特許第5765868号(P5765868)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5765868ロボット制御式の記録装置、ならびにこれに対応する方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5765868
(24)【登録日】2015年6月26日
(45)【発行日】2015年8月19日
(54)【発明の名称】ロボット制御式の記録装置、ならびにこれに対応する方法
(51)【国際特許分類】
   A61B 6/00 20060101AFI20150730BHJP
【FI】
   A61B6/00 300D
   A61B6/00 300X
【請求項の数】8
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2007-160070(P2007-160070)
(22)【出願日】2007年6月18日
(65)【公開番号】特開2008-601(P2008-601A)
(43)【公開日】2008年1月10日
【審査請求日】2010年5月28日
【審判番号】不服2013-22061(P2013-22061/J1)
【審判請求日】2013年11月11日
(31)【優先権主張番号】102006028327.9
(32)【優先日】2006年6月20日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】390039413
【氏名又は名称】シーメンス アクチエンゲゼルシヤフト
【氏名又は名称原語表記】Siemens Aktiengesellschaft
(74)【代理人】
【識別番号】100075166
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 巖
(74)【代理人】
【識別番号】100133167
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 浩
(72)【発明者】
【氏名】ヴィンフリート ルルツ
(72)【発明者】
【氏名】マンフレート シェーンボルン
【合議体】
【審判長】 神 悦彦
【審判官】 尾崎 淳史
【審判官】 ▲高▼橋 祐介
(56)【参考文献】
【文献】 特開2001−218757(JP,A)
【文献】 国際公開第2006/137905(WO,A2)
【文献】 特開平7−265445(JP,A)
【文献】 特開2003−53563(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
IPC A61B 6/00-6/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ロボットハンド(5)を動かすためにロボット制御部(12)を通じて制御可能である複数の被駆動運動軸を備えるロボットと、支持装置(15)の上に支持された物体のデータを記録するために前記ロボットによって可動である、前記ロボットハンド(5)に取り付けられた記録システム(7〜11)と、を有するロボット制御式の記録装置において、
前記ロボット制御部(12)に少なくとも1つの追加の駆動装置(13)が接続され、
この追加の駆動装置(13)にエンコーダ(14)が接続され、該追加の駆動装置(13)が前記ロボットハンド(5)の運動時に前記ロボットの前記被駆動運動軸に同期しながら制御されると、前記エンコーダ(14)が前記追加の駆動装置(13)により駆動されてデータの記録のための同期化信号が生起され、
前記ロボット制御部(12)により制御される前記追加の駆動装置(13)が、前記ロボットハンド(5)に従って運動する前記記録システム(7〜11)のツールセンターポイントの回転運動をシミュレーションした仮想回転軸(A7)の回転運動を再現し、当該再現された回転運動に従い駆動される前記エンコーダ(14)が前記同期化信号を生起する、
ロボット制御式の記録装置。
【請求項2】
前記ロボットは、前記被駆動運動軸を少なくとも6つ備える折り曲げアームロボットである、請求項1に記載のロボット制御式の記録装置。
【請求項3】
前記記録システム(7〜11)は、断層撮影法によるX線画像作成のためのX線源(10)および前記X線源(10)に向かい合うX線検出器(9)を備えるキャリヤ(7)を有し、
前記キャリヤ(7)は、前記支持装置(15)の上に支持された物体の複数のX線画像を異なる投影方向から記録するために、前記ロボットにより可動である、
請求項1または2に記載のロボット制御式の記録装置。
【請求項4】
前記キャリヤ(7)は、
第1の脚部及び第2の脚部を備えたヨーク形に構成されて、前記X線検出器(9)及び前記X線源(10)が前記第1及び第2の脚部にそれぞれ取り付けられ、
X線画像を記録するときに、前記X線源(10)から前記X線検出器(9)に向けられたX線束の放射軸に対して垂直に延びる軸に対して垂直な平面に前記第1及び第2の脚部が沿うように、前記ロボットにより回転させられる、請求項3に記載のロボット制御式の記録装置。
【請求項5】
複数の被駆動運動軸を有するロボットのロボットハンド(5)に記録システム(7〜11)を取り付け、該記録システム(7〜11)を、物体のデータを記録するために前記ロボットによって動かして、支持装置(15)の上に支持された物体のデータを記録する方法において、
少なくとも1つの追加の駆動装置(13)にエンコーダ(14)を接続し、該追加の駆動装置(13)を、前記ロボットのロボット制御部(12)により前記被駆動運動軸に同期させながら制御し、この追加の駆動装置(13)により駆動される前記エンコーダ(14)からデータの記録のための同期化信号を生起し、
当該追加の駆動装置(13)は、前記ロボットハンド(5)に従って運動する前記記録システム(7〜11)のツールセンターポイントの回転運動をシミュレーションした仮想回転軸(A7)の回転運動を再現するように、前記ロボット制御部(12)により制御され、当該再現した回転運動に従い駆動される前記エンコーダ(14)から前記同期化信号を生起する、
ことを含む方法。
【請求項6】
前記記録システム(7〜11)は、断層撮影法によるX線画像作成のためのX線源(10)および前記X線源(10)に向かい合うX線検出器(9)を備えるキャリヤ(7)を有し、
前記キャリヤ(7)を、前記支持装置(15)の上に支持された物体の複数のX線画像を異なる投影方向から記録するために前記ロボットにより動かす、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記キャリヤ(7)は、第1の脚部及び第2の脚部を備えたヨーク形に構成し、前記X線検出器(9)及び前記X線源(10)を前記第1及び第2の脚部にそれぞれ取り付けてあり、
当該キャリア(7)を、X線画像を記録するときに、前記X線検出器(9)に向けられたX線束の放射軸に対して垂直に延びる軸に対して垂直な平面に前記第1及び第2の脚部が沿うように、前記ロボットにより回転させる、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記キャリヤ(7)を、X線画像を記録するときに、物体を中心とする螺旋状の軌道上で前記ロボットにより案内する、請求項6に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ロボットハンドを動かすためにロボット制御部を通じて制御可能である複数の運動軸を備えるロボットと、支持装置の上に支持された物体のデータを記録するためにロボットによって可動である、ロボットハンドに取り付けられた記録システムとを有する、特にX線画像データを記録するためのロボット制御式の記録装置に関するものである。本発明は、複数の運動軸を有するロボットのロボットハンドに記録システムが取り付けられるとともに、物体のデータを記録するためにロボットによって動かされる、特にX線画像データを記録するために支持装置の上に支持された物体のデータを記録する方法も対象としている。
【背景技術】
【0002】
記録装置ならびにこれに対応する方法の主要な適用分野は、X線画像作成の分野であり、特に、断層撮影法によるX線画像作成である。断層撮影法によるX線画像作成のためのX線装置は、例えば特許文献1から公知である。このX線装置はキャリッジに可動に取り付けられたCアームを有し、このCアームに、X線源とX線検出器とが向かい合う配置で取り付けられている。例えば手術室などでこのX線装置を使用するときには、患者を乗せている検査台に向かってキャリッジを動かし、そこで適切に位置決めする。断層撮影法によるX線画像撮影のために、異なる投影方向から二次元の複数のX線撮影を記録するためにCアームが患者の周りを移動する。このとき、二次元のX線画像から三次元の再構成を行えるようにするために、180°を超える角度範囲がカバーされなくてはならない。
【0003】
二次元のX線画像は、Cアームの運動に同期化されながら短い時間間隔で記録される。これは正しい画像再構成のために必要である。
【0004】
このような種類のX線装置の原理的な欠点は、X線装置の所要の往復運動に手間がかかり、高い力のコストを要するという点にある。
【0005】
このような欠点に対処して、患者へのできるだけ自由なアクセス性を確保するために、X線源と、X線源に向かい合うX線検出器とを備えるCアームがロボットのハンドに連結され、このロボットが、二次元のX線画像を記録するために、着目する物体の周りでこのX線記録システムを動かすX線装置が、出願人によって開発されている。しかしこのことは、このような運動の種類によっては、二次元のX線画像を記録するための同期化の問題につながってしまう。従来使用されているCアーム型X線設備では、Cアームの運動は、その都度常に1つの運動軸によってしか行われない。これは、Cアームの回転軸か軌道軸かのいずれかである。それにより、X線画像記録の同期化の役目をするトリガ信号を、これらの軸の運動から導き出すことができる。そのようにして、このような同期化信号および同期化パルス、ならびにこれに対応する2DX線撮影を用いて、正しい3D再構成を行うことができる。
【0006】
ロボットで操られるCアームの場合、このような種類の同期化は、回転軸を中心としてCアームを回転させるときに限っては容易に可能である。そのためには、6つの回転軸を有するロボットの場合でも、やはり1つの運動軸しか回転しないからである。その一方で、Cアームの軌道運動のためにはロボットのすべての軸の運動が必要であり、しかもその場合、これらの軸は直線的に動くのではない。これに加えて、個々の軸がこのような運動中に後方へ動き、その結果として、その運動軸に合わせた同期化が不可能になるという事態が起こり得る。
【0007】
【特許文献1】ドイツ特許出願公開第19957330A1号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の課題は、記録システムの運動に合わせたデータ記録の正しい同期化を可能にする、支持装置の上に支持された物体のデータを記録するためのロボット支援式の記録装置ならびに方法を提供することである。このとき、記録装置ならびに方法は、X線Cアームシステムに匹敵する構成を有し、画像撮影時にロボットによって軌道運動で案内される記録システムを用いた、特に断層撮影法によるX線画像データの記録を可能にするのが望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この課題は、請求項1および5に記載されたロボット制御式の記録装置ならびに方法によって解決される。この記録装置ならびに方法の有利な実施形態は従属請求項の対象であり、もしくは、以下の説明ならびに実施例から読み取ることができる。
【0010】
提案されるロボット制御式の記録装置は、ロボットハンドを動かすためにロボット制御部を通じて制御可能である複数の被駆動運動軸を備えるロボットと、支持装置の上に支持された物体のデータを記録するためにロボットによって可動である、ロボットハンドに取り付けられた記録システムとを含む。ロボット制御部に少なくとも1つの追加の駆動装置が接続され、この追加の駆動装置にエンコーダが接続され、該追加の駆動装置がロボットハンドの運動時にロボットの被駆動運動軸に同期しながら制御されると、エンコーダが追加の駆動装置により駆動されてデータの記録のための同期化信号が生起され、この追加の駆動装置が、あたかも、エンコーダではなくて、支持装置の駆動のために該装置と接続されているかのようにして、ロボットハンドの運動に従って記録システムがツールセンターポイントを中心として回転することにより生成される、支持装置の周りの記録システムの回転運動を、ロボットハンドが静止していると仮定してシミュレーションされる支持装置の回転運動だけに従って再現する。具体的には、ロボット制御部により制御される追加の駆動装置が、ロボットハンドに従って運動する記録システムのツールセンターポイントの回転運動をシミュレーションした仮想回転軸の回転運動を再現し、当該再現された回転運動に従い駆動されるエンコーダが同期化信号を生起する。
【0011】
このように本記録装置では、ロボット制御部は、ロボットの運動軸のために必要な駆動装置に加えて、さらに追加の駆動装置および追加の軸を制御するようにセットアップおよびプログラミングされている。ロボット制御にとってこの駆動装置は、物体の支持装置をスライドまたは回転させる、ロボットの別の運動軸となる。このとき、ロボットによって生成される、静止した支持装置に対して相対的な記録システムの運動は、別の運動軸を中心とする、または別の運動軸に沿った、静止した記録システムに対して相対的な支持装置のスライドおよび/または回転によってシミュレーションできるという事実が活用される。このとき追加の軸および追加の駆動装置の制御は、他の運動軸と同期して、支持装置のこのようなスライドおよび/または回転が行われるべきであるかのように行われる。それによりこの追加の軸は、支持装置および物体に対する記録システムの位置に関わりなく、常に直線的に動く。ただし本装置では、追加の駆動装置によって支持装置が駆動されるのではなく、物体のデータを記録するための同期化信号、特にトリガパルスを供給するエンコーダが駆動される。このようにして、X線撮影システムのCアームの軌道運動のような運動でも、ロボット制御式の記録装置によってこれを行い、問題なく同期化することができる。
【0012】
したがって、提案される記録装置により、ロボットの複数の運動軸を動かさなくてはならない軸を中心としたロボット制御式の運動のときに、記録システムのための同期化信号を簡単な様式で導き出すことができる。
【0013】
ロボットは少なくとも6つの回転軸を有するのが好ましい。これは、例えば自動車産業の生産ラインで使用されているような折り曲げアームロボットであってよい。ロボットは、ロボットハンドの任意の運動経過の設定と保存を可能にする、プログラミング可能な制御部を有する。そうすれば、このようなプログラミング可能な制御部により、追加の軸および追加の駆動装置の同期化された運動も実行することができる。
【0014】
本記録装置およびこれに対応する方法においては、記録システムは画像記録のためだけでなく、それ以外の種類のデータ検出、例えば物体の計測のためにも構成されていてよい。このとき、本装置ならびにこれに対応する方法は、ロボットハンドによる運動中にデータを記録するために記録システムが同期化信号またはトリガ信号を必要とする用途に格別に適している。
【0015】
好ましい実施形態では、X線源と、X線源に向かい合う、ロボットハンドに取り付けられた、例えばロボットハンドに連結された、キャリヤのX線検出器とを有するX線撮影システムが記録システムとして用いられる。このときキャリヤは、CアームまたはUアームのような形式でヨーク形に構成されているのが好ましい。そしてこのキャリヤは、異なる投影方向から物体の複数のX線画像を記録するために、ロボットハンドとともに軌道上を動くことができる。この運動は、キャリヤが通る平面に対して垂直に、かつX線源からX線検出器に向うX線束の放射軸に対して垂直に延びる軸を中心とする回転運動に相当している。いわゆるツールセンターポイントを中心として行われるのが好ましいこの回転運動は、同時に、ロボット制御部によって、追加の駆動装置の制御を通じて上に説明したようにシミュレーションされる。それにより、追加の駆動装置とエンコーダを接続することで、この回転軸およびツールセンターポイントを中心とする線形の回転運動について同期化信号が生成され、この同期化信号でX線撮影装置が起動する。そうすれば、その際にさまざまな角度位置から記録される個々の二次元のX線写真は、互いに正確に等しい角度間隔を有するので、これらの二次元の写真を元にした3D画像の三次元再構成が、公知の様式で可能となる。
【0016】
同様にして、撮影システムの線形の並進運動についても、例えばX線システムのキャリヤの、支持装置に沿ったスライド運動についても、同期化信号を生成できることは当然である。この場合、追加の駆動装置はロボット制御部によってこの方向へのスライド運動のために制御され、追加の軸は並進軸である。回転運動についての同期化信号と、並進運動についての同期化信号との組み合わされた生成も、2つの追加の駆動装置および軸を適宜制御することによって可能である。このような同期化は、例えば物体を中心とする螺旋状の軌道上で撮影システムが動くときに必要となる場合がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
次に、提案されるロボット制御式の記録装置、ならびにこれに対応する方法について、図面との関連で実施例を参照しながら、ただし特許請求の範囲によって設定される権利保護範囲を限定することなく、さらに詳しく説明する。
【0018】
この実施例では、ロボット制御式の記録装置とこれに対応する方法について、断層撮影法によるX線画像データの記録という好ましい適用分野を参照しながら、再度詳しく説明する。図1は、6つの回転軸を備える公知のロボットを示している。例えば手術室の床面に固定して載置されていてよい基礎フレーム1に、第1の回転軸A1を中心として回転可能なようにカルーセル2に収容されている。カルーセル2には、第2の回転軸A2を中心として旋回可能なように揺り腕3が取り付けられている。揺り腕3には、第3の回転軸A3を中心として回転可能なようにアーム4が取り付けられている。アーム4の端部には、第4の回転軸A4を中心として回転可能なようにロボットハンド5が取り付けられている。ハンド5はツールを連結するためのインターフェース6を有し、このツールは、インターフェース6を介して、回転軸A6を中心として回転可能であるとともに、これに対して垂直に延びる第5の回転軸A5を中心として旋回可能である。ハンド5のインターフェース6には、全体として符号7が付されたキャリヤが連結されている。
【0019】
キャリヤ7は、本例では、互いに向かい合う2つの脚部8aおよび8bを備えるU形材のような形式で構成されている。第1の脚部8aにはX線検出器9、および第2の脚部8bにはX線源10が向かい合う配置で取り付けられている。第1の脚部8aと第2の脚部8bは、キャリヤ7の中心部材11に関して線形に可動なように取り付けられていてよく、それにより、X線検知器9とX線源10の間の間隔Aを調節可能である。
【0020】
ロボットのロボット制御部12には、本記録装置では、ロボット制御部12によって制御される追加のモータ13が接続されている。このモータ13によってエンコーダ14が駆動され、するとエンコーダは、X線源10およびX線検出器9からなるX線システムによる画像記録をするためにトリガパルスを供給する。各々のトリガパルスごとに2D-X線画像撮影が記録される。
【0021】
このロボット制御式の記録装置の機能形態について、同じく6つの回転軸A1からA6と、X線源10およびX線検出器9を有するキャリヤ7とを備えるロボットの模式図を示す図2を参照しながら詳しく説明する。この図面では、これに追加して、X線撮影のときに患者(図示せず)が支持される患者支持台15が図示されている。
【0022】
まず最初に、キャリヤ7がロボットにより患者支持台15の近くまで動き、X線撮影を開始することができる所定の初期位置へと移される。ロボットハンドがX線撮影のために、本例では患者支持台15およびその上に支持されている患者を中心とする軌道運動を行うために、キャリヤ7を動かす。このときキャリヤの運動は、放射されるX線束に対して垂直にツールセンターポイントを通って延びる回転軸A7を中心として、該軸に垂直な平面に沿って行われる。このようにして、X線検出器9とX線管10は患者を中心として180°を超える角度範囲にわたって連続的に動き、それにより、異なる投影方向で多数の二次元のX線撮影を記録することができる。このとき個々のX線撮影の記録は、X線源とX線検出器からなるX線撮影システムがエンコーダ14から受けとるトリガパルスによって開始される。
【0023】
ロボットハンドに伴うキャリヤ7の運動は、ロボット制御部12によって制御される。このロボット制御部は、ロボット制御部にとってロボットの第7の軸A7となる追加のモータ13も同じく制御する。この第7の軸はロボット制御部において、常にX線と同期して動かされ、それによってツールセンターポイントにおける回転運動をシミュレーションするようにプログラミングされている。本装置およびこれに対応する方法では、患者台15を中心とするキャリヤ7の回転がX線撮影の同期化のために利用されるのではなく、図2に示すように、キャリヤ7が静止したままで患者台15が軸A7を中心として回転するかのように、第7の軸A7が制御される。それによって同期化軸すなわち第7の軸A7は、台に対するキャリヤ7の角度位置に関わりなく、常に線形に進行する。この第7の軸A7およびこれに付属するモータ13によってエンコーダ14が駆動されることで、トリガパルスが生成され、このトリガパルスがX線撮影を開始させるようにX線システムを制御する。このような種類のパルスは既存のX線システムで評価することができ、このことは、公知のCアーム型X線設備ですでに今日当てはまる。
【0024】
撮影を実施した後、ロボットがキャリヤ7をX線システムとともに再び患者支持台15から離れるように動かし、それにより、医師にとって患者が自由にアクセスすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1】本発明による記録装置を示す斜視図である。
図2】方法を説明するために本発明の記録装置を模式化して示す図である。
図1
図2