(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0014】
[第1実施形態]
第1実施形態に係るゴムロール製造方法及びゴムロール製造装置の一例について説明する。なお、本実施形態に係るゴムロール製造装置およびゴムロール製造方法によって製造されるゴム被覆軸体(以下、「ゴムロール」という)は、一例として、画像形成装置の感光体に接触して回転し感光体の外周面を帯電する帯電ロールとして用いられる。
【0015】
図1に示すように、本実施形態の一例としてのゴムロール製造装置10は、ゴム材Gを排出する排出手段の一例としての排出部12と、排出部12の下方に配置され後述するゴムロール部56を引っ張る引張部16とを有している。また、ゴムロール製造装置10は、排出部12と引張部16との間に配置される押圧部14を有している。
【0016】
<排出部>
排出部12は、いわゆるクロスヘッドダイから構成される。また、排出部12は、未加硫のゴム材Gを供給するゴム材供給部18と、ゴム材供給部18から供給されたゴム材Gを円筒状に押し出す押出手段の一例としての押出部20とを有している。さらに、排出部12は、押出部20から円筒状に押し出されるゴム材Gの中心部に芯金22を供給する芯金供給部24を有している。
【0017】
(ゴム材供給部)
ゴム材供給部18は、図示の横方向に延びる円筒状の本体部26の内部にスクリュー28が回転可能に設けられている。スクリュー28は、図示の横方向を軸方向として、駆動モータ30によって回転駆動される。また、本体部26の駆動モータ30側には、ゴム材Gを投入する投入口32が設けられている。これにより、投入口32から投入されたゴム材Gは、本体部26の内部においてスクリュー28によって練られながら押出部20に向けて供給される。ゴム材供給部18では、スクリュー28の回転速度を調整することで、ゴム材Gの供給速度が調整される。
【0018】
(ゴム材)
ゴム材Gは、一例として、全ポリマーのうち80質量部以上のエピクロルヒドリンゴムを有し、カーボンや炭酸カルシウムなどの無機フィラーを30質量部以上60質量部以下で配合した未加硫のものを用いている。
【0019】
(押出部)
押出部20は、ゴム材供給部18が接続される円筒状のケース34と、ケース34の内部中心に配置される円柱状のマンドレル36と、マンドレル36の下方に配置される排出ヘッド38とを有している。
【0020】
マンドレル36は、ケース34の上側に取り付けられた保持部材40によって保持されている。また、排出ヘッド38は、ケース34の下側に取り付けられた保持部材42によって保持されている。そして、マンドレル36の外周面(一部において保持部材40の外周面)と、保持部材42の内周面(一部において排出ヘッド38の内周面)との間には、ゴム材Gが環状(円筒状)に流れる環状流路44が形成されている。
【0021】
また、マンドレル36の中心部には、芯金22が挿入される挿入孔46が図示の上下方向を軸方向として形成されている。さらに、マンドレル36の下部は、下端に向けて先細った形状を呈している。そして、マンドレル36の下部の下方の領域は、挿入孔46から供給される芯金22と環状流路44から供給されるゴム材Gとが合流する合流部48とされている。即ち、排出部12では、合流部48に向けてゴム材Gが円筒状に押し出されると共に、円筒状に押し出されるゴム材Gの中心部に芯金22が送り込まれるようになっている。
【0022】
ここで、ゴム材Gは、芯金22が無い状態で、合流部48を流れて押出部20から押し出されるときの押出速度が、第1速度V1[mm/s](
図2(A)参照)となっている。即ち、第1速度V1は、芯金22が無い状態で、スクリュー28の回転によりゴム材Gが押し出されるときの速度である。
【0023】
(芯金供給部)
芯金供給部24は、マンドレル36の上方に配置されるロール対50を有している。ロール対50は、複数対(一例として、3対)設けられており、各ロール対50の片側のロールは、ベルト52を介して駆動ロール54に接続されている。そして、駆動ロール54は、制御部55によって、回転速度(芯金22の送り込み速度)が制御されるようになっている。これにより、駆動ロール54が駆動されると、各ロール対50によって挟持される芯金22が、マンドレル36の挿入孔46に向けて送られるようになっている。
【0024】
芯金22は、予め定められた長さとされており、ロール対50によって送られる後方(図示の上方)の芯金22が、マンドレル36の挿入孔46に存在する先方の芯金22を押すことにより、複数の芯金22が順次、挿入孔46を通過するようになっている。また、駆動ロール54の駆動は、先方の芯金22の前方端がマンドレル36の先端に位置したときに一旦停止されるようになっており、マンドレル36の下方の合流部48において、芯金22が間隔をおいて送り込まれるようになっている。
【0025】
このように、排出部12においては、合流部48においてゴム材Gを円筒状に押し出し、ゴム材Gの中心部に間隔をおいて芯金22が順次、送り込まれるようになっている。これにより、ゴム材Gで芯金22の外周面が被覆されたゴムロール部56と、ゴム材Gの中心部(先方の芯金22と後方の芯金22との間)が中空とされた中空部58とが、排出ヘッド38から交互に排出されるようになっている。なお、芯金22の外周面には、ゴム材Gとの接着性を高めるためにプライマー(図示省略)が予め塗布されている。
【0026】
ここで、芯金供給部24は、中空部58が形成された後、芯金22を第3速度V3[mm/s]でゴム材Gに送り込むようになっている。第1実施形態では、一例として、第3速度V3が、ゴムロール部56の後述する第2速度V2の2.0倍に設定されている。なお、以後の説明では、芯金22の送り込み速度(供給速度)をVsと記載し、この送り込み速度Vsのうち、中空部58が形成された後の予め設定された速度を第3速度V3と記載して区別する場合がある。
【0027】
<押圧部>
押圧部14は、1対の半円筒状の押圧部材60を有している。1対の押圧部材60は、排出部12から排出される中空部58を挟むようにして対向配置されている。また、各押圧部材60には、中心部に向けて突出する突出部62が形成されている。そして、各押圧部材60は、駆動機構(図示省略)によって、図示の左右方向及び上下方向に移動可能となっている。
【0028】
<引張部>
引張部16は、1対の半円筒状の引張部材64を有している。1対の引張部材64は、排出部12から排出されるゴムロール部56を挟むようにして対向配置されている。また、各引張部材64には、ゴムロール部56の外周面形状に対応した形状の把持部66が形成されている。そして、各引張部材64は、駆動機構(図示省略)によって、図示の左右方向および上下方向に移動可能となっている。なお、引張部材64によるゴムロール部56の引張速度を第2速度V2[mm/s]とする。
【0029】
(第2速度の設定)
ゴムロール製造装置10において、ゴム材Gが押出部20から押し出されるときの第1速度V1(押出速度)に対して、引張部材64が引っ張る第2速度V2が遅すぎると、中空部58での単位長さ当たりのゴム材Gの量が増大することになる。この場合、後方のゴムロール部56の先端側(下端側)のゴム材Gには、大きな残留応力が生じ、この残留応力が、ゴムロール部56が排出された瞬間に解放されることで、後方のゴムロール部56の先端側の肉厚が増大することが予想される。
【0030】
一方、ゴムロール製造装置10において、第1速度V1に対して第2速度が速すぎると、引張部材64が、ゴムロール部56に対して滑って、ゴムロール部56から外れてしまうことが予想される。これらの理由により、第2速度V2には望ましい範囲が存在すると考え、完成体であるゴムロール70(
図5は半製品状態を示す)の肉厚の評価と、引張部材64のゴムロール部56に対する滑りの有無の評価とを行った。
【0031】
ゴム材Gは、主成分をエピクロロヒドリンゴムとし、加工助剤、カーボンブラック、炭酸カルシウム、可塑剤、加硫剤、加硫促進剤を配合したものを混練して得た。また、予備実験を行った結果から、第1速度V1に対する第2速度V2の比(速度比V2/V1)を0.9、1.0、1.3、1.4、1.5、1.6、2.0と設定した。さらに、第2速度V2に対する第3速度V3の比(速度比V3/V2)は、2.0とした。
【0032】
(肉厚の評価方法)
ゴムロール70(
図5参照)の端部における肉厚(外径膨張)の評価では、まず、長さ355[mm]、直径8[mm]の芯金22に対して、肉厚の設定を2[mm]としてゴム材G(ゴム層)を形成させ、加硫処理を施した。続いて、芯金22の端面68から15[mm]の位置でゴム層を切除して両端部で芯金22を露出させた。そして、芯金22の両端部を支持部材(図示省略)で支持して1回転させ、芯金22の端面68から20[mm]位置の平均外径と、50[mm]位置の平均外径とを測定し、その差(Δdとする)を求めた。なお、肉厚の評価は、2本目に押し出されたゴムロール部56から得られたゴムロール70について行った。
【0033】
ゴムロール70の外径の測定には、遮光式レーザー外径測定装置(アサカ理研製:ROLL2000)を使用した。なお、ゴムロール70先端の肉厚の評価は、制御可能な肉厚を○、制御不可能な肉厚(厚い)を×として、2段階評価で行った。なお、本実施形態では、△は○と×の間の使用可能レベルである。
【0034】
(滑りの有無の評価)
引張部材64のゴムロール部56に対する滑り(掴み損ね)の評価は、引張部材64がゴムロール部56を引っ張る状態で、ゴムロール部56の移動速度Vrをセンサ(図示省略)で測定した。そして、予め設定された引張部材64の第2速度V2と、測定されたゴムロール部56の移動速度Vrとの差が生じたものを×(滑り有り)、差が生じないものを○(滑り無し)として、2段階評価で行った。なお、滑りの有無の評価は、1本目として排出されたゴムロール部56について行った。
【0035】
ここで、各評価結果を表1にまとめて示す。
【表1】
【0036】
表1に示すように、ゴムロール肉厚の評価では、速度比V2/V1が1.0以上1.5以下の範囲で△又は○となった。また、滑り有無評価では、速度比V2/V1が1.0以上1.5以下の範囲で○となった。これらの結果から、中空部58が形成されるとき、引張部材64が、ゴムロール部56の排出側の先端部を、第1速度V1(
図2(A)参照)の1.0倍以上1.5倍以下となる第2速度V2で引っ張ることが望ましいことが確認された。なお、本実施形態では、一例として、第2速度V2が第1速度V1の1.3倍に設定されている。
【0037】
[作用]
次に、第1実施形態の作用について説明する。
【0038】
図2(A)に示すように、ゴム材Gが第1速度V1で押し出される。このゴム材Gの押し出しと共に、ゴム材Gの中心部に間隔をおいて順次、芯金22が送り込まれ、ゴム材Gで芯金22の外周面が被覆されたゴムロール部56と、ゴム材Gの中心部が中空とされた中空部58とが交互に排出されるようになる。これにより、先方の芯金22の先端部(図示の下側)が引張部材64と対向する位置まで押し出される。
【0039】
後方の芯金22がマンドレル36の先端位置において停止(後方の芯金22の移動速度Vs=0[mm/s])されると、各引張部材64は、互いに近づく方向に可動され、各引張部材64の把持部66によってゴムロール部56が把持される。なお、各引張部材64がゴムロール部56を把持している部位が、ゴムロール部56と引張部材64との接触部Sである。
【0040】
続いて、
図2(B)に示すように、各引張部材64が、排出されたゴムロール部56の排出側の先端部を第2速度V2で下方に引っ張ることで、先方の芯金22と後方の芯金22との間に対応する部位に中空部58が形成される。
【0041】
ここで、第1比較例として、
図7(B)に示すように、引張部材64の移動速度である第2速度V2がゴム材Gの第1速度V1の1.5倍よりも速い場合、接触部Sで引張部材64が滑ってしまい、各引張部材64がゴムロール部56から外れてしまう場合がある。また、各引張部材64が外れない場合であっても、ゴム材Gが押し出される第1速度V1に比べて速い第2速度V2でゴムロール部56を引っ張ることになるので、中空部58のゴム材Gの肉厚がゴムロール部56のゴム材Gの肉厚よりも薄くなる。
【0042】
さらに、第1比較例として、第2速度V2がゴム材Gの第1速度V1の1.0倍よりも遅い場合、
図7(A)に示すように、合流部48における中空部58のゴム材Gの肉厚d2が、ゴムロール部56のゴム材Gの肉厚d1よりも厚くなる。これは、単位時間において、排出される(引っ張られる)ゴムロール部56のゴム材Gの量よりも、合流部48に押し出される(供給される)ゴム材Gの量の方が増加するためである。
【0043】
一方、本実施形態では、
図2(B)に示すように、引張部材64の移動速度である第2速度V2がゴム材Gの第1速度V1の1.0倍以上1.5倍以下の速度となっている。これにより、ゴムロール部56の接触部Sで引張部材64が滑ることが抑制される。そして、ゴムロール部56が引張部材64で引っ張られることで、合流部48のゴム材Gに張力が作用し、ゴム材Gにおける先方の芯金22と後方の芯金22との間に中空部58が形成される。
【0044】
また、本実施形態では、第2速度V2が第1速度V1の1.0倍以上1.5倍以下の速度となっていることで、
図3に示すように、中空部58のゴム材Gの肉厚d2がゴムロール部56のゴム材Gの肉厚d1(ほぼ設定厚に等しい)と同程度となる。一例として、中空部58のゴム材Gの肉厚d2がゴムロール部56のゴム材Gの肉厚d1に対して90[%]以上110[%]以下となる。
【0045】
続いて、
図4(A)に示すように、芯金22の送り出しが再開され、中空部58が1対の押圧部材60の対向位置まで移動する。そして、中空部58が1対の押圧部材60の対向位置まで移動したとき、
図4(B)に示すように、各押圧部材60が互いに近づく方向に可動され、中空部58のゴム材Gは、各押圧部材60の突出部62により内方に押圧される。これにより、先方の芯金22の端面68及び後方の芯金22の端面68が、中空部58のゴム材Gによって覆われる。
【0046】
続いて、
図4(C)に示すように、各押圧部材60が互いに離れる方向に移動されると、芯金22を袋とじ状とするゴムロール70が成形される。なお、各引張部材64は、分離されたゴムロール70を把持しつつ下方に移動させた後、次のゴムロール部56を把持するための待機位置に移動する。
【0047】
図5には、本実施形態に係るゴムロール製造装置10(
図1参照)を用いて成形された袋とじ状の(半製品の)ゴムロール70の構成が示されている。
【0048】
袋とじ状のゴムロール70は、ゴムロール製造装置10(
図1参照)で成形された後の次工程において、一例として、165[℃]の加硫処理炉(図示省略)に75[分]入れられる。これにより、ゴムロール部56のゴム材G及び芯金22の端面を覆う部分のゴム材G(中空部58に位置していたゴム材G)に対して加硫処理が施される。
【0049】
続いて、加硫処理されたゴムロール70は、次工程において加工処理される。具体的には、ゴムロール70の軸方向両端側において、芯金22が一定の長さで露出するように両端部のゴム材Gが切除される。これにより、芯金22の端面68を覆う部分のゴム材Gが切除される。なお、ゴムロール部56は加硫処理が施される前に引張部材64(
図1参照)の把持部66によって把持されるため、加硫処理後のゴムロール部56には把持部66の跡が残る。しかし、ゴムロール部56における当該跡が付いた部分は、両端部のゴム材Gと共に切除されるため、当該跡が最終製品のゴムロール70に残ることはない。
【0050】
図7(C)には、第1比較例として、袋とじ状ではない(芯金22の端面にゴム材Gが無い)ゴムロール200の構成が示されている。第1比較例のゴムロール200は、既述の速度比V2/V1が、1.0倍よりも小さい値で成形されている。そして、第1比較例のゴムロール200は、軸方向端部のゴム材Gの肉厚が、中央部のゴム材Gの肉厚に比べて増大している。これは、具体的には、次の理由によると考えられる。
【0051】
排出部12(
図1参照)から排出されるゴム材Gには、残留応力が内在している。ここで、ゴムロール部56を排出部12から排出した後にゴム材Gを切り離すと、残留応力の解放により、芯金22の端面68付近のゴム材Gが軸方向に収縮変形すると共に径方向に拡張変形する。この端部におけるゴム材Gの変形により、ゴムロール200の端部のゴム材Gの肉厚が中央部に比べて増大すると考えられる。
【0052】
一方、
図4B及び
図5に示すように、本実施形態に係るゴムロール70では、芯金22をゴム材Gで袋とじ状としつつゴム材Gが切り離される。即ち、中空部58のゴム材Gによって、芯金22の端面68の少なくとも周縁部が覆われた状態で切り離されるので、残留応力の解放によるゴム材Gの軸方向の収縮変形および径方向の拡張変形が抑制される。そして、中空部58のゴム材Gは、加硫処理によって加硫硬化した後に切除されるので、残留応力の解放によるゴム材Gの軸方向の収縮変形および径方向の拡張変形は実質的に問題のない程度にまで減少する。従って、本実施形態では、軸方向の両端部と中央部において肉厚の差が小さいゴムロール70が製造される。
【0053】
[第2実施形態]
次に、第2実施形態に係るゴムロール製造方法及びゴムロール製造装置の一例について説明する。なお、前述した第1実施形態と基本的に同一の部材及び部位には、前記第1実施形態と同一の符号を付与してその説明を省略する。
【0054】
第2実施形態では、
図1に示す第1実施形態のゴムロール製造装置10において、芯金供給部24で設定される芯金22の第3速度V3(送り込み速度)が異なっており、他の構成は同様である。このため、第2実施形態においてもゴムロール製造装置10として説明する。
【0055】
(第3速度の設定)
図8に第2比較例として示すように、中空部58が形成された後、先方のゴムロール部56の第2速度V2に対して、後方の芯金22の第3速度V3が遅すぎると、中空部58に流入するゴム材Gの量が増大することになる。この場合、後方のゴムロール部56の先端側(下端側)のゴム材Gには大きな残留応力が生じ、この残留応力が、ゴムロール部56が押し出された瞬間に解放されることで、後方のゴムロール部56の先端側の肉厚が増大することが予想される。このため、第2速度V2に対する第3速度V3の速度比V3/V2についても望ましい範囲が存在すると考え、ゴムロール70の肉厚の評価を行った。
【0056】
ゴム材Gは、第1実施形態の評価と同様の配合とした。また、予備実験を行った結果から、第2速度V2に対する第3速度V3の比(速度比V3/V2)を1.4、1.5、2.0、2.5、3.0、3.1と設定した。なお、第1速度V1に対する第2速度V2の比(速度比V2/V1)は、1.0とした。
【0057】
(肉厚の評価方法)
ゴムロール70先端の肉厚の評価は、制御可能な肉厚を○、制御不可能な肉厚(厚い)を×として、2段階評価で行った。なお、本実施形態では、△は○と×の間の使用可能レベルである。
【0058】
ここで、評価結果を表2に示す。
【表2】
【0059】
表2に示すように、ゴムロール肉厚の評価では、速度比V3/V2が1.5以上3.0以下の範囲で△又は○となった。この結果から、中空部58が形成された後、先方のゴムロール部56の第2速度V2に対して、後方の芯金22の第3速度を1.5倍以上3.0倍以下の速度でゴム材Gに送り込むことが望ましいことが確認された。これにより、本実施形態では、一例として、第3速度V3が第2速度V2の2.0倍に設定されている。
【0060】
[作用]
次に、第2実施形態の作用について説明する。
【0061】
図2(A)に示すように、ゴム材Gが第1速度V1で押し出されると共に先方の芯金22がゴム材G内に送り込まれて、先方の芯金22の先端部(図示の下側)が引張部材64と対向する位置まで押し出される。そして、後方の芯金22がマンドレル36の先端位置において停止されると、各引張部材64の把持部66によってゴムロール部56が把持される。
【0062】
続いて、
図2(B)に示すように、各引張部材64は、ゴムロール部56を把持した状態で、第2速度V2で下方に移動する。
【0063】
第2比較例として、後方の芯金22を送り込むときの第3速度V3が、先方のゴムロール部56の第2速度V2の1.5倍よりも遅い場合、
図8に示すように、合流部48に多くのゴム材Gが流入した後で、後方の芯金22が合流部48に送り込まれる。このため、比較例のゴムロール200では、ゴム材Gの先端部の肉厚d2が、中央部の肉厚d1に比べて先端部で厚くなってしまう。また、図示は省略するが、第3速度V3が第2速度V2の3.0倍よりも速い場合、先方の芯金22と後方の芯金22との間隔が狭くなってしまい、中空部58を押圧部材60(
図1参照)で押圧することが困難となる。
【0064】
一方、本実施形態では、
図6に示すように、中空部58が形成されると共に、後方の芯金22が、第2速度V2の1.5倍以上3.0倍以下となる第3速度V3でゴム材Gに送り込まれる。ここで、後方の芯金22の第3速度V3が、先方のゴムロール部の第2速度V2の1.5倍以上の速度となっていることで、多くのゴム材Gが流入(滞留)する前に芯金22がゴム材Gに送り込まれることになる。これにより、ゴムロール70におけるゴム材Gの先端部の肉厚d2が、中央部の肉厚d1と同程度となる。
【0065】
また、本実施形態では、第3速度V3が第2速度V2の3.0倍以下の速度となっていることで、中空部58の長さ(先方の芯金22と後方の芯金22との間隔)が確保され、中空部58を押圧部材60(
図1参照)で押圧可能となる。
【0066】
なお、本発明は、上記の実施形態に限定されない。
【0067】
第2速度V2は、第1速度V1の1.0倍以上1.5倍以下の範囲内で自由に設定してよい。また、第3速度V3は、第2速度V1の1.5倍以上3.0倍以下の範囲内で自由に設定してよい。
【0068】
ゴムロール製造装置10では、押圧部14により中空部58でゴムロール70を分離するように構成したが、押圧部14により中空部58のゴム材を内方に押圧した後、他の切断部材(カッター)によってゴムロール70を分離するように構成してもよい。
【0069】
ゴム材Gは、エピクロルヒドリンゴムを用いたものを例示したが、これに限るものではなく、他のゴム材料を用いても良い。例えば、ゴム材Gの一例としてシリコンゴムを用いて、現像ロールや搬送ロールを形成してもよい。また、ゴムロール70は、芯金22の端面68の全面が中空部58のゴム材Gによって袋とじ状に覆われていたが、これに限らず、芯金22の端面68の少なくとも周縁部が中空部58のゴム材Gによって覆われていればよい。