特許第5765580号(P5765580)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5765580ポジショニングシステム、および、その方法とそれを使用する照準パターン
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5765580
(24)【登録日】2015年6月26日
(45)【発行日】2015年8月19日
(54)【発明の名称】ポジショニングシステム、および、その方法とそれを使用する照準パターン
(51)【国際特許分類】
   G01B 15/00 20060101AFI20150730BHJP
   H01L 21/027 20060101ALI20150730BHJP
【FI】
   G01B15/00 B
   H01L21/30 503A
【請求項の数】16
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2012-77890(P2012-77890)
(22)【出願日】2012年3月29日
(65)【公開番号】特開2013-164409(P2013-164409A)
(43)【公開日】2013年8月22日
【審査請求日】2012年3月29日
(31)【優先権主張番号】101104332
(32)【優先日】2012年2月10日
(33)【優先権主張国】TW
(73)【特許権者】
【識別番号】509078089
【氏名又は名称】財團法人國家同▲歩▼輻射研究中心
(74)【代理人】
【識別番号】100091683
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼川 俊雄
(72)【発明者】
【氏名】殷廣鈴
(72)【発明者】
【氏名】李徳輝
【審査官】 岸 智史
(56)【参考文献】
【文献】 特開昭60−070651(JP,A)
【文献】 特開2003−123677(JP,A)
【文献】 特開2004−153245(JP,A)
【文献】 特開平09−006016(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01B 15/00−15/08
G01N 23/00−23/227
H01J 37/00−37/295
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポジショニングシステムであって、
ステージ上に設置され、複数で、且つ、放射状に配列された徐々に広がる標記を有し、相隣する前記徐々に広がる標記の間にピッチを有する照準パターンと、
集光電子ビームを生成する電子ビーム装置と、
前記電子ビーム装置に連接されて、前記集光電子ビームを調整して、前記照準パターンに二次元パターンスキャンを実行し、反射する電子信号を生成するスキャンユニットと、
前記反射する電子信号を検出する電子検出ユニットと、
前記ステージ、前記電子ビーム装置、前記スキャンユニット、および、前記電子検出ユニットに連接される制御ユニットと、
を含み、
前記集光電子ビームは、前記二次元パターンスキャンにより、前記徐々に広がる標記と前記ピッチにより生成される前記反射する電子信号を読み取り、前記制御ユニットにより分析してクロック信号を生成し、且つ、前記制御ユニットは、前記クロック信号中の複数のパルスの幅に従って、前記ステージの変位を調整することを特徴とするポジショニングシステム。
【請求項2】
前記各徐々に広がる標記は扇形部分であることを特徴とする請求項1に記載のポジショニングシステム。
【請求項3】
前記照準パターンは4個の前記扇形部分を含むことを特徴とする請求項2に記載のポジショニングシステム。
【請求項4】
前記照準パターンは3個の前記扇形部分を含むことを特徴とする請求項2に記載のポジショニングシステム。
【請求項5】
前記徐々に広がる標記の少なくとも1つの表面は、少なくとも一本の凹槽を形成していることを特徴とする請求項1から4いずれかの一項に記載のポジショニングシステム。
【請求項6】
前記二次元パターンスキャンは円形、または、楕円形軌跡スキャンで、且つ、前記円形、または、楕円形軌跡スキャンは前記照準パターンを読み取ることを特徴とする請求項1から5いずれかの一項に記載のポジショニングシステム。
【請求項7】
前記反射する電子信号は、二次電子信号、および、後方散乱電子信号ことを特徴とする請求項1から6いずれかの一項に記載のポジショニングシステム。
【請求項8】
ステージポジショニング方法であって、
ステージ上に、放射状に配列され、且つ、複数の徐々に広がる標記を含む照準パターンを固定する工程と、
集光電子ビームにより、前記照準パターンに二次元パターンスキャンを実行し、且つ、反射する電子信号を生成する工程と、
前記反射する電子信号を検出する工程と、
前記反射する電子信号を分析し、クロック信号を生成すると共に、前記照準パターン、前記二次元パターンスキャン、および、前記クロック信号中の複数のパルスの幅に従って、前記ステージの変位を調整する工程と、
を含み、相隣する前記徐々に広がる標記の間にピッチを有することを特徴とするステージポジショニング方法。
【請求項9】
前記二次元パターンスキャンは、円形、または、楕円形軌跡スキャンで、且つ、前記円形、または、楕円形軌跡スキャンは、前記照準パターンを読み取ることを特徴とする請求項に記載のステージポジショニング方法。
【請求項10】
前記反射する電子信号は、二次電子信号、および、後方散乱電子信号を含むことを特徴とする請求項8又は9に記載のステージポジショニング方法。
【請求項11】
前記徐々に広がる標記は、放射中心を基準とし、前記放射状配列をなし、且つ、前記各徐々に広がる標記は、前記放射中心から離れるにつれて、徐々に広くなることを特徴とする請求項8から10のいずれか一項に記載のステージポジショニング方法。
【請求項12】
前記各徐々に広がる標記は扇形部分であることを特徴とする請求項8から11のいずれか一項に記載のステージポジショニング方法。
【請求項13】
前記照準パターンは4個の前記扇形部分を含むことを特徴とする請求項12に記載のステージポジショニング方法。
【請求項14】
前記照準パターンは3個の前記扇形部分を含むことを特徴とする請求項12に記載のステージポジショニング方法。
【請求項15】
前記徐々に広がる標記の少なくとも1つの表面に、少なくとも1つの凹槽を形成していることを特徴とする請求項8から14のいずれか一項に記載のステージポジショニング方法。
【請求項16】
前記徐々に広がる標記は、等間隔のピッチ放射状配列であることを特徴とする請求項8から15のいずれか一項に記載のステージポジショニング方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ポジショニングシステムと方法に関するものであって、特に、電子ビーム集光スキャン方式により、定位を実行するポジショニングシステム、および、その方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
工具機、各種産業機械と測定儀器の高精度化に伴い、精密機械、半導体産業、マイクロテクノロジー、または、ナノテクノロジーは、皆、微小化、精密化に発展し、超精密の加工機、半導体製造工程、および、電子情報機器等は、どれも、高精密の定位技術と儀器による補助を必要としている。
【0003】
一般の精密なステージは、旋転や多移動軸の作動時、機械ポジショニングドリフト問題が生じる。現在、以下のような解決方法がある。
【0004】
(1)光学干渉儀により、ステージの精密移動を検出するが、しかし、光学干渉儀の使用は、高精密定位を達成できるが、光学干渉儀はステージの回転軸上に架設することできない。
【0005】
(2)光学スケールにより測定校正を実行するが、光学スケールの精密度不足で、測定回転の偏心を測定することができない。
【0006】
(3)空気ベアリング(air bearing)設計を有する機械回転軸を使用すると、30ナノメートル(nm)の精確度に到達することができるが、操作は大気圧力下で行わなければならず、また、体積も大きく、小さい空間での使用に適さない。
【0007】
(4)真空式センサーにより修正を行うが、回転台に傾斜角度がある時、機械設計は、非常に高い困難度と複雜度であり、回転台が1つの次元だけではない時、設計は実現不能である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上述の問題を解決するため、本発明は、ポジショニングシステム、および、その方法とそれを使用する照準パターンを提供し、複雜な構造である複数の次元ステージのナノメートルレベルの定位に応用することができ、ステージが回転や複数の移動軸の作動の時に生じる機械ポジショニングドリフト問題を克服することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上述の目的を達成するため、本発明の実施例によるポジショニングシステムは、ステージ上に設置され、複数で、且つ、放射状に配列された徐々に広がる標記(gradually wider marker)を有し、且つ、相隣する徐々に広がる標記の間にピッチを有する照準パターンと、集光電子ビームを生成する電子ビーム装置と、電子ビーム装置に連接されて、集光電子ビームを調整して、照準パターンに、二次元パターンスキャンを実行し、反射する電子信号を生成するスキャンユニットと、反射する電子信号を検出する電子検出ユニットと、ステージ、電子ビーム装置、スキャンユニット、および、電子検出ユニットに連接される制御ユニットと、を含み、集光電子ビームは、二次元パターンスキャンにより、徐々に広がる標記とピッチにより生成される反射する電子信号を読み取り、制御ユニットにより分析して、クロック信号を生成し、且つ、制御ユニットは、クロック信号中の複数のパルス幅に従って、調整ステージの変位を調整し、二次元パターンスキャンは、円形、または、楕円形軌跡スキャンである。
【0010】
本発明の更に別の実施例による照準パターンは、ポジショニングシステム中に応用され、照準パターンはステージ上に設置され、且つ、ステージ上に設置されたサンプルと一定距離を保持し、照準パターンは、放射状に配列され、且つ、複数の徐々に広がる標記を含み、相隣する徐々に広がる標記の間にピッチを有する。
【0011】
本発明の更に別の実施例によるステージポジショニング方法は、一ステージ上に、照準パターンを固定し、照準パターンは、放射状に配列され、且つ、複数の徐々に広がる標記を含み、相隣する徐々に広がる標記の間にピッチを有する工程と集光電子ビームにより、照準パターンに二次元パターンスキャンを実行し、且つ、反射する電子信号を生成する工程と、反射する電子信号を検出する工程と、反射する電子信号を分析し、クロック信号を生成すると共に、照準パターン、二次元パターンスキャン、および、クロック信号中の複数のパルスの幅に従って、ステージの変位を調整する工程と、を含む。
【発明の効果】
【0012】
本発明のポジショニングシステム、および、その方法により、機械ポジショニングドリフト問題を克服する。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の実施例によるポジショニングシステムを示す図である。
図2】本発明の実施例による照準パターン、および、円形軌跡スキャンを示す図である。
図3】本発明の実施例によるクロック信号を示す図である。
図4a】本発明の三種の実施例による照準パターンと円形軌跡スキャンの対応を示す図である。
図4b】本発明の三種の実施例による照準パターンと円形軌跡スキャンの対応を示す図である。
図4c】本発明の三種の実施例による照準パターンと円形軌跡スキャンの対応を示す図である。
図5a】それぞれ、図4aで示される円形軌跡スキャンに従って、照準パターンにより生成されるクロック信号を読み取ることを示す図である。
図5b】それぞれ、図4bで示される円形軌跡スキャンに従って、照準パターンにより生成されるクロック信号を読み取ることを示す図である。
図5c】それぞれ、図4cで示される円形軌跡スキャンに従って、照準パターンにより生成されるクロック信号を読み取ることを示す図である。
図6】本発明の更に別の実施例による照準パターン、および、円形軌跡スキャンを示す図である。
図7】本発明の更に別の実施例によるクロック信号を示す図である。
図8a】本発明の別の実施例による照準パターン、および、円形軌跡スキャンを示す図である。
図8b】本発明の別の実施例による照準パターン、および、円形軌跡スキャンを示す図である。
図9a】それぞれ、図8a、図8bで示される円形軌跡スキャンに従って、照準パターンにより生成されるクロック信号を読み取ることを示す図である。
図9b】それぞれ、図8a、図8bで示される円形軌跡スキャンに従って、照準パターンにより生成されるクロック信号を読み取ることを示す図である。
図10】本発明の実施例によるステージポジショニング方法のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
図1は、本発明の実施例ポジショニングシステムの構造を示す図で、図に示されるように、ポジショニングシステム10は、ステージ14上に設置された照準パターンを含み、同時に、図2を参照すると、図2は、本発明の実施例による照準パターンを示す図で、照準パターン12は、複数の放射状に配列された徐々に広がる標記を含み、1つの実施例では、4個の徐々に広がる標記を例としているが、これに限定されない。徐々に広がる標記は扇形部分121で、相隣する扇形部分121の間に、ピッチ122を有する。電子ビーム装置16はステージ14上方に設置され、集光電子ビーム18を生成すると共に、スキャンユニット26により、集光電子ビーム18を制御し、ステージ14上の照準パターン12に、二次元パターンスキャンを実行し、反射する電子信号20を生成する。1つの実施例では、図2に示されるように、二次元パターンスキャンは円形軌跡スキャン28であるが、これに限定されず、二次元パターンスキャンは楕円形スキャン軌跡でもよい。円形軌跡スキャン28は、扇形部分121、および、ピッチ122を読み取る。電子検出ユニット22は、反射する電子信号20を検出し、電子信号20は、これに限定されないが、二次電子信号、および、後方散乱電子信号を含む。制御ユニット24は、ステージ14、電子ビーム装置16、スキャンユニット26、および、電子検出ユニット22に連接される。
【0015】
1つの実施例では、ステージ14は、三軸マクロステージ、および、二個の回転台を有して、それぞれ、水平回転と垂直偏向を実行し、ステージ14上に、サンプル(図示しない)を置き、照準パターン12はサンプル付近に置かれると共に、サンプルと特定距離を保持する。これにより、集光電子ビーム18は、照準パターン12の変位、即ち、偵測サンプルの変位を検出する。
【0016】
説明を継続すると、制御ユニット24中に、照準パターン12の形状を記録し、制御ユニット24は、制御スキャン信号を出力して、スキャンユニット26のスキャン経路を制御すると共に、更に、電子検出ユニット22により検出される電子信号20を計算して、クロック信号に変換し、照準パターン12形状、スキャン経路、および、クロック信号に従って、照準パターン12の位置の経過時間による変位量を計算し、ステージ14を調整、修正する。
【0017】
本発明において、照準パターン12の扇形部分121とピッチ122の間に、著しい高度変化、または、異なる電気的性質を有するので、集光電子ビーム18の円形軌跡スキャンは、照準パターン12により生成される電子信号20を読み取り、制御ユニット24により、クロック信号であると分析する時、図3に示されるように、クロック信号30は、高低の電圧変化を有する。1つの実施例では、集光電子ビーム18が、扇形部分121をスキャンする時、クロック信号30は、相対高度と幅を有する方形パルス32を示し、この時、デジタル数値は1を示し、集光電子ビーム18が、照準パターン12のピッチ122をスキャンする時、パルス32起伏を有せず、且つ、この時、デジタル数値は0を示す。
【0018】
以下では、照準パターンは、四個の放射状に配列された扇形部分が、変位情況により生成された異なるクロック信号を例とし、本発明の特徴を説明すると、図4aに示されるように、四個の扇形部分は、それぞれ、扇形部分121a、扇形部分121b、扇形部分121c、および、扇形部分121dであり、1つの実施例では、扇形部分121a、および、扇形部分121cはX方向に沿い、扇形部分121b、および、扇形部分121dはY方向に沿い、且つ、扇形部分121a、121b、121c、121dは、放射中心oから徐々に広くなる設計で、四個の扇形部分121a、121b、121c、121dの間は、等間隔のピッチ配列である。
【0019】
図4aに示されるように、円形軌跡スキャン28の経路の円心と、四個の扇形部分121a、121b、121c、121dの放射中心oが対応する時、集光電子ビーム18(図1に示される)が、各扇形部分121a、121b、121c、121dをスキャンする経路が同じなので、読み取ったクロック信号30は図5aに示されるように、各パルス32a、32b、32c、32dの幅は同じで、且つ、相隣するパルス32a、32b、32c、32d間の間隔が同じで、このクロック信号は、正確に読み取った信号を表す。
【0020】
照準パターン12の変位時(即ち、ステージ変位時)、集光電子ビーム18が扇形部分121a、121b、121c、121dをスキャンする経路が変化するので、図4bに示されるように、照準パターン12のX方向の変位を例とすると、集光電子ビーム18の円形軌跡スキャン28の経路が、扇形部分121a、および、扇形部分121cをスキャンする経路と異なるので、読み取ったクロック信号30’は図5bに示されるように、パルス32a’、および、パルス32c’の幅は異なり、且つ、相隣するパルス32a’、32b’、32c’、32d’間の間隔も変化し、よって、クロック信号30’のパルス32a’、32b’、32c’、32d’幅とクロック信号30のパルス32a、32b、32c、32d幅との比較により、ステージ14(図1に示される)の時間経過の変位量を推定して、ステージ14を調整、修正することができ、修正後のステージ14上の照準パターン12がスキャンされる時、図5aで示される正確なクロック信号30を得ることができる。
【0021】
別の実施例中、ステージ14も、X方向とY方向で変位を生じる可能性があり、図4cに示されるように、集光電子ビーム18の円形軌跡スキャン28の経路が、扇形部分121a、扇形部分121b、121a、121dをスキャンする経路が異なり、この時、図5cに示されるように、クロック信号30”中のパルス32a”、32b”、32c”、32d”の幅が変化するので、パルス幅とタイミング変化により、ステージのX方向、および、Y方向の変位量を求めることができる。
【0022】
説明を継続すると、クロック信号30中の各パルス32のタイミング関係を識別して分析を進めるため、扇形部分121上に、少なくとも1つの凹槽を形成し、集光電子ビーム18が、この凹槽を有する扇形部分121をスキャンする時、パルス32は、平坦な方波ではなく、波動を有する方波である。図6は、本発明の更に別の実施例による照準パターンと円形軌跡スキャンを示す図で、照準パターン12は、四個の扇形部分121a、121b、121c、121dを含み、且つ、扇形部分121d上に凹槽34を形成している。図7は、本発明の更に別の実施例によるクロック信号を示す図で、この実施例中、集光電子ビーム18は、図6で示される照準パターンをスキャンし、且つ、円形軌跡スキャン28の経路と円心と四扇形部分121a、121b、121c、121dの放射中心oは対応し、図7に示されるように、クロック信号30中、各パルス32a、32b、32c、32dの幅は同じで、且つ、相隣するパルス32a、32b、32c、32d間の間隔は同じで、パルス32dのピークは、扇形部分121d上の凹槽34の設計により、波動36を示し、これにより、四個の扇形部分121a、121b、121c、121dとクロック信号30中の各個パルス32a、32b、32c、32dの対応関係を定義する。
【0023】
扇形部分121上に、凹槽34を形成して、識別基準とすることに限定されず、扇形部分121上に突起を形成してもよい。また、採用する扇形部分121の扇角が過大、または、過小で、クロック信号30を順序付けしにくくなるのを防止するため、1つの実施例では、扇角が45度の扇形部分121により、分析誤差を減少させている。
【0024】
以上の実施例は、四個の放射状に配列された徐々に広がる標記を含む照準パターンを例として説明しているが、これに限定されず、照準パターンは、二個、三個、または、四個以上の徐々に広がる標記でもよい。図8aと図8bは、本発明の別の実施例による照準パターン、および、円形軌跡スキャンを示す図で、照準パターン12は、三個の放射状に配列された扇形部分を含み、三個の扇形部分は、それぞれ、扇形部分123a、扇形部分123b、および、扇形部分123cで、それらは、放射中心oから徐々に広くなる設計で、且つ、三扇形部分123a、123b、123cの間は、等間隔のピッチ配列である。
【0025】
図9aと図9bは、それぞれ、図8a〜図8cで示される円形軌跡スキャンに従って読み取った照準パターンにより生成されるクロック信号を示す図である。図9aに示されるように、円形軌跡スキャン28の経路の円心と三扇形部分123a、123b、123cの放射中心oが対応する時、集光電子ビーム18(図1に示される)が各扇形部分123a、123b、123cをスキャンする経路が同じなので、これにより、読み取ったクロック信号50中の各パルス52a、52b、52cの幅は同じで、且つ、相隣するパルス52a、52b、52c間の間隔は同じで、このクロック信号は、正確に読み取った信号を示す。ステージ14が変位を生じる時、図9bに示されるように、集光電子ビーム18の円形軌跡スキャン28の経路は、扇形部分123a、123b、123cをスキャンする経路と異なり、この時、クロック信号50’中のパルス52a’、52b’、52c’の幅も変化し、これにより、パルス幅とタイミング変化はベクトル射影計算により、ステージの変位量に転換される。
【0026】
本発明において、電子ビーム装置により生成される集光電子ビームの集光点の大きさは、ポジショニングシステムの解像度を決定し、集光電子ビームの電流値は、クロック信号の信号対ノイズ比を決定するのに用いられる。さらに、信号対ノイズ比を増加させるため、更に、マルチペタル(multi−petal)の徐々に広がる標記を有する照準パターンを採用して、スキャン時のサンプリング速度を増加する。
【0027】
図10は、本発明の実施例ステージポジショニング方法のフローチャートで、図に示されるように、ステージポジショニング方法は、S40で、ステージ上に、放射状に配列される四個の徐々に広がる標記を含む照準パターンを固定する工程と、S42で、集光電子ビームにより、照準パターンに二次元パターンスキャンを実行し、且つ、反射する電子信号を生成する工程と、S44で、電子検出ユニットを利用して、反射する電子信号を検出する工程と、S46で、反射する電子信号を分析すると共に、クロック信号を生成する工程と、S48で、照準パターン形状、スキャン経路、および、クロック信号中の複数のパルスの幅に従って、照準パターンの位置の時間経過の変位量を計算し、ステージを調整して、修正する工程と、を含む。
【0028】
本発明では、集光電子ビームを利用して、特定の照準パターンをスキャンすると共に、電子検出ユニットにより、スキャンされた照準パターンにより生成される反射電子信号を検出して、更に、照準パターンが変位したかを判断して、ステージを調整、修正し、修正後のステージ上の照準パターンがスキャンされる時、予設の正確に読み取られたクロック信号を得る。このようなポジショニングシステム、および、その方法は、複雑な構造の複数の次元ステージのナノメートルレベルのポジショニングに応用でき、ステージが回転、または、多移動軸の作動時に生じる機械ポジショニングドリフト問題を克服する。
【0029】
本発明では好ましい実施例を前述の通り開示したが、これらは決して本発明に限定するものではなく、当該技術を熟知する者なら誰でも、本発明の精神と領域を脱しない範囲内で各種の変動や潤色を加えることができ、従って本発明の保護範囲は、特許請求の範囲で指定した内容を基準とする。
【符号の説明】
【0030】
図1
図2
図3
図4a
図4b
図4c
図5a
図5b
図5c
図6
図7
図8a
図8b
図9a
図9b
図10