特許第5765987号(P5765987)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社小森コーポレーションの特許一覧

特許57659872つの巻紙輪転印刷機の同期制御方法及び装置
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5765987
(24)【登録日】2015年6月26日
(45)【発行日】2015年8月19日
(54)【発明の名称】2つの巻紙輪転印刷機の同期制御方法及び装置
(51)【国際特許分類】
   B41F 33/00 20060101AFI20150730BHJP
   B41F 33/06 20060101ALI20150730BHJP
   B41F 33/08 20060101ALI20150730BHJP
   B41F 13/56 20060101ALI20150730BHJP
   B41F 13/02 20060101ALI20150730BHJP
   B41F 13/00 20060101ALI20150730BHJP
【FI】
   B41F33/00 D
   B41F33/06 S
   B41F33/08 S
   B41F13/56 454
   B41F13/02
   B41F13/00 153
【請求項の数】6
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2011-71326(P2011-71326)
(22)【出願日】2011年3月29日
(65)【公開番号】特開2012-206256(P2012-206256A)
(43)【公開日】2012年10月25日
【審査請求日】2014年3月3日
(73)【特許権者】
【識別番号】000184735
【氏名又は名称】株式会社小森コーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】100078499
【弁理士】
【氏名又は名称】光石 俊郎
(74)【代理人】
【識別番号】230111796
【弁護士】
【氏名又は名称】光石 忠敬
(74)【代理人】
【識別番号】230112449
【弁護士】
【氏名又は名称】光石 春平
(74)【代理人】
【識別番号】100102945
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 康幸
(74)【代理人】
【識別番号】100120673
【弁理士】
【氏名又は名称】松元 洋
(72)【発明者】
【氏名】山▲崎▼ 聡
【審査官】 藏田 敦之
(56)【参考文献】
【文献】 特開2009−023098(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2009/0020027(US,A1)
【文献】 特開昭62−240552(JP,A)
【文献】 特開平06−122188(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41F 13/02
B41F 13/54 − 13/70
B41F 33/00 − 33/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の巻紙輪転印刷機と、
第2の巻紙輪転印刷機と、
第1の巻紙輪転印刷機を駆動する第1の駆動モータと、
第2の巻紙輪転印刷機を駆動する第2の駆動モータと、
第1の巻紙輪転印刷機に備えられた折機を備え、
第1の巻紙輪転印刷機で印刷された印刷物と第2の巻紙輪転印刷機で印刷された印刷物を折機で重ねて折ることができる2つの巻紙輪転印刷機の同期方法において、
第2の巻紙輪転印刷機の印刷部から第2の巻紙輪転印刷機で印刷されたウェブが第1の巻紙輪転印刷機で印刷されたウェブと重ねられるまでの搬送経路の途中に設けられ、第2の巻紙輪転印刷機で印刷されたウェブを案内する案内ローラと、
案内ローラを駆動する第3の駆動モータ及び差動装置とを備え、
第3の駆動モータが、第1の駆動モータと第2の駆動モータの回転速度差に応じた回転速度で駆動され、それによって、前記差動装置を介して駆動される前記案内ローラを、前記折機に入る前記第2の巻紙輪転印刷機で印刷された印刷物の速度が前記第1の巻紙輪転印刷機で印刷された印刷物の速度と同じになるように駆動する、
ことを特徴とする2つの巻紙輪転印刷機の同期制御方法。
【請求項2】
前記案内ローラが、第2の駆動モータによって駆動されると共に、差動装置を介して、第3の駆動モータで駆動されることを特徴とする請求項1に記載の2つの巻紙輪転印刷機の同期制御方法。
【請求項3】
前記案内ローラが、第2の巻紙輪転印刷機の印刷部と折機の間に設けられたクーリング・ローラ又はドラッグ・ローラであることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の2つの巻紙輪転印刷機の同期制御方法。
【請求項4】
第1の巻紙輪転印刷機と、
第2の巻紙輪転印刷機と、
第1の巻紙輪転印刷機を駆動する第1の駆動モータと、
第2の巻紙輪転印刷機を駆動する第2の駆動モータと、
第1の巻紙輪転印刷機に備えられた折機を備え、
第1の巻紙輪転印刷機で印刷された印刷物と第2の巻紙輪転印刷機で印刷された印刷物を折機で重ねて折ることができる2つの巻紙輪転印刷機の同期装置において、
第2の巻紙輪転印刷機の印刷部から第2の巻紙輪転印刷機で印刷されたウェブが第1の巻紙輪転印刷機で印刷されたウェブと重ねられるまでの搬送経路の途中に設けられ、第2の巻紙輪転印刷機で印刷されたウェブを案内する案内ローラと、
案内ローラを駆動する第3の駆動モータ及び差動装置とを備えると共に、
第3の駆動モータを、第1の駆動モータと第2の駆動モータの回転速度差に応じた回転速度で駆動制御し、それによって、前記差動装置を介して駆動される前記案内ローラを、前記折機に入る前記第2の巻紙輪転印刷機で印刷された印刷物の速度が前記第1の巻紙輪転印刷機で印刷された印刷物の速度と同じになるように駆動する制御装置を設けた、
ことを特徴とする2つの巻紙輪転印刷機の同期制御装置。
【請求項5】
前記案内ローラが、第2の駆動モータによって駆動されると共に、差動装置を介して、第3の駆動モータで駆動されることを特徴とする請求項4に記載の2つの巻紙輪転印刷機の同期制御装置。
【請求項6】
前記案内ローラが、第2の巻紙輪転印刷機の印刷部と折機の間に設けられたクーリング・ローラ又はドラッグ・ローラであることを特徴とする請求項4又は請求項5に記載の2つの巻紙輪転印刷機の同期制御装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば一つの折機を共用する親機と子機からなる2つの巻紙輪転印刷機の同期制御方法及び装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、複数のオフセット輪転印刷機を同期運転し、それぞれのオフセット輪転印刷機で印刷されたウェブを重ね、一つの折機で重ねた状態で裁断・折りを行うDUPLEX(二重)やTRIPLEX(三重)等の運転の場合には、親機と子機の原点合わせの際、子機を親機よりも増速させて原点合わせが行われる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平6−122188号公報
【特許文献2】実開昭54−22802号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
親機と子機の原点合わせの際、子機を親機よりも増速させて原点合わせを行う為、子機側のウェブに弛みが発生し、印刷開始時、テンションが安定して正常な印刷物が得られるまでに多くのヤレ紙が発生したり、最悪の場合、紙切れが発生し、最初からやり直さなければならなくなる、という問題があった。
【0005】
そこで、本発明の目的は、子機と親機の速度差に応じた速度で、子機のクーリング部のクーリング・ローラ及びドラッグ部のドラッグ・ローラの駆動系に設けられた引き率調整(テンション調整)用のモータ等を駆動し、ハーモニック・ドライブ(登録商標)等の差動装置を介して親機側の折機に入る子機側のウェブの速度を親機側のウェブの速度と同じにすることによって、上記問題を解決することにある。
【0006】
尚、原点合わせの際、子機の印刷部は胴抜きされてウェブの送りとは無関係になり、更に、印刷部にウェブを供給するインフィード・ローラはテンションが一定になるように駆動制御される為、クーリング・ローラ及びドラッグ・ローラの減速によってウェブのテンションが低くなると自動的に減速され、子機内のウェブの弛みが自動的に回避されるようになる。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題を解決するための本発明に係る2つの巻紙輪転印刷機の同期制御方法は、
第1の巻紙輪転印刷機と、
第2の巻紙輪転印刷機と、
第1の巻紙輪転印刷機を駆動する第1の駆動モータと、
第2の巻紙輪転印刷機を駆動する第2の駆動モータと、
第1の巻紙輪転印刷機に備えられた折機を備え、
第1の巻紙輪転印刷機で印刷された印刷物と第2の巻紙輪転印刷機で印刷された印刷物を折機で重ねて折ることができる2つの巻紙輪転印刷機の同期方法において、
第2の巻紙輪転印刷機の印刷部から第2の巻紙輪転印刷機で印刷されたウェブが第1の巻紙輪転印刷機で印刷されたウェブと重ねられるまでの搬送経路の途中に設けられ、第2の巻紙輪転印刷機で印刷されたウェブを案内する案内ローラと、
案内ローラを駆動する第3の駆動モータ及び差動装置とを備え、
第3の駆動モータが、第1の駆動モータと第2の駆動モータの回転速度差に応じた回転速度で駆動され、それによって、前記差動装置を介して駆動される前記案内ローラを、前記折機に入る前記第2の巻紙輪転印刷機で印刷された印刷物の速度が前記第1の巻紙輪転印刷機で印刷された印刷物の速度と同じになるように駆動する、
ことを特徴とする。
【0008】
また、
前記案内ローラが、第2の駆動モータによって駆動されると共に、差動装置を介して、第3の駆動モータで駆動されることを特徴とする。
【0009】
また、
前記案内ローラが、第2の巻紙輪転印刷機の印刷部と折機の間に設けられたクーリング・ローラ又はドラッグ・ローラであることを特徴とする。
【0010】
上記の課題を解決するための本発明に係る2つの巻紙輪転印刷機の同期制御装置は、
第1の巻紙輪転印刷機と、
第2の巻紙輪転印刷機と、
第1の巻紙輪転印刷機を駆動する第1の駆動モータと、
第2の巻紙輪転印刷機を駆動する第2の駆動モータと、
第1の巻紙輪転印刷機に備えられた折機を備え、
第1の巻紙輪転印刷機で印刷された印刷物と第2の巻紙輪転印刷機で印刷された印刷物を折機で重ねて折ることができる2つの巻紙輪転印刷機の同期装置において、
第2の巻紙輪転印刷機の印刷部から第2の巻紙輪転印刷機で印刷されたウェブが第1の巻紙輪転印刷機で印刷されたウェブと重ねられるまでの搬送経路の途中に設けられ、第2の巻紙輪転印刷機で印刷されたウェブを案内する案内ローラと、
案内ローラを駆動する第3の駆動モータ及び差動装置とを備えると共に、
第3の駆動モータを、第1の駆動モータと第2の駆動モータの回転速度差に応じた回転速度で駆動制御し、それによって、前記差動装置を介して駆動される前記案内ローラを、前記折機に入る前記第2の巻紙輪転印刷機で印刷された印刷物の速度が前記第1の巻紙輪転印刷機で印刷された印刷物の速度と同じになるように駆動する制御装置を設けた、
ことを特徴とする。
【0011】
また、
前記案内ローラが、第2の駆動モータによって駆動されると共に、差動装置を介して、第3の駆動モータで駆動されることを特徴とする。
【0012】
また、
前記案内ローラが、第2の巻紙輪転印刷機の印刷部と折機の間に設けられたクーリング・ローラ又はドラッグ・ローラであることを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明に係る2つの巻紙輪転印刷機の同期制御方法及び装置によれば、第1の巻紙輪転印刷機と第2の巻紙輪転印刷機の原点合わせの際に、両巻紙輪転印刷機のウェブの速度を同じにすることができるので、第2の巻紙輪転印刷機側のウェブ弛みの発生が無くなり、両巻紙輪転印刷機における立ち上げ準備時間が減少されるので、ヤレ紙や紙切れの発生が抑制される。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明の一実施例を示す巻紙輪転印刷機の同期制御装置の概略構成図である。
図2】親機駆動制御装置のブロック図である。
図3A】子機駆動制御装置のブロック図である。
図3B】子機駆動制御装置のブロック図である。
図4A】親機駆動制御装置の動作フロー図である。
図4B】親機駆動制御装置の動作フロー図である。
図4C】親機駆動制御装置の動作フロー図である。
図5A】子機駆動制御装置の動作フロー図である。
図5B】子機駆動制御装置の動作フロー図である。
図6A】子機駆動制御装置の動作フロー図である。
図6B】子機駆動制御装置の動作フロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明に係る2つの巻紙輪転印刷機の同期制御方法及び装置を実施例により図面を用いて詳細に説明する。
【実施例】
【0016】
図1は本発明の一実施例を示す巻紙輪転印刷機の同期制御装置の概略構成図、図2は親機駆動制御装置のブロック図、図3A及び図3Bは子機駆動制御装置のブロック図、図4A乃至図4Cは親機駆動制御装置の動作フロー図、図5A及び図5Bは子機駆動制御装置の動作フロー図、図6A及び図6Bは子機駆動制御装置の動作フロー図である。
【0017】
図1に示すように、第1の巻紙輪転印刷機としてのウェブ輪転印刷機からなる親機Aにおいては、給紙部1及びインフィード部2から連続的に供給されるウェブW1は、先ず第1(1色目の)印刷ユニット3〜第4(4色目の)印刷ユニット6を通過する際に各種の印刷が施され、次いで乾燥機7を通過する際に加熱されて乾燥させられ、引き続きクーリング部8を通過する際に冷却させられ、その後ドラッグ部9を通過する際にテンション制御又は方向の変更が行なわれた後、折機10により所定の形状に断裁され折り畳まれることになる。
【0018】
前記第1〜第4印刷ユニット3〜6や折機10は機械軸(ラインシャフト)11を介して親機の原動モータ(第1の駆動モータ)13に駆動されるようになっている。この親機の原動モータ13には当該親機の原動モータ13の回転速度を検出する親機の原動モータ用ロータリ・エンコーダ14が付設されている。また、親機の原動モータ13は親機駆動制御装置(制御装置)12により駆動制御され、この親機駆動制御装置12に前記親機の原動モータ用ロータリ・エンコーダ14の検出信号が入力される。
【0019】
一方、第2の巻紙輪転印刷機としてのウェブ輪転印刷機からなる子機Bにおいては、給紙部101及びインフィード部102から連続的に供給されるウェブW2は、先ず第1(1色目の)印刷ユニット103〜第4(4色目の)印刷ユニット106を通過する際に各種の印刷が施され、次いで乾燥機107を通過する際に加熱されて乾燥させられ、引き続きクーリング部108を通過する際に冷却させられ、その後ドラッグ部109を通過する際にテンション制御又は方向の変更が行なわれた後、折機110により所定の形状に断裁され折り畳まれることになる。
【0020】
前記第1〜第4印刷ユニット103〜106や折機110は機械軸(ラインシャフト)111を介して子機の原動モータ(第2の駆動モータ)113に駆動されるようになっている。子機の原動モータ113には当該子機の原動モータ113の回転速度を検出する子機の原動モータ用ロータリ・エンコーダ114が付設されている。また、子機の原動モータ113は子機駆動制御装置(制御装置)112により駆動制御され、この子機駆動制御装置112に前記子機の原動モータ用ロータリ・エンコーダ114の検出信号が入力される。
【0021】
そして、本実施例では、親機駆動制御装置12と子機駆動制御装置112が接続されて親機Aと子機Bとが同期制御(運転)されるようになっている。即ち、親機Aと子機Bの双方にて印刷されたウェブW1,W2をともに親機Aの折機10に導いて折り畳むようになっている。
【0022】
また、本実施例では、前記同期制御(運転)に先立って、親機Aと子機Bの原点合わせの際に、子機Bにおけるクーリング部108のクーリング・ローラ(案内ローラ)108a及びドラッグ部109のドラッグ・ローラ(案内ローラ)109aの引き率(テンション)制御を利用して、親機Aと子機BのウェブW1,W2の速度を同じにするようになっている。
【0023】
即ち、クーリング部108のクーリング・ローラ108aは機械軸111を介して子機の原動モータ113に駆動されると共に、ハーモニック・ドライブ(登録商標)等の差動装置115を介して子機のクーリング・ローラ差動駆動用モータ(第3の駆動モータ)116に駆動される。この子機のクーリング・ローラ差動駆動用モータ116には当該子機のクーリング・ローラ差動駆動用モータ116の回転速度を検出する子機のクーリング・ローラ差動駆動用モータ用ロータリ・エンコーダ117が付設されている。この子機のクーリング・ローラ差動駆動用モータ用ロータリ・エンコーダ117の検出信号が子機駆動制御装置112に入力される。
【0024】
一方、ドラッグ部109のドラッグ・ローラ109aは機械軸111を介して子機の原動モータ113に駆動されると共に、ハーモニック・ドライブ(登録商標)等の差動装置118を介して子機のドラッグ・ローラ差動駆動用モータ(第3の駆動モータ)119に駆動される。この子機のドラッグ・ローラ差動駆動用モータ119には当該子機のドラッグ・ローラ差動駆動用モータ119の回転速度を検出する子機のドラッグ・ローラ差動駆動用モータ用ロータリ・エンコーダ120が付設されている。この子機のドラッグ・ローラ差動駆動用モータ用ロータリ・エンコーダ120の検出信号が子機駆動制御装置112に入力される。
【0025】
尚、クーリング部108のクーリング・ローラ108a及びドラッグ部109のドラッグ・ローラ109aの引き率(テンション)制御は、本出願人による特許文献1等で既に公知であるので、詳しい説明は特許文献1を参照してここでの説明は省略する。また、ハーモニック・ドライブ(登録商標)は、ウェーブ・ジェネレータ、フレクスプライン、サーキュラ・スプラインからなる公知のもので、詳しい説明は特許文献2を参照してここでの説明は省略する。
【0026】
前記親機駆動制御装置12は、図2に示すように、CPU20とROM21とRAM22との他に、各入出力装置23〜26、内部クロック・カウンタ27及びインタフェース28がBUS(母線)で接続されてなる。
【0027】
また、BUSには、印刷速度記憶用メモリM1、子機駆動制御装置に回転速度及び子機の仮想の現在の回転位相を送信する時間間隔記憶用メモリM2、親機の現在の回転位相検出用カウンタのカウント値記憶用メモリM3、親機の現在の回転位相記憶用メモリM4、子機の回転位相の補正値記憶用メモリM5、子機の仮想の現在の回転位相記憶用メモリM6及び緩動速度記憶用メモリM7が接続される。
【0028】
入出力装置23には、印刷開始スイッチ29、印刷終了スイッチ30、キーボートや各種スイッチ及びボタン等の入力装置31、CRTやランプ等の表示器32及び出力装置(フロッピー・ディスク(登録商標)ドライブ、プリンタ等)33が接続される。
【0029】
入出力装置24には、印刷速度設定器34が接続される。
【0030】
入出力装置25には、D/A変換器35及び親機の原動モータ・ドライバ36を介して親機の原動モータ13が接続される。
【0031】
入出力装置26には、親機の現在の回転位相検出用カウンタ37を介して親機の原動モータ13に付設された親機の原動モータ用ロータリ・エンコーダ14が接続される。親機の原動モータ用ロータリ・エンコーダ14が発生するクロック・パルスは親機の原動モータ・ドライバ36にも入力される。そして、親機の原動モータ用ロータリ・エンコーダ14が発生するゼロ・パルスで親機の現在の回転位相検出用カウンタ37がリセットされる。
【0032】
インタフェース28には、親機の第1印刷ユニット3〜親機の第4印刷ユニット6と子機駆動制御装置112が接続される。
【0033】
前記子機駆動制御装置112は、図3A及び図3Bに示すように、CPU40とROM41とRAM42との他に、各入出力装置43〜48及びインタフェース49がBUS(母線)で接続されてなる。
【0034】
また、BUSには、緩動速度記憶用メモリM10、子機の仮想の現在の回転位相記憶用メモリM11、子機の現在の回転位相検出用カウンタのカウント値記憶用メモリM12、子機の現在の回転位相記憶用メモリM13、子機の現在の回転位相の差記憶用メモリM14、子機の現在の回転位相の差の許容値記憶用メモリM15、子機の現在の回転位相の差−補正速度変換テーブル記憶用メモリM16、補正速度記憶用メモリM17、回転速度記憶用メモリM18、印刷速度記憶用メモリM19及び子機の現在の回転位相の差の絶対値記憶用メモリM20が接続される。
【0035】
入出力装置43には、D/A変換器50及び子機の原動モータ・ドライバ51を介して子機の原動モータ113が接続される。
【0036】
入出力装置44には、子機の現在の回転位相検出用カウンタ52を介して子機の原動モータ113に付設された子機の原動モータ用ロータリ・エンコーダ114が接続される。子機の原動モータ用ロータリ・エンコーダ114が発生するクロック・パルスは子機の原動モータ・ドライバ51にも入力される。そして、子機の原動モータ用ロータリ・エンコーダ114が発生するゼロ・パルスで子機の現在の回転位相検出用カウンタ52がリセットされる。
【0037】
入出力装置45には、D/A変換器53及び子機のクーリング・ローラ差動駆動用モータ・ドライバ54を介して子機のクーリング・ローラ差動駆動用モータ116が接続される。前記子機のクーリング・ローラ差動駆動用モータ・ドライバ54には子機のクーリング・ローラ差動駆動用モータ116に付設された子機のクーリング・ローラ差動駆動用モータ用ロータリ・エンコーダ117が発生するクロック・パルスが入力される。
【0038】
入出力装置46は子機のクーリング・ローラ差動駆動用モータ・ドライバ54に接続され、当該子機のクーリング・ローラ差動駆動用モータ・ドライバ54に対して正転/逆転信号を出力するようになっている。
【0039】
入出力装置47には、D/A変換器55及び子機のドラッグ・ローラ差動駆動用モータ・ドライバ56を介して子機のドラッグ・ローラ差動駆動用モータ119が接続される。前記子機のドラッグ・ローラ差動駆動用モータ・ドライバ56には子機のドラッグ・ローラ差動駆動用モータ119に付設された子機のドラッグ・ローラ差動駆動用モータ用ロータリ・エンコーダ120が発生するクロック・パルスが入力される。
【0040】
入出力装置48は子機のドラッグ・ローラ差動駆動用モータ・ドライバ56に接続され、当該子機のドラッグ・ローラ差動駆動用モータ・ドライバ56に対して正転/逆転信号を出力するようになっている。
【0041】
インタフェース49には、子機の第1印刷ユニット103〜子機の第4印刷ユニット106と親機駆動制御装置12が接続される。
【0042】
このように構成されるため、親機Aと子機Bの同期制御にあたって、先ず、親機駆動制御装置12は、図4A乃至図4Cに示す動作フローにしたがって動作する。
【0043】
即ち、ステップP1で印刷開始スイッチ29がONされたか否かを判断し、可であればステップP2で子機駆動制御装置112に原点合わせ開始信号を送信する一方、否であればステップP3で印刷速度設定器34に印刷速度が入力されたか否かを判断する。このステップP3で可であれば印刷速度設定器34より印刷速度を読み込み、メモリM1に記憶してステップP1に戻る一方、否であれば直にステップP1に戻る。
【0044】
次に、ステップP5で内部クロック・カウンタ27にリセット信号を出力した後、ステップP6で内部クロック・カウンタ27へのリセット信号出力を停止する。
【0045】
次に、ステップP7で内部クロック・カウンタ27のカウント値を読み込んだ後、ステップP8で子機駆動制御装置に回転速度及び子機の仮想の現在の回転位相を送信する時間間隔をメモリM2から読み込む。
【0046】
次に、ステップP9で内部クロック・カウンタのカウント値=子機駆動制御装置に回転速度及び子機の仮想の現在の回転位相を送信する時間間隔か否かを判断し、可であればステップP10で親機Aの現在の回転位相検出用カウンタ37よりカウント値を読み込み、メモリM3に記憶する。
【0047】
次に、ステップP11で親機Aの現在の回転位相検出用カウンタ37のカウント値より、親機Aの現在の回転位相を演算してメモリM4に記憶した後、ステップP12で子機Bの回転位相の補正値をメモリM5から読み込む。
【0048】
次に、ステップP13で親機Aの現在の回転位相に子機Bの回転位相の補正値を加算し、子機Bの仮想の現在の回転位相を演算してメモリM6に記憶した後、ステップP14で緩動速度をメモリM7から読み込む。
【0049】
次に、ステップP15で子機駆動制御装置112に緩動速度及び子機Bの仮想の現在の回転位相を送信した後、ステップP16で緩動速度をメモリM7から読み込む。次いで、ステップP17で親機Aの原動モータ・ドライバ36にD/A変換器35を介して緩動速度を出力してステップP5に戻る。
【0050】
以上の動作フローによって、親機Aと子機Bの原点合わせが実施される。
【0051】
次に、前記ステップP9で否であれば、ステップP18で子機駆動制御装置112より原点合わせ完了信号が送信されたか否かを判断し、可であればステップP19で子機駆動制御装置112に印刷開始信号を送信する一方、否であればステップP7に戻る。
【0052】
次に、ステップP20で親機Aの第1〜第4印刷ユニット3〜6に印刷開始信号(胴入れ信号)を出力した後、ステップP21で内部クロック・カウンタ27にリセット信号を出力する。
【0053】
次に、ステップP22で内部クロック・カウンタ27へのリセット信号出力を停止した後、ステップP23で内部クロック・カウンタ27のカウント値を読み込む。
【0054】
次に、ステップP24で子機駆動制御装置に回転速度及び子機の仮想の現在の回転位相を送信する時間間隔をメモリM2から読み込んだ後、ステップP25で内部クロック・カウンタのカウント値=子機駆動制御装置に回転速度及び子機の仮想の現在の回転位相を送信する時間間隔か否かを判断する。
【0055】
次に、前記ステップP25で可であれば、ステップP26で親機Aの現在の回転位相検出用カウンタ37よりカウント値を読み込み、メモリM3に記憶した後、ステップP27で親機Aの現在の回転位相検出用カウンタ37のカウント値より親機Aの現在の回転位相を演算してメモリM4に記憶する。
【0056】
次に、ステップP28で子機Bの回転位相の補正値をメモリM5から読み込んだ後、ステップP29で親機Aの現在の回転位相に子機Bの回転位相の補正値を加算し、子機Bの仮想の現在の回転位相を演算してメモリM6に記憶する。
【0057】
次に、ステップP30で印刷速度をメモリM1から読み込んだ後、ステップP31で子機駆動制御装置112に、印刷速度及び子機Bの仮想の現在の回転位相を送信する。
【0058】
次に、ステップP32で印刷速度をメモリM1から読み込んだ後、ステップP33で親機Aの原動モータ・ドライバ36にD/A変換器35を介して印刷速度を出力してステップP21に戻る。
【0059】
次に、前記ステップP25で否であれば、ステップP34で印刷終了スイッチ30がONされたか否かを判断し、可であればステップP35で子機駆動制御装置112に印刷終了信号を送信する一方、否であればステップP23に戻る。
【0060】
次に、ステップP36で親機Aの第1〜第4印刷ユニット3〜6に印刷終了信号(胴抜き信号)を出力した後、ステップP37で親機Aの原動モータ・ドライバ36に停止信号を出力する。以後、これを繰り返す。
【0061】
以上の動作フローによって、親機Aと子機Bの同期運転(制御)が実施される。
【0062】
次に、子機駆動制御装置112は、図5A図5B及び図6A図6Bに示す動作フローにしたがって動作する。
【0063】
即ち、ステップP1で親機駆動制御装置12より原点合わせ開始信号が送信され、ステップP2で親機駆動制御装置12より緩動速度及び子機Bの仮想の現在の回転位相が送信されると、ステップP3で親機駆動制御装置12より緩動速度及び子機Bの仮想の現在の回転位相を受信してメモリM10及びメモリM11に記憶する。
【0064】
次に、ステップP4で子機Bの現在の回転位相検出用カウンタ52よりカウント値を読み込んでメモリM12に記憶した後、ステップP5で子機Bの現在の回転位相検出用カウンタ52のカウント値より子機Bの現在の回転位相を演算してメモリM13に記憶する。
【0065】
次に、ステップP6で子機Bの仮想の現在の回転位相より子機Bの現在の回転位相を減算し、子機Bの現在の回転位相の差を演算してメモリM14に記憶した後、ステップP7で子機の現在の回転位相の差<0か否かを判断する。
【0066】
次に、前記ステップP7で可であれば、ステップP8で子機Bの現在の回転位相の差に360°加算し、求めた値を子機Bの現在の回転位相の差記憶用メモリM14に上書きする一方、否であれば後述するステップP10に移行する。
【0067】
次に、ステップP9で子機Bの現在の回転位相の差をメモリM14から読み込んだ後、前述したステップP10で子機Bの現在の回転位相の差の許容値をメモリM15から読み込む。
【0068】
次に、ステップP11で子機の現在の回転位相の差>子機の現在の回転位相の差の許容値か否かを判断し、可であればステップP12で子機の現在の回転位相の差−補正速度変換テーブルをメモリM16から読み込む。
【0069】
次に、ステップP13で子機Bの現在の回転位相の差をメモリM14から読み込んだ後、ステップP14で子機の現在の回転位相の差−補正速度変換テーブルを用いて、子機Bの現在の回転位相の差より補正速度を求め、メモリM17に記憶する。
【0070】
次に、ステップP15で緩動速度をメモリM10から読み込んだ後、ステップP16で緩動速度に補正速度を加算し、回転速度を演算してメモリM18に記憶する。
【0071】
次に、ステップP17で子機Bの原動モータ・ドライバ51にD/A変換器50を介して回転速度を出力した後、ステップP18で補正速度をメモリM17から読み込む。
【0072】
次に、ステップP19で子機Bのクーリング・ローラ差動駆動用モータ・ドライバ54に逆転信号及びD/A変換器53を介して補正速度を出力した後、ステップP20で子機Bのドラッグ・ローラ差動駆動用モータ・ドライバ56に逆転信号及びD/A変換器55を介して補正速度を出力してステップP2に戻る。
【0073】
次に、前記ステップP11で否であれば、ステップP21で緩動速度をメモリM10から読み込んだ後、ステップP22で子機Bの原動モータ・ドライバ51にD/A変換器50を介して緩動速度を出力する。
【0074】
次に、ステップP23で親機駆動制御装置12に原点合わせ完了信号を送信した後、ステップP24で親機駆動制御装置12より印刷開始信号が送信されると、ステップP25で子機Bの第1〜第4印刷ユニット103〜106に印刷開始信号(胴入れ信号)を出力する。
【0075】
以上の動作フローによって、親機Aと子機Bの原点合わせが実施される。
【0076】
次に、ステップP26で親機駆動制御装置12より印刷速度及び子機Bの仮想の現在の回転位相が送信されたか否かを判断し、可であればステップP27で親機駆動制御装置12より印刷速度及び子機Bの仮想の現在の回転位相を受信してメモリM19及びメモリM11に記憶する一方、否であればステップP28で親機駆動制御装置12より印刷終了信号が送信されたか否かを判断する。
【0077】
次に、前記ステップP28で可であれば、ステップP29で子機Bの第1〜第4印刷ユニット103〜106に印刷終了信号(胴抜き信号)を出力した後、ステップP30で子機Bの原動モータ・ドライバ51に停止信号を出力する一方、否であればステップP26に戻る。
【0078】
次に、ステップP31で子機Bの現在の回転位相検出用カウンタ52よりカウント値を読み込んでメモリM12に記憶した後、ステップP32で子機Bの現在の回転位相検出用カウンタ52のカウント値より、子機Bの現在の回転位相を演算してメモリM13に記憶する。
【0079】
次に、ステップP33で子機Bの仮想の現在の回転位相より子機Bの現在の回転位相を減算し、子機Bの現在の回転位相の差を演算してメモリM14に記憶した後、ステップP34で子機Bの現在の回転位相の差より、子機Bの現在の回転位相の差の絶対値を演算してメモリM20に記憶する。
【0080】
次に、ステップP35で子機Bの現在の回転位相の差の許容値をメモリM15から読み込んだ後、ステップP36で子機の現在の回転位相の差の絶対値>子機の現在の回転位相の差の許容値か否かを判断する。
【0081】
次に、前記ステップ36で可であれば、ステップP37で子機の現在の回転位相の差−補正速度変換テーブルをメモリM16から読み込んだ後、ステップP38で子機Bの現在の回転位相の差をメモリM14から読み込む。
【0082】
次に、ステップP39で子機の現在の回転位相の差−補正速度変換テーブルを用いて、子機Bの現在の回転位相の差より補正速度を求め、メモリM17に記憶した後、ステップP40で印刷速度をメモリM19から読み込む。
【0083】
次に、ステップP41で印刷速度に補正速度を加算し、回転速度を演算してメモリM18に記憶した後、ステップP42で子機Bの原動モータ・ドライバ51にD/A変換器50を介して回転速度を出力してステップP26に戻る。
【0084】
次に、前記ステップP36で否であれば、ステップP43で印刷速度をメモリM19から読み込んだ後、ステップP44で子機Bの原動モータ・ドライバ51にD/A変換器50を介して印刷速度を出力してステップP26に戻る。以後、これを繰り返す。
【0085】
以上の動作フローによって、親機Aと子機Bの同期運転(制御)が実施される。
【0086】
このようにして本実施例では、親機Aと子機Bの原点合わせの際に、子機Bと親機Aの速度差に応じた速度で、子機Bのクーリング部108のクーリング・ローラ108a及びドラッグ部109のドラッグ・ローラ109aの駆動系に設けられた引き率調整(テンション調整)用のクーリング・ローラ差動駆動用モータ116及びドラッグ・ローラ差動駆動用モータ119を駆動し、ハーモニック・ドライブ(登録商標)等の差動装置115及び118を介して親機Aの折機10に入る子機側のウェブW2の速度を親機側のウェブW1の速度と同じにするようにしたので、子機B側のウェブ弛みの発生が無くなり、親機Aと子機Bにおける立ち上げ準備時間が減少されるので、ヤレ紙や紙切れの発生が抑制される。
【0087】
また、従前から装備される、子機Bのクーリング部108のクーリング・ローラ108a及びドラッグ部109のドラッグ・ローラ109aの駆動系に設けられた引き率調整(テンション調整)用のハーモニック・ドライブ(登録商標)等の差動装置115及び118とクーリング・ローラ差動駆動用モータ116及びドラッグ・ローラ差動駆動用モータ119を利用しているので、装置新設によるコストアップは招来しない。勿論、子機Bのクーリング部108以降の搬送経路に、クーリング・ローラ108a及びドラッグ・ローラ109aとは別に案内ローラを設けて本実施例と同様に機能させても良いことは言うまでもない。
【0088】
また、本実施例では、クーリング・ローラ108a及びドラッグ・ローラ109aの両方を速度差に応じて駆動するようにしたが、一方のローラからウェブW2を脱状態にし、他方のローラのみを送度差に応じて駆動するようにしても良いことは言うまでもない。
【0089】
尚、本発明は上記実施例に限定されず、本発明の要旨を逸脱しない範囲で、各種変更が可能であることは言うまでもない。
【産業上の利用可能性】
【0090】
本発明に係る2つの巻紙輪転印刷機の同期制御方法及び装置は、例えば一つの折機を共用する親機と子機からなる2つの巻紙輪転印刷機に有益に適用することができる。
【符号の説明】
【0091】
1,101 給紙部
2,102 インフィード部
3〜6,103〜106 第1(1色目の)印刷ユニット〜第4(4色目の)印刷ユニット
7,107 乾燥機
8,108 クーリング部
9,109 ドラッグ部
10,110 折機
11,111 機械軸(ラインシャフト)
12 親機駆動制御装置
13 親機の原動モータ
14 親機の原動モータ用ロータリ・エンコーダ
112 子機駆動制御装置
113 子機の原動モータ
114 子機の原動モータ用ロータリ・エンコーダ
108a クーリング・ローラ
109a ドラッグ・ローラ
115 ハーモニック・ドライブ(登録商標)等の差動装置
116 子機のクーリング・ローラ差動駆動用モータ
117 子機のクーリング・ローラ差動駆動用モータ用ロータリ・エンコーダ
118 ハーモニック・ドライブ(登録商標)等の差動装置
119 子機のドラッグ・ローラ差動駆動用モータ
120 子機のドラッグ・ローラ差動駆動用モータ用ロータリ・エンコーダ
A 親機
B 子機
W1,W2 ウェブ
図1
図2
図3A
図3B
図4A
図4B
図4C
図5A
図5B
図6A
図6B