(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
気体燃料を燃焼させるボイラから排出される排ガスと送風機を用いてバーナに送る燃焼用空気とを熱交換して燃焼用空気を予熱するレキュペレータを備えた熱媒ボイラであって、
前記レキュペレータに導入される排ガスの一部をバイパスさせるバイパスラインを排ガスラインに接続し、前記バイパスラインに開度調整弁を設け、燃焼用空気供給ラインにはレキュペレータの出口側の燃焼用空気の温度を検出する温度センサを設け、さらに、燃料種に応じた予熱上限温度を記憶し、前記温度センサで検出した温度を入力し、燃料種に応じて前記レキュペレータの出口側の燃焼用空気の温度が予熱上限温度を超えないように前記開度調整弁の開度を調整する制御部を備えたことを特徴とする熱媒ボイラ。
気体燃料を燃焼させるボイラから排出される排ガスと送風機を用いてバーナに送る燃焼用空気とを熱交換して燃焼用空気を予熱するレキュペレータを備えた熱媒ボイラであって、
前記レキュペレータに導入される燃焼用空気の一部をバイパスさせるバイパスラインを燃焼用空気供給ラインに接続し、前記バイパスラインに開度調整弁を設け、前記燃焼用空気供給ラインにはレキュペレータの出口側の燃焼用空気の温度を検出する温度センサを設け、さらに、燃料種に応じた予熱上限温度を記憶し、前記温度センサで検出した温度を入力し、燃料種に応じて前記レキュペレータの出口側の燃焼用空気の温度が予熱上限温度を超えないように前記開度調整弁の開度を調整する制御部を備えたことを特徴とする熱媒ボイラ。
前記送風機とレキュペレータの間の燃焼用空気供給ラインに圧力損失部を設けてこの前後の圧力を検出して差圧を求める差圧検出手段を設け、また、前記送風機はインバータを備えており、前記制御部は、燃料種の燃焼量に対応した前記燃焼用空気供給ラインに設けた圧力損失部の入口側と出口側の差圧、差圧に対応したインバータの周波数の数値を記憶し、前記インバータの周波数を前記検出された差圧に対応する周波数に制御する機能を有することを特徴とする請求項1または2のいずれか1に記載の熱媒ボイラ。
【背景技術】
【0002】
熱媒ボイラは、熱媒油を高温(250℃〜300℃)に加熱し、この熱媒油を熱源として間接的に使用するものとして広く使用されている。加熱される熱媒油の温度は250℃〜300℃と高いため、排ガス温度は300℃〜350℃になり、持ち去られるエネルギーが大きい。このため、例えば、小型貫流ボイラのボイラ効率が92%以上であるのに比較して、熱媒ボイラのボイラ効率は約80%程度と熱効率が悪い。熱媒ボイラの高効率化を図るためには燃焼用空気を予熱することが一般的方法であり、燃焼用空気を予熱する方法として、ボイラから排出される排ガスと燃焼用空気とを熱交換する方法が用いられている(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
しかし、燃焼用空気の予熱温度を高めることにより、排ガス中の窒素酸化物濃度(以下、NOx濃度という。)も増加してしまい、大気汚染防止法で規制されている150ppmを超えてしまう場合がある。熱媒ボイラの高効率を維持しながらも、前記規制値を超えないようにするには予熱温度の上限を求め、予熱上限温度を超えない範囲で燃焼用空気を予熱する必要がある。この予熱上限温度は燃料の発熱量によって変わるため、例えば都市ガス(13A)、液化石油ガス(LPG)などの燃料種ごとに定める必要がある。
【0004】
従来、燃焼用空気の予熱による排ガス中のNOxの大量放出を抑制するものとして、空気ダクトと排ガスダクトのいずれか一方に熱交換器内を通過しないバイパスダクトを設け、前記ダクト内にバイパスダクトを流れる流体量を制御する切り換えダンパーを設けた排熱回収システムがある(例えば、特許文献2参照。)。
特許文献2に記載されている排熱回収システムによれば、前記ダクト内に設けた切り換えダンパーを切り換えてバイパスダクトを流れる流体量を制御し、排ガス中のNOxの量を所定量以下に抑えることができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、前記したように大気汚染防止法の規制値を超えないようにするために設ける予熱上限温度は燃料種によって異なるため、熱媒ボイラの高効率を維持しながらも、前記規制値を超えないようにするためには、燃料種に応じた予熱上限温度で予熱することが望まれるが、特許文献2に記載されている排熱回収システムには燃料種に応じた予熱上限温度で予熱するといった記載はなく、このため燃料種によっては予熱上限温度に達しな
い温度の予熱となってしまい、ボイラの効率を高めることができず、また予熱上限温度を超えた温度で予熱し、排ガス中のNOx濃度が前記規制値を超えてしまう場合があるといった問題がある。
【0007】
本発明の目的は、燃料種に応じた予熱上限温度で予熱し、熱媒ボイラの高効率を維持しながら、排ガス中のNOx濃度が規制値を超えないようにした熱媒ボイラを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の目的を達成するために、請求項1に記載の発明は、気体燃料を燃焼させるボイラから排出される排ガスと送風機を用いてバーナに送る燃焼用空気とを熱交換して燃焼用空気を予熱するレキュペレータを備えた熱媒ボイラであって、前記レキュペレータに導入される排ガスの一部をバイパスさせるバイパスラインを排ガスラインに接続し、前記バイパスラインに開度調整弁を設け、燃焼用空気供給ラインにはレキュペレータの出口側の燃焼用空気の温度を検出する温度センサを設け、さらに、燃料種に応じた予熱上限温度を記憶し、前記温度センサで検出した温度を入力し、燃料種に応じて前記レキュペレータの出口側の燃焼用空気の温度が予熱上限温度を超えないように前記開度調整弁の開度を調整する制御部を備えたことを特徴とする。
【0009】
請求項1に記載の発明によれば、温度センサで検出したレキュペレータの出口側の燃焼用空気の温度を入力し、前記レキュペレータの出口側の燃焼用空気の温度が燃料種に応じた予熱上限温度よりも低ければ前記開度調整弁の開度を絞る方向に調整して前記レキュペレータを流れる排ガス量を多くすることにより燃焼用空気の温度を上昇させ、前記レキュペレータの出口側の燃焼用空気の温度が前記予熱上限温度を超えるような場合は、前記開度調整弁の開度を開く方向に調整することにより前記レキュペレータを流れる排ガス量を少なくして燃焼用空気の温度の上昇を抑えることができることから、常に燃料種に応じた予熱上限温度で予熱することができることになり、熱媒ボイラの効率を高く維持しながら、排ガス中のNOx濃度が規制値を超えないようにすることができる。
【0010】
請求項2に記載の発明は、気体燃料を燃焼させるボイラから排出される排ガスと送風機を用いてバーナに送る燃焼用空気とを熱交換して燃焼用空気を予熱するレキュペレータを備えた熱媒ボイラであって、前記レキュペレータに導入される燃焼用空気の一部をバイパスさせるバイパスラインを燃焼用空気供給ラインに接続し、前記バイパスラインに開度調整弁を設け、前記燃焼用空気供給ラインにはレキュペレータの出口側の燃焼用空気の温度を検出する温度センサを設け、さらに、燃料種に応じた予熱上限温度を記憶し、前記温度センサで検出した温度を入力し、燃料種に応じて前記レキュペレータの出口側の燃焼用空気の温度が予熱上限温度を超えないように前記開度調整弁の開度を調整する制御部を備えたことを特徴とする。
【0011】
請求項2に記載の発明によれば、温度センサで検出したレキュペレータの出口側の燃焼用空気の温度を入力し、前記レキュペレータの出口側の燃焼用空気の温度が燃料種に応じた予熱上限温度よりも低ければ前記開度調整弁の開度を絞る方向に調整して前記レキュペレータを流れる燃焼用空気量を多くすることにより燃焼用空気の温度を上昇させ、前記レキュペレータの出口側の燃焼用空気の温度が予熱上限温度を超えるような場合は、前記開度調整弁の開度を開く方向に調整することにより前記レキュペレータを流れる燃焼用空気量を少なくして燃焼用空気の温度の上昇を抑えることができることから、常に燃料種に応じた予熱上限温度で予熱することができることになり、熱媒ボイラの効率を高く維持しながら、排ガス中のNOx濃度が規制値を超えないようにすることができる。
【0012】
請求項3に記載の発明は、請求項1または2のいずれか1に記載の、前記送風機とレキュペレータの間の燃焼用空気供給ラインに圧力損失部を設けてこの前後の圧力を検出して差圧を求める差圧検出手段を設け、また、前記送風機はインバータを備えており、前記制御部は、燃料種の燃焼量に対応した前記燃焼用空気供給ラインに設けた圧力損失部の入口側と出口側の差圧、差圧に対応したインバータの周波数の数値を記憶し、前記インバータの周波数を前記検出された差圧に対応する周波数に制御する機能を有することを特徴とする。
【0013】
請求項3に記載の発明によれば、前記開度調整弁の開度の調整により予熱空気温度が変化し、燃焼用空気量が変化したとき、前記差圧検出手段で検出された圧力損失部の入口側と出口側の差圧に基づいて、前記制御部が前記インバータの周波数を前記差圧検出手段で検出された差圧に対応する前記記憶している燃焼量に対応した数値の周波数に制御するので、燃焼用空気を燃焼種の燃焼量に追従させることができ、安定した燃焼性を維持することができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、レキュペレータの出口側の燃焼用空気の温度が燃料種に応じた予熱上限温度よりも低ければ前記レキュペレータを流れる排ガス量または燃焼用空気量を多くすることにより燃焼用空気の温度を上昇させ、前記レキュペレータの出口側の燃焼用空気の温度が予熱上限温度を超えるような場合は、前記レキュペレータを流れる排ガス量または燃焼用空気量を少なくして燃焼用空気の温度の上昇を抑えることができるので、常に燃料種に応じた予熱上限温度で予熱することができることになり、熱媒ボイラの効率を高く維持しながら、排ガス中のNOx濃度が規制値を超えないようにすることができる。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明に係る熱媒ボイラを実施するための形態を、図面に示す実施例を参照して詳細に説明する。
図1は本発明に係る熱媒ボイラの実施の形態の第1例を示す概略構成図、
図2,
図3はそれぞれ
図1の開度調整弁の他例を示す説明図である。
である。
【0017】
本例の熱媒ボイラ1は、上部にバーナ2が配置され、熱媒油が通る熱媒油加熱管3を2重のコイル状に形成した缶体4の内側に燃焼室5を形成している。バーナ2は缶体4の上部に設けられたウインドボックス6に取り付けられており、ウインドボックス6に燃焼用空気供給ライン7を介して燃焼用空気を送り込む送風機8を備えている。送風機8にはインバータ9が備えられており、インバータ9の周波数を制御することにより送風機8の回転数を制御して風量を調整できるようになっている。燃焼室5で燃焼した燃焼ガスは、缶体4を構成する2重のコイル状に形成した熱媒油加熱管3の内列下方の隙間から内列と外列の間に流入し、内列と外列の間を上昇する。熱媒油加熱管3の内列と外列の間を上昇した燃焼ガスは排ガスライン10へ流れる。
【0018】
また、排ガスライン10と燃焼用空気供給ライン7とに接続するレキュペレータ11を備えており、排ガスライン10を流通する排ガスと燃焼用空気供給ライン7を流通する燃焼用空気とを熱交換して燃焼用空気を予熱する。
バーナ2には、燃料ガスを供給する燃料ガス供給ライン12が接続されている。燃料ガス供給ライン12には、バーナ2へ燃料ガスを供給する燃料ガス流量調整弁13が設けられている。
【0019】
本例では、前記レキュペレータ11に導入される排ガスの一部をバイパスさせるバイパスライン14が排ガスライン10に接続されており、バイパスライン14には開度調整弁15が設けられている。また、燃焼用空気供給ライン7にはレキュペレータ11の出口側の燃焼用空気の温度を検出する温度センサ16が設けられ、温度センサ16で検出した温度を制御部17へ発信するようになっている。
開度調整弁15にあっては、
図2に示すようにダンパとしてもよい。また、本例では、開度調整弁15はバイパスライン14に設けられているが、
図3に示すように、開度調整弁15として3方弁を用い、3方弁を排ガスライン10とバイパスライン14の分岐部分に設け、3方弁の開度を調整して排ガスライン10およびバイパスライン14への排ガス流量を分割調整するようにしてもよい。
【0020】
送風機8とレキュペレータ11の間の燃焼用空気供給ライン7には、燃焼用空気供給ライン7を流通する燃焼用空気に圧力損失を付与する圧力損失部18が設けられている。さらに、圧力損失部18の入口側と出口側の圧力を検出して差圧を求める差圧検出手段19が設けられており、差圧検出手段19により求めた圧力損失部18の入口側と出口側の差圧を制御部17へ発信するようになっている。
【0021】
本例の熱媒ボイラ1は、熱媒油は負荷機器(図示省略)と缶体4との間で循環ポンプ20の運転により循環しており、負荷機器で温度が低下した熱媒油が缶体4の熱媒油加熱管3に戻り、缶体4で加熱されて、再び負荷機器に送られるようになっている。また、缶体4の熱媒油加熱管3の出口には温度センサ21が設けられている。
【0022】
前記制御部17は、熱媒油加熱管3の出口に設けた温度センサ21が検出する温度に応じて、必要燃焼量を決定し、その燃焼量になるように燃料ガス流量調整弁13を調整するとともに、決定された燃焼量に応じた燃焼用空気量になるようにインバータ9の周波数を制御することにより送風機8の回転数を制御して風量を調整する機能と、燃料種に応じた予熱上限温度を記憶し、温度センサ16で検出したレキュペレータ11の出口側の燃焼用空気の温度データを取り込み、レキュペレータ11の出口側の燃焼用空気の温度が、燃料種毎に決められた予熱上限温度を超えないように開度調整弁15の開度を調整する機能と、燃料種の燃焼量に対応した燃焼用空気供給ライン7に設けた圧力損失部18の入口側と出口側の差圧、差圧に対応したインバータ9の周波数の数値を記憶し、インバータ9の周波数を検出された差圧に対応する周波数に制御する機能を有している。
【0023】
制御部17に記憶させる燃料種に応じた予熱上限温度は、燃料種毎に設定するもであって、その設定にあっては、制御部17に組み込まれるプログラムに予定されている使用燃料に応じた予熱上限温度を設定する方法や、液晶タッチパネルなどの操作画面を熱媒ボイラ1に設けておき、操作画面上で燃料種を選択するようにし、プログラムは選択された燃料種に応じた予熱上限温度を設定するようにする方法などがある。なお、予熱上限温度は、都市ガス(13A)300℃、液化石油ガス(LPG)200℃などとして設定されている。
【0024】
このように構成した本例の熱媒ボイラ1は、つぎのように運転される。
本例の熱媒ボイラ1は、熱媒油は負荷機器と缶体4との間で循環ポンプ20の運転により循環しており、負荷機器で温度が低下した熱媒油が缶体4の熱媒油加熱管3に戻り、缶体4で加熱されて、再び負荷機器に送られる。
運転中、ウインドボックス6に送られる燃焼用空気はレキュペレータ11で予熱されるため、予熱温度によって空気の体積が変化し、燃焼用空気量が変化するが、制御部17は、一定の空燃比になるように、差圧検出手段19により求めた送風機8とレキュペレータ11の間の燃焼用空気供給ライン7に設けた圧力損失部18の入口側と出口側の差圧に基づいて、インバータ9を制御して送風機8からの総風量を制御する。
なお、総風量の制御は、上述のほかに、レキュペレータ11の出口側に設けた温度センサ16の検出温度に基づいて、実験などによって求めた演算式に応じた送風機8の回転数を制御部17内にテーブルとして記憶させておき、温度センサ16の検出温度に応じて、インバータ9の回転数を制御する方法でも良い。
【0025】
そして、本例では、運転中に温度センサ16でレキュペレータ11の出口側の燃焼用空気の温度が検出され、検出された温度が制御部17へ発信される。温度センサ16で検出された温度が、制御部17で記憶している燃料種に応じた予熱上限温度を超えた場合、制御部17は、バイパスライン14に設けた開度調整弁15を徐々に開いていく。開度調整弁15を開くことで、排ガスの一部はバイパスライン14を流れるようになるため、レキュペレータ11内の熱交換量が減り、燃焼用空気の予熱温度は低下する。
このとき、排ガスの一部をバイパスさせても直ぐには燃焼用空気の温度は低下しないので、制御部17は開度調整弁15を所定開度開いて所定時間経過したのちに温度センサ16による検出温度を判定し、検出温度が予熱上限温度を超えているようであれば、開度調整弁15をさらに所定開度開くようにする。このようにした温度センサ16による検出温度が予熱上限温度を下回ったら、開度調整弁15の開度をその開度で固定する。このようにして開度調整弁15の開度を調整している間、予熱空気温度は変化するので、空燃比を一定に保つために、圧力損失部18の入口側と出口側の差圧に基づいて、インバータ9を制御して送風機8からの総風量を制御する。
【0026】
また、温度センサ16で検出された温度が制御部17で記憶している燃料種に応じた予熱上限温度より低くなった場合、制御部17は、バイパスライン14に設けた開度調整弁15を徐々に閉じる方向に調整する。開度調整弁15を閉じる方向に調整することで、レキュペレータ11を流れる排ガス量が増えるため、レキュペレータ11内の熱交換量が増え、燃焼用空気の予熱温度は上昇する。
このとき、排ガスの一部をバイパスさせても直ぐには燃焼用空気の温度は上昇しないので、制御部17は開度調整弁15を所定開度閉じて所定時間経過したのちに温度センサ16による検出温度を判定し、検出温度が予熱上限温度より低いようであれば、開度調整弁15をさらに所定開度閉じるようにする。このようにした温度センサ16による検出温度が予熱上限温度に達したら、開度調整弁15の開度をその開度で固定する。このようにして開度調整弁15の開度を調整している間、予熱空気温度は変化するので、空燃比を一定に保つために、圧力損失部18の入口側と出口側の差圧に基づいて、インバータ9を制御して送風機8からの総風量を制御する。
【0027】
これにより、燃焼中、常に熱媒ボイラ1で使用している燃料種に応じた予熱上限温度に燃焼用空気を予熱することができることになり、熱媒ボイラの効率を高く維持しながら、排ガス中のNOx濃度が規制値を超えないようにすることができる。
また、開度調整弁15の開度の調整により予熱空気温度が変化し、燃焼用空気量が変化したとき、圧力損失部18の入口側と出口側の差圧に基づいて、制御部17がインバータ9の周波数を前記差圧に対応する周波数に制御するので、燃焼用空気を燃焼種の燃焼量に追従させることができ、安定した燃焼性を維持することができる。
【0028】
図4は本発明に係る熱媒ボイラの実施の形態の第2例を示す概略構成図、
図5,
図6はそれぞれ
図4の開度調整弁の他例を示す説明図である。
本例の熱媒ボイラについて、前記第1例と同一の構成については同一の符号を付しその説明を省略し、第1例と異なる構成についてのみ説明する。
【0029】
本例の熱媒ボイラ1は、レキュペレータに導入される燃焼用空気の一部をバイパスさせるバイパスライン22が燃焼用空気供給ライン7に接続接続されており、バイパスライン22には開度調整弁23が設けられている。
開度調整弁23にあっては、
図5に示すようにダンパとしてもよい。また、本例では、開度調整弁23はバイパスライン22に設けられているが、
図6に示すように、開度調整弁23として3方弁を用い、3方弁を燃焼用空気供給ライン7とバイパスライン22の分岐部分に設け、3方弁の開度を調整して燃焼用空気供給ライン7とバイパスライン22への燃焼用空気流量を分割調整するようにしてもよい。
また、燃焼用空気供給ライン7にはレキュペレータ11の出口側の燃焼用空気の温度を検出する温度センサ16が設けられ、温度センサ16で検出した温度を制御部24へ発信するようになっている。
【0030】
さらに、本例では、前記第1例と同様に、送風機8とレキュペレータ11の間の燃焼用空気供給ライン7には、燃焼用空気供給ライン7を流通する燃焼用空気に圧力損失を付与する圧力損失部18と、圧力損失部18の入口側と出口側の圧力を検出して差圧を求める差圧検出手段19が設けられており、差圧検出手段19により求めた圧力損失部18の入口側と出口側の差圧を制御部24へ発信するようになっている。
【0031】
前記制御部24は、熱媒油加熱管3の出口に設けた温度センサ21が検出する温度に応じて、必要燃焼量を決定し、その燃焼量になるように燃料ガス流量調整弁13を調整するとともに、決定された燃焼量に応じた燃焼用空気量になるようにインバータ9の周波数を制御することにより送風機8の回転数を制御して風量を調整する機能と、燃料種に応じた予熱上限温度を記憶し、温度センサ16で検出したレキュペレータ11の出口側の燃焼用空気の温度データを取り込み、レキュペレータ11の出口側の燃焼用空気の温度が、燃料種毎に決められた予熱上限温度を超えないように開度調整弁23の開度を調整する機能と、燃料種の燃焼量に対応した燃焼用空気供給ライン7に設けた圧力損失部18の入口側と出口側の差圧、差圧に対応したインバータ9の周波数の数値を記憶し、インバータ9の周波数を検出された差圧に対応する周波数に制御する機能を有している。
制御部24に記憶させる燃料種に応じた予熱上限温度は、燃料種毎に設定するもであって、その設定にあっては、第1例と同様に、制御部24に組み込まれるプログラムに予定されている使用燃料に応じた予熱上限温度を設定する方法や、液晶タッチパネルなどの操作画面を熱媒ボイラ1に設けておき、操作画面上で燃料種を選択するようにし、プログラムは選択された燃料種に応じた予熱上限温度を設定するようにする方法などがある。なお、予想上限温度は、都市ガス(13A)300℃、液化石油ガス(LPG)200℃などとして設定されている。
【0032】
このように構成した本例の熱媒ボイラ1は、つぎのように運転される。
本例の熱媒ボイラ1は、第1例と同様に、熱媒油は負荷機器と缶体4との間で循環ポンプ20の運転により循環しており、負荷機器で温度が低下した熱媒油が缶体4の熱媒油加熱管3に戻り、缶体4で加熱されて、再び負荷機器に送られる。
運転中、ウインドボックス6に送られる燃焼用空気はレキュペレータ11で予熱されるため、予熱温度によって空気の体積が変化し、燃焼用空気量が変化するが、制御部24は、一定の空燃比になるように、差圧検出手段19により求めた送風機8とレキュペレータ11の間の燃焼用空気供給ライン7に設けた圧力損失部18の入口側と出口側の差圧に基づいて、インバータ9を制御して送風機8からの総風量を制御する。
なお、総風量の制御は、上述のほかに、レキュペレータ11の出口側に設けた温度センサ16の検出温度に基づいて、実験などによって求めた演算式に応じた送風機8の回転数を制御部24内にテーブルとして記憶させておき、温度センサ16の検出温度に応じて、インバータ9の回転数を制御する方法でも良い。
【0033】
そして、本例では、運転中に温度センサ16でレキュペレータ11の出口側の燃焼用空気の温度が検出され、検出された温度が制御部24へ発信される。温度センサ16で検出された温度が、制御部24で記憶している燃料種に応じた予熱上限温度を超えた場合、制御部24は、バイパスライン22に設けた開度調整弁23を徐々に開いていく。開度調整弁23を開くことで、燃焼用空気の一部はバイパスライン22を流れるようになるため、レキュペレータ11内で熱交換した予熱空気とバイパスされた予熱されていない空気とがウインドボックス6の上流側で合流するため燃焼用空気の予熱温度は低下する。
制御部24は開度調整弁23を所定開度開いて所定時間経過したのちに温度センサ16による検出温度を判定し、検出温度が予熱上限温度を超えているようであれば、開度調整弁23をさらに所定開度開くようにする。このようにした温度センサ16による検出温度が予熱上限温度を下回ったら、開度調整弁23の開度をその開度で固定する。このようにして開度調整弁23の開度を調整している間、予熱空気温度は変化するので、空燃比を一定に保つために、圧力損失部18の入口側と出口側の差圧に基づいて、インバータ9を制御して送風機8からの総風量を制御する。
【0034】
また、温度センサ16で検出された温度が制御部24で記憶している燃料種に応じた予熱上限温度より低くなった場合、制御部24は、バイパスライン22に設けた開度調整弁23を徐々に閉じる方向に調整する。開度調整弁23を閉じる方向に調整することで、
レキュペレータ11を流れる燃焼用空気量が増えるため、レキュペレータ11内の熱交換量が増え、燃焼用空気の予熱温度は上昇する。
制御部24は開度調整弁23を所定開度閉じて所定時間経過したのちに温度センサ16による検出温度を判定し、検出温度が予熱上限温度より低いようであれば、開度調整弁23をさらに所定開度閉じるようにする。このようにした温度センサ16による検出温度が予熱上限温度に達したら、開度調整弁23の開度をその開度で固定する。このようにして開度調整弁23の開度を調整している間、予熱空気温度は変化するので、空燃比を一定に保つために、圧力損失部18の入口側と出口側の差圧に基づいて、インバータ9を制御して送風機8からの総風量を制御する。
【0035】
このように構成した本例の熱媒ボイラ1によれば、温度センサ16で燃焼中にレキュペレータ11の出口側の燃焼用空気の温度が検出され、検出された温度が制御部24へ発信される。制御部24は、入力した温度が、記憶している熱媒ボイラ1で使用している燃料ガスの種類に応じた予熱上限温度よりも低ければ開度調整弁23の開度を絞る方向に調整してレキュペレータ11を流れる燃焼用空気量を多くすることにより燃焼用空気の温度を上昇させ、予熱上限温度を超えるような場合は、開度調整弁23の開度を開く方向に調整することによりレキュペレータ11を流れる燃焼用空気量を少なくして燃焼用空気の温度の上昇を抑える。
【0036】
これにより、燃焼中、常に熱媒ボイラ1で使用している燃料種に応じた予熱上限温度に燃焼用空気を予熱することができることになり、熱媒ボイラの効率を高く維持しながら、排ガス中のNOx濃度が規制値を超えないようにすることができる。
また、開度調整弁23の開度の調整により予熱空気温度が変化し、燃焼用空気量が変化したとき、圧力損失部18の入口側と出口側の差圧に基づいて、制御部24がインバータ9の周波数を前記差圧に対応する周波数に制御するので、燃焼用空気を燃焼種の燃焼量に追従させることができ、安定した燃焼性を維持することができる。