(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記低反射電極は、前記表示部上に、黒色色材を含む第1の光吸収性樹脂層と、アルカリ耐性を有する金属膜と、をこの順で積層した構成である請求項1に記載の表示装置用基板。
前記銅合金に含まれる合金元素が、マグネシウム、カルシウム、チタン、モリブデン、インジウム、錫、亜鉛、アルミニウム、ベリリウム、ニッケルから選択される1以上の元素である請求項5に記載の表示装置用基板。
前記透明電極の前記部分パターン上に、前記透明電極の抵抗率よりも小さい抵抗率を有する補助導体が具備されている請求項1から請求項8のいずれか一項に記載の表示装置用基板。
前記第1の透明樹脂層上には、平面視で前記低反射電極の前記部分パターンに重畳するブラックマトリクスが前記透明電極の前記部分パターンを介して具備されている請求項1から請求項10のいずれか一項に記載の表示装置用基板。
前記表示装置の表示画面へのポインターの近接または接触にて変化する静電容量を、前記金属膜の前記部分パターンと前記透明電極の前記部分パターンとの間の静電容量の変化として検知するタッチセンシング機能を付与した請求項16に記載の表示装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
ここで、特許文献1から4には以下に示すような問題がある。
【0011】
特許文献1には、段落0018、0019に開示されているように、Al(アルミニウム)、Cr(クロム)などの金属による静電容量結合を利用して空間座標を入力できる2組の電極群が開示されている。
【0012】
しかしながら、特許文献1の技術は、多くの欠点を抱えている。段落0019には、2組の遮光性の電極がブラックマトリクスとしての機能を果たすことが記載されている。遮光性を持つ導電体はAl、Cr等の金属であると記載されているが、これらの金属は高い反射率を有するため、明るい室内や太陽光のある戸外では反射光が目立ち、表示品位を大きく低下させる。しかも特許文献1においては、表示装置のコントラストを得るために多くの表示装置に適用されている黒色色材を用いた黒色層のパターンおよびカラーフィルタと、前述の2組の電極とについて、表示装置の厚み方向での位置関係が開示されておらず、透過・反射を含むカラー表示についての十分に記載されていない。
【0013】
さらに、Al(アルミニウム)は、アルカリ耐性がなく、例えば、赤画素、緑画素、青画素のフォトリソグラフィ工程との整合がとり難い。より具体的には、着色感光性樹脂を用いて、赤画素などの着色パターンをアルカリ現像する通常のカラーフィルタ工程では、Alが溶解するため、カラーフィルタ工程への適用が困難である。Crについては、パターン形成のため、ウエットエッチング工程を採用した場合には、Crイオンによる環境汚染が懸念され、ドライエッチング工程を採用した場合には、使用するハロゲンガスの危険性などがある。
【0014】
特許文献2には、請求項1および請求項3、
図2に示されるように、カラーフィルタ層に導電性遮光部が配設され、カラーフィルタ層と基材との間に第1電極部と第2電極部とが具備されるタッチパネル機能を持つカラーフィルタが提案されている。特許文献2の技術では、段落0063に記載されているように、導電性遮光部が、酸化クロムである反射防止部とクロムである本体部との2層構成の遮光部、つまり、ブラックマトリクスとして用いられていることが開示されている。
【0015】
しかしながら、酸化クロムおよびクロムは、上記したように、パターン形成のためのウエットエッチング工程ではCrイオンによる環境汚染が予想される等、生産への適用は好ましくない。また、酸化クロムとクロムとの2層構成は、光の反射率が低い構成であっても、7%前後で高い反射率であり、導電性も良好ではない。
加えて、特許文献2の請求項3および段落0058から0060に記載されるように、タッチ機能を持たせるために、第1絶縁層を介して、別途、第1電極部と第2電極部との2つのレイヤーの電極部を必要としている。
【0016】
以上のように、特許文献2に記載の発明では、導電性遮光部の最適化がなされておらず高い反射率であること、および、電極構成が複雑であり(レイヤー数が多い)好ましい構成と言えない。なお、特許文献2の請求項1に記載されているように、導電性の遮光部は接地され、タッチセンシングの電極として用いられていない。
【0017】
特許文献3は、前記特許文献2と類似した構成であるが、請求項1および請求項2に示されるように、遮光層(ブラックマトリクス)は、導電体であり、かつ、コンタクトホールを介して液晶層側に位置する対向電極と電気的に接続されている。対向電極は、液晶を駆動するための共通電極である。導電体である遮光層と対向電極が電気的につながることで、特許文献3の段落0026に記載されているように、対向電極の低抵抗化を図り、対向電極に起因するCR時定数を低減する効果を付与している。
【0018】
タッチパネル機能としては、特許文献3の請求項6、請求項7に記載されているように、複数の第1電極と複数の第2電極とを別途、具備している。特許文献3では、請求項8に記載されているように、第1および第2電極の交差する方向を跨ぐように、第1および第2電極を金属配線でブリッジ接続している。特許文献3では、ブリッジ接続のための金属配線が必要で、さらに、コンタクトホール形成が必要なため、かなり複雑な構成となっている。
【0019】
また、遮光層としては、特許文献3の段落0064に、金属膜、金属化合物および金属シリサイドが例示されていて、遮光層と異なるレイヤーに、タッチセンシング用の検出電極が配設されている。なお、特許文献3には、遮光層を、例えば、0.9%以下の低反射率で形成する技術は開示されていない。
【0020】
特許文献4の請求項1では、ブラックマトリクスを検出電極として用いる技術を開示している。特許文献4の基本概念は、特許文献1に含まれている。このブラックマトリクスは、特許文献4の段落0019に示されるようにクロムや酸化クロムで構成されている。クロムは、電気抵抗率が高く、タッチセンシング電極としてあまり好ましくない。なお、特許文献4にも、ブラックマトリクスを、例えば、0.9%以下の低反射率で形成する技術は開示されていない。
【0021】
以上のような状況を鑑み、表示装置には、例えば、以下に示す性能が望まれている。
すなわち、静電容量方式における上記2組の複数の電極群は、指などポインターのタッチ時のノイズを減らすために抵抗値が低いことが望まれる。特に、複数の電極群は指などポインターにより近い位置にあり、かつ、検出電極の抵抗値は低いことが要請される。また、検出電極と直交する駆動電極(走査電極)の抵抗値も低いことが望ましい。
【0022】
また、表示装置に適用するための前記複数の電極群は、「低反射率」であるか、あるいは「高透過率」であることが必要である。「低反射率」の要請は、太陽光など明るい外光が表示装置の表示面に入射したときに、前記複数の電極群の光反射率が高いと、大きく表示品位を低下することになる。例えば、アルミニウムやクロムで、少なくとも1組の電極群を形成したときは、外光の反射率が大きく、表示の視認性を損なってしまう。
【0023】
また、上記特許文献1から4に関わる従来の表示装置用基板では、この基板を、例えば、液晶の駆動方式をIPS(In−Plane Switching)とする液晶表示装置などに適用したときに、表示装置の透過率を向上させることについて改善の余地もある。
【0024】
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであり、本発明の第1の目的は、表示装置の透過率を向上させることができる表示装置用基板、およびこの表示装置用基板を具備する表示装置を提供することである。
また、本発明の第2の目的は、指などポインターの位置検出についての性能が高く、かつ、抵抗値が小さく低反射率である低反射電極を具備する表示装置用基板および表示装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0025】
本発明に関わる第1の態様の表示装置用基板は、平面視で全体矩形の表示部を有する透明基板と、前記表示部に設けられ、複数の画素開口部を有し、前記透明基板に沿う第1方向に並列配置して互いに電気的に独立した複数の部分パターンを有する低反射電極と、前記低反射電極上に積層された第1の透明樹脂層と、前記第1の透明樹脂層上に積層され、前記透明基板に沿いかつ前記第1方向と直交する第2方向に並列配置された複数の部分パターンを有する透明電極と、前記透明電極の前記部分パターン上に積層された第2の透明樹脂層とを備える
。
【0026】
なお、本発明に関わる「低反射電極」では、低反射電極と透明基板との界面で生じる反射率を、光の波長400nmから700nmの範囲において、1%以下、あるいは0.9%以下とすることができる。一般的に、黒色色材として高濃度のカーボンを含有する遮光膜は、例えば、膜厚1.5μmで、光学濃度が4以上のとき、透明基板と反射電極との界面で生じる反射率は2%程度である。
【0027】
ここで、上記表示装置用基板では、前記低反射電極は、前記表示部上に、黒色色材を含む第1の光吸収性樹脂層と、アルカリ耐性を有する金属膜と、をこの順で積層した構成とすることができる。本発明に関わる「低反射電極」は、例えば、表示装置の裏面に位置するバックライトユニットから出射された光である透過光を、低反射電極の構成に含まれる金属膜でほぼ完全に遮光できるので、低反射性と遮光性を合わせ備え、視認性を大きく向上させた低反射電極を提供する。
本発明に関わる第2の態様の表示装置は、上記表示装置用基板を具備する。
【0028】
また、上記表示装置用基板では、前記低反射電極は、前記金属膜上に、黒色色材を含む第2の光吸収性樹脂層をさらに積層した構成であってもよい。
【0029】
また、上記表示装置用基板では、前記第1の光吸収性樹脂層の透過測定による光学濃度が、1μmの単位膜厚あたり0.4から1.8の範囲にあり、前記第1の光吸収性樹脂層の膜厚が0.1μmから0.7μmの範囲にあり、前記低反射電極の膜厚が1μmを超えなくてもよい。
【0030】
また、上記表示装置用基板では、前記金属膜を形成する金属が、銅合金であってもよい。
【0031】
また、上記表示装置用基板では、前記銅合金に含まれる合金元素が、マグネシウム、カルシウム、チタン、モリブデン、インジウム、錫、亜鉛、アルミニウム、ベリリウム、ニッケルから選択される1以上の元素であってもよい。
また、上記表示装置用基板では、前記黒色色材が、カーボンであってもよい。
【0032】
また、上記表示装置用基板では、前記表示部の外周に、前記低反射電極に電気的に接続された端子部が具備され、前記端子部は、前記低反射電極の前記部分パターンを延線して前記金属膜を露出させたベース端子と、前記ベース端子に重畳されたカバー端子と、を具備していてもよい。
【0033】
また、上記表示装置用基板では、前記透明電極の前記部分パターン上に、前記透明電極の抵抗率よりも小さい抵抗率を有する補助導体が具備されていてもよい。
【0034】
また、上記表示装置用基板では、前記画素開口部には、赤層で形成された赤画素、緑層で形成された緑画素、及び青層で形成された青画素のいずれかが具備され、前記赤画素、前記緑画素、及び前記青画素は、前記透明基板と前記第1の透明樹脂層との間に、平面視で隣接して配設されていてもよい。
【0035】
また、上記表示装置用基板では、前記第1の透明樹脂層上には、平面視で前記低反射電極の前記部分パターンに重畳するブラックマトリクスが前記透明電極の前記部分パターンを介して具備されていてもよい。
【0036】
また、上記表示装置用基板では、前記ブラックマトリクスが、有機顔料を色材として用いた遮光性の黒色層であってもよい。
【0037】
また、上記表示装置用基板では、前記第2の透明樹脂層上に、透明導電膜である共通電極をさらに具備していてもよい。
【0038】
また、上記表示装置用基板では、前記表示部の外周に、前記低反射電極に電気的に接続された端子部が具備され、前記端子部には、前記透明電極あるいは前記共通電極を形成する材料と同じ材料で形成され、前記透明電極あるいは前記共通電極から電気的に独立したカバー端子が具備されていてもよい。
【0039】
また、上記表示装置用基板では、前記透明電極の前記部分パターンがアルミニウム合金による補助導体を具備し、前記表示部の外周に、前記透明電極に電気的に接続された端子部が具備され、前記端子部は、前記補助導体を延線したベース端子と、前記共通電極を形成する材料と同じ材料で形成され、前記共通電極から電気的に独立したカバー端子と、を具備していてもよい。補助導体は、銅合金で形成されても良い。
【0040】
また、上記表示装置では、前記表示装置の表示画面へのポインターの近接または接触にて変化する静電容量を、前記金属膜の前記部分パターンと前記透明電極の前記部分パターンとの間の静電容量の変化として検知するタッチセンシング機能を付与してもよい。
【発明の効果】
【0041】
本発明に関わる上記態様によれば、例えば、タッチセンシング機能を持ち、かつ、表示装置の透過率を向上させることができる表示装置用基板、およびこの表示装置用基板を具備する表示装置を提供することができる。
また、本発明に関わる上記態様によれば、例えば、指などポインターの位置検出についての性能が高く、かつ、抵抗値が小さく低反射率である低反射電極を具備する表示装置用基板および表示装置を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0043】
以下、図面を参照しながら本発明の実施形態について説明する。なお、以下の説明において、同一又は実質的に同一の機能および構成要素については、同一の符号を付し、説明を省略するか又は必要な場合のみ説明を行う。
【0044】
各実施形態においては、特徴的な部分について説明し、例えば、通常の表示装置の構成要素と差異のない部分などについては説明を省略する。
また、各実施形態は、液晶表示装置を主たる例として説明するが、各実施形態でも部分的に記載していることがあるように、有機EL表示装置のような他の表示装置についても同様に適用可能である。
【0045】
(第1の実施形態)
本実施形態においては、黒色色材を含む第1の光吸収性樹脂層のパターンと、アルカリ耐性を有する金属膜のパターンと、さらに黒色色材を含む第2の光吸収性樹脂層のパターンと、の3層を含む低反射電極のパターンを備えた表示装置用基板について説明する。
【0046】
図1は、本実施形態に関わる表示装置用基板の第1の例を示す断面図である。本実施形態の表示装置用基板が、例えば、有機EL表示装置に適用される場合であれば、赤色発光の有機EL素子、緑色発光の有機EL素子、および青色発光の有機EL素子の3色の発光素子を含む有機EL表示装置が実現される。本実施形態の表示装置用基板が、例えば、液晶表示装置に適用される場合であれば、赤色発光のLED素子、緑色発光のLED素子、および青色発光のLED素子の3色の発光素子を含むバックライトユニットを備え、各色LED素子と各画素に位置する液晶とをフィールドシーケンシャルで駆動する液晶表示装置が実現される。
【0047】
(表示装置用基板の概略構成)
表示装置用基板12は、透明基板10と、第1の透明樹脂層5と、第2の透明樹脂層7と、を具備する。
透明基板10としては、例えば、ガラス基板が用いられる。
第1の透明樹脂層5および第2の透明樹脂層7は、透明基板10上にこの順に積層されている。第1の透明樹脂層5は、熱硬化タイプのアクリル樹脂を用いて膜厚2μmに形成した。第2の透明樹脂層7は、アルカリ現像可能な感光性樹脂を用いて膜厚3μmに形成した。第2の透明樹脂層7は、例えば、光硬化型の接着剤であっても良い。
【0048】
第2の透明樹脂層7の膜厚としては、例えば、後述する第2実施形態に示すような表示装置用基板12に対向するアレイ基板23に具備される画素電極25やアクティブ素子への配線などとの電気的な干渉を減らすため、0.5μm以上の厚い膜厚にすることができる。第2の透明樹脂層7の樹脂材料は、比誘電率の小さな樹脂材料であることが好ましい。
【0049】
なお、第1の実施形態では、第2の透明樹脂層7は露光・現像可能な感光性樹脂を用いていて、この第2の透明樹脂層7を、透明基板10のうち、平面視で全体矩形の表示部にのみ、矩形状に形成している。換言すれば、第2の透明樹脂層7を、後述する端子部には形成しない。
【0050】
透明基板10と第1の透明樹脂層5との界面には、低反射電極4のパターンが配設されている。
図2には、低反射電極4の平面図を示した。低反射電極4は、透明基板10に沿う
図2のX方向(第1方向)に並列して複数配置されるとともに互いに電気的に独立した部分パターンの配列(並び)を有する。低反射電極4は、タッチセンシングで発生する静電容量の変化を検出する検出電極として、あるいは、タッチセンシングの駆動電極(走査電極)として用いることができる。なお、以下では、主に検出電極として用いる場合について説明する。
【0051】
一つの低反射電極4の部分パターンは、X方向に6個の画素開口部11をもつ(
図4参照)。一つの低反射電極4の部分パターンは、
図2のY方向(第2方向)に、例えば、480個の画素開口部をもつ。なお、Y方向は、透明基板10に沿うとともにX方向に直交する方向である。低反射電極4は、X方向に6画素単位で電気的に独立するようにパターニングされている。低反射電極4の部分パターンがX方向に320個並べられることで、表示装置用基板12の画素数は1920×480となる。
【0052】
低反射電極4の部分パターンのパターン幅は、一つの画素が含まれるパターン幅でもよく、2以上の複数の画素が含まれる広幅のパターン幅でもよい。また、低反射電極4は、電気的に独立させた部分パターンの全てをタッチ信号の検出電極として用いる必要はなく、例えば、1本おきに用いることもできる。検出電極として用いない部分パターンは、電気的に浮いた形(フローティングパターン)とすることができる。低反射電極4のパターン形状は、例えば、
図9に示すように、画素の周囲を囲う額縁形状であっても良く、あるいは、櫛歯やフィッシュボーン形状の形状であっても良い。低反射電極4のパターン形状が、平面視、電気的に閉じたパターンである場合と、開放されたパターンである場合とによって、表示装置周辺の電気的ノイズの検出量に差異がある。あるいは、低反射電極4のパターン形状や面積によって、表示装置周辺の電気的ノイズの検出量に差異がある。例えば、電気的に閉じたパターンにおいては、ノイズの検出量が小さく、電気的に解放されたパターンにおいては、ノイズの検出量が大きい。そこで、2種類の低反射電極4のパターンを用いて(2種類の低反射電極4のパターンを表示装置用基板12に設ける)、この2種類のパターンの各々で検出されるタッチセンシング時の静電容量に基づき、静電容量の演算(引き算)を行って、ノイズ補償を行うことができる。
図9に示すような画素の周囲を囲う額縁形状を表示装置用基板12に適用することで、低反射電極4の格子状パターンのエッジに付随する静電容量(フリンジ容量、
図6参照)を増やすことができる。発生させたフリンジ容量は、
図7の模式図に示すように、指などのタッチにて減少するため、極めて大きな静電容量差を得ることが可能で、S/N比を向上できる。例えば、上記した特許文献3(国際公開2013/018495号公報)の
図3に示される、互いに隣接する、同一平面上に配設される2組のタッチセンシング電極構造では、本発明のように大きなフリンジ容量を得ることが難しい。
【0053】
図1に示すように、第1の透明樹脂層5と第2の透明樹脂層7との界面には、ITOと呼称される導電性金属酸化物による透明電極6のパターンが、膜厚140nmで配設されている。透明電極6は、低反射電極4と対となるもう一方のタッチセンシング電極である。
なお、透明電極6をX方向に配列させ、低反射電極4をY方向に配列させてもよい。即ち、互いに直交する透明電極6の配列方向と低反射電極4の配列方向と逆転させ、透明電極6をタッチセンシング電極として用いてもよい。
【0054】
図2に示すように、透明電極6は、Y方向に並列して複数配置される部分パターンの配列(並び)を有する。透明電極6のパターンは、第1の透明樹脂層5上に、低反射電極4のパターンと直交するストライプ形状で配設されている。なお、後述するが、透明電極6には、部分パターンの長手方向(ストライプの長さ方向、X方向)に延在する金属膜の細線を補助導体として具備させることができる。
【0055】
低反射電極4および透明電極6それぞれの部分パターンには、電極取り出し部である端子部61が設けられている。これらの端子部61は、全体矩形の表示部外に位置する端子部の領域Dに配置されている。なお、
図2では、透明電極6の端子部の図示を省略している。
【0056】
(低反射電極の概略構成)
図1に示すように、本実施形態での低反射電極4は、第1の光吸収性樹脂層1と、金属膜2と、第2の光吸収性樹脂層3と、で構成されている。これらの第1の光吸収性樹脂層1、金属膜2、及び第2の光吸収性樹脂層3は、平面視で同一の形状に形成される。このため、第1の光吸収性樹脂層1のパターンにおける線幅、金属膜2のパターンにおける線幅、及び第2の光吸収性樹脂層3のパターンにおける線幅は、同じである。
【0057】
低反射電極4の膜厚は、1μm以下であることが望ましい。低反射電極4の厚みが薄い場合、表示装置用基板12表面の凹凸や突起が低くなり、例えば、液晶の配向不良などを抑えることができる。低反射電極4では、例えば、第1の光吸収性樹脂層1を膜厚500nmとし、金属膜2を膜厚180nmとし、第2の光吸収性樹脂層3を膜厚300nmとすることができ、このときの低反射電極4の全体の膜厚は980nm(0.98μm)となる。
【0058】
(光吸収性樹脂層)
第1の光吸収性樹脂層1は、この表示装置用基板12を液晶表示装置に適用したときに、観察者側に位置する液晶表示装置の面における光の反射の防止をする。第2の光吸収性樹脂層3は、例えば、液晶セル内での光の反射を小さくする。
【0059】
第1の光吸収性樹脂層1および第2の光吸収性樹脂層3は、例えば、電気的には絶縁体である。光吸収性樹脂層1、3には、光吸収性の色材としてカーボンを用いることができ、色調整のため複数種の有機顔料をさらに加えても良い。光吸収性樹脂層1、3の透過測定での光学濃度は、例えば、2未満とすることができる。例えば、光吸収性樹脂層1、3の透過測定による光学濃度が、1μmの単位膜厚あたり0.4から1.8の範囲にあり、かつ、光吸収性樹脂層1、3の膜厚が0.1μmから0.7μmの範囲にあることが好ましい。
【0060】
なお、例えば、カーボンのみを色材として用いて形成された光吸収性樹脂層1、3の場合、光吸収性樹脂層1、3の光学濃度が2、あるいは3以上になると、透明基板10と光吸収性樹脂層1、3との界面で生じる光の反射率が2%を超えることがある。例えば、カーボンを色材として用いて形成され、光学濃度が2で、膜厚が1μmである黒色樹脂層(光吸収性樹脂層)の、透明基板と黒色樹脂層との界面の反射率は、ほぼ2%である。つまり、カーボンなど黒色色材の樹脂に添加する量は、多すぎると反射率の増加となるため、光吸収性樹脂層1、3が低反射となるように、黒色色材の添加量を比較的に低くしてもよい。本発明に関わる低反射電極は、少なくとも、光吸収性樹脂層1の裏面にはアルカリ耐性を有する金属膜を有する構成であるため、光吸収性樹脂層の黒色色材の添加量が少なさ過ぎると金属膜から反射された光が生じてしまう。金属膜からの光反射を抑えるため、光吸収性樹脂層の実効の光学濃度は、0.1以上必要となる。実効の光学濃度とは、1μmの単位膜厚あたりの光学濃度の値と、光吸収性樹脂の膜厚を積算した値である。光吸収性樹脂層の光学濃度は、0.4から1.8[/μm]の範囲内にすることができ、光吸収性樹脂層の膜厚で透明基板から観察した反射率を0.9%以下に調整できる。本発明に関わる低反射電極において、表示装置の外部から入射する入射光は、透明基板と第1の光吸収性樹脂層とを、一度、通過し、金属膜と第1の光吸収性樹脂層との界面で反射し、再度、第1の光吸収性樹脂層と透明基板とを通過する。第1の光吸収性樹脂層を2回通過するため、入射光及び反射光を含む光の強度が大きく減衰し、光強度が減衰された反射光とすることができる。
【0061】
光吸収性樹脂層1、3の光学濃度は、カーボンなどの黒色色材、あるいは、カーボンに複数の有機顔料を樹脂に加える量で調整できる。光吸収性樹脂層1、3のパターンは、感光性の黒色塗布液を、透明基板10に塗布して所望のパターンに露光、現像し、さらに熱処理などで硬膜して得ることができる。感光性の黒色塗布液は、例えば、有機溶剤と光架橋可能なアクリル樹脂と開始剤とを混合した混合物にカーボンを分散して作製される。
【0062】
第1の光吸収性樹脂層1には熱硬化タイプの樹脂を用い、第2の光吸収性樹脂層3にはアルカリ現像可能な感光性樹脂と黒色色材とを有機溶剤に分散した黒色塗布液として用いることができる。これら用いる樹脂の屈折率は低いことが好ましい。用いる樹脂の屈折率と、カーボンなど黒色色材の含有量、および、第1の光吸収性樹脂層1の膜厚を調整することで、透明基板10から見た第1の光吸収性樹脂層1と透明基板10との界面における反射率を、0.9%以下とすることができる。しかしながら、用いる樹脂の屈折率に限度があることから、反射率は0.2%が下限となる。黒色塗布液に含まれるアクリル樹脂などの樹脂の固形分が、例えば、14質量%であるとき、黒色塗布液でのカーボン量をおよそ6質量%から25質量%の範囲内とすると、光吸収性樹脂層1、3の光学濃度を、1μmの単位膜厚あたり0.4から1.8とすることができる。光吸収性樹脂層1、3の膜厚が、0.3μmであるとき、実効の光学濃度は0.12から0.54となる。光吸収性樹脂層1、3の膜厚が、0.7μmであるとき、実効の光学濃度は0.28から1.26となる。
【0063】
(金属膜)
金属膜2を形成する金属は、銅合金である。銅合金薄膜の場合、金属膜2の膜厚を100nm以上、あるいは150nm以上とすると、金属膜2は、可視光をほとんど透過しなくなる。したがって、本実施形態に関わる低反射電極4は、金属膜2の膜厚が、例えば、100nm〜200nm程度であれば十分な遮光性を得ることができる。なお、後述するように、金属膜2の膜厚の一部を、酸素を含む金属膜として形成することができる。
【0064】
金属膜2は、アルカリ耐性を有する金属膜であってもよい。アルカリ耐性が必要な場合とは、例えば、後工程でアルカリ現像液を用いる現像工程がある場合である。具体的には、例えば、カラーフィルタやブラックマトリクスなどのパターン形成をする工程がある場合などである。この場合、アルカリ現像液に耐える金属膜2である必要がある。
【0065】
アルカリ現像液に耐えるという観点では、アルミニウムやアルミニウム合金は適用が難しい。なお、クロムはアルカリ耐性があり低反射電極4の金属膜2として適用できる。しかし、抵抗値が大きく、製造工程で生じるクロムイオンが有害であり実際の生産への適用は難しい。
【0066】
アルカリ耐性を有する金属は、例えば、銅、銀、金、ニッケル、チタン、モリブデンなど種々あるが、抵抗値とコストの観点から、銅、あるいは銅合金が好ましい。アルカリ耐性を有する金属に単体金属としてのニッケルも適用できるが、ニッケルは、強磁性体であるため、スパッタリング成膜での成膜レートが低く、やや生産性で劣る。なお、ニッケルについては、ニッケルを4at%以上含む銅−ニッケル合金を本発明に適用できる。例えば、ニッケルを4at%以上含む銅−ニッケル合金を、まず、5nm〜20nmの膜厚で酸素を5at%以上意図的に含ませた薄膜として形成する。さらに、銅−ニッケル合金を酸素を実質含まない100nm〜300nm程度の膜厚で、上記銅−ニッケル合金の薄膜上に積層する。このように積層された積層薄膜を、30%以下の反射率のタッチセンシング用の電極として適用できる。銅−ニッケル合金に酸素を5at%以上含有させることで黒い反射色となる。第1の光吸収性樹脂層1を透明基板10と、銅−ニッケル合金である金属膜2との界面に挿入することで、0.9%以下の反射率とすることができる。
【0067】
ガラス基板や樹脂との密着を得るため、金属膜2を形成する金属は、銅にマグネシウム、カルシウム、チタン、モリブデン、インジウム、錫、亜鉛、アルミニウム、ベリリウム、ニッケルから選択される1以上の金属元素を添加した銅合金であることが好ましい。すなわち、銅は、耐アルカリ性に優れ、電気抵抗の小さい優れた導体であるが、ガラスや樹脂に対する密着性が十分でない。これに対し、上記材料を含む銅合金を用いることで、ガラスや樹脂に対する密着性を改善できる。
【0068】
金属元素を添加する量は、3at%以下であれば、銅合金の抵抗値を大きく下げることがないので好ましい。金属元素を添加する量は、0.2at%以上であれば、銅合金の薄膜の密着性向上に寄与する。本実施形態を含み、以下の実施形態の金属膜2を形成する金属は、以下の記載において特に説明をしない場合は、マグネシウム1at%の銅合金(残部は銅)としている。マグネシウム1at%の銅合金の抵抗値は、銅単体の場合と大きく変わらない。銅合金の成膜は、例えば、スパッタリングでの真空成膜によって実施することができる。添加する合金元素の分布には、銅合金の膜厚方向に濃度勾配があっても良い。金属膜2の厚み方向の中央部分は、99.8at%以上、銅であっても良い。金属膜2の厚み方向の光吸収性樹脂層と接触する面、あるいは、その面と相対する反対側の面に関し、金属膜2の厚み方向の中央部分よりも金属膜2の面における合金元素の量が高くなるような濃度勾配があっても良い。また、銅合金の成膜は、第1の光吸収性樹脂層と接触する面上の、銅合金の、例えば、2nm〜20nmの膜厚部分の成膜において、酸素を導入して酸素を含む銅合金とすることができる。成膜時の酸素導入量は、アルゴンなどのベースガスの導入量に対して、例えば、10%とすることができる。この2nm〜20nmの部分の合金膜は、例えば、5at%以上の酸素を含むことで銅合金である金属膜2の密着性を向上できる。酸素の含有量は、15at%で密着性向上への寄与が飽和する。この2nm〜20nmの部分の合金膜を含み、銅合金である金属膜2の合計膜厚は、例えば、102nmから320nmとすることができる。酸素を含む銅合金膜を、金属膜2の表面に形成することで、金属膜2自体の反射率も低下させることができ、低反射電極としての低反射効果を増長できる。
【0069】
なお、表示装置用基板の製造工程で、強いアルカリ液を用いない場合、金属膜2の金属にアルミニウム合金を用いることができる。後述するように、本実施形態では、アルカリ現像液を使うカラーフィルタの形成工程がないため、アルミニウム合金を採用しやすい。アルミニウム合金は、アルミニウムに0.2at%〜3at%の範囲内の合金元素を添加した合金とすることができる。合金元素は、マグネシウム、カルシウム、チタン、インジウム、錫、亜鉛、ネオジウム、ニッケル、銅などから1以上選択できる。
【0070】
(表示装置用基板の製造方法)
図3に、第1の実施形態の表示装置用基板の製造方法における主要な工程を図示した。
第1の光吸収性樹脂層1の塗布形成では、上記した黒色塗布液を用い、形成する膜厚は、0.5μmとしている。第2の光吸収性樹脂層3の塗布形成では、後工程のドライエッチングでの膜減りを考慮し、形成する膜厚は、0.8μmとしている。第2の光吸収性樹脂層3を金属膜2に直接積層しない構成では、第1の光吸収性樹脂層1の膜厚を0.7μmとしてもよい。第1の光吸収性樹脂層1の膜厚とカーボン色材の濃度を調整することで、透明基板6と第1の光吸収性樹脂層1との界面に生じる光反射を調整できる。
【0071】
前記したように、第2の光吸収性樹脂層3には感光性でアルカリ現像可能な黒色塗布液を用いる。第2の光吸収性樹脂層3のパターン形成のとき、最終的な低反射電極4のパターン形状で、露光、現像、硬膜する。
図3の工程フローに示すように、第2の光吸収性樹脂層3のパターン形成後、金属膜2(銅合金膜)をエッチングし、第2の光吸収性樹脂層3と同一のパターンを有する金属膜2を形成する。
【0072】
金属膜2のエッチングは、ウエットエッチングの手法でも、あるいはドライエッチングの手法でも可能である。ウエットエッチングでは、例えば、酸化性のアルカリエッチャントを用いることができる。ドライエッチングの場合、塩素ガスなどハロゲンガスを用いたドライエッチング、あるいは、酸素ガスと有機酸蒸気を交互に用いるドライエッチングなどが可能である。
【0073】
次に、酸素ガス、アルゴンガス、フロンガスなどを用いてドライエッチングの手法で、金属膜2のパターン外の第1の光吸収性樹脂層1の厚み0.5μmを除去して、低反射電極4としてのパターンを形成する。このときのドライエッチングは、第1の光吸収性樹脂層1を対象とするアッシングといえる。第2の光吸収性樹脂層3は、第1の光吸収性樹脂層1と同様、0.5μm膜減りして差し引き0.3μmの第2の光吸収性樹脂層3となる。金属膜2の膜厚は0.15μm(150nm)としたので、低反射電極4の全体膜厚は合計0.95μmとなる。金属膜2の膜厚0.15μmのうち、第1の光吸収性樹脂層1に接する側の0.01μmの膜厚を、酸素を含む銅合金膜として形成した。この0.01μm膜厚の銅合金膜形成時のみ、酸素ガスを導入して成膜した。それぞれガスの流量比率は、酸素ガスとアルゴンガスの流量比率で1:10の割合とした。
【0074】
以上により低反射電極4が形成される。なお、ドライエッチングやアッシングのあとは、次工程までに対象の基板をよく洗浄し乾燥させることが望ましい。また、金属膜2の表面に生じる酸化銅は、例えば、有機酸蒸気を用いたドライエッチングで除去できる。
その後、透明基板10に、第1の透明樹脂層5、透明電極6、第2の透明樹脂層7を積層することで、表示装置用基板12が形成される。
【0075】
なお、本実施形態では、低反射電極4の形成工程に並行して、
図4に示すように、低反射電極4の部分パターンを延線して金属膜2が露出されたベース端子61aを形成する。ここで、
図4は、透明電極6のパターンおよび第2の透明樹脂層7の積層を行っていない製造工程途中の平面図に相当する。低反射電極4を形成するとき、低反射電極4の部分パターンを、端子部の領域Dに延線しておく。
【0076】
つまり、第1の光吸収性樹脂層1の塗布形成、金属膜2の形成、第2の光吸収性樹脂層3の塗布形成において、全体矩形の表示部のみならず、端子部の領域Dにも、光吸収性樹脂層1、3および金属膜2を形成しておく。また、第2の光吸収性樹脂層3のパターン形成時には、光吸収性樹脂層3のうち、ベース端子61aとなる部分上に位置する部分も除去しておく。さらに、金属膜2のエッチング時および第1の光吸収性樹脂層1のドライエッチング時には、ベース端子61aとなる部分を残して金属膜2および光吸収性樹脂層1を除去しておく。
【0077】
ベース端子61a上に第1の透明樹脂層5を塗布形成した後には、この透明樹脂層5をドライエッチング(アッシング)などの手法で除去して金属膜2を肌出しする。そして透明電極6を形成するときにあわせて、
図2に示すように、ベース端子61aを、ITOなどの導電性酸化物である透明導電膜(カバー端子)61bのパターンで覆う。この透明導電膜61bは、透明電極6に用いられる導電膜と同一である。換言すれば、透明電極6は、透明導電膜を用いて形成され、周知のフォトリソグラフィの手法でパターン形成される。
【0078】
これらのベース端子61aおよび透明導電膜61bによって、端子部61が構成される。透明導電膜61bはベース端子61aを囲う形状に形成されている。透明導電膜61bはガラスである透明基板10に直付けされており、信頼性ある実装を可能としている。なお、透明導電膜61bのパターン幅が広い場合は、実装も容易となるため、透明導電膜61bの下地に透明樹脂層5や光吸収性樹脂層1、3があっても良い。
【0079】
(反射率の測定例)
本実施形態の低反射電極4と透明基板10との界面での反射率は、0.8%であった。反射率は、アルミニウム蒸着膜の反射率を100%としている。測定では、顕微分光光度計(例えば、大塚電子社製 LCF−1100)を用いた。
【0080】
(第2の実施形態)
第2の実施形態は、第1の実施形態の表示装置用基板12をFFS(Fringe Field Switching)あるいはIPSと呼称される液晶駆動方式の液晶表示装置に適用した事例である。
【0081】
(表示装置の概略構成)
第2の実施形態の液晶表示装置の部分断面図を
図5に示した。表示装置A1は、前記表示装置用基板12と、アレイ基板23と、を備えている。表示装置用基板12は、液晶層24を介してアレイ基板23と向かい合うように、アレイ基板23に貼り合わせている。この表示装置用基板12では、低反射電極4が、表示装置の表示面から見れば低反射のブラックマトリクスの役目を担う。
【0082】
アレイ基板23は、図示を省略したアクティブ素子(TFT、薄膜トランジスタ)を備えている。なお、アクティブ素子は、シリコン半導体をチャネル層とするトランジスタであっても良いが、酸化物半導体をチャネル層に用いるトランジスタであることが望ましい。アレイ基板23側の金属配線は銅配線であることが望ましい。酸化物半導体として、例えば、インジウム、ガリウム、亜鉛の複合酸化物(IGZO、登録商標)が例示できる。
更に、酸化物半導体の材料として、ガリウム、インジウム、亜鉛、錫、ゲルマニウムのうちの2種以上の金属酸化物を用いてもよい。アレイ基板での薄膜トランジスタを電気的に係属する金属配線には、銅や銅合金を、チタンやモリブデンなどの高融点金属との2層以上の多層構成を採用できる。
加えて、IGZOなど酸化物半導体をチャネル層に用いるトランジスタは、電子移動度が高く、例えば、2msec以下の短時間で必要な駆動電圧を画素電極25に印加できる。例えば、倍速駆動(1秒間の表示コマ数が120フレームである場合)であっても、1フレームは約8.3msecであり、例えば、6msec以上(約8msec−2msec)をタッチセンシングに割り当てることができる。また、酸化物半導体をチャネル層に用いるトランジスタは、リーク電流が少ないため、画素電極25に印加した駆動電圧を長い時間保持できる。アクティブ素子の信号線や走査線、補助容量線などを、アルミニウム配線より配線抵抗の小さい銅配線で形成し、さらに、アクティブ素子として短時間で駆動できるIGZOを用いることで、タッチセンシングの走査での時間的マージンが広がり、発生する静電容量の変化を高精度で検出できる。IGZOなど酸化物半導体をアクティブ素子に適用することで液晶などの駆動時間を短くでき、従って、表示画面全体の映像信号処理の中で、タッチセンシングに適用できる時間に十分な余裕ができる。本発明に関わる表示装置には、酸化物半導体をチャネル層に用いるトランジスタと銅配線を備えたアレイ基板を適用できる。
【0083】
アレイ基板23には、透明基板20上に画素電極25と共通電極26とが絶縁膜28を介して具備されている。液晶層24の液晶分子(配向膜、液晶分子の図示を省略)は、アレイ基板23および表示装置用基板12のそれぞれの面に平行に配向されている。液晶分子は、画素電極25と共通電極26との間に駆動電圧が印加されることで、アレイ基板23上で回転し、表示のオン、オフを行う。
【0084】
FFS方式の液晶表示装置では、第2の透明樹脂層7上には配向膜のみ形成され、透明導電膜を第2の透明樹脂層7上に形成する必要がない。
図5では、配向膜および偏光板、位相差板などの図示を省略している。
【0085】
(第2の透明樹脂層の作用)
この表示装置A1によれば、液晶の駆動方式が、IPS(In−Plane Switching)の場合でも、第2の透明樹脂層7の膜厚を、例えば、0.3μmから6μmの膜厚、あるいは6μm以上とすることで、この表示装置A1の透過率の低下を防ぐことができる。
【0086】
具体的に説明すると、例えば、第2の透明樹脂層7を形成しない構成では、液晶を駆動させる電圧を印加した時に、画素電極25と共通電極26との間に形成される電気力線に歪が生じる。つまり、電気力線の形状が、導電体である透明電極6に閉じこめられるように小さく変形するため、透過率が低下してしまう。
【0087】
これに対して、第2の透明樹脂層7を透明電極6上に積層することで、第2の透明樹脂層7の厚み方向に均一に広がる電気力線を形成することができる。これにより、液晶セル内の液晶分子を、前述の厚み方向に十分に活用できる。換言すれば、第2の透明樹脂層7を透明電極6上に積層することで、実効的に透過率を向上させるために活用できる液晶分子が増えるため、透過率の改善につなげることができる。なお、第2の透明樹脂層7の比誘電率は、液晶分子の比誘電率に近く、同等であるか、あるいは低いことが望ましい。
【0088】
(低反射電極の作用)
また、この表示装置A1によれば、低反射電極4をタッチセンシング時のいわば検出電極として用い、透明電極6を、低反射電極4に一定の周波数での電圧を印加する駆動電極(走査電極)として用いることができる。
【0089】
具体的に説明すると、
図6に示すように、タッチセンシングのための静電容量は、低反射電極4と透明電極6との間に保持されている。通常状態では、低反射電極4と透明電極6との間に一定の周波数での定電圧が印加され、低反射電極4の近傍に均一な電気力線が形成されている。
【0090】
図7に示すように、例えば、低反射電極4に、指などポインターが表示画面に近づくか、あるいは接触すると電気力線の分布が崩れるとともに、指などポインター方向に静電容量が流れ、低反射電極4と透明電極6との間の静電容量が減少する。指などポインターのタッチの有無は、こうした静電容量の変化で検知する。
【0091】
本実施形態に関わる低反射電極4は、抵抗値の低い銅合金の金属膜2を含み、タッチセンシング時の検出電極とすることができる。本実施形態に関わる透明電極6は、低抵抗化のためにそのパターン幅を広くし、加えて、透明電極6上に低抵抗化のために後述する補助導体16を具備させることができる。ゆえ、本実施形態による静電容量方式における2組の複数の電極群は、これらに付随する時定数を大幅に低減でき、タッチセンシング時の検出精度を大きく向上できる。
図6、
図7は、タッチセンシング時の前後での静電容量変化を示すための説明図であり、通常、指などポインターは、一度に複数の検出電極に作用する。
【0092】
(第3の実施形態)
図8は、本実施形態に関わる表示装置用基板の第2の例を示す断面図である。具体的には、
図8は、本実施形態に係り、赤色と緑色と青色のカラーフィルタを具備する表示装置用基板の一例を示す断面図である。
【0093】
例えば、有機EL表示装置に本発明の表示装置用基板を適用する場合であれば、少なくとも赤色と緑色と青色の発光成分を含む白色有機ELを用い、赤色と緑色と青色のカラーフィルタを合せて具備することでカラー表示を行う有機EL表示装置が実現される。例えば、液晶表示装置に本発明の表示装置用基板を適用する場合であれば、赤色と緑色と青色の発光成分を含む白色LED素子をバックライトに備え、赤色と緑色と青色のカラーフィルタを合せて具備することでカラー表示を行う液晶表示装置が実現される。
【0094】
(表示装置用基板の概略構成)
表示装置用基板22は、透明基板10と、低反射電極4のパターンと、青画素Bと、赤画素Rと、緑画素Gと、第1の透明樹脂層5と、透明電極6のパターンと、ブラックマトリクス8と、第2の透明樹脂層7と、共通電極9と、で構成される。
低反射電極4は、本実施形態では、0.7μm膜厚の第1の光吸収性樹脂層1、0.2μm膜厚の金属膜2の2層構成であり、第1の光吸収性樹脂層1と金属膜2とは、平面視で同一の形状となる。金属膜2の0.2μm膜厚のうち、0.015μm膜厚を、酸素を8at%含む銅合金膜とした。第1の光吸収性樹脂層1の膜厚とカーボン色材の濃度を調整することで、透明基板6と第1の光吸収性樹脂層1との界面に生じる光反射を調整できる。
【0095】
図9は、第3の実施形態に関わる表示装置用基板を透明基板10側から見た平面図である。画素開口部11には、赤画素R、緑画素G、青画素Bのいずれかが隙間なく配設されている。低反射電極4は、前記の実施形態1と同様、X方向に並列して複数配置されるとともに互いに電気的に独立した部分パターンの配列(並び)を有する。
【0096】
図10に、
図9でのA−A’方向の部分断面図を示した。透明基板10上および低反射電極4上には、赤画素R、緑画素G、青画素Bのいずれかがカラーフィルタとして隙間なく配設されている。青画素B、赤画素R、緑画素Gは、アクリル樹脂などの透明樹脂にそれぞれ複数の有機顔料を分散して、周知のフォトリソグラフィの手法で形成した。
【0097】
カラーフィルタ上には、第1の透明樹脂層5が積層されている。第1の透明樹脂層5上には更に、透明電極6、ブラックマトリクス8、第2の透明樹脂層7および共通電極9がこの順で積層されている。透明電極6および共通電極9は、異なるレイヤーに形成されているものの、同じ材料で、例えば、ITOと呼ばれる導電性金属酸化物などの透明導電膜で形成することができる。
【0098】
図11に、
図9でのB−B’方向の部分断面図を示した。前記しているように、低反射電極4の部分パターンは、電気的に独立している。各低反射電極4の部分パターンのX方向の間には、それぞれ離間部15が設けられている。離間部15上には、ブラックマトリクス8が配設されている。バックライトユニットから表示装置用基板22に入射する光Lは、ブラックマトリクス8で遮光される。あるいは、ブラックマトリクス8を形成しなくても、後述するアレイ基板23に配設されるソース線41、ゲート線42、補助容量線43のいずれかを用いて、平面視、離間部15を塞ぐ(重なる)ように金属配線が配置される配線レイアウトを採用することで、バックライトユニットから光が漏れることを防ぐことができる。
【0099】
(補助導体)
図12に、表示装置用基板22を、
図9を逆の面から、透明電極6側から見た平面図を示した。
図12では、共通電極の図示を省略している。透明電極6は、透明電極6の抵抗値を下げる目的で補助導体16を具備することができる。補助導体16の抵抗率は、透明電極6の抵抗率よりも小さい。補助導体16は、アルカリ耐性を有する金属、あるいは金属の合金で形成できる。なお、補助導体16の形成工程の後工程にアルカリを使う工程がなければ、アルミニウム合金を補助導体16に用いることができる。後工程にアルカリを使う工程があれば、アルミニウム合金に代えて銅合金を用いることができる。
【0100】
補助導体16は、開口率の低下を防ぐように、他の構成要素と重畳して配置されていることが好ましい。
【0101】
図13に、アレイ基板23に形成されるTFT45(薄膜トランジスタ)やソース線41(信号線)、ゲート線42(走査線)および補助容量線43を含む画素の平面図を示している。このTFT45は、ソース線41、ゲート線42、及び補助容量線43等の金属配線と、ソース電極48と、ドレイン電極47と、酸化物半導体であるチャネル層46とを備える。金属配線の構造としては、チタンとチタンの上に積層された銅とによって構成された2層構成が用いられている。ドレイン電極47は、チャネル層46から画素中央まで延線され、コンタクトホール44を介して、透明電極である画素電極25と電気的に接続されている。ソース電極48は、ソース線41に接続されている。チャネル層46を挟むようにドレイン電極47及びソース電極48が設けられている。画素電極25と補助容量線43との間に、補助容量が形成されている。
表示装置用基板22を表示装置に適用する場合、例えば、補助導体16を、
図13に示すような補助容量線43と、平面視で同じ位置に形成することで、余分な開口率の低下を防ぐことができる。なお、ソース線41およびゲート線42は、チタン上に銅が積層された2層構成、あるいはモリブデン上に銅が積層された2層構成で、さらにこの銅の上にチタン合金や銅合金が積層された3層構成で形成することができる。また、補助容量線43は、ゲート線42と同一材料で、同一レイヤーに形成することができる。
【0102】
図14に、本発明に関わる表示装置用基板の変形例を示した。
図14に示すように、補助導体16を、ブラックマトリクス8の形成位置および線幅に合わせて形成し、ブラックマトリクス8に重畳させてもよい。この場合、補助導体16とブラックマトリクス8とのパターン位置を整合させることで、余分な開口率の低下を防ぐことができる。
【0103】
(ブラックマトリクス)
図8に示すように、ブラックマトリクス8は、第1の透明樹脂層5上に透明電極6を介して設けられている。ブラックマトリクス8は、平面視で低反射電極4のパターンに重畳している。ブラックマトリクス8において画素開口部11の間に位置する部分の線幅は、低反射電極4の幅とほぼ同じに設定できる。ブラックマトリクス8に用いる黒色色材や樹脂は、第1の実施形態での光吸収性樹脂層1、3と同様な材料を用いることができる。ブラックマトリクス8は、第1の実施形態で用いた黒色塗布液を用いて形成してもよい。
【0104】
本実施形態に関わる表示装置用基板22を液晶表示装置に適用する場合、画素電極と共通電極との間に印加される駆動電圧の等電位線の分布を乱さないように、ブラックマトリクス8に用いる黒色色材を複数種類の有機顔料とすることが好ましい。比誘電率の高いカーボンを主たる黒色色材とするブラックマトリクスを液晶層24に近い位置にもってくる構成では、このブラックマトリクスが等電位線の分布を乱し、光漏れが生じることがある。複数種類の有機顔料を黒色色材として用いた場合は、カーボン比較で比誘電率が1/3から1/5となりこうした光漏れを抑制できる。
【0105】
(表示装置用基板の製造方法)
図15に、第3の実施形態に関わる表示装置用基板の製造工程を示した。第1の実施形態との差異は、例えば、低反射電極4が第2の光吸収性樹脂層を形成していない点や、カラーフィルタ(R、G、B)を新たに低反射電極4と第1の透明樹脂層5との間に挿入した構成である点などである。
【0106】
また、本実施形態では、
図16および
図17に示すような透明電極6の端子部6aを形成する。端子部6aは、補助導体16を端子部の領域Dに延線したベース端子16aと、ベース端子16aに重畳された透明導電膜(カバー端子)9aと、を備えている。透明導電膜9aは、共通電極9と同じ材料で同時に形成される。透明導電膜9aは、透明基板10に直付けされることが好ましい。前記したように、透明導電膜9aのパターン幅が広い場合は、実装も容易となるため、透明導電膜9aの下地に透明樹脂層5、7などがあっても良い。
【0107】
(低反射電極の作用)
本実施形態に関わる低反射電極4は、
図18に示すような透明基板10上に形成される周知のカラーフィルタのブラックマトリクスBMとほほ同じ位置に配設される。周知のブラックマトリクスBMは、高い光学濃度を要求されるため、およそ1〜1.5μmの膜厚で形成されることが多い。このとき、
図18に示すように透明基板10上に形成される赤画素R、緑画素Gおよび青画素Bのうち、ブラックマトリクスBMに重畳する部分に、高さが1μm前後の突起63が形成される。突起63は、
図18に示すカラーフィルタを液晶表示装置に適用するときに、液晶の配向不良の原因となり表示品位を大きく低下させる。
【0108】
これに対して本実施形態に関わる低反射電極4は、金属膜2を備えているので、膜厚を抑えつつも十分な遮光性を得ることができる。したがって、低反射電極4上に、赤画素R、緑画素G、青画素Bを形成したときに、表示品位に影響を生じさせるような突起が形成されるのを抑えることができる。本発明に関わる低反射電極4は、可視光の反射率を0.9%以下に抑えることができ、かつ、バックライトユニットから出射された透過光を完全に遮光できるので、視認性を大きく向上できる。
【0109】
(第4の実施形態)
第4の実施形態は、第3の実施形態に関わる表示装置用基板を液晶表示装置に適用した一例である。
図19は、適用事例である液晶表示装置の部分断面図ある。
【0110】
表示装置A2では、液晶層34が初期垂直配向となっていて、画素電極35と共通電極9との間に電圧を印加することで表示を行う。
図19では、配向膜、偏光板、アクティブ素子(TFT)およびバックライトユニットなどの記載を省略している。バックライトユニットは、アレイ基板33の透明基板20の下部に位置する。
【0111】
(ブラックマトリクスの作用)
ここで、
図20を用いて、黒色色材を複数種類の有機顔料としたブラックマトリクスBMが液晶層34から離れている従来の表示装置100の問題を説明する。
例えば、200ppi(pixels per inch)、さらには300ppiといったより高精細な液晶表示装置100では、画素サイズが小さいため、画素間に位置する液晶の配向不良の部分51から漏れてくる光52が液晶表示に悪影響を与える。
【0112】
そこで、
図21に示す本実施形態の表示装置A2のように、複数種類の有機顔料を黒色色材で形成されるブラックマトリクス8を液晶層34に近い位置に配置することで、光漏れを抑制できる。しかも、複数種類の有機顔料として黒色色材を用いてブラックマトリクス8を形成する場合、周知のブラックマトリクスBMよりカーボンが低濃度で済み、ブラックマトリクス8の比誘電率が小さいため、液晶層34に近づけても駆動電圧の等電位線の分布を乱し難い。
【0113】
なお、
図20、
図21では、低反射電極、透明電極、カラーフィルタ、配向膜、偏光板などの図示を省略した。
図20、
図21に示す液晶表示装置の液晶は、FFS方式の液晶であってもよい。
【0114】
(第5の実施形態)
第5の実施形態は、低反射電極4の構成である金属膜2の構成を除いて、第3の実施形態と同様であるため、
図8〜
図14を緩用する。ただし、重複する説明は省略し、差異のある金属膜2につき、説明を行う。
図8に示す金属膜2は、0.015μm膜厚の酸素を含む銅合金膜と、0.18μm膜厚の酸素を実質的に含まない銅合金膜との2層の銅合金膜上に、さらに銅とインジウムの銅合金膜を0.015μm膜厚にて積層した合計膜厚0.21μmの金属膜2である。酸素を実質的に含まないことは、銅合金膜の成膜時に酸素ガスを導入しないことを意味する。
【0115】
先に形成した2層の銅合金膜は、0.5at%のマグネシウムと0.5at%のアルミニウム(残部は銅)の銅合金を用いた。銅とインジウムの銅合金膜は、78at%の銅に22at%のインジウムを含む銅合金とした。なお、微量の不可避不純物がこれら銅合金に含まれている。インジウムの銅合金への添加量は、0.5%〜40at%とすることができる。インジウムは、融点が低い。インジウムの含有量が50at%を超えている銅合金には、耐熱性の懸念がある。
【0116】
22at%のインジウムなどインジウムリッチな銅合金の薄膜を備える金属膜2は、成膜後の熱処理工程や経時変化で酸化銅の形成に先立って酸化インジウムを形成し、酸化銅の形成を抑制する。酸化銅の形成が少ない場合、カバー端子部での透明導電膜との電気的接続を容易にし、製造工程や実装に関わる信頼性を向上できる。また、インジウムリッチな銅合金の薄膜表面の反射色は、白に近い色となり、銅単体に起因する赤い呈色を回避できる。反射色をニュートラルにするには、銅合金におけるインジウムの添加量を制御することに限らず、上記に例示した合金元素でも添加割合を調整することで可能である。本発明で開示した、これら銅合金に関わる技術は、アレイ基板23での金属配線に適用することができる。
【0117】
(低反射電極が担いうる役目)
上記した各実施形態に関わる低反射電極は、例えば、タッチセンシング時のいわば検出電極として機能することが可能である。透明電極は、低反射電極に一定の周波数での電圧を印加する駆動電極(走査電極)の役目を果たすことができる(なお、駆動電極に印加する電圧は、反転駆動方式であっても良い)。ここで、低反射電極は抵抗値が低く、かつ、透明電極も、例えば、補助導体を具備させること等により低い抵抗を実現することができ、タッチセンシングで発生する静電容量の変化を高い精度で検出することができる。加えて、良導体である低反射電極を検出電極として細い線幅でマトリクス状に配設できる。透明電極上に配設される、細い線幅の低反射電極のパターンのフリンジ効果により、パターンエッジ近傍での静電容量(フリンジ容量)が増え、静電容量を大きくすることができる。換言すれば、指などポインターのタッチの有無での静電容量の差を大きくでき、S/N比を向上させ、検出精度を高くすることができる。
また、低反射電極は、例えば、表示装置の表示面から見れば低反射のブラックマトリクスの役目を担い、視認性を向上できる。加えて、低反射電極構成に用いる銅合金膜は可視光を完全に遮断でき、バックライトからの光漏れを解消できる。さらに、本発明の低反射電極は、金属膜、あるいは、第2の光吸収性樹脂層を母型(マスク)として第1の光吸収性樹脂層のパターンをドライエッチングにて加工するため、第1の光吸収性樹脂層の画線幅と金属膜の画線幅や形状がほぼ同じである特徴を持つ。第1の光吸収性樹脂層の画線幅と金属膜の画線幅がほぼ同じであるため、画素の開口率を落とすことがない。
【0118】
なお、本発明の技術的範囲は前記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能であり、また、前記した変形例を適宜組み合わせてもよい。
例えば、
図1に示す表示装置用基板12においては、低反射電極4は、第1の光吸収性樹脂層1、金属膜2、及び第2の光吸収性樹脂層3の3層で構成されている。本発明は、3層構造の低反射電極4を限定せず、
図8及び
図19に示すように、第1の光吸収性樹脂層1及び金属膜2の2層によって低反射電極4が構成された構造が採用されてもよい。