(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記サンプリング画像は、予め設定された閾値を境に自動2値化された2値化画像から前記五線の簡易検出が行われ、前記サンプリング画像と前記2値化画像とを対応付けて前記表示部に表示する請求項1に記載の音再生プログラム。
前記簡易五線検出手段は、前記サンプリング画像を2値化した2値化画像から五線検出を行うとともに、前記サンプリング画像と前記2値化画像とを対応付けて前記表示部に表示する手段を備える請求項6に記載の音再生装置。
前記音楽記号検出スイッチは、前記簡易五線検出手段がサンプリング画像から五線を簡易検出するに際し、検出五線が所定の検出条件を満たした場合にのみ音楽記号情報の検出を自動的に指示する手段を備えて成る請求項6に記載の音再生装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、携帯端末に装着されている低解像度のカメラで撮影した楽譜画像の場合、撮影環境の光源の種類や明るさ、カメラ性能や撮影設定、譜面の湾曲や明暗、撮影距離や角度等、様々な撮影状況に起因して、読取画像に色や明暗のムラ、ぼやけ、ゆがみ、ブレなどが生じてしまうため、印刷楽譜をスキャナで読み取った高解像度の楽譜画像に比較して、五線や音符を含む音楽情報の検出精度も期待できず、よほど撮影条件がよい場合を除いて、楽譜画像の正確な旋律や音程の再生が困難であるという課題が存在した。
【0006】
本発明は上記実情に鑑みて提案されたもので、高解像度を要求されない撮像部を使用して楽譜画像を読み取りつつ、譜面の旋律や音程が再生可能な音再生装置及び音再生プログラムを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため本発明は、楽譜の撮影者に撮影時に撮影条件の良し悪しをリアルタイムに把握させることで、撮影条件が良い場合の撮像画像のみを取り込むことができる点に着目したものである。
すわなち、請求項1の発明は、撮像部及び表示部を備えた端末に対して格納される音再生プログラムであって、前記撮像部により楽譜画像を所定時間ごとにサンプリング画像として読み取る機能と、前記サンプリング画像から五線を簡易的に検出する機能と、
簡易的に検出された前記五線の検出五線レベルが所定条件を満たしているか否かを判定する機能と、前記サンプリング画像と前記簡易検出された五線とを対応付けて前記表示部に表示する機能と、前記サンプリング画像における音楽記号情報検出を指示する機能と、前記音楽記号情報検出の指示があった
後に、前記判定機能により初めて所定条件を満たしたと判定された前記サンプリング画像から音楽記号情報を検出する機能と、前記検出された音楽記号情報に基づいて発音する機能とをコンピュータに実行させることを特徴としている。
理想的には、所定時間ごとにサンプリング画像から音楽記号情報を検出することが望まれるが、この処理にはどうしても時間がかかる。そのため、五線のみを簡易的に検出するようにして処理時間を短くし、サンプリング周期をできるだけ短くしている。
【0008】
請求項2は、請求項1の音再生プログラムにおいて、前記サンプリング画像は、予め設定された閾値を境に自動2値化された2値化画像から前記五線の簡易検出が行われ、前記サンプリング画像と前記2値化画像とを対応付けて前記表示部に表示することを特徴としている。
【0009】
請求項3は、請求項1の音再生プログラムにおいて、前記サンプリング画像における前記簡易検出された五線自体を判別可能な態様で表示することを特徴としている。
【0010】
請求項4は、請求項1の音再生プログラムにおいて、前記サンプリング画像における前記簡易検出された五線領域とそれ以外の領域とを判別可能な態様で表示することを特徴としている。
【0011】
請求項5は、請求項1の音再生プログラムにおいて、前記サンプリング画像から五線を簡易検出した際、所定の検出条件を満たした場合にのみ音楽記号情報の検出を自動的に指示することを特徴としている。
【0012】
請求項6は、音再生装置であって、楽譜画像を撮像する撮像手段と、前記楽譜画像を所定時間ごとにサンプリング画像として記録するサンプリング画像記録手段と、前記サンプリング画像から五線を簡易的に検出する簡易五線検出手段と、
簡易的に検出された前記五線の検出五線レベルが所定条件を満たしているか否かを判定する判定手段と、五線が簡易検出されたサンプリング画像について五線、音符音部記号等の音楽記号情報の検出を指示する音楽記号検出スイッチと、
前記音楽記号情報検出の指示があった後に、前記判定手段により初めて所定条件を満たしたと判定されたサンプリング画像から音楽記号情報を検出する音楽記号検出手段と、前記音楽記号情報を表示する楽譜表示手段と、前記楽譜表示手段で表示された音楽記号情報に基づき楽音を再生する楽音再生手段とを備えたことを特徴としている。
【0013】
請求項7は、請求項6の音再生装置において、前記簡易五線検出手段は、前記サンプリング画像を2値化した2値化画像から五線検出を行うとともに、前記サンプリング画像と前記2値化画像とを対応付けて前記表示部に表示する手段を備えることを特徴としている。
【0014】
請求項8は、請求項6の音再生装置において、前記音楽記号検出スイッチは、前記簡易五線検出手段がサンプリング画像から五線を簡易検出するに際し、検出五線が所定の検出条件を満たした場合にのみ音楽記号情報の検出を自動的に指示する手段を備えて成ることを特徴としている。
【0015】
請求項9は、請求項7の音再生装置において、前記サンプリング画像を2値化するに際し、2値化の閾値を調整設定する閾値設定手段を備えて成ることを特徴としている。
【発明の効果】
【0016】
本発明(請求項1及び
請求項6)によれば、端末のユーザが楽譜を撮影するに際し、撮像部が読み取る楽譜画像のサンプリング画像について、五線が簡易検出された場合に、サンプリング画像と検出五線とを対応付けて表示させることにより、撮影時における撮影条件の良し悪しをリアルタイムに把握することができる。そして、五線が簡易検出されたサンプリング画像からの音楽記号情報検出を指示する
に際して、検出五線が所定の検出条件を満たした場合にのみ、音楽記号情報の検出を自動的に指示することで、撮影条件が良い場合のサンプリング画像から音楽記号情報を検出することができるので、楽譜画像を正確な音楽情報として読み取ることができる。
【0017】
請求項2及び請求項7の発明によれば、2値化された画像をサンプリング画像と対応付けて表示することで、撮影環境の良し悪しを把握することができる。
【0018】
請求項3の発明によれば、サンプリング画像に検出された五線自体が判別可能な態様で表示されるので、五線が簡易検出されていることを確認することができ、楽譜画像が正確な音楽情報として読み取り可能であることを端末のユーザが容易に判断することができる。
【0019】
請求項4の発明によれば、サンプリング画像に検出された五線領域とそれ以外の領域とが判別可能な態様で表示されるので、五線が簡易検出されていることを確認することができ、楽譜画像が正確な音楽情報として読み取り可能であることを端末のユーザが容易に判断することができる。
【0020】
請求項5及び請求項8の発明によれば、サンプリング画像から五線が簡易検出された場合に、自動的に音楽記号情報検出の指示が行われることで、ユーザによる操作を必要とすることなく、サンプリング画像から音楽記号情報を検出することができる。
【0021】
請求項9の発明によれば、撮像データ(サンプリング画像)から五線を簡易検出するに際し、2値化の閾値を調整設定する閾値設定手段を備えることで、撮像手段について撮影環境に合わせた感度調整を行うことができる。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、図面を参照しながら本発明の音再生装置の実施形態の一例について説明する。
本発明の音再生装置は、
図1に示すようなスマートフォン等の携帯端末1に構築される。携帯端末1は、CPU、ROMやRAMやハードディスクなどの記憶部を有し、LCDなどの表示部3、表示部3内にタッチパネルとして設定される入力部、楽音を再生するための音源及びスピーカ部を備えて構成されている。そして、携帯端末1の記憶部に、例えばインターネットを介して音再生プログラムが予め格納されることで音再生装置として機能させる。
【0024】
音再生装置は、楽譜画像を読み取る撮像モード、楽譜画像を演奏する演奏モード、楽譜画像の編集を行う編集モードの各モードに切り換え可能に構成される。
本実施例では、プログラムが起動した直後は、表示部3は
図1(b)の撮像モード画面へ遷移する。また、
図1(b)の右下にあるオプションメニューアイコン4により、
図1(a)のオプションメニュー画面を呼び出す。さらに、
図1(b)の下部にあるツールバー5以外の領域内にタッチすることにより、音楽記号情報を直ちに検出して
図1(c)の演奏モード画面へと遷移する。
図1(c)の下部のツールバー5にある鉛筆アイコン6で編集モードに切り替わり、音符演奏アイコン7で演奏モードに切り替わる。
音再生装置を使用して音再生を行う手順については後述する。
【0025】
音再生装置は、
図2に示すように、撮像手段としてのカメラ装置11と、撮像データを記録する画像サンプリング部12と、撮像データから五線を検出する簡易五線検出部13と、撮像データを記録する楽譜画像記憶部14と、撮像データから音楽記号を検出する音楽記号検出部15と、撮像データの音楽記号を記録する音楽記号情報記録部16と、サンプリング画像、検出された簡易五線および音楽情報等を表示する表示装置(楽譜表示手段)17と、音楽記号検出スイッチ18を備えて構成されている。
【0026】
カメラ装置11は、携帯端末1に内蔵され、楽譜原稿に記載された楽譜画像を撮像するものであり、例えば解像度30万画素程度のものが使用される。この値は、公知の楽譜認識装置においてイメージスキャナで読み取った楽譜画像の解像度(1000万画素程度)と比べて桁違いに低いものが使用される。
【0027】
画像サンプリング部12は、所定時間毎に楽譜画像をサンプリング画像として撮像する。サンプリング画像の最新データは、楽譜画像記憶部14に順次書き換えて出力されるとともに、簡易五線検出部13において予め設定された閾値により、この閾値を境に自動的に白画素データと黒画素データとに2値化された2値化画像により簡易五線検出処理がなされる。2値化を行うことで、五線検出を容易とすることに加え、さらにサンプリング画像に対応付けて表示することで
撮像条件の良し悪しをより把握し易くすることができる。
【0028】
また、簡易五線検出部13は、自動2値化の閾値を調整可能に設定できる閾値設定手段を備えていてもよい。閾値の調整は、例えば、
図1(b)の撮像画面において、携帯端末1の表示部3下方に表示された閾値調整バー8の左右位置をユーザが調整することで、可変するようになっている。閾値調整バー8は、サンプリング画像の取り込み時である撮像画面のモードにのみ表示部3の下方のツールバー5内に表示するようになっている。
自動2値化の閾値を調整設定する閾値設定手段を備えることで、楽譜原稿を読み取るに際して、撮影環境に合わせた感度調整をユーザ自身が手動で行うことができ、楽譜画像の読取精度の向上を図ることができる。
【0029】
簡易五線検出部13では、サンプリング画像から楽譜における五線が簡易的に検出される。五線の検出は、従前に行われている公知の方法を採用できる。例えば特開2003−242438に記載されるように、入力された楽譜画像に対して、横方向での黒画素数を加算した加算ヒストグラムに基づいて五線が含まれると推定される矩形を検出し、矩形内の楽譜画像データから五線を検出することが行われる。簡易五線検出とは、五線検出に要する処理時間をできるだけ短くするための検出方法であり、上記の方法に限らず検出精度が多少悪くても、五線が大雑把に検出できるような簡易的な方法でよい。例えば、白画素と黒画素の縦方向の周期性のみから五線領域を検出してもよい。
【0030】
音楽記号検出部15は、楽譜画像記憶部14に記録されたサンプリング画像から、公知の楽譜認識装置において行われている方法により、五線、小節線、音符、音部記号、調号、臨時記号等の音楽記号を検出する。五線の情報は、サンプリング画像における五線位置座標が検出され、五線以外の音楽記号の情報は、少なくとも五線に対するX軸(横方向)及びY軸(縦方向)の位置が検出される。
音楽記号情報記録部16は、サンプリング画像から検出された音符、音部記号等の音楽記号情報を記録する。
【0031】
表示装置17は、簡易五線検出部13で五線が検出された際に、
図1(b)に示すように、表示部3に表示されるサンプリング画像における五線領域の色をサンプリング画像と異なる色で表示(例えば、その領域だけサンプリング画像の赤色成分だけを強くして表示)し、五線領域とそれ以外の領域とが判別可能な態様で表示する処理が行われる。また、五線が検出された場合に表示部3に表示される五線自体をサンプリング画像とは異なる色(例えば、赤線)で表示するようにしてもよい。さらに、五線検出前に行われる2値化処理によって得られた2値化画像を、上記の画像にオーバーラップさせて表示してもよい。
このような処理が行われ、表示部3において、五線領域や2値化画像が示されることで、サンプリングされた楽譜画像から正確な音楽記号情報を読み取り可能であることを携帯端末のユーザが容易に判断することができる。
【0032】
音楽記号検出スイッチ18は、五線が検出されたサンプリング画像が表示部3に表示されている場合(
図1(b)の撮像画面)において、サンプリング画像から音楽記号情報検出を指示するものであり、オン(指示)状態とすることにより、音楽記号検出部15において、楽譜画像記憶部14に記録されたサンプリング画像から音楽記号情報が検出され、音楽記号情報記憶部16に記憶される。
音楽記号検出スイッチ18(シャッターボタン)による検出指示は、ユーザの操作(例えば、
図1(b)の下部にあるツールバー以外の領域にタッチする)により行われる。この例ように、検出指示のためのシャッターボタンは、ユーザがシャッターチャンスを逃さないためにも、できるだけ大きくすると効果的である
【0033】
また、音楽記号検出スイッチ18は、簡易五線検出部13がサンプリング画像から五線を簡易的に検出するに際し、検出五線が所定の検出条件を満たした場合にのみ、音楽記号検出部15における音楽記号情報の検出を自動的に指示する指示手段を備えるものであってよい。
所定の検出条件は、例えば、サンプリング画像の面積に対する検出五線領域の面積の割合であってもよいし、サンプリング画像における検出五線領域の分布傾向であってもよい。この場合、簡易五線検出部13からの五線検出情報が点線で表示される信号線を介して音楽記号検出スイッチ18に入力され、音楽記号検出スイッチ18内の指示手段により検出五線レベルが所定条件を満たして五線が検出された場合に自動的にオン(指示)状態となるようにする。
【0034】
あるいは、ユーザが表示部を確認しながら、ここぞというタイミングでシャッターボタンを操作した際、音楽記号検出スイッチ18内の指示手段が即座に検出指示をオンにするのではなく、検出指示以降に簡易五線検出部13からの五線検出情報が所定の検出条件を満たしたときに初めて検出指示をオンにしてもよい。こうすることにより、ここぞというタイミングと実際にシャッターボタンを操作したタイミングとのタイムラグによる撮影条件の悪化を防止できるし、シャッターボタンを操作した際のカメラのわずかな動きによるサンプリング画像のブレによる検出精度の悪化も防止できる。
【0035】
また、表示部3において演奏位置を示す演奏ポインタを表示するため、演奏ポインタ設定部21、タッチパネル装置22、タッチ位置検出部23を備えている。表示部3に表示される演奏ポインタは、演奏位置が確認できるものであればよく、例えば、指マーク、矢印、五線を跨ぐ縦線等で構成することが考えられる。
すなわち、表示装置17では、表示される音楽記号情報に対して演奏ポインタ設定部21が設定する位置に演奏ポインタが表示される。表示部3全体がタッチパネル装置22を構成し、携帯端末1のユーザが指で表示部3をタッチすることでその位置をタッチ位置検出部23が検出し、タッチした位置を演奏ポインタ設定部21が認識し、表示部3に演奏ポインタの位置を表示するとともに、演奏ポインタに対応する音楽記号情報(音符)に基づいて楽音を再生する楽音再生手段に出力する。
また、タッチ位置検出部23は、表示部3が演奏モード画面(
図1(c))である場合において、後述する演奏モードスイッチ41、編集モードスイッチ51についての検出も行う。
【0036】
楽音再生手段は、音楽記号情報の音符に基づいて音を
生成する楽音
生成部31と、音を再生する楽音再生部32と、スピーカ部等のサウンド出力装置33で構成されている。楽音
生成部31へは、カメラ装置11により撮像され音楽記号が検出されて音楽記号情報記録部16に記憶された音楽記号情報のデータが入力される。
また、楽音
生成部31は、演奏モードスイッチ41により演奏モード選択時において、タッチ位置検出部23からの信号を受けて、楽音生成部31において入力された音楽記号情報に対する演奏ポインタ設定部21で指定された音符に基づいて音を
生成する。
【0037】
また、音再生装置は、表示部3において表示された音楽記号情報を編集するため、編集モードスイッチ51と、音楽記号情報編集部52を備えている。
すなわち、編集モードスイッチ51による編集モード選択時に、表示部3に表示されている音楽記号情報における音符の音高の位置(五線上の位置と音符に付加される臨時記号)の修正や、音符が誤認識された場合(楽譜画像に無い音符が表示された場合)の音符の削除、あるいは音符が認識されなかった場合(楽譜画像にある音符が表示されなかった場合)の音符の追加について行う。この修正は、例えば、修正する音符を指定し、希望の位置に移動する、音符自体を削除する、あるいは指定した任意の位置に新たな音符を追加することで行われる。音楽記号情報編集部52における音符の移動先や削除、追加等に関する修正情報は、音楽記号情報記録部16に出力され、編集後の音楽記号情報に書き換えられ、表示装置17の表示部3で表示される。
【0038】
次に、上述した音再生装置(携帯端末1)を使用して楽譜原稿の楽譜画像を撮像し、演奏させる手順について、主として
図3のフローチャートを参照しながら説明する。楽譜原稿1枚(1ページ)分に記載されている楽譜画像に対して、その全体若しくは一部分の楽譜画像を読み取る例について説明する。
【0039】
プログラムが起動されると、表示部3の撮像画面(
図1(b))へ遷移する。
この状態で携帯端末1のカメラ装置11を楽譜原稿に向けることで、楽譜画像の全体または一部分の楽譜画像についてのサンプリング画像を取り込む(ステップ101)。
画像サンプリング部12は、サンプリング画像を楽譜画像として一時的に記憶する(ステップ102)。サンプリング画像の読取及び記憶は、所定時間ごとに、例えば、毎秒3〜4回行われる。また、このサンプリング画像は、五線検出前のサンプリング画像として表示部3に所定時間ごとに書き換えられて連続的に表示される。
【0040】
次に、簡易五線検出部13において、記録されたサンプリング画像について予め設定された閾値を境に2値化し、2値化されたサンプリング画像から五線を簡易的に検出する(ステップ103)。
そして、表示部3にサンプリング画像及び五線を表示する(ステップ104)。
【0041】
次に、サンプリング画像から五線、小節線、ト音記号やヘ音記号等の音部記号、及び、音符、調号、臨時記号等の音楽記号の検出が指示されたか否かを判断する(ステップ105)。音楽記号の検出が指示されない場合は、ステップ101に戻ってサンプリング画像の取り込みが行われ、以後、音楽記号の検出が指示されるまでこの処理が繰り返して行われる。また、この段階では、五線の簡易検出(ステップ103)が行われ、表示部3に楽譜画像(サンプリング画像)および簡易検出された五線を表示する(ステップ104)。これにより、撮影条件の良し悪しをユーザにリアルタイムで知らせることができ、少しでも検出精度に有利なタイミングで音楽記号の検出をユーザが指示できるようにする。
【0042】
音部記号情報の検出が指示された場合(ステップ105)、直ちに音楽記号情報を検出(ステップ106)し、
図1(c)の演奏画面へと遷移する。この画面では、表示部3において五線、音符、音部記号等の情報を含む音楽記号情報を表示する(ステップ107)。このとき、検出された音楽記号情報を、サンプリング画像にオーバーラップさせて表示するようにすると、演奏操作や編集操作がやり易くなる。
以上の操作で楽譜画像の読取作業が終了する。
【0043】
ところで、楽譜画像の一部分のみを撮像する場合、音部記号や調号が含まれないことも考えられる。
このような場合、音符における絶対的な音高の値が確定するには、音部記号や調号の情報が必要になる。そのようなときには、以前に音部記号や調号が含まれた部分の楽譜画像を読み取った際に、音楽記号検出部15により音部記号や調号を含む音楽記号を検出して音楽記号情報記録部16に記憶し、後の楽譜原稿の一部分の読み取りに際しては、既に読み取った音部記号や調号の情報を反映するようにしてもよい。あるいは、ユーザに音部記号や調号を設定させる手段を画面上に設けてもよい。
【0044】
続いて、読み取られた楽譜画像についての演奏処理について説明する。
表示部3演奏画面(
図1(c))において、ユーザが指で演奏したい五線部分を触れると、記憶した音楽記号情報における位置をタッチ位置として検出する(ステップ108)。
このタッチ位置に応じて位置が更新された演奏ポインタを表示部3に表示する(ステップ109)。演奏ポインタ位置における発音対象の音符の有無を判断し(ステップ110)、無い場合は、ステップ108のタッチ位置の検出を繰り返し行って、演奏ポインタ位置更新及び表示を行う(ステップ109)。演奏ポインタ位置における発音対象の音符の有無は、例えば演奏ポインタの更新前のX位置と更新後のX位置との間に、タッチ位置に応じた五線内にある音符が存在するか否かの判断により行われる。
【0045】
この処理が繰り返して行われ、演奏ポインタの位置に発音対象の音符が有った場合(ステップ110)は楽音生成し(ステップ111)、楽音に基づいて楽音再生が行われ(ステップ112)、楽譜演奏終了が選択されるまで(ステップ113)上述した処理が繰り返して行われる。五線における同位置に発音対象の音符が複数存在する場合は、和音として楽音再生が行われる。
【0046】
このように音符を発音することにより、ユーザが演奏したい五線上で連続的に指をすべらせれば、すべらせた通りに楽譜の旋律を再生させることができる。例えば、五線上を右から左へと指をすべらせることで楽譜を逆方向に演奏させたり、特定場所で繰り返して指をすべらせたりすることで、即興演奏を楽しむこともできる。
楽譜を苦手としているような合唱や楽器の練習者にとっては、特定部分の音符だけを何度も鳴らすことで、歌う前や楽器を演奏する前に音の高さを確認することができるので、まことに都合が良い。
【0047】
この例では、ユーザが指で演奏したい五線部分を連続的に触れることで、触れた速度に応じて楽譜の旋律を再生させるようにしたが、楽譜画像が読み取られて音楽記号情報が表示された場合(ステップ107)、例えば携帯端末1の表示部3内に表示された再生ボタン(音再生開始)を選択し、読み取られた音楽記号情報の音符の全てを発音することで、旋律を自動的に再生するようにしてもよい。その際、楽譜に表示された正確な旋律を再生するため、音符の長さ(2分音符、4分音符、8分音符等)や休符の種類を音楽記号情報として検出するようにするのが好ましい。音符や休符の長さは、音符を検出する場合の画像データ(音符の種類)で判定することができる。
【0048】
上述した音再生装置によれば、ユーザが楽譜原稿を撮影するに際し、撮像部が読み取る楽譜画像のサンプリング画像について、五線が検出された場合(ステップ107)は五線領域や五線自体を判別可能な態様で表示することで、撮影時における撮影条件の良し悪しをリアルタイムに把握することができる。
撮影条件が良い場合のサンプリング画像を自動的に、又は、スイッチの操作によりユーザの判断で取り込むことで、楽譜画像を正確な音楽記号情報として読み取ることができるので、比較的に低解像度のカメラ装置(撮像部)を使用した場合においても、楽譜認識の精度を向上させることができる。
携帯端末1に内蔵されたカメラ装置11で楽譜画像から読み取った音楽記号情報から楽音を再生することで、楽譜に表示された旋律、音程、和音を簡単な操作で即座に容易に確認することができる。