特許第5765809号(P5765809)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5765809静電気測定機能を備えたカバーテープ剥離強度測定装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5765809
(24)【登録日】2015年6月26日
(45)【発行日】2015年8月19日
(54)【発明の名称】静電気測定機能を備えたカバーテープ剥離強度測定装置
(51)【国際特許分類】
   G01N 19/04 20060101AFI20150730BHJP
   G01R 29/12 20060101ALI20150730BHJP
【FI】
   G01N19/04 D
   G01R29/12 Z
【請求項の数】4
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2011-185635(P2011-185635)
(22)【出願日】2011年8月29日
(65)【公開番号】特開2013-47621(P2013-47621A)
(43)【公開日】2013年3月7日
【審査請求日】2014年6月23日
(73)【特許権者】
【識別番号】592219684
【氏名又は名称】株式会社イー・ピー・アイ
(74)【代理人】
【識別番号】100121418
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 修
(72)【発明者】
【氏名】藤本 昌久
(72)【発明者】
【氏名】西躰 進
【審査官】 清水 督史
(56)【参考文献】
【文献】 特開2008−230651(JP,A)
【文献】 実用新案登録第2567409(JP,Y2)
【文献】 特開平08−122244(JP,A)
【文献】 特開2005−003403(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 19/00−19/10
G01N 29/00−29/26
G01N 27/60
G01R 29/12−29/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
長さ方向に一定間隔をあけて多数の物品収納用凹部が形成されたテープ本体と、テープ本体の上側に接着されて、物品収納用凹部を閉止するカバーテープとで構成されたエンボスキャリアテープを一定方向に送る送り手段と、エンボスキャリアテープと同期して該テープからカバーテープを剥離させるカバーテープ移送手段を備えたカバーテープ剥離強度測定装置であって、テープ本体からカバーテープを剥離するときに発生する静電気を測定する静電気測定ユニットを有し、静電気測定ユニットは、先端に静電センサーが取り付けられたアームを支持するセンサーヘッドと、センサーヘッドを支持すると共に、該センサーヘッドを上下方向に移動させる上下移動機構部と、上下移動機構部を回動させることで静電センサーの角度変更を行う角度変更機構部と、角度変更機構部を支持すると共に、静電センサーを左右方向に移動させる左右移動機構部と、左右移動機構部を支持すると共に、静電センサーを前後方向に移動させる前後移動機構部と、前後移動機構部と本体との間に介在されたベース部とを備えており、前記静電センサーが、前記上下移動機構部、前記左右移動機構部および前記前後移動機構部によって、カバーテープの剥離位置に対応して移動し得ると共に、前記角度変更機構部によって、前記テープ本体に対する前記カバーテープの剥離角度に対応して角度変更可能となされている、静電気測定機能を備えたカバーテープ剥離強度測定装置。
【請求項2】
エンボスキャリアテープの送り手段がエンボスキャリアテープを載置するガイドレールと、ガイドレール内に駆動自在に設けられ、外周にエンボスキャリアテープの送り孔と係合する多数のピンが一定間隔で形成されたピンローラと、エンボスキャリアテープをガイドレール上に押圧する押え板とを有し、カバーテープ移送手段が、前記ピンローラによるエンボスキャリアテープの送り方向後方側に配置され、エンボスキャリアテープから剥離されたカバーテープが巻き掛けられるピーリングローラと、一端にカバーテープの剥離強度を測定するロードセルが接続され、他端には前記ピーリングローラが軸支されたレバー部材と、カバーテープを移送する移送ローラと、移送ローラ上に配置され、カバーテープを上方から押える押えローラとを有する、請求項1記載のカバーテープ剥離強度測定装置。
【請求項3】
少なくとも静電センサーと静電センサーの検出位置とを囲む空調用ケーシングを更に有する、請求項1または請求項2記載のカバーテープ剥離強度測定装置。
【請求項4】
空調用ケーシングに、該ケーシング内の湿度を調整するドライユニットが接続された、請求項3記載のカバーテープ剥離強度測定装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子部品等を収容したエンボスキャリアテープの上面に貼着されるカバーテープの剥離強度を測定する装置であって、静電気の測定機能をも備えたものに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、エンボスキャリアテープにおけるカバーテープの剥離強度を測定する方法としては、エンボスキャリアテープを基台上に固着させ、該テープの前端部におけるカバーテープを、ロードセルの前側に設けられた測定用クリップで挾持し、次に、基台に沿ってロードセルを一定速度でカバーテープの剥離方向(エンボスキャリアテープの後端側)へ移動させ、その際にカバーテープが剥離されるときの抵抗力を前記ロードセルによって連続的に測定していた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開昭60−196645号公報
【特許文献2】特開昭61−155936号公報
【特許文献3】実用新案登録第2567409号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記した従来の剥離強度測定方法では、カバーテープの剥離が進むのに伴って、該テープの剥離長が長くなっていくことから、エンボスキャリアテープにおけるテープ本体に対するカバーテープの剥離角度が大きくなると共に、剥離力も増大していく結果、一定の正確な測定値が得られないという致命的な問題があった。
【0005】
また、このような問題に対処するために、所定の治具上にエンボスキャリアテープを固定し、該テープ上におけるカバーテープの先端をアーム状の測定器具に連結させて、該アーム状測定器具をエンボスキャリアテープに対して常に一定の剥離角度となるよう移動させるようにした測定装置も知られている。
【0006】
しかしながら、前記装置の場合、アーム状測定器具を一定角度で移動させる機構が大掛かり且つ複雑となり、また測定装置自体も大型化するという問題があった。
【0007】
そこで、本願の出願人は、前述した種々の問題を解消するために、エンボスキャリアテープ自体を移送するピンローラと、エンボスキャリアテープの送り方向の後方側に配設され、エンボスキャリアテープから剥離されたカバーテープが巻き掛けられるピーリングローラと、ピーリングローラに連結する測定部を備えたロードセルと、ピーリングローラによって折り返されたカバーテープを前記ピンローラによるエンボスキャリアテープの送りと同期させて連続的に引き寄せるカバーテープ引寄せ手段とを備えたカバーテープの剥離強度測定装置を開発した。
【0008】
前記装置によれば、カバーテープの剥離の進行如何に拘らず所定の剥離点からピーリングローラまでの距離は常に一定であるため、エンボスキャリアテープのテープ本体に対するカバーテープの剥離角度が変化することがなく、一定の正確な剥離強度の測定が行えた。
【0009】
しかしながら、エンボスキャリアテープからカバーテープを剥がす際には、その剥離箇所において静電気が発生し、特に空気中の湿度が低い場合には、静電気の発生が顕著となり、エンボスキャリアテープ内に小さな軽量の電子部品が収容されている場合には、該電子部品が静電気によって、前記カバーテープに付着してテープ本体から取り出されてしまうおそれがあった。
【0010】
そのため、エンボスキャリアテープからカバーテープを剥がす際には、その静電気の発生量を予め把握しておく必要が生じた。
【0011】
本発明の目的は、前述したカバーテープの剥離の際に、その剥離強度と共に、静電気の発生状況を測定することができる測定装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
請求項1記載の本発明は、長さ方向に一定間隔をあけて多数の物品収納用凹部が形成されたテープ本体と、テープ本体の上側に接着されて、物品収納用凹部を閉止するカバーテープとで構成されたエンボスキャリアテープを一定方向に送る送り手段と、エンボスキャリアテープと同期して該テープからカバーテープを剥離させるカバーテープ移送手段を備えたカバーテープ剥離強度測定装置であって、テープ本体からカバーテープを剥離するときに発生する静電気を測定する静電気測定ユニットを有し、静電気測定ユニットは、先端に静電センサーが取り付けられたアームを支持するセンサーヘッドと、センサーヘッドを支持すると共に、該センサーヘッドを上下方向に移動させる上下移動機構部と、上下移動機構部を回動させることで静電センサーの角度変更を行う角度変更機構部と、角度変更機構部を支持すると共に、静電センサーを左右方向に移動させる左右移動機構部と、左右移動機構部を支持すると共に、静電センサーを前後方向に移動させる前後移動機構部と、前後移動機構部と本体との間に介在されたベース部とを備えており、前記静電センサーが、前記上下移動機構部、前記左右移動機構部および前記前後移動機構部によって、カバーテープの剥離位置に対応して移動し得ると共に、前記角度変更機構部によって、前記テープ本体に対する前記カバーテープの剥離角度に対応して角度変更可能となされている静電気測定機能を備えたカバーテープ剥離強度測定装置である
【0013】
請求項2記載の本発明は、前記請求項1記載のカバーテープ剥離強度測定装置について、エンボスキャリアテープの送り手段がエンボスキャリアテープを載置するガイドレールと、ガイドレール内に駆動自在に設けられ、外周にエンボスキャリアテープの送り孔と係合する多数のピンが一定間隔で形成されたピンローラと、エンボスキャリアテープをガイドレール上に押圧する押え板とを有し、カバーテープ移送手段が、前記ピンローラによるエンボスキャリアテープの送り方向後方側に配置され、エンボスキャリアテープから剥離されたカバーテープが巻き掛けられるピーリングローラと、一端にカバーテープの剥離強度を測定するロードセルが接続され、他端には前記ピーリングローラが軸支されたレバー部材と、カバーテープを移送する移送ローラと、移送ローラ上に配置され、カバーテープを上方から押える押えローラとを有することを特徴とするものである
【0014】
請求項3記載の本発明は、前記請求項1または請求項2記載のカバーテープ剥離強度測定装置について、少なくとも静電センサーと静電センサーの検出位置とを囲む空調用ケーシングを更に有することを特徴とする
【0015】
請求項4記載の本発明は、前記請求項3記載のカバーテープ剥離強度測定装置について、空調用ケーシングに、該ケーシング内の湿度を調整するドライユニットが接続されたものである
【発明の効果】
【0016】
本発明のカバーテープ剥離強度測定装置によれば、テープ本体からカバーテープが剥離される際の静電気量を測定して静電気の発生状況を把握することができるため、エンボスキャリアテープに収容された部品を取り出す際の静電気の発生による悪影響の程度を予め把握することができ、事前に静電気に対する対策の要否を判断することができるという格別の効果が得られる。
【0017】
また、テープ本体からカバーテープが剥離される際の剥離位置に対応して静電センサーを移動し得ると共に、角度変更可能とした請求項2記載の装置によれば、カバーテープの剥離位置に対して常に適切な一定距離で静電気の測定が行えるため、より精度の高い静電気測定が可能になるという効果が得られる。
【0018】
更に本発明に係るカバーテープ剥離強度測定装置では、エンボスキャリアテープと同期して該テープからカバーテープを剥離させることでカバーテープの剥離位置が常に固定され、この固定されたカバーテープ剥離位置に対応して静電センサーが前後移動手段、左右移動手段、上下移動手段および角度変更手段によって、カバーテープの剥離位置に対して、前後、左右および上下に移動自在であり、且つ角度変更し得るため、種々の仕様のエンボスキャリアテープについて、常に一定の適切な距離で静電気の発生が測定できるため、更に精度の高い静電気測定が実現される。
【0019】
更に請求項3記載のカバーテープ剥離強度測定装置では、少なくとも静電センサーと静電センサーの検出位置とを囲む空調用ケーシングが設けられているため、静電気の測定が行われる場所の湿度変化による静電気測定への影響が解消されるため、更に精度の高い静電気測定が可能となる。
【0020】
また、請求項4記載の本発明では、前記請求項5記載のカバーテープ剥離強度測定装置における空調用ケーシングにドライユニットが接続されているため、空調用ケーシング内で強制的に湿度を所定値に設定して静電気量を測定することができるため、予め湿度と静電気との関係を把握することできるという利点がある。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】実施形態に係る測定装置全体の平面図である。
図2】実施形態の測定装置全体の正面図である。
図3】同測定装置の本体前部における静電センサーの配置を拡大して示す部分拡大正面図である。
図4図3における静電センサーの角度を変更した状態を示す部分拡大正面図である。
図5】同測定装置の側面図である。
図6】同測定装置の前部に空調ボックスを取り付けた状態の平面図である。
図7】同測定装置の前部に空調ボックスを取り付けた状態の正面図である。
図8】同測定装置の前部に空調ボックスを取り付けた状態の側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
次に、本発明の実施形態を図面にしたがって説明するが、本発明はかかる実施形態に限定されるものではない。
【0023】
なお、本明細書において、前後、左右および上下は図1を基準とし、「前」とは図1の下側を指し、「後」とは同図の上側を指し、「左」とは図1の左側を指し、「右」とは同図の右側を指すものとする。また、「上」とは図1の図面紙葉の表側を指し、「下」とは同図面紙葉の裏側を指すものとする。
【0024】
図1図5に示すように、本実施形態に係るカバーテープの剥離強度測定装置1は、その本体1aの外形が略箱形であって、本体1aの上部に液晶ディスプレイ2が設けられ、後述する剥離強度測定機構並びに静電気測定機構が本体1aの前側部に設けられているものである。
【0025】
すなわち、本実施形態のカバーテープの剥離強度測定装置1は、本体1aの前面下部に設けられ、固定レール3Aおよび可動レール3Bからなるガイドレール3と、固定レール3A内に設けられたピンローラ4と、ピンローラ4によるエンボスキャリアテープ5の送り方向(矢印A方向)後方側に配置され、エンボスキャリアテープ5から剥離されたカバーテープ9が巻き掛けられるピーリングローラ6と、該ピーリングローラ6が軸支された後述するレバー部材7と、ピーリングローラ6から折り返されたカバーテープ9をエンボスキャリアテープ5と同期させて移送するカバーテープ移送手段10とを備えている。また、レバー部材7において、ピーリングローラ6が軸支された側と反対側の端部にはカバーテープ9の剥離強度を計測するロードセル(図示せず)が連結されている。
【0026】
ガイドレール3を構成する固定レール3Aと可動レール3Bは、本体1aの前面から前方へ突出した左右一対のガイドバー11によって前後に隣り合うように架設されており、可動レール3Bはガイドバー11上をスライドすることで固定レール3Aに接近自在となされており、可動レール3Bの一端に取り付けられた止めネジ21によってガイドバー11上に固定されるようになされている。
【0027】
また、ピンローラ4は外周にエンボスキャリアテープ5の送り孔(図示せず)に係合する多数のピン4aが一定間隔で形成され、本体1a内に収容された駆動機構(図示せず)によって回転する駆動軸12の先端部に装着されている。
【0028】
レバー部材7は、開口部が上向きの略コ字形であって、上下方向に伸びる一対の縦杆7aと、縦杆7aの下端部同士をつなぐ横杆7bとを有し、図2図4に示すように、エンボスキャリアテープ5の送り方向と直交する方向に配置され、且つ前記横杆7bを支点としてベアリング(図示せず)によって本体1aの前部に回動自在に取り付けられている。
【0029】
また、本体1aの前側にはヒンジ30を介して起立自在となされた押え板16が架設されている。
【0030】
そして、前記押え板16をガイドレール3上に倒伏させることで、ガイドレール3上に載置されたエンボスキャリアテープ5がガイドレール3上に押圧されることとなる。
【0031】
図2図4に示すように、カバーテープ移送手段10は、外周面に軸方向に伸びる小溝が一定間隔で形成された移送ローラ17と、移送ローラ17の上側に配置されて該移送ローラ17と当接し合う押えローラ18とで構成されている。移送ローラ17は本体1a内に設けられた駆動機構を介して回転するようになされている。更に、押えローラ18は、支軸50を介して本体1a前面に回動自在に軸支されたケース部材60下部に設けられている。
【0032】
次に、図1図5に示すように、エンボスキャリアテープ5からカバーテープ9が剥がされる際に発生する静電気を測定する静電気測定ユニットについて説明すると、静電気測定ユニットは、先端に静電センサー31が取り付けられたアーム32を支持するセンサーヘッド33と、センサーヘッド33を支持すると共に、該センサーヘッド33を上下方向に移動させる上下移動機構部34と、上下移動機構部34を回動させることで静電センサー31の角度変更を行う角度変更機構部35と、角度変更機構部35を支持すると共に、静電センサー31を左右方向に移動させる左右移動機構部36と、左右移動機構部36を支持すると共に、静電センサー31を前後方向に移動させる前後移動機構部37と、前後移動機構部37と本体1aとの間に介在されたベース部38とを備えている。
【0033】
図1に示すように、静電センサー31は本実施形態では、アーム32における剥離強度測定装置1の本体1a側端部に取り付けられており、アーム32はセンサーヘッド33に対して前後方向に貫通状に支持・固定されている。
【0034】
図2図4に示すように、上下移動機構部34は、ビス39によってセンサーヘッド33が一体に固定された正面から見て略逆倒L字形のセンサーヘッドベース41と、センサーヘッドベース41を受ける正面から見て略L字形の受け部材42と、受け部材42の上部を貫通して下方に伸びる上下調整用ネジ43とを備え、センサーヘッドベース41には上下調整用ネジ43が螺合するネジ穴(図示せず)が形成されている。そのため、上下調整用ネジ43を回すことでセンサーヘッドベース41が上下し、その結果、最終的に静電センサー31の高さ位置が変更される。また、図1に示すように、受け部材42の左側面にはコ字形部材42aが一体に固定されている。
【0035】
なお、図中40は、センサーヘッド33のホルダーを示す。
【0036】
図1図4に示すように、角度変更機構部35は、前記受け部材42と一体構成のコ字形部材42aを挟持する横長の挟持部材45と、挟持部材45の前後壁45a・45bに形成された上下一対の略円弧状長孔46・47と、上側の長孔46を通って前記受け部材42のコ字形部材42aに螺合された角度調整用ネジ48と、下側の長孔47内に挿通され、コ字形部材42aに軸支された角度指示部材49とを備えている。そして、角度調整用ネジ48をゆるめて受け部材42を円弧状長孔46・47に沿って回動させることにより、図3および図4に示すように、最終的に静電センサー31の角度が変更される。
【0037】
図1および図2に示すように、左右移動機構部36は、前記挟持部材45を左右方向にスライド自在に保持する保持部材51と、保持部材51の底面51cに立設された起立壁52と、起立壁52の透孔52aに挿着された左右調整用長ボルト53と、前記挟持部材45に形成され、長ボルト53が螺合する雌ネジ54とを備えている。保持部材51は、前後壁51a・51bを有する横断面凹形の横長状部材である。
【0038】
本実施形態の左右移動機構部36によれば、左右調整用長ボルト53を回すことで保持部材51上に保持された挟持部材45が左右方向に移動する結果、最終的に静電センサー31の左右位置が変更される。
【0039】
図1および図2に示すように、前後移動機構部37は、前記保持部材51とアリ溝嵌合54することによって、保持部材51を前後方向にスライドさせる軌道部材55と、軌道部材55における前記アリ溝嵌合54部分に敷設されたラック56と、保持部材51の左側面から内方に挿通された前後調整用ネジ57と、前後調整用ネジ57の軸部57aに装着され、前記ラック56と歯合するピニオン58とを備えている。
【0040】
なお、図中59は、軌道部材55の右側部に架設されたガイドバーを示し、該ガイドバー59上に保持部材51の右側部分が支持されて前後移動するようになされている。
【0041】
本実施形態の前後移動機構部37では、保持部材51に取り付けられた前後調整用ネジ57を回すことによって、この軸部57aに装着されたピニオン58が軌道部材55上のラック56上を順次、歯合移動し、これに伴って、保持部材51自体が前後移動することとなり、その結果、最終的に静電センサー31の前後位置が変更される。
【0042】
図6図8に示すように、前述した本実施形態に係るカバーテープ剥離強度測定装置1では、その本体1aの前面に全体が箱形の空調用ケーシング61が更に設けられており、空調用ケーシング61は、前面部および上面部が開口したケーシング本体61aとケーシング本体61aの開口を塞ぐ蓋体62とで構成されている。蓋体62は、図8に示すように、側面から見て略L字状であって、ケーシング本体61aの上縁に取り付けられたヒンジ63を介して揺動自在となされ、前側には把手64が取り付けられている。
【0043】
更に、空調用ケーシング61の側面に形成された透孔(図示せず)にはダクトホース65の一端65aが接続されており、ダクトホース65の他端65bはドライユニット66に接続されている。
【0044】
ドライユニット66は、空調用ケーシング61内の湿度を所定値に設定するためのものである。すなわち、前記カバーテープ9の剥離時に発生する静電気は湿度の変動に影響されることから、ドライユニット61によって空調用ケーシング61内の湿度を常に一定化して恒常的な状態とするのである。
【0045】
なお、前記ドライユニット66を設けないか、或いはドライユニット66を運転しない場合でもカバーテープ9の剥離位置Pにおける湿度や温度の変化が空調用ケーシング61によって抑制されるため、カバーテープ9の剥離位置Pにおける静電気量についての環境変化の影響を回避することができる。
【0046】
次に、本実施形態に係る測定装置の使用要領について説明すると、先ず、押え板16を立てた状態で、ガイドレール3を構成する固定レール3Aと可動レール3Bとの間隔を測定するエンボスキャリアテープ5の幅に合わせて調整し、可動レール3Bの端部内に挿入された止めネジ21によって可動レール3Bをガイドバー11上に固定する。
【0047】
そして、剥離強度を測定するエンボスキャリアテープ5の先端部分におけるカバーテープ9を押え板16のテープ送り方向後方側(矢印A方向)において、固定レール3A上面に表示された剥離位置Pに合わせて剥がした上、エンボスキャリアテープ5の送り孔をピンローラ4に係合させ、次に押え板16を倒してガイドレール3上のエンボスキャリアテープ5を押える。
【0048】
その後、前記剥離させたカバーテープ9をピーリングローラ6に巻き掛け、その折り返されたカバーテープ9をカバーテープ移送手段10における移送ローラ17と押えローラ18間に挿通させる。
【0049】
そして、前記の状態で、ピンローラ4および移送ローラ17によって、エンボスキャリアテープ5とカバーテープ9とを同期的に送ることにより、レバー部材7を介してカバーテープ9の剥離強度がロードセル(図示せず)で測定される。
【0050】
そして、本実施形態に係るカバーテープ剥離強度測定装置によれば、前述したように、ガイドレール3上に種々のエンボスキャリアテープ5を載置して該テープ5をピンローラ4によって矢印A方向に送ると共に、これと同期してカバーテープ9の移送ローラ17を回転させることで、エンボスキャリアテープ5からカバーテープ9が同期的に矢印B方向へ剥離される結果、カバーテープ9の剥離位置Pが固定され、この固定された剥離位置Pに対応して前述した上下移動機構部34、左右移動機構部36、前後移動機構部37および角度変更機構部35によって、静電センサー31の位置並びに角度を調整することで、前記カバーテープ9の固定された剥離位置Pに対して常に一定の適切な距離で静電気の測定を行うのである。
【産業上の利用可能性】
【0051】
本発明の測定装置によれば、簡単で且つ精度の高いカバーテープの剥離強度測定が行えるため、エンボスキャリアテープの利用分野において幅広い利用が期待できる。
【符号の説明】
【0052】
1 剥離強度測定装置
3 ガイドレール
4 ピンローラ
5 エンボスキャリアテープ
6 ピーリングローラ
7 レバー部材
9 カバーテープ
31 静電センサー
34 上下移動機構部
35 角度変更機構部
36 左右移動機構部
37 前後移動機構部
61 空調用ケーシング
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8