【実施例1】
【0018】
本発明の一実施形態を
図1〜
図6に基づいて説明する。
図1は本発明の食品廃棄物処理システムの作業の流れを示すフロー図、
図2は実施例1の全体構成の概要を示す説明図、
図3〜
図6はそれぞれ
図2に示した構成を分解し少し拡大して示す説明図である。
【0019】
実施例1は主として家畜用飼料を製造するのに適する食品廃棄物処理システムである。
図1〜
図3において、食品廃棄物処理を行なうために、収集した食品廃棄物を回収車両12から受け入れホッパー16に、直接受け入れる。受け入れホッパー16は、食品廃棄物を受け入れるための入口18と食品廃棄物の出口20とを有している。入口18には、食品廃棄物を受け入れるときだけ開口しそれ以外のときは同入口を閉鎖する自動開閉蓋22が設けられ、臭気拡散防止、周辺汚染の防止策が施されている。
【0020】
出口20から排出される食品廃棄物は、搬送コンベア24により破砕分別装置40に搬送される。搬送コンベア24としては、受け入れホッパー16と破砕分別装置40との間に、両者間の、食品廃棄物の流通路を包囲密閉する箱型のスクレーパーコンベアのような搬送コンベアが使用されている。受け入れホッパーと破砕分別装置との間の流通路が密閉されているので、乾燥前の食品廃棄物から発生する臭気の拡散と周辺汚染が防止される。
【0021】
食品廃棄物は、破砕分別装置40において風力と遠心力により破砕されて再生可能な原料(以下、単に原料という。)と包装材その他の異物の不要物とに分別される。不要物は異物搬送コンベア26によりバッカン28に搬送されて別途処分される。原料は搬送ポンプ30により貯留タンク42に搬送される。搬送ポンプ30は、例えばスクリューポンプが使用され原料の粘度に合わせた構造とされている。
【0022】
図1、
図2、
図4に示すように、貯留タンク42の内部に、原料の貯留時の沈殿を抑制するための撹拌装置43が設けられている。撹拌装置43により原料の貯留時の沈殿が抑制されるので、次工程の定量タンク46への一定量の原料搬出をスムーズに行うことができる。
【0023】
原料は移送ポンプ44により貯留タンク42から定量タンク46に搬出される。定量タンク46では貯留タンク42から搬送された原料を一定量だけ貯留しながら予熱する。定量タンク46には温水タンク48が連結されている。定量タンク46から発生した温水は、温水タンク48を経由して後述する温水製造装置64に送られる。
【0024】
図1、
図2、
図5に示すように、定量タンク46において予熱された原料は、一定量ずつ乾燥装置50に搬送される。乾燥装置50は、本体内部に原料を回転飛散させる撹拌翼52を有し、本体の側部及び底部に本体内壁を加熱する蒸気ジャケット54を有している。
【0025】
乾燥装置50は、定量タンク46から搬送された一定量の原料を、本体内壁との接触、および本体内の雰囲気温度を活用して乾燥させる。含水率70〜90%の原料は概ね1時間で10%程度になるまで乾燥し乾燥物にする。定量タンク46において原料を予熱させていることにより乾燥装置50における乾燥を効率よく行える。
【0026】
乾燥装置50には蒸気ユニット70が接続されている。蒸気ユニット70は乾燥装置50の蒸気圧を適度に減圧したり、ドレン抜きをする、周知のバルブ付き配管類の総称である。
【0027】
乾燥装置50には、食品廃棄物の乾燥中に発生する水蒸気に含まれる塵を捕獲集積する集塵装置60と、集塵装置60から排出された蒸気を利用して温水を製造する温水製造装置64と、温水製造装置64から排出された蒸気を凝縮し凝縮水を外部に排水する凝縮器66とが連結されている。
【0028】
集塵装置60は、発生蒸気に含まれる塵を捕獲する網目フィルタと当該網目フィルタを自動洗浄する洗浄装置とを備えており、連結パイプのつまりを防止し良好な集塵効果を発揮する。発生したドレンは排水される。
【0029】
温水製造装置64では乾燥装置50の廃熱を利用して温水タンク48から送られた温水を加熱してより高めの温水を製造し定量タンク46に送る。
【0030】
凝縮器66には、原料の臭気成分中の水溶性物質を凝縮水に溶解させて脱臭を補助する、周知の脱臭補助機構が設けられている。
【0031】
所定の乾燥を施された乾燥物は、排出装置56により乾燥装置50から搬送コンベア34の受け部に排出されて加熱保温装置64に搬送される。排出装置56は、乾燥中は逆回転させて乾燥装置からの熱の流出を阻止する構造の排出スクリューが使用されている。搬送コンベア34は、乾燥物の流通路を包囲密閉するフライトコンベアが使用されている。
【0032】
加熱保温装置64は乾燥装置50から搬送された乾燥物を一定温度に加熱保温する。加熱保温装置64は、例えば、有効容積が2立方メートルで摂氏60度以上の温度を保ち、次工程の脱脂処理を容易にする。
【0033】
加熱保温装置64には蒸気ユニット72が接続されている。蒸気ユニット72は加熱保温装置64の蒸気圧を適度に減圧したり、ドレン抜きをする、周知のバルブ付き配管類の総称である。
【0034】
乾燥物は加熱保温装置68から搬送コンベア35で脱脂装置74に搬送され、余分な油脂分を所定の油脂分含有率まで絞られる。脱脂装置74により、家畜用飼料に適合する油脂分含有率を10%程度まで脱脂する。油分を搾るときは、摂氏120度くらいにして、加圧するので、滅菌処理にもなる。脱脂装置74により脱脂されて固形化した乾燥物は、粕割り装置78に搬送され、そこで粗粉砕され、搬送コンベア36により冷却装置80に搬送される。
【0035】
図1、
図2、
図6に示すように、冷却装置80は、粕割り装置78から搬送された乾燥物が脱脂、粗粉砕後も油分が残っているため、再
固形化の防止のためにその乾燥物を冷却する。冷却装置80は、例えば、有効容積が2立方メートル程度の大きさである。冷却装置80から搬送された乾燥物は、粉砕装置82に搬送されて粉砕され、この後、ふるい装置84に搬送される。ふるい装置84により、乾燥物がふるい分けられて所定の製品サイズの家畜用飼料が生成される。
【0036】
生成された家畜用飼料は、搬送コンベア38により製品貯留タンク88に搬送され、製品出荷に備えられる。搬送コンベア36と38は、搬送コンベア34と同様に、乾燥物の流通路を包囲密閉するフライトコンベアが使用されている。製品貯留タンク88では貯留物の臭気を吸引し脱臭装置90に誘導する。
【0037】
生成された家畜用飼料は、製品貯留タンク88に搬送される直前に分析装置86により成分が分析される。製品貯留タンク88は例えば、有効容積が10立方メートル程度の大きさである。分析装置86では、家畜用飼料の成分を分析し成分データを作成する。分析装置86は、多種の成分データをソフト化し、瞬時に製品成分の構成が得られるものである。分析後の家畜用飼料は、成分データと共に製品出荷に備えられる。製品の成分データを、出荷される製品に備えることができる。
【0038】
図2に示すように、各装置から発生した臭気を吸引して臭気成分を熱分解し無臭・無害化した気体として大気に放出する脱臭装置90が備えられている。脱臭装置90としては、例えば、プロパンバーナの熱と蓄熱用触媒により臭気成分を熱分解し、無臭・無害化した気体として大気に放出するようにする。また、
図2に示すオイルクーラー58は、モータの減速機の過熱を防止して減速機を保護するために設けられている。
【0039】
上記実施例によれば、含水率、油脂分含有率、製品サイズ等を安定させると共に製品となる家畜用飼料の成分が明確であることから、製品として取り扱い易い。脱脂装置74により、家畜用飼料に適合する油脂分含有率を10%程度まで脱脂できる。粕割り装置78により、乾燥物が脱脂時の面状固定化による搬送障害や冷却時の不均衡冷却を防止できる。また、廃熱の有効利用による省エネ化や臭気問題等に対しても充分配慮している。
【実施例2】
【0040】
図7は実施例2の食品廃棄物処理システムの概要を示す説明図である。
図7には
図2と同一部分に同一符号を付して重複説明を省略する。
【0041】
実施例2は堆肥原料を製造するのに適する食品廃棄物処理システムである。堆肥原料は副資材と混ぜて醗酵工程を踏んで堆肥となるものである。この実施例は、実施例1における加熱保温装置68、脱脂装置74、粕割り装置78、冷却装置80による各処理を省略したもので、その他の各装置は同じものである。
【0042】
すなわち、乾燥装置50において所定の乾燥を施された乾燥物は、この段階で堆肥原料となり、排出装置56により乾燥装置50から搬送コンベア36の受け部に排出されて製品貯留タンク88に搬送される。生成された堆肥原料は、製品貯留タンク88に搬送される直前に分析装置86により成分が分析される。堆肥原料の成分が分析され成分データが作成されることは、上述した家畜用飼料の場合と同様である。なお、堆肥原料は、副資材と混ぜて醗酵工程を踏んで堆肥となるが、堆肥原料としての製品とすることができる。
【0043】
実施例2によれば、実施例1の各装置を使って堆肥原料を製造できる。含水率を安定させると共に製品となる堆肥原料の成分が明確であることから、製品として取り扱い易い。また、廃熱の有効利用による省エネ化や臭気問題等に対しても充分配慮している。
【実施例3】
【0044】
図8は実施例3の食品廃棄物処理システムの概要を示す説明図である。
図8には
図2と同一部分に同一符号を付して重複説明を省略する。
【0045】
この実施例は、実施例1又は実施例2における貯留タンク42、定量タンク46、乾燥装置50、排出装置56、集塵装置60、温水製造装置64、凝縮器66をそれぞれ2組設置したものである。これは、多量の食品廃棄物処理に適する。
本発明は、上記の2組に限らず3組以上の組み合わせを含むものとする。
【0046】
なお、本発明においては、上記各実施例の破砕分別装置40として、本願出願人の発明に係る特願平11−199027号(特開2001−25754号公報参照)、特願2007−154193号(特開2008−302343号公報参照)の「破砕分別装置」をそれぞれ適宜使用してもよい。また、同乾燥装置50としては、同じく本願出願人の発明に係る特願2002−281940号(特開2004−85160号公報参照)、特願2004−159310号(特開2005−337631号公報参照)、特願2004−192519号(特開2006−17315号公報参照)、特願2005−149208号(特開2006−329446号公報参照)、特願2007−203987号(特開2009−41783号公報参照)の「乾燥装置」をそれぞれ適宜使用してもよい。