特許第5765283号(P5765283)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5765283
(24)【登録日】2015年6月26日
(45)【発行日】2015年8月19日
(54)【発明の名称】ワーク処理装置
(51)【国際特許分類】
   B23B 35/00 20060101AFI20150730BHJP
【FI】
   B23B35/00
【請求項の数】3
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2012-78552(P2012-78552)
(22)【出願日】2012年3月30日
(65)【公開番号】特開2013-208656(P2013-208656A)
(43)【公開日】2013年10月10日
【審査請求日】2014年3月6日
(73)【特許権者】
【識別番号】000100768
【氏名又は名称】アイシン・エィ・ダブリュ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000648
【氏名又は名称】特許業務法人あいち国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】加藤 進
(72)【発明者】
【氏名】高開 明
(72)【発明者】
【氏名】上野 仁嗣
(72)【発明者】
【氏名】杉山 繁広
【審査官】 小川 真
(56)【参考文献】
【文献】 実開昭52−038789(JP,U)
【文献】 特開昭61−244483(JP,A)
【文献】 特開平05−073148(JP,A)
【文献】 特開2011−156647(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B23B 35/00
B23Q 7/02
B23P 19/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ワークを保持してテーブル軸を中心に回転可能回転テーブルと、
複数のツールを備えると共に上記テーブル軸と平行に配されたホルダー軸を中心に回転可能ツールホルダーとを有し、
上記複数のツールには、ワークに作業を行う作業ツールと、ワークを把持する把持ツールとがあり、
上記回転テーブルの回転によってワークの特定部位を上記作業ツールの回転軌跡上に移動させると共に、上記ツールホルダー回転によって上記作業ツールを上記特定部位へ移動させることにより、上記特定部位と上記作業ツールとの位置合わせを行うよう構成されており、かつ、上記ツールホルダーの回転によって、上記把持ツールによって把持するワークを、上記回転テーブルと、該回転テーブルとは異なる位置にある載置部との間で搬送するよう構成されていることを特徴とするワーク処理装置。
【請求項2】
請求項1に記載のワーク処理装置において、上記テーブル軸を回転中心として上記回転テーブルが回転する際に上記特定部位の回転軌跡として描かれる軌跡円と、上記作業ツールの回転軌跡との上記テーブル軸の軸方向から見た交点の位置を求め、該交点へ上記特定部位および上記作業ツールを移動させることによって、上記特定部位と上記作業ツールとの位置合わせを行うよう構成されていることを特徴とするワーク処理装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載のワーク処理装置において、上記テーブル軸は、該テーブル軸の軸方向から見たとき、上記作業ツール又は上記把持ツールの回転軌跡上に配されていることを特徴とするワーク処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ワークに対して処理を行う複数のツールを備えたワーク処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
製品の組立や加工等の処理を行うワーク処理装置としては、処理を行うための複数のツールを備え、ワークにおける複数の部位に対して処理を行うよう構成されたものが知られている。
【0003】
このようなワーク処理装置としては、特許文献1及び特許文献2に示されたものがある。これらのワーク処理装置は、複数のツールを保持するツール保持部と、ワークを保持するワーク保持部と、ツール保持部とワーク保持部とを相対的に移動させる移動装置とを備えている。
【0004】
上記のワーク処理装置は、ツール保持部を回転させることで、各ツールを所定の位置へと移動するよう構成されている。
また、ツール保持部とワーク保持部を相対的に移動させる移動装置は、水平面上において直交する2方向に移動可能に構成されたXYテーブルや直交ロボットによって構成されており、移動装置によってワーク保持部とツール保持部とを相対的に移動させることにより、ワークの処理部位とツールとの位置合わせを行うよう構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開昭64−17499号公報
【特許文献2】特開平4−159038号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1及び特許文献2のワーク処理装置においては、以下の問題点がある。
上記のワーク処理装置において、移動装置として用いられるXYテーブル又は直交ロボットは、平面上においてワークの外形よりも広い範囲を移動可能に構成されている必要があり、ワークの大きさに比べて大型になりやすい。そのため、ワーク処理装置自体の大きさが大型化することとなる。
また、大型化に伴い移動量が増大するため、移動にかかる時間が長くなる。そのため、ワーク処理装置の稼働時間において、ワークに処理を行わない非処理時間が増大する。これにより、ワーク処理装置における効率が低下することとなる。
【0007】
本発明は、上述の背景に鑑みてなされたものであり、効率の向上及び小型化が可能なワーク処理装置を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一態様は、ワークを保持してテーブル軸を中心に回転可能回転テーブルと、
複数のツールを備えると共に上記テーブル軸と平行に配されたホルダー軸を中心に回転可能ツールホルダーとを有し、
上記複数のツールには、ワークに作業を行う作業ツールと、ワークを把持する把持ツールとがあり、
上記回転テーブルの回転によってワークの特定部位を上記作業ツールの回転軌跡上に移動させると共に、上記ツールホルダー回転によって上記作業ツールを上記特定部位へ移動させることにより、上記特定部位と上記作業ツールとの位置合わせを行うよう構成されており、かつ、上記ツールホルダーの回転によって、上記把持ツールによって把持するワークを、上記回転テーブルと、該回転テーブルとは異なる位置にある載置部との間で搬送するよう構成されていることを特徴とするワーク処理装置にある(請求項1)。
【発明の効果】
【0009】
上記回転テーブル及び上記ツールホルダーは、上記テーブル軸及び上記ホルダー軸を中心軸として回転することにより、上記特定部位と上記ツールとの位置合わせを行うことができる。そのため、従来用いられていたXYテーブルや直交ロボットのように、上記回転テーブル及び上記ツールホルダーを、平面上において移動させることなく、上記回転テーブル及び上記ツールホルダーの外形よりも内側で処理を行うことができる。これにより、上記ワーク処理装置の大きさを従来よりも小さくすることができる。
【0010】
また上記特定部位へ上記ツールを移動する際に、上記ツールの移動距離が小さくなる方向に上記ツールホルダーを回転させることにより、上記ツールと上記特定部位との位置合わせを短時間で効率よく行うことができる。
【0011】
以上のごとく、上記ワーク処理装置によれば、処理効率の向上及び小型化が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】実施例1における、ワーク処理装置を示す説明図。
図2】実施例1における、ツールの配置を示す説明図(図1のA−A矢視線断面相当図)。
図3】実施例1における、ケースを示す斜視図。
図4】実施例1における、ケースを示す平面図。
図5】実施例1における、カバーを示す斜視図。
図6】実施例1における、カバーを示す平面図。
図7】実施例1のワーク処理装置における、接着剤塗布時の動作を示す説明図。
図8】実施例1のワーク処理装置における、カバーを把持する際の動作を示す説明図。
図9】実施例1のワーク処理装置における、カバーをケース上に載置する際の動作を示す説明図。
図10】実施例1のワーク処理装置における、固定ボルト締結時の動作を示す説明図。
【発明を実施するための形態】
【0013】
上記ワーク処理装置において、上記特定部位と上記ツールとの位置合わせは、画像処理技術やセンシング技術など、種々の技術を用いて実施することができる。その中でも、後述する上記特定部位と上記ツールとの上記テーブル回転軸方向から見た交点の位置を予め求め、これを利用可能な構成とすることがより好ましい。
【0014】
すなわち、上記テーブル軸を回転中心として上記回転テーブルが回転する際に上記特定部位の回転軌跡として描かれる軌跡円と、上記作業ツールの回転軌跡との上記テーブル軸の軸方向から見た交点の位置を求め、該交点へ上記特定部位および上記作業ツールを移動させることによって、上記特定部位と上記作業ツールとの位置合わせを行うよう構成されていてもよい(請求項2)。この場合には、上記回転テーブル及び上記ツールホルダーを、並行して同時に移動させることができる。これにより、上記特定部位と上記ツールとの位置合わせをより確実にかつ素早く行うことができる。
【0015】
また、上記テーブル軸は、該テーブル軸の軸方向から見たとき、上記作業ツール又は上記把持ツールの回転軌跡上に配されていてもよい(請求項3)。この場合には、上記回転テーブルを回転させることにより、上記ワーク上の全ての領域に上記回動軌跡を配することができる。これにより、上記ツールホルダーが保持するツールによって、上記ワーク上の全ての領域において、処理を行うことができる。
【0016】
また、上記ツール配置円の直径を、上記回転テーブルを回転させ上記ワークの外形によって形成される円周の最大半径以上の寸法に設定されていることが好ましい。これにより、上記ワーク上の全ての領域に確実に処理を行うことができる。
【0017】
また、上記ツールとしては、ネジ類を締結するナットランナー、穴開け加工を行うドリル、種々の液体を塗布するディスペンサー等の加工ツールや、ワーク等を移動するための把持ツール等、種々のツールを用いることができる。
【実施例】
【0018】
(実施例1)
ワーク処理装置にかかる実施例について、図1図10を参照して説明する。
図1に示すごとく、ワーク処理装置1は、ワークを保持すると共にテーブル軸31を中心に回転可能に設けられた回転テーブル3と、ツール配置円210(図2)に沿って配置された3つのツール(211、212、213)を備えると共にツール配置円210の中心を通るホルダー軸201を中心に回転可能に設けられたツールホルダー20とを有している。テーブル軸31とホルダー軸201とは平行に配されており、ホルダー軸201の軸方向から見て、ツール配置円210が回転テーブル3上に保持されるワークと重なるよう配されている。
【0019】
ワーク処理装置1は、回転テーブル3の回転によって特定部位をツール配置円210上に移動させると共に、ツールホルダー20の回転によってツールを移動することにより、特定部位とツールとの位置合わせを行うように構成されている。尚、本例におけるワークは、トランスアクスルを構成するケース61とカバー62とからなり、特定部位は、図3に示すケース61のケース側シール面613及びボルト穴614からなる。
【0020】
以下、さらに詳細に説明する。
本例に示すワーク処理装置1は、上述したワークであるケース61とカバー62との組み付けを行うものである。ケース61とカバー62との組み付け作業としては、ケース61への接着剤の塗布、ケース61上へのカバー62の配置及びケース61とカバー62との締結固定の3つの作業がある。
【0021】
図3及び図4に示すごとく、トランクアクスルを構成するケース61は、底面部611と、底面部611の外周縁から立設した筒状のケース壁部612とを備えている。ケース壁部612の先端側に配された面はケース側シール面613をなしている。また、ケース側シール面613には、ケース壁部612の立設方向に形成された複数のボルト穴614を有しており、ボルト穴614は、固定ボルトを螺合可能に構成されている。
【0022】
図5及び図6に示すごとく、カバー62は、上方に突出した凸状部621と、凸状部621の外周縁から外周側に向かって形成されたカバー鍔部622を有している。上方から見たとき、カバー鍔部622の外形は、ケース61の外形と対応した形状をなしており、その下面における外周縁近傍は、ケース側シール面613と対応したカバー側シール面623をなしている。また、カバー鍔部622には、ケース61のボルト穴614と対応した位置に、固定ボルトを挿通可能に構成された複数の挿通穴624が形成されている。
【0023】
図1に示すごとく、上記のケース61とカバー62とを組み付けるワーク処理装置1は、3つのツールを備えたツールユニット2と、ケース61を回転させる回転テーブル3と、これらを固定保持するフレーム4と、ケース61を供給するケース用コンベア51と、カバー62を供給するカバー用コンベア52とを備えている。
【0024】
フレーム4は、床面上に配置された矩形板状のベース部41と該ベース部41から上方に向かって立設した4本の支柱部42と、支柱部42の上端に配された天板部43とによって構成されている。
【0025】
フレーム4における天板部43には、ツールユニット2が配されている。
ツールユニット2は、3つのツールと、これらを保持するツールホルダー20と、ツールホルダー20を昇降及び回転させるツール側駆動部22とを備えている。
ツールユニット2が備える3つのツールは、接着剤の塗布を行うディスペンサー211、カバー62を把持する把持ツール212、及び固定ボルトの締結を行うナットランナー213からなる。
【0026】
ディスペンサー211は、予め接着剤の吐出量を設定することにより、その先端に配されたノズルから一定量の接着剤を吐出可能に構成されている。
把持ツール212は、カバー62のカバー鍔部622と係合する係合爪部(図示略)とカバー62の挿通穴624に挿通する位置決めピン(図示略)とを有する把持部215を備えており、カバー62を決まった姿勢で把持可能に構成されている。尚、把持ツール212は、把持したカバー62をケース61上に移動させた際に、カバー62とケース61とが対応した位置に配されるように構成されている。
【0027】
ナットランナー213は、その先端に配され回転可能に構成されたソケットと、図示しないボルト供給装置とを備えている。ボルト供給装置に投入された固定ボルトは、ボルト整列機(図示略)によって決まった姿勢に整列された後、ボルト供給ホース214を介して、ソケットの先端側に供給される。そして、固定ボルトの頭部とソケットとを係合させ、ソケットを回転させることにより、固定ボルトを螺合することができる。
【0028】
図1に示すごとく、上記の各ツールは、円板状のツールホルダー20の下面に垂下するように配されている。図2に示すごとく、各ツールは、ツールホルダー20の外周縁からなる円周の同心円であるツール配置円210上に配されており、上方から見たとき、ナットランナー213から矢印R方向に90°移動した位置に把持ツール212が配されており、ナットランナー213から矢印F方向に90°移動した位置にディスペンサー211が配されている。
【0029】
図1に示すごとく、ツールホルダー20は、ツール側駆動部22と連結されており、ツール側駆動部22によって昇降移動および回転が可能に構成されている。ツール側駆動部22は、フレーム4の天板部43上面に配されたツールホルダー昇降部221と、ツールホルダー昇降部221によって昇降可能に配されると共に下端にツールホルダー20を配したツールホルダー回転部224とを備えている。
【0030】
図1に示すごとく、ツールホルダー昇降部221は、駆動源となる昇降駆動モータ222と、ボールネジ機構(図示略)を備えた昇降機構部223とを有しており、昇降駆動モータ222の回転運動を昇降機構部223のボールネジ機構によって直線運動に変換し、ツールホルダー回転部224を昇降移動可能に構成されている。
【0031】
図1に示すごとく、ツールホルダー回転部224は、駆動源となる回転駆動モータ225と、天板部43に形成された貫通孔に挿通配置された回転シャフト226とを備えており、回転シャフト226の下端にはツールホルダー20を備えている。尚、回転シャフト226とツールホルダー20とは、回転シャフト226の回転中心軸とツール配置円210の中心軸とが同心となるように連結されている。
【0032】
回転駆動モータ225の回転軸と回転シャフト226とには、図示しない伝達ベルトが巻き掛けられており、伝達ベルトを介して、回転駆動モータ225の回転運動を回転シャフト226に伝達することができる。したがって、ツールホルダー20回転シャフト226を回転させることによって、ツールホルダー20を回転可能に構成されている。尚、本例においては、回転シャフト226の回転中心軸がホルダー軸201となる。
【0033】
図1に示すごとく、フレーム4のベース部41上面には、回転テーブル3が配されている。回転テーブル3は、ケース用パレット511上に決められた姿勢で載置されたケース61を運搬するケース用コンベア51の内側に配されている。回転テーブル3は、ケース用パレット511の下面と連結される可動部33と、可動部33を昇降移動及び回転させるテーブル駆動部32を備えている。テーブル駆動部32は,ケース用パレット511の下面と連結される可動部33と、可動部33を昇降移動させるテーブル昇降機構と、上昇した可動部33を回転させるテーブル回転機構とを備えている。テーブル昇降機構及びテーブル回転機構は、駆動源として図示しないシリンダ装置及び駆動モータをそれぞれ備えている。
【0034】
図2に示すごとく、テーブル回転機構の回転中心軸からなるテーブル軸31は、回転テーブル3に配されたケース61の長手方向及び長手方向と直交する方向の略中央を通るように配されている。また、テーブル軸31は、上方から見たとき、ツール配置円210の円周上に配されている。
【0035】
図1に示すごとく、回転テーブル3と反対の位置には、カバー用コンベア52が配してある。カバー用コンベア52は、カバー用パレット521上に載置されたカバー62を搬送可能に構成されている。また、カバー62は、カバー用コンベア52の終端であるカバー待機位置に把持ツール212と対応した姿勢で搬送される。そのため、把持ツール212を下降させることによって、把持ツール212によってカバー62を把持することができる。
【0036】
次に、上記のごとく構成されたワーク処理装置1を用いて、ケース61とカバー62の組み付けを行う順序について説明する。
ケース用パレット511上に載置されたケース61は、ケース用コンベア51によって、回転テーブル3の上方へと搬送される。回転テーブル3は、可動部33を上昇させ、可動部33の上面とケース用パレット511の下面とを連結する。可動部33をさらに上昇させることでケース用パレット511とケース用コンベア51とを切り離し、ケース用パレット511及びケース61を回転可能な位置へと上昇させる。
【0037】
次に、ケース用パレット511と共に上昇したケース61のケース側シール面613へ接着剤の塗布を行う。
図7に示すごとく、ツールホルダー20を回転させ、上方から見てツール配置円210とケース側シール面613の交点P1上へとディスペンサー211を移動し、接着剤の吐出を開始する。このとき、ツール配置円210とケース側シール面613との交点が2つあり、いずれの交点へ移動してもよいが、ツールホルダー20の移動距離が小さい側へと移動することが好ましい。
【0038】
そして、可動部33を正転方向F又は逆転方向Rのいずれか一方に回転させながらケース側シール面613上に接着剤を塗布する。本例においては、可動部33を正転方向Fへと回転させた。このとき、ケース側シール面613とツール配置円210との交点P1と、テーブル軸31との距離が変化するため、ツールホルダー20を正転方向F及び逆転方向Rに適宜回転させ、ディスペンサー211がケース側シール面613上に配されるように位置調整を行う。そして、ディスペンサー211がケース側シール面613の接着剤の塗布を開始した位置へと戻り、ケース側シール面613の全周に接着剤が塗布される。
【0039】
次に、把持ツール21によって、カバー62を移動し、ケース61上に配置する。
図8に示すごとく、ツールホルダー20を逆転方向Rへと回転させ、把持ツール212によってカバー62を把持する。ツールホルダー20を下降させることにより、カバー待機位置に配置されたカバー62を、把持ツール212の把持部215によって把持する。
【0040】
そして、図9に示すごとく、把持ツール212によってカバー62を把持した後、ツールホルダー20を上昇させ、ツールホルダー20を正転方向F又は逆転方向Rに180°回転させてケース61の上方へと把持ツール212を移動する。再度、ツールホルダー20を下降させケース61上にカバー62を載置する。
【0041】
次に、ナットランナー213を用いて固定ボルトを締結し、ケース61とカバー62とを固定する。
図10に示すごとく、カバー62をケース61上に載置した後、可動部33を回転させ、複数のボルト穴614のうちのいずれか一つをツール配置円210上に移動させる。 また、ナットランナー213とボルト穴614との移動距離が小さい逆転方向Rにツールホルダー20を回転させ、交点P2の上方にナットランナー213を配置する。
【0042】
上記のナットランナー213とボルト穴614との位置合わせは、軌跡円615とツール配置円210との交点P2の位置情報を求め、ツールホルダー20と回転テーブル3とを並行して回転移動させて、ナットランナー213とボルト穴614とを交点P2へと移動させた。また、軌跡円615とツール配置円210との交点は2つあるが、ナットランナー213と近い側に配された交点P2上へボルト穴614を移動することが好ましい。
【0043】
ナットランナー213及びボルト穴614の位置合わせを完了した後、ツールホルダー20を下降させ、ボルト供給装置から供給された固定ボルトをカバー62のボルト穴614の内側に挿通配置すると共に、ソケットを回転させ固定ボルトをケース61のボルト穴614に螺合する。
【0044】
ボルト穴614への固定ボルトの螺合を完了した後、ツールホルダー20を上昇させると共に、可動部33を回転させ、固定ボルトを螺合したボルト穴614と隣り合って配されたボルト穴614をツール配置円210上に移動させる。そして、ツールホルダー20を回転させ新たにツール配置円210上に配されたボルト穴614の上方にナットランナー213を移動させ、ナットランナー213によってボルト穴614に固定ボルトを螺合する。これを繰り返し、ケース61が有する全てのボルト穴614に固定ボルトを螺合することでケース61とカバー62の組み付けが完了する。
【0045】
次に、本例の作用効果について説明する。
回転テーブル3及びツールホルダー20は、テーブル軸31及びホルダー軸201を中心軸として回転することにより、上記特定部位とツールとの位置合わせを行うことができる。そのため、従来用いられていたXYテーブルや直交ロボットのように、回転テーブル3及びツールホルダー20を、平面上において移動させることなく、回転テーブル3及びツールホルダー20の外形よりも内側で処理を行うことができる。これにより、ワーク処理装置1の大きさを従来よりも小さくすることができる。
【0046】
また、ツール配置円210上に配された上記特定部位へツールを移動する際に、ツールの移動距離が小さくなる方向にツールホルダー20を回転させることにより、ツールと上記特定部位との位置合わせを短時間で効率よく行うことができる。
【0047】
また、ワーク処理装置1において、テーブル軸31を回転中心として特定部位を回転させた軌跡からなる軌跡円615とツール配置円210とのテーブル軸31方向から見た交点の位置を予め求め、交点へ特定部位およびツールを移動させることによって、特定部位とツールとの位置合わせを行うよう構成されている。そのため、回転テーブル3及びツールホルダー20を、並行して移動させることができる。これにより、特定部位とツールとの位置合わせをより確実にかつ素早く行うことができる。
【0048】
また、ツール配置円210は、テーブル軸31を通るように設けられている。そのため、ツールホルダー20が保持するツールによって、上記ワーク上の全ての領域において、処理を行うことができる。
【0049】
以上のごとく、本例に示したワーク処理装置1によれば、効率の向上及び小型化が可能となる。
【符号の説明】
【0050】
1 ワーク処理装置1
20 ツールホルダー20
201 ホルダー軸201
21 ツール
210 ツール配置円210
3 回転テーブル3
31 テーブル軸31
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10