(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0017】
発明の実施の形態1.
図1は前扉を閉めた状態を示すスロットマシンの正面図、
図2は前扉を180度開いた状態を示すスロットマシンの正面図を示す。
図1及び
図2中、100はスロットマシンを示すもので、このスロットマシン100は、
図1に示すように、スロットマシン本体120と、このスロットマシン本体120の前面片側にヒンジ等により開閉可能に取り付けられた前扉130とを備えている。前記前扉130の前面には、
図1に示すように、ほぼ中央にゲーム表示部131を設け、ゲーム表示部131の右下隅部に、遊技者がメダルを投入するためのメダル投入口132を設け、メダル投入口132の下側には、メダル投入口132から投入され、詰まってしまったメダルをスロットマシン100外に強制的に排出するためのリジェクトボタン133が設けられている。
また、前記ゲーム表示部131の左下方には、ゲームを開始するためのスタートスイッチ134を設けてあり、3つの回胴のそれぞれに対応して3つのストップスイッチ140を設けてある。前扉の下端部中央には、メダルの払出し口135を設けてある。前記ゲーム表示部131の上側には、液晶表示装置LCDが設けてある。
【0018】
スロットマシン本体120の内部には、
図2に示すように、その内底面に固定され、内部に複数のメダルを貯留して、貯留したメダルを前扉130の前面に設けた払出し口135に1枚ずつ払い出すためのホッパ装置121が設置されている。このホッパ装置121の上部には、上方に向けて開口し、内部に複数のメダルを貯留するホッパタンク122を備えている。スロットマシン本体120の内部には、前扉130を閉めたときにゲーム表示部131が来る位置に三個の回胴からなるリール(回胴)ユニット203が設置されている。リールユニット203は、外周面に複数種類の図柄が配列されている3つの回胴(第1回胴〜第3回胴)を備えている。ゲーム表示部131には開口部が設けられていて、それを通して遊技者が前記リールユニット203の各回転回胴の図柄を見ることができるようになっている。ホッパ装置121の左側には電源部205が設けられている。
【0019】
前記前扉130の裏面には、
図2に示すように、メダル(コイン)セレクタ1が、前扉130の前面に設けられたメダル投入口132の裏側に取り付けられている。このメダルセレクタ1は、メダル投入口132から投入されたメダルの通過を検出しながら、当該メダルをホッパ装置121に向かって転動させ、外径が所定寸法と違う異径メダルや、鉄又は鉄合金で作製された不正メダルを選別して排除するとともに、1ゲームあたりに投入可能な所定枚数以上のメダルを選別して排除するための装置である。
【0020】
また、メダルセレクタ1の下側には、
図2に示すように、その下部側を覆って前扉130の払出し口135に連通する導出路136が設けられている。メダルセレクタ1により振り分けられたメダルは、この導出路136を介して払出し口135から遊技者に返却される。
【0021】
図3は発明の実施の形態に係るスロットマシン100の機能ブロック図を示す。
この図において電源系統についての表示は省略されている。図示しないが、スロットマシンは商用電源(AC100V)から直流電源(+5Vなど)を発生するための電源部を備える。
【0022】
スロットマシン100は、その主要な処理装置としてメイン基板(処理部)10とこれからコマンドを受けて動作するサブ基板20とを備える。なお、少なくともメイン基板10は、外部から接触不能となるようにケース内部に収容され、これら基板を取り外す際に痕跡が残るように封印処理が施されている。
【0023】
メイン基板10は、遊技者の操作を受けて内部抽選を行ったり、リールの回転・停止やメダルの払い出しなどの処理(遊技処理)を行うためのものである。メイン基板10は、予め設定されたプログラムに従って制御動作を行うCPUと、前記プログラムを記憶する記憶手段であるROMおよび処理結果などを一時的に記憶するRAMを含む。
【0024】
サブ基板20は、メイン基板10からコマンド信号を受けて内部抽選の結果を報知したり各種演出を行うためのものである。サブ基板20は、前記コマンド信号に応じた予め設定されたプログラムに従って制御動作を行うCPUと、前記プログラムを記憶する記憶手段であるROMおよび処理結果などを一時的に記憶するRAMを含む。コマンドの流れはメイン基板10からサブ基板20への一方のみであり、逆にサブ基板20からメイン基板10へコマンド等が出されることはない。
【0025】
メイン基板10には、ベットスイッチBET、スタートスイッチ134,ストップボタン140,リールユニット(リール駆動装置を含む)203,リール位置検出回路71、ホッパ駆動部80、ホッパ81及びホッパ81から払い出されたメダルの枚数を数えるためのメダル検出部82(これらは前述のホッパ装置121を構成する)が接続されている。サブ基板20には液晶表示装置の制御用の液晶制御基板200、スピーカ基板201、LED基板202などの周辺基板(ローカル基板)が接続されている。
【0026】
メイン基板10には、さらに、メダルセレクタ1のメダルセンサS1及びS2が接続されている。
【0027】
メダルセレクタ1には、メダルを計数するためのメダルセンサS1及びS2が設けられている。メダルセンサS1及びS2は、メダルセレクタ1に設けられた図示しないメダル通路の下流側(出口近傍)に設けられている(メダル通路の上流側はメダル投入口132に連通している)。2つのメダルセンサS1とS2は、メダルの進行方向に沿って所定間隔を空けて並べて設けられている。メダルセンサS1、S2は、例えば、互いに対向した発光部と受光部とを有して断面コ字状に形成され、その検出光軸をメダル通路内に上方から臨ませて位置するフォトインタラプタである。各フォトインタラプタにより、途中で阻止されずに送られてきたメダルの通過が検出される。なお、フォトインタラプタを2つ隣接させたのは、メダル枚数を検出するだけでなく、メダルの通過が正常か否かを監視するためである。すなわち、フォトインタラプタを2つ隣接させて設けることにより、メダルの通過速度や通過方向を検出することができ、これによりメダル枚数だけでなく、逆方向に移動する不正行為を感知することができる。
【0028】
ホッパ駆動部80は、ホッパ81を回転駆動して、メイン基板10によって指示された払出数のメダルを払い出す動作を行う。遊技機は、メダルを1枚払い出す毎に作動するメダル検出部82を備えており、メイン基板10は、メダル検出部82からの入力信号に基づいてホッパ81から実際に払い出されたメダルの数を管理することができる。
【0029】
投入受付部1050は、メダルセレクタ1のメダルセンサS1とS2の出力を受け、遊技毎にメダルの投入を受け付けて、規定投入数に相当するメダルが投入されたことに基づいて、スタートスイッチ134に対する第1リール〜第3リールの回転開始操作を許可する処理を行う。なお、スタートスイッチ134の押下操作が、第1リール〜第3リールの回転を開始させる契機となっているとともに、内部抽選を実行する契機となっている。また、遊技状態に応じて規定投入数を設定し、通常状態およびボーナス成立状態では規定投入数を3枚に設定し、ボーナス状態では規定投入数を1枚に設定する。
【0030】
メダルが投入されると、遊技状態に応じた規定投入数を限度として、投入されたメダルを投入状態に設定する。あるいは、遊技機にメダルがクレジットされた状態で、ベットスイッチBETが押下されると、遊技状態に応じた規定投入数を限度して、クレジットされたメダルを投入状態に設定する。メダルの投入を受け付けるかどうかは、メイン基板10が制御する。メダルの投入を受け付ける状態になっていないときは(許可されていないときは)、メダルを投入してもメダルセンサS1、S2でカウントされず、そのまま返却される。同様に、メイン基板10はベットスイッチBETの有効/無効を制御する。ベットスイッチBETが有効になっていないときは(許可されていないときは)、ベットスイッチBETを押下しても、それは無視される。
【0031】
メイン基板10は、乱数発生手段1100を内蔵する。乱数発生手段1100は、抽選用の乱数値を発生させる手段である。乱数値は、例えば、インクリメントカウンタ(所定のカウント範囲を循環するように数値をカウントするカウンタ)のカウント値に基づいて発生させることができる。なお本実施形態において「乱数値」には、数学的な意味でランダムに発生する値のみならず、その発生自体は規則的であっても、その取得タイミング等が不規則であるために実質的に乱数として機能しうる値も含まれる。
【0032】
内部抽選手段1200は、遊技者がスタートスイッチ134からのスタート信号に基づいて、役の当否を決定する内部抽選を行う。すなわち、メイン基板10のメモリ(図示せず)に記憶されている抽選テーブル(図示せず)を選択する抽選テーブル選択処理、乱数発生手段1050から得た乱数の当選を判定する乱数判定処理、当選の判定結果で大当たりなどに当選したときにその旨のフラグを設定する抽選フラグ設定処理などを行う。
【0033】
抽選テーブル選択処理では、図示しない記憶手段(ROM)に格納されている複数の抽選テーブル(図示せず)のうち、いずれの抽選テーブルを用いて内部抽選を行うかを決定する。抽選テーブルでは、複数の乱数値(例えば、0〜65535の65536個の乱数値)のそれぞれに対して、リプレイ、小役(ベル、チェリー)、レギュラーボーナス(RB:ボーナス)、およびビッグボーナス(BB:ボーナス)などの各種の役が対応づけられている。また、遊技状態として、通常状態、ボーナス成立状態、およびボーナス状態が設定可能とされ、さらにリプレイの抽選状態として、リプレイ無抽選状態、リプレイ低確率状態、リプレイ高確率状態が設定可能とされる。
【0034】
乱数判定処理では、スタートスイッチ134からのスタート信号に基づいて、遊技毎に前記乱数発生手段(図示せず)から乱数値(抽選用乱数)を取得し、取得した乱数値について前記抽選テーブルを参照して役に当選したか否かを判定する。
【0035】
抽選フラグ設定処理では、乱数判定処理の結果に基づいて、当選したと判定された役の抽選フラグを非当選状態(第1のフラグ状態、オフ状態)から当選状態(第2のフラグ状態、オン状態)に設定する。2種類以上の役が重複して当選した場合には、重複して当選した2種類以上の役のそれぞれに対応する抽選フラグが当選状態に設定される。抽選フラグの設定情報は、記憶手段(RAM)に格納される。
【0036】
入賞するまで次回以降の遊技に当選状態を持ち越し可能な抽選フラグ(持越可能フラグ)と、入賞の如何に関わらず次回以降の遊技に当選状態を持ち越さずに非当選状態にリセットされる抽選フラグ(持越不可フラグ)とが用意されていることがある。この場合、前者の持越可能フラグが対応づけられる役としては、レギュラーボーナス(RB)およびビッグボーナス(BB)があり、それ以外の役(例えば、小役、リプレイ)は後者の持越不可フラグに対応づけられている。すなわち抽選フラグ設定処理では、内部抽選でレギュラーボーナスに当選すると、レギュラーボーナスの抽選フラグの当選状態を、レギュラーボーナスが入賞するまで持ち越す処理を行い、内部抽選でビッグボーナスに当選すると、ビッグボーナスの抽選フラグの当選状態を、ビッグボーナスが入賞するまで持ち越す処理を行う。このときメイン基板10は、内部抽選機能により、レギュラーボーナスやビッグボーナスの抽選フラグの当選状態が持ち越されている遊技でも、レギュラーボーナスおよびビッグボーナス以外の役(小役およびリプレイ)についての当否を決定する内部抽選を行っている。すなわち抽選フラグ設定処理では、レギュラーボーナスの抽選フラグの当選状態が持ち越されている遊技において、内部抽選で小役あるいはリプレイが当選した場合には、既に当選しているレギュラーボーナスの抽選フラグと内部抽選で当選した小役あるいはリプレイの抽選フラグとからなる2種類以上の役に対応する抽選フラグを当選状態に設定し、ビッグボーナスの抽選フラグの当選状態が持ち越されている遊技において、内部抽選で小役あるいはリプレイが当選した場合には、既に当選しているビッグボーナスの抽選フラグと内部抽選で当選した小役あるいはリプレイの抽選フラグとからなる2種類以上の役に対応する抽選フラグを当選状態に設定する。
【0037】
リプレイ処理手段1600は、所定条件下で内部抽選におけるリプレイの当選確率を変動させる制御を行うことがある。リプレイ処理手段1600については、後に再度説明を加える。リプレイの抽選状態として、リプレイが内部抽選の対象から除外されるリプレイ無抽選状態、リプレイの当選確率が約1/7.3に設定されるリプレイ低確率状態、およびリプレイの当選確率が約1/6に設定されるリプレイ高確率状態という複数種類の抽選状態を設定可能とされている。リプレイの抽選状態を変化させることにより、内部抽選におけるリプレイの当選確率を変動させる。
【0038】
リール制御手段1300は、遊技者がスタートスイッチ134の押下操作(回転開始操作)によるスタート信号に基づいて、第1リール〜第3リールをステッピングモータにより回転駆動して、第1リール〜第3リールの回転速度が所定速度(約80rpm:1分間あたり約80回転となる回転速度)に達した状態において回転中のリールにそれぞれ対応する3つのストップボタン140の押下操作(停止操作)を許可する制御を行うとともに、ステッピングモータにより回転駆動されている第1リール〜第3リールを抽選フラグの設定状態(内部抽選の結果)に応じて停止させる制御を行う。
【0039】
また、リール制御手段1300は、3つのストップボタン140に対する押下操作(停止操作)が許可(有効化)された状態において、遊技者が3つのストップボタン140を押下することにより、そのリール停止信号に基づいて、リールユニット203のステッピングモータへの駆動パルス(モータ駆動信号)の供給を停止することにより、第1リール〜第3リールの各リールを停止させる制御を行う。
【0040】
すなわち、リール制御手段1300は、3つのストップボタン140の各ボタンが押下される毎に、第1リール〜第3リールのうち押下されたボタンに対応するリールの停止位置を決定して、決定された停止位置でリールを停止させる制御を行っている。具体的には、記憶手段(ROM)に記憶されている停止制御テーブル(図示せず)を参照して3つのストップボタンの押下タイミングや押下順序等(停止操作の態様)に応じた第1リール〜第3リールの停止位置を決定し、決定された停止位置で第1リール〜第3リールを停止させる制御を行う。
【0041】
ここで停止制御テーブルでは、ストップボタン140の作動時点における第1リール〜第3リールの位置(押下検出位置)と、第1リール〜第3リールの実際の停止位置(または押下検出位置からの滑りコマ数)との対応関係が設定されている。抽選フラグの設定状態に応じて、第1リール〜第3リールの停止位置を定めるための停止制御テーブルが用意されることもある。
【0042】
遊技機では、リールユニット203がフォトセンサからなるリールインデックス(図示せず)を備えており、リール制御手段1300は、リールが1回転する毎にリールインデックスで検出される基準位置信号に基づいて、リールの基準位置(リールインデックスによって検出されるコマ)からの回転角度(ステップモータの回転軸の回転ステップ数)を求めることによって、現在のリールの回転状態を監視することができるようになっている。すなわち、メイン基板10は、ストップスイッチ140の作動時におけるリールの位置を、リールの基準位置からの回転角度を求めることにより得ることができる。
【0043】
リール制御手段1300は、いわゆる引き込み処理と蹴飛ばし処理とをリールを停止させる制御として行っている。引き込み処理とは、抽選フラグが当選状態に設定された役に対応する図柄が有効な入賞判定ライン上に停止するように(当選した役を入賞させることができるように)リールを停止させる制御処理である。一方蹴飛ばし処理とは、抽選フラグが非当選状態に設定された役に対応する図柄が有効な入賞判定ライン上に停止しないように(当選していない役を入賞させることができないように)リールを停止させる制御処理である。すなわち本実施形態の遊技機では、上記引き込み処理及び蹴飛ばし処理を実現させるべく、抽選フラグの設定状態、ストップボタン140の押下タイミング、押下順序、既に停止しているリールの停止位置(表示図柄の種類)などに応じて各リールの停止位置が変化するように停止制御テーブルが設定されている。このように、メイン基板10は、抽選フラグが当選状態に設定された役の図柄を入賞の形態で停止可能にし、一方で抽選フラグが非当選状態に設定された役の図柄が入賞の形態で停止しないように第1リール〜第3リールを停止させる制御を行っている。
【0044】
本実施形態の遊技機では、第1リール〜第3リールが、ストップボタン140が押下された時点から190ms以内に、押下されたストップボタンに対応する回転中のリールを停止させる制御状態に設定されている。すなわち回転している各リールの停止位置を決めるための停止制御テーブルでは、ストップボタン140の押下時点から各リールが停止するまでに要するコマ数が0コマ〜4コマの範囲(所定の引き込み範囲)で設定されている。
【0045】
入賞判定手段1400は、第1リール〜第3リールの停止態様に基づいて、役が入賞したか否かを判定する処理を行う。具体的には、記憶手段(ROM)に記憶されている入賞判定テーブルを参照しながら、第1リール〜第3リールの全てが停止した時点で入賞判定ライン上に表示されている図柄組合せが、予め定められた役の入賞の形態であるか否かを判定する。
【0046】
入賞判定手段1400は、その判定結果に基づいて、入賞時処理を実行する。入賞時処理としては、例えば、小役が入賞した場合にはホッパ81を駆動してメダルの払出制御処理が行われるか、あるいはクレジットの増加され(規定の最大枚数例えば50枚まで増加され、それを超えた分だけ実際にメダル払い出される)、リプレイが入賞した場合にはリプレイ処理が行われ、ビッグボーナスやレギュラーボーナスが入賞した場合には遊技状態を移行させる遊技状態移行制御処理が行われる。
【0047】
払出制御手段1500は、遊技結果に応じたメダルの払い出しに関する払出制御処理を行う。具体的には、小役が入賞した場合に、役毎に予め定められている配当に基づいて遊技におけるメダルの払出数を決定し、決定された払出数に相当するメダルを、ホッパ駆動部80でホッパ81を駆動して払い出させる。この際に、ホッパ81に内蔵される図示しないモータに電流が流れることになる。
【0048】
メダルのクレジット(内部貯留)が許可されている場合には、ホッパ81によって実際にメダルの払い出しを行う代わりに、記憶手段(RAM)のクレジット記憶領域(図示省略)に記憶されているクレジット数(クレジットされたメダルの数)に対して払出数を加算するクレジット加算処理を行って仮想的にメダルを払い出す処理を行う。
【0049】
リプレイ処理手段1600は、リプレイが入賞した場合に、次回の遊技に関して遊技者の所有するメダルの投入を要さずに前回の遊技と同じ準備状態に設定するリプレイ処理(再遊技処理)を行う。リプレイが入賞した場合には、遊技者の手持ちのメダル(クレジットメダルを含む)を使わずに前回の遊技と同じ規定投入数のメダルが自動的に投入状態に設定される自動投入処理が行われ、遊技機が前回の遊技と同じ入賞判定ラインを有効化した状態で次回の遊技における回転開始操作(遊技者によるスタートスイッチ134の押下操作)を待機する状態に設定される。
【0050】
また、メイン基板10は、通常状態、ボーナス成立状態、およびボーナス状態の間で遊技状態を移行させる制御を行うことがある(遊技状態移行制御機能)。遊技状態の移行条件は、1の条件が定められていてもよいし、複数の条件が定められていてもよい。複数の条件が定められている場合には、複数の条件のうち1の条件が成立したこと、あるいは複数の条件の全てが成立したことに基づいて、遊技状態を他の遊技状態へ移行させることができる。
【0051】
通常状態は、複数種類の遊技状態の中で初期状態に相当する遊技状態で、通常状態からはボーナス成立状態への移行が可能となっている。ボーナス成立状態は、内部抽選でビッグボーナスあるいはレギュラーボーナスに当選したことを契機として移行する遊技状態である。ボーナス成立状態では、通常状態における内部抽選でビッグボーナスが当選した場合、ビッグボーナスが入賞するまでビッグボーナスに対応する抽選フラグが当選状態に維持され、通常状態における内部抽選でレギュラーボーナスが当選した場合、レギュラーボーナスが入賞するまでレギュラーボーナスに対応する抽選フラグが当選状態に維持される。ボーナス状態では、ボーナス遊技によって払い出されたメダルの合計数により終了条件が成立したか否かを判断し、入賞したボーナスの種類に応じて予め定められた払出上限数を超えるメダルが払い出されると、ボーナス状態を終了させて、遊技状態を通常状態へ復帰させる。
【0052】
リールユニット203は、図示しない3つのリールを備えるが、3つのリールそれぞれにひとつづつステッピングモータが取り付けられている。ステッピングモータは、回転子(ロータ)として歯車状の鉄心あるいは永久磁石を備え、固定子(ステータ)として複数の巻線(コイル)を備え、電流を流す巻線を切り替えることによって回転動作させるものである。すなわち、固定子の巻線に電流を流して磁力を発生させ、回転子を引きつけることで回転するものである。回転軸を指定された角度で停止させることが可能なことから、スロットマシンのリールの回転駆動に使用されている。複数の巻線がひとつの相を構成する。相の数として、例えば、2つ(二相)、4つ(4相)、5つ(5相)のものもある。
【0053】
ステッピングモータは、各相の巻線への電流の与え方を変えることにより、特性を変えることができる(励磁モードが変わる)。二相型については次の通りである。
【0054】
・一相励磁
常に巻線一相のみに電流を流す。位置決め精度は良い。
【0055】
・二相励磁
二相に電流を流す。一相励磁の約2倍の出力トルクが得られる。位置決め精度は良く、停止したときの静止トルクが大きいため、停止位置を確実に保持できる。
【0056】
・一−二相励磁
一相と二相を交互に切り替えて電流を流す。一相励磁・二相励磁の場合のステップ角度の半分にすることができるので、滑らかな回転を得られる。
【0057】
なお、ステッピングモータを「駆動する」とは、当該モータを上記励磁により回転させることとともに、所望の位置で停止させその位置を保持するために各相を励磁することも含むものとする。
【0058】
スロットマシンでは、例えば、4相の基本ステップ角度1.43度のステッピングモータを使用し、パルスの出力方法として一−二相励磁を採用している。
【0059】
前述のように、サブ基板20には液晶表示装置LCDの制御用の液晶制御基板200、スピーカ基板201が接続されている。
図4に、遊技機の画像表示系統のブロック図を示す。
図4は、発明の実施の形態に係る字幕の表示を行う装置のブロック図である。
【0060】
サブ基板20は、液晶表示装置LCDの所定の画像(アニメーション)を表示させるためのコマンドとともに、その画像に重ねて字幕を表示させるためのコマンド(字幕表示コマンド)を液晶制御基板200へ送信する。所定の画像を表示させるためのコマンドは従来の遊技機で用いられているものと同じであり、その説明は省略する。
【0061】
発明の実施の形態に係る字幕表示コマンドの構成を
図6に示す。すなわち、字幕表示コマンドは、字幕の指定情報や字幕の表示タイミング情報である字幕表示情報と、字幕IDとを含むものである。液晶制御基板200には字幕管理テーブル(図示省略)が記憶されており、この字幕管理テーブルにおいて字幕ID(表示フレーム数情報)とこれに対応する表示フレーム数が規定されている。
【0062】
なお、字幕表示コマンドそのものに、字幕表示情報とともに、当該字幕を表示する期間を指定するための表示フレーム数を含んでもよい。
【0063】
字幕表示情報は液晶制御基板200に記憶されるものであり(あるいはサブ基板からのコマンドに含まれるものでもよい)、例えば表示すべき字幕を構成する文字列の情報(キャラクターコードの組み合わせ)である。あるいは、液晶制御基板200が予め定めた複数の字幕を表示できるものであり、そのための複数の字幕を予め記憶しているとして、そのいずれかを指定するための情報(字幕の指定情報)である。
【0064】
表示フレーム数は、字幕の表示期間をフレーム数の単位として指定するものである。フレーム数は液晶表示装置LCDの画面の更新レートであり、例えば、毎秒30フレームや毎秒60フレームである。毎秒60フレーム(=60fps)で描画及び表示する場合、1フレームの時間は16.67msである。毎秒30フレーム(=30fps)で描画及び表示する場合、1フレームの時間は33.33msである。
【0065】
2001は、サブ基板20からのコマンドに基づき所定の画面を生成して液晶表示装置LCDへ送るアニメーション制御部である。アニメーション制御部2001の動作は従来の遊技機のものと変わらないので、その説明は省略する。
【0066】
2002は、サブ基板20からの字幕表示コマンド(具体的には前記字幕表示情報)に基づき所定の字幕を生成して液晶表示装置LCDへ送る字幕制御部である。字幕制御部2002における字幕生成の手順は公知であるので、その説明は省略する。字幕制御部2002は、フレーム数カウンタ2004が予め定められた値(例えば0(ゼロ))になったときに字幕を消去する処理を行う。
【0067】
なお、アニメーション制御部2001と字幕制御部2002はひとつのユニットとすることもできる。
【0068】
2003は、サブ基板20から受けた字幕表示コマンドから表示フレーム数を読み取り、これをフレーム数カウンタ2004に設定する表示フレーム数設定部である。
【0069】
2004は、字幕の表示時間を定めるためにフレーム数をカウントするフレーム数カウンタである。
【0070】
2005は、アニメーション制御部2001の出力と字幕制御部2002の出力に基づき描画を行い、その出力を液晶表示装置LCDへ送る描画制御部である。
【0071】
すなわち、
図4の液晶制御基板20は、サブ基板20から字幕表示コマンドを受けて、字幕制御部2002により液晶表示装置LCDに字幕を表示させ、字幕表示コマンドに含まれる表示フレーム数をフレーム数カウンタ2004にセットし、フレームを単位としてフレーム数カウンタ2004を動作させ、フレーム数カウンタ2004が予め定められた値(ゼロ)になったとき、により字幕を消去する。
【0072】
なお、液晶表示装置LCDでのアニメーション表示や字幕表示は、図示しないビデオディスプレイコントローラ(Video Display Controller:VDC)が行うことが多い。
図4で言えば、アニメーション制御部2001と字幕制御部2002がVDCに相当する。VDCは、その内部に、サブ基板20のCPUとのインタフェースI/F、CPUからのコマンドに従い画像を描画する描画エンジン、描画した画像を記憶するビデオメモリ、及び、ビデオメモリに記憶された画像を読み出して液晶表示装置LCDへ送る表示エンジンを備える。
【0073】
ビデオディスプレイコントローラVDCは、例えば液晶制御基板200に内蔵されているが、サブ基板20に内蔵されていてもよい。
【0074】
図5は、発明の実施の形態に係る処理フローチャートである。同図の処理は発明の実施の形態に関連する部分のみを示し、アニメーション制御・字幕表示そのものなどの他の処理は省略している。
【0075】
S10:字幕表示コマンドを受信する。
字幕制御部2002と表示フレーム数設定部2003が、サブ基板20からの字幕表示コマンドを受信する。
【0076】
S11:字幕の表示フレーム数を設定する。
表示フレーム数設定部2003が字幕表示コマンドから表示フレーム数を読み出し、これをフレーム数カウンタ2004に設定する(プリセットする)。表示フレーム数の値は任意であるが、字幕表示コマンドで表示する字幕の表示期間を、フレームを単位とした値に相当する。なお、後述の
図7、
図8の場合には、所定の画面が表示された時点で字幕が強制的に消去されるので、字幕表示コマンドの表示フレーム数は当該字幕が表示されるべき最大限の長さに設定されている。
【0077】
S12:フレーム数カウンタが特定の値かどうか判定する。
フレーム数カウンタ2004の値が特定の値のときに「YES」と判定し、S13で字幕を表示する。字幕を表示したら
図5の処理を抜ける。
すなわち、「YES」であることが字幕表示の契機となる。「YES」となるのは、例えば次のような場合である。
【0078】
・フレーム数カウンタ2004の値が、字幕表示コマンドの表示フレーム数に一致している。
【0079】
・フレーム数カウンタ2004の値が、予め定められた閾値を越えている。当該閾値は字幕表示が有効になる値(時間)であり、例えば、遊技者が容易に把握できる1秒以上の時間である。
【0080】
S14:フレーム数カウンタが0(ゼロ)であるかどうか判定する。
0(ゼロ)のときは、字幕を表示すべき期間が終了したことを意味するから「YES」と判定し、S16で字幕を非表示とする。すなわち、「YES」であることが字幕消去の契機となる。
【0081】
「NO」であれば、S13bで字幕を表示し、S15でフレーム数カウンタ2004の値を減算(デクリメント)する。減算の単位はフレームである。
【0082】
以上の処理により、字幕を指定したタイミングで自動的に消去することができる。この処理は液晶制御基板200で行われるので、サブ基板20の負荷が軽減される。すなわち、字幕表示のタイミングはサブ基板20が指示し、消去のタイミングは液晶制御基板200自身が判断するので処理が分散され、遊技機全体として処理効率が向上する。
【0083】
なお、
図5のS11以降による、表示フレーム数を特定の値に設定する場合として、字幕を時間経過によって消去させたくないときに行われる。表示フレーム数の設定をカウンタの上限数以上の値に設定し、後述の
図8の処理によって当該字幕を消去する。
【0084】
図7及び
図8は、発明の実施の形態の変形例を示す。
【0085】
図7は、
図4に相当するブロック図であり、同一又は相当部分には同一符号を付してその説明は省略する。
【0086】
図7においては、フレーム数カウンタ2004がアニメーション制御部2001によりリセットされる点で、
図4と相違する。リセットとは、
図5のS14で「YES」となり、字幕が非表示となるように、フレーム数カウンタ2004の値を強制的に設定することを意味する。例えば、フレーム数カウンタ2004の値を0(ゼロ)とする。
【0087】
図8は、アニメーション制御部2001が行う字幕非表示タイミング処理のフローチャートである。同図は発明の実施の形態の変形例に関連する処理のみを示している。
【0089】
S21:字幕非表示タイミングであるかどうか判定する。
例えば、画面に特定の画像(WINロゴ)が表示されたかどうか判定し、表示されているときに「YES」となる。どの画像が前記特定の画像であるかは、予め定められている。「YES」のとき、S22の処理を行う。
【0090】
S22:フレーム数カウンタを0(ゼロ)に設定する。
上述のリセットを行う。
【0091】
発明の実施の形態の変形例によれば、アニメーション制御において特定の画像が表示される任意のタイミング(WINロゴの出現時等)で字幕を消去することができる。この処理は前記特定の画像の全ての表示タイミングに適用することができるので、字幕の消去設定を個別に行う必要がなく、したがって字幕に関するデータの作成作業を効率化することができる。
【0092】
なお、発明の実施の形態とこの変形例を組み合わせてもよい。例えば、カウンタに特定の値(十分に大きな値)を設定して字幕の表示が時間経過によって消去されないようにして、その後、アニメーション制御において特定の画像が表示されたことに基づいて字幕を消去するようにしてもよい。
【0093】
なお、以上の説明では、フレーム数カウンタ2004はフレームを単位として動作していたが、これに代えて、予め定められた任意の時間で動作するようにしてもよい。例えば、0.1秒間隔で自動的に減算するものでもよい。
【0094】
以上の説明では、もっぱらスロットマシンを例に取り説明してきたが、本発明の実施の形態は、パチンコ機についても適用することができる。パチンコ機も、スロットマシンと同様に、サブ基板、ビデオディスプレイコントローラ及び表示装置を備えるものが多く、本発明の実施の形態をそのまま適用することができる。
【0095】
本発明は、以上の実施の形態に限定されることなく、特許請求の範囲に記載された発明の範囲内で、種々の変更が可能であり、それらも本発明の範囲内に包含されるものであることは言うまでもない。