【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の多極単頭プラグは、先端で露出する棒状電極と、前記棒状電極の外周の所定位置に離間して設けられ、前記棒状電極の先端露出部分よりも根本側で外周にそれぞれ露出する複数の曲状電極と、前記棒状電極と前記曲状電極との間の絶縁部、及び前記曲状電極相互の間の絶縁部から構成される絶縁体とを備え、前記絶縁体の一部であるインサート成形の絶縁樹脂により一体化されている多極単頭プラグであって、少なくとも一の前記絶縁部
が前部と中間部と後部とから構成され、前記中間部が前記前部及び前記後部とは別体で且つ前記インサート成形の絶縁樹脂とは別体の絶縁材であり、前記別体の絶縁材が、少なくとも前記棒状電極若しくは一の前記曲状電極の外周の所定領域を被覆するように設けられていることを特徴とする。
この構成によれば、絶縁部の中間部を別体の絶縁材とすることにより、インサート成形の絶縁樹脂の充填状態に関わらすに当該箇所の絶縁を確実に行うことができると共に、例えば他の絶縁部の空間が狭い中間部に対応する樹脂流路を拡げて絶縁樹脂を厚くする或いはこの樹脂流路に相当する箇所に同様の別体の絶縁材を設ける等で、他の絶縁部の中間部など空間が狭い箇所でも絶縁を確実に行うことができる。従って、多極単頭プラグの極数が多い場合でも、電極相互の絶縁性の確保や短絡防止を確実に図ることができ、多極単頭プラグの歩留まりを大幅に高めることができる。
【0010】
本発明の多極単頭プラグは、前記曲状電極が筒状電極であり、前記筒状電極を前記棒状電極の外周に同心円状に設けられるもの、即ち、先端で露出する棒状電極と、前記棒状電極の外周に同心円状に設けられ、前記棒状電極の先端露出部分よりも根本側で外周にそれぞれ露出する複数の筒状電極と、前記棒状電極と前記筒状電極との間の絶縁部、及び前記筒状電極相互の間の絶縁部から構成される絶縁体とを備え、前記絶縁体の一部であるインサート成形の絶縁樹脂により一体化されている多極単頭プラグであって、少なくとも一の前記絶縁部の中間部が、前記インサート成形の絶縁樹脂とは別体の絶縁材であり、前記別体の絶縁材が、少なくとも前記棒状電極若しくは一の前記筒状電極の外周の所定領域を被覆するように設けられていることを特徴とする。
この構成によれば、絶縁部の中間部を別体の絶縁材とすることにより、インサート成形の絶縁樹脂の充填状態に関わらすに当該箇所の絶縁を確実に行うことができると共に、例えば他の絶縁部の空間が狭い中間部に対応する樹脂流路を拡げて絶縁樹脂を厚くする或いはこの樹脂流路に相当する箇所に同様の別体の絶縁材を設ける等で、他の絶縁部の中間部など空間が狭い箇所でも絶縁を確実に行うことができる。従って、棒状電極と筒状電極を有する多極単頭プラグの極数が多い場合でも、電極相互の絶縁性の確保や短絡防止を確実に図ることができ、多極単頭プラグの歩留まりを大幅に高めることができる。
【0011】
本発明の多極単頭プラグは、前記別体の絶縁材が円筒形の絶縁材であり、前記円筒形の別体の絶縁材が、前記棒状電極と前記筒状電極との間、若しくは前記筒状電極相互の間の円筒形で軸方向に延びる隘路に対応して設けられることを特徴とする。
この構成によれば、絶縁部の隘路に限定して必要最小限の箇所に別体の絶縁材を設けることができると共に、別体の絶縁材の形状を円筒形で単純化することができ、製造コストの低減、製造プロセスの効率化を図ることができる。また、棒状電極と筒状電極との間や筒状電極相互の間に同心円状の隘路の絶縁必要箇所が設けられる構造である場合に、円筒形の絶縁材を用いて各絶縁部の厚みを調整することが容易となる。
【0012】
本発明の多極単頭プラグは、前記中間部が前記別体の絶縁材である絶縁部の前部が絶縁カラーであることを特徴とする。
この構成によれば、絶縁部の前部として絶縁カラーを設けることにより、絶縁部の前部に対応してインサート成形の絶縁樹脂の注入口を設ける必要や複数の注入口を設ける必要がなくなり、既存の設備をそのまま利用することを可能にして、製造コストを低減することができる。
【0013】
本発明の多極単頭プラグは、前記別体の絶縁材と前記絶縁カラーとが係合するように設けられることを特徴とする。
この構成によれば、別体の絶縁材と絶縁カラーとの密着を確実にし、絶縁性をより確実に確保することができる。
【0014】
本発明の多極単頭プラグは、前記別体の絶縁材が電着塗装部であることを特徴とする。
この構成によれば、別体の絶縁材を電着塗装で形成することにより、別体の絶縁材の層厚の均一性を高め、絶縁の均一性や安定性の向上を図ることができる。また、別体の絶縁材の耐圧性を高めることができる。また、所望の領域に自在に制御して別体の絶縁材を形成することができ、別体の絶縁材の形成領域の自由度を高めることができる。
【0015】
本発明の多極単頭プラグは、前記別体の絶縁材が絶縁チューブであることを特徴とする。
この構成によれば、別体の絶縁材を絶縁チューブとすることにより、電極表面に容易に組み込むことができる。また、別体の絶縁材の層厚を容易に制御することができる。また、汎用品のチューブを使用することが可能となり、別体の絶縁材の製造コスト低減、製造プロセスの効率化を図ることができる。
【0016】
本発明の多極単頭プラグは、前記絶縁体が、前記別体の絶縁材を前記中間部に有する絶縁部と、全体が前記インサート成形の絶縁樹脂で形成されている絶縁部とから構成されていることを特徴とする。
この構成によれば、別体の絶縁材によってインサート成形の絶縁樹脂の充填状態に関わらすに当該箇所の絶縁を確実に行うことができると共に、全体がインサート成形の絶縁樹脂で形成されている絶縁部において、空間が狭い中間部に対応する樹脂流路を拡げて絶縁樹脂を厚くし、絶縁を確実に行うことができる。また、電着塗装工程若しくは絶縁チューブの組込工程など別体の絶縁材を設ける工程数を最小限にし、製造工程の効率化、製造コストの低減を図ることができる。
【0017】
本発明の多極単頭プラグは、前記棒状電極と前記筒状電極との間の絶縁部と、最外側の前記筒状電極相互の間の絶縁部との間に位置する、前記筒状電極相互の間の複数の絶縁部を、前記別体の絶縁材を前記中間部に有するものとすることを特徴とする。
この構成によれば、絶縁樹脂の流路が狭くなって筒状電極の偏心の影響が大きくなりがちな最外側と最内側の間の絶縁部に別体の絶縁材を設け、多極単頭プラグの極数がより多い場合でも、電極相互の絶縁性の確保や短絡防止をより確実に図ることができ、多極単頭プラグの歩留まりを一層大幅に高めることができる。
【0018】
本発明の多極単頭プラグは、前記絶縁体を構成する前記絶縁部の全てが、前記別体の絶縁材を前記中間部に有する絶縁部であることを特徴とする。
この構成によれば、絶縁樹脂の注入圧の増加による電極の偏心で絶縁樹脂の注入や良好な絶縁が阻害されることを無くし、絶縁部の全てにおいて、空間が狭い中間部の絶縁を別体の絶縁材で確実に行うことができる。従って、歩留まりをより一層向上することができる。
【0019】
本発明の多極単頭プラグは、前記別体の絶縁材の厚みが0.008mm〜0.15mmであることを特徴とする。
この構成によれば、電着塗装で形成された別体の絶縁材の厚みや、絶縁チューブの別体の絶縁材の厚みなど別体の絶縁材の厚みを所定範囲とすることにより、多極単頭プラグの極数が4極、5極或いはそれよりも多い極数の場合でも、最小限の絶縁部の厚みを確保して、中間部の絶縁を確実に行うことができると共に、絶縁部の厚さが過大にならないようにして、日本工業規格や電子情報技術産業協会規格の単頭プラグ・ジャックの規格との互換性を確実に確保することができる。また、絶縁樹脂のインサート成形で充分な場合には適用せず、絶縁樹脂のインサート成形の不充分な状態が生ずる可能性が高い中間部の厚さ以下の場合に適用を限定することが可能となり、製造コストの低減、製造プロセスの効率化の効果を確実に得ることができる。
【0020】
本発明の多極単頭プラグの製造方法は、先端で露出する棒状電極と、前記棒状電極の外周に同心円状に設けられ、前記棒状電極の先端露出部分よりも根本側で外周にそれぞれ露出する複数の筒状電極と、前記棒状電極と前記筒状電極との間の絶縁部、及び前記筒状電極相互の間の絶縁部から構成される絶縁体とを備え、前記絶縁体の一部であるインサート成形の絶縁樹脂により一体化されている多極単頭プラグの製造方法であって、
前部と中間部と後部とから構成される少なくとも一の絶縁部の前記前部及び前記後部とは別体の前記中間部となる、前記インサート成形の絶縁樹脂とは別体の絶縁材を、少なくとも前記棒状電極若しくは一の前記筒状電極の外周の所定領域を被覆するよう
に設ける第1工程と、前記棒状電極と前記複数の筒状電極を金型内に配置する第2工程と、前記金型内に絶縁樹脂を注入し、前記別体の絶縁材に前記絶縁樹脂を密着させて形成する絶縁部を含む絶縁体を形成して、前記棒状電極と前記複数の筒状電極と前記絶縁体とを一体化する第3工程とを有することを特徴とする。
この構成によれば、絶縁部の中間部を別体の絶縁材とすることにより、インサート成形の絶縁樹脂の充填状態に関わらずに当該箇所の絶縁を確実に行うことができると共に、例えば他の絶縁部の空間が狭い中間部に対応する樹脂流路を拡げて絶縁樹脂を厚くする或いはこの樹脂流路に相当する箇所に同様の別体の絶縁材を設ける等で、他の絶縁部の中間部など空間が狭い箇所でも絶縁を確実に行うことができる。従って、多極単頭プラグの極数が多い場合でも、電極相互の絶縁性の確保や短絡防止を確実に図ることができ、多極単頭プラグの歩留まりを大幅に高めることができる。また、別体の絶縁材を有する電極を金型に配置し、絶縁樹脂を注入することにより、別体の絶縁材を絶縁体の一部として簡単に且つ強固に一体化することができる。
【0021】
本発明の多極単頭プラグの製造方法は、前記第1工程において、少なくとも一の前記筒状電極の外周の所定領域を被覆するように電着塗装して別体の絶縁材である電着塗装部を設け、前記別体の絶縁材を設けた前記筒状電極の外周露出部分の側面に当接するようにして絶縁カラーを嵌め込む工程を行うことを特徴とする。
この構成によれば、電着塗装による電極の所定領域の確実な被覆、絶縁カラーの所定位置への確実な配置を行えると共に、絶縁カラーと電着塗装の別体の絶縁材との密着を確実に行うことができる。
【0022】
本発明の多極単頭プラグの製造方法は、前記第1工程において、少なくとも一の前記筒状電極の外周露出部分の側面に当接するようにして絶縁カラーを嵌め込み、前記絶縁カラーに係合するようにし、且つ前記筒状電極の外周の所定領域を被覆するようにして絶縁チューブを嵌め込む工程を行うことを特徴とする。
この構成によれば、絶縁チューブによる電極の所定領域の確実な被覆、絶縁カラーの所定位置への確実な配置を行えると共に、絶縁カラーと絶縁チューブとの密着を確実に行うことができる。
【0023】
本発明の電子機器は、本発明の多極単頭プラグを備えることを特徴とする。
この構成によれば、本発明の多極単頭プラグの効果を有する周辺電子機器など電子機器を得ることができる。