特許第5765858号(P5765858)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5765858
(24)【登録日】2015年6月26日
(45)【発行日】2015年8月19日
(54)【発明の名称】研磨パッド
(51)【国際特許分類】
   B24B 37/24 20120101AFI20150730BHJP
   H01L 21/304 20060101ALN20150730BHJP
【FI】
   B24B37/00 L
   !H01L21/304 622F
【請求項の数】3
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2012-264968(P2012-264968)
(22)【出願日】2012年12月4日
(65)【公開番号】特開2014-108498(P2014-108498A)
(43)【公開日】2014年6月12日
【審査請求日】2014年9月5日
(73)【特許権者】
【識別番号】503267238
【氏名又は名称】丸石産業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000268
【氏名又は名称】特許業務法人田中・岡崎アンドアソシエイツ
(72)【発明者】
【氏名】矢島 利康
(72)【発明者】
【氏名】二宮 大輔
【審査官】 亀田 貴志
(56)【参考文献】
【文献】 特開2011−000671(JP,A)
【文献】 特開2010−234458(JP,A)
【文献】 特開2011−183495(JP,A)
【文献】 特開2005−052936(JP,A)
【文献】 特開2008−162240(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B24B 37/24
H01L 21/304
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基材と吸着層とからなる吸着材と、研磨層とが接合されてなる研磨パッドにおいて、
前記吸着層は、両末端にのみビニル基を有する直鎖状ポリオルガノシロキサンからなるシリコーン、両末端及び側鎖にビニル基を有する直鎖状ポリオルガノシロキサンからなるシリコーン、末端にのみビニル基を有する分岐状ポリオルガノシロキサンからなるシリコーン、及び末端及び側鎖にビニル基を有する分岐状ポリオルガノシロキサンからなるシリコーンから選ばれる少なくとも1種のシリコーンを架橋させてなる組成物からなるものであり、
前記吸着層の厚さは、20〜30μmであり、
前記吸着層は、その表面粗さの平均値Saが0.02〜0.06μmであると共に、吸着層の中心部の表面粗さ(Sc)とSaとの差、及び、吸着層の端部の表面粗さ(So)とSaとの差がいずれも0.02μm以下であること特徴とする研磨パッド。
【請求項2】
吸着材の基材は、破断強度210〜290MPa、破断伸度80〜130%の樹脂からなる請求項1に記載の研磨パッド。
【請求項3】
基材の厚さは、50〜200μmである請求項1又は請求項2に記載の研磨パッド。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体部品、電子部品等で使用される半導体ウエハ等の被研磨部材の研磨工程で使用される研磨パッドに関する。詳しくは被研磨部材の研磨加工において、その作業効率を向上させると共に、研磨面の平坦性を高めることのできる研磨パッドに関する。
【背景技術】
【0002】
半導体ウエハ、ディスプレイ用ガラス基板、ハードディスク用基板といった半導体部品、電子部品の製造プロセスにおいては、その表面の平坦化、鏡面化のための研磨工程が含まれる。研磨工程においては、一般に、被研磨部材を研磨装置の一方の定盤に保持し、研磨パッドを他方の定盤に固定して、研磨スラリーを供給しながら、被研磨部材と研磨パッドを加圧した状態で相対的に摺動させることによって行われる。
【0003】
ここで、研磨パッドの定盤への固定方法としては、従来は、粘着テープ等の粘着剤を介した粘着固定によるものであった。しかし、かかる固定方法は、研磨パッドの固定作業や交換作業に手間がかかり、研磨工程の作業効率を大きく低下させる要因であった。即ち、研磨パッドを定盤へ粘着固定する際には、研磨パッドの平坦度を確保するため、定盤と研磨パッドとの間に空気層ができないよう注意しながら徐々に貼り付ける必要がある。そして、定盤と粘着テープとの間に空気層が形成されてしまった場合、粘着テープを一旦剥がして空気層を潰し再度貼り付けなければならず時間のロスが生じていた。
【0004】
また、研磨パッドの交換作業においては、古い研磨パッドを定盤から剥がす必要があるが、その際に定盤に粘着剤が残る場合がある。その場合、新しい研磨パッドの固定前に、定盤に残った粘着剤を溶剤等で除去し清掃する工程が必要となり、交換作業を手間取らせるものであった。
【0005】
このような従来の粘着剤による研磨パッドに対し、本願発明者等は、研磨パッドの固定・交換作業を容易に行うことのできる研磨パッドを開発している(特許文献1)。この研磨パッドは、図2のように、研磨層の裏面(定盤側の面)に所定構成の吸着材を設けたものである。ここでの吸着材は、文字通りその吸着作用により研磨パッドを定盤に固定させるものであり、従来用いられていた粘着剤ような粘り気による固定とは相違し、定盤から剥がす際に、残留物を残すことはない。また、剥がした後の再貼り付けも容易であることから、研磨パッドの剥離・固定をスムーズに行うことができ、交換作業を効率的に行うことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】実用新案登録第3166396号明細書
【0007】
ところで、半導体部品の高密度化、高繊細化により、研磨製品に対する高平坦度への要求は厳しくなる一方である。通常、研磨精度への要求については、被研磨材の研磨面における環境改善、特に、研磨剤(研磨スラリー)の特性改善によるところが大きいと考えられる。
【0008】
しかし、研磨パッドの状態による研磨精度への影響も考慮すべきであり、特に、近年、ウエハやディスプレイパネルの大径化、大面積化の進行を考慮すると、研磨剤の改良のみでは十分な対応が困難となっている。そこで、本発明は、上記吸着層を備える研磨パッドについて、研磨面の高精度化の一助となることができ、研磨面の大面積化にも対応可能なものを提供する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明者等は上記目的のため、吸着材を備えた本発明者等による研磨パッドの構成に基づき、各構成の性状を調整しつつ研磨性能に対する作用を検討した。特に、吸着材を構成する吸着層及び基材の諸特性が研磨性能に及ぼす影響に着目して検討を進めることで本発明に想到した。
【0010】
即ち、本発明は、基材と吸着層とからなる吸着材と、研磨層とが接合されてなる研磨パッドにおいて、前記吸着層は、両末端にのみビニル基を有する直鎖状ポリオルガノシロキサンからなるシリコーン、両末端及び側鎖にビニル基を有する直鎖状ポリオルガノシロキサンからなるシリコーン、末端にのみビニル基を有する分岐状ポリオルガノシロキサンからなるシリコーン、及び末端及び側鎖にビニル基を有する分岐状ポリオルガノシロキサンからなるシリコーンから選ばれる少なくとも1種のシリコーンを架橋させてなる組成物からなるものであり、前記吸着層は、その表面粗さの平均値Saが0.02〜0.06μmであること特徴とする研磨パッドである。
【0011】
以下、本発明について詳細に説明する。上記の通り、本発明は、吸着層の定盤と接触する面の表面粗さについて規定することで、好適な研磨作業を行うことのできる研磨パッドとするものである。本発明者等による吸着材を備える研磨パッドは、定盤への固定時において、吸着層の作用により剪断力(横方向の固定強度)が高い一方で、剥離力(縦方向の固定強度)が低いという特性を有する。このような定盤に対する剪断力と剥離力との関係により、研磨パッドの交換作業を容易なものとしつつ、研磨作業中は研磨パッドのずれを抑制するという効果が発揮される。また、定盤に対する剥離力が低いとはいっても、それは相対的なものであり、研磨作業中に研磨パッドが外れる、或いは、吸着層と定盤との間に空間が生じるというほど弱い力ではない。
【0012】
但し、本発明者等の検討によると、吸着層と定盤との界面が上記のような状態にある場合、吸着層の表面粗さは、研磨作業時の研磨力の面内均一性に微小な影響を及ぼし得る。この面内均一性に対する影響は、さほど大きいものではないが、研磨面に対し超高繊細な平坦度を要求する場合や、被研磨面の面積が増大する場合においては無視できない影響を及ぼす。
【0013】
本発明に係る吸着材を備える研磨パッドは、上記のような理由から、吸着層の表面粗さを規定するものである。この表面粗さについては、0.06μm以下であることを要する。0.06μmを超えると研磨力の面内均一性に影響が生じ得るからである。一方、その下限値については、本来制限されるべきではないが製造可能な最小値として0.02μmである。尚、ここでの表面粗さとは、算術平均粗さ(Ra)である。
【0014】
また、吸着層の表面粗さとは、吸着層面内の平均の意義であり、吸着層の中心部、端部(外周部)等の複数部分の表面粗さについての測定値の平均である。好ましくは、吸着層の中心部と両端部の3点についての表面粗さの平均値を採用する。そして、より好適な研磨性能を発揮させるためには、吸着層の表面粗さに均一性があることが好ましい。具体的には、吸着層の中心部の表面粗さ(Sc)及び吸着層の端部の表面粗さ(So)について、ScとSaとの差、及び、SoとSaとの差がいずれも0.02μm以下であることが好ましい。尚、吸着層の端部の表面粗さについては、研磨パッド直径の双方の両端で前記関係を具備することが好ましい。
【0015】
吸着層の材質については、基本的に、上記した本発明者等による従来の研磨パッドで適用されるものと同様である。即ち、両末端にのみビニル基を有する直鎖状ポリオルガノシロキサンからなるシリコーン、両末端及び側鎖にビニル基を有する直鎖状ポリオルガノシロキサンからなるシリコーン、末端にのみビニル基を有する分岐状ポリオルガノシロキサンからなるシリコーン、及び末端及び側鎖にビニル基を有する分岐状ポリオルガノシロキサンからなるシリコーンから選ばれる少なくとも1種のシリコーンを架橋させてなる組成物を積層して形成している。
【0016】
上記のシリコーンの具体例としては、直鎖状ポリオルガノシロキサンの例として化1の化合物が挙げられる。また、分枝状ポリオルガノシロキサンの例として化2の化合物が挙げられる
【0017】
【化1】
(式中Rは下記有機基、nは整数を表す)
【0018】
【化2】
(式中Rは下記有機基、m、nは整数を表す)
【0019】
化1、化2において置換基(R)の具体例としてはメチル基、エチル基、プロピル基等のアルキル基、フェニル基、トリル基、等のアリール基、又はこれらの基の炭素原子に結合した水素原子の一部又は全部をハロゲン原子、シアノ基等で置換した同種又は異種の非置換又は置換の脂肪族不飽和基を除く1価炭化水素基が挙げられる。好ましくはその少なくとも50モル%がメチル基であるものである。置換基は異種でも同種でもよい。また、このポリシロキサンは単独でも2種以上の混合物であってもよい。
【0020】
また、吸着層を構成するシリコーンは、数平均分子量が30000〜100000のものが好適な吸着作用を有する。但し、表面粗さの調整にあっては、適用するシリコーンの数平均分子量と製造段階における焼成温度が影響を及ぼす。好適な表面粗さを容易に発揮させるためシリコーンの数平均分子量は、30000〜60000のものが好ましい。
【0021】
そして、本発明では、吸着層と共に吸着材を構成する基材の物性についても一定の制限を設定するのが好ましい。基材とは、薄い有機物からなる吸着層の取扱い性を確保するための支持部材である。従って、基材は本来、研磨パッドの研磨性能を考慮して適用されるものではないが、本発明者等によると、基材について破断強度及び破断伸度を適切なものを適用することで、より好適な研磨性能を発揮することができる。ここで設定すべき基材の物性は、破断強度及び破断伸度であり、破断強度については210〜290MPa、破断伸度80〜130%とするのが好ましい。より好ましくは、破断強度が210〜240MPaであり、破断伸度が110〜130%である。尚、この引張強度は、乾燥時に測定される値とする。
【0022】
基材は、上記の破断強度、破断伸度を有するシート状の樹脂材料が適用される。具体的には、ポリエステル、ポリエチレン、ポリスチレン、ポリプロピレン、ナイロン、ウレタン、ポリ塩化ビニリデン、ポリ塩化ビニル等の樹脂である。好ましくは、ポリエステル系樹脂材料であり、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)であり、特に好ましいのはPETである。基材は、単層でも良いが複数の樹脂で多層構造としても良い。
【0023】
吸着材は、吸着層と基材とから構成されるが、吸着層の厚さは20〜30μmとするのが好ましい。また、基材の厚さは、50〜200μmとするのが好ましい。基材と吸着層は密着接合されていることが好ましい。
【0024】
吸着材の作製は、基材に吸着層となるシリコーン成分を含有する塗工液を塗布して焼成することでポリオルガノシロキサンが架橋し吸着層が形成される。塗工液は、上記直鎖状、分枝状ポリオルガノシロキサン化合物と架橋剤を含む。架橋剤は公知のもので良いが、例えば、オルガノハイドロジェンポリシロキサンが挙げられる。オルガノハイドロジェンポリシロキサンは1分子中にケイ素原子に結合した水素原子を少なくとも3個有するものであるが、実用上からは分子中に2個の≡SiH結合を有するものをその全量の50重量%までとし、残余を分子中に少なくとも3個の≡SiH結合を含むものとすることが好ましい。
【0025】
塗工液は、架橋反応で用いる白金系触媒を含んでいても良い。白金系触媒は、公知のものが適用され、例えば、塩化第一白金酸、塩化第二白金酸等の塩化白金酸、塩化白金酸のアルコール化合物、アルデヒド化合物あるいは塩化白金酸と各種オレフィンとの鎖塩等が挙げられる。また、塗工液は、無溶剤型、溶剤型、エマルション型のいずれの形態でも良い。溶剤型塗工液を使用する場合、塗布後に乾燥し溶媒を除去することが好ましい。塗工液塗布後の焼成は、120〜180℃で60〜150秒加熱するのが好ましい。
【0026】
本発明に係る研磨パッドは、吸着材に研磨層を接合して形成される。研磨層は、一般的な研磨パッドで適用される研磨布が適用する。例えば、ナイロン、ポリウレタン、ポリエチレンテレフタレート等で形成された不織布、発泡成形体等が適用できる。また、その表面(研磨面)の形状は、平坦であるものに限られず、研磨剤を保持するための溝等を適宜形成しても良い。研磨層となる研磨布の厚さは、0.5〜3mmのものが用いられる。
【0027】
研磨層と基材との接合方法も公知の方法でよく、例えば接着剤、粘着剤等を用いて両者を接合すればよい。
【発明の効果】
【0028】
本発明に係る研磨パッドは、吸着層の適用により、研磨パッドの交換、固定作業の作業性が向上されており、その上で研磨面の高精度化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
図1】本実施形態で使用した研磨装置の概略図。
図2】吸着材を備える研磨パッドの構成を説明する図。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下、本発明の好適な実施形態を説明する。本実施形態では、構成の相違する複数の吸着材を研磨層に接合した研磨パッドを製作し、それらの研磨特性を評価した。
【0031】
(吸着材の製作)
各種樹脂材料(PET、PEN、PVC)からなる基材(厚さ50μm、寸法φ810mm)に、ポリオルガノシロキサンからなるシリコーン成分を含有する塗工液を塗布した。塗工液は、両末端にのみビニル基を有する直鎖状ポリオルガノシロキサンからなるシリコーン(分子量30000)100重量部に架橋剤0.6重量部、白金触媒2重量部を含む無溶剤型のシリコーン液である。この塗工液を基材に塗布した後、150〜160℃で100秒間焼成しシリコーンを架橋させて吸着層を形成した。架橋後の吸着層の厚さはいずれも25μmであった。
【0032】
(研磨パッドの製作)
研磨層となる研磨布は、汎用タイプのスエード調の研磨布(型番7355−000F)であり、ナップ長450μm、厚さ1.37mmの円形の研磨布である。研磨層と吸着材を接着して一体化して研磨パッドとした。研磨層と吸着材との接着は、アクリル系接着剤で接合した。
【0033】
製造した複数種の研磨パッドについて、吸着層の表面粗さを測定した。表面粗さの測定は、JIS B0601−1994に基づき、表面粗さ測定器にて送り速度0.1mm/sec、カットオフ値0.08mm、測定長さ1.6mm×5とした。そして、表面粗さ測定後、各研磨パッドを使用してシリコンウエハの研磨を行い、研磨特性を評価した。ここでの評価内容は以下の通りである。
【0034】
(研磨傷評価)
図1で示す研磨装置の定盤に研磨パッドを貼り付け、実際に被研磨部材としてシリコンウエハ(φ8インチ)を研磨した。研磨工程においては、研磨スラリー(Glanzox(株式会社フジミインコーポレーテッド製)を純水で30倍に希釈したもの)を研磨層に滴下した(流量150ml/min)。その他の研磨条件は、下記の通りとした。
・研磨圧力:0.163kgf/cm2
研磨パッドの回転速度:45rpm
被研磨部材の回転速度:47rpm。
・ヘッドの揺動速度:250mm/min。
・研磨時間:3min
【0035】
研磨後、ウエハの被研磨面を純水で洗浄し、無塵状態で乾燥させた後、研磨面を観察し、傷の大きさと数を数え、100点満点からの減点法にて評価した。このとき、大きい傷は減点を大きくした。評価結果に関しては、95点以上100点以下を「◎」とし、90点以上95点未満を「○」とし、85点以上90点未満を「△」とし、更に、85点未満を「×」とした。
【0036】
(面内均一性評価)
研磨後のシリコンウエハ表面の酸化膜の膜厚測定を行い、研磨面の均一性を評価した。酸化膜の膜厚測定には、干渉式膜厚測定装置(大塚電子社製)を用いた。面内均一性は、シリコンウエハに熱酸化膜が1μm堆積したサンプルを用いて上記と同じ研磨条件にて1分間研磨を行い、ウエハ上の特定位置25点の研磨前後の膜厚測定値から研磨速度最大値(Rmax)と研磨速度最小値(Rmin)を求め、下記式により面内均一性を算出した。評価結果に関しては、5%以下を「◎」とし、5%超8%以下を「○」とし、10%以下を「△」とし、10%を超えたもの「×」とした。
【0037】
【数1】
【0038】
以上の評価結果を表1に示す。尚、以上の物性測定及び研磨特性評価は、比較例として従来の吸着材付研磨パッドについても行っている。
【0039】
【表1】
【0040】
表1から、傷評価と面内均一性の双方について許容可能なものとするためには、その必須条件として吸着層の表面粗さの平均を制限することが必要であることが確認できる。比較例は、傷評価は良好であるが、面内均一性が劣っているからである。そして、面内均一性をより高精度なものとするためには、吸着層の表面粗さの均一性が確保されていることが要求され、中心部(Sc)と端部(So)との差が小さい方が好ましい。更に、吸着層の基材についても破断強度、破断伸度を好適にするとより好ましい研磨特性を示す。
【産業上の利用可能性】
【0041】
以上説明したように、本発明に係る研磨パッドは、吸着材を設けたことによる利便性を備えながらも、平坦性の良い高品質の研磨面を形成させることができる。本発明によれば、大径化、大面積化が進むウエハやディスプレイパネルに対しても、高精度な研磨面を形成することができる。
図1
図2