特許第5765981号(P5765981)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5765981
(24)【登録日】2015年6月26日
(45)【発行日】2015年8月19日
(54)【発明の名称】発光装置
(51)【国際特許分類】
   H01L 33/62 20100101AFI20150730BHJP
   H01L 33/64 20100101ALI20150730BHJP
【FI】
   H01L33/00 440
   H01L33/00 450
【請求項の数】4
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2011-63015(P2011-63015)
(22)【出願日】2011年3月22日
(65)【公開番号】特開2012-199416(P2012-199416A)
(43)【公開日】2012年10月18日
【審査請求日】2014年2月17日
(73)【特許権者】
【識別番号】000002303
【氏名又は名称】スタンレー電気株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000888
【氏名又は名称】特許業務法人 山王坂特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】立花 佳織
【審査官】 北島 拓馬
(56)【参考文献】
【文献】 特開2009−088190(JP,A)
【文献】 特開2009−146979(JP,A)
【文献】 特開平10−242629(JP,A)
【文献】 特開平04−258183(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 33/00 − 33/64
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板と、前記基板上に形成された導電パターンと、前記導電パターンに列状に並べて搭載された複数の発光素子と、前記導電パターンと前記複数の発光素子とを接合する半田層とを有し、
前記発光素子は、底面側に、第1電極と、第1電極よりも面積の小さな第2電極とを備え、
前記導電パターンは、前記複数の発光素子ごとに配置された、前記第1電極に対向する第1パッドと、前記第2電極に対向する第2パッドと、前記複数の発光素子のうち隣接する前記発光素子間に配置された連結部とを含み、
前記連結部は、隣接する前記発光素子のうち一方の発光素子に対応する前記第1パッドと、他方の前記発光素子に対応する第2パッドとを連結し、
前記第2電極は、前記第1電極の一辺に沿った帯状であり、前記第2パッドは、前記第2電極に対応する帯状であり、前記第2パッドは、前記連結部と、前記第2パッドの長辺において接続され、
前記第1パッドと第2パッドと前記連結部の上には、半田層が配置され、前記連結部の上の前記半田層は、前記連結部によって連結された前記第1パッドおよび前記第2パッドの各々の上の半田層と連続しており、
前記第2パッドの長手方向の長さは、前記第2電極の長手方向の長さよりも長く、前記第2パッドの一方の端部の領域は、前記発光素子の外周よりも外側に突出し、前記領域にも前記半田層が配置されていることを特徴とする発光装置。
【請求項2】
請求項1に記載の発光装置において、前記連結部は、前記第1パッドの一辺に配置され、他の辺には第2連結部が接続されていることを特徴とする発光装置。
【請求項3】
請求項2に記載の発光装置において、前記導電パターンは、前記第1パッドの脇に配置された点灯試験用端子をさらに含み、前記第2連結部は、前記第1パッドと前記点灯試験用端子とを連結し、
前記点灯試験用端子は、前記複数の発光素子の列の一方の側に、前記発光素子ごとにそれぞれ配置されていることを特徴とする発光装置。
【請求項4】
請求項2または3に記載の発光装置において、前記第1パッドは矩形であり、前記連結部および第2連結部はそれぞれ、前記第1パッドの辺の中央部に連結され、前記辺の両端には前記第1パッドの角部があることを特徴とする発光装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、配線パターンが形成された基板に発光素子を実装した発光装置に関する。
【背景技術】
【0002】
同一面にアノードとカソードを備えたフリップチップタイプの発光素子を、配線パターンが形成された基板上に実装する方法として各種方法が知られている。例えば特許文献1には、予め発光素子のアノードとカソード上に半田バンプを形成しておき、基板のパターン電極に搭載してリフローする方法や、アノードとカソード上にAuバンプを形成し、パターン電極を構成するAuとAu−Auの超音波接合をする方法や、パターン電極上に半田を塗布し、Auバンプつきアノードとカソードとリフローによる接合する方法が開示されている。
【0003】
また、特許文献2には、発光素子のアノードとカソードの表面に、マスクを用いたスパッタ成膜により半田層を複数の島状に形成し、フラックス膜を形成した基板の配線パターン上に搭載し、リフローすることにより、配線パターンとの接触面積を狭めて半田接合を行う方法が開示されている。これにより、薄い半田層による接合を可能にしている。
【0004】
また、特許文献3には、半田やAuのバンプを備えたチップを、基板パターンのパッドに搭載し、強く押圧するとともに加熱することにより、バンプとパッドとを接合する方法が開示されている。
【0005】
一方、フリップチップタイプと異なり、アノードとカソードの一方を上面に他方を裏面に備える発光素子をアレイ状に並べて基板上に実装する技術が、特許文献4に記載されている。基板上のダイボンディングパターンに半田ペーストを印刷し、発光素子を並べて搭載し、リフローすることにより接着する。リフロー時に余剰の半田は、ダイボンディングパターンの端部に流れる。これにより、隣接する発光素子の間隙から上方へ這い上がる現象を防止する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2003−304003号公報
【特許文献2】特開2007−251021号公報
【特許文献3】特許第2830824号公報
【特許文献4】特開平7−147430号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
従来技術では、フリップチップの場合、特許文献1、3のようにバンプを用いたり、特許文献2のように島状の半田層を用いて接合を行っている。しかし、バンプや島状の半田層で接合を行う場合、バンプや島状の半田層が発光素子や基板と接触する面積は小さいため、バンプや島状の半田層により伝導できる熱容量は限られる。このため、発熱量が大きい大光量の発光素子の場合、発熱を十分に基板に熱伝導させて冷却することが困難になる。
【0008】
一方、特許文献4の技術のように、基板パターン上に半田ペーストを印刷して発光素子を搭載し、リフローする方法は、半田層の厚みが厚くなるものの、半田層と発光素子や基板との接触面積が大きく、発光素子の発熱を基板に熱伝導させる効率がよい。
【0009】
このため、発熱量の大きい発光素子の場合には、フリップチップであっても半田ペーストを印刷してリフローする方法が熱伝導の観点からは望ましい。しかしながら、フリップチップのアノードとカソードは、少なくとも一方の電極の面積は小さく形成され、小さな電極面積に対し半田ペーストを供給することが困難である。また、リフロー時に溶融した半田がギャップを越えて濡れ広がるとショートが生じる。このため、フリップチップの実装に半田ペーストを供給するリフロー法で行うのは困難であった。
【0010】
本発明の目的は、フリップチップタイプの発光素子を、熱伝導の効率よく、基板に実装した発光装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するために、本発明の第1の態様によれば、以下のような発光装置が提供される。すなわち、基板と、基板上に形成された導電パターンと、導電パターンに列状に並べて搭載され、導電パターンと半田層を介して接合された複数の発光素子とを有する発光装置である。発光素子は、底面側に第1電極と第1電極よりも面積の小さな第2電極とを備える。導電パターンは、複数の発光素子ごとに配置された、第1電極に対向する第1パッドと、第2電極に対向する第2パッドと、第2パッドを隣接する発光素子の第1パッドと連結する連結部とを含む。第1パッドと第2パッドと連結部の上には、半田層が配置されている。
【0012】
連結部は、第1パッドの一辺に配置され、他の1辺には第2連結部が接続されている構成にすると好ましい。
【0013】
上述の連結部の上の半田層は、当該連結部によって連結された第1パッドと第2パッドの各々の上の半田層と連続していることが好ましい。
【0014】
導電パターンは、第1パッドの脇に配置された点灯試験用端子をさらに含む構成にすることができる。この場合、第2連結部は、第1パッドと点灯試験用端子とを連結する構成とすることができる。点灯試験用端子は、発光素子ごとに配置され、複数の発光素子の列の一方の側にいずれも配置されているが好ましい。
【0015】
第1パッドは矩形であり、連結部および第2連結部はそれぞれ、第1パッドの辺の中央部に連結され、辺の両端には角部があることが好ましい。
【0016】
また、本発明の第2の態様によれば、以下のような発光装置が提供される。基板と、基板上に形成された導電パターンと、導電パターンに搭載され、導電パターンと半田層を介して接合された発光素子とを有する発光装置であって、発光素子は、底面側に第1電極と第1電極よりも面積の小さな第2電極とを備える。導電パターンは、第1電極に対向する第1パッドと、第2電極に対向する第2パッドと、第2パッドに連続する半田供給パッドとを含む。第1パッドと第2パッドと半田供給パッドの上には、半田層が配置され、第2パッドと半田供給パッド上に形成された半田層は、連続している。
【0017】
また、本発明の第3の態様によれば、以下のような導電パターン付き基板が提供される。すなわち、上面に導電パターンを備えた基板であって、導電パターンは、第1パッドと、前記第1パッドよりも面積の小さい第2パッドとを複数組列状に並べた構成であり、第2パッドと、隣接する組の前記第1パッドとの間には、両者を連結する連結部が配置されている。
【0018】
また、本発明の第4の態様によれば、以下のような発光装置の製造方法が提供される。すなわち、第1パッドと、第1パッドよりも面積の小さい第2パッドの組が複数組列状に並べて配置され、第2パッドと、隣接する組の第1パッドとの間に両者を連結する連結部が配置された導電パターン付き基板の、第1パッドの上に半田をそれぞれ供給する第1工程と、第1パッドと第2パッドの組の上に、底面に第1電極と第2電極を備えた発光素子をそれぞれ搭載する第2工程と、基板を所定の温度に加熱して、第1パッド上の半田を溶融し、第1パッドに濡れ広がらせ、さらに連結部を介して第2パッドに溶融した半田を濡れ広がらせた後、冷却して半田層を形成することにより第1パッドと第1電極、第2パッドと第2電極をそれぞれ接合する第3工程とを有する。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、フリップチップタイプの発光素子を、溶融半田を硬化させた半田層により、熱伝導の効率よく、基板に実装することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】第1の実施形態の発光装置の(a)上面図、(b)基板2の上面図、(c)基板2の配線パターンの説明図。
図2図1の発光素子の底面図。
図3図1の発光装置の配線パターンと発光素子の位置関係を示す説明図。
図4図1(b)の配線パターンに半田を供給し、溶融した場合の濡れ広がりを示す説明図。
図5】(a)〜(c)第1の実施形態の発光装置の製造工程を示す説明図。
図6】(a)および(b)第1の実施形態の連結部の変形例を示す説明図。
図7】第2の実施形態の発光装置の基板の上面図。
図8】(a)および(b)第3の実施形態の基板パターンの変形例を示す上面図。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の一実施の形態の発光装置について図面を用いて説明する。
【0022】
本発明は、発光装置のフリップチップを搭載する配線パターンの形状を下記詳述する形状にすることにより、幅の狭いパターンへ隣接するパターンから溶融半田を供給可能とするものである。
【0023】
<第1の実施形態>
第1の実施形態の発光装置の上面図を図1(a)に示す。(なお、本願の図面では、図の理解を容易にするため上面図であっても一部ハッチングを付している。)発光装置は、基板2と、基板2の上面に配置された導電体膜から構成される配線パターン3と、配線パターン3の所定位置に搭載された発光素子1a〜1dとを備えて構成される。発光素子1a〜1dは、半田層40により配線パターン3と電気的に接合されるとともに接着されている。発光素子1a〜1dは、所定の微小な間隙をあけて直線状に並べて配置されている。ここでは、一例として4個の発光素子1a,1bを並べた構造について説明するが、発光素子の数は複数であればよく、多数の素子を並べることも可能である。
【0024】
発光素子1a〜1dは、いずれも図2に示したように素子の底面にカソード11とアノード12が設けられたフリップチップである。カソード11は、素子の底面の大部分を占める矩形である。一方、アノード12は、細い矩形の帯状である。アノード12とカソード11は、帯状のギャップ13を挟んで配置されている。ここでは、帯状のアノード12の幅(短辺)は、数十μmである。ギャップ13の幅もアノード12の幅と同程度である。
【0025】
また、アノード12およびカソード11の形状は、ほぼ直角な角部を有する矩形である。これら角部は、配線パターン3の直角な角部に対して溶融半田上でのセルフアライメントに有効である。
【0026】
また、発光素子1a,1bは、活性層が素子基板よりも底面側に位置する構造(ジャンクションダウン)であり、これにより活性層の発熱を半田層40を介して基板2に効率よく放熱することができる。
【0027】
アノード12とカソード11の最表面に設けられる金属の材質は、半田層40を構成する半田材料への濡れ性の高いものが望ましい。例えば、AuSnやAuを用いる。
【0028】
基板2は、セラミック、樹脂、金属等を用いることができるが、特にセラミックが好ましい。配線パターンはAu、Cu等がよいが最表面はAuがよい。
【0029】
基板2の配線パターン3について図1(b)、(c)、図3図4を用いて説明する。配線パターン3は、図1(b)に示したように、各発光素子1a〜1dのカソード11に対応する第1パッド31a〜31dと、アノード12に対応する第2パッド32a〜32dと、電流供給端子34,35と、点灯チェック用端子36a〜36eと、第1連結部33a〜33cと、第2連結部37a〜37cを含む。第1パッド31a〜31dと第2パッド32a〜32dは、図3に示すように、直線状に搭載される発光素子1a〜1dのカソード11とアノード12に対応する位置に配置されている。すなわち、第1パッド31aと第2パッド32aの組30aが、発光素子1aのカソード11とアノード12に接合される。第1パッド31bと第2パッド32bの組30bが、発光素子1bのカソード11とアノード12に接合される。パッド31c、32cの組30c、ならびに、パッド31d、31dの組30dも同様に対応する発光素子1c、1dに接合される。
【0030】
電流供給端子34,35は、両端に位置する第1パッド31aと第2パッド32dにそれぞれ接続されている。
【0031】
第1連結部33a〜33cは、発光素子1a〜1dの間隙の位置に配置されている。第1連結部33aは、発光素子1aの下の第2パッド32aと隣接する発光素子1bの下の第1パッド31bを連結している。同様に、第1連結部33b、33cは、発光素子1bのアノード32b、32cとそれぞれ隣接する発光素子1c、1dのカソード31c、31dとを連結している。
【0032】
これら第1連結部33a〜33cは、発光素子のカソードをその隣の発光素子のアノードに電気的に接続することにより、複数の発光素子を電気的に直列接続する。同時に、面積の大きい第1パッド31a〜31dに供給した半田を溶融状態で、隣接する小面積の第2パッド32a〜32dまで濡れ広がらせて供給する経路としても作用する。
【0033】
また、図1(c)のように、第2パッド32a〜32dの点灯チェック用端子36b〜36d側の端部には、上面から見て発光素子1a〜1eの外周よりも外側に張り出す領域38a〜38dを設けている。これらの領域38a〜38dに半田が濡れ広がっている場合には、第2パッド32a〜32dの全体に半田が濡れ広がったと判断することができるため、濡れ広がりのチェック領域として使用される。なお、領域38a〜38dの形状は、第2パッド32a〜32dよりも幅が狭いものや、太いもの、三角形状等他の形状であってもよいが、第2パッド32a〜32dの形状をそのまま延長した図1のような形状が、パターン作製もしやすく、半田も流れやすいため好ましい。
【0034】
第2連結部37a〜37cは、点灯チェック用端子36b〜36dを第1パッド31b〜31dとそれぞれ電気的に接続し、製造工程において、個々の発光素子の点灯チェックを可能にする。同時に、図4に示すように第1パッド31a〜31dに供給した半田を溶融状態で、隣接する第2パッド32a〜32dまで濡れ広がらせて供給する際に、溶融半田が第2連結部37a〜37cの方向へも濡れ広がろうとする力を生じさせる。これにより、溶融半田の流れによって、発光素子を引っ張る力の向きを分散させてバランスをとり、発光素子1a〜1dを配置したい位置、すなわち、第1パッドと第2パッドの組30a〜30dの上にとどまらせる作用が得られる。
【0035】
なお、本実施例においては、第1パッド31aに連続した第2連結部が形成されていないが、第1パッド31aに連続した第2連結部を形成することもできる。
【0036】
図1(c)に示すように、第2連結部37a〜37bの長辺B(第1パッド31b〜31dとの接続部の長さ)は、第1連結部33a〜33cの長辺A(第1パッド31b〜31dとの接続部の長さ)と同等かそれ以下であることが望ましい。半田の流れを第2パッド32a等の方向へより多く生じさせるためである。
【0037】
第1パッド31b〜31dの形状は、第1連結部33a〜33cの両側の角部Cが、ほぼ直角であることが望ましい。溶融半田により発光素子1b〜1dが第1連結部33a〜33cの方へ引っ張られた際に、角部Cがあることにより第1パッド31b〜31d状にとどまらせる作用が得られるためである。
【0038】
また、第2連結部37a〜37cは、図1の構成では、3つの第1パッド31a〜31dの列の同じ側に突出するように配置している。点灯チェック用端子36a〜36eについても、同様に列の同じ側に配置している。これにより、列の他方の側には、発光素子1a〜1dよりも外側に位置する配線パターン3がないため、発光素子1a〜1dの光が列の他方の側で配線パターン3で反射される恐れがなく、配光の明暗境界を急峻に形成することができる。したがって、例えば車両の前照灯に本発光装置を使用する場合、急峻なカットオフラインが形成できるため好適である。
【0039】
なお、列の一方の側に急峻な明暗境界を形成する必要がない場合には、第2連結部37a〜37cおよび点灯チェック用端子36a〜36eを列の両側に例えば交互に配置することも可能である。
【0040】
配線パターン3の材質は、半田層40の構成する半田材料への濡れ性の高いものが望ましい。例えばAuやCuにより配線パターン3を構成する。特に、表面がAuであることが好ましい。
【0041】
図5(a)〜(c)を用いて本発明の発光装置の製造方法について説明する。
【0042】
図5(a)のように、第1パッド31a〜31d、ならびに、電流供給端子35の上に、半田4をそれぞれ供給する。半田4は、リフローにより配線パターン3および発光素子1a等のカソード11およびアノード12への濡れ性、密着性が高く、熱伝導性に優れた導電性のものであればよく、例えば半田ペースト、半田ペレットを用いることができる。半田4の供給には、ディスペンサによる塗布や、マスクを用いた印刷、半田ペレットの搭載により行うことができる。第1パッド31aへ供給する半田4の量は、リフロー時に第1パッド31a全体に濡れ広がることができる量とする。第1パッド31b、31c、31dへ供給する半田4の量は、リフロー時に搭載されている第1パッドのみならず、連結部33a,33b,33cを通って隣接する第2パッド32a,32b,32c全体に濡れ広がることができる量である。電流供給端子35に供給する半田4の量は、第2パッド32b全体に濡れ広がることができる量である。
【0043】
図5(b)のように、第1パッドと第2パッドの組30a〜30dの上に、発光素子1a〜1dを配置する。(なお、図5(b)、(c)においては、半田の広がりを示すため、発光素子1a,1bを点線枠で示している。)基板2を所定の温度まで加熱し、半田を溶融させる。第1パッド31a上で溶融した半田は、第1パッド31a全体に濡れ広がる。第1パッド31b〜31d上で溶融した半田4は、第1パッド31b〜31d全体に濡れ広がり、さらに連結部33a〜33cを伝わり、第2パッド32a〜32cまで濡れ広がる。電流供給端子35上で溶融した半田4は、第2パッド32dまで濡れ広がる。
【0044】
第2パッド32a〜32dは、発光素子1a〜1dのアノード12と半田層40により電気的に接合されるため、確実に全体に半田を濡れ広がらせる必要がある。第2パッド32a〜32dの大部分は、発光素子1a〜1dの下に位置するため、半田4が全体に濡れ広がっているかを目視で確認するのは難しいが、本実施形態では、第2パッド32a〜32dの端部に、発光素子1a〜1dの外周よりも外側に張り出す領域38a〜38dを設けている。これにより、領域38a〜38dに半田が濡れ広がっているかどうかを目視で確認することができる。
【0045】
溶融した半田4は、第1パッドから連結部33a〜33cの方向へ移動するため、溶融した半田4によって発光素子1b〜1dを連結部33a〜33cの方向へ引っ張る力が生じる。しかしながら、本実施形態では、第2連結部37a〜37cも配置されているため、半田4が、第1連結部33a〜33cの方向のみならず、第2連結部37a〜37cの方向へも濡れ広がろうとすることにより、発光素子1b〜1dを引っ張る力の向きを分散でき、発光素子1b〜1dを第1パッド31b〜31dの上にとどまらせることができる。第1パッド31b〜31cの角部Cについても同様に発光素子1b〜1dを第1パッド上にとどまらせ、位置決めする作用をする。
【0046】
また、第2パッド32a〜32dの領域38a〜38dは、発光素子1a〜1dの角部に位置するため、領域38a〜38dに濡れ広がる溶融半田が発光素子1a〜1bを引っ張る力を生じるが、第2パッド32a〜32dは幅が狭く、領域38a〜38dに半田量は少量であるため、発光素子1a〜1dを引っ張る力は弱く、位置ずれを生じさせない。
【0047】
図5(c)のように、半田4が濡れ広がったならば冷却することにより、半田を固体化させて半田層40を形成する。これにより、半田層40により、第1パッドおよび第2パッドがそれぞれの発光素子1a〜1dのカソード11とアノード12と接合された発光装置が製造できる。
【0048】
半田層40は、配線パターン3上の、第1パッド31a〜31d、第2パッド32a〜32d、第1連結部33a〜33d、第2連結部37a〜37cの一部または全部領域、電流供給端子34の第1パッド31a側の一部領域、電流供給端子35の半田供給部から第2パッド32dとの間の領域、電流供給端子35の半田供給部周辺領域、および、場合により点灯チェック用36b〜36dの一部領域に形成されている。つまり、半田層40は、発光素子1a〜1dの下に位置する配線パターン3上のみならず、第1連結部33a〜33c上にも形成される。
【0049】
また、第1パッド31b、第1連結部33a、第2パッド32a、第2連結部37a上に形成された半田層40は、連続して形成されており、同様に第1パッド31c、第1連結部33b、第2パッド32b、第2連結部37b上に形成された半田層40、第1パッド31d、第1連結部33c、第2パッド32c、第2連結部37cに形成された半田層40についてもそれぞれ連続して形成されている。
【0050】
この後必要に応じて、点灯チェック用端子36a〜36eを用いて、発光素子1a〜1dごとに点灯チェックを行うことができる。また、電流供給端子34,35から電流を供給することにより、全ての発光素子1a〜1dを点灯させることができる。発光素子1a〜1dの発熱は、溶融半田で形成した接触面積の大きな半田層40を介して基板2に効率よく伝導することができる。
【0051】
このように、本実施形態の配線パターン3を用いることにより、アノード12とカソード11のギャップ13が狭く、さらにアノード12の幅の狭い半導体発光素子を溶融半田を用いて基板2へ接合することができる。
【0052】
また、基板パターン3に第1連結部33a〜33c、第2連結部37a〜37cおよび領域38a〜38dを設けたことにより、溶融半田で基板2に接合する際に、確実な接合ができ、かつ配置したい位置からずれることなく配置することができる。
【0053】
また、本実施形態の変形例としては、図6(a)のように第1連結部33aの短辺を曲線にした形状や、図6(b)のように第1連結部33aの短辺をテーパー形状にすることができる。テーパー形状は、第1連結部33aの長辺Aが第1パッド31b側で狭く、第2パッド32a側で広くなるようにする。このような形状にすることにより、第1連結部33aを通って第1パッド31bから第2パッド32aへ溶融半田が流れやすくなる。
【0054】
なお、ここでは第1連結部33aについて説明したが、他の第1連結部33cに、図6(a)、(b)の形状を適用することももちろん可能である。また、第2連結部37a〜37cを図6(a)、(b)の形状にすることもできる。
【0055】
<第2の実施形態>
第1の実施形態では、複数の発光素子を搭載する発光装置について説明したが、一つの発光素子を備える発光装置に適用した例を図7を用いて説明する。図7は、基板パターン3の上面図である。
【0056】
図7のように、第1の実施形態と同様に、第1連結部33a、第2連結部37aを設けた上にで、電流供給端子35に半田供給用のパッド部39を設ける。これにより第1の実施形態と、同様の効果が得られる。
【0057】
<第3の実施形態>
第3の実施形態として、第1および第2実施形態の発光装置に適用可能な、第1パッドの形状の変形例を図8(a),(b)に示す。
【0058】
図8(a)の例は、第1パッド31bに切れ込み2本の切り込み81を設け、第1連結部33aと同じ太さの配線パターン82を第1パッド31b内に形成する。これにより、第1連結部33aに同じ太さの配線パターン82から半田が供給されるため、第1連結部33aに半田が流れやすくする。ただし、切り込み81は、できるだけ細いことが好ましい。切り込み81の部分には半田が濡れ広がらないため、半田層40と発光素子との接触面積が低減し、熱抵抗が大きくなるためである。
【0059】
図8(b)は、第1パッド31bの第1連結部33aに近い部分に、切り込み83を第2パッド32aと平行に入れている。これにより、第2パッド32aとほぼ同サイズの配線パターン84が第1パッド31b内に形成される。
【0060】
切り込み83を入れたことにより発光素子1bの下面の第1パッド31bと第2パッド32bとを合わせた形状は、発光素子1bの中心を中心として左右がほぼ対称な形状になる。このため、製造工程で半田が溶融したときに、発光素子1bが傾くことを抑制することができる。
【0061】
本発明の第1から第3の実施形態の効果をまとめる以下のようになる。
【0062】
本発明では、配線パターン2に第1連結部33a〜33dを設けることにより、パターンの幅が狭く、半田の供給が困難な第2パッド32a〜32dについても、溶融半田による接合を行うことができる。
【0063】
第2パッド32a〜32dへの半田供給を、第2パッドに直接行うのではなく、隣の素子用の第1パッド31b〜31dに供給した半田が第1連結部33a〜33cを伝って流れることによって行うため、発光素子1a〜1dの下の第1パッドと第2パッドの間でショートする可能性が低くなる。
【0064】
配線パターン2に第2連結部37a〜37cを設けることにより、第1連結部33a〜33cに流れる半田の応力とバランスをとることができ、発光素子1a〜1bが溶融半田に引っ張られて位置ずれするのを防止できる。
【0065】
第1連結部33a等、第2連結部37a等を第1パッド31bの辺の中央に配置したことにより、発光素子の角と第1パッドの角とを一致させて配置することができ、溶融半田が溶けたときに、セルフアライメント効果を得ることができる。
【0066】
配線パターン2に領域38a〜38dを設けることにより、第2パッド32a〜32dに確実に半田が濡れ広がったことの確認を行うことができる。
【0067】
上述してきた実施形態では、発光素子を搭載した発光装置について説明したが、本発明は、発光装置に限定されるものではなく、発光素子をフリップチップタイプの半導体素子に置き換えることも可能である。
【0068】
本発明の発光装置は、照明や、車両用前照灯用等のLED光源として好適である。
【符号の説明】
【0069】
1a〜1d…発光装置、2…基板、3…配線パターン、31a〜31d…第1パッド、32a〜32d…第2パッド、33a〜33c…第1連結部、34,35…電流供給端子、36a〜36e…点灯チェック用端子、37a〜37c…第2連結部、38a〜38d…領域
図1
図2
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図4
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図7
図8