【実施例】
【0044】
以下、実施例
、参考例および比較例を挙げて本発明を更に具体的に説明する。
【0045】
〔
参考例1−1〕<炭素材料用分散剤の合成>
加熱装置、撹拌装置、窒素吹き込み管、滴下ロート、冷却管を備えた反応器に、トルエンを700g仕込み、窒素雰囲気とした後、攪拌しながら環流温度まで昇温した。昇温後、ステアリルメタクリレート400g(1.18mol)、ポリオキシプロピレン(平均付加モル数14)メタクリレート600g(0.75mol)、1,1-ジ(t−へキシルパーオキシ)シクロヘキサン7.9g(0.025mol)をトルエン650gに溶解した溶液を反応器に2時間掛けて適下した。適下終了後、1時間環流し、1,1-ジ(t−へキシルパーオキシ)シクロヘキサン0.79g(0.002mol、単量体と合わせて入れた量の1/10とする。)をトルエン50gに溶解した溶液を適下ロートから、環流温度で反応器に30分掛けて適下した。さらに、2時間環流し、次に、40℃でエバポレーション、105℃で真空乾燥をおこなうことによりトルエンを除去し、本
参考例に係る分散剤を得た。表1に実施例
、参考例または比較例で用いる単量体と構成単位(a1)、(a2)の関係を記し、表2に分散剤(実施例
、参考例の分散剤を表わす。)または比較剤(比較例の分散剤を表わす。)の重合条件と重量平均分子量を記した。
【0046】
〔実施例
1−1、参考例1〜2〜1−4、比較例1−1〜1−5〕<分散剤および比較剤の合成>
参考例1−1で用いた原料と条件を、表1および表2に示す原料と条件に変更し、重合開始剤の種類と量を適宜合わせた以外は、
参考例1−1と同様の方法を用いて分散剤および比較剤を得た。
【0047】
〔参考例1〕<重量平均分子量の測定>
実施例1−1
、参考例1−1〜1−4、比較例1−1〜1−5を、ゲルパーミエイション・クロマトグラフィー法を用いて、以下の条件で、ポリスチレン換算の重量平均分子量を測定した。結果を表2に併せて記す。
【0048】
測定機器:HLC−8220GPC(東ソー株式会社製)、
検出器:RI−8022 Refractive Index Detector(東ソー株式会社製)、
カラム:KF−805 L(Shodex社製):1本、
カラム温度:40℃、
溶離液:テトラヒドロフラン、
流速:1.0mL/分、
標準物質:ポリスチレン、
インジェクション量:100μL
【0049】
【表1】
【0050】
【表2】
【0051】
〔
参考例2−1〕<CB分散液の調製>
カーボンブラック(#40、三菱化学(株)製、平均粒子径24nm)5.0gに
参考例1−1の分散剤0.2gを添加し、スターラーでかき混ぜながらメチルエチルケトン22.4gを加え、CB分散液を調製した。表3の
参考例2−1に、分散剤、分散媒および分散媒添加量を記した。
【0052】
〔実施例
2−1、参考例2−2〜2−6、比較例2−1〜2−6〕<CB分散液または比較液の調製>
表3に示す分散剤または比較剤と分散媒の組み合わせで、
参考例2−1に準じて、実施例
2−1、参考例2−2〜2−6、比較例2−1〜2−6のCB分散液および比較液を調製した。
【0053】
〔参考例2〕<CB分散液または比較液の分散媒添加量測定>
CB分散液は、フロー値が2.3±0.1cmになった点の分散媒添加量で調製した。ここで、フロー値とは、円状に広がった流動体の直径を指し、同じ値であれば流動性が同等であることを示す。フロー値の測定は以下のようにした。ディスポシリンジ(TOP社製、容量5mL)の外筒を、先端から2cm程度のところで切断し、切断面開口部を上にして分散液2mLを入れ、開口部を10cm×10cmのガラス板で気体が入らないように塞ぎ、シリンジのピストン部分を固定しながらガラス板が下になるように上下反転させ、机上に置いた。最後に、シリンジの外筒を一気に引き上げ、ガラス板上に広がった円状の流動体の直径(フロー値)を測定した。
【0054】
〔参考例3〕<分散性評価1:CB分散液または比較液の分散媒添加量比較>
分散媒添加量は、実施例
(参考例を含む。)では20.0±3.2g、比較例では28.1±2.7gであり、実施例
(参考例を含む。)の分散液の方が、CBが比較的高濃度でありながら、比較液と同じ流動性のスラリーが得られた。このことより、比較例より実施例
(参考例を含む。)の分散液の方がCB分散性に優れていることが示された。
【0055】
〔参考例4〕<分散性評価2:CB分散液または比較液の上層液吸光度測定>
CB分散液または比較液を、遠心分離器(LEGEND MACH 1.6R、Kendro Laboratory 製)を用いて、10,000rpm(9700g)で30分間遠心した。遠心後、上層液をデカンテーションにより採取し、500nmにおける吸光度を、光路長2mmの石英セルで測定した。吸光度が高いほどCBが分散していることを示す。結果を表3に併せて示した。この結果、上層液の吸光度は、実施例が
10より大きく、比較例が0.014〜
0.021であり、実施例の方が高い値であった。以上より、実施例の分散液はCB分散性に優れていることが示された。
【0056】
〔実施例2−1
、参考例2−1〜2−6、比較例2−1〜2−6〕<CB分散液または比較液のろ液調製>
実施例2−1
、参考例2−1〜2−6、比較例2−1〜2−6で作製したCB分散液または比較液を、分散媒で10倍に希釈した。その希釈液をろ紙(5A、東洋濾紙(株)製)にてろ過し、ろ液を調製した。
【0057】
〔参考例5〕<分散性評価3:CB分散液または比較液のろ液評価>
ろ液のCB分散性を目視にて評価した。ろ液の色は、黒色が濃いほどCB分散性が優れていることを示す。評価結果を表3に併せて示した。この結果、ろ液の色は、実施例が◎(黒色
)、比較例が×(無色透明)であった。以上より、実施例のろ液はCBを含有しており、CB分散性に優れていることが示された。
【0058】
【表3】
【0059】
〔
参考例3−1〕<CNF分散液の調製>
トルエン100.0gに
参考例1−1の分散剤1.0gを溶解後、CNF(VGCF−H、昭和電工(株)製)0.2gを添加し、スターラーで1時間攪拌後、超音波照射器(Ultrasonic Generator Model US−150、(株)日本精機製作所製)を用いて約1時間超音波照射することで、CNF分散液を調製した。なお、超音波照射時は、液の発熱を抑えるために、適宜、氷水等で冷却し、液温を40℃以下に保持した。表4の
参考例3−1に、分散剤、被分散物および分散媒を記した。
【0060】
〔実施例
3−1、参考例3−2〜3−4、比較例3−1〜3−2〕<CNF、CNT分散液または比較液の調製>
表4に示す分散剤または比較剤、被分散物、分散媒の組み合わせで、
参考例3−1に準じて、実施例
3−1、参考例3−2〜3−4、比較例3−1〜3−2のCNF、CNT分散液または比較液を調製した。
【0061】
〔参考例6〕<分散性評価4:CNF、CNT分散液または比較液の上層液吸光度測定>
CNF、CNT分散液または比較液の上層液吸光度を、参考例4と同様の方法で測定した。吸光度が高いほどCNFまたはCNTが分散していることを示す。結果を表4に併せて示した。この結果、上層液の吸光度は
、CNTでは、実施例が
10より大きく、比較例が
0.016となり
、実施例の方が高い値であった。以上より、実施例の分散液
はCNT分散性に優れていることが示された。
【0062】
〔実施例3−1
、参考例3−1〜3−4、比較例3−1〜3−2〕<CNF、CNT分散液または比較液のろ液調製>
実施例3−1
、参考例3−1〜3−4、比較例3−1〜3−2で調製したCNF、CNT分散液または比較液を、分散媒で10倍に希釈した。その希釈液をろ紙(5A、東洋濾紙(株)製)にてろ過し、ろ液を調製した。また、実施例
3−1、参考例3−3〜3−4で調製したCNT分散液については、分散媒で100倍に希釈した希釈液のろ液も調製した。
【0063】
〔参考例7〕<分散性評価5:CNF、CNT分散液または比較液のろ液評価>
ろ液のCNF、CNT分散性を目視にて評価した。ろ液の色は、黒色が濃いほどCNF、CNT分散性が優れていることを示す。評価結果を表4に併せて示した。この結果、10倍希釈のろ液の色は
、CNTでは実施例が◎(黒色)、比較例が×(無色透明)であった。また、100倍希釈液のろ液の色は、実施例
3−1が◎(黒色)、
参考例3−3および3−4が○(薄黒色)であった。以上より、実施例のろ液
はCNTを含有しており
、CNT分散性に優れていることが示され、特に実施例
3−1がCNT分散性に優れていることが示された。
【0064】
【表4】
【0065】
〔
参考例4−1〕<CB分散液からの炭素材料組成物の調製>
表3に示す
参考例2−1のCB分散液を、40℃以下でエバポレーションし、溶媒を除去した。溶媒除去後、粉砕し、炭素材料が分散剤で被膜された炭素材料組成物を得た。
【0066】
〔実施例
4−1〜4−2、参考例4−2〜4−10、比較例4−1〜4−8〕<CB、CNF、CNT分散液または比較液からの炭素材料組成物の調製>
参考例4−1に準じて、実施例
4−1〜4−2、参考例4−2〜4−10、比較例4−1〜4−8の炭素材料が分散剤または比較剤で被膜された炭素材料組成物を得た。
【0067】
〔
参考例5−1〕<CB再分散液のろ液調製>
参考例4−1の炭素材料組成物に、メチルエチルケトンを22.4g添加し、スターラーで1時間攪拌してCB再分散液を調製し、分散媒で10倍に希釈した。その希釈液をろ紙(5A、東洋濾紙(株)製)にてろ過し、ろ液を調製した。表5の
参考例5−1に、炭素材料組成物、分散媒および分散媒添加量を記した。
【0068】
〔実施例
5−1、参考例5−2〜5−6、比較例5−1〜5−6〕<CB再分散液、比較液のろ液調製>
表5に示す炭素材料組成物、分散媒、添加量の組み合わせで、
参考例5−1に準じて、実施例
5−1、参考例5−2〜5−6、比較例5−1〜5−6のCB再分散液、比較液のろ液を調製した。
【0069】
〔
参考例5−7〕<CNF再分散液のろ液調製>
参考例4−7の炭素材料組成物に、トルエン100. 0gを添加し、スターラーで1時間攪拌後、超音波照射器を用いて約1時間超音波照射してCNF再分散液を調製し、分散媒で10倍に希釈した。その希釈液をろ紙(5A、東洋濾紙(株)製)にてろ過し、CNF再分散液のろ液を調製した。なお、超音波照射時は、液の発熱を抑えるために、適宜、氷水等で冷却し、液温を40℃以下に保持した。表5の
参考例5−7に、炭素材料組成物、分散媒および分散媒添加量を記した。
【0070】
〔実施例
5−2、参考例5−8〜5−10、比較例5−7〜5−8〕<CNF、CNT再分散液または比較液のろ液調製>
表5に示す炭素材料組成物、分散媒、添加量の組み合わせで、
参考例5−7に準じて、実施例
5−2、参考例5−8〜5−10、比較例5−7〜5−8のCNF、CNT再分散液または比較液のろ液を調製した。また、実施例
5−2、参考例5−9〜5−10で調製したCNT分散液については、分散媒で100倍に希釈した希釈液のろ液も調製した。
【0071】
〔参考例8〕<分散性評価6:CB、CNF、CNT再分散液または比較液のろ液評価>
ろ液のCB、CNF、CNT分散性を目視にて評価した。ろ液の色は、黒色が濃いほどCB、CNF、CNT分散性が優れていることを示す。評価結果を表5に併せて示した。この結果、再分散液は〔参考例5〕、〔参考例7〕のろ液と同等の結果が得られ、炭素材料組成物を再分散させた分散液も分散性に優れていることが示された。
【0072】
【表5】