(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5766021
(24)【登録日】2015年6月26日
(45)【発行日】2015年8月19日
(54)【発明の名称】安定な水性液剤
(51)【国際特許分類】
A61K 9/08 20060101AFI20150730BHJP
A61K 47/10 20060101ALI20150730BHJP
A61K 47/14 20060101ALI20150730BHJP
A61K 47/26 20060101ALI20150730BHJP
A61K 36/8962 20060101ALI20150730BHJP
A61K 36/258 20060101ALI20150730BHJP
A61K 36/9068 20060101ALI20150730BHJP
A61K 36/9062 20060101ALI20150730BHJP
A61K 36/9066 20060101ALI20150730BHJP
A61K 36/24 20060101ALI20150730BHJP
A61K 36/235 20060101ALI20150730BHJP
A61K 36/535 20060101ALI20150730BHJP
A61K 36/51 20060101ALI20150730BHJP
A61K 36/758 20060101ALI20150730BHJP
A61K 36/54 20060101ALI20150730BHJP
A61K 36/47 20060101ALI20150730BHJP
A61K 36/67 20060101ALI20150730BHJP
A61K 36/752 20060101ALI20150730BHJP
A61K 36/28 20060101ALI20150730BHJP
A61K 36/718 20060101ALI20150730BHJP
A61K 36/284 20060101ALI20150730BHJP
A61K 36/254 20060101ALI20150730BHJP
A61K 36/754 20060101ALI20150730BHJP
A61K 36/804 20060101ALI20150730BHJP
A61K 36/65 20060101ALI20150730BHJP
A61K 36/068 20060101ALI20150730BHJP
A61K 35/644 20150101ALI20150730BHJP
A61K 36/185 20060101ALI20150730BHJP
A61K 31/704 20060101ALI20150730BHJP
【FI】
A61K9/08
A61K47/10
A61K47/14
A61K47/26
A61K36/8962
A61K36/258
A61K36/9068
A61K36/9062
A61K36/9066
A61K36/24
A61K36/235
A61K36/535
A61K36/51
A61K36/758
A61K36/54
A61K36/47
A61K36/67
A61K36/752
A61K36/28
A61K36/718
A61K36/284
A61K36/254
A61K36/754
A61K36/804
A61K36/65
A61K36/068
A61K35/644
A61K36/185
A61K31/704
【請求項の数】6
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2011-108568(P2011-108568)
(22)【出願日】2011年5月13日
(65)【公開番号】特開2011-256166(P2011-256166A)
(43)【公開日】2011年12月22日
【審査請求日】2014年5月2日
(31)【優先権主張番号】特願2010-111594(P2010-111594)
(32)【優先日】2010年5月14日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000163006
【氏名又は名称】興和株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000084
【氏名又は名称】特許業務法人アルガ特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100068700
【弁理士】
【氏名又は名称】有賀 三幸
(74)【代理人】
【識別番号】100077562
【弁理士】
【氏名又は名称】高野 登志雄
(74)【代理人】
【識別番号】100096736
【弁理士】
【氏名又は名称】中嶋 俊夫
(74)【代理人】
【識別番号】100117156
【弁理士】
【氏名又は名称】村田 正樹
(74)【代理人】
【識別番号】100111028
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 博人
(72)【発明者】
【氏名】西田 清隆
【審査官】
高橋 樹理
(56)【参考文献】
【文献】
特開2005−255688(JP,A)
【文献】
特開2004−196671(JP,A)
【文献】
特表2009−544615(JP,A)
【文献】
特開2004−175672(JP,A)
【文献】
特開平02−000212(JP,A)
【文献】
特公昭55−018689(JP,B1)
【文献】
国際公開第2007/135774(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 9/00− 9/72
A61K 47/00−47/48
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
メントール、パラオキシ安息香酸ブチル、及びグリチルリチン酸もしくはその塩を含有する水性液剤。
【請求項2】
メントール及びパラオキシ安息香酸ブチルの合計量を1質量部としたときのグリチルリチン酸又はその塩の質量比が0.1〜3.5質量部である請求項1に記載の水性液剤。
【請求項3】
さらに生薬を含有する請求項1又は2に記載の水性液剤。
【請求項4】
生薬が、加工ダイサン、ニンジン、コウジン、ショウキョウ、リョウキョウ、カンキョウ、ウコン、チョウジ、ウイキョウ、ソヨウ、センブリ、ホップ、サンショウ、ケイヒ、アカメガシワ、ヒハツ、チンピ、モッコウ、オウレン、ゲンノショウコ、ソウジュツ、エゾウコギ、ゴシュユ、ジオウ、シャクヤク、トウチュウカソウ、ローヤルゼリー及びそれらの抽出物からなる群から選ばれる1種又は2種以上である請求項3に記載の水性液剤。
【請求項5】
経口内服液剤である請求項1〜4のいずれか1項に記載の水性液剤。
【請求項6】
メントール及びパラオキシ安息香酸ブチルを含有する水性液剤に、グリチルリチン酸又はその塩を配合することによる当該水性液剤の白濁又は沈殿の防止方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、保存安定性に優れる水性液剤に関する。
【背景技術】
【0002】
メントールは、ハッカ油等に含まれるテルペン系化合物の一種である。メントールは、特異で爽快な芳香を有するため、医薬品や食品、飲料等の服用感向上を目的に、矯味剤、香料、清涼化剤、又は芳香剤として広く使用されている。
【0003】
また、パラオキシ安息香酸アルキルエステルは、非常に優れた静菌及び抗菌作用を有し、化粧品や医薬品の保存剤として広く使用されている。パラオキシ安息香酸アルキルエステルには、パラオキシ安息香酸メチル、パラオキシ安息香酸エチル、パラオキシ安息香酸プロピル、パラオキシ安息香酸イソプロピル、パラオキシ安息香酸ブチル、パラオキシ安息香酸イソブチル等があり、そのアルキル鎖の炭素数が増えるにつれ保存効果が高まることが知られている。しかし、その反面アルキル鎖の炭素数が増えると水溶性は低下し、パラオキシ安息香酸プロピルやパラオキシ安息香酸ブチルではほとんど水に溶けないという欠点がある。そのため、固形剤や軟膏剤、ゲル剤、クリーム剤等に配合する際は特に問題となることは少ないが、水性液剤にこれらを配合する場合には製造時に温水で長時間撹拌したり、エタノール等の有機溶媒を添加したり、特定の界面活性剤あるいは乳化剤を配合(特許文献1)したりする必要があった。
【0004】
一方、グリチルリチン酸又はその塩は、抗炎症作用、組織修復作用、抗アレルギー作用等があり皮膚外用剤、化粧料、消炎薬等に利用されている。また、独特の甘味を有しているため甘味剤や矯味剤としても利用されている。
しかし、メントール及びパラオキシ安息香酸アルキルエステルを含有する水性液剤においてグリチルリチン酸又はその塩がどのような作用を示すかについては知られていなかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2007−137813号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
メントールとパラオキシ安息香酸アルキルエステルを含む水性液剤は、服用感に優れ、かつ保存効果の高い液剤である。しかし、本発明者が、メントールとパラオキシ安息香酸アルキルエステルを含む水性液剤の研究開発を行ってきたところ、パラオキシ安息香酸アルキルエステル、なかでもパラオキシ安息香酸ブチルを配合した水性液剤を高温条件下で保存すると、製剤の白濁や内容物の沈殿が生じる場合があることが判明した。経時的な外観の低下は商品価値を著しく損なうため好ましくない。
したがって、本発明は、メントール及びパラオキシ安息香酸アルキルエステルを含有する水性液剤であって、高温条件下で保存しても白濁や内容物の沈殿が抑制された水性液剤を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者は、メントール及びパラオキシ安息香酸ブチルを含む水性液剤における白濁の原因を探求してきた。その結果、製造直後の製剤に比べ、白濁の生じた製剤中ではメントール含量が低下していることを見出した。このことから、高温保存条件下ではパラオキシ安息香酸ブチルがメントールと相互作用を起こし、製剤の白濁が生じることが示唆された。
そして、本発明者は、前記課題を解決すべく鋭意検討した結果、メントール及びパラオキシ安息香酸アルキルエステルを含む水性液剤を製造するにあたりグリチルリチン酸又はその塩を共存させると、高温保存条件下における白濁や沈殿が抑制され、澄明な水性液剤を得ることができることを見出し、本発明を完成した。
【0008】
すなわち、本発明は、メントール、パラオキシ安息香酸アルキルエステル及びグリチルリチン酸もしくはその塩を含有する水性液剤を提供するものである。
また、本発明は、メントール及びパラオキシ安息香酸アルキルエステルを含有する水性液剤に、グリチルリチン酸又はその塩を配合することによる当該水性液剤の白濁又は沈殿の防止方法を提供するものである。
【発明の効果】
【0009】
本発明の水性液剤は、メントールとパラオキシ安息香酸アルキルエステルを含有するものでありながら、高温保存中に白濁や内容物の沈殿を生じず、澄明で、保存安定性に優れている。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明に用いるメントールは、l−メントール(化学名:(−)−5α−メチル−2β−(1α−メチルエチル)シクロヘキサノール)又はdl−メントール(化学名:5−メチル−2−(1−メチルエチル)シクロヘキサノール)が挙げられる。
また、本発明では、メントールとして、メントールを含有する生薬抽出物を使用してもよい。メントールを含有する生薬抽出物は、例えば、常法に従い、メントールを含有する生薬を水抽出又はエタノール等の有機溶媒抽出し、不溶分を除去・乾固して製造することができる。具体例としては、例えば、ハッカ油、ハッカ水、ペパーミントエッセンス、ペパーミント油等が挙げられる。本発明におけるメントールとしては、l−メントール、dl−メントール、又はハッカ油を使用することが好ましい。
【0011】
上記のメントールは、市販のものを使用することができる。市販品の例としては、dl−メントール(高砂香料工業、日本テルペン化学)、l−メントール(三栄源エフ・エフ・アイ、高砂香料工業、日本テルペン化学)、ハッカ油(古川香料、高砂香料工業、三栄源エフ・エフ・アイ)、ハッカ水(オリエンタル薬品工業)が例示できる。
【0012】
本発明においてメントールの含有量は、特に制限されるものではないが、水性液剤の製剤全量に対し、0.001質量%〜1質量%、特に0.003質量%〜0.1質量%の範囲であることが、服用感、保存性の点から好ましい。
【0013】
本発明に用いるパラオキシ安息香酸アルキルエステルとは、別名アルキルパラベンとも呼ばれ、化学名Alkyl p−hydroxybenzoateで表されるものである。
本発明において、パラオキシ安息香酸アルキルエステルとしては、例えば、パラオキシ安息香酸メチル(メチルパラベン)、パラオキシ安息香酸エチル(エチルパラベン)、パラオキシ安息香酸プロピル(プロピルパラベン)、パラオキシ安息香酸イソプロピル(イソプロピルパラベン)、パラオキシ安息香酸ブチル(ブチルパラベン)又はパラオキシ安息香酸イソブチル(イソブチルパラベン)等が挙げられ、これらは1種または2種以上を組み合わせて使用することができる。なかでも、パラオキシ安息香酸ブチル(ブチルパラベン)は高温保存条件下で白濁を生じ易い傾向があるため、パラオキシ安息香酸ブチルを使用した水性液剤に本発明を適用するのが好ましい。
パラオキシ安息香酸アルキルエステルは、市販のものを使用することができる。
【0014】
本発明においてパラオキシ安息香酸アルキルエステルの含有量は、特に制限されるものではないが、水性液剤の製剤全量に対して0.001質量%〜1質量%、特に0.005質量%〜0.1質量%の範囲であるのが、保存性の点から好ましい。
【0015】
本発明に用いるグリチルリチン酸又はその塩は、豆科カンゾウ(甘草)(Glycyrrhiza glabra L.)に約6〜14質量%含まれているグリチルレチン酸の配糖体として知られている化合物である。グリチルリチン酸の塩としては薬学的に許容される塩であれば特に制限されず、例えば、ナトリウム塩、カリウム塩等のアルカリ金属塩やアンモニウム塩等が挙げられる。具体例としては、グリチルリチン酸、グリチルリチン酸二カリウム、グリチルリチン酸二ナトリウム、グリチルリチン酸三ナトリウム、グリチルリチン酸モノアンモニウム、グリチルリチン酸二アンモニウム等が挙げられる。
また、本発明では、グリチルリチン酸又はその塩として、これを含む生薬抽出物を使用してもよい。グリチルリチン酸又はその塩を含む生薬抽出物は、例えば、常法に従い、グリチルリチン酸又はその塩を含む生薬を水抽出又はエタノール等の有機溶媒抽出し、不溶分を除去・乾固して製造することができる。具体例としては、例えば、カンゾウエキス、葛根湯エキス、麻黄湯エキス、小青竜湯エキス、小柴胡湯エキス、柴胡桂枝湯エキス、桂枝湯エキス等が挙げられる。
本発明におけるグリチルリチン酸又はその塩としては、グリチルリチン酸、グリチルリチン酸二カリウム、グリチルリチン酸二ナトリウム、グリチルリチン酸三ナトリウム、又はカンゾウエキスを使用することが、高温保存条件下での白濁・沈殿の発生を抑制する点、服用感の点から好ましい。
【0016】
上記グリチルリチン酸又はその塩は、市販のものを使用することができる。市販品の例としては、例えば、グリチルリチン酸(アルプス薬品工業、丸善製薬)、グリチルリチン酸ニカリウム(アルプス薬品工業、常磐植物化学研究所、丸善製薬)、グリチルリチン酸二ナトリウム(山陽国策パルプ)、グリチルリチン酸三ナトリウム(山陽国策パルプ)、カンゾウエキス(アルプス薬品工業、常磐植物化学研究所、丸善製薬)等を例示することができる。
【0017】
本発明においてグリチルリチン酸又はその塩の含有量は、特に制限されるものではないが、水性液剤の製剤全量に対し、0.001質量%〜1質量%、特に0.005質量%〜0.1質量%の範囲であることが、高温保存条件下での白濁・沈殿の発生を抑制する点から好ましい。
【0018】
本発明の水性液剤におけるメントール及びパラオキシ安息香酸アルキルエステルの合計量を1質量部としたときのグリチルリチン酸もしくはその塩の配合比(質量比)は、服用感、高温保存条件下での白濁・沈殿の発生を抑制する点から0.01から10質量部が好ましく、0.05〜5質量部がより好ましく、0.1〜3.5質量部が特に好ましい。
【0019】
本発明の水性液剤は、溶媒として水を使用するものである。溶媒としての水の割合は、特に制限はないが、全溶媒量に対して95質量%以上が好ましく、97質量%以上がより好ましく、99.5質量%以上が特に好ましい。製剤全量に対する水の含有量は、配合成分が溶解し、製剤全体が澄明になる量であれば特に制限されるものではないが、90質量%以上が好ましく、93質量%以上がより好ましく、96質量%以上が特に好ましい。
水以外の溶媒としては、例えばエタノール等が挙げられるが、水性液剤を二日酔いや飲みすぎによる諸症状を改善するための胃腸薬に適用することを考慮して、エタノールの含有量は、水性液剤の製剤全量に対し1質量%以下、さらに0.5質量%以下、特に0質量%であることが好ましい。
【0020】
本発明の水性液剤のpH(25℃)としては、特に制限されるものではないが、配合成分の安定性や、服用感、保存剤の効力の観点から、2〜8の範囲であることが好ましく、3〜6の範囲であることがより好ましい。
このpHに調節するために、例えばクエン酸、リンゴ酸、乳酸、酒石酸、酢酸、塩酸、リン酸、及びそれらの塩等のpH調節剤を使用できる。pH調節剤の含有量は、水性液剤の製剤全量に対して0.01質量%〜3質量%が好ましく、0.1質量%〜1質量%がより好ましい。
【0021】
本発明の水性液剤を製造する方法としては、通常の方法が使用でき、例えば、有効成分の溶解、混合を行い水性液剤とすることができる。このような水性液剤の調製の際には、必要に応じて、ろ過、滅菌等を行ってもよい。
【0022】
また、本発明の水性液剤には、上記成分の他に、本発明の効果を損なわない範囲において、通常の液剤に配合される成分を適宜配合することができる。このような成分としては、例えば、ビタミン、アミノ酸、生薬、カフェイン、安定化剤、保存剤、増粘剤、着色剤、可溶化剤、甘味剤、矯味剤、香料等が挙げられる。
【0023】
ビタミンとしては、ビタミンB1、ビタミンB2、ビタミンB6、ビタミンB12、ビタミンC、ビタミンE、葉酸、及びそれらの塩、又はそれらのエステル等が挙げられる。ビタミンの含有量は、水性液剤の製剤全量に対して0質量%〜5質量%が好ましい。
【0024】
アミノ酸としては、タウリン、L−アスパラギン酸又はその塩、L−アルギニン、L−バリン、L−ロイシン、L−イソロイシン、カルニチン、塩化カルニチン等が挙げられる。アミノ酸含有量は、水性液剤の製剤全量に対して0質量%〜8質量%が好ましい。
【0025】
生薬としては、加工ダイサン、ニンジン、コウジン、ショウキョウ、リョウキョウ、カンキョウ、ウコン、チョウジ、ウイキョウ、ソヨウ、センブリ、ホップ、サンショウ、ケイヒ、アカメガシワ、ヒハツ、チンピ、モッコウ、オウレン、ゲンノショウコ、ソウジュツ、エゾウコギ、ゴシュユ、ジオウ、シャクヤク、トウチュウカソウ、ローヤルゼリー、又はそれらの抽出物等が挙げられる。これらは1種又は2種以上を組み合わせて用いることができる。本発明において生薬の抽出物は、どのような方法で抽出されたものでもよく、例えば第15改正日本薬局方に記載の方法により製した、チンキ、流エキス、軟エキス、乾燥エキスなどを使用することができる。生薬の含有量(原生薬換算量)は、水性液剤の製剤全量に対して0質量%〜5質量%が好ましい。
【0026】
カフェインとしては、カフェイン、カフェイン一水和物、無水カフェイン等が挙げられる。カフェインの含有量は、水性液剤の製剤全量に対して0質量%〜5質量%が好ましい。
【0027】
安定化剤としては、アスコルビン酸、エデト酸、及びそれらの塩等が挙げられる。その含有量は、水性液剤の製剤全量に対して0質量%〜5質量%が好ましい。
保存剤としては、安息香酸、又は安息香酸ナトリウム等が挙げられる。その含有量は、水性液剤の製剤全量に対して0質量%〜1質量%が好ましい。
【0028】
増粘剤としては、カルメロースナトリウム、寒天、ゼラチン、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン等が挙げられる。その含有量は、水性液剤の製剤全量に対して0.01質量%〜3質量%が好ましい。
【0029】
着色剤としては、タール色素、黄色5号、カラメル等が挙げられる。その含有量は、水性液剤の製剤全量に対して0質量%〜1質量%が好ましい。
【0030】
可溶化剤としては、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、ショ糖脂肪酸エステル等の非イオン性界面活性剤、レシチン等が挙げられる。その含有量は、水性液剤の製剤全量に対して0質量%〜1質量%が好ましい。
【0031】
甘味剤としては、白糖、液糖、果糖、果糖ブドウ糖液糖、還元麦芽糖水アメ、ハチミツ、カラメル、ソルビトール、マルチトール、キシリトール、スクラロース、アセスルファムカリウム等が挙げられる。その含有量は、水性液剤の製剤全量に対して0.1質量%〜10質量%が好ましい。
【0032】
矯味剤としては、塩化ナトリウム、塩化マグネシウム、梅肉エキス、ユーカリ油、リンゴ果汁、リンゴ酢、レモン油、ローズ油、ローヤルゼリー等が挙げられる。その含有量は、水性液剤の製剤全量に対して0質量%〜3質量%が好ましい。
【0033】
本発明の水性液剤は、医薬品、医薬部外品、化粧品、又は健康食品における分野で、例えば、経口内服液剤、外用液剤、又は点眼剤等として提供することができる。なかでも、経口内服液剤とするのが好ましく、特にエタノールを含有せずとも含有成分の白濁や沈殿を防止できることから、エタノールの配合が望まれない二日酔いや飲みすぎによる諸症状を改善するための液体胃腸薬とするのが好適である。
【実施例】
【0034】
以下、実施例により本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれら実施例により何ら限定されるものではない。
【0035】
実施例1
精製水20mLに、精製白糖100mg、D−ソルビトール1000mg、スクラロース1mg、アセスルファムカリウム1mg、クエン酸50mg、リンゴ酸50mg、ポビドン30mg、ハッカ油8mg(メントールとして30質量%以上含有、小城製薬社製、以下同じ。)、パラオキシ安息香酸ブチル4.5mg、グリチルリチン酸二カリウム(岡前倉庫社製、以下同じ)5mgを加え、攪拌溶解した。これにクエン酸ナトリウムを加えpH3.5に調節し、さらに精製水を適量加えて全量45mLとして経口内服液剤を製造した。
【0036】
実施例2
精製水20mLに、加工ダイサン末30mg、コウジン乾燥エキス40mg(原生薬換算値400mg)、ショウキョウ流エキス1mL(原生薬換算値1000mg)、リョウキョウ流エキス0.3mL(原生薬換算値300mg)、サンショウ軟エキス30mg(原生薬換算値30mg)、センブリエキス3mg(原生薬換算値15mg)、精製白糖100mg、D−ソルビトール1000mg、スクラロース1mg、アセスルファムカリウム1mg、クエン酸50mg、リンゴ酸50mg、ポビドン30mg、ハッカ油8mg、パラオキシ安息香酸ブチル4.5mg、グリチルリチン酸二カリウム5mgを加え、攪拌溶解した。これにクエン酸ナトリウムを加えpH5に調節し、さらに精製水を適量加えて全量45mLとして経口内服液剤を製造した。
【0037】
実施例3
精製水20mLに、ショウキョウ流エキス0.4mL(原生薬換算値400mg)、ケイヒ油1.2mg、ソヨウ流エキス0.2mL(原生薬換算値200mg)、カルニチン110mg、ウコン流エキス0.3mL(原生薬換算値300mg)、精製白糖100mg、D−ソルビトール1000mg、スクラロース1mg、アセスルファムカリウム1mg、クエン酸50mg、リンゴ酸50mg、ポビドン30mg、ハッカ油8mg、パラオキシ安息香酸ブチル4.5mg、カンゾウエキス40mg(原生薬換算値160mg、丸善製薬社製)を加え、攪拌溶解した。これにクエン酸ナトリウムを加えpH5に調節し、さらに精製水を適量加えて全量45mLとして経口内服液剤を製造した。
【0038】
比較例1
精製水20mLに、精製白糖100mg、D−ソルビトール1000mg、スクラロース1mg、アセスルファムカリウム1mg、クエン酸50mg、リンゴ酸50mg、ポビドン30mg、ハッカ油8mg、パラオキシ安息香酸ブチル4.5mgを加え、攪拌溶解した。これにクエン酸ナトリウムを加えpH3.5に調節し、さらに精製水を適量加えて全量45mLとして経口内服液剤を製造した。
【0039】
試験例1
〔外観安定性評価試験〕
実施例1〜3、及び比較例1で得られた経口内服液剤を、製造直後、50℃で1〜4週間及び60℃で1〜4週間保存した後、各経口内服液剤の外観安定性を目視にて評価した。外観安定性は、沈殿が生じず澄明なものを○、白濁又は沈殿が生じたものを×で示した。結果を表1に示す。
【0040】
【表1】
【0041】
表1の結果より、メントール及びパラオキシ安息香酸ブチルを含み、グリチルリチン酸又はその塩を含まない比較例1では、50℃及び60℃での外観安定性試験において、いずれも1週間経過後の観察から沈殿が認められた。一方、メントールとパラオキシ安息香酸ブチル、さらにグリチルリチン酸又はその塩を含む実施例1〜3では、いずれも4週間経過後の観察においても沈殿が認められず、高温保存安定性に優れる製剤であることが確認された。