【実施例1】
【0011】
実施例1に係る通話装置1は、
図1に示すように消防自動車や救急自動車に載置される無線通信機に接続され、通話や通信に使われるハンドセット2と、車内のコンソールや壁面や床面に取り付けられてハンドセット2を保持するホルダー3とからなる。
【0012】
尚、
図1でハンドセット2が位置する方向を前面とし、ホルダー3が位置する方向を背面とし、ハンドセット2の左上方向を上面とし、右下方向を下面とし、ハンドセット2を前面側から見て左側を左側面とし、右側を右側面として説明を進める。
【0013】
ハンドセット2は、
図2および
図3に示すように、前面から見ると縦長の小判形をした前面ケース20と、前面ケース20の背面側に組み付けられた背面ケース21で外郭が構成され、上端側にホルダー3側に向かって突出して設けられた受話部22と、下端側にホルダー3側に向かって突出して設けられた送話部23と、受話部22と送話部23を連結して手掛となる手掛部24とからなる。
【0014】
前面ケース20と背面ケース21が嵌合する合せ目25は、側面から見ると前面ケース20と平行な緩やかな弓形を成し前面ケース20の側面周囲は合せ目25に向かい徐々に広がる傾斜面20aを形成している。
また、背面ケース21の受話部22と送話部23はそれぞれ先端部の受話面22aと送話面23aに向けて外径が徐々に細くなるように受話側傾斜面21aと送話側傾斜面21bが形成されている。さらに、背面ケース21の下端からは無線通信機に接続されるコード4が引き出されている。
前面ケース20と背面ケース21の左右側面で受話部22と送話部23の近傍には、合せ目25を跨いで凸状のリブ26が複数本設けられている。
以上の構成により、ハンドセット2は合せ目25の部分が最も縦長で幅広に形成されている。
【0015】
ホルダー3は、
図3から
図5に示すように、弾性を有する例えばポリプロピレンの樹脂材で形成され、ハンドセットの通話部22および送話部23を内側で保持してガイド機構を有する第1外壁31aおよび第2外壁31bと、第1外壁31aと第2外壁31bの間に手掛用開口部3aを設けて連結する連結部32と、ホルダー3を車両に固定する取付板5とからなり、前面側から見るとハンドセット2の縦長の小判形の外径を若干大きくした形状となっている。
【0016】
第1外壁31aは、内側にハンドセット2の受話部22を保持するために、受話面22aと受話側傾斜面21aの形状に合わせた第1保持部30aを有し、第2外壁31bは、内側にハンドセット2の送話部23を保持するために、送話面23aと送話側傾斜面21bの形状に合わせた第2保持部30bを有する。第1外壁31aと第2外壁31bの高さはハンドセット2の保持状態で合わせ目25までの高さとなっているが、これに限らずハンドセット2を保持する壁が少しでもあれば良い。
また、第2外壁31bの下端にはコード4を導出するためのコード導出用凹部31b1が設けられている。
【0017】
連結部32は、使用者の手が挿入できるように第1保持部30aと第2保持部30bよりも背面側に低く形成されハンドセット2を装着した時に手掛用開口部3a用の空間が設けられるようになっている。連結部32の側面は第1外壁31aと、第2外壁31bのそれぞれの左右側面を面一となるように連結している。
【0018】
第1外壁31aの連結部32側の左右端には、それぞれ、第1外壁31aの高さよりも高く形成され左右で向かい合う第1係止片33a、33aが設けられている。第1係止片33a、33aと第1外壁31aの間には第1外壁31aより低い位置まで緩やかな三角形状に切欠いた第1切欠部34aがある。第1係止片33aは手掛用開口部3aから連続した辺と、切込部34から立ちあがった辺により山形を形成することで、先端が弾性を有しながらも強度を有するものとなる。
第1係止片33a、33aのハンドセット側の突端には、内側に向かって突出した係止爪35が備えられている。係止爪35はハンドセット側の先端が細くホルダー3の底面側が広い三角形状となっている。
同様に、第2外壁31bの連結部32側の左右端には、それぞれ、第2外壁31bの高さよりも高く形成され左右で向かい合う第2係止片33b、33bが設けられている。第2係止片33b、33bと第2外壁31bの間には第2外壁31bより低い位置まで緩やかな三角形状に切欠いた第2切欠部34bがある。第2係止片33bは手掛用開口部3aから連続した辺と、切込部34から立ちあがった辺により山形を形成することで、先端が弾性を有しながらも強度を有するものとなる。
第2係止片33b、33bのハンドセット側の突端には、内側に向かって突出した係止爪35が備えられている。係止爪35はハンドセット側の先端が細くホルダー3の底面側が広い三角形状となっている。
尚、第1係止片33aと第1外壁31aの間と第2係止片33bと第2外壁31bの間にそれぞれ第1切欠部34aおよび第2切欠部34bを備えることで、第1係止片33aと第2係止片33bは、第1外壁31a第と2外壁31bよりも若干背を高くすることで弾性を有することが出来き、ハンドセット2のホルダー3への着脱を容易にし、且つホルダー3全体の高さを抑えコンパクトにすることが可能となる。
また、第1係止片33aと第2係止片33bが拡開と反発を繰り返しても、第1切欠部34aおよび第2切欠部34bがあることで、第1外壁31aおよび第2外壁31bに拡開の影響を与えることがなく、ホルダー3の変形を防止できる。
【0019】
向かい合う第1係止片33a、33aの間隔、および向かい合う第2係止片33b、33bの間隔は、ハンドセット2を保持するときにハンドセットの当接する部分を挟持するように形成されるとともに、向かい合う係止爪35の間隔はハンドセットの当接する部分よりも狭く形成されていることで、ハンドセット3を強固に挟持することが可能となり、ホルダー3から脱落することはない。
【0020】
上記の構成により、ハンドセット2をホルダー3に保持する際の動作について説明する。ホルダー3は弾性を有する樹脂材で成形され、4箇所設けられた第1係止片33a、33aと第2係止片33b、33bは、第1外壁31aおよび第2外壁31bとの間に第1切欠部34aおよび第2切欠部34bが設けられていることから、
図6に示すように前方から直接ホルダー3にハンドセット2を差し込むと、ハンドセット2は係止爪35の三角形状に沿って移動する。ハンドセット2が挿入されると4箇所の第1係止片33a、33aと第2係止片33b、33bはハンドセット2に押されて拡開する。
そのままハンドセット2を移動すると受話側傾斜面21aが第1保持部30aをガイドとし、送話側傾斜面21bが第2保持部30bをガイドとして移動することになるため、ハンドセット2は上下を抑えられ、また第1係止片33aと第2係止片33bに左右を抑えられていることで上下左右にずれることなくスムーズに移動することができる。
【0021】
受話部22が第1保持部30aに収納され、同時に送話部23が第2保持部30bに収納されると、係止爪35が最も幅広であるハンドセット2の合せ目25を乗り越えて、前面ケース2の傾斜面20aに位置することから、第1係止片33a、33aと第2係止片33b、33bは弾性により閉じられる。これによりハンドセット2を4箇所の係止爪35で強固に挟持することができる。
また第1外壁31aおよび第2外壁31bもハンドセット2の最も縦長部分である合せ目25と当接することで、ハンドセット2を壁掛けで使用した場合でも、ハンドセット2の下部が第2外壁31bで支えられることでホルダー3から脱落することはない。
【0022】
次に、ハンドセット2をホルダー3から取り外す際の動作について説明する。使用者は手掛用開口部3aに手を挿入してハンドセット2を握り前方へ引き出す。第1係止片33a、33aと第2係止片33b、33bは弾性を有することで拡開して、係止爪35が合せ目25を通過すると取り外すことができる。
【0023】
ハンドセット2は、係止爪35と接する部分にリブ26を設けていることで、係止爪35はリブ26に沿って移動する。これによりハンドセット2と接する面が少なくなり摩擦が減ることによりハンドセット2の着脱が容易になるとともに、係止爪35による傷がなくなる。また、保持する際は、係止爪35がリブ26の上端に引っ掛かり係止されることから、より確実に係止される。
【0024】
以上説明したように、ハンドセット2は、ホルダー3に対して前面からの一方向で着脱することができるため、操作性が向上し、緊急を要する通話の際はすばやく着脱することができる。また、従来例のようにハンドセットを上下にスライドさせて着脱するスペースを必要とせず、さらに、ホルダー3は前面視でハンドセット2よりも若干大きい形状であることで、消防自動車や救急自動車内のコンソールや壁面や床面で他の通信機器や救急医療機器機材に囲まれた極めて狭い場所に設置可能となる。