(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5765657
(24)【登録日】2015年6月26日
(45)【発行日】2015年8月19日
(54)【発明の名称】ブロー成形装置
(51)【国際特許分類】
B29C 49/58 20060101AFI20150730BHJP
B29C 49/06 20060101ALI20150730BHJP
B29C 49/46 20060101ALI20150730BHJP
B29C 49/42 20060101ALI20150730BHJP
【FI】
B29C49/58
B29C49/06
B29C49/46
B29C49/42
【請求項の数】4
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2012-19016(P2012-19016)
(22)【出願日】2012年1月31日
(65)【公開番号】特開2013-154617(P2013-154617A)
(43)【公開日】2013年8月15日
【審査請求日】2014年8月29日
(73)【特許権者】
【識別番号】000006909
【氏名又は名称】株式会社吉野工業所
(74)【代理人】
【識別番号】100076598
【弁理士】
【氏名又は名称】渡辺 一豊
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 澄人
(72)【発明者】
【氏名】田村 信之
(72)【発明者】
【氏名】永嶋 猛
【審査官】
阿川 寛樹
(56)【参考文献】
【文献】
特表2011−527246(JP,A)
【文献】
特表2013−541448(JP,A)
【文献】
国際公開第2005/044540(WO,A1)
【文献】
特表2008−546569(JP,A)
【文献】
特開昭56−13142(JP,A)
【文献】
特表2011−506130(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B29C 49/00−49/80
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ブロー成形用の金型(1)と、有底筒状のプリフォーム(31)を金型(1)に装着した状態で該プリフォーム(31)の口筒部(32)に密に嵌合するブローノズル(4)を有し、また加圧液体供給部(22)を配設し、該加圧液体供給部(22)から加圧した液体(L)を、前記ブローノズル(4)を介してプリフォーム(31)内に供給し、金型(1)のキャビティに沿って膨張状に容器(41)を賦形するブロー成形装置であって、
前記ブローノズル(4)内の液体(L)の供給路(Fs)の下流側端部に該供給路(Fs)の開閉が可能にバルブ機構(Vm)を配設し、前記バルブ機構(Vm)の閉状態で供給路(Fs)と加圧液体供給部(22)で液体(L)の循環が可能に、また開状態で供給路(Fs)を経てプリフォーム(31)内に加圧した液体(L)の供給が可能に構成したブロー成形装置。
【請求項2】
加圧液体供給部(22)に所定の温度に調整して液体(L)を供給する液体循環部(23)を配設し、供給路(Fs)は、ブローノズル(4)の該供給路(Fs)の上流側端部に配設される導入路(6a)を介して加圧液体供給部(22)と開閉可能に連通し、下流側端部でバルブ機構(Vm)の上流側位置に配設される排出路(6b)を介して開閉可能に液体循環部(23)に連通するものとし、前記バルブ機構(Vm)の閉状態で、前記液体循環部(23)を介して、供給路(Fs)と加圧液体供給部(22)の間で液体(L)の循環が可能に構成した請求項1記載のブロー成形装置。
【請求項3】
ブローノズル(4)に、該ブローノズル(4)の軸方向に移動可能に棒状のシールピン(9)を挿通、配設し、該シールピン(9)の先端部の、ブローノズル(4)の内周面に配設したシール段部(6s)への当接により供給路(Fs)を閉状態とすることが可能に構成し、該シールピン(9)の先端部のシール段部(6s)への当接と脱当接によりバルブ機構(Vm)を構成した請求項1または2記載のブロー成形装置。
【請求項4】
筒棒状の軸体(9a)に液密状に摺動可能にロッド(8) を挿通してシールピン(9)とした請求項3記載のブロー成形装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、加圧流体として液体を使用する合成樹脂製プリフォームのブロー成形装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
ポリエチレンテレフタレート(PET)樹脂製のブロー成形壜体(所謂、ペットボトル)が、数多くの優れた特性を発揮することから、壜体容器として多方面で使用されている。
この種の容器は、有底筒状に射出成形されたプリフォームを、延伸効果を発現させることのできる温度に加熱した状態で、膨張状に延伸変形させて成形されるのが一般的である。
【0003】
すなわち、
図5(文献1の
図12に相当する。)に示すように、延伸効果が発現する温度に加熱されたプリフォーム31を、口筒部32を上方に突き出させ、プリフォーム31の口筒部32の外周面下端に一体周設したネックリング33をネック支持鍔部103に係止させた状態でブロー金型101に装着し、
ブローノズル104の先端部であるガイド筒部110をプリフォーム31の口筒部32に緩く嵌入した状態で、
ブローノズル104の中央に貫通形成された挿通孔111を通して挿通される延伸ロッド108により軸方向に延伸すると共に、挿通孔111を通して加圧流体であるブローエアにより径方向に延伸して、壜体41への成形を達成する。
【0004】
また、特許文献2には加圧流体としてブローエアの替わりに液体を使用してプリフォームをブロー成形する方法に係る発明が記載されている。
このような成形方法では、液体として、飲料、化粧品、薬品等の最終的に製品に充填される内容液を使用すれば、充填工程を省略することができ生産ラインを簡略化することが可能となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2003−251685号公報
【特許文献2】特開2000−43129号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献2に記載される、加圧流体として液体を使用するブロー成形では、プリフォームの口筒部を除く部分を延伸状のブロー成形に適した温度に予備加熱し、加圧した液体をプリフォーム内に供給し、膨張状に延伸して容器を賦形するが、液体の場合には気体に比較してプリフォームとの熱伝導が大きく、この液体の温度によってプリフォームの温度が大きく変化するため、プリフォーム内に供給する液体の温度を高い精度で制御する必要がある。
ここで、供給する液体の温度にばらつきがあると、この液体の温度によって延伸されるプリフォームの温度が変化して延伸性が変化するため、容器の強度や耐熱性等の性能にばらつきが生じる、十分な賦形性が得られない等の問題が発生する場合がある。
【0007】
図6は加圧流体としてブローエアの替わりに液体を使用してプリフォームをブロー成形する、従来のブロー成形装置の概略説明図である。
この装置の主部Aは金型1とブローノズル104を有し、主要部Aに隣接して加圧流体を供給するための付属設備として加圧液体供給部122と液体循環装部123を配置している。
【0008】
加圧液体供給部122はプランジャーポンプ状で、加圧ポンプやコンプレッサー等の加圧装置121から配管P1を介して供給される加圧流体Fpを動力源として作動し、加圧した液体Lを配管P2、電磁バルブV101を介してブローノズル104を経て、ブローノズル104の先端部に密に外嵌するプリフォーム31の内部に供給し、プリフォーム31を金型1のキャビティ形状に沿って膨張状に延伸し、容器41を賦形する。
【0009】
液体循環装置123は、配管R102と配管R103を介して液体Lを循環しながら、また配管R101から液体Lを新たに補給しながら、所定の温度に調整した液体Lを加圧液体供給部122に供給するが、
加圧した液体Lは上記したように配管P2、ブローノズル104を経てプリフォー31の内部に供給されるため、その温度が、装置が配置されている現場の室温や成形ショット数等の多くの要因により変化してしまう。
また、ブロー成形は、(1)プリフォーム31を金型1にセットする工程、(2)ブローノズル104をプリフォーム31の口筒部32に嵌合する工程、(3)加圧した液体Lを、ブローノズル104を経てプリフォー31の内部に供給し容器41を賦形する工程、(4)ブローノズル104をプリフォー31の口筒部32から脱嵌合する工程、(5)金型1を型開きして容器41を取り出す工程、と云うように多く工程有するが、
この中、液体Lは(3)の工程で初めてブローノズル内に導入され、直ぐにプリフォーム31あるいは容器41内に排出されることも相俟って、プリフォーム31の内部に供給される液体Lの温度を一定に保持することは現実の生産上、難しい技術的事項であった。
【0010】
そこで、本発明は加圧流体として液体を使用するブロー成形装置において、プリフォームを膨張状に延伸するためにプリフォーム内に供給する液体の温度を、高精度に制御することを技術的課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決するための本発明主たる構成は、
ブロー成形用の金型と、有底筒状のプリフォームを金型に装着した状態でプリフォームの口筒部に密に嵌合するブローノズルを有し、また加圧液体供給部を配設し、この加圧液体供給部から加圧した液体を、ブローノズルを介してプリフォーム内に供給し、金型のキャビティに沿って膨張状に容器を賦形するブロー成形装置において、
ブローノズル内の液体の供給路の下流側端部にこの供給路の開閉が可能にバルブ機構を配設し、
このバルブ機構の閉状態で供給路と加圧液体供給部で液体の循環が可能に、また開状態で供給路を経てプリフォーム内に加圧した液体の供給が可能に構成する、と云うものである。
【0012】
上記構成の装置によれば、プリフォームを金型へセットする工程から成形した容器を金型から取り外す工程に至るブロー成形の全工程のうち、
加圧した液体を、供給路を経てプリフォーの内部に供給し容器を賦形する工程を除いた他の工程で、加圧流体として使用する液体を常時、あるいは必要に応じて供給路と加圧液体供給部との間で循環させて所定の温度に調整することができ、
容器を賦形するためにプリフォーム内に供給する液体の温度を高い精度で制御することでき、容器の賦形を一定の温度条件で安定して達成することができ、前述した容器の強度や耐熱性等の性能にばらつきが生じる、十分な賦形性が得られない等の問題を、生産性を損なうことなく効果的に解決することができる。
【0013】
ここで、バルブ機構を、ブローノズル内に形成されるプリフォーム内に連通する供給路の下流側端部に配設することにより、この供給路に滞留する液体の大部分を循環して温度を調整することができ、液体の温度を所定の温度に高い精度で保持することができる。
【0014】
本発明の他の構成は、上記主たる構成において、加圧液体供給部に所定の温度に調整して液体を供給する液体循環部を配設し、
供給路は、ブローノズルの、供給路の上流側端部に配設される導入路を介して加圧液体供給部と開閉可能に連通し、下流側端部でバルブ機構の上流側位置に配設される排出路を介して開閉可能に液体循環部に連通するものとし、
バルブ機構の閉状態で、液体循環部を介して供給路と加圧液体供給部の間で液体の循環が可能に構成する、と云うものであり、
供給路と加圧液体供給部の間で液体を循環するための構成に関するものである。
【0015】
本発明のさらに他の構成は、上記主たる構成において、
ローノズルに、このブローノズルの軸方向に移動可能に棒状のシールピンを挿通、配設し、このシールピンの先端部の、ブローノズルの内周面に配設したシール段部への当接により供給路を閉状態とすることが可能に構成し、
このシールピンの先端部のシール段部への当接と脱当接によりバルブ機構を構成する、と云うものである。
【0016】
上記構成は、ブローノズル内の供給路の開閉をするバルブ機構に関するものであり、ブローノズルの軸方向に移動可能に挿通、配設した棒状のシールピンの移動動作により、供給路を容易に開閉することができる。
【0017】
本発明のさらに他の構成は、上記構成において、筒棒状の軸体に液密状に摺動可能にロッドを挿通してシールピンとする、と云うものである。
【0018】
棒筒状の軸体に液密状に摺動可能に挿通するロッドは、軸体の移動動作とは別のモードで移動動作させることができ、このロッドはブロー成形に加圧流体として使用した液体を、賦形と同時に製品として充填した容器におけるヘッドスペースを、所定の量に制御するための部材として利用することができる。
また、プリフォームを縦延伸するための延伸ロッドとしても利用できる。
【発明の効果】
【0019】
本発明のブロー成形装置は、上記した構成となっており、
本発明の主たる構成を有する装置によれば、プリフォームを金型へセットする工程から成形した容器を金型からの取り外す工程に至るブロー成形の全工程のうち、加圧した液体を、供給路を経てプリフォームの内部に供給し容器を賦形する工程を除いた他の工程で、加圧流体として使用する液体を常時、あるいは必要に応じて供給路と加圧液体供給部との間で循環させて所定の温度に調整することができ、
容器を賦形するためにプリフォーム内に供給する液体の温度を高い精度で制御することでき、容器の賦形を一定の温度条件で安定して達成することができ、容器の強度や耐熱性等の性能にばらつきが生じる、十分な賦形性が得られない等の問題を、生産性を損なうことなく効果的に解決することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】本発明のブロー成形装置の全体的な構成の一例を示す概略説明図である。
【
図2】
図1の装置の主部の下半部を拡大した断面図である。
【
図3】
図1の装置による成形工程のうち、加圧した液体によりプリフォームを膨張状に延伸して容器を賦形した状態を示す断面図である。
【
図4】
図1の装置による成形工程のうち、
図3の状態からロッドを脱挿入した状態を示す断面図である。
【
図5】従来のブローエアによるブロー成形装置の一例の要部を示す断面図である。
【
図6】加圧液体によるブロー成形装置の従来例を示す概略説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の実施形態を実施例に沿って図面を参照しながら説明する。
1〜4は本発明のブロー成形装置の一実施例、さらにはこの装置を使用したブロー成形方法を説明するためのものである。
まず、
図1と
図2を参照しながら装置の全体的な構成を説明するが、
図1は本発明のブロー成形装置の全体的な構成の一例を示す概略説明図であり、
図2は
図1中、縦断面で示される装置の主部の下半部を拡大した断面図で、主部の細かい構成部位については
図2を参照する。
【0022】
図1は、金型1にプリフォーム31を装着し、ブローノズル4の先端をこのプリフォーム31の口筒部32に嵌入した状態を示している。
使用するプリフォーム31の形状は全体として有底円筒の試験管状で、上端部に口筒部32を起立設し、この口筒部32の下端部にはネックリング33が配設されており、口筒部32を外部に(
図1、2中では上方に)突出させた状態で金型1内に装着されている。
【0023】
この装置の主部は金型1、隔壁部材11、ブローノズル4を有し、付属設備として加圧装置21、加圧液体供給部22、液体循環部23を配置している。
隔壁部材11は、
図2に示されるように金型1の上方に突出したプリフォーム31の口筒部32の外周面を、空間Sを介して囲繞するように金型1の上方に配設されている。
また、隔壁部材11には必要に応じて空間Sに加圧気体を供給するための通気孔13が配設されている。
また隔壁部材11の下端部に周設した支持鍔片12をプリフォーム31のネックリング33に上方から密に当接させて、プリフォーム31の装着姿勢を保持するようにしている。
【0024】
ブローノズル4は全体として筒状で、シール部材7bにより密に連結される嵌入筒片5と供給筒部6から構成されている。
嵌入筒片5は、内部に円柱状の中空部を有し、
図2に示されるように外周壁には先端に向かって縮径する周段部5aが周設されており、円筒状の先端部がプリフォーム31の口筒部32に嵌入し、周段部5aと口筒部32の上端面のシール部材(Oリング)7aを介した当接により、ブローノズル4と口筒部32が密に連通状に連結するようにしている。
【0025】
供給筒部6は全体として内部が円柱状の中空部を有する部材で、
図1に示されるように、上端部に周壁を貫通して液体Lの導入路6aが配設されており、下端部近傍には同じく周壁を貫通して液体Lの排出路6bが配設されている。
また、この排出路6bのさらに下方、供給筒部6の下端部の内周面には下方に向かって縮径状に傾斜したシール段部6sが周設されている。
また、このシール段部6sの下には供給筒部6の外部と内部を連通するための通気孔6cが配設されている。
【0026】
また、上記のように嵌入筒片5と供給筒部6から構成されるブローノズル4の中には、軸方向(
図1中では上下方向)に細長い棒状のシールピン9が挿通、配設されている。
ここで、シールピン9は、細長い円筒棒状の軸体9aに液密状に摺動可能に細長い円柱状のロッド8を挿通したものであり、軸体9aの先端部には、短円筒状のシール筒片9tが同軸心状に嵌合組み付けされている。そして、このシール筒片9tの下端面の外周縁部は角取りしてテーパー縁部9taとなっている。
【0027】
また、ブローノズル4とこのシールピン9によりブローノズル4内に、このブローノズル4の軸方向に沿って、プリフォーム31内に連通する円筒状の供給路Fsが形成され、
シールピン9を下降変位させることにより
図1、2に示されるようにシール筒片9tのテーパー縁部9taが供給筒部6の下端部の内周面に周設されるシール段部6sに当接して供給路Fsのプリフォーム内部への連通を閉状態とすることができ、またシールピン9を
図3に示されるように上昇変位させることにより開状態とすることができ、このテーパー縁部9taのシール段部6sへの当接と、脱当接によりバルブ機構Vmが構成される。
ここで、前述した導入路6aは供給路Fsの上流側端部に位置し、排出路6bは供給路Fsの下流側端部で上記シール段部6sの上流側直近に位置する。
【0028】
また、ロッド8は後述するようにブロー成形に加圧流体として使用した液体Lを賦形と同時に製品として充填した容器におけるヘッドスペースを所定の量に制御する機能を発揮させるためのものである。
また、ロッド8を、プリフォーム31を縦延伸するための延伸ロッドとして利用することもできる。
【0029】
次に、付属設備についてみると、
加圧装置21、加圧液体供給部22、液体循環部23が配設されているが、加圧装置21は、従来からブロー成形では必須の設備であり、加圧ポンプやコンプレッサー等の大型の設備であり、この加圧装置21から配管P1を介して供給される加圧流体Fpが、加圧した液体Lを供給するプランジャーポンプ状の加圧液体供給部22の動力源となる。
勿論、加圧液体供給部22には、図示したプランジャー等ポンプ状のものの他にも2部屋を有するピストン内蔵のシリンダー等のものを使用することができる。
【0030】
また、液体循環部23は、液体Lを配管R1から新たに補給しながら所定の温度に調整して配管R2により加圧液体供給部22に供給すると共に、液体Lを、所定の温度に調整しながら加圧液体供給部22とブローノズル4内の供給路Fsとの間を循環させる機能を有する。
すなわち、液体Lを必要に応じて、供給路Fs→排出路6b→配管R3→液体循環部23→配管R2→加圧液体供給部22→配管P2→導入路6a→供給路Fsと云うように構成される循環路CRを循環させることができる。
【0031】
そして、循環路CRには、ブロー成形の工程に沿って、必要に応じて流路を開閉するバルブが多数配設されているが、
図1中には4つの電磁式のバルブV1、V2、V3、V4を示している。
【0032】
次に、
図1〜4を参照しながら、上記説明したブロー成形装置を使用した合成樹脂製容器の製造方法、すなわちブロー成形方法について説明する。
ブロー成形は次の(1)〜(6)に記載した工程を順次、実施する。
(1)まず、口筒部32を除く部分をブロー成形に適した温度に加熱したプリフォーム31を、口筒部32を上方に突出させた状態でブロー成形用の金型1に装着し、型締めする。
【0033】
(2)次に、組付け固定した隔壁部材11とブローノズル4を口筒部31の上方から下降させ、嵌合筒片5の先端部を口筒部32に嵌入し
図1、2に示す状態とする。
ここで、シールピン9の先端部を構成するシール筒片9tのテーパー縁部9taは供給筒部6のシール段部6sに当接させてバルブ機構Vmを閉状態とし、さらにロッド8を下降変位させてその先端部を所定の長さ分、プリフォーム31内に挿入した状態としている。
また、バルブV1、V2、V3はいずれも開状態とし、液体Lは、液体循環部23で温度調整されながら前述した循環路CRを循環している。
【0034】
(3)次に、
図1の状態から
図3に示されるようにシールピン9を構成する軸体9aに伴ってシール筒片9tを上昇変位させてバルブ機構Vmを開状態とし、バルブV1、V2、V3を閉状態として、循環路CRに沿った液体Lの循環を停止し、
加圧液体供給部22の加圧機能を作動させて加圧した液体Lを供給路Fsから口筒部32を経てプリフォーム31の内部に供給し、プリフォーム31を膨張状に延伸し、金型1のキャビティ2に沿って容器41を賦形する。
この工程で、液体Lの圧力により口筒部32が拡径変形するような場合には、配管P3を介して隔壁部材11に配設した通気孔13から加圧気体を隔壁部材11内に導入し、口筒部32の外周面を囲繞する空間Sを加圧することにより、このような拡径変形を効果的に抑制することができる。
【0035】
(4)次に、上記のように容器41が賦形され後に、
図4に示されるように軸体9aを下降変位させてバルブ機構Vmを閉状態とし、バルブV1、V2、V3を開状態として、液体Lを再び循環路CRに沿って循環させる。
(5)(4)の工程と同時に、あるいは少し送れて、
図4に示されるようにロッド8の先端部を容器41内から脱挿入する。
ここで、ロッド8の先端部の脱挿入に伴って、バブル機構Vmより下方の供給路Fsに残存する液体Lは全て容器41内に流入し、さらに容器41内で液面Lsが下降し、
図4に示されるように予め設定した所定のヘッドスペースHsに調整することができる。
また、ロッド8の先端部の脱挿入動作の際に、容器41内が減圧状態になり容器41が減容状に変形する場合には、ブローノズル4の供給筒部6に配設した吸気孔6cをバルブV4により開状態とすることにより、容器41内の減圧状態を緩和することができ、上記のような容器41の変形を効果的に防ぐことができる。
【0036】
(6)そして、図示は省略しているが、ブローノズル4と容器41の口筒部31を脱嵌合し、さらに金型1を型開きして液体Lが充填した容器41を取り出し、口筒部32をキャップでシールし製品とする
【0037】
ここで、上記説明したブロー装置、あるいはこの装置を使用した成形方法では、加圧した液体Lでプリフォーム31を膨張状に延伸して容器41を賦形、成形する例を説明したが、
ロッド8を、プリフォーム31を縦延伸するための延伸ロッドとして利用し、このロッド8による縦延伸と加圧した液体Lによる膨張状の延伸を合わせた、所謂、2軸延伸ブロー成形を実施することもできる。
【0038】
以上、実施例に沿って本発明のブロー成形装置の実施形態について説明したが、勿論、本発明は上記した実施例に限定されるものではない。
たとえば、上記実施例ではテーパー縁部9taのシール段部6sへの当接と、脱当接によりバルブ機構Vmを構成した例を説明したが、シール性や、開閉に係る操作性等を考慮して、さまざまな態様のバルブ機構を採用することができる。
また、上記実施例ではロッド8を利用して容器41における充填液体のヘッドスペースHsの調整する構成としたが、使用目的に応じてロッド8のない構成とすることもできる。
【産業上の利用可能性】
【0039】
以上説明したように、本発明の加圧液体を使用するブロー成形装置は、プリフォーム内に供給する液体の温度を、生産性を損なうことなく高い精度で制御することできるものであり、成形される容器の品質の向上、また生産性の向上の観点から加圧液体を使用するブロー成形の分野での幅広い利用展開が期待される。
【符号の説明】
【0040】
1 ;金型
2 ;キャビティ
4 ;ブローノズル
5 ;嵌入筒片
5a;周段部
6 ;供給筒部
6a;導入路
6b;排出路
6c;通気孔
6s;シール段部
7a、7b;シール部材
8 ;ロッド
9 ;シールピン
9a;軸体
9t;シール筒片
9ta;テーパー縁部
11;隔壁部材
12;支持鍔片
13;通気孔
21;加圧装置
22;加圧液体供給部
23;液体循環部
CR;循環路
Fs;供給路
Hs;ヘッドスペース
L ;液体
Ls:液面
P1、P2、P3;配管
R1、R2;配管
S ;空間
V1、V2、V3、V4;バルブ
Vm;バルブ機構
31;プリフォーム
32;口筒部
33;ネックリング
41;容器
101;金型
103;ネック支持鍔部
104;ブローノズル
108;ロッド
110;ガイド筒部
111;挿通孔
R101、R102、R103;配管
V101;バルブ