(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5765723
(24)【登録日】2015年6月26日
(45)【発行日】2015年8月19日
(54)【発明の名称】フロントガラス用ワイパー装置
(51)【国際特許分類】
B60S 1/38 20060101AFI20150730BHJP
【FI】
B60S1/38 B
【請求項の数】3
【外国語出願】
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2010-57951(P2010-57951)
(22)【出願日】2010年3月15日
(65)【公開番号】特開2010-235112(P2010-235112A)
(43)【公開日】2010年10月21日
【審査請求日】2013年2月25日
(31)【優先権主張番号】09156718.0
(32)【優先日】2009年3月30日
(33)【優先権主張国】EP
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】507412128
【氏名又は名称】フェデラル−モグル エス.エー.
【氏名又は名称原語表記】FEDERAL−MOGUL.S.A.
(74)【代理人】
【識別番号】100078776
【弁理士】
【氏名又は名称】安形 雄三
(72)【発明者】
【氏名】ボランド ザビエル
【審査官】
粟倉 裕二
(56)【参考文献】
【文献】
特開平11−011261(JP,A)
【文献】
独国特許出願公開第102005054142(DE,A1)
【文献】
特表2001−505843(JP,A)
【文献】
英国特許出願公開第02005532(GB,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60S 1/00−60
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
弾力性がある縦長なキャリア要素と、可撓性素材の縦長なワイパーブレードとを備え、前記ワイパーブレードが拭取対象であるフロントガラスに隣接して配設可能なワイピング要素を具備し、前記ワイパーブレードが中央縦溝を含み、該溝にはキャリア要素の縦片部材が配されているフロントガラス用ワイパー装置であって、揺動アーム用の連結具を備え、該揺動アームが前記連結具にその一端付近の枢軸を介して枢動可能に連結されているフロントガラス用ワイパー装置において、
前記ワイピング要素は、前記ワイパーブレードの前記縦片部材によって加えられた圧力により、少なくとも拭取対象であるフロントガラスに対して略垂直な方向に移動可能であり、
前記溝は、前記縦片部材と前記溝の底部とによって画定される縦空洞を形成するために、前記縦片部材から見て下方に延びており、
前記底部は、可塑性を有しており、
前記ワイピング要素は、前記溝の底部の弾力性に起因して、払拭される前記フロントガラスの曲率の差を補償するために、前記ワイパーブレードの前記縦片部材によって加えられた圧力により、拭取対象である前記フロントガラスに対して垂直な方向に移動可能であり、
前記ワイピング要素は、前記縦片部材から見て外方に向けられた第1位置と、前記縦片部材に向けられた第2位置との間で弾性を有しており、
前記溝は、前記縦片部材と前記溝の上面とによって画定される縦空洞を形成するために、前記縦片部材から見て上方に延びており、
前記底部は、前記ワイピング要素の対向面に係止面を備え、該係止面は、前記第2位置におけるワイピング要素の揺動を制限していることを特徴とするフロントガラス用ワイパー装置。
【請求項2】
前記ワイピング要素は、前記ワイパーブレードの前記縦片部材によって圧力Aが加えられた状態では第1位置にあり、前記ワイパーブレードの前記縦片部材によって圧力Bが加えられた状態では第2位置にあり、かつ、前記圧力Aは前記圧力Bより小さい請求項1に記載のフロントガラス用ワイパー装置。
【請求項3】
前記ワイパーブレードは、拭取対象であるフロントガラスから見て外側を向いた側にスポイラーを備えている請求項1又は2に記載のフロントガラス用ワイパー装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
弾力性がある縦長なキャリア要素と、可撓性素材の縦長なワイパーブレードとを備え、ワイパーブレードが拭取対象であるフロントガラスに隣接して配設可能なワイピング要素を具備し、ワイパーブレードが中央縦溝を含み、該溝にはキャリア要素の縦片部材が配されているフロントガラス用ワイパー装置であって、揺動アーム用の連結具を備え、該揺動アームが連結具にその一端付近の枢軸を介して枢動可能に連結されているフロントガラス用ワイパー装置に関する。
【背景技術】
【0002】
このようなフロントガラス用ワイパー装置は、一般的に周知である。この従来のフロントガラス用ワイパー装置は、いわゆる『ヨーク無し(yokeless)』または『フラットブレード』として執筆され、互いを枢動可能に連結する複数のヨークを適用することなく、ワイパーブレードがキャリア要素によって付勢され、これによりワイパーブレードに所定の湾曲が生じるようになっている。
【発明の概要】
【0003】
本発明の目的は、改良されたフロントガラス用ワイパー装置を提供することである。
【0004】
上記目的を達成するために、本発明に係る序論で言及された種類のフロントガラス用ワイパー装置は、前記ワイピング要素が、ワイパーブレードの縦片部材によって加えられた圧力により、少なくとも拭取対象であるフロントガラスに対して略垂直な方向に移動可能であることを特徴としている。第一の効果として、本フロントガラス用ワイパー装置は、曲面が互いに異なっている多種多様な拭取対象のフロントガラスに適用することができ、これは拭取対象のフロントガラスに対して垂直な前記ワイピング要素の位置変動が、それらの曲面の差異を補償するためである。また、第二の効果として、これにより、フロントガラス形状の許容差を補償することができる。
【0005】
本発明に係るフロントガラス用ワイパー装置の好ましい実施形態では、前記ワイピング要素が前記縦片部材から見て外方に向けられた第1位置と、前記縦片部材に向けられた第2位置との間で弾性を有している。特に、前記ワイパーブレードの前記縦片部材によって圧力Aが加えられた状態では前記ワイピング要素が第1位置にあり、前記ワイパーブレードの前記縦片部材によって圧力Bが加えられた状態では前記ワイピング要素が第2位置にあり、前記圧力Aは前記圧力Bより小さくなっている。
【0006】
また、本発明に係るフロントガラス用ワイパー装置
の好ましい実施形態では、前記溝が、前記縦片部材と前記溝の底部とによって画定される縦空洞を形成するために、前記縦片部材から見て下方に延びている。
【0007】
また、本発明に係るフロントガラス用ワイパー装置の別の好ましい実施形態では、前記底部が可塑性を有している。望ましくは、前記底部が前記ワイピング要素の対向面に係止面を備え、該係止面が前記第2位置における前記ワイピング要素の揺動を制限している。これによる効果は、前記揺動中の前記ワイピング要素のいわゆる『反転騒音(reversal noise)』を低減できることである。
【0008】
また、本発明に係るフロントガラス用ワイパー装置の別の好ましい実施形態では、前記溝が、前記縦片部材と前記溝の上面とによって画定される縦空洞を形成するために、前記縦片部材から見て上方に延びている
【0009】
さらに、本発明に係るフロントガラス用ワイパー装置の別の好ましい実施形態では、前記ワイパーブレードが、拭取対象であるフロントガラスから見て外側を向いた側にスポイラーを備えている。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】
図1は、本発明に係るフロントガラス用ワイパー装置の実施形態の概略斜視図である。
【
図2】
図1のフロントガラス用ワイパー装置に適用された際のワイパーブレードを示す断面図である。
【
図3】
図1のフロントガラス用ワイパー装置に適用された際のワイパーブレードを示す断面図である。
【
図4】
図1のフロントガラス用ワイパー装置に適用された際のワイパーブレードを示す断面図である。
【
図5】
図1のフロントガラス用ワイパー装置に適用された際のワイパーブレードを示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面に示された図を参照にしながら、本発明について詳細に説明する。
図1は、本発明に係るフロントガラス用ワイパー装置の実施形態の概略斜視図であり、揺動アームを備えた状態(A)と、揺動アームを備えていない状態(B)とをそれぞれ示している。
図2ないし5は、
図1のフロントガラス用ワイパー装置に適用された際のワイパーブレードの断面を示している。
【0012】
図1は、本発明に係るフロントガラス用ワイパー装置1の好ましい改良例を示す。このフロントガラス用ワイパー装置1は、中央または中心縦溝3を含む弾性ワイパーブレード2を具備し、中央または中心縦溝3にはバネ帯鋼製の縦片部材4が嵌め込まれている(
図2ないし
図5を参照)。片部材4は、ゴム製ワイパーブレード2用の可撓性のキャリア要素を形成し、言うなれば、これは湾曲した状態で付勢される(動作状態における湾曲は、拭取対象であるフロントガラスの湾曲になっている)。片部材4の端部は、フロントガラス用ワイパー装置1の両側でそれぞれ連結部品または『端部キャップ』5に連結されている。本実施形態では、連結部品5は別体の構成要素であり、ワイパーブレードの片部材4の両端に形状ロックされるだけではなく、押圧ロックされる。別の好ましい改良例では、連結部材5は、バネ帯鋼からなる片部材4と一体になっている。さらに、このフロントガラス用ワイパー装置は、揺動ワイパーアーム7を連結するための連結具6を具備している。揺動ワイパーアーム7は、連結具6に一端付近の枢軸を介して枢動可能に連結されている。本発明に係る
図1の好ましい実施形態は、樹脂製ワイパーブレード2と一体に成形され、その全長に沿って延びているスポイラーまたは『空気偏向版』8を備えている。ワイパーブレード2に具備された連結具6は、後述するように揺動アーム7上に取り付けられている。連結具6上に予め切り欠かれている接合部9は、連結具6に対して枢軸の上に配されているので、揺動アーム7の自由端に対して容易に摺動することができる。この摺動時には、まず、接合部9の弾性舌片10がスプリング力に逆らって押され、その後、揺動アーム7の穴11内に跳ね返る、すなわち穴11内で弾性舌片10を留めるスナップ構造になっている。これはバイオネット接続と呼ばれている。そして、使用に備えるために、揺動アーム7は、接合部9ともにワイパーブレード2と平行な位置に回転復帰される。(あたかも押しボタンのように)再びスプリング力に逆らって弾性舌片10を押し込むことにより、連結具6および接合部9は、ワイパーブレード2とともに揺動アーム7から取り外される。すなわち、連結具6をワイパーブレード2とともに揺動アーム7から取り外すことは、連結具6および接合面9をワイパーブレード2とともに揺動アーム7から離れる方向に摺動させることによって実現される。連結具6は、該連結具6の両側から外方に延びる2つの円筒突部12を備えている。これらの突部12は、同形状に形成された樹脂製接合部9の円筒凹部13に枢動可能に係合している。この円筒突部12は、接合部9(およびそれに付着された揺動アーム7)を揺動アーム7の一端付近で枢軸を介して枢動させるために、枢軸の位置で面を支持する機能を果たしている。
【0013】
図1には示されていないが、揺動アーム7は、回転するために、小型モータによって駆動されるシャフトに固定された取付ヘッドに連結されているという点は、当業者にとっては十分に理解され得る事項である。使用の際、このシャフトは、時計回りと取付ヘッドも回転する反時計回りとで交互に回転し、これにより揺動アーム8を回転するとともに、連結具6の手段を介してワイパーブレード2を動かすようになっている。
【0014】
図2ないし5に示すとおり、ワイパーブレード2は、ワイピング要素14を具備している。このワイピング要素14は、帯状ウェブ16を画定する2つの傾動ウェブ溝15と、帯状ウェブ16から下方に延びるワイピングリップ17とからなる。ワイピングリップ17は、拭取対象であるフロントガラス上にその自由端で立脚している。作動中、ワイピングリップ17は、あたかも蝶番のように揺動反転位置で傾動する。
【0015】
図2および
図3は、揺動アーム7、すなわちワイパーブレード2の縦片部材4によって比較的低い圧力が加えられた場合のワイパーブレード2の断面図を示している。上記圧力の大きさは、例えば、拭取対象であるフロントガラスの曲面、縦片部材4の曲面、ならびに取付ヘッドと揺動アーム7との間に取り付けられたスプリングの力に依存する。その場合では、ワイピング要素14は、縦片部材4から見て外方に向けられた第1位置にある(
図2参照)。ワイピング要素14は、その通常の揺動に追随できるようになっている(
図3参照)。
【0016】
図2ないし
図5において示されているように、中央縦溝3は、縦片部材4と中央縦溝3の底部19とによって画定される縦空洞18を形成するために、縦片部材4から見て下方に延びている。
図4および5に示すように、ワイパーブレード2の断面図は、揺動アーム7によって比較的高い圧力が加えられた状態を言及している。特にこの場合、ワイピング要素14は、縦片部材4の方に向けられた第2位置に押し込まれる(
図4参照)。換言すれば、溝3の底部19の弾力性に起因して、ワイピング要素14は、ワイパーブレード2の縦片部材4によって加えられた圧力、すなわち
図2および3の比較的低い圧力、ならびに
図4および5の比較的高い圧力により、拭取対象であるフロントガラスに対して垂直な方向に移動可能である。ワイピング要素14の第2位置(
図4および
図5参照)では、底部19は、第2位置におけるワイピング要素14の揺動を制限するために、ワイピング要素14の対向面に係止面20を備えている。
【0017】
また、中央溝3は、縦片部材4と溝3の上面21とによって縦空洞21を形成するために、縦片部材4から見て上方にも延びている。これは、溝3内で縦片部材4の挿入を容易にするとともに、コストおよび重量を最小化するため、使用される原材料を低減することを目的として実現されている。
【0018】
本発明は、図面に示された改良例に限定されるものではなく、付記された特許請求の範囲内に含まれる他の実施形態にまで及ぶものである。