(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
呼制御サーバ機能を有する複数の無線電話端末を備え、いずれかの無線電話端末が、サーバ担当として自無線電話端末の呼制御サーバ機能を有効にして、自無線電話端末を含む複数の無線電話端末の呼制御を処理する電話システムの構築方法であって、
呼制御サーバ機能を無効にしている前記無線電話端末は、
自無線電話端末の電波受信状態、充電台への載置状態、およびバッテリ残量に基づいて、自無線電話端末の呼制御サーバ機能の起動可否を判断し、
他の無線電話端末から呼制御サーバ機能が有効である旨を示すサーバ通知を受信した場合に、前記サーバ機能の起動可否判断結果を示すサーバ起動可否通知を、当該サーバ通知の送信元に送信し、
前記サーバ通知の送信元からサーバ起動指示を受信した場合に、自無線電話端末の呼制御サーバ機能を有効にし、
呼制御サーバ機能を有効にしている前記無線電話端末は、
前記サーバ通知を繰り返しマルチキャスト送信して、他の無線電話端末各々から前記サーバ起動可否通知を受信し、
自無線電話端末の電波受信状態、充電台への載置状態、およびバッテリ残量に基づいて、前記サーバ担当の交代要否を判断し、
前記サーバ担当の交代要否断結果が前記サーバ担当の交代必要を示している場合に、前記サーバ起動可否通知の送信元のうち、呼制御サーバ機能が起動可能であることを示す前記サーバ起動可否通知の送信元のなかから、次のサーバ担当を決定し、
当該次のサーバ担当に決定された他の前記無線電話端末に、前記サーバ起動指示を送信するとともに、自無線電話端末の呼制御サーバ機能を無効にする
ことを特徴とする電話システムの構築方法。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載の技術は、複数の有線電話端末を用いて有線電話システムを構築する場合にとても効果的である。しかし、複数の無線電話端末を用いて無線電話システムを構築する場合には、次のような問題が生じる。
【0006】
すなわち、無線電話端末は移動可能であり、電波状態が悪い場所に移動している可能性がある。このような場所に移動している無線電話端末の呼制御サーバ機能を有効にした場合、呼制御サーバ機能を無効にしている他の無線電話端末が、この呼制御サーバ機能を有効にしている無線電話端末にアクセスすることができず、このため、呼制御を正常に処理できない可能性がある。また、無線電話端末は、充電台から外された状態ではバッテリ駆動により動作する。このバッテリ駆動されている無線電話端末の呼制御サーバ機能を有効した場合、この無線電話端末が、呼制御処理中にバッテリ切れを起こして、呼制御を正常に処理できない可能性がある。
【0007】
このように、呼制御を正常に処理できない可能性がある無線電話端末の呼制御サーバ機能を有効にした場合、結果として、呼制御サーバ機能を有効にする無線電話端末の切替が頻繁に発生し、無線電話システムが不安定になる可能性がある。
【0008】
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、本発明の目的は、呼制御サーバを特別に設置することなく無線電話システムを安定的に構築可能とする技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために、本発明は、呼制御サーバ機能を有する複数の無線電話端末を備えた電話システムにおいて、いずれかの無線電話端末が呼制御サーバ機能を有効にし、自無線電話端末を含む複数の無線電話端末の呼制御を処理する。
【0010】
ここで、呼制御サーバ機能を無効にしている各無線電話端末は、例えば定期的に、自無線電話端末の電波受信状態、充電台への載置状態、およびバッテリ残量に基づいて、自無線電話端末の呼制御サーバ機能の起動可否を判断する。そして、その判断結果を示すサーバ起動可否通知を生成し、呼制御サーバ機能を有効にしている無線電話端末に、このサーバ起動可否通知を送信する。また、呼制御サーバ機能を有効にしている無線電話端末からサーバ起動指示を受信したならば、サーバ担当として、自無線電話端末の呼制御サーバ機能を有効にする。
【0011】
一方、呼制御サーバ機能を有効にしている無線電話端末は、自無線電話端末の電波受信状態、充電台への載置状態、およびバッテリ残量に基づいて、サーバ担当の交代要否を判断する。そして、サーバ担当の交代必要と判断した場合に、呼制御サーバ機能を無効にしている各無線電話端末から送られてくるサーバ起動可否通知を参照し、呼制御サーバ機能が起動可能状態にある無線電話端末のなかから次のサーバ担当を決定する。そして、次のサーバ担当に決定された無線電話端末にサーバ起動指示を送信するとともに、自無線電話端末の呼制御サーバ機能を無効にする。
【0012】
例えば、本発明は、呼制御サーバ機能を有する無線電話端末であって、
前記呼制御サーバ機能が無効の場合に動作するサーバ起動可否判断手段、およびサーバ起動可否通知送信手段と、
呼制御サーバ機能が有効の場合に動作するサーバ起動可否通知受信手段、サーバ交代要否判断手段、およびサーバ担当決定手段と、
サーバ制御手段と、を有し、
前記サーバ起動可否判断手段は、
自無線電話端末の電波受信状態、充電台への載置状態、およびバッテリ残量に基づいて、自無線電話端末の呼制御サーバ機能の起動可否を判断し、
前記サーバ起動可否通知送信手段は、
他の無線電話端末から呼制御サーバ機能が有効である旨を示すサーバ通知を受信した場合に、前記サーバ起動可否判断手段の判断結果を示すサーバ起動可否通知を、当該サーバ通知の送信元に送信し、
前記サーバ起動可否通知受信手段は、
前記サーバ通知を繰り返しマルチキャスト送信して、他の無線電話端末各々から前記サーバ起動可否通知を受信し、
前記サーバ交代要否判断手段は、
自無線電話端末の電波受信状態、前記充電台への載置状態、および前記バッテリ残量に基づいてサーバ担当の交代要否を判断し、
前記サーバ担当決定手段は、
前記サーバ交代要否判断手段の判断結果が前記サーバ担当の交代必要を示している場合に、前記サーバ起動可否通知受信手段が受信した前記サーバ起動可否通知の送信元のうち、呼制御サーバ機能が起動可能であることを示す前記サーバ起動可否通知の送信元のなかから、次のサーバ担当を決定し、
前記サーバ制御手段は、
自無線電話端末の呼制御サーバ機能が無効の場合に前記サーバ通知の送信元からサーバ起動指示を受信したならば、前記サーバ担当として、自無線電話端末の呼制御サーバ機能を有効にし、自無線電話端末の呼制御サーバ機能が有効の場合に前記サーバ担当決定手段により前記次のサーバ担当が決定されたならば、当該次のサーバ担当に決定された他の無線電話端末に前記サーバ起動指示を送信するとともに、自無線電話端末の呼制御サーバ機能を無効にする。
【発明の効果】
【0013】
本発明の無線電話端末を複数用いて電話システムを構築することにより、呼制御サーバ機能を有効しているサーバ担当の無線電話端末は、電波受信状態、充電台への載置状態、およびバッテリ残量に問題のない無線電話端末、すなわち呼制御を正常に処理できる可能性の高い無線電話端末のなかから次のサーバ担当を決定する。このため、呼制御サーバを特別に設置することなく電話システムを安定的に構築することが可能となる。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下に、本発明の一実施の形態について説明する。
【0016】
図1は、本実施の形態に係る無線電話システムの概略構成図である。
【0017】
図示するように、本実施の形態に係る無線電話システムは、複数台の無線電話端末1−1〜1−4(以下、単に無線電話端末1とも称する)と、無線電話端末1に電源を供給する少なくとも一台の充電台2と、LAN4に接続された少なくとも一台の無線アクセスポイント3と、を備えて構成されている。LAN4は、ゲートウェイ5を介してIP電話網6に接続されている。
【0018】
無線電話端末1は、充電台2に載置されている状態では、充電台2から供給される電源で駆動し、充電台2に載置されていない状態では、内蔵バッテリにより駆動する。この内蔵バッテリは、無線電話端末1が充電台2に載置されているときに充電される。また、無線電話端末1は呼制御サーバ機能を有しており、本実施の形態に係る無線電話システムにおいては、いずれかの無線電話端末1が、呼制御サーバ機能を有効にして呼制御サーバとなり、自無線電話端末1を含むすべての無線電話端末1の発着信、転送等の呼制御を処理する。
【0019】
図2および
図3は、本実施の形態に係る無線電話システムにおける呼制御サーバ決定動作を説明するためのシーケンス図である。ここで、無線電話端末1−1は、最初に電源投入されて起動し、これにより呼制御サーバ機能を有効にして、すでに呼制御サーバになっていることとする。また、無線電話端末1−2、1−3は、無線電話端末1−1が呼制御サーバであることを認識し、呼制御サーバへの帰属登録をすでに完了しているが、無線電話端末1−2が、無線アクセスポイント3からの電波が微弱な位置(例えば、
図1において無線通信範囲7の端部)に移動していることとする。また、無線電話端末1−4は、電源未投入であり、起動していないものとする。
【0020】
呼制御サーバ機能を有効にしている無線電話端末1−1は、自無線電話端末1−1が呼制御サーバ機能を有効にして呼制御サーバとなっている旨を通知するためのサーバ通知を定期的にマルチキャスト送信する(S101)。
【0021】
呼制御サーバ機能を無効にしている無線電話端末1−2、1−3は、サーバ通知を受信する毎に、自無線電話端末1の電波受信状態、充電台2への載置状態、および内蔵バッテリのバッテリ残量に基づいて、自無線電話端末1の呼制御サーバ機能の起動可否を判断し(S102、S103)、その判断結果を示すサーバ起動可否通知を、サーバ通知送信元である無線電話端末1−1に送信する(S104、S105)。ここで、呼制御サーバ機能の起動可能と判断した無線電話端末1は、自無線電話端末1の電波受信状態、充電台2への載置状態、内蔵バッテリのバッテリ残量、および、呼制御サーバ機能の無効状態継続時間に関する情報を含む端末状態情報をサーバ起動可否通知に付加して送信する。なお、無線電話端末1−2は、呼制御サーバ機能の起動不可能と判断し、一方、無線電話端末1−3は、呼制御サーバ機能の起動可能と判断したものとする。
【0022】
それから、無線電話端末1−2、1−3は、受信タイマをセットし、所定の待ち時間の経過によりこの受信タイマがタイムアウトするまでの間、サーバ通知が新たに送られてくるのを待つ(S106、S107)。ここで、所定の待ち時間は、少なくともサーバ通知の送信インターバルより長い時間に設定される。
【0023】
また、無線電話端末1−1は、定期的に、自無線電話端末1−1の電波受信状態、充電台2への載置状態、内蔵バッテリのバッテリ残量、および呼制御処理回数に基づいて、呼制御サーバの交代要否を判断する(S108)。なお、図中のS108の時点において、無線電話端末1−1は、呼制御サーバの交代不要と判断したものとする。
【0024】
つぎに、無線電話端末1−4が電源投入されたものとする(S109)。無線電話端末1−4は、呼制御サーバ機能を無効にして起動し、受信タイマをセットして、所定の待ち時間の経過によりこの受信タイマがタイムアウトするまでの間、サーバ通知が送られてくるのを待つ(S110)。ここで、無線電話端末1−1がサーバ通知をマルチキャスト送信すると(S111)、これを受信し、サーバ通知送信元である無線電話端末1−1のアドレスを呼制御サーバアドレスとして登録するとともに(S112)、無線電話端末1−1に呼制御サーバへの帰属要求(REGISTER)を送信する(S113)。これを受けて、無線電話端末1−1は、無線電話端末1−4を帰属登録する(S114)。
【0025】
また、無線電話端末1−4は、無線電話端末1−2、1−3と同様に(S115、S116、S118、S119)、サーバ通知を受信する毎に、自無線電話端末1−4の電波受信状態、充電台2への載置状態、および内蔵バッテリのバッテリ残量に基づいて、自無線電話端末1−4の呼制御サーバ機能の起動可否を判断し(S117)、その判断結果を示す、端末状態情報を付加したサーバ起動可否通知を、サーバ通知送信元である無線電話端末1−1に送信する(S120)。なお、ここで、無線電話端末1−4は、呼制御サーバ機能の起動可能と判断したものする。
【0026】
それから、無線電話端末1−4は、無線電話端末1−2、1−3と同様に(S121、S122)、受信タイマをセットし、所定の待ち時間の経過によりこの受信タイマがタイムアウトするまでの間、サーバ通知が新たに送られてくるのを待つ(S123)。
【0027】
その後、無線電話端末1−1の電波受信状態、充電台2への載置状態、内蔵バッテリのバッテリ残量、あるいは呼制御処理回数(累積セッション数)に変化が生じ、無線電話端末1−1が、呼制御サーバの交代必要と判断したものとする(S124)。無線電話端末1−1は、無線電話端末1−2〜無線電話端末1−4から受信した最新のサーバ起動可否通知に基づいて、呼制御サーバ機能を有効にする無線電話端末1(以下、次サーバ担当と称する)を決定する(S125)。具体的には、呼制御サーバ機能が起動可能であることを示すサーバ起動可否通知を送信した無線電話端末1−3、1−4のうち、サーバ起動可否通知に付加された端末状態情報に応じて定まる優先度の高い方の無線電話端末1を次サーバ担当に決定する。ここでは、無線電話端末1−4が、次サーバ担当に決定されたものとする。
【0028】
それから、無線電話端末1−1は、次サーバ担当の無線電話端末1−4にサーバ起動指示を送信するとともに(S126)、自無線電話端末1−1の呼制御サーバ機能を無効にする(S127)。その後、無線電話端末1−1は、受信タイマをセットし、所定の待ち時間の経過によりこの受信タイマがタイムアウトするまでの間、サーバ通知が送られてくるのを待つ(S128)。
【0029】
一方、無線電話端末1−4は、無線電話端末1−1からサーバ起動指示を受信すると、自無線電話端末1−4の呼制御サーバ機能を有効にする(S129)。その後、無線電話端末1−4は、サーバ通知を定期的にマルチキャスト送信する(S130)。これにより、呼制御サーバが無線電話端末1−1から無線電話端末1−4に切り替わる。
【0030】
ここで、呼制御サーバが無線電話端末1−1から無線電話端末1−4に切り替わり、無線電話端末1−4がサーバ通知の送信を開始するまでの間に、無線電話端末1−2、1−3の受信タイマがタイムアウトしたものとする(S131、S132)。これを受けて、無線電話端末1−2、1−3は、呼制御サーバアドレスとして登録されている無線電話端末1−1のアドレスを削除するとともに(S133、S134)、乱数タイマをセットし、乱数により任意に定まる待ち時間の経過により乱数タイマがタイムアウトするまでの間、サーバ通知を送られてくるのをさらに待つ(S135、S136)。
【0031】
その後、呼制御サーバ機能を無効にしている無線電話端末1−1〜1−3は、サーバ通知を受信すると、サーバ通知送信元である無線電話端末1−4のアドレスを呼制御サーバアドレスとして登録するとともに(S137〜S139)、無線電話端末1−4に呼制御サーバへの帰属要求(REGISTER)を送信する(S140〜S142)。これを受けて、無線電話端末1−4は、無線電話端末1−1〜1−3を帰属登録する(S143〜S145)。
【0032】
また、無線電話端末1−1〜1−3は、サーバ通知を受信する毎に、自無線電話端末1の電波受信状態、充電台2への載置状態、および内蔵バッテリのバッテリ残量に基づいて、自無線電話端末1の呼制御サーバ機能の起動可否を判断し(S146〜S148)、その判断結果を示す、端末状態情報を付加したサーバ起動可否通知を、サーバ通知送信元である無線電話端末1−4に送信する(S149〜S151)。なお、無線電話端末1−2は、呼制御サーバ機能の起動不可能と判断し、一方、無線電話端末1−1、1−3は、呼制御サーバ機能の起動可能と判断したものとする。それから、無線電話端末1−1〜1−3は、受信タイマをセットし、所定の待ち時間の経過によりこの受信タイマがタイムアウトするまでの間、サーバ通知が新たに送られてくるのを待つ(S152〜S154)。
【0033】
また、無線電話端末1−4は、定期的に、自無線電話端末1−4の電波受信状態、充電台2への載置状態、内蔵バッテリのバッテリ残量、および呼制御処理回数に基づいて、呼制御サーバの交代要否を判断する(S155)。なお、図中のS155の時点において、無線電話端末1−4は、呼制御サーバの交代不要と判断したものとする。
【0034】
図4は、無線電話端末1の概略機能構成図である。
【0035】
図示するように、無線電話端末1は、無線LANインターフェース部101と、通信制御部102と、マンマシンインターフェース部103と、内蔵バッテリ104と、充電台インターフェース部105と、IP電話処理部106と、呼制御サーバ処理部107と、稼働状態取得部108と、サーバ起動可否判断部109と、サーバ起動可否通知送信部110と、起動可否情報記憶部111と、サーバ起動可否通知受信部112と、サーバ交代要否判断部113と、サーバ担当決定部114と、サーバ制御部115と、を有する。
【0036】
無線LANインターフェース部101は、無線アクセスポイント3に無線接続するためのインターフェースである。
【0037】
通信制御部102は、無線LANインターフェース部101および無線アクセスポイント3を介して、他の無線電話端末1およびLAN4あるいはIP電話網6に接続された電話端末(不図示)を含む相手端末との通信を制御する。
【0038】
マンマシンインターフェース部103は、ユーザが電話および各種操作を行うためのインターフェースであり、図示していないが、ハンドセット、ダイヤルキー等の操作部、およびLCD、LED等の表示部を備える。
【0039】
充電台インターフェース部105は、自無線電話端末1が充電台2に載置された場合に、この充電台2から給電を受けるためのインターフェースである。無線電話端末1は、自無線電話端末1が充電台2に載置された場合、充電台2からの給電により駆動し、内蔵バッテリ104を充電する。そして、充電台2から外されている場合においては、内蔵バッテリ104により駆動する。
【0040】
IP電話処理部106は、IP電話端末として動作するために必要な処理を行う。具体的には、SIP(Session Initiation Protocol)等の呼制御プロトコルに従い、呼制御サーバ経由で相手端末と呼制御メッセージをやり取りすることにより、セッションの確立・解放を実施する。また、RTP(Realtime Transport Protocol)等の伝送プロトコルに従い、マンマシンインターフェース部103を介してユーザにより音声入力された音声信号を通話データに符号化し、この通話データをセッション経由で相手端末に送信するとともに、相手端末からセッション経由で通話データを受信し、この通話データを音声信号に復号してマンマシンインターフェース部103から音声出力する。
【0041】
呼制御サーバ処理部107は、呼制御サーバとして動作するために必要な処理を行い、その起動・停止が後述のサーバ制御部115により制御される。具体的には、SIP等の呼制御プロトコルに従い、自無線電話端末1を含むいずれかの無線電話端末1と相手端末との間でやり取りされる呼制御メッセージを中継することにより、両者間にセッションを確立、あるいは両者間に確立されているセッションを解放する。なお、本実施の形態では、所定のセッション数(最大同時セッション数)分のセッションを同時に確立できるものとする。
【0042】
稼働状態取得部108は、自無線電話端末1の稼働状態を取得する。具体的には、自無線電話端末1の電波受信状態(帰属先の無線アクセスポイント3の受信電波強度)、充電台2への載置状態、および内蔵バッテリ104のバッテリ残量を、それぞれ、無線LANインターフェース部101、充電台インターフェース部105、および内蔵バッテリ104から取得するとともに、呼制御サーバ機能の無効状態継続時間、あるいは呼制御サーバ機能が有効になってからの呼制御処理回数(累積セッション数)を呼制御サーバ処理部107から取得する。
【0043】
サーバ起動可否判断部109は、自無線電話端末1の呼制御サーバ機能が無効の場合に動作する。サーバ起動可否判断部109は、所定インターバル時間の経過、後述のサーバ起動可否通知送信部110によるサーバ通知の受信等、所定のイベントが発生する毎に、稼働状態取得部108に自無線電話端末1の最新の稼働状態を取得させ、この最新の稼働状態に含まれている自無線電話端末1の電波受信状態、充電台2への載置状態、および内蔵バッテリ104のバッテリ残量に基づいて、自無線電話端末1の呼制御サーバ機能の起動可否を判断する。
【0044】
具体的には、帰属先の無線アクセスポイント3の受信電波強度が所定値(例えば−20dbm)未満の場合、あるいは充電台2への載置状態が「非載置」であり、かつバッテリ残量が所定値(例えば80%)未満の場合に、呼制御サーバ機能を起動不可能であると判断する。これら以外の場合は、呼制御サーバ機能を起動可能であると判断する。
【0045】
サーバ起動可否通知送信部110は、自無線電話端末1の呼制御サーバ機能が無効の場合に動作する。サーバ起動可否通知送信部110は、無線LANインターフェース部101、通信制御部102を介して他の無線電話端末1からサーバ通知を受信した場合に、サーバ起動可否判断部109から呼制御サーバ機能の起動可否の最新の判断結果を取得する。そして、この判断結果を示すサーバ起動可否通知を、通信制御部102、無線LANインターフェース部101を介してサーバ通知送信元に送信する。ここで、呼制御サーバ機能が起動可能である旨の判断結果を示すサーバ起動可否通知を送信する場合、この判断結果の根拠となった稼働状態に含まれている自無線電話端末1の電波受信状態、充電台2への載置状態、内蔵バッテリ104のバッテリ残量、および呼制御サーバ機能の無効状態継続時間をサーバ起動可否判断部109から取得して、これらの情報を端末状態情報としてサーバ起動可否通知に付加する。
【0046】
起動可否情報記憶部111には、自無線電話端末1の呼制御サーバ機能が有効である場合に、呼制御サーバとして動作中の自無線電話端末1に帰属する他の無線電話端末1各々の呼制御サーバ機能の起動可否に関する情報が記憶される。
【0047】
図5は、起動可否情報記憶部111の登録内容例を模式的に表した図である。
【0048】
図示するように、起動可否情報記憶部111には、呼制御サーバとして動作中の自無線電話端末1に帰属する他の無線電話端末1毎に起動可否情報のレコード1110が登録される。レコード1110は、無線電話端末1のアドレス情報(IPアドレス、MACアドレス等)を登録するフィールド1111と、無線電話端末1の呼制御サーバ機能の起動可否(起動可能を示す「起動可」、または、起動不可能を示す「起動不可」)を登録するフィールド1112と、呼制御サーバ機能が起動可能である場合に無線電話端末1の端末状態情報を登録するフィールド1113と、を有する。フィールド1113は、充電台2への載置状態を登録するサブフィールド1114と、内蔵バッテリ104のバッテリ残量を登録するサブフィールド1115と、帰属先の無線アクセスポイント3の受信電波強度を登録するサブフィールド1116と、呼制御サーバ機能の無効状態継続時間を登録するサブフィールド1117と、を有する。
【0049】
サーバ起動可否通知受信部112は、自無線電話端末1の呼制御サーバ機能が有効の場合に動作する。サーバ起動可否通知受信部112は、サーバ通知を定期的にマルチキャスト送信し、他の無線電話端末1各々からサーバ起動可否通知を受信する。そして、他の無線電話端末1各々から受信したサーバ起動可否通知に基づいて起動可否情報記憶部111を更新する。
【0050】
サーバ交代要否判断部113は、自無線電話端末1の呼制御サーバ機能が有効の場合に動作する。サーバ交代要否判断部113は、逐次(例えば定期的に)、稼働状態取得部108に自無線電話端末1の最新の稼働状態を取得させ、この最新の稼働状態に含まれている自無線電話端末1の電波受信状態、充電台2への載置状態、内蔵バッテリ104のバッテリ残量、および呼制御処理回数に基づいて、呼制御サーバ機能を有効にする無線電話端末1(以下、サーバ担当と称する)の交代要否を判断する。
【0051】
具体的には、帰属先の無線アクセスポイント3の受信電波強度が所定値(例えば−20dbm)未満の場合、あるいは、充電台2への載置状態が「非載置」であり、かつ内蔵バッテリ104のバッテリ残量が所定値(例えば80%)未満または呼制御処理回数が所定回数(例えば3回)以上である場合に、サーバ担当の交代必要と判断する。これら以外の場合は、サーバ担当の交代不要と判断する。
【0052】
サーバ担当決定部114は、自無線電話端末1の呼制御サーバ機能が有効の場合に動作する。サーバ担当決定部114は、サーバ交代要否判断部113においてサーバ担当の交代必要と判断された場合に、起動可否情報記憶部111を参照して、呼制御サーバとして動作中の自無線電話端末1に帰属している他の無線電話端末1のなかから、呼制御サーバ機能を有効にする次サーバ担当を決定する。
【0053】
具体的には、起動可否情報記憶部111から、フィールド1112に記憶されている呼制御サーバ機能の起動可否が「起動可」であるレコード1110を検索する。そして、検索したレコード1110のうち、フィールド1113に記憶されている端末状態情報に応じて定まる優先度が最も高いレコード1110を特定し、このレコード1110のフィールド1111に記憶されているアドレス情報により特定される無線電話端末1を、次サーバ担当に決定する。
【0054】
ここで、優先度は、次サーバ担当の決定において、充電台2への載置状態(サブフィールド1114)、内蔵バッテリ104のバッテリ残量(サブフィールド1115)、受信電波強度(サブフィールド1116)、および呼制御サーバ機能の無効状態継続時間(サブフィールド1117)が、例えば、この順番で優先されるように定められる。例えば、充電台2への載置状態が「載置」のときに10点、「非載置」のときに0点とし、内蔵バッテリ104のバッテリ残量が「95%以上」のときに4点、「90%以上」のときに2点、「90%未満」のときに0点とし、受信電波強度が「−10dbm以上」のときに2点、「−15dbm以上」のときに1点、「−15dbm未満」のときに0点とし、そして、呼制御サーバ機能の無効状態継続時間が「2時間以上」のときに1点、「2時間未満」のときに0点というように、重み付けした評価点を定めておき、レコード1110のフィールド1113の各サブフィールド1114〜1117に記憶された情報に該当する点数を加算し、その合計値を優先度とする。
【0055】
サーバ制御部115は、呼制御サーバ機能の有効・無効(呼制御サーバ処理部107の起動・停止)を制御する。
【0056】
具体的には、呼制御サーバ機能が無効の場合において、他の無線電話端末1からサーバ起動指示を受信した場合、あるいは、サーバ起動可否通知送信部110がサーバ通知を受信することなく、上述の受信タイマおよび乱数タイマがタイムアウトした場合、呼制御サーバ処理部107を起動して、自無線電話端末1の呼制御サーバ機能を有効にする。一方、呼制御サーバ機能が有効の場合において、サーバ担当決定部114により次サーバ担当が決定されたならば、この次サーバ担当に決定された他の無線電話端末1にサーバ起動指示を送信するとともに、呼制御サーバ処理部107を停止して、自無線電話端末1の呼制御サーバ機能を無効にする。
【0057】
図6および
図7は、無線電話端末1の呼制御サーバ機能の有効・無効の制御動作を説明するためのフロー図である。このフローは、無線電話端末1に電源が投入されることにより開始される。
【0058】
まず、無線電話端末1は、電源投入により、呼制御サーバ機能を無効にした状態(呼制御サーバ処理部107が停止した状態)で起動する(S201)。
【0059】
つぎに、サーバ起動可否通知送信部110は、受信タイマをセットして、所定の待ち時間の計測を開始する(S202)。
【0060】
そして、サーバ起動可否通知送信部110は、所定の待ち時間の経過により受信タイマがタイムアウトする前に(S205でNO)、呼制御サーバとして動作している他の無線電話端末1からサーバ通知を受信したならば(S203でYES)、サーバ通知送信元の無線電話端末1のアドレスを呼制御サーバ処理部107に通知する。これを受けて、呼制御サーバ処理部107は、サーバ通知送信元の無線電話端末1のアドレスが呼制御サーバアドレスとして登録されているか否かを判断する(S206)。サーバ通知送信元の無線電話端末1のアドレスが呼制御サーバアドレスとして登録されているならば(S206でYES)、S209に進む。一方、サーバ通知送信元の無線電話端末1のアドレスが呼制御サーバアドレスとして登録されていないならば(S206でNO)、登録されている呼制御サーバアドレスを、このサーバ通知送信元の無線電話端末1のアドレスに更新するとともに(S207)、このサーバ通知送信元の無線電話端末1に、自無線電話端末1の電話番号およびアドレスを含む、呼制御サーバへの帰属要求(REGISTER)を送信する(S208)。それから、S209に進む。
【0061】
S209において、サーバ起動可否判断部109は、後述のサーバ起動可否判断処理を行って、その判断結果をサーバ起動可否通知送信部110に通知する。これを受けて、サーバ起動可否通知送信部110は、この判断結果を示すサーバ起動可否通知を、サーバ通知送信元に送信し(S210)、その後、S202に戻る。ここで、呼制御サーバ機能が起動可能である旨の判断結果を示すサーバ起動可否通知を送信する場合には、この判断結果の根拠となった稼働状態に含まれている自無線電話端末1の電波受信状態、充電台2への載置状態、内蔵バッテリ104のバッテリ残量、および呼制御サーバ機能の無効状態継続時間をサーバ起動可否判断部109から取得し、これらの情報を端末状態情報としてサーバ起動可否通知に付加する。
【0062】
また、サーバ起動可否通知送信部110において、所定の待ち時間の経過により受信タイマがタイムアウトする前に(S205でNO)、サーバ制御部115が呼制御サーバとして動作している他の無線電話端末1からサーバ起動指示を受信したならば(S204でYES)、S216に進む。
【0063】
一方、サーバ通知あるいはサーバ起動指示のいずれも受信することなく、所定の待ち時間の経過により受信タイマがタイムアウトした場合(S205でYES)、呼制御サーバ処理部107は、登録されている呼制御サーバアドレスを削除し、サーバ起動可否通知送信部110は、乱数タイマをセットして、乱数により定まる任意の待ち時間の計測を開始する(S211)。
【0064】
そして、サーバ起動可否通知送信部110は、任意の待ち時間の経過により乱数タイマがタイムアウトする前に(S213でNO)、呼制御サーバとして動作している他の無線電話端末1からサーバ通知を受信したならば(S212でYES)、S207に進む。一方、サーバ通知を受信することなく、任意の待ち時間の経過により乱数タイマがタイムアウトしたならば(S213でYES)、サーバ起動可否判断部109は、後述のサーバ起動可否判断処理を行って、その判断結果をサーバ起動可否通知送信部110に通知する(S214)。これを受けて、サーバ起動可否通知送信部110は、この判断結果が呼制御サーバ機能の起動不可能を示しているならば(S215でNO)、S202に戻り、呼制御サーバ機能の起動可能を示しているならば、サーバ制御部115に呼制御サーバの起動を依頼して、S216に進む。
【0065】
S216において、サーバ制御部115は、呼制御サーバ処理部107を起動して、自無線電話端末1の呼制御サーバ機能を有効にする。つぎに、サーバ起動可否通知受信部112は、定期的に到来するサーバ通知タイミングになったか否かを判断し(S217)、サーバ通知タイミングになったならば(S217でYES)、自無線電話端末1のサーバ機能が有効である旨を示すサーバ通知を生成し、これをマルチキャスト送信する(S218)。
【0066】
また、サーバ起動可否通知受信部112は、他の無線電話端末1からサーバ起動可否通知を受信したならば(S219でYES)、このサーバ起動可否通知に基づいて起動可否情報記憶部111を更新する(S220)。
【0067】
具体的には、起動可否情報記憶部111から、サーバ起動可否通知の送信元アドレスがフィールド1111に登録されているレコード1110を検索し、検索したレコード1110のフィールド1112を、このサーバ起動可否通知が示す判断結果に更新する。また、この判断結果が「起動不可」であるならば、このレコード1110のフィールド1113の端末状態情報をクリアし、「起動可」であるならば、このレコード1110のフィールド1113の端末状態情報を、サーバ起動可否通知に付加された端末状態情報に更新する。ここで、サーバ起動可否通知の送信元アドレスがフィールド1111に登録されたレコード1110が存在しない場合は、新たなレコード1110を追加し、このレコード1110のフィールド1111、1112に、サーバ起動可否通知の送信元アドレス、およびサーバ起動可否通知が示す判断結果を登録する。また、この判断結果が「起動可」であるならば、このレコード1110のフィールド1113に、サーバ起動可否通知に付加された端末状態情報を登録する。
【0068】
また、呼制御サーバ処理部107は、他の無線電話端末1から呼制御サーバへの帰属要求を受信したならば(S221でYES)、この帰属要求に含まれている無線電話端末1の電話番号およびアドレスを、呼制御サーバである自無線電話端末1に帰属する端末の電話番号およびアドレスとして登録する(S222)。
【0069】
また、サーバ交代要否判断部113は、定期的に到来するサーバ交代要否判断タイミングになったか否かを判断する(S223)。サーバ交代要否判断タイミングになったならば(S221でYES)、サーバ交代要否判断部113は、後述のサーバ交代要否判断処理を行う(S224)。そして、サーバ担当の交代不要と判断したならば(S225でNO)、S217に戻る。一方、サーバ担当の交代必要と判断したならば(S225でYES)、サーバ交代要否判断部113は、サーバ担当決定部114に次サーバ担当の決定を依頼する。
【0070】
これを受けて、サーバ担当決定部114は、後述の次サーバ担当決定処理を行って(S226)、次サーバ担当に決定された無線電話端末1をサーバ制御部115に知らせる。そして、サーバ制御部115は、次サーバ担当に決定された無線電話端末1にサーバ起動指示を送信するとともに(S227)、呼制御サーバ処理部107を停止して、自無線電話端末1の呼制御サーバ機能を無効にする(S228)。その後、S202に戻る。
【0071】
図8(A)は、サーバ起動可否判断処理(
図6のS209、S214)を説明するためのフロー図である。
【0072】
まず、サーバ起動可否判断部109は、稼働状態取得部108から自無線電話端末1の最新の稼働状態を入手する(S2091)。それから、この稼働状態に含まれている帰属先の無線アクセスポイント3の受信電話強度が所定値未満であるか否かを調べる(S2092)。帰属先の無線アクセスポイント3の受信電話強度が所定値未満である場合(S2092でYES)、サーバ起動可否判断部109は、呼制御サーバ機能の起動不可能と判断する(S2096)。
【0073】
一方、帰属先の無線アクセスポイント3の受信電話強度が所定値以上である場合(S2092でNO)、稼働状態に含まれている充電台2への載置状態を調べる(S2093)。そして、充電台2への載置状態が「載置」である場合(S2093でNO)、サーバ起動可否判断部109は、呼制御サーバ機能の起動可能と判断する(S2095)。
【0074】
一方、充電台2への載置状態が「非載置」である場合(S2093でYES)、サーバ起動可否判断部109は、さらに、稼働状態に含まれている内蔵バッテリ104のバッテリ残量を調べる(S2094)。そして、内蔵バッテリ104のバッテリ残量が所定値以上ならば(S2094でNO)、呼制御サーバ機能の起動可能と判断し(S2095)、内蔵バッテリ104のバッテリ残量が所定値未満ならば(S2094でYES)、呼制御サーバ機能の起動不可能と判断する(S2096)。
【0075】
図8(B)は、サーバ交代要否判断処理(
図7のS224)を説明するためのフロー図である。
【0076】
まず、サーバ交代要否判断部113は、稼働状態取得部108から自無線電話端末1の最新の稼働状態を入手する(S2241)。それから、この稼働状態に含まれている帰属先の無線アクセスポイント3の受信電話強度が所定値未満であるか否かを調べる(S2242)。帰属先の無線アクセスポイント3の受信電話強度が所定値未満である場合(S2242でYES)、サーバ交代要否判断部113は、サーバ担当の交代必要と判断する(S2247)。
【0077】
一方、帰属先の無線アクセスポイント3の受信電話強度が所定値以上である場合(S2242でNO)、サーバ交代要否判断部113は、稼働状態に含まれている充電台2への載置状態を調べる(S2243)。充電台2への載置状態が「載置」である場合(S2243でNO)、サーバ交代要否判断部113は、サーバ担当の交代不要と判断する(S2246)。
【0078】
一方、充電台2への載置状態が「非載置」である場合(S2243でYES)、サーバ交代要否判断部113は、さらに、稼働状態に含まれている内蔵バッテリ104のバッテリ残量を調べる(S2244)。内蔵バッテリ104のバッテリ残量が所定値未満である場合(S2244でYES)、サーバ交代要否判断部113は、サーバ担当の交代必要と判断する(S2247)。
【0079】
一方、内蔵バッテリ104のバッテリ残量が所定値以上である場合(S2244でNO)、サーバ交代要否判断部113は、さらに、稼働状態に含まれている呼制御処理回数を調べる(S2245)。そして、呼制御処理回数が所定値未満ならば(S2245でNO)、サーバ担当の交代不要と判断し(S2246)、呼制御処理回数が所定値以上ならば(S2245でYES)、サーバ担当の交代必要と判断する(S2247)。
【0080】
図8(C)は、次サーバ担当決定処理(
図7のS226)を説明するためのフロー図である。
【0081】
まず、サーバ担当決定部114は、起動可否情報記憶部111から、フィールド1112に記憶されている呼制御サーバ機能の起動可否が「起動可」であるレコード1110を抽出する(S2261)。
【0082】
つぎに、抽出した各レコード1110の優先度を、フィールド1113に記憶されている端末状態情報に基づいて上述の要領により算出する(S2262)。それから、最も優先度の高いレコード1110を特定し(S2263)、この特定したレコード1110のフィールド1111に登録されているアドレス情報により特定される無線電話端末1を次サーバ担当に決定する(S2264)。
【0083】
以上、本発明の一実施の形態を説明した。
【0084】
本実施の形態に係る無線電話システムにおいて、呼制御サーバ機能を無効にしている各無線電話端末1は、自無線電話端末1の電波受信状態、充電台2への載置状態、および内蔵バッテリ104のバッテリ残量に基づいて、呼制御サーバ機能の起動可否を判断する。そして、その判断結果を示すサーバ起動可否通知を生成し、呼制御サーバ機能を有効にしている無線電話端末1に、このサーバ起動可否通知を送信する。また、呼制御サーバ機能を有効にしている無線電話端末1からサーバ起動指示を受信したならば、呼制御サーバ機能を有効にする。
【0085】
一方、呼制御サーバ機能を有効にしている無線電話端末1は、自無線電話端末1の電波受信状態、充電台2への載置状態、および内蔵バッテリ104のバッテリ残量に基づいて、サーバ担当の交代要否を判断する。そして、サーバ担当の交代必要と判断した場合に、呼制御サーバ機能を無効にしている各無線電話端末1から送られてくるサーバ起動可否通知を参照し、呼制御サーバ機能が起動可能状態にある無線電話端末1のなかから次サーバ担当を決定する。そして、次サーバ担当に決定された無線電話端末1にサーバ起動指示を送信するとともに、自無線電話端末1の呼制御サーバ機能を無効にする。
【0086】
したがって、本実施の形態に係る無線電話システムにおいて、呼制御サーバ機能を有効している無線電話端末1は、電波受信状態、充電台2への載置状態、および内蔵バッテリ104のバッテリ残量に問題のない無線電話端末1、すなわち呼制御を正常に処理できる可能性の高い無線電話端末1のなかから次サーバ担当を決定できる。このため、呼制御サーバを特別に設置することなく、無線電話システムを安定的に構築することが可能となる。
【0087】
また、無線電話端末1において、サーバ起動可否判断部109は、自無線電話端末1が帰属する無線アクセスポイント3の受信電波強度が所定値未満の場合、あるいは自無線電話端末1の充電台2への載置状態が「非載置」であり、かつ内蔵バッテリ104のバッテリ残量が所定値未満の場合に、呼制御サーバ機能を起動不可能と判断するので、呼制御を正常に処理できない可能性の高い無線電話端末1が次サーバ担当に決定されるのを防止することができる。
【0088】
また、無線電話端末1において、サーバ交代要否判断部113は、自無線電話端末1が帰属する無線アクセスポイント3の受信電波強度が所定値未満の場合、あるいは自無線電話端末1の充電台2への載置状態が「非載置」であり、かつ内蔵バッテリ104のバッテリ残量が所定値未満の場合に、サーバ担当の交代必要と判断するので、呼制御サーバ機能を有効にしている無線電話端末1が、電波受信状態の悪化、バッテリ切れ等により呼制御を正常に処理できなくなる前に、呼制御サーバを他の無線電話端末1に交代することができる。
【0089】
また、無線電話端末1において、サーバ起動可否判断部109において呼制御サーバ機能が起動可能であると判断されている場合、サーバ起動可否通知送信部110は、サーバ起動可否通知に、自無線電話端末1の電波受信状態、充電台2への載置状態、および内蔵バッテリ104のバッテリ残量に関する情報を含む端末状態情報を付加して、このサーバ起動可否通知をサーバ通知送信元に送信する。また、サーバ担当決定部114は、起動可否情報記憶部111を参照し、呼制御サーバ機能が起動可能な無線電話端末1のなかから、電波受信状態、充電台2への載置状態、および内蔵バッテリ104のバッテリ残量を含む端末状態情報に応じて定まる優先度が最も高いサーバ通知送信元を次のサーバ担当に決定する。このため、より確実に呼制御を処理できる無線電話端末1を次サーバ担当に決定することができ、無線電話システムを、より安定的に構築することが可能となる。なお、本実施の形態においては、内蔵バッテリ104のバッテリ残量に基づき優先度を決定しているが、外付けバッテリが装着されている場合には、外付けバッテリのバッテリ残量を含めた総バッテリ残量に基づき優先度を決定してもよい。
【0090】
また、無線電話端末1において、サーバ起動可否判断部109が呼制御サーバ機能を起動可能であると判断した場合、サーバ起動可否通知送信部110は、サーバ起動可否通知に付加する端末状態情報に呼制御サーバ機能の無効状態継続時間を含める。また、サーバ担当決定部114は、起動可否情報記憶部111を参照し、サーバ起動可否通知に付加されている端末状態情報に含まれている電波受信状態、充電台2への載置状態、および内蔵バッテリ104のバッテリ残量だけでは、次サーバ担当としての優劣がつかない無線電話端末1間において、この端末状態情報に含まれている呼制御サーバ機能の無効状態継続時間が長いものほど優先度が高くなるように、優先度を定める。このため、呼制御サーバ機能の無効状態継続時間を除く端末状態情報がほぼ同じ無線電話端末1間において、サーバ担当を均等に割り振ることが可能となり、負荷分散を図ることができる。
【0091】
また、無線電話端末1において、サーバ交代要否判断部113は、充電台2への載置状態が「非載置」である場合に、呼制御サーバ機能が有効になってからの呼制御サーバ処理部107における呼制御処理回数が所定値に達したならば、内蔵バッテリ104のバッテリ残量にかかわらず、サーバ担当の交代必要と判断する。このため、例えば、電波受信状態が良好な無線電話端末1の充電台2への載置状態がすべて「非載置」である場合において、これらの無線電話端末1間においてサーバ担当を均等に割り振ることが可能となり、負荷分散を図ることができる。
【0092】
また、無線電話端末1の呼制御サーバ機能が無効の場合において、サーバ起動可否通知送信部110がサーバ通知を受信することなく所定の待ち時間の経過により受信タイマがタイムアウトし、さらに、任意に設定された待ち時間においても、サーバ起動可否通知送信部110がサーバ通知を受信することなく乱数タイマがタイムアウトした場合に、サーバ制御部115は、呼制御サーバ処理部107を起動して、自無線電話端末1の呼制御サーバ機能を有効にする。このため、呼制御サーバ機能を有効にしている無線電話端末1が、不測の事態により、次サーバ担当を決定してサーバ起動指示を送信することなく、すなわち呼制御サーバの引継ぎを行うことなく、電源断したような場合でも、いずれかの無線電話端末1を呼制御サーバとして動作させることが可能となる。
【0093】
なお、本発明は上記の実施の形態に限定されるものではなく、その要旨の範囲内で数々の変形が可能である。
【0094】
例えば、上記の実施の形態において、複数の無線電話端末1に加え、LAN4に接続された少なくとも一台の有線電話端末を含めて電話システムを構築するようにしてもよい。ここで、有線電話端末については、充電台への載置状態およびバッテリ残量を、常に「載置」および「100%」と看做すことにより、有線電話端末を無線電話端末1と同様に扱うことができる。
【0095】
また、上記の実施の形態では、無線電話端末1が無線アクセスポイントを利用して無線接続するIP電話端末である場合を例にとり説明したが、本発明はこれに限定されない。本発明は、無線中継局を利用して無線接続する無線電話端末に広く適用可能である。例えば、無線基地局を利用する携帯電話端末、PHS端末を用いて内線電話システムを構築する場合にも、無線基地局の受信電波状態を端末状態情報に含めることにより、本発明は同様に適用可能である。
【0096】
また、上記の実施の形態において、
図4に示す無線電話端末1の機能構成は、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、FPGA(Field Programmable Gate Array)などの集積ロジックICによりハード的に実現されるものでもよいし、あるいはDSP(Digital Signal Processor)などの計算機によりソフトウエア的に実現されるものでもよい。または、CPU、メモリ、HDD、DVD−ROM等の補助記憶装置、およびNIC(Network Interface Card)、モデム等の通信インターフェースを備えたPC(Personal Computer)等の汎用コンピュータにおいて、CPUが所定のプログラムを補助記憶装置からメモリ上にロードして実行することで実現されるものでもよい。