で保持することができる。つまり、微細孤立気孔33cを有することにより、耐摩耗性を向上させつつ、研削抵抗を低減することができる。また、微細孤立気孔33cを設けることにより、ドレッシング性は良好な状態となる。つまり、微細孤立気孔33cを設けることにより、CBN砥石30として非常に高性能なものとなる。
【0042】
以上説明したように、本実施形態のCBN砥石30の構造により、研削抵抗の低減および摩耗の低減を図ることができる。研削抵抗を低減することにより、発熱を抑制することができ、加工能率を向上することにもつながる。また、摩耗を低減することにより、砥石寿命を向上することができる。そして、研削抵抗の低減および摩耗の低減は、特に荒加工において重要な要素である。従って、本実施形態の砥石車10は、荒加工に適したものとなり、例えば旋削加工の代替として適用することも可能となる。
【0043】
なお、上記実施形態において、結合剤としてビトリファイドボンドを用いたが、これに限られるものではない。例えば、結合剤としてメタルボンドを適用することもできる。ただし、微細孤立気孔33cを形成するためには、ビトリファイドボンドを適用する方が容易にかつ確実となる。そのため、上記実施形態では、ビトリファイドボンド結合剤を適用した例として説明した。