(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
洗浄タンク内の洗浄水によって食器を洗浄する洗浄工程と貯湯タンク内の濯ぎ水によって前記食器をすすぐ濯ぎ工程とを有する洗浄運転を行い、前記洗浄工程で使用した前記洗浄水及び前記濯ぎ工程で使用した前記濯ぎ水を前記洗浄タンク内に回収して前記洗浄水に再利用する食器洗浄機であって、
前記洗浄タンク内の前記洗浄水の入れ替えタイミングを使用者に知らせるアラートを出力し、
前記アラートの出力開始後、前記洗浄タンク内の水位を検知する水位検知手段の検知結果に基づいて前記洗浄タンク内の前記洗浄水が入れ替えられたか否かを判定し、
前記洗浄タンク内の水位が低下して前記水位検知手段がOFFに切り替わった場合に、前記洗浄水の入れ替えのための排水を検知したと判定して、前記アラートの解除を行うことを特徴とする食器洗浄機。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の好適な実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。
【0017】
[第1の実施形態]
図1に示す食器洗浄機1は、いわゆるドア型食器洗浄機である。この食器洗浄機1は、ステンレス製の本体ケース2を有する。この本体ケース2の内部は、食器Dを収容して食器の洗浄を行うための洗浄室Rとして機能する。本体ケース2の左側方には、使用者が運転モードや設定を入力するための操作パネル3が設けられている(
図2参照)。
【0018】
本体ケース2には、洗浄室R内に食器Dを出し入れするためのドア4が取り付けられている。洗浄室R内には、ラックレール(図示せず)が設けられ、このラックレール上に、食器Dが並べられた食器ラック(図示せず)が載置される。
【0019】
洗浄室R内の上部には、放射状に延びる3本のアームからなる上側洗浄ノズル5と、2本のアームからなる上側濯ぎノズル6とがそれぞれ回転自在に配置されている。同様に、洗浄室R内の下部には、放射状に延びる3本のアームからなる下側洗浄ノズル7と、2本のアームからなる下側濯ぎノズル8とがそれぞれ回転自在に配置されている。これにより、食器ラックに並べられた食器Dには、洗浄工程において洗浄ノズル5,7によって上下から洗浄水が噴射され、濯ぎ工程において濯ぎノズル6,8によって上下から濯ぎ水が噴射されるため、食器Dの洗浄及び濯ぎが効率良く行われる。
【0020】
このように構成された洗浄室Rの下方には、洗浄水を貯留するための洗浄タンク9が形成されている。この洗浄タンク9には、洗浄水の水位を検知するための水位検知スイッチ(水位検知手段)10が設けられている。水位検知スイッチ10は、洗浄タンク9内の水位が所定水位Hを超えている場合にONとなり、所定水位H以下の場合にOFFとなるスイッチである。この水位検知スイッチ10は、洗浄タンク9のオーバーフロー水位よりもだいぶ下方に取り付けられている。これは、水位検知スイッチ10が洗浄ポンプ14の駆動時に空気を吸い込まない安全水位を検知するためである。洗浄ポンプ14が駆動中に空気を吸い込むと、いわゆるエア噛みを起こして洗浄ノズル5,7から洗浄水を噴射できなくなる。この水位検知スイッチ10が運転中にOFFになると食器洗浄機1の運転が停止されて洗浄ポンプ14による空気の吸い込みを防止する。
【0021】
また、洗浄タンク9には、上下方向に延びるオーバーフローパイプ11が設けられている。オーバーフローパイプ11の上端は、洗浄タンク9の上縁を僅かに超えて洗浄室R内に位置しており、下端は洗浄タンク9の底面9aから外へ突出している。洗浄タンク9内の余剰な洗浄水は、オーバーフローパイプ11上端の流入孔から管内に流れ込んで外部に排出される。このオーバーフローパイプ11は、洗浄タンク9に対して取り外し可能に構成されている。使用者がオーバーフローパイプ11を取り外すことで、オーバーフローパイプ11が差し込まれていた排水口が洗浄タンク9の底面9aに露出し、洗浄タンク9内の洗浄水を完全に排水することができる。
【0022】
この洗浄タンク9の側面には、洗浄水吸込管13を介して洗浄ポンプ14が接続されている。洗浄タンク9の洗浄水吸込管13が取り付けられた部分には、ポンプフィルター12が設けられている。洗浄ポンプ14の吐出口には洗浄水吐出管15が接続され、この洗浄水吐出管15は、第1の洗浄水吐出管16と第2の洗浄水吐出管17とに分岐して、第1の洗浄水吐出管16は上側洗浄ノズル5に接続され、第2の洗浄水吐出管17は下側洗浄ノズル7に接続されている。
【0023】
また、食器洗浄機1は、濯ぎ水が貯留される貯湯タンク18を有している。この貯湯タンク18には、外部の給湯器(図示せず)から給湯管21を介して濯ぎ水が供給される。給湯管21には、ストレーナ19及びウォータバルブ20が設けられている。貯湯タンク18内には、温水である濯ぎ水を所定温度に維持するための濯ぎ水ヒータ22と、この濯ぎ水の温度を検知するための水温センサ23とが設置されている。
【0024】
また、貯湯タンク18には、濯ぎ水吸込管24を介して濯ぎポンプ25が接続されている。この濯ぎポンプ25の吐出口には濯ぎ水吐出管26が接続されている。濯ぎ水吐出管26は、第1の濯ぎ水吐出管27と第2の濯ぎ水吐出管28とに分岐して、第1の濯ぎ水吐出管27は上側濯ぎノズル6に接続され、第2の濯ぎ水吐出管28は下側濯ぎノズル8に接続されている。
【0025】
食器洗浄機1には、動作全般を制御するマイクロコンピュータ(以下「マイコン」という)30が内蔵された電装ボックス31が設けられている。マイコン30は、運転時間を積算した積算運転時間をカウントする積算タイマとしての機能を有する。本実施形態における運転時間とは洗浄ポンプ14が駆動している時間である。マイコン30は、運転休止状態や電源OFF状態を挟んでも、積算タイマをクリアすることなく洗浄ポンプ14が駆動している時間を積算する。
【0026】
また、食器洗浄機1には、外付け用の洗剤供給ポンプ32が取り付けられている。洗剤供給ポンプ32は、洗剤タンク33内に貯留された洗剤を洗浄室Rに供給するためのベローズポンプである。洗剤供給ポンプ32は、洗浄室Rの側壁に接続された洗剤吐出管34と接続され、信号線によりマイコン30に接続されている。洗剤供給ポンプ32は、マイコン30から出力される信号に応じて動作し、接続された洗剤吸込管35から洗剤タンク33内の洗剤を吸い込み、洗剤吐出管34へ所定量の洗剤を吐出する。この洗剤は、洗剤吐出管34の先端に設けられ、洗浄室Rと洗剤吐出管34とを接続する洗剤吐出口36から洗浄室R内に吐出される。洗浄室R内に吐出された洗剤は、洗浄室Rの下方の洗浄タンク9内に流れ込み洗浄水と混入される。
【0027】
さらに、食器洗浄機1には、外付け用のリンス剤供給ポンプ37が取り付けられている。リンス剤供給ポンプ37は、リンス剤タンク38内に貯留されたリンス剤を濯ぎ水路に供給するためのものである。リンス剤供給ポンプ37は、濯ぎ水吐出管27と連通するリンス剤吐出管39に接続され、信号線によりマイコン30に接続されている。リンス剤供給ポンプ37は、マイコン30から出力される信号に応じて動作し、接続されたリンス剤吸込管40からリンス剤タンク38内の洗剤を吸い込み、リンス剤吐出管39へリンス剤を吐出する。リンス剤は、リンス剤供給ポンプ37によってリンス剤吐出管39から濯ぎ水吐出管26内の濯ぎ水路へ吐出され、濯ぎ水に混入される。
【0028】
この食器洗浄機1では、使用者が
図2に示す操作パネル3を操作することで運転の開始や休止、各種の設定が行われる。
図2に示すように、操作パネル3は、使用者が運転回数などを設定するための設定スイッチ41、洗浄水や濯ぎ水の湯温情報その他の情報を表示する表示部42、運転コースを切り換えるためのコース切替スイッチ43、運転を休止させるための休止スイッチ44、電源のON、OFFを切り換える運転スイッチ45、及び食器洗浄機1の運転状態を使用者に知らせるための各種表示ランプ46が設けられている。食器洗浄機1は、休止スイッチ44を長押しすることでセルフクリーニングを行う。また、操作パネル3は、警告音や音声アナウンスを出力する音声出力機能を有している。
【0029】
この食器洗浄機1では、食器の洗浄工程及び濯ぎ工程を1サイクルとする洗浄サイクル運転が行われる。洗浄サイクル運転では、まず洗剤を含む洗浄水で食器を洗浄する洗浄工程が行われ、その後にきれいな濯ぎ水で食器をすすぐ濯ぎ工程が行われる。
【0030】
洗浄サイクル運転が開始されると、マイコン30から洗浄開始信号が送出されて洗浄ポンプ14が始動する。これにより、洗浄タンク9内に貯留された洗浄水は、第1及び第2の洗浄水吐出管16,17を介して上下の洗浄ノズル5,7に圧送されて、各洗浄ノズル5,7から食器Dに向けて噴射される。このとき、各洗浄ノズル5,7は噴射力の反力によって回転し続けるため、洗浄水が食器Dに満遍なく当てられて、食器Dの汚れが効率良く洗い落とされる。
【0031】
この食器Dに噴射された洗浄水は、洗浄室Rの下方に流れて洗浄タンク9内に回収される。そして、洗浄ポンプ14により再び洗浄室R内に循環供給される。この洗浄工程中では、洗剤供給ポンプ32が駆動して、洗剤タンク33内の洗剤が洗剤吐出口36から洗浄室R内に吐出され、噴射された洗浄水に混ざって洗浄タンク9に供給される。
【0032】
このような洗浄工程が所定時間行われると、マイコン30から洗浄終了信号が送出されて洗浄ポンプ14が停止し、マイコン30から濯ぎ開始信号が送出されて濯ぎポンプ25が始動する。これにより、貯湯タンク18内に貯留された濯ぎ水は、第1及び第2の濯ぎ水吐出管27,28を介して上下の濯ぎノズル6,8に圧送されて、各濯ぎノズル6,8から食器Dに向けて噴射される。このとき、各濯ぎノズル6,8も噴射力の反力によって回転し続けるため、濯ぎ水が食器Dに満遍なく当てられて、食器Dの濯ぎが効率良く行われる。濯ぎ工程では、リンス剤がリンス剤供給ポンプ37によって供給される。
【0033】
食器Dに噴射された濯ぎ水は、洗浄タンク9内に回収されて洗浄水と混ざり合い、次回の洗浄工程における洗浄水として使用される。洗浄タンク9内の余剰な洗浄水は、オーバーフローパイプ11から外部に排出される。このような濯ぎ工程が所定時間行われると、マイコン30から濯ぎ終了信号が送出されて濯ぎポンプ25が停止し、食器洗浄機1における洗浄サイクル運転の1サイクルの動作が完了する。この1サイクルの動作を1回の運転としてカウントする。
【0034】
食器洗浄機1では、1サイクルの運転動作が終了すると、次に洗浄する食器がセットされて、再び1サイクルの運転動作が行われる。このようにして、食器洗浄機1では、主電源がOFFにされるまで、断続的に洗浄サイクル運転が行われる。
【0035】
次に、食器洗浄機1が洗浄タンク9内の洗浄水の入れ替えタイミングを使用者に知らせるアラート動作について説明する。
【0036】
食器洗浄機1は、積算タイマとして機能するマイコン30がカウントした積算運転時間に応じてアラート動作を行う。食器洗浄機1は、使用者が予め設定した設定積算時間に積算運転時間が至ったタイミングを入れ替えタイミングとして使用者に知らせる。
【0037】
図3に示すように、食器洗浄機1では、まず積算運転時間が設定積算時間に至るまでの残り時間が所定時間以下となった場合に、残り時間のアナウンスを行う(S1)。アナウンスを行うタイミングは予め使用者が設定できる。アナウンスは、操作パネル3の表示部42における残り時間の表示及び音声出力によって行われる。音声出力としては、残り時間についての音声アナウンス及び警告音が出力される。なお、残り時間のアナウンスは必須ではなく、ステップS1は省略しても良い。
【0038】
次に、食器洗浄機1は、積算運転時間が設定積算時間を経過したことを認識する(S2)。食器洗浄機1は、設定積算時間の経過を認識した場合、ステップS3に移行する。食器洗浄機1は、洗浄サイクル運転中に設定積算時間の経過を認識した場合、積算運転時間が設定積算時間を経過した当該洗浄サイクル運転が終了してからステップ3に移行する。
【0039】
ステップS3において、食器洗浄機1は、洗浄水の入れ替えタイミングを使用者に知らせるアラートの出力を開始する。アラートの出力は、操作パネル3の表示部42における画像出力及び音声出力によって行われる。具体的には、表示部42に「Change」の省略形である「Ch」の文字を点滅表示させる。また、音声アナウンス及び警告音が所定間隔で出力される。アラートの出力は、ステップS5で解除されるまで継続する。
【0040】
なお、使用者は、ステップS5まで移行せずにアラートの出力開始から一定時間経過した場合にアラートの出力を停止するモードを選択することもできる。また、アラートの出力は、表示部42における画像出力のみであっても音声のみであっても良い。
【0041】
また、ステップS3では、食器洗浄機1の運転停止状態がロックされる。食器洗浄機1が運転中の場合には運転停止状態に切り換えられた後にロックが行われる。この運転停止状態のロックは、ステップS8で解除されるまで継続する。なお、使用者は、アラート出力後に運転停止状態をロックするモードとアラート出力後も運転可能なモードとを切り換えることができる。
【0042】
次に、ステップS4において、洗浄タンク9内の洗浄水の排水を検知したか否かを判定する。このステップS4は洗浄タンク9内の洗浄水の排水を検知するまで繰り返され、その間、運転停止状態のロック及びアラートの出力は継続される。なお、アラートは、次第に音量を大きくしたり音声アナウンスを加えたりするなど、時間経過に応じて使用者に対する注意喚起を強めていく仕様であっても良い。
【0043】
ステップS4における洗浄水の排水の検知は水位検知スイッチ10により行われる。食器洗浄機1は、洗浄タンク9内の洗浄水の水位が低下して水位検知スイッチ10がOFFに切り替わった場合に、洗浄タンク9内の洗浄水の排水を検知したと判定する。すなわち、食器洗浄機1は、使用者がオーバーフローパイプ11を洗浄タンク9から引き抜いて洗浄水の排水が行われるまで、ステップS4を繰り返す。
【0044】
食器洗浄機1は、洗浄タンク9内の洗浄水の排水を検知したと判定した場合、アラートの解除を行う(S5)。また、食器洗浄機1は、マイコン30における積算タイマのクリアを行う。
【0045】
続いて、食器洗浄機1は、使用者がオーバーフローパイプ11を取り付けてドア4を閉め電源をONにした後、洗浄タンク9に対する給水を開始する(S6)。食器洗浄機1は、濯ぎポンプ25を駆動して貯湯タンク18内の温水を濯ぎノズル6,8から洗浄室R内に噴射させ、噴射された温水が洗浄室Rの下方の洗浄タンク9内に流れ込むことで給水を行う。
【0046】
その後、食器洗浄機1は、水位検知スイッチ10がONに切り替わることで、給水の完了を検知する(S7)。食器洗浄機1は、給水の完了を検知した場合、洗浄タンク9内の洗浄水が入れ替えられたと判定する。なお、水位検知スイッチ10は、洗浄タンク9内において洗浄ポンプ14が空気を吸い込まない安全水位まで洗浄水が貯留されていることを検知するためのスイッチであり、オーバーフロー水位よりもだいぶ下方に取り付けられている。このため、ステップS7では、水位検知スイッチ10がONに切り替わってからも所定時間の間だけ洗浄ポンプ14を動かし続け、オーバーフロー水位付近まで洗浄タンク9内の水位を上昇させる。
【0047】
食器洗浄機1は、洗浄タンク9内の洗浄水が入れ替えられたと判定した場合、運転可能状態となったことを確認して運転停止状態のロックを解除する(S8)。また、ステップS8において、食器洗浄機1は、マイコン30による積算タイマのカウントを開始する。その後、食器洗浄機1は、積算運転時間に応じて再びステップS1から動作を繰り返す。
【0048】
以上説明した食器洗浄機1によれば、使用者に洗浄水の入れ替えタイミングを知らせるアラートを出力することにより、使用者は洗浄水が汚れ過ぎる前に入れ替えを行うことができるので、使用者による衛生管理をサポートすることができる。しかも、この食器洗浄機1によれば、洗浄水が汚れ過ぎる前にアラートに気づいた使用者が入れ替えを行うことで、汚れの蓄積により洗浄ノズル5,7などに詰まりが生じることが抑制されるので、食器洗浄機1の洗浄性能を維持することができる。従って、この食器洗浄機1によれば、使用者による衛生管理をサポートすると共に洗浄能力を維持させることができる。
【0049】
また、この食器洗浄機1によれば、実際の運転時間に応じてアラートを出力するので、単純に一定時間ごとにアラートを出力する場合と比べて、汚れの少ない洗浄水を排水するような無駄が生じたり繁忙時に洗浄水が汚れ過ぎたりすることが避けられる。従って、この食器洗浄機1によれば、実際の汚れ具合に応じた入れ替えタイミングを使用者に知らせることができるので、無駄のない衛生管理のサポートを行うことができる。また、運転回数に基づいてアラートを出力する場合と比べて、汚れの酷い食器を洗浄する場合等に用いる洗浄工程時間を長くした長時間運転モードや通常時間運転モードなどのモードによる汚れ具合の差が生じにくい。
【0050】
更に、この食器洗浄機1によれば、通常備えられている洗浄タンク9の水位検知スイッチ10を利用して洗浄タンク9内の洗浄水が入れ替えられたか否かを判定することで、専用のセンサなどを別に設けることなく入れ替えを判定することができる。従って、この食器洗浄機1によれば、部品点数を増加させることなく洗浄水の入れ替えを判定できるので、製造コストの抑制に有利である。
【0051】
また、この食器洗浄機1によれば、アラートの出力後、洗浄水が入れ替えられたと判定するまで運転停止状態にロックすることにより、使用者が洗浄水の入れ替えを忘れたまま使用することを防止できるので、衛生管理を徹底させることができる。
【0052】
[第2の実施形態]
第2の実施形態に係る食器洗浄機1は、第1の実施形態と比べて、洗浄サイクル運転の運転回数に応じてアラートの出力を行う点のみが異なる。
【0053】
具体的には、第2の実施形態に係る食器洗浄機1のマイコン30は、積算運転時間をカウントする積算タイマに代えて運転回数をカウントする運転回数カウンタとして機能する。運転回数は、洗浄サイクル運転の1サイクルを一回としてカウントする。マイコン30は、例えばドア4の開閉を検出するマグネットスイッチを利用して運転回数のカウントを行う。食器洗浄機1は、使用者が予め設定した設定運転回数に運転回数が至ったタイミングを入れ替えタイミングとして使用者に知らせる。
【0054】
以下、第2の実施形態に係る食器洗浄機1が洗浄タンク9内の洗浄水の入れ替えタイミングを使用者に知らせるアラート動作について説明する。
【0055】
図4に示すように、第2の実施形態に係る食器洗浄機1では、まず運転回数が設定運転回数に至るまでの残り運転回数が所定回数以下となった場合に、残り運転回数のアナウンスを行う(S11)。アナウンスを行うタイミングは予め使用者が設定できる。なお、残り運転回数のアナウンスは必須ではなく、ステップS11は省略しても良い。
【0056】
次に、食器洗浄機1は、運転回数が設定運転回数を超えたことを認識する(S12)。食器洗浄機1は、設定運転回数を超えたことを認識した場合、ステップS13に移行する。
【0057】
ステップS13において、食器洗浄機1はアラートの出力を開始する。アラートの出力は、操作パネル3の表示部42における画像出力及び音声出力によって行われる。アラートの出力は、ステップS15で解除されるまで継続する。
【0058】
また、ステップS13では、食器洗浄機1の運転停止状態がロックされる。食器洗浄機1が運転中の場合には運転停止状態に切り換えられた後にロックが行われる。この運転停止状態のロックは、ステップS18で解除されるまで継続する。
【0059】
次に、ステップS14において、洗浄タンク9内の洗浄水の排水を検知したか否かを判定する。このステップS14は洗浄タンク9内の洗浄水の排水を検知するまで繰り返され、その間、運転停止状態のロック及びアラートの出力は継続される。
【0060】
ステップS14における洗浄水の排水の検知は水位検知スイッチ10により行われる。食器洗浄機1は、洗浄タンク9内の洗浄水の水位が低下して水位検知スイッチ10がOFFに切り替わった場合に、洗浄タンク9内の洗浄水の排水を検知したと判定する。すなわち、食器洗浄機1は、使用者がオーバーフローパイプ11を洗浄タンク9から引き抜いて洗浄水の排水が行われるまで、ステップS14を繰り返す。
【0061】
食器洗浄機1は、洗浄タンク9内の洗浄水の排水を検知したと判定した場合、アラートの解除を行う(S15)。また、食器洗浄機1は、マイコン30における運転回数カウンタのクリアを行う。
【0062】
続いて、食器洗浄機1は、使用者がオーバーフローパイプ11を取り付けてドア4を閉め電源をONにした後、洗浄タンク9に対する給水を開始する(S16)。食器洗浄機1は、濯ぎポンプ25を駆動して貯湯タンク18内の温水を濯ぎノズル6,8から洗浄室R内に噴射させ、噴射された温水が洗浄室Rの下方の洗浄タンク9内に流れ込むことで給水を行う。
【0063】
その後、食器洗浄機1は、水位検知スイッチ10がONに切り替わることで、給水の完了を検知する(S17)。食器洗浄機1は、給水の完了を検知した場合、洗浄タンク9内の洗浄水が入れ替えられたと判定する。
【0064】
食器洗浄機1は、洗浄タンク9内の洗浄水が入れ替えられたと判定した場合、運転可能状態となったことを確認して運転停止状態のロックを解除する(S18)。また、ステップS18において、食器洗浄機1は、マイコン30による運転回数カウンタのカウントを開始する。その後、食器洗浄機1は、洗浄サイクル運転の運転回数に応じて再びステップS11から動作を繰り返す。
【0065】
以上説明した第2の実施形態に係る食器洗浄機1によれば、第1の実施形態に係る食器洗浄機1と同様の効果を奏することができる。また、この食器洗浄機1によれば、実際の運転回数に応じてアラートを出力するので、単純に一定時間ごとにアラートを出力する場合と比べて、汚れの少ない洗浄水を排水するような無駄が生じたり繁忙時に洗浄水が汚れ過ぎたりすることが避けられる。従って、この食器洗浄機1によれば、実際の汚れ具合に応じた入れ替えタイミングを使用者に知らせることができるので、無駄のない衛生管理のサポートを行うことができる。また、使用者によっては運転時間で管理するよりも運転回数で管理する方が感覚的にイメージしやすい場合があるため、使用者に好みにあった衛生管理のサポートが実現できる。
【0066】
なお、食器洗浄機1は、運転時間に応じたアラーム出力の管理と運転回数に応じたアラーム出力の管理とを使用者の設定により切り換える機能を有していても良い。
【0067】
[第3の実施形態]
第3の実施形態に係る食器洗浄機1は、第1の実施形態と比べて、過去の洗浄水入れ替えの履歴及び過去の積算運転時間の履歴並びに過去の運転回数の履歴を記憶する点と、使用者が入力した入れ替えサイクル時間及び一日の使用時間と記憶した積算運転時間及び運転回数の履歴とに基づいて入れ替えタイミングを決定する点と、が異なる。
【0068】
具体的には、第3の実施形態に係る食器洗浄機1のマイコン30は、過去の洗浄水入れ替えの履歴及び過去の積算運転時間の履歴並びに過去の運転回数の履歴を記憶するデータベースを備えている。このデータベースには、洗浄水の入れ替えを行った日時などの履歴と一日当たりの積算運転時間及び運転回数の履歴が記憶されている。
【0069】
また、マイコン30は、使用者が操作パネル3から入力した入れ替えサイクル時間及び一日の使用時間を記憶している。入れ替えサイクル時間とは、食器洗浄機1を連続使用した場合に使用者が希望する入れ替えサイクルの目安時間である。また、一日の使用時間とは、一日のうち食器洗浄機1を使用する可能性のある時間である。例えば飲食店における営業時間に相当する。
【0070】
マイコン30は、入れ替えサイクル時間、一日の使用時間、及び運転時間の履歴に基づいて入れ替えタイミングを決定する。例えば、マイコン30は、入れ替えサイクル時間をA、一日の使用時間をB、一年前の該当日における積算運転時間をCとして、下記の式(1)から当日の入れ替えタイミングXを決定する。
【数1】
【0071】
上記式(1)において、入れ替えサイクル時間Aを2時間、一日の使用時間Bを8時間、一日当たりの積算運転時間Cを4時間とすると、入れ替えタイミングXは4時間となる。なお、本実施形態における入れ替えタイミングのカウントは積算運転時間ではなく通常の時間である。また、積算運転時間Cについては、一年前のデータだけではなく二年以上前のデータも含む複数データを利用して算出しても良い。
【0072】
或いは、マイコン30は、繁忙状況に応じた複数の運転時間パターンを予め記憶しておき、過去の積算運転時間や運転回数の履歴などに基づいて当日の運転時間パターンを判別して、判別した運転時間パターンに対応する入れ替えタイミングに決定する態様であっても良い。例えば、マイコン30は、一日当たりの運転時間の多少に応じて、三つのパターンを作成することが考えられる。この場合、マイコン30は、運転時間の少ないパターンについては入れ替えタイミングを4時間に設定する。運転時間の通常のパターンについては入れ替えタイミングを3時間に設定する。運転時間の多いパターンについては入れ替えタイミングを2時間に設定する。
【0073】
また、マイコン30は、曜日データに基づいて入れ替えタイミングを決定する。マイコン30は、繁忙曜日及び繁忙時の入れ替えサイクル時間と、繁忙曜日以外の通常曜日及び通常時の入れ替えサイクル時間とを使用者に入力させる。
【0074】
マイコン30は、土曜、日曜が繁忙曜日であれば、土曜、日曜において繁忙時の入れ替えサイクル時間である2時間を設定する。マイコン30は、月曜から金曜が通常曜日であれば、月曜から金曜において通常時の入れ替えサイクル時間である3時間を設定する。マイコン30は、曜日データに対応する入れ替えサイクル時間に基づいて入れ替えタイミングを決定する。なお、マイコン30は、これらの入れ替えサイクル時間をそのまま入れ替えタイミングとして決定しても良い。また、入れ替えタイミングは、積算運転時間によるカウントの他、通常の時間によるカウントであっても良い。更に、入れ替えサイクル時間の設定は、繁忙時と通常時の二種類に限られず、三種類以上であっても良い。
【0075】
なお、マイコン30による入れ替えタイミングの決定は、日別に行われる場合に限られず、月別や週別であっても良く、また午前と午後とを分けて決定しても良い。
【0076】
以上説明した第3の実施形態に係る食器洗浄機1によれば、洗浄水入れ替えの履歴をマイコン30に記憶しているので、実際の使用者以外の第三者でも過去の入れ替え履歴を確認することができ、より確実に衛生管理を徹底することが可能になる。
【0077】
また、この食器洗浄機1によれば、使用者の入力した入れ替えサイクル時間及び一日の使用時間と過去の積算運転時間の履歴及び過去の運転回数の履歴とに基づいて入れ替えタイミングの決定を自動的に行うことができる。従って、この食器洗浄機1によれば、日付けや時間帯に応じた適切な入れ替えタイミングの決定が自動で行われるので、効率の良い衛生管理を行うことができる。
【0078】
更に、この食器洗浄機1によれば、曜日データに基づいて繁忙時と通常時の二つの入れ替えサイクル時間を切り換えるので、曜日による洗浄水の汚れやすさのバラツキに対応した効率的な衛生管理を行うことができる。
【0079】
[第4の実施形態]
図5に示す第4の実施形態に係る食器洗浄機51は、第1の実施形態と比べて、洗浄タンク9内の洗浄水の入れ換えが自動で行われる点のみが異なっている。なお、第1の実施形態に係る食器洗浄機1と同じ構成部分には同一符号を付し、重複する説明を省略する。
【0080】
具体的には、第4の実施形態に係る食器洗浄機51は、オーバーフローパイプ11に代えて排水用電磁弁52を備えている。排水用電磁弁52は、洗浄タンク9の底面9aから下方に延びる排水管53の途中に設けられている。排水用電磁弁52は、マイコン30の制御によって開き、洗浄タンク9内の洗浄水の排水を行う。
【0081】
以下、第4の実施形態に係る食器洗浄機51が洗浄タンク9内の洗浄水を入れ替える入れ替え動作について説明する。
【0082】
図6に示すように、食器洗浄機51では、まず積算運転時間が設定積算時間に至るまでの残り時間が所定時間以下となった場合に、残り時間のアナウンスを行う(S21)。アナウンスを行うタイミングは予め使用者が設定できる。なお、残り時間のアナウンスは必須ではなく、ステップS21は省略しても良い。
【0083】
次に、食器洗浄機51は、積算運転時間が設定積算時間を経過したことを認識する(S22)。食器洗浄機51は、設定積算時間の経過を認識した場合、ステップS23に移行する。食器洗浄機51は、洗浄サイクル運転中に設定積算時間の経過を認識した場合、積算運転時間が設定積算時間を経過した当該洗浄サイクル運転が終了してからステップ23に移行する。
【0084】
ステップS23において、食器洗浄機51は、洗浄水の入れ替えタイミングを使用者に知らせるアラートの出力を開始する。アラートの出力は、操作パネル3の表示部42における画像出力及び音声出力によって行われる。
【0085】
食器洗浄機51は、アラートにより洗浄水の自動入れ替えを行うことを使用者に知らせる。その後、食器洗浄機51は、洗浄水の自動入れ替え中であることを知らせるためのアラートの出力をステップS29で解除されるまで継続する。
【0086】
また、ステップS23では、食器洗浄機51の運転停止状態がロックされる。食器洗浄機51が運転中の場合には運転停止状態に切り換えられた後にロックが行われる。この運転停止状態のロックは、ステップS29で解除されるまで継続する。
【0087】
次に、ステップS24において、食器洗浄機51は、排水用電磁弁52を開くことで洗浄水の排水を開始する。その後、食器洗浄機51は、水位検知スイッチ10及び排水時間により排水の完了を検知する(S25)。
【0088】
続いて、食器洗浄機51は、排水の完了を検知した場合、洗浄水の入れ換えが行われると判断してマイコン30における積算タイマのクリアを行う(S26)。
【0089】
次に、食器洗浄機51は、洗浄タンク9に対する給水を開始する(S27)。食器洗浄機51は、濯ぎポンプ25を駆動して貯湯タンク18内の温水を濯ぎノズル6,8から洗浄室R内に噴射させ、噴射された温水が洗浄室Rの下方の洗浄タンク9内に流れ込むことで給水を行う。
【0090】
その後、食器洗浄機51は、水位検知スイッチ10がONに切り替わることで、給水の完了を検知する(S28)。食器洗浄機1は、給水の完了を検知した場合、洗浄タンク9内の洗浄水が入れ替えられたと判定する。
【0091】
食器洗浄機51は、洗浄タンク9内の洗浄水が入れ替えられたと判定した場合、アラートを解除する(S29)。また、ステップS29において、食器洗浄機51は、運転可能状態となったことを確認して運転停止状態のロックを解除する。また、食器洗浄機51は、マイコン30による積算タイマのカウントを開始する。その後、食器洗浄機51は、積算運転時間に応じて再びステップS21から動作を繰り返す。
【0092】
以上説明した第4の実施形態に係る食器洗浄機51によれば、使用者が作業することなく、自動で洗浄水の入れ換えが行われるので、より確実な衛生管理を行うことができる。なお、排水用電磁弁52に代えて排水ポンプを利用しても良い。
【0093】
[第5の実施形態]
図7に示す第5の実施形態に係る食器洗浄機61は、いわゆるコンベア型食器洗浄機である。
【0094】
コンベア型食器洗浄機61では、
図7に示す搬送方向に食器Dを送りつつ、食器Dの洗浄及び濯ぎが行われる。コンベア型食器洗浄機61の左側には、汚れた食器Dを収容したラック62を載せるためのソイルドテーブル63が設置され、右側には、洗浄後の食器Dを収容したラック62を載せるためのクリーンテーブル64が設置されている。
【0095】
コンベア型食器洗浄機61は、洗浄室Rを形成するステンレス製の筐体65を有している。筐体65の上部には洗浄室Rが形成され、下部には洗浄タンク66が形成されている。洗浄タンク66の使用者側(
図1の紙面手前側)には、使用者が運転の開始や休止、各種の設定を操作するための操作パネル67が設けられている。
【0096】
図8に示すように、操作パネル67は、使用者が運転回数などを設定するための設定スイッチ68、洗浄水や濯ぎ水の湯温情報その他の情報を表示する表示部69、設定モードを切り換えるためのモード切替スイッチ70、電源のON、OFFを切り換える運転スイッチ71、及びコンベア型食器洗浄機61の運転状態などを使用者に知らせるための各種表示ランプ72が設けられている。また、操作パネル67は、警告音や音声アナウンスを出力する音声出力機能を有している。
【0097】
図7に示すように、コンベア型食器洗浄機61の筐体65内に設けられた洗浄室R内には、ソイルドテーブル63とクリーンテーブル64との間を架け渡すように延在する左右一対のラックレール73が設置されている。そして、ラックレール73に載置されたラック62は、洗浄室R内に配置されたコンベア74によって一方向に搬送される。このコンベア74は、コンベア駆動用モータ75によって駆動されている。
【0098】
洗浄室Rは、カーテン76で仕切られて、入口側が洗浄領域R1となり、出口側が濯ぎ領域R2になっている。更に、コンベア型食器洗浄機61の入口を塞ぐようにカーテン77の上端が筐体65に固定され、コンベア型食器洗浄機61の出口を塞ぐようにカーテン78の上端が筐体65に固定されている。そして、カーテン76,77,78は、短冊状の切り込みが形成されて、ラック62の通過を可能にしている。
【0099】
洗浄領域R1内には、上方から洗浄水を噴水する上側洗浄ノズル79と下方から洗浄水を噴水する下側洗浄ノズル80とが配置されている。上側洗浄ノズル79は、給水パイプ81を介して洗浄ポンプ82に連結され、下側洗浄ノズル80は、給水パイプ83を介して洗浄ポンプ84に連結されている。この洗浄ポンプ82,84の吸込み口は洗浄タンク66内に連通している。
【0100】
この洗浄タンク66内には、洗浄後の洗浄水及び濯ぎ後の濯ぎ水が流れ込んで貯留される。洗浄タンク66内の余剰な洗浄水はオーバーフローパイプ85によって外部に排出される。このオーバーフローパイプ85を取り外すことによって洗浄タンク66内の洗浄水の排水が行われる。また、洗浄タンク66には、洗浄水の水位を検知するための水位検知スイッチ(水位検知手段)86が設けられている。水位検知スイッチ86は、洗浄タンク66内の洗浄水の水位が所定水位Hを超えている場合にONとなり、所定水位H以下の場合にOFFとなるスイッチである。
【0101】
濯ぎ領域R2内には、上方から濯ぎ水を噴水する上側濯ぎノズル87と下方から濯ぎ水を噴水する下側濯ぎノズル88とが配置されている。上側濯ぎノズル87と下側濯ぎノズル88は給水パイプ89を介して濯ぎポンプ90に連結されている。この濯ぎポンプ90の吸込み口は貯湯タンク91内に連通している。
【0102】
コンベア型食器洗浄機61は、ラック搬送方向で洗浄ノズル79,80の上流側に配置されてラック62の通過を検知する洗浄用ラック検知スイッチ92と、ラック搬送方向で濯ぎノズル87,88の上流側に配置されてラック62の通過を検知する濯ぎ用ラック検知スイッチ93と、を有している。ラック62の搬送は、ラック62の底側がコンベア74の送り爪74aに引っ掛けられた状態で行われる。
【0103】
コンベア型食器洗浄機61には、動作全般を制御するマイコン94が設けられている。マイコン94は、洗浄タンク66の使用者側に設けられている。マイコン94は、運転時間を積算した積算運転時間をカウントする積算タイマとしての機能を有する。本実施形態における運転時間とはコンベア駆動用モータ75が駆動している時間である。マイコン94は、運転休止状態や電源OFF状態を挟んでも、積算タイマをクリアすることなくコンベア駆動用モータ75が駆動している時間を積算する。
【0104】
このコンベア型食器洗浄機61における洗浄運転について説明する。このコンベア型食器洗浄機61では、使用者が食器Dを載せたラック62を入口から洗浄室R内に押し込んで洗浄用ラック検知スイッチ92がラック62を検知すると、洗浄ポンプ82,84が駆動して食器Dの洗浄工程が開始される。洗浄工程では、食器Dがコンベア74の駆動によりラック62ごと搬送されながら、洗浄ノズル79,80から噴射される洗浄水によって洗浄される。
【0105】
その後、食器Dが搬送されて洗浄領域R1から濯ぎ領域R2に進入して濯ぎ用ラック検知スイッチ93がラック62を検知すると、濯ぎポンプ90が駆動して濯ぎ工程が開始される。濯ぎ工程では、食器Dがコンベア74の駆動によりラック62ごと搬送されながら、濯ぎノズル87,88から噴射される濯ぎ水によって濯ぎが行われる。その後、コンベア型食器洗浄機61の出口側から食器Dが搬出される。
【0106】
次に、コンベア型食器洗浄機61が洗浄タンク66内の洗浄水の入れ替えタイミングを使用者に知らせるアラート動作について説明する。
【0107】
コンベア型食器洗浄機61は、積算タイマとして機能するマイコン94がカウントした積算運転時間に応じてアラート動作を行う。コンベア型食器洗浄機61は、使用者が予め設定した設定積算時間に積算運転時間が至ったタイミングを入れ替えタイミングとして使用者に知らせる。
【0108】
図9に示すように、コンベア型食器洗浄機61では、まず積算運転時間が設定積算時間に至るまでの残り時間が所定時間以下となった場合に、残り時間のアナウンスを行う(S31)。アナウンスを行うタイミングは予め使用者が設定できる。アナウンスは、操作パネル67の表示部69における残り時間の表示及び音声出力によって行われる。音声出力としては、残り時間についての音声アナウンス及び警告音が出力される。なお、残り時間のアナウンスは必須ではなく、ステップS31は省略しても良い。
【0109】
次に、コンベア型食器洗浄機61は、積算運転時間が設定積算時間を経過したことを認識する(S32)。コンベア型食器洗浄機61は、設定積算時間の経過を認識した場合、ステップS33に移行する。コンベア型食器洗浄機61は、洗浄サイクル運転中に設定積算時間の経過を認識した場合、積算運転時間が設定積算時間を経過した当該洗浄サイクル運転が終了してからステップ33に移行する。
【0110】
ステップS33において、コンベア型食器洗浄機61は、洗浄水の入れ替えタイミングを使用者に知らせるアラートの出力を開始する。アラートの出力は、操作パネル67の表示部69における画像出力及び音声出力によって行われる。具体的には、表示部69に「Change」の省略形である「Ch」の文字を点滅表示させる。また、音声アナウンス及び警告音が所定間隔で出力される。アラートの出力は、ステップS35で解除されるまで継続する。なお、使用者は、ステップS35まで移行しない場合であっても、一定時間経過した場合にアラートの出力を停止するモードを選択することができる。
【0111】
また、ステップS33では、コンベア型食器洗浄機61の運転停止状態がロックされる。コンベア型食器洗浄機61が運転中の場合には運転停止状態に切り換えられた後にロックが行われる。この運転停止状態のロックは、ステップS38で解除されるまで継続する。なお、使用者は、アラート出力後に運転停止状態をロックするモードとアラート出力後も運転可能なモードとを切り換えることができる。
【0112】
次に、ステップS34において、洗浄タンク66内の洗浄水の排水を検知したか否かを判定する。このステップS34は洗浄タンク66内の洗浄水の排水を検知するまで繰り返され、その間、運転停止状態のロック及びアラートの出力は継続される。
【0113】
ステップS34における洗浄水の排水の検知は水位検知スイッチ86により行われる。コンベア型食器洗浄機61は、洗浄タンク66内の洗浄水の水位が低下して水位検知スイッチ86がOFFに切り替わった場合に、洗浄タンク66内の洗浄水の排水を検知したと判定する。すなわち、コンベア型食器洗浄機61は、使用者がオーバーフローパイプ85を洗浄タンク66から取り外して洗浄水の排水が行われるまで、ステップS34を繰り返す。
【0114】
コンベア型食器洗浄機61は、洗浄タンク66内の洗浄水の排水を検知したと判定した場合、アラートの解除を行う(S35)。また、コンベア型食器洗浄機61は、マイコン94における積算タイマのクリアを行う。
【0115】
続いて、コンベア型食器洗浄機61は、使用者がオーバーフローパイプ85を取り付けて筐体65を閉め電源をONにした後、洗浄タンク66に対する給水を開始する(S36)。コンベア型食器洗浄機61は、濯ぎポンプ90を駆動して貯湯タンク91内の温水を濯ぎノズル87,88から洗浄室R内に噴射させ、噴射された温水が洗浄室Rの下方の洗浄タンク66内に流れ込むことで給水を行う。
【0116】
その後、コンベア型食器洗浄機61は、水位検知スイッチ86がONに切り替わることで、給水の完了を検知する(S37)。コンベア型食器洗浄機61は、給水の完了を検知した場合、洗浄タンク66内の洗浄水が入れ替えられたと判定する。
【0117】
コンベア型食器洗浄機61は、洗浄タンク66内の洗浄水が入れ替えられたと判定した場合、運転可能状態となったことを確認して運転停止状態のロックを解除する(S38)。また、ステップS38において、コンベア型食器洗浄機61は、マイコン94による積算タイマのカウントを開始する。その後、コンベア型食器洗浄機61は、積算運転時間に応じて再びステップS31から動作を繰り返す。
【0118】
以上説明したコンベア型食器洗浄機61によれば、第1の実施形態に係るドア型の食器洗浄機1と同様の効果を得ることができる。すなわち、このコンベア型食器洗浄機61によれば、使用者に洗浄水の入れ替えタイミングを知らせるアラートを出力することにより、使用者は洗浄水が汚れ過ぎる前に入れ替えを行うことができるので、使用者による衛生管理をサポートすることができる。しかも、このコンベア型食器洗浄機61によれば、洗浄水が汚れ過ぎる前にアラートに気づいた使用者が入れ替えを行うことで、汚れの蓄積により洗浄ノズル79,80などに詰まりが生じることが抑制されるので、コンベア型食器洗浄機61の洗浄性能を維持することができる。従って、このコンベア型食器洗浄機61によれば、使用者による衛生管理をサポートすると共に洗浄能力を維持させることができる。
【0119】
本発明は、上述した実施形態に限定されるものではない。
【0120】
例えば、第5の実施形態に係るコンベア型食器洗浄機61において、第2の実施形態のように運転回数に応じたアラート出力を行っても良い。この場合には、コンベア型食器洗浄機61は、洗浄用ラック検知スイッチ92などを利用して運転回数をカウントすることができる。
【0121】
また、第5の実施形態に係るコンベア型食器洗浄機61において、第3の実施形態のように自動で洗浄水の入れ替えを行う態様としても良く。また、第4の実施形態のように、過去の各種履歴や使用者の設定に応じて入れ替えタイミングを自動で決定しても良い。