特許第5765645号(P5765645)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ フジテック株式会社の特許一覧

特許5765645エレベータドア脱落防止装置及びエレベータドア装置
<>
  • 特許5765645-エレベータドア脱落防止装置及びエレベータドア装置 図000002
  • 特許5765645-エレベータドア脱落防止装置及びエレベータドア装置 図000003
  • 特許5765645-エレベータドア脱落防止装置及びエレベータドア装置 図000004
  • 特許5765645-エレベータドア脱落防止装置及びエレベータドア装置 図000005
  • 特許5765645-エレベータドア脱落防止装置及びエレベータドア装置 図000006
  • 特許5765645-エレベータドア脱落防止装置及びエレベータドア装置 図000007
  • 特許5765645-エレベータドア脱落防止装置及びエレベータドア装置 図000008
  • 特許5765645-エレベータドア脱落防止装置及びエレベータドア装置 図000009
  • 特許5765645-エレベータドア脱落防止装置及びエレベータドア装置 図000010
  • 特許5765645-エレベータドア脱落防止装置及びエレベータドア装置 図000011
  • 特許5765645-エレベータドア脱落防止装置及びエレベータドア装置 図000012
  • 特許5765645-エレベータドア脱落防止装置及びエレベータドア装置 図000013
  • 特許5765645-エレベータドア脱落防止装置及びエレベータドア装置 図000014
  • 特許5765645-エレベータドア脱落防止装置及びエレベータドア装置 図000015
  • 特許5765645-エレベータドア脱落防止装置及びエレベータドア装置 図000016
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5765645
(24)【登録日】2015年6月26日
(45)【発行日】2015年8月19日
(54)【発明の名称】エレベータドア脱落防止装置及びエレベータドア装置
(51)【国際特許分類】
   B66B 13/30 20060101AFI20150730BHJP
【FI】
   B66B13/30 E
【請求項の数】5
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2013-553758(P2013-553758)
(86)(22)【出願日】2011年6月16日
(65)【公表番号】特表2014-505643(P2014-505643A)
(43)【公表日】2014年3月6日
(86)【国際出願番号】CN2011000999
(87)【国際公開番号】WO2012171141
(87)【国際公開日】20121220
【審査請求日】2013年8月19日
(73)【特許権者】
【識別番号】000112705
【氏名又は名称】フジテック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100074332
【弁理士】
【氏名又は名称】藤本 昇
(74)【代理人】
【識別番号】100114432
【弁理士】
【氏名又は名称】中谷 寛昭
(72)【発明者】
【氏名】中川 淳一
(72)【発明者】
【氏名】周▲強▼
【審査官】 日下部 由泰
(56)【参考文献】
【文献】 特開2012−006706(JP,A)
【文献】 特開2011−084385(JP,A)
【文献】 特開平11−035260(JP,A)
【文献】 特開平06−156953(JP,A)
【文献】 特表2011−525466(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B66B 13/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
昇降路用構造体の内壁に沿って配設されるプレート部と、プレート部の内面に沿って配設されるレールと、レール上に載置されて転動するローラと、ローラに接続されることで該ローラを介してレールに支持されて開閉するエレベータドアと、エレベータドアが開閉する方向に延びて、エレベータドアに設けられる被案内部が挿入される溝状の案内手段とを備えるエレベータドア装置の、案内手段の側方に向いた内面に当接したエレベータドアの被案内部該案内手段から脱落することを防止するエレベータドア脱落防止装置であって、
少なくともエレベータドアが閉じている状態で、ローラとプレート部との間に配置され、エレベータドアが揺動する際の揺動の基点になるローラが側方に揺動することを規制する側方規制部を備えることを特徴とするエレベータドア脱落防止装置。
【請求項2】
側方規制部は、ローラとプレート部とが対面する方向において、少なくともローラの上部と重なるように配置される請求項1に記載のエレベータドア脱落防止装置。
【請求項3】
少なくともエレベータドアが閉じている状態で、ローラの上方に配置され、ローラがレールから上方に離反することを規制する上方規制部を備える請求項1又は2に記載のエレベータドア脱落防止装置。
【請求項4】
側方規制部は、一つのエレベータドアに複数設けられるローラに対応して複数並列される請求項1乃至3のいずれか1項に記載のエレベータドア脱落防止装置。
【請求項5】
昇降路用構造体の内壁に沿って配設されるプレート部と、プレート部の内面に沿って配設されるレールと、レール上に載置されて転動するローラと、ローラに接続されることで該ローラを介してレールに支持されて開閉するエレベータドアと、エレベータドアが開閉する方向に延びて、エレベータドアに設けられる被案内部が挿入される溝状の案内手段と、請求項1乃至4のいずれか1項に記載のエレベータドア脱落防止装置とを備えることを特徴とするエレベータドア装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、昇降路用構造体の各出入口に設けられるエレベータドアが脱落することを防止するエレベータドア脱落防止装置に関し、また、そのエレベータドア脱落防止装置を備えるエレベータドア装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、昇降路用構造体の各出入口に設けられるエレベータドア装置として、昇降路用構造体の内壁に沿って配設されるプレート部と、プレート部の内面に沿って配設されるレールと、レール上を転動するローラと、ローラに接続されるエレベータドアとを備えるエレベータドア装置が知られている(例えば、特許文献1)。斯かるエレベータドア装置によれば、ローラがレール上を転動することで、エレベータドアが開閉できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】日本国特開平2−310286号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、特許文献1に係るエレベータドアに対して、例えば、外側(乗り場側)から内側(昇降路側)に向けて力が作用すると、エレベータドアが傾いたり、エレベータドアが変形したりする。さらに、昇降路を昇降するかごがそのエレベータドアと対面するように位置していない場合には、エレベータドアが脱落する可能性もある。
【0005】
よって、本発明は、斯かる事情に鑑み、エレベータドアが脱落することを防止できるエレベータドア脱落防止装置及びエレベータドア装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係るエレベータドア脱落防止装置は、昇降路用構造体の内壁に沿って配設されるプレート部と、プレート部の内面に沿って配設されるレールと、レール上に載置されて転動するローラと、ローラに接続されることで該ローラを介してレールに支持されて開閉するエレベータドアと、エレベータドアが開閉する方向に延びて、エレベータドアに設けられる被案内部が挿入される溝状の案内手段とを備えるエレベータドア装置の、案内手段の側方に向いた内面に当接したエレベータドアの被案内部該案内手段から脱落することを防止するエレベータドア脱落防止装置であって、少なくともエレベータドアが閉じている状態で、ローラとプレート部との間に配置され、エレベータドアが揺動する際の揺動の基点になるローラが側方に揺動することを規制する側方規制部を備えることを特徴とする。
【0007】
本発明に係るエレベータドア脱落防止装置によれば、少なくともエレベータドアが閉じている状態で、側方規制部がローラとプレート部との間に配置されている。これにより、ローラが側方に揺動する場合に、側方規制部がローラの側方と当接するため、ローラが側方に揺動することを規制できる。
【0008】
また、本発明に係るエレベータドア脱落防止装置においては、側方規制部は、ローラとプレート部とが対面する方向において、少なくともローラの上部と重なるように配置されてもよい。
【0009】
斯かる構成のエレベータドア脱落防止装置によれば、ローラとプレート部とが対面する方向において、側方規制部が少なくともローラの上部と重なるように配置されている。したがって、ローラが下部(レールと当接する部分)を基点にして側方に揺動する場合に、側方規制部がローラの側方の上部と当接するため、ローラが側方に揺動することを確実に規制できる。
【0010】
また、本発明に係るエレベータドア脱落防止装置においては、少なくともエレベータドアが閉じている状態で、ローラの上方に配置され、ローラがレールから上方に離反することを規制する上方規制部を備えてもよい。
【0011】
斯かる構成のエレベータドア脱落防止装置によれば、少なくともエレベータドアが閉じている状態で、上方規制部がローラの上方に配置されている。これにより、ローラがレールから上方に離反する場合に、上方規制部がローラの上部と当接するため、ローラがレールから上方に離反することを規制できる。
【0012】
また、本発明に係るエレベータドア脱落防止装置においては、側方規制部は、一つのエレベータドアに複数設けられるローラに対応して複数並列されてもよい。
【0013】
また、本発明に係るエレベータドア装置は、昇降路用構造体の内壁に沿って配設されるプレート部と、プレート部の内面に沿って配設されるレールと、レール上に載置されて転動するローラと、ローラに接続されることで該ローラを介してレールに支持されて開閉するエレベータドアと、エレベータドアが開閉する方向に延びて、エレベータドアに設けられる被案内部が挿入される溝状の案内手段と、前記のエレベータドア脱落防止装置とを備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
以上の如く、本発明に係るエレベータドア脱落防止装置及びエレベータドア装置によれば、ローラが側方に揺動する場合に、側方規制部がローラの側方と当接するため、ローラが側方に揺動することを規制し、その結果、エレベータドアが脱落することを防止できるという優れた効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明の一実施形態に係るエレベータドア装置の全体正面図を示す。
図2】同実施形態に係るエレベータドア装置の全体背面図を示す。
図3】同実施形態に係るエレベータドア装置の要部図であって、背面側から見た斜視図を示す。
図4】同実施形態に係るエレベータドア装置の要部図であって、正面側から見た内視斜視図を示す。
図5】同実施形態に係るエレベータドア装置の要部図であって、右側面図を示す。
図6】同実施形態に係るエレベータドア装置に対する比較例の作用を説明する概要図であって、(a)は全体右側面図、(b)は要部拡大右側面図を示す。
図7】同比較例の作用を説明する概要図であって、(a)は全体右側面図、(b)は要部拡大右側面図を示す。
図8】同比較例の作用を説明する概要図であって、(a)は全体右側面図、(b)は要部拡大右側面図を示す。
図9】同比較例の作用を説明する概要図であって、(a)は全体右側面図、(b)は要部拡大右側面図を示す。
図10】同実施形態に係るエレベータドア装置の作用を説明する概要図であって、(a)は全体右側面図、(b)は要部拡大右側面図を示す。
図11】同実施形態に係るエレベータドア装置の作用を説明する概要図であって、(a)は全体右側面図、(b)は要部拡大右側面図を示す。
図12】同実施形態に係るエレベータドア装置の作用を説明する概要図であって、(a)は全体右側面図、(b)は要部拡大右側面図を示す。
図13】同実施形態に係るエレベータドア装置の作用を説明する概要図であって、(a)は全体右側面図、(b)は要部拡大右側面図を示す。
図14】本発明の他の実施形態に係るエレベータドア装置の要部図であって、正面側から見た内視斜視図を示す。
図15】本発明のさらに他の実施形態に係るエレベータドア装置の要部図であって、正面側から見た内視斜視図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明に係るエレベータドア装置における一実施形態について、図1図13を参酌して説明する。なお、本実施形態に係るエレベータドア装置の各構成を説明するのに先立って、エレベータドア装置を備えるエレベータ装置について説明する。
【0017】
エレベータ装置は、図1図5に示すように、人を乗せるためのかご(図示及び採番していない)と、かごが昇降するための昇降路X1を内部に有する筒状の昇降路用構造体Xと、各乗場X2に対応して昇降路用構造体Xに設けられる複数の出入口X3,…をそれぞれ開閉する複数のエレベータドア装置1,…と、かごを昇降させるための駆動手段(図示及び採番していない)とを備える。なお、昇降路X1側を内側(内方)とし、乗場側X2を外側(外方)として、以下、説明する。
【0018】
本実施形態に係る各エレベータドア装置1は、出入口X3を開閉する一対のエレベータドア(「乗場ドア」ともいい、以下、単に「ドア」ともいう)2,2と、昇降路用構造体Xに固定されるフレーム3と、各ドア2をフレーム3に移動可能に支持させる支持手段4,4とを備える。また、エレベータドア装置1は、一対のドア2,2を同期させる同期手段5を備える。
【0019】
そして、エレベータドア装置1は、各ドア2が脱落することを防止するエレベータドア脱落防止装置(以下、単に「脱落防止装置」ともいう)6を備える。さらに、エレベータドア装置1は、各ドア2の下端部を案内する案内手段7と、各ドア2が出入口X3を閉塞する状態で各ドア2を保持する保持手段8とを備える。
【0020】
各ドア2は、長方形状に形成されるドア本体21と、ドア本体21の下端部から下方に向けて突設され、案内手段7に案内される被案内部22とを備える。そして、一対のドア2,2には、第1ドア2aと、第1ドア2aの外側に配置される第2ドア2bとが設けられている。なお、第1ドア2aは、かごに設けられる開閉自在なかごドア(図示及び採番していない)に係合されることで、移動するように構成されている。
【0021】
一対のドア2,2は、それぞれ一方側に移動することで、出入口X3を閉塞する閉塞位置(図1及び図2において実線で示す位置)から出入口X3を開放する開放位置(図1及び図2において二点鎖線で示す位置)に移動すると共に、それぞれ他方側に移動することで、開放位置から閉塞位置に移動する。即ち、本実施形態に係るエレベータドア装置1は、一対のドア2,2が同じ方向に移動することで出入口X3を開閉するため、一般的に、「サイドオープン」タイプと呼ばれる。
【0022】
一対のドア2,2は、閉塞位置に位置する際に、隣接する幅方向の端部同士が互いに対面する方向で重なるように、配置される。具体的には、一対のドア2,2は、閉塞位置に位置する際に、第1ドア2aの一端部と第2ドア2bの他端部とが重なるように、配置される。また、一対のドア2,2は、開放位置に位置する際に、互いに対面する方向で全体的に重なるように配置される。
【0023】
フレーム3は、昇降路用構造体Xの内壁X4に沿って配設されるプレート部31と、昇降路用構造体Xに固定される固定部32とを備える。そして、フレーム3は、各ドア2が移動する方向に沿って長尺に形成されている。また、フレーム3は、出入口X3の上方に配置されている。
【0024】
プレート部31は、平面状に形成される長尺なプレート本体311と、長手方向に沿って配置される溝部312とを備える。そして、プレート本体311は、昇降路用構造体Xの内壁X4と密接している。また、溝部312と内壁X4との間には、空間が形成されている。
【0025】
固定部32は、平板状に形成されると共に、プレート本体311の上端部から内方に向けて突設されている。そして、固定部32は、連結部材(例えば、アングル材であって、図示及び採番していない)を介して、内壁X4に固定されている。
【0026】
そして、各支持手段4は、プレート部31の内面に沿って配設されるレール41と、レール41上に載置され、レール41上を転動する一対のローラ42,42と、一対のローラ42,42とドア2とを接続する接続体43と、レール41の下部に当接する一対の補助ローラ44,44とを備える。なお、支持手段4,4には、第1ドア2aを支持する第1支持手段4aと、第2ドア2bを支持する第2支持手段4bとが設けられている。
【0027】
各レール41は、各ドア2が移動する方向に沿って長尺に形成されている。また、各レール41は、プレート部31の溝部312に沿って配置されている。そして、各レール41は、ボルト45,45を介して、プレート部31に固定されている。なお、各ボルト45の頭部は、プレート部31の溝部312に収容されている。
【0028】
第1支持手段4aのレール41と第2支持手段4bのレール41とは、一対のドア2,2が対面する方向で、対面するように配置されている。具体的には、第1支持手段4aのレール41と第2支持手段4bのレール41とは、並列されていると共に、長手方向が平行となるように配置されている。
【0029】
そして、第1支持手段4aのレール41は、プレート部31との間にブラケット46,…を介在させることで、第2支持手段4bのレール41より内側に配置されている。また、第1支持手段4aのレール41は、第2支持手段4bのレール41よりも長く形成されている。
【0030】
各ローラ42は、外周部に凹部421を備える。そして、各ローラ42は、厚みが各レール41の厚みよりも厚くなるように、形成されている。また、各ローラ42は、平板状に形成される接続体43の上部に取り付けられていると共に、接続体43の外側の面に取り付けられている。さらに、一対のローラ42,42は、接続体43の幅方向に並列されると共に、接続体43の幅方向の各端部に取り付けられている。
【0031】
各補助ローラ44は、接続体43の下部に取り付けられていると共に、接続体43の外側の面に取り付けられている。また、一対の補助ローラ44,44は、接続体43の幅方向に並列されると共に、接続体43の幅方向の各端部に取り付けられている。そして、各補助ローラ44は、上部がレール41の下部に当接することで、各ローラ42がレール41から上方に離反するのを抑制している。
【0032】
同期手段5は、第2支持手段4bの接続体43の上部に固定される長尺な基部51と、基部51の各端部に回転自在に固定される一対のプーリ52,52と、一対のプーリ52,52に掛け渡される無端形状のベルト53と、ベルト53の内側の部位に、第1支持手段4aの接続体43を連結する連結部54とを備える。また、同期手段5は、ベルト5の外側の部位に、フレーム3のプレート部31を固定する固定部55を備える。
【0033】
脱落防止装置6は、各ドア2に一対設けられるローラ42,42に対応して一対並列される脱落防止具61,61を備える。なお、脱落防止具61,61には、第1ドア2aが脱落するのを防止する一対の第1脱落防止具61a,61aと、第2ドア2bが脱落するのを防止する一対の第2脱落防止具61b,61bとが設けられている。
【0034】
各脱落防止具61は、ドア2が閉塞位置に位置している状態で、ローラ42と対面するように配置されている。そして、各脱落防止具61は、ドア2が閉塞位置に位置している状態で、ローラ42が側方に揺動することを規制する側方規制部611と、ドア2が閉塞位置に位置している状態で、ローラ42がレール41から上方に離反することを規制する上方規制部612とを備える。
【0035】
各側方規制部611は、ドア2が閉塞位置に位置している状態で、ローラ42の外方に配置されている。具体的には、各側方規制部611は、ドア2が閉塞位置に位置している状態で、ローラ42とプレート部31との間に配置されている。また、各側方規制部611は、幅寸法がローラ42の直径と略同じとなるように形成されている。
【0036】
各第1脱落防止具61aの側方規制部611は、ドア2が閉塞位置に位置している状態で、ローラ42とプレート部31とが対面する方向において、ローラ42全体と重なるように配置されている。そして、各第1脱落防止具61aは、側方規制部611の下端部がレール41の外側の面に取り付けられることで、レール41に固定されている。
【0037】
各第2脱落防止具61bの側方規制部611は、ドア2が閉塞位置に位置している状態で、ローラ42とプレート部31とが対面する方向において、ローラ42の上部と重なるように配置されている。そして、各第2脱落防止具61bは、側方規制部611がプレート部31に取り付けられることで、プレート部31に固定されている。
【0038】
各上方規制部612は、ドア2が閉塞位置に位置している状態で、ローラ42の上方に配置されている。また、各上方規制部612は、幅寸法がローラ42の直径と略同じとなるように形成されている。そして、各上方規制部612は、側方規制部611の上端部から内方に向けて突設されている。
【0039】
案内手段7は、第1ドア2aの被案内部22を案内する第1案内部71と、第2ドア2bの被案内部22を案内する第2案内部72とを備える。また、各案内部71,72は、各ドア2が移動する方向に沿って溝状に形成されている。そして、各案内部71,72は、各ドア2の被案内部22が挿入されることで、被案内部22の外方の面及び被案内部22の内方の面と摺接する。
【0040】
保持手段8は、第1ドア2aが閉塞位置から開放位置に移動するのを防止する移動防止手段81を備える。また、保持手段8は、第2ドア2aを閉塞位置に向けて付勢する付勢手段82を備える。
【0041】
移動防止手段81は、弾性体811を介して第1支持手段4aの接続体43の他端部に取り付けられる掛止部812と、第1支持手段4aのレール41を介してフレーム3の他端部に取り付けられ、掛止部812に掛止される被掛止部813とを備える。なお、移動防止手段81は、かごドアが第1ドア2aを係合することに伴って弾性体811が弾性変形することで、掛止部812が被掛止部813を掛止する状態を解除するように構成されている。
【0042】
付勢手段82は、弾性体で構成されている。そして、付勢手段82は、一端部が第2支持手段4bの接続体43の他端部に連結され且つ他端部がフレーム3の他端部に連結されることで、第2ドア2bを他方側に向けて付勢するように構成されている。
【0043】
本実施形態に係るエレベータドア装置1の構成については以上の通りであり、次に、本実施形態に係るエレベータドア装置1におけるドア2の開閉動作について説明する。
【0044】
まず、各ドア2が閉塞位置に位置している際には、第1ドア2aの一端部と第2ドア2bの他端部とが重なっている。また、各ドア2が閉塞位置に位置している際には、各脱落防止具61の側方規制部611がローラ42とプレート部31との間に配置されていると共に、各脱落防止具61の上方規制部612がローラ42の上方に配置されている。
【0045】
そして、各ドア2が閉塞位置に位置している際には、掛止部812が被掛止部813を掛止すると共に、付勢手段82が第2ドア2bを他方側に向けて付勢するため、各ドア2が閉塞位置で保持されている。斯かる状態から、昇降路X1を昇降するかごがドア2,2と対面するように移動し、かごに設けられるかごドアに第1ドア2aが係合されると、掛止部812で被掛止部813を掛止する状態が解除される。
【0046】
その後、かごドアが一方側に移動することにより、第1ドア2aがかごドアと共に一方側に移動する。これに伴って、固定部55でプレート部31に固定されたベルト53を介して、各プーリ52,52及び基部51が移動するため、基部51に固定されている第2ドア2bも第1ドア2aと同期して一方側に移動する。そして、各ドア2が開放位置に位置すると、各ドア2が互いに対面する方向で全体的に重なる。
【0047】
なお、各プーリ52が動滑車として機能するため、第1ドア2aが第2ドア2bの移動速度の二倍の速度で移動する。即ち、第1ドア2aが第2ドア2bの移動距離の二倍の距離を移動する。したがって、一般的に、第1ドア2aを「ファーストドア」といい、第2ドア2bを「スロードア」という。
【0048】
その後、かごドアが他方側に移動すると、かごドアに係合されている第1ドア2aがかごドアと共に他方側に移動すると共に、同期手段5を介して、第2ドア2bが第1ドア2aと同期して他方側に移動する。そして、各ドア2が閉塞位置に位置し、かごドアが第1ドア2aとの係合を解除すると、掛止部812が被掛止部813を掛止する。
【0049】
次に、本実施形態に係るエレベータドア装置1がドア2の脱落を防止する作用について説明する。具体的には、第1ドア2aに対して、剛体Yが外方(乗場X2側)から内方(昇降路X1側)に向けて衝突された際に、ドア2が脱落することを防止する作用について説明する。
【0050】
まず、本実施形態に係るエレベータドア装置1の作用について説明するのに先立って、脱落防止装置6が設けられていない比較例のエレベータ装置の作用について、図6図9を参酌して説明する。なお、図6図9において、図1図5の符号と同一の符号を付した部分は、上記実施形態に係るエレベータドア装置1と同一の構成又は要素を表す。
【0051】
図6に示すように、第1ドア2aにおける上下方向の中途部に、剛体Yが外方から内方に向けて衝突する。すると、第1支持手段4aのローラ42がレール41に当接していると共に、第1ドア2aの被案内部22が第1案内部71に当接しているため、図7に示すように、第1ドア2aの外側の面が凹状となるように、第1ドア2aが変形する。
【0052】
それに伴って、ローラ42がレール41と当接する下部を基点として揺動する。具体的には、ローラ42は、上部が外方に傾くようにして、揺動する。そして、図8に示すように、第1ドア2aの外側の面がさらに凹状となるように、第1ドア2aが変形すると、被案内部22が第1案内部71から抜け出す。
【0053】
その後、第1ドア2aが全体的に内方に移動するため、図9に示すように、ローラ42がレール41から外れる。これにより、第1ドア2aが脱落することになる。なお、第1ドア2aが剛体Yから離反することに伴って、第1ドア2aは、弾性変形による変形を一部復元するものの、塑性変形により変形している。
【0054】
次に、本実施形態に係るエレベータドア装置1の作用について説明する。まず、図10に示すように、第1ドア2aにおける上下方向の中途部に、剛体Yが外方から内方に向けて衝突する。すると、第1支持手段4aのローラ42がレール41に当接していると共に、第1ドア2aの被案内部22が第1案内部71に当接しているため、図11に示すように、第1ドア2aの外側の面が凹状となるように、第1ドア2aが変形する。
【0055】
それに伴って、ローラ42がレール41と当接する下部を基点として揺動する。具体的には、ローラ42は、上部が外方に傾くようにして、揺動する。これにより、ローラ42の外側の上部が第1脱落防止具61aの側方規制部611に当接する(図11において当接箇所を点Aで示している)ため、ローラ42の上部が所定角度以上外方に傾くことを規制できる。
【0056】
その後、ローラ42がレール41から上方に離反するように跳ね上がるため、図12に示すように、ローラ42の内側の上部が第1脱落防止具61aの上方規制部612に当接する(図12において当接箇所を点Bで示している)。これにより、ローラ42が上方に所定距離以上跳ねることを規制できる。このとき、第1ドア2aは、弾性変形による変形を復元する。
【0057】
そして、ローラ42が第1ドア2a等の自重によりレール41上に戻ると、第1ドア2aは、塑性変形した状態で、支持されている。具体的には、ローラ42がレール41上に載置されていると共に、被案内部22が第1案内部71に挿入されている。このようにして、第1脱落防止具61aは、第1ドア2aが脱落することを防止する。
【0058】
以上より、本実施形態に係るエレベータドア装置1によれば、各ドア2が閉塞位置に位置している状態で、各脱落防止具61の側方規制部611がローラ42とプレート部31との間に配置されているため、ローラ42が側方に揺動する場合に、側方規制部611がローラ42の側方と当接する。したがって、ローラ42が側方に揺動することを規制できるため、各ドア2が脱落することを防止できる。
【0059】
また、本実施形態に係るエレベータドア装置1によれば、ローラ42とプレート部31とが対面する方向において、側方規制部611がローラ42の上部と重なるように配置されている。したがって、ローラが下部(レールと当接する部分)を基点にして側方に揺動する場合に、側方規制部がローラの側方の上部と当接するため、ローラが側方に揺動することを確実に規制できる。
【0060】
また、本実施形態に係るエレベータドア装置1によれば、各ドア2が閉塞位置に位置している状態で、各脱落防止具61の上方規制部612がローラ42の上方に配置されている。これにより、ローラ42がレール41から上方に離反する場合に、上方規制部612がローラ42の上部と当接するため、ローラ42がレール41から上方に離反することを規制できる。
【0061】
なお、本発明に係るエレベータドア装置及びエレベータドア脱落防止装置は、上記した実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。また、下記する各種の変更例に係る構成や方法等を任意に選択して、上記した実施形態に係る構成や方法等に採用してもよいことは勿論である。
【0062】
例えば、上記実施形態に係るエレベータドア装置1において、一対のドア2,2が同じ方向に移動することで出入口X3を開閉する構成を説明したが、斯かる構成に限られない。具体的には、図14に示すように、エレベータドア装置10は、一対のドア2,2が反対方向に移動することで出入口を開閉する構成でもよい。斯かるエレベータドア装置10は、一般的に、「センターオープン」タイプと呼ばれる。
【0063】
図14に示すエレベータドア装置10によれば、レール41上を転動するローラ42,42とドア2とを接続する接続体43,43が、同期手段(図14において図示していない)に連結されることにより、一対のドア2,2が同期して移動する。そして、一対のドア2,2が離反することで出入口を開放すると共に、一対のドア2,2が接近することで出入口を閉塞する。
【0064】
また、図14に示すエレベータドア脱落防止装置60は、各ドア2に一対設けられるローラ42,42に対応して一対並列される脱落防止具61,61を備えている。そして、各脱落防止具61は、図14に示すように、ドア2が閉塞位置に位置している状態で、ローラ42が側方に揺動することを規制すべく、フレーム3のプレート部31とローラ42との間に配置される側方規制部611と、ローラ42がレール41から上方に離反することを規制すべく、ローラ42の上方に配置される上方規制部とを備えている。
【0065】
また、上記実施形態に係るエレベータ装置1において、接続体43がレール41の内方に配置される構成を説明したが、斯かる構成に限られない。例えば、接続体は、レール41の外方に配置されると共に、ローラ42とドア2とを接続する構成でもよい。
【0066】
また、上記実施形態に係るエレベータ装置1において、各ドア2に、ローラ42,42が一対設けられる構成を説明したが、斯かる構成に限られない。例えば、ローラは、一つのドアに対して、一つ設けられる構成でもよく、また、三つ以上設けられる構成でもよい。
【0067】
また、上記実施形態に係るエレベータ装置1において、ドア2,2が一対設けられる構成を説明したが、斯かる構成に限られない。例えば、エレベータ装置は、ドアを一つ備える構成でもよく、三つ以上備える構成でもよい。
【0068】
また、上記実施形態に係るエレベータ装置1及びエレベータドア脱落防止装置6において、脱落防止具61,…がローラ42,…と同数設けられる構成を説明したが、斯かる構成に限られない。例えば、脱落防止具は、所定のローラ42のみに対応して配設される構成でもよく、また、図15に示すように、脱落防止具610,610は、長尺に形成されると共に、一対のローラ42,42に跨って配設される構成でもよい。
【0069】
図15に示すエレベータドア脱落防止装置600は、各ドア2に一対設けられるローラ42,42に対して一つの脱落防止具610を備えている。そして、各脱落防止具610は、図15に示すように、ドア2が閉塞位置に位置している状態で、各ローラ42が側方に揺動することを規制すべく、フレーム3のプレート部31と各ローラ42との間に配置される側方規制部613と、各ローラ42がレール41から上方に離反することを規制すべく、各ローラ42の上方に配置される上方規制部614とを備えている。
【0070】
また、上記実施形態に係るエレベータ装置1及びエレベータドア脱落防止装置6において、側方規制部611は、各ローラ42が閉塞位置に位置する状態で、ローラ42とプレート部31との間に配置される構成を説明したが、斯かる構成に限られない。例えば、図15に示すように、側方規制部613は、開放位置及び閉塞位置間に位置する状態でも(即ち、開放位置及び閉塞位置間で移動する際にも)、ローラ42とプレート部31との間に配置されるように、各ドア2が移動する方向に沿って長尺に形成される構成でもよい。
【0071】
また、上記実施形態に係るエレベータ装置1及びエレベータドア脱落防止装置6において、上方規制部612は、各ローラ42が閉塞位置に位置する状態で、ローラ42の上方に配置される構成を説明したが、斯かる構成に限られない。例えば、図15に示すように、上方規制部614は、開放位置及び閉塞位置間に位置する状態でも(即ち、開放位置及び閉塞位置間で移動する際にも)、ローラ42の上方に配置されるように、各ドア2が移動する方向に沿って長尺に形成される構成でもよい。
【0072】
また、上記実施形態に係るエレベータ装置1及びエレベータドア脱落防止装置6において、側方規制部611及び上方規制部612が一体的に形成される、即ち、一つの部材(脱落防止具61)である構成を説明したが、斯かる構成に限られない。例えば、側方規制部と上方規制部とは、それぞれ別部材である構成でもよい。
【0073】
また、上記実施形態に係るエレベータ装置1及びエレベータドア脱落防止装置6において、側方規制部611がプレート部31又はレール41に固定され、ドア2が移動することに伴って、ローラ42が側方規制部611に対して変位する構成を説明したが、斯かる構成に限られない。例えば、側方規制部は、ローラ42に固定される構成でもよい。
【符号の説明】
【0074】
1,10…エレベータドア装置、2…エレベータドア(ドア、乗場ドア)、3…フレーム、4…支持手段、5…同期手段、6,60,600…エレベータドア脱落防止装置、7…案内手段、8…保持手段、31…プレート部、41…レール、42…ローラ、43…接続体、61,610…脱落防止具、611,613…側方規制部、612,614…上方規制部、X…昇降路用構造体、X1…昇降路、X2…乗場、X3…出入口、X4…内壁
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15