特許第5765825号(P5765825)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5765825閉鎖状態に復帰するハイブリッド回路遮断器
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5765825
(24)【登録日】2015年6月26日
(45)【発行日】2015年8月19日
(54)【発明の名称】閉鎖状態に復帰するハイブリッド回路遮断器
(51)【国際特許分類】
   H01H 33/42 20060101AFI20150730BHJP
   H01H 33/666 20060101ALI20150730BHJP
【FI】
   H01H33/42 N
   H01H33/42 K
   H01H33/42 P
   H01H33/666 L
【請求項の数】5
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2012-556487(P2012-556487)
(86)(22)【出願日】2011年3月8日
(65)【公表番号】特表2013-521626(P2013-521626A)
(43)【公表日】2013年6月10日
(86)【国際出願番号】EP2011053472
(87)【国際公開番号】WO2011110561
(87)【国際公開日】20110915
【審査請求日】2014年2月25日
(31)【優先権主張番号】1051679
(32)【優先日】2010年3月9日
(33)【優先権主張国】FR
(73)【特許権者】
【識別番号】503416353
【氏名又は名称】アルストム テクノロジー リミテッド
【氏名又は名称原語表記】ALSTOM Technology Ltd
(74)【代理人】
【識別番号】100082670
【弁理士】
【氏名又は名称】西脇 民雄
(72)【発明者】
【氏名】アルディナ アンリ
(72)【発明者】
【氏名】マルクズィン グエナエル
【審査官】 出野 智之
(56)【参考文献】
【文献】 特開2006−128111(JP,A)
【文献】 特開昭56−019831(JP,A)
【文献】 米国特許第05933308(US,A)
【文献】 特開2007−305590(JP,A)
【文献】 特開昭59−020930(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01H 33/42
H01H 33/666
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
−可動接点が第一の長手方向軸(A、A′;C、C′)に沿って閉鎖位置と開放位置との間を移動可能である第一の接点対を含む、第一のスイッチ、
−可動接点ロッド(32、42)に固定される可動接点(22)が制御ロッド(31、41、231)によって第二の軸(B、B′;D、D′)に沿って閉鎖位置と開放位置との間を移動可能である第二の接点対を含む、第二のスイッチ、
−閉鎖位置と開放位置との間で、静止接点に対して前記可動接点を動かす単一の制御動作をもたらす駆動手段、ここで該駆動手段は、前記第一及び第二の接点対を開放し、続いて、所定の時間長の間前記第一の接点対を開放したままの状態で、前記第二の接点対を再び閉鎖する、
を含むハイブリッド回路遮断器であって、
前記第二のスイッチの前記制御ロッド(31、41、231)を保持する保持システムと、
前記可動接点ロッド(32、42)上で固定点に対して支持されるとともに、
前記保持システムが負荷力下で変形し、前記制御ロッド(31、41、231)を前記可動接点ロッド(32、42)から分離し、前記可動接点(22)の静止接点(21)に向かう復帰を可能とする、ある負荷値まで、負荷がかけられるように設けられるエネルギー蓄積システムと、
を有すること、
を特徴とする特徴とするハイブリッド回路遮断器。
【請求項2】
前記制御ロッド(31、231)の前記保持システムが、前記第二のスイッチの前記可動接点ロッド(32)の溝(36)と前記制御ロッド(31、231)の内部表面の溝(37)とに配置される、フレキシブルなドーナツ状のらせんスプリング(38、238)であり、前記エネルギー蓄積システムが、前記可動接点ロッド(32)上で固定点に対して支持されるとともに、該フレキシブルなドーナツ状のらせんスプリング(38、238)が負荷力下で変形し、前記制御ロッド(31、231)を前記可動接点ロッド(32)から分離し、前記可動接点(22)の前記静止接点(21)に向かう復帰を可能とする、ある負荷値まで、負荷がかけられるように設けられること、
を特徴とする請求項1に記載のハイブリッド回路遮断器。
【請求項3】
制御ロッド(41)の前記保持システムが、可動接点ロッド(42)における半径方向の非貫通孔(45)から該孔の中に配置されるスプリング(49)により外側に押し出されるボール(48)と、該制御ロッド(41)の端部(44)の内側表面に作られる対応するV字型の切り込み(47)とを含み、該端部(44)が、該ボール(48)が該端部(44)から逸脱しないように、該制御ロッド(41)の該端部(44)内における該可動接点ロッド(42)のストロークより長い長さを有すること、
を特徴とする請求項1に記載のハイブリッド回路遮断器。
【請求項4】
前記第一のスイッチが、消弧装置(110)であり、この消弧装置(110)の長手方向軸(A、A′)に平行な二つの部位の間に傾斜部位(114)を有する制御溝(112)があり、
この傾斜部位が、該溝(112)における、該消弧装置(110)の該長手方向軸(A、A′)に沿う、前記制御ロッド(31、41)の端部の長手方向の移動によって、
真空スイッチ(20)である前記第二のスイッチの前記制御ロッド(31、41)に対しての制御斜面を構成するように設けられること、
を特徴とする請求項1に記載のハイブリッド回路遮断器。
【請求項5】
前記第一のスイッチが、真空スイッチ(20)である第二のスイッチの第二の長手方向軸(D、D′)に平行な長手方向軸(C、C′)に沿って置かれる、消弧装置(210)であり、該真空スイッチ(20)の制御ロッド(231)が、該消弧装置(210)の長手方向の溝(212)に端部がスライド可能に取り付けられる垂直部位(232)を有すること、
を特徴とする請求項1に記載のハイブリッド回路遮断器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、単一の制御で可動接点が駆動される消弧装置及び真空スイッチを有する、中高電圧ハイブリッド回路遮断器に関する。特に、本発明は、消弧装置と真空スイッチとを同時に開放し、続いて消弧装置を作動させる前に真空スイッチを早期閉鎖することが可能な、機械的制御に関する。
【背景技術】
【0002】
そのようなハイブリッド回路遮断器では、単一の機械的配置が、各スイッチの可動接点の動作を制御し、それらの接点は、それぞれの時間動作プロファイルに従う。このことは、とりわけ、消弧装置が開放される際の、真空スイッチの保護を可能とする。
【0003】
図1に示すように、そのようなハイブリッド回路遮断器が、引用文献1により知られており、該回路遮断器は、長手方向軸A、A′を規定する消弧装置10と、それに垂直に置かれ、同じ機械的機構により制御される、真空スイッチ20とを有する。このアセンブリの制御は、消弧装置10の長手方向軸A、A′に沿って動く機械的エレメント(大部分は不図示)により行われる。このような機械的制御エレメントの一実施形態では、ロッド152の端部に回転可能に取り付けられるホイール155に接して作動するスライド板154が存在し、該ロッドは、真空スイッチ20の可動接点22を保持する制御ロッド23に固定されている。スライド板154の傾斜面は、特許文献1の記載において規定される所与の時間シーケンスにおける消弧装置10の開放に対する所与の時間に、真空スイッチ20の可動接点22を静止接点21から分離するために、真空スイッチの制御ロッド23を駆動する働きをする。
【0004】
より詳細には、このようなシステムでは、制御機構が消弧装置10の長手方向軸A、A′に沿って動く場合、消弧装置10の開放機構の動作に加えて、その動きは、真空スイッチ20を開放する。スライド板154の動作の下で、真空スイッチの制御ロッド23が、ホイール155によって動く。ホイール155が、長手方向軸A、A′に平行に延びるスライド板154の斜面端140に達すると、真空スイッチ20の制御ロッド23は、一部はスプリング138により、静止電極21及び可動電極22が真空スイッチ20内で再び接触する初期位置への復帰を促される。続いて、他のサイクルが行われてもよい。
【0005】
図1において、あるエレメント、特に真空スイッチ20の静止接点21及び可動接点22の描写は、簡略化されている。
【0006】
また一方で、このようなタイプの機械的制御は、非常に多くの加工が必要な、多数の静止及び可動機械エレメントを必要とする。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の目的は、機械的システムの複雑さ、及び、その製造コストから生じる、それらの欠点を回避することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
このために、本発明の主要な目的は、以下を含むハイブリッド回路遮断器である。
−可動接点が第一の長手方向軸に沿って閉鎖位置と開放位置との間を固定接点に対して移動可能である第一の接点対を含む、第一のスイッチ、
−可動接点ロッドに固定される可動接点が制御ロッドによって第二の軸に沿って閉鎖位置と開放位置との間を移動可能である第二の接点対を含む、第二のスイッチ、
−閉鎖位置と開放位置との間で、静止接点に対して可動接点を動かす単一の制御動作をもたらす駆動手段、ここで該駆動手段は、第一及び第二の接点対を開放し、続いて、所定の時間長の間第一の接点対を開放したままの状態で、第二の接点対を再び閉鎖する。
【0009】
本発明によれば、ハイブリッド回路遮断器は、第二のスイッチの制御ロッドを保持する保持システムと、可動接点ロッド上で固定点に対して支持されるとともに、保持システムが負荷力下で変形し、制御ロッドを可動接点ロッドから分離し、可動接点の静止接点に向かう復帰を可能とする、ある負荷値まで、負荷がかけられるように設けられるエネルギー蓄積システムと、を有する。
【0010】
本発明の第一の実施形態では、制御ロッドを保持するための保持システムは、第二のスイッチの可動接点ロッドの溝と制御ロッドの溝とに配置される、フレキシブルなドーナツ状のらせんスプリングであり、エネルギー蓄積システムが、可動接点ロッド上で固定点に対して支持されるとともに、フレキシブルなドーナツ状のらせんスプリングが負荷力下で変形し、制御ロッドを可動ロッドから分離し、可動接点の静止接点に向かう復帰を可能とする、ある負荷値まで、負荷がかけられるように設けられる。
【0011】
制御ロッドの保持システムの第二の実施形態では、保持システムは、可動接点ロッドにおける半径方向の非貫通孔から該孔の中に配置されるスプリングにより外側に押し出されるボールと、制御ロッドの端部の内側表面に作られる対応するV字型の切り込みとを含み、該端部は、ボールが該端部から逸脱しないように、制御ロッドの端部内における可動接点ロッドのストロークより長い長さを有する。
【0012】
本発明の回路遮断器の第一の実施形態では、第一のスイッチは、消弧装置であり、長手方向軸A、A′に平行な二つの部位の間に傾斜部位を有する制御溝があり、この傾斜部位は、長手方向軸A、A′に沿う溝における長手方向の移動によって、真空スイッチである第二のスイッチの制御ロッドに対しての制御斜面を構成するように設けられる。
【0013】
第二の実施形態では、第一のスイッチは、消弧装置であり、真空スイッチである第二のスイッチの第二の長手方向軸に平行な長手方向軸C、C′に沿って置かれる。ここで、真空スイッチの制御ロッドは、消弧装置の長手方向の溝に端部がスライド可能に取り付けられる垂直部位を有する。
【0014】
本発明及びその様々な技術的特徴は、以下の説明を読むことで、より良好に理解されるであろう。この説明は、複数の図面が添付される。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】従来技術のハイブリッド回路遮断器を示す。
図2】本発明のハイブリッド回路遮断器の第一の実施形態を示す。
図3】本発明のハイブリッド回路遮断器の詳細部分の第一のバリエーションを示す断面である。
図4】本発明のハイブリッド回路遮断器の同一の詳細部分の第二のバリエーションを示す断面である。
図5】本発明のハイブリッド回路遮断器の第二の実施形態を示す。
【発明を実施するための形態】
【0016】
図2に示すように、本発明は、真空スイッチ20の可動接点21及び22を駆動するために、特許文献1で規定されるようなハイブリッド回路遮断器におけるスイッチシステムの利用を提供する。このような駆動装置は、以下のシーケンスの実行を可能とする。
−本実施例では消弧装置110である第一のスイッチに対する開放指示、
−消弧装置110の接点を、最小速度で、真空スイッチ20の可動接点22及び静止接点21に同期して分離可能とするための、本実施例では真空スイッチ20である第二のスイッチの遅延開放、
−消弧装置110を開放したままの状態での、真空スイッチ20の閉鎖。
【0017】
より正確には、このことは、真空スイッチ20の開放と、スプリング39の作用の下で、制御ロッド31のストロークが延びたままの状態での、再閉鎖を可能とする。スプリング39は、エネルギー蓄積システムの役割を果たす。このシステムでは、制御ロッド31が、制御ロッド31と端部が可動接点22に固定される可動接点ロッド32とを一時的に一緒に保持する、フレキシブルなドーナツ状のらせんスプリング38を介して、真空スイッチ20の可動接点22を引く。同時に、スプリング39が、フレキシブルなドーナツ状のらせんスプリング38が圧縮で崩れ、従って、可動接点ロッド32が分離し、スプリング39の作用の下で閉じる瞬間まで、圧縮される。
【0018】
このような配置は、制御ロッド31の相対的に大きいストロークがある中で、可動接点22の、真空スイッチ20の静止接点21から遠く離れての移動を回避可能とする。言い換えれば、可動接点22は、制御ロッド31が、真空スイッチ20及び消弧装置110の機械的駆動システムにより駆動されて、ストロークを伸ばしたままの状態で、静止接点21に向かって復帰する。
【0019】
図3は、上述したような真空スイッチの開放及び閉鎖のための、制御ロッド31と可動接点ロッド32との間の連結部の第一のバリエーションを詳細に示す。制御ロッド31の上端34は、拡大された中空形状を有している。こうして規定される内部スペース35は、可動接点ロッド32の外径よりも僅かに大きい内径を有している。該可動接点ロッドは、その周囲に溝36を有し、制御ロッド31の上端34は、その内側表面に、可動接点ロッド32の溝36に対応する同様の溝37を有する。これらの二つの溝36及び37は、フレキシブルなドーナツ状のらせんスプリング38が配置される、半径方向のスペースを規定する。
【0020】
制御ロッド31が図3の底部に向かって十分な力で駆動される場合、フレキシブルなドーナツ状のらせんスプリング38は、制御ロッド31により適用されるあるストレス値に基づいて崩れると理解されたい。従って、フレキシブルなドーナツ状のらせんスプリング38は、圧縮で変形し、制御ロッド31から可動接点ロッド32を分離可能とする。
【0021】
図4に示すように、制御ロッド41と可動接点ロッド42との間の連結部の第二のバリエーションは、スプリング49により、制御ロッド41に対抗する端部に向かって押しつけられるボール48を用い、該スプリングは、可動接点ロッド42に設けられた半径方向の非貫通孔45に収容される。これに応じて、細長い管形状である、制御ロッド41の端部44の内部表面には、制御ロッド41と可動接点ロッド42とが共に保持される場合のボール48の位置に対応して、V字型の切り込み47がある。従って、ボール48は、可動接点ロッド42の外部表面から突出し、制御ロッド41の端部44のV字型の切り込み47に収容される。
【0022】
スプリング39(図2)により提供される相互作用が増えると、ボール48は、スプリング49を押し付けて、孔45の中に押し込まれる。従って、可動接点ロッド42は、端部の内部を移動することにより、制御ロッド41の端部44から分離し始めるが、ボール48が端部44から出ることはない。それ故に、制御ロッド41の端部44の長さは、制御ロッド41と可動接点ロッド42の二つの相対位置間の設計ストロークよりも、十分に大きい。
【0023】
上述した、真空スイッチの制御ロッドに対する可動接点ロッドの一時的な分離のための自動システムは、他のハイブリッド回路遮断器のアーキテクチャを構想可能とする。
【0024】
に示すように、対応する消弧装置210の縦軸C、C′に平行な縦軸D、D′を規定する、真空スイッチ20の利用が構想可能である。本実施形態は、同じ主要エレメント、すなわち、真空スイッチ20と、エネルギー蓄積スプリング24と、フレキシブルなドーナツ状のらせんスプリング238により、上端234が可動接点ロッド32に取り付けられる制御ロッド231で、その下方部位が、消弧装置210の縦軸スロット212内でスライド可能に取り付けられる端部235で終端する垂直部位232を有する制御ロッド231とを有する。制御ロッド231の周囲には、ベアリング233が示され、ロッドが、縦軸D、D′に沿って、縦軸方向の移動に導かれることが示されている。本実施例では、また、消弧装置210において、制御ロッド231の垂直部位232の端部235の駆動のみが必要であり、単一の機械的装置が簡略化されている。従って、消弧装置210と真空スイッチ20の各開放のタイミングシーケンスは、上述したシーケンス及び特許文献1におけるシーケンスと同じであってもよい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0025】
【特許文献1】EP 1 653 491 A2
図1
図2
図3
図4
図5