(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
天井側の案内レールに沿って移動自在な移動体に、物品を保持自在な物品保持部が前記移動体に接近位置する上昇位置とその上昇位置よりも下方側の下降位置とに昇降自在に備えられ、前記移動体には、前記上昇位置に位置する前記物品保持部にて保持された物品の周囲を覆う収納空間が形成され、その収納空間の下端部には、前記上昇位置と前記下降位置との間での前記物品保持部の昇降を可能とする開口部が形成され、前記収納空間内に空気浄化用フィルタを通して浄化空気を通風する浄化空気通風手段が備えられている物品搬送装置であって、
横軸心周りでの揺動により前記開口部を開口する開位置と前記開口部を閉塞する閉位置とに位置変更自在な開閉体と、前記物品保持部を前記上昇位置と前記下降位置との間で昇降させる場合には、前記開閉体を前記開位置に位置させ、前記物品保持部の前記上昇位置と前記下降位置との間での昇降が終了すると、前記開閉体を前記開位置から前記閉位置に位置変更させる開閉制御手段が備えられ、
前記浄化空気通風手段は、前記収納空間における前記移動体の移動方向の前端側と後端側とに対向して一対備えられて、前記収納空間に対して前記移動体の移動方向の前方側及び後方側の両側から浄化空気を通風するように構成され、
前記収納空間内の空気を前記収納空間の外部に排出自在で且つその排出量を調整自在な排出手段が、対向して一対備えられ、
前記一対の浄化空気通風手段は前記一対の排出手段よりも上方に位置するように配設され、
前記一対の浄化空気通風手段と前記一対の排出手段とは、平面視でその並び方向が直交する形態で備えられている物品搬送装置。
前記開閉体は、前記開口部の一端部を揺動軸心とする第1開閉体と前記開口部の他端部を揺動軸心とする第2開閉体とを備え、前記第1開閉体と前記第2開閉体が互いに離間する側に揺動して前記開位置に位置変更自在であり、前記第1開閉体と前記第2開閉体が互いに接近する側に揺動して前記第1開閉体の先端と前記第2開閉体の先端とが当接する前記閉位置に位置変更自在に構成されている請求項1に記載の物品搬送装置。
前記第1開閉体の揺動側の先端部には、前記第1開閉体が前記閉位置に位置する状態において、前記閉位置に位置する前記第2開閉体の揺動側の先端部に当接する開閉体間当接部が備えられている請求項2に記載の物品搬送装置。
【背景技術】
【0002】
上記のような物品搬送装置は、搬送元の物品搬送箇所から搬送先の物品搬送箇所に物品を搬送する場合に、まず、移動体が搬送元の物品搬送箇所に対応する停止位置まで移動し、物品保持部を上昇位置から下降位置に下降させて、下降位置に位置する物品保持部と物品搬送箇所との間で物品の授受を行うことで、搬送元の物品搬送箇所から物品を受け取る。その後、物品搬送装置は、下降位置から上昇位置に物品保持部を上昇させて、上昇位置に位置する物品保持部にて物品を保持しながら、移動体が搬送先の物品搬送箇所に対応する停止位置まで移動し、物品保持部を上昇位置から下降位置に下降させて、下降位置に位置する物品保持部と物品搬送箇所との間で物品の授受を行うことで、搬送先の物品搬送箇所に物品を受け渡すようにしている。
【0003】
このようにして、物品搬送装置は、移動体による移動及び物品保持部の昇降を行うことで、複数の物品搬送箇所の間での物品搬送を行う。このような物品搬送装置は、例えば、クリーンルーム内で複数の物品搬送箇所の間で物品を搬送するために用いられており、物品搬送箇所は、物品に対して様々な処理を行う物品処理部となっている。したがって、物品については、その搬送中においても清浄な状態が維持されることが望まれている。
そこで、従来の物品搬送装置では、上昇位置に位置する物品保持部にて保持された物品の周囲を覆う収納空間を移動体に形成し、その収納空間内に空気浄化用フィルタを通して浄化空気を通風する浄化空気通風手段を備えている(例えば、特許文献1参照。)。これにより、物品保持部を上昇位置に位置させて移動体による移動を行う場合に、収納空間に収納されている物品に対して浄化空気を通風して、搬送中の物品を清浄な状態に保つようにしている。
【0004】
上記特許文献1に記載の装置では、収納空間が矩形状に形成されており、浄化空気通風手段として、送風ファンとその送風ファンによって生成された空気流が通過するエアフィルタとを有するクリーンユニットが備えられている。そして、クリーンユニットは、エアフィルタを通過した清浄な空気が収納空間の一側面(移動体の走行方向の前方側の一側面)のほぼ全域から収納空間内に吹き出すように配設されている。また、収納空間内の物品の全体に対して清浄な空気流を供給するために、収納空間においてクリーンユニットと反対側の面に清浄な空気流を誘導する整流板を備えるとともに、収納空間においてクリーンユニット側の面には、清浄な空気流の流れ方向を調整するフィンが縦方向に間隔を隔てて複数備えられている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述のような物品搬送装置では、物品保持部を上昇位置と下降位置との間で昇降させることで、物品処理部等の物品搬送箇所と物品保持部との間での物品の授受を行うようにしている。したがって、収納空間の下端部には、上昇位置と下降位置との間での物品保持部の昇降を可能とする開口部が形成されている。その為に、塵埃が収納空間の外部から開口部を通して収納空間内に侵入することがあり、その塵埃が収納空間内に収納されている物品に付着することがある。
そこで、上記特許文献1に記載の装置では、複数のフィンにて清浄な空気流の流れ方向を調整して開口部を遮蔽するエアカーテンを形成することで、収納空間の外部から開口部を通して収納空間内に塵埃が侵入するのを防止している。しかしながら、例えば、空気流に多少の乱れが生じただけでも、開口部を通して収納空間内に塵埃が侵入してしまう虞がある。したがって、エアカーテンを形成するだけでは、開口部を通して収納空間内へ塵埃が侵入するのを防止することは難しいものとなっていた。
【0007】
また、搬送対象の物品を、例えば、半導体や液晶ディスプレイパネル等の露光用のレチクルを収納したレチクル用カセットとした場合には、アンモニアや二酸化硫黄等の物質が開口部を通して収納空間内に侵入して、その物質がレチクル用カセットに付着すると、ヘイズ(曇)が発生して、レチクルの品質に悪影響を与える可能性がある。そこで、レチクル用カセットにアンモニアや二酸化硫黄等の物質が付着することを防止することが求められているが、上記特許文献1に記載の装置では、エアカーテンを形成するだけであるので、開口部から収納空間内にアンモニアや二酸化硫黄等の物質が侵入することを防止し難いものとなっている。
【0008】
以下、アンモニアや二酸化硫黄等の物質がレチクル用カセットに付着すると、ヘイズ(曇)が発生する点について説明を加える。
搬送対象の物品となるレチクル用カセットは、例えば、カセット本体とそのカセット本体に対して装着自在で且つカセット本体から取り外し自在な蓋体とから構成されている。そして、例えば、蓋体の裏面側にレチクルを支持しており、カセット本体に蓋体を装着することで、レチクル用カセット内に形成される密閉空間にレチクルを収納して、レチクルを清浄な状態に保つようにしている。物品搬送箇所となる物品処理部では、レチクルを用いて露光等の処理を行うので、下降位置に下降された物品保持部と物品処理部との間でレチクルの授受を行うことになる。このレチクルの授受は、レチクル単体を授受するのではなく、レチクルを支持した蓋体等、レチクル用カセットの一部ごと授受するようにしている。したがって、物品処理部には、レチクル用カセットの一部が搬送されることになるので、そのレチクル用カセットの一部に空気中のアンモニアや二酸化硫黄等が付着していると、露光等の処理を行う際に、光エネルギーが加えられ、アンモニアや二酸化硫黄等が化学反応を起し、二酸化アンモニウム等のヘイズ(曇)の原因となる物質が生成させることになる。このようにして、アンモニアや二酸化硫黄等の物質がレチクル用カセットに付着すると、ヘイズ(曇)が発生してしまう。
【0009】
本発明は、かかる点に着目してなされたものであり、その目的は、搬送中の物品に対して、塵埃が付着するのを防止するだけでなく、アンモニアや二酸化硫黄等の物質が付着することも防止できる物品搬送装置を提供する点にある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
この目的を達成するために、本発明に係る物品搬送装置の第1特徴構成は、天井側の案内レールに沿って移動自在な移動体に、物品を保持自在な物品保持部が前記移動体に接近位置する上昇位置とその上昇位置よりも下方側の下降位置とに昇降自在に備えられ、前記移動体には、前記上昇位置に位置する前記物品保持部にて保持された物品の周囲を覆う収納空間が形成され、その収納空間の下端部には、前記上昇位置と前記下降位置との間での前記物品保持部の昇降を可能とする開口部が形成され、前記収納空間内に空気浄化用フィルタを通して浄化空気を通風する浄化空気通風手段が備えられている物品搬送装置において、
横軸心周りでの揺動により前記開口部を開口する開位置と前記開口部を閉塞する閉位置とに位置変更自在な開閉体と、前記物品保持部を前記上昇位置と前記下降位置との間で昇降させる場合には、前記開閉体を前記開位置に位置させ、前記物品保持部の前記上昇位置と前記下降位置との間での昇降が終了すると、前記開閉体を前記開位置から前記閉位置に位置変更させる開閉制御手段が備えられ、
前記浄化空気通風手段は、前記収納空間における前記移動体の
移動方向の前端側と後端側とに対向して一対備えられ
て、前記収納空間に対して前記移動体の移動方向の前方側及び後方側の両側から浄化空気を通風するように構成され、
前記収納空間内の空気を前記収納空間の外部に排出自在で且つその排出量を調整自在な排出手段が、対向して一対備えられ、
前記一対の浄化空気通風手段は前記一対の排出手段よりも上方に位置するように配設され、
前記一対の浄化空気通風手段と前記一対の排出手段とは、平面視でその並び方向が直交する形態で備えられている点にある。
【0011】
本特徴構成によれば、開閉体を閉位置に位置させることで、収納空間を密閉空間とすることができ、その密閉空間である収納空間に浄化空気通風手段にて浄化空気を通風させて、収納空間を浄化空気にて満たすことができる。このように、収納空間を浄化空気で満たすことで、収納空間に収納されている物品に対して、塵埃が付着するのを防止するだけでなく、アンモニアや二酸化硫黄等の物質が付着することも防止できる。
そして、開閉制御手段は、物品保持部を上昇位置と下降位置との間で昇降させる場合に、開閉体を開位置に位置させ、物品保持部の上昇位置と下降位置との間での昇降が終了すると、開位置から閉位置に開閉体を位置変更させるので、物品保持部を昇降させる場合のみ開口部を開口し、それ以外の場合には開口部を閉塞体にて閉塞しておくことができる。これにより、物品保持部を上昇位置に位置させて移動体による移動中等、物品保持部を昇降させる以外のときには、収納空間を浄化空気にて満たし、物品に対して、塵埃が付着するのを防止するだけでなく、アンモニアや二酸化硫黄等の物質が付着することも防止できる。
また、開位置と閉位置との間での開閉体の位置変更は、横軸心周りでの揺動により行われるので、例えば、摺動を伴うスライド移動で行うものと比べて、簡易な構成としながら、塵埃の発生自体を防止することができ、搬送中の物品に対して塵埃が付着するのを適切に防止することができる。
また、本特徴構成によれば、浄化空気通風手段によって収納空間内に通風された浄化空気の一部を排出手段にて収納空間の外部に排出することができるので、収納空間内の空気の一部を浄化空気通風手段によって新たに通風される浄化空気と入れ替えながら、収納空間内を浄化空気にて満たすことができる。そして、排気手段による空気の排出量を調整することで、収納空間内の空気の一部を浄化空気通風手段によって新たに通風される浄化空気と入れ替えることを確実に行うことができ、収納空間内の清浄化の向上を図ることができる。
【0012】
本発明に係る物品搬送装置の第2特徴構成は、前記開閉体は、前記開口部の一端部を揺動軸心とする第1開閉体と前記開口部の他端部を揺動軸心とする第2開閉体とを備え、前記第1開閉体と前記第2開閉体が互いに離間する側に揺動して前記開位置に位置変更自在であり、前記第1開閉体と前記第2開閉体が互いに接近する側に揺動して前記第1開閉体の先端と前記第2開閉体の先端とが当接する前記閉位置に位置変更自在に構成されている点にある。
【0013】
開閉体にて開口部を閉塞するに当たり、1つの開閉体にて開口部を閉塞すると、開閉体の大きさが大きくなるとともに、その大きな開閉体を閉位置と開位置とに位置変更させるための構成を備えなければならず、その構成の大型化及び複雑化を招く虞がある。
そこで、本特徴構成では、開閉体を第1開閉体と第2開閉体との2つの開閉体から構成することで、簡易な構成としながら、開口部の開閉を的確に行うことができる。また、第1開閉体及び第2開閉体を閉位置に位置させた場合には、第1開閉体の先端と第2開閉体の先端とが当接するので、第1開閉体及び第2開閉体によって開口部を適切に閉塞し、収納空間を適切に密閉空間とすることができる。
【0014】
本発明に係る物品搬送装置の第3特徴構成は、前記第1開閉体の揺動側の先端部には、前記第1開閉体が前記閉位置に位置する状態において、前記閉位置に位置する前記第2開閉体の揺動側の先端部に当接する開閉体間当接部が備えられている点にある。
【0015】
本特徴構成によれば、第1開閉体及び第2開閉体を閉位置に位置させた場合には、第1開閉体の先端と第2開閉体の先端との当接に加えて、第1開閉体に備えられた開閉体間当接部と第2開閉体との間でも当接することができるので、第1開閉体と第2開閉体との間での隙間を確実に無くしながら開口部を閉塞することができ、収納空間を確実に密閉空間とすることができる。
【0018】
本発明に係る物品搬送装置の第
4特徴構成は、前記開位置は、前記収納空間内の前記閉位置よりも上方側に設定されている点にある。
【0019】
本特徴構成によれば、開閉体を開位置に位置させると、開閉体が開口部を閉塞する閉位置よりも上方側で収納空間内に位置することになり、開閉体を収納空間に収納させておくことができる。よって、開閉体を開位置に位置させた場合でも開閉体が移動体の外側に飛び出すことなく、他の装置との干渉等の問題を生じることもなく、限られたスペースを有効に活用することができる。
そして、開閉体を閉位置から開位置に位置変更させる際には、開閉体を上方側に揺動させて収納空間内に収納させる。このとき、収納空間内には、浄化空気通風手段によって浄化空気が通風されているので、収納空間内の圧力が高くなっており、その圧力に抗して開閉体を揺動させなければならない。しかしながら、上記第4特徴構成で述べた如く、排出手段によって収納空間内の空気の一部が収納空間の外部に排出されているので、収納空間内の圧力が高くなり過ぎるのを防止することができる。したがって、開閉体を閉位置から開位置に揺動させる際に必要となる駆動力が大きくなりすぎるのを防止することができ、その駆動力を発生する駆動手段の構成の簡素化及び小型化を図ることができる。
【0020】
本発明に係る物品搬送装置の第
5特徴構成は、前記移動体には、前記閉位置に位置する前記開閉体に当接する移動体側当接部が備えられている点にある。
【0021】
本特徴構成によれば、開閉体が閉位置に位置する場合には、移動体に備えられた移動体側当接部に開閉体が当接するので、その当接によって移動体と開閉体との間での隙間を無くしながら開口部を閉塞することができ、収納空間を確実に密閉空間とすることができる。
【0022】
本発明に係る物品搬送装置の第
6特徴構成は、前記物品は、レチクルをその内部の密閉空間に収納自在なレチクル用カセットにて構成されている点にある。
【0023】
発明が解決しようとする課題でも述べた如く、搬送対象の物品をレチクル用カセットとした場合には、アンモニアや二酸化硫黄等の物質がレチクル用カセットに付着すると、ヘイズ(曇)が発生して、レチクルの品質に悪影響を与える可能性がある。そこで、上述の第1特徴構成で述べた如く、開閉体を閉位置に位置させることで、収納空間を浄化空気にて満たし、収納空間に収納されているレチクル用カセットに対して、アンモニアや二酸化硫黄等の物質が付着することを適切に防止できる。したがって、レチクルの品質に悪影響を与えることがなく、レチクルの品質を維持することができながら、レチクルの搬送を適切に行うことができる有用な搬送装置となる。
【発明を実施するための形態】
【0025】
本発明に係る物品搬送装置を適応した物品搬送設備の実施形態を図面に基づいて説明する。
この物品搬送設備は、
図1〜
図3に示すように、複数の物品処理部1を経由する状態で案内レール2が天井側に設置されており、案内レール2に沿って一方向に移動自在な天井搬送式の物品搬送車3(本発明に係る物品搬送装置)が設けられている。案内レール2は、案内レール用ブラケット6により天井部に固定状態で設置されている。物品処理部1では、様々な処理を行うように構成されており、物品搬送車3は、複数の物品処理部1の間で物品(レチクル用カセット5)を搬送自在に構成されている。
【0026】
ここで、
図1は、物品搬送車3と物品処理部1との間での物品の授受を示す物品搬送設備の概略図である。
図1の下方側には、物品搬送車3が物品処理部1からレチクル用カセット5を受け取る場合を示しており、
図1の上方側には、物品搬送車3が物品処理部1にレチクル用カセット5を受け渡す場合を示している。
図2は、物品搬送車3の前後方向(図中X方向)に沿う方向視での物品搬送車3の正面図であり、
図3は、物品搬送車3の横幅方向(図中Y方向)に沿う方向視での物品搬送車3の側面図である。
【0027】
この物品搬送設備では、
図1〜3に示すように、物品搬送車3にて搬送する搬送対象の物品が、レチクル4をその内部の密閉空間に収納自在なレチクル用カセット5にて構成されている。ここで、レチクル4とは、物品処理部1にて半導体や液晶ディスプレイパネル等の露光等の処理に用いるものである。レチクル用カセット5は、上方側が閉塞され且つ下方側が開口された筒状のカセット本体5aとそのカセット本体5aの下方側の開口を閉塞自在な蓋体5bとを備えて構成されている。そして、カセット本体5aに蓋体5bを装着することで、レチクル用カセット5内に密閉空間が形成されており、例えば、蓋体5bの裏面等にレチクル4を支持させることで、レチクル用カセット5内の密閉空間にレチクル4が収納されている。
【0028】
図1に示すように、物品処理部1の夫々には、物品搬送車3との間でレチクル用カセット5を授受するための物品移載用のステーション17が備えられている。ステーション17は、レチクル用カセット5を載置支持自在な載置部等により構成されている。ステーション17には、レチクル用カセット5の一部(例えば蓋体5b)を保持自在で且つそのレチクル用カセット5の一部(例えば蓋体5b)を保持した状態で物品処理部1の内部との間で昇降自在な昇降台18が備えられている。
図1の上方側に示すように、物品搬送車3からステーション17にレチクル用カセット5が移載された場合には、例えば、図外の蓋体装着離脱装置にてカセット本体5aからレチクル5を支持した蓋体5bが取り外され、昇降台18が取り外された蓋体5bを保持する状態で下降する。これにより、レチクル4単体ではなく、レチクル4を支持するレチクル用カセット5の一部(例えば蓋体5b)ごと物品処理部1内に搬送するように構成されている。
また、
図1の下方側に示すように、例えば、物品処理部1での処理が終了すると、昇降台18がレチクル4を支持した蓋体5bを保持する状態で物品処理部1内からステーション17に上昇し、図外の蓋体装着離脱装置にて蓋体5bがカセット本体5aに装着される。
【0029】
物品搬送車3は、
図1〜
図3に示すように、車体本体部7(移動体に相当する)と、案内レール2上を走行する走行部8と、レチクル用カセット5を吊り下げ状態で把持する把持部9(物品保持部に相当する)とを備えている。走行部8は、物品搬送車3の前後方向(図中X方向であり、以下、単に、前後方向Xと呼称する)に間隔を隔てて車体本体部7の前端部に相当する位置と後端部に相当する位置とに前後一対設けられている。把持部9は、車体本体部7に対して昇降自在に備えられている。
【0030】
前後一対の走行部8の夫々には、
図2及び
図3に示すように、電動式の駆動モータ10にて回転駆動されて左右一対の案内レール2夫々の水平面に沿う上面を転動する走行輪11と、左右一対の案内レール2夫々の対向する上下方向に沿う側面に当接して自由回転自在な案内輪12とが備えられている。走行輪11は、物品搬送車3の横幅方向(図中Y方向であり、以下、単に、横幅方向Yと呼称する)の両端部に1つずつ配設されている。案内輪12は、横幅方向Yの両端部に前後方向Xに並ぶ状態で2つずつ配設されている。走行部8は、駆動モータ10により走行輪11が水平軸心周りで回転駆動され、上下軸心周りで回転自在な案内輪12が一対の案内レール2に当接して水平方向で案内されることにより、案内レール2に案内されて走行するように構成されている。
【0031】
車体本体部7は、
図3に示すように、物品搬送車3の前方側から順に位置する、前端側部位7a、中間部位7b、後端側部位7cから構成されている。中間部位7bは、前後方向Xに延びる形状に形成され、前端側部位7aは、中間部位7bにおいて物品搬送車3の前端部から下方側に延びる形状に形成され、後端側部位7cは、中間部位7bにおいて物品搬送車3の後端部から下方側に延びる形状に形成されている。前端側部位7aと後端側部位7bとの間には、把持部9が配設されており、中間部位7bには、把持部9を昇降させるための電動式の昇降用モータ13、把持部9を上下軸心周りで旋回させるための電動式の旋回用モータ20が収納されている。
【0032】
昇降用モータ13は、ベルト15(ベルトに限らず、例えばワイヤを適応することも可能である)が巻回された回転ドラム16を回転駆動することで、ベルト15を巻き取り又は繰り出すことにより、上昇位置と下降位置とに把持部9を昇降自在に構成されている。上昇位置は、
図1〜
図3に示すように、車体本体部7に接近位置する位置であり、物品搬送車3が走行する場合には、把持部9を上昇位置に位置させている。下降位置は、
図1に示すように、床面側に設置された物品処理部1の夫々に対応する物品移載用のステーション17との間で物品移載を行うための位置である。
【0033】
把持部9は、
図3に示すように、車体本体部7の上端部から下方側に延びる旋回軸19により車体本体部7に対して上下軸心周りで回転自在に連結されている。そして、旋回用モータ20は、回転駆動力伝達部21を介して旋回軸19を上下軸心周りに回転駆動することで、把持部9を上下軸心周りに旋回自在に構成されている。
【0034】
把持部9は、
図2及び
図3に示すように、レチクル用カセット5を把持するための把持具22、及び、レチクル用カセット5を把持する把持姿勢とその把持を解除する把持解除姿勢とに把持具22を姿勢切換操作するための電動式の把持用モータ23を備えている。
図2及び
図3では、把持具22を把持姿勢に切り換えた状態を示している。
【0035】
図2に示すように、物品搬送車3に駆動用電力を給電するための給電線31が、左右一対の案内レール2の夫々に固定支持されており、案内レール2に沿って延びるように配設されている。物品搬送車3の車体本体部7には、給電線31から無接触で駆動用電力が給電される受電部32(受電コイル)が備えられている。そして、給電線31に交流電流を通電することで磁界を発生させ、この磁界により駆動用電力を受電部32に発生させて、無接触状態で給電を行うように構成されている。これにより、給電線31から無接触で駆動用電力を受電部32に給電することで、物品搬送車3がその駆動用電力により走行部8の走行及び把持部9の昇降等を行うようになっている。
【0036】
本発明に係る物品搬送装置である物品搬送車3は、クリーンルーム内で複数の物品処理部1の間でレチクル用カセット5を搬送するために用いられている。そのために、物品搬送車3にてレチクル用カセット5を搬送する搬送中においても、レチクル用カセット5を清浄に保つことが求められている。そこで、本発明に係る物品搬送車3では、搬送中においても、レチクル用カセット5を清浄に保つための構成が備えられている。
以下、本発明に係る物品搬送車3におけるレチクル用カセット5を清浄に保つための構成について説明する。
【0037】
物品搬送車3は、把持部9を上昇位置に位置させた状態で走行部8が走行することで、複数の物品処理部1の間での走行を行う。そこで、本発明に係る物品搬送車3では、上昇位置に位置する把持部9にて把持されたレチクル用カセット5を清浄に保つようにしている。
図2及び
図3に示すように、物品搬送車3の車体本体部7には、上昇位置に位置する把持部9にて把持されたレチクル用カセット5の周囲を覆う収納空間Kが形成されている。そして、その収納空間K内に空気浄化用フィルタを通して浄化空気を通風する浄化空気通風手段26が備えられており、この浄化空気通風手段26にて通風される浄化空気にて収納空間K内を満たすことによって、レチクル用カセット5を清浄に保つように構成されている。
【0038】
収納空間Kについて説明を加える。
上述の如く、
図3に示すように、車体本体部7は、前端側部位7aと中間部位7bと後端側部位7cとから構成されている。上昇位置に位置する把持部9及びその把持部9に把持されたレチクル用カセット5は、前端側部位7aによって物品搬送車3の前方側が覆われており、後端側部位7bによって物品搬送車3の後方側が覆われており、中間部位7bによって上方側が覆われている。上昇位置に位置する把持部9及びその把持部9に把持されたレチクル用カセット5に対して、横幅方向Yの両側を覆うために、前端側部位7aと後端側部位7bとの横幅方向Yの端部同士を連結する板状の連結体24が設けられている。このようにして、収納空間Kは、前端側部位7aと中間部位7bと後端側部位7cと連結体24とから囲まれた直方体状の空間に形成されている。
そして、
図2及び
図3に示すように、収納空間Kは、完全に密閉された空間ではなく、収納空間Kの下端部には、収納空間K内の上昇位置と収納空間Kの外部の下降位置との間での把持部9の昇降を可能とする開口部25が形成されている。これにより、把持部9が開口部25を通して上昇位置と下降位置との間で昇降を行うことができるようになっている。
【0039】
浄化空気通風手段26について説明を加える。
詳細な図示は省略するが、浄化空気通風手段26は、送風ファンと空気浄化用フィルタとが一体的に備えられたファンフィルタユニットにて構成されている。空気浄化用フィルタとしては、例えば、アンモニアや二酸化硫黄等の物質を除去可能なケミカルフィルタが用いられており、除去したい物質に応じてどのフィルタを用いるかが選択可能となっている。浄化空気通風手段26は、前端側部位7aと後端側部位7cに1つずつ備えられており、収納空間Kに対して物品搬送車3の前方側及び後方側の両側から浄化空気を通風するように構成されている。浄化空気通風手段26の上下方向での配置位置については、例えば、
図3に示すように、上昇位置に位置する把持部9にて把持されたレチクル用カセット5よりも下方側に浄化空気通風手段26を配置している。これにより、レチクル用カセット5の蓋体5bの外表面(レチクル用カセット5の外表面)に対して浄化空気を適切に通風させることができ、蓋体5bの外表面(レチクル用カセット5の外表面)に対して、塵埃等が付着するのを適切に防止できるだけでなく、アンモニアや二酸化硫黄等の物質が付着するのも適切に防止することができる。
【0040】
上述の如く、収納空間Kには、把持部9を昇降させるための開口部25が形成されているので、浄化空気通風手段26から浄化空気を収納空間Kに通風させても、収納空間Kを浄化空気で満たすことが難しい。そこで、本発明に係る物品搬送車3では、把持部9が上昇位置に位置するときに、収納空間Kを密閉空間とするために、開口部25を開口する開位置と開口部25を閉塞する閉位置とに位置変更自在な開閉体27が備えられている。
【0041】
開閉体27は、
図3に示すように、開口部25の一端部(物品搬送車3の前方側の端部)を揺動軸心とする第1揺動軸心28a周りで揺動自在な第1開閉体27aと、開口部25の他端部(物品搬送車3の後方側の端部)を揺動軸心とする第2揺動軸心28b周りで揺動自在な第2開閉体27bとから構成されている。
そして、第1開閉体27aと第2開閉体27bとは、互いに離間する側に揺動して開位置(
図3中点線にて示す)に位置変更自在であり、互いに接近する側に揺動して第1開閉体27aの先端と第2開閉体27bの先端とが当接する閉位置(
図3中実線にて示す)に位置変更自在に構成されている。第1揺動軸心28a及び第2揺動軸心28bは、駆動モータ等の図外の駆動手段により回転駆動自在に設けられており、駆動手段が第1揺動軸心28a及び第2揺動軸心28bを回転駆動することで、第1開閉体27a及び第2開閉体27bが揺動するように構成されている。
【0042】
第1開閉体27a及び第2開閉体27bが閉位置に位置する場合には、第1開閉体27a及び第2開閉体27bの両者が物品搬送車3の前後方向に沿う水平姿勢となって、開口部25を閉塞している。
第1開閉体27a及び第2開閉体27bが開位置に位置する場合には、第1開閉体27aが車体本体部7の前端側部位7aに対向する状態で上下方向に沿う起立姿勢となり、且つ、第2開閉体27bが車体本体部7の後端側部位7bに対向する状態で上下方向に沿う起立姿勢となって、第1開閉体27a及び第2開閉体27bが収納空間K内に収納されて開口部25を開口している。
【0043】
このように、開閉体27は、2つの開閉体27a,27bとからなり、これら2つの開閉体27a,27bを物品搬送車3の車体横幅方向に沿う横軸心周りで揺動させることで、開位置と閉位置とに位置変更自在に構成されている。そして、
図3中点線にて示す開閉体27の開位置は、
図3中実線にて示す閉位置よりも上方側で収納空間K内に設定されている。
【0044】
第1開閉体27a及び第2開閉体27bの両者は、板状に形成されており、閉位置に位置する2つの開閉体27a,27bの合計の面積が開口部25の開口面積と略同じになるように構成されている。これにより、第1開閉体27a及び第2開閉体27bが閉位置に位置する場合には、第1開閉体27aの揺動側の先端と第2開閉体27bの揺動側の先端とが対向する状態で当接して、開口部25を閉塞するように構成されている。
そして、
図4に示すように、第1開閉体27aの揺動側の先端部には、第1開閉体27aが閉位置に位置する状態において、閉位置に位置する第2開閉体27bの揺動側の先端部に当接する開閉体間当接部29が備えられている。この開閉体間当接部29は、閉位置に位置する第1開閉体27aの下面部に装着されており、第1開閉体27aの揺動側の先端よりも前方側に延びる板状体にて構成されている。
【0045】
これにより、
図4(b)に示すように、第1開閉体27a及び第2開閉体27bが閉位置に位置する場合には、開閉体間当接部29の上面部が第2開閉体27bの下面部に当接する状態で第2開閉体27bを受け止め支持するように構成されている。したがって、第1開閉体27a及び第2開閉体27bが閉位置に位置する場合には、第1開閉体27aの先端と第2開閉体27bの先端とが当接するだけでなく、第1開閉体27aに備えられた開閉体間当接部29と第2開閉体27bとの間でも当接するので、第1開閉体27aと第2開閉体27bとの間での隙間を確実に無くしながら開口部15を閉塞することができ、収納空間Kを確実に密閉空間とすることができる。
【0046】
ここで、第1開閉体27aの揺動側の先端部には開閉体間当接部29が備えられているので、開閉体27を閉位置から開位置に位置変更させる場合には、先に第2開閉体27bを閉位置から開位置への位置変更を開始させた後、第1開閉体27aを閉位置から開位置への位置変更を開始させるようにしている。また、開閉体27を開位置から閉位置に位置変更させる場合には、先に第1開閉体27aを開位置から閉位置への位置変更を開始させた後、第2開閉体27bを開位置から閉位置への位置変更を開始させるようにしている。
【0047】
また、車体本体部7と開閉体27との間での隙間を無くすために、
図2に示すように、車体本体部7には、閉位置に位置する開閉体27に当接する車体側当接部30(移動体側当接部に相当する)が備えられている。車体側当接部30は、連結体24の下端部から収納空間Kに延びる板状体にて構成されており、開口部25において物品搬送車3の前後方向の全長に亘って設けられている。
【0048】
物品搬送車3の横幅方向の両側において収納空間Kを覆う連結体24の夫々には、収納空間K内の空気を収納空間Kの外部に排出自在で且つその排出量を調整自在な排出手段Hが備えられている。排出手段Hは、連結体24に形成された開口部に設けられた多数の孔部を有する多孔体にて構成されており、多数の孔部による開口面積を調整することで、収納空間K内から収納空間Kの外部に排出される空気の排出量を調整自在に構成されている。
【0049】
多孔体における多数の孔部による開口面積の調整について説明する。
図示は省略するが、例えば、2つの多孔体を重ね合わせる状態で物品搬送車3の前後方向にスライド移動自在に備えており、一方の多孔体の孔部と他方の多孔体の孔部とを同一位置に位置させることで、収納空間Kの内部と外部とを連通する開口を形成している。そして、人為操作式の操作部により多孔体をスライド移動させて、一方の多孔体の孔部に対して他方の多孔体の孔部を位置をずらすことで、多数の孔部による開口面積を調整自在に構成されている。
【0050】
これにより、浄化空気通風手段26によって収納空間K内に通風された浄化空気の一部を排出手段
Hにて収納空間Kの外部に排出することができるので、収納空間K内の空気の一部を浄化空気通風手段26によって新たに通風される浄化空気と入れ替えながら、収納空間K内を浄化空気にて満たすことができる。そして、排気手段Hによる空気の排出量を調整することで、収納空間K内の空気の一部を浄化空気通風手段26によって新たに通風される浄化空気と入れ替えることを確実に行うことができ、収納空間K内の清浄化の向上を図ることができる。
ここで、排
出手段Hによる空気の排出量の調整については、例えば、浄化空気通風手段26においてどのケミカルフィルタを用いるかによって調整することができ、ケミカルフィルタの種類に応じて適切な空気の排出量に調整することができる。そして、一旦、空気の排出量を調整すると、ケミカルフィルタを交換するまで、その排出量を維持するようにしている。
【0051】
以下、本発明に係る物品搬送車3の運転について説明する。
物品搬送車3には、走行部8の走行作動、把持部9の昇降作動や把持具22の姿勢切換作動等を制御して、物品搬送車3の運転を制御する台車側制御部が備えられている。そして、台車側制御部は、物品搬送車3の運行を管理する設備管理用コンピュータから搬送元のステーション17及び搬送先のステーション17を指定する搬送指令を受けると、その搬送指令にて指定された搬送元のステーション17から搬送先のステーション17にレチクル用カセット5を搬送する搬送処理を行うように構成されている。
【0052】
図1の下方側に示すように、台車側制御部は、各ステーション17に対応する目標停止位置を検出するためのセンサや基準点からの物品搬送車3の走行距離を検出するためのセンサ等の各種センサの検出情報に基づいて、指定された搬送元のステーション17まで走行するように走行部8の走行作動を制御する。その後、台車側制御部は、搬送元のステーション17からレチクル用カセット5を受け取るように、把持部9の昇降作動や把持具22の姿勢切換作動を制御する。搬送元のステーション17からレチクル用カセット5を受け取ると、
図1の上方側に示すように、台車側制御部は、各種センサの検出情報に基づいて、指定された搬送元のステーション17まで走行するように走行部8の走行作動を制御した後、搬送先のステーション17にレチクル用カセット5を受け渡すように、把持部9の昇降作動や把持具22の姿勢切換作動を制御する。
【0053】
台車側制御部は、走行部8の走行作動、把持部9の昇降作動や把持具22の姿勢切換作動を制御するだけでなく、開閉体27の開閉作動及び浄化空気通風手段26の作動も制御している。台車側制御部は、常に、収納空間Kには浄化空気が通風されるように、常時、浄化空気通風手段26を作動させている。そして、台車側制御部(開閉制御手段に相当する)は、把持部9を上昇位置と下降位置との間で昇降させる場合には、開閉体27を開位置に位置させ、把持部9の上昇位置と下降位置との間での昇降が終了すると、開閉体27を開位置から閉位置に位置変更させるように、開閉体27の開閉作動を制御するように構成されている。ここで、上述の如く、開閉体27を開閉させる場合には、第1開閉体27aと第2開閉体27bとの間でどちらを先に作動開始させるかの順序がある。開閉体27を閉位置から開位置に位置変更させる場合には、先に第2開閉体27bを閉位置から開位置への位置変更を開始させた後、第1開閉体27aを閉位置から開位置への位置変更を開始させる。開閉体27を開位置から閉位置に位置変更させる場合には、先に第1開閉体27aを開位置から閉位置への位置変更を開始させた後、第2開閉体27bを開位置から閉位置への位置変更を開始させる。
【0054】
台車側制御部は、把持部9を上昇位置と下降位置との間で昇降させるときだけ、開閉体27を開位置に位置させ、その把持部9の昇降が終了すると、開閉体27を開位置から閉位置に位置変更させて、把持部9を昇降させるとき以外には、開閉体27を閉位置に位置させている。そして、台車側制御部は、常時、浄化空気通風手段26を作動させているので、搬送元のステーション17へ走行するときだけでなく、搬送元のステーション17から搬送先のステーション17へ走行するときにも、収納空間Kを密閉空間とし、その収納空間K内の空気の一部を浄化空気通風手段26によって新たに通風される浄化空気と入れ替えながら、収納空間K内を浄化空気にて満たすことができる。これにより、実際に収納空間Kにレチクル用カセット5が存在しない、搬送元のステーション17からレチクル用カセット5を受け取る以前のタイミングから、予め収納空間K内を浄化空気にて満たしておくことができる。しかも、実際に収納空間Kにレチクル用カセット5が存在する、搬送元のステーション17から搬送先のステーション17へ走行する途中においても、収納空間K内を浄化空気にて満すことができる。その結果、搬送先のステーション17に搬送するレチクル用カセット5の外表面に、塵埃及びアンモニアや二酸化硫黄等の物質が付着するのを適切に防止することができる。したがって、
図1に示すように、物品処理部1に対して、レチクル4単体ではなく、レチクル4を支持するレチクル用カセット5の一部(例えば蓋体5b)ごと搬送する場合でも、塵埃及びアンモニアや二酸化硫黄等の物質が外表面に付着したレチクル用カセット5の一部(例えば蓋体5b)が物品処理部1内に搬送されるのを適切に防止することができる。その結果、物品処理部1にて露光等の処理を行っても、ヘイズ(曇)の原因となる物質が生成させることを適切に防止でき、レチクル4の品質を維持することができながら、レチクル4の搬送を適切に行うことができる。
【0055】
〔別実施形態〕
(1)上記実施形態では、第1開閉体27a及び第2開閉体27bを物品搬送車3の横幅方向に沿う横軸心周りで揺動自在に設けている。この構成に代えて、例えば、第1開閉体27a及び第2開閉体27bを物品搬送車3の前後方向に沿う横軸心周りで揺動自在に設けることもできる。
また、開閉体27については、第1開閉体27aと第2開閉体27bの2つの開閉体を設けるものに限らず、例えば、1つの開閉体にて開口部25を閉塞することもできる。
【0058】
(
2)上記実施形態では、開閉体27の開位置を、収納空間K内の閉位置よりも上方側に設定している。この構成に代えて、例えば、開閉体27の開位置を、収納空間Kの外部の閉位置よりも下方側に設定することもできる。