(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記発光素子対向面部は、前記光軸を中心として前記入射面に対する前記光軸に直交する方向の外側に前記第1の方向に整列するように複数形成され、前記第2の仮想平面またはこれに平行な断面において楔形状を呈する溝部を有すること
を特徴とする請求項1または2に記載の光束制御部材。
前記第1の全反射面は、これの前記第2の仮想平面上または前記第2の仮想平面に平行な断面上の任意点での接線と前記第1の仮想平面とのなす角度が前記第1の仮想平面から離間するにしたがって直角に近づくように漸増する形状に形成されていること
を特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の光束制御部材。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献2の発光装置は、平面視の状態において、主たる出射方向に対してこの方向に直交する方向にやや広がりを持つ配光特性(中心角部分を発光装置上に置く扇形となるような配光特性)を有するため、特許文献1のサイドビューLEDに替えて、特許文献2の発光装置を主たる出射方向がLEDの配列に直交するように特許文献1の面光源装置に用いた場合、隣り合う発光装置からの出射光が重複して被照射面を照明し、明部発生の要因となる。
【0007】
また、特許文献2の発光装置に用いられる光束制御部材では、主たる出射方向に対して光の広がりが大きい分、主たる出射方向における発光装置から離れた位置の被照射面を照明する光量が不足し易いという問題が生じる。
【0008】
そこで、本発明は、このような問題点に鑑みなされたものであり、発光装置から出射される光の無駄な広がりを抑え、光束制御部材単体での輝度分布を長方形状に近いものに改善することによって、複数の光束制御部材を配列して面光源を構成した際の互いに隣位する光束制御部材同士の間での光の干渉を十分に緩和することができ、ひいては、面内輝度分布の均一性を向上させることができる光束制御部材、この光束制御部材を備えた発光装置およびこの発光装置を備えた面光源装置を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前述した目的を達成するため、本発明の請求項1に係る光束制御部材の特徴は、発光素子から出射された光の進行方向を制御する光束制御部材であって、光軸方向に直交する所定の方向を第1の方向とし、この第1の方向および前記光軸の両方に直交する方向を第2の方向とし、前記第1の方向に直交し前記光軸を含む面を第1の仮想平面とし、前記第2の方向に直交し前記光軸を含む面を第2の仮想平面としたとき、前記第1の方向に長尺に形成され、前記発光素子に対向して配置され、前記光束制御部材の裏面側に位置する発光素子対向面部と、この発光素子対向面部の反対側である表面側に、前記第1の方向に長尺に形成された反発光素子対向面部と、この反発光素子対向面部の前記第1の方向における両端部から前記発光素子対向面部の前記第1の方向における両端部側に向かってそれぞれ延設された一対の第1の側面部と、前記反発光素子対向面部の前記第2の方向における両端部から前記発光素子対向面部の前記第2の方向における両端部側に向かってそれぞれ延設されるとともに、前記一対の第1の側面部の前記第2の方向における両端部にそれぞれ連接された一対の第2の側面部とを備え、前記発光素子対向面部は、前記光軸からこれに直交する方向の所定の範囲にわたって形成され、前記発光素子から出射された光が入射する入射面を有し、前記反発光素子対向面部は、前記第1の仮想平面と交わる位置に谷底が形成される凹部を有し、前記凹部は、前記入射面から到達した前記発光素子の光を前記一対の第1の側面部に向けて全反射させる第1の全反射面を有し、前記第1の全反射面は、前記谷底を基点として前記発光素子から遠ざかる方向へ向かうにしたがって前記第1の仮想平面との間隔が漸増する形状に形成され、前記一対の第2の側面部は、前記入射面から到達した前記発光素子の光を前記一対の第1の側面部および前記第1の全反射面に向けて全反射させる第2の全反射面をそれぞれ有し、前記一対の第1の側面部は、前記裏面側から前記表面側に向かうにしたがって前記第1の仮想平面との距離が漸減する形状に形成され、前記光束制御部材内を伝搬後に到達した前記発光素子の光を、前記第1の方向において前記第1の仮想平面から離間する方向に向けて出射させる出射面をそれぞれ有し、前記一対の第2の全反射面は、前記第1の側面部側から前記第1の仮想平面側に向かうにしたがって前記第2の仮想平面との距離が漸減するように湾曲して形成されている点にある。
【0010】
そして、この請求項1に係る発明によれば、一対の第2の全反射面を、従来の平面(第2の仮想平面に平行な面)とは異なり、互いの間隔を詰めるように湾曲された凹湾曲面状に形成することができるため、このような凹湾曲面状の第2の全反射面における発光素子の光の全反射方向を、第2の全反射面が平面の場合と比較して、第1の方向とのなす角度の光軸に直交する平面上への投影成分が小さくなる方向に制御することができる。これにより、第2の全反射面において発光素子の光が第2の方向側に大きく光路変換されることを防止することができるので、このような第2の方向側に向かう光に起因して輝度分布が長方形状から崩れるように第2の方向に広がることを抑制することができ、また、これにともなって、出射面からの光の出射方向を、第1の方向側に収束させることができるので、第1の方向に長尺な長方形状への近似度合いが高い輝度分布を実現することができる。そして、このような光束制御部材を、これに対応する発光素子とともに、面光源を構成すべく例えば第2の方向に沿って複数配列すれば、互いに隣位する光束制御部材同士の間での光の干渉を十分に緩和することができるので、面内輝度分布の均一性を確実に向上させることができる。
【0011】
また、請求項2に係る光束制御部材の特徴は、請求項1において、更に、前記出射面は、前記第2の仮想平面またはこれに平行な断面において凸形状を呈するように形成されている点にある。
【0012】
そして、この請求項2に係る発明によれば、凸形状の出射面によって、第1の方向に広範囲にわたって光を振り分けることができるので、発光素子の灯数削減と面内輝度分布の均一化とを有効に両立させることができる。
【0013】
さらに、請求項3に係る光束制御部材の特徴は、請求項1または2において、更に、前記発光素子対向面部は、前記光軸を中心として前記入射面に対する前記光軸に直交する方向の外側に前記第1の方向に整列するように複数形成され、前記第2の仮想平面またはこれに平行な断面において楔形状を呈する溝部を有する点にある。
【0014】
そして、この請求項3に係る発明によれば、出射面においてフレネル反射した発光素子の光が発光素子対向面部に到達した場合においても、この光を、複数の溝部によって第1の全反射面から外れる方向に向けて全反射させることができるので、光源直上近傍の輝度を有効に低減させることができる。
【0015】
さらにまた、請求項4に係る光束制御部材の特徴は、請求項1〜3のいずれか1項において、更に、前記第2の全反射面は、所定の曲率半径を有する凹R面に形成されている点にある。
【0016】
そして、この請求項4に係る発明によれば、第2の全反射面の設計、製造および寸法精度の評価を容易化することができる。
【0017】
また、請求項5に係る光束制御部材の特徴は、請求項1〜4のいずれか1項において、更に、前記出射面は、所定の曲率半径を有する凸R面に形成されている点にある。
【0018】
そして、この請求項5に係る発明によれば、出射面の設計、製造および寸法精度の評価を容易化することができる。
【0019】
さらに、請求項6に係る光束制御部材の特徴は、請求項1〜5のいずれか1項において、更に、前記第1の全反射面および前記出射面は、前記第1の仮想平面を対称面とした面対称形状に形成され、前記第2の全反射面は、前記第2の仮想平面を対称面とした面対称形状に形成されている点にある。
【0020】
そして、この請求項6に係る発明によれば、第1の仮想平面および第2の仮想平面を基準とした輝度分布の対称性を確保することができるので、輝度分布の長方形状への近似度合いを更に向上させることができ、また、第1の全反射面、第2の全反射面および出射面の設計、製造および寸法精度の評価を容易化することができる。
【0021】
さらにまた、請求項7に係る光束制御部材の特徴は、請求項1〜6のいずれか1項において、更に、前記第1の全反射面は、これの前記第2の仮想平面上または前記第2の仮想平面に平行な断面上の任意点での接線と前記第1の仮想平面とのなす角度が前記第1の仮想平面から離間するにしたがって直角に近づくように漸増する形状に形成されている点にある。
【0022】
そして、この請求項7に係る発明によれば、第1の全反射面の面形状を、各出射角の発光素子の光に応じてこれらの全反射に適した面形状にすることができるので、光源直上の輝度をより有効に抑制することができる。
【0023】
また、請求項8に発光装置の特徴は、請求項1〜7のいずれか1項に記載の光束制御部材および発光素子を備えた点にある。
【0024】
そして、この請求項8に係る発明によれば、第1の方向に長尺な長方形状への近似度合いが高い輝度分布を実現することができるので、面光源を構成するために発光装置を例えば第2の方向に沿って複数配列すれば、互いに隣位する光束制御部材同士の間での光の干渉を十分に緩和することができるので、面内輝度分布の均一性を確実に向上させることができる。
【0025】
さらに、請求項9に係る面光源装置の特徴は、請求項8に記載の発光装置が、請求項1に記載の第2の方向に所定の間隔を設けて複数整列配置され、
前記複数の発光装置に対して請求項1に記載の第1の方向側の位置に、前記複数の光束制御部材の出射面からの出射光を反射させる反射手段を備え、
前記各光束制御部材の光軸と直交するようにして前記各光束制御部材および前記反射手段に対向配置されていると共に前記反射手段からの入射光を出射させる光学シートを備えた点にある。
【0026】
そして、この請求項9に係る発明によれば、第1の方向に長尺な長方形状への近似度合いが高い輝度分布を実現することができる発光装置を、第2の方向に沿って複数配列するとともに、
前記複数の発光装置に対して請求項1に記載の第1の方向側の位置に、前記複数の光束制御部材の出射面からの出射光を反射させる反射手段を備え、更に前記各光束制御部材の光軸と直交するようにして前記各光束制御部材および前記反射手段に対向配置されていると共に前記反射手段からの入射光を出射させる光学シートを備えたことによって、
光学シートから前方に出射される光を互いに隣位する光束制御部材同士の間での光の干渉が十分に緩和された均一性が向上された面内輝度分布
有する光とすることができる。
【0027】
さらにまた、請求項10に係る面光源装置の特徴は、請求項9において、更に、前記第2の方向に沿った発光装置の列が、前記第1の方向に、前記第2の方向における整列間隔よりも大きな所定の間隔を設けて複数列並列配置されている点にある。
【0028】
そして、この請求項10に係る発明によれば、面内輝度分布の均一性を更に効率的に向上させることができる。
【発明の効果】
【0029】
本発明によれば、光束制御部材単体での輝度分布を長方形状により近いものに改善することによって、複数の光束制御部材を配列して面光源を構成した際の互いに隣位する光束制御部材同士の間での光の干渉を十分に緩和することができ、ひいては、面内輝度分布の均一性を向上させることができる。
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下、本発明に係る光束制御部材、発光装置および面光源装置の実施形態について、
図1〜
図31を参照して説明する。
【0032】
(光束制御部材および発光装置の形態)
図1は、本実施形態における光束制御部材1を示す斜視図である。また、
図2は、光束制御部材1の正面図であり、背面図はこの
図2と同様である。さらに、
図3は、
図2の平面図である。さらにまた、
図4は、
図2の左側面図であり、右側面図はこの
図4と同様である。また、
図5は、
図2の下面図である。さらに、
図6は、
図3のA−A断面図である。
【0033】
図2、
図5および
図6に示すように、本実施形態における光束制御部材1は、光軸OA方向に直交する所定の第1の方向(
図5および
図6におけるY軸方向)に長尺に形成された発光素子対向面部2を有しており、この発光素子対向面部2は、発光素子3に対向して配置され、光束制御部材1における裏面側に位置するようになっている。なお、発光素子3としては、前述したトップビューLED等の素子配置面に対して垂直な方向(
図6におけるZ軸方向)に光を出射するものを好適に用いることができる。このような発光素子3は、光束制御部材1とともに、本実施形態における発光装置4を構成している。
【0034】
また、
図2、
図3および
図6に示すように、光束制御部材1は、発光素子対向面部2に対して発光素子3と反対側である光束制御部材1における表面側に形成された反発光素子対向面部5を有している。この反発光素子対向面部5は、発光素子対向面部2と同様に、Y軸方向に長尺に形成されている。ただし、反発光素子対向面部5は、発光素子対向面部2よりもY軸方向に短尺に形成されており、反発光素子対向面部5の長手方向における両端部は、発光素子対向面部2の長手方向における両端部よりも内側(光軸OA寄り)に位置されている。
【0035】
さらに、
図2および
図6に示すように、光束制御部材1は、反発光素子対向面部5の長手方向(第1の方向)における両端部から発光素子対向面部2の長手方向における両端部に向かってそれぞれ延設された左右一対の第1の側面部7L、7Rを有している。
【0036】
さらにまた、
図3に示すように、光束制御部材1は、反発光素子対向面部5の長手方向および光軸OA方向に直交する第2の方向(
図3におけるX軸方向)における両端部から発光素子対向面部2のX軸方向における両端部に向かってそれぞれ延設された前後一対の第2の側面部8F、8Rを有している。これら第2の側面部8F、8Rは、第1の側面部7L、7RのX軸方向における両端部にそれぞれ連接されている。より具体的には、前側の第2の側面
図8Fは、反発光素子対向面部5の前端部および第1の側面部7L、7Rの前端部に連接されており、一方、後側の第2の側面
図8Rは、反発光素子対向面部5の後端部および第1の側面部7L、7Rの後端部に連接されている。
【0037】
これら光束制御部材1の各面部2、5、7、8のより具体的な構成および光学的な機能(作用)は以下に示す通りである。
【0038】
すなわち、まず、
図5および
図6に示すように、発光素子対向面部2には、光軸OAからこれに直交する方向の所定の範囲にわたって、発光素子3から出射された光が入射する平面状の入射平面10が形成されている。
図6に示すように、入射平面10に入射した発光素子3の光(破線部)は、スネルの法則にしたがって屈折されて、光束制御部材1の内部の光路上を反発光素子対向面部5側に向かって進行する。ただし、
図6には、発光素子3から所定の広がり角(一般的なLEDの場合には、ランバーシアン分布にしたがった広がり角)で出射された光束のうち、1本の光線のみが代表的に図示されている。また、光軸OA上を通って入射平面10に垂直入射した発光素子3の光は、屈折されずに直進する。
【0039】
また、
図2および
図6に示すように、反発光素子対向面部5は、発光素子3側に向かって略V字状に凹入され、第1の仮想平面S1と交わる位置に谷底が形成された凹部11を有しており、この凹部11の内面は、第1の全反射面12とされている。
図2および
図6に示すように、第1の全反射面12は、谷底を基点として発光素子3から遠ざかる方向(
図2における上方)に向かうにしたがって、光軸OAを含むY軸方向に直交する第1の仮想平面S1との間隔(Y軸方向の距離)が漸増する形状に形成されている。このような第1の全反射面12には、
図6に示すように、入射平面10から入射した発光素子3の光が、光束制御部材1の内部の光路上を進行した後に到達(内部入射)する。そして、第1の全反射面12は、入射平面10から到達した発光素子3の光のうちの臨界角よりも大きな入射角で内部入射した光を、左右の第1の側面部7L、7Rに向けて全反射させる。
図6を用いてより具体的に説明すると、第1の全反射面12における第1の仮想平面S1よりも左側の部位に内部入射した光は、左側の第1の側面部7Lに向けて全反射され、一方、第1の全反射面12における第1の仮想平面S1よりも右側の部位に内部入射した光は、右側の第1の側面部7Rに向けて全反射される。
【0040】
さらに、前後の第2の側面部8F、8Rは、それぞれが、第2の全反射面8F、8Rとされている。これら第2の全反射面8F、8Rには、入射平面10に入射した発光素子3の光のうち、第1の全反射面12に到達する光よりも前後(X軸方向)に大きく屈折された光が、光束制御部材1の内部の光路上を進行した後に到達(内部入射)する。そして、第2の全反射面8F、8Rは、入射平面10から到達した発光素子3の光のうちの臨界角よりも大きな入射角で内部入射した光を、左右の第1の側面部7L、7Rおよび第1の全反射面12に向けて全反射させる。
図3を用いてより具体的に説明すると、第2の全反射面8F、8Rにおける第1の仮想平面S1よりも左側の部位に内部入射した光は、左側の第1の側面部7Lに向けて全反射され、一方、第2の全反射面8F、8Rにおける第1の仮想平面S1よりも右側の部位に内部入射した光は、右側の第1の側面部7Rに向けて全反射される。なお、
図3には、前側の第2の全反射面8Fにおける第1の仮想平面S1よりも右側の部位に内部入射した光が1本の光線(破線部)として代表的に図示されている。
【0041】
さらにまた、左右の第1の側面部7L、7Rは、それぞれが、出射面7L、7Rとされている。
図2および
図3に示すように、出射面7L、7Rは、光束制御部材1の裏面側から表面側(換言すれば、発光素子3と反対側(上方))に向かうにしたがって、第1の仮想平面S1との間のY軸方向の距離が漸減する形状に形成されている。このような出射面7L、7Rには、
図3および
図6に示すように、第1の全反射面12によって全反射された発光素子3の光および第2の全反射面8F、8Rによって全反射された発光素子3の光が、光束制御部材1の内部の光路上を進行(伝搬)した後に到達する。そして、出射面7L、7Rは、このようにして到達した発光素子3の光を、主として、Y軸方向における第1の仮想平面S1から離間する方向に向けて出射させる。
【0042】
このようにして、発光素子3から直上に向けて出射された光が、光束制御部材1によって進行方向を制御されて、側方に向かう光へと変換されるようになっている。
【0043】
そして、本実施形態においては、
図3に示すように、第2の全反射面8F、8Rが、特許文献1に記載の発明のような平面ではなく、第1の仮想平面S1側に向かうにしたがって、光軸OAを含むX軸方向に直交する第2の仮想平面S2との間のX軸方向の距離が漸減するように湾曲された湾曲面状に形成されている。より具体的には、両第2の全反射面8F、8Rは、第1の仮想平面S1上において互いのX軸方向の間隔を最も詰めるように湾曲された凹湾曲面状に形成されている。
【0044】
そして、このような構成によれば、
図7に示すように、第2の全反射面8(便宜上、同図においてF、Rは省略)における発光素子3の光の全反射方向を、従来のストレートな第2の全反射面8’の場合と比較して、Y軸方向とのなす角度のXY平面上への投影成分(
図7におけるα(本発明)、α’(従来))が小さくなる方向に制御することができる。したがって、本実施形態によれば、第2の全反射面8において発光素子3の光がX軸方向側に大きく光路変換されることを防止することができるので、このようなX軸方向側に向かう光に起因して輝度分布が長方形状から崩れるようにX軸方向に広がることを抑制することができる。また、これにともなって、出射面7からの光の出射方向を、Y軸方向側に収束させることができるので、Y軸方向に長尺な長方形状への近似度合いが高い輝度分布を実現することができる。
【0045】
そして、このような光束制御部材1およびこれに対応する発光素子3(すなわち、発光装置4)を、面光源を構成すべく例えばX軸方向に沿って複数配列すれば、互いに隣位する光束制御部材1同士の間で、輝度分布における高輝度領域同士の重なり合い(光の干渉)を十分に緩和して明部の発生を抑えつつ、面全体に十分に光が行き渡るようにすることができるので、面内輝度分布の均一性を確実に向上させることができる。
【0046】
上記構成に加えて、更に、本実施形態においては、
図2および
図6に示すように、出射面7L、7Rは、第2の仮想平面S2またはこれに平行な断面において曲率を有する凸形状を呈するように湾曲された湾曲面状に形成されている。
【0047】
そして、このような構成によれば、
図8に示すように、出射面7(便宜上、同図においてL、Rは省略)における発光素子3の光の出射方向を、従来のストレートな出射面7’の場合と比較して、Y軸方向とのなす角度のYZ平面上への投影成分(
図8におけるβ(本発明)、β’(従来))が小さくなる方向に制御することができる。したがって、このような凸湾曲面状の出射面7L、7Rによれば、Y軸方向に広範囲にわたって発光素子3の光を振り分けることができるので、発光素子3の灯数削減と面内輝度分布の均一化とを有効に両立させることができる。
【0048】
上記構成に加えて、更に、
図5および
図6に示すように、本実施形態において、発光素子対向面部2は、入射平面10に対して光軸OAを基準(中心)とした光軸OAに直交する方向の外側位置に、Y軸方向に連続的に整列配置されたX軸方向に長尺な複数(本実施形態においては8つ)の溝部14を有している。この溝部14の一部も、発光素子3からの出射光のうち光軸OAから大きな角度の光の入射面として機能し得る。
図6に示すように、各溝部14は、第2の仮想平面S2またはこれに平行な断面において楔形状を呈するようになっている。また、各溝部14は、第1の傾斜面14aと、これのY軸方向における第1の仮想平面S1と反対側の端部に連接された第2の傾斜面14bとによって構成されている。第1の傾斜面14aは、Y軸方向における第1の仮想平面S1と反対側に向かうにしたがって発光素子3と反対側に傾斜された傾斜面に形成されている。一方、第2の傾斜面14bは、Y軸方向における第1の仮想平面S1と反対側に向かうにしたがって発光素子3側に傾斜された傾斜面に形成されている。
図6に示すように、第1の傾斜面14aは、第2の傾斜面14bよりもなだらかな傾斜面となっている。すなわち、第1の傾斜面14aとXY平面とのなす角度(鋭角)をθ1、第2の傾斜面14bとXY平面とのなす角度(鋭角)をθ2とすると、θ2>θ1が成立する。本実施形態においては、θ1=20°、θ2=80°とする。
【0049】
入射平面10の外側が溝部ではなく平面の場合には、その平面部分でフレネル反射される光や平面部分を透過して基板上面(発光素子3が実装された基板やその上に配された反射面)等で反射される光が第1の全反射面12に到達し易くなり、その光が第1の全反射面12から出射されると光源直上近傍の被照射面上に明部を発生させ易くなる。
【0050】
本実施形態のような構成によれば、
図9に示すように、出射面7(便宜上、同図においてL、Rは省略)において光のフレネル反射が生じて、この光が発光素子対向面部2における入射平面10の外側に到達した場合においても、この光を、複数の溝部14(主に第1の傾斜面14a)によって第1の全反射面12から外れる方向に向けて光路変換させることができる。これにより、発光素子対向面部2における反射光が第1の全反射面12に臨界角以下の入射角で入射することによる光源直上への光抜けを抑制することができるので、光源直上近傍の輝度を有効に低減させることができる。
【0051】
上記構成に加えて、更に、本実施形態においては、
図3に示すように、第2の全反射面8F、8Rが、所定の曲率半径を有する凹R面に形成されている。ただし、凹R面は、平面視において曲率を有し(
図3におけるY軸方向には曲率を有し)、その曲率中心は第1の仮想平面S1上に存在するが、光軸OAと平行な方向においては曲率を有していない(
図4におけるZ軸方向には曲率を有していない)。
【0052】
そして、このような構成によれば、第2の全反射面8F、8Rの設計、製造および寸法精度の評価を容易化することができる。
【0053】
上記構成に加えて、更に、本実施形態においては、
図2および
図6に示すように、出射面7L、7Rが、所定の曲率半径を有する凸R面に形成されている。ただし、凸R面は、光軸OAと平行な方向においては曲率を有し(
図2におけるZ軸方向には曲率を有し)、平面視においては曲率を有していない(
図4におけるX軸方向には曲率を有していない)。
【0054】
そして、このような構成によれば、出射面7L、7Rの設計、製造および寸法精度の評価を容易化することができる。
【0055】
上記構成に加えて、更に、本実施形態においては、
図2および
図6に示すように、第1の全反射面12および出射面7L、7Rは、第1の仮想平面S1を対称面とした面対称形状に形成されている。また、
図3に示すように、第2の全反射面8F、8Rは、第2の仮想平面S2を対称面とした面対称形状に形成されている。
【0056】
そして、このような構成によれば、第1の仮想平面S1および第2の仮想平面S2を基準とした輝度分布の対称性を確保することができるので、輝度分布の長方形状への近似度合いを更に向上させることができ、また、第1の全反射面12、第2の全反射面8F、8Rおよび出射面7L、7Rの設計、製造および寸法精度の評価を容易化することができる。
【0057】
上記構成に加えて、更に、
図2および
図6に示すように、本実施形態において、第1の全反射面12は、これの第2の仮想平面S2上または第2の仮想平面S2に平行な断面上の任意点での接線と第1の仮想平面S1とのなす角度が第1の仮想平面S1から離間するにしたがって直角に近づくように漸増する形状に形成されている。
【0058】
そして、このような構成によれば、第1の全反射面12の面形状を、発光素子3からの各出射角の出射光に応じてこれらの光をそれぞれ全反射させるのに適した面形状にすることができるので、光源直上の輝度をより有効に抑制することができる。
【0059】
なお、光束制御部材1は、例えば、PMMA(ポリメタクリル酸メチル)、PC(ポリカーボネート)およびEP(エポキシ樹脂)などの樹脂材料によって形成してもよい。
【0060】
また、発光素子対向面部2における溝部14の外側に形成された円形の凸部15は、光束制御部材1を発光素子3に対向配置する際の光束制御部材1と発光素子3との間隙の確保に用いてもよい。
【0061】
以上の構成の光束制御部材1は、その配列態様に応じて以下に示すような各種の形態の面光源装置を構成することができる。
【0062】
(面光源装置の形態)
(第1の形態)
図10は、第1の形態の面光源装置16を示す平面図であり、
図11は、
図10のA−A断面図である。
【0063】
この面光源装置16は、平面図において長方形状の筐体17内に、本実施形態における光束制御部材1を、X軸方向に所定の間隔を設けて複数整列配置することによって形成されている。勿論、各光束制御部材1は、それぞれに対応する発光素子3に対向配置されている。
【0064】
ここで、筐体17について詳述すると、
図10および
図11に示すように、筐体17の内面は、XY平面に平行な底面18と、この底面18のX軸方向における両端部に垂直に連接された左右の側面19、20と、底面18のY軸方向における両端部に連接された上下の側面21、22とによって構成されている。
図11に示すように、側面21、22は、発光素子3から遠ざかるにしたがって面光源装置16の発光面に近づく上り傾斜面に形成されている。さらに、
図11に示すように、側面21と側面22とは、第1の仮想平面S1を対称面とした面対称形状に形成されている。すなわち、両側面21、22の底面18に対する傾斜角は互いに一致している。そして、このような筐体17の内面上には、PET等からなる反射シート(例えば、帝人デュポン社製のUXSP188等)が貼り付けられることによって反射面24が形成されている。以下、反射面24のうち、傾斜面21、22上に形成された部位を傾斜反射面24aと称することとする。
【0065】
また、
図11に示すように、底面18上には、複数の発光素子3が、X軸方向に所定の間隔を設けて整列配置されており、各発光素子3は、これらに対する電気信号の印加を行うリードや制御回路等を備えた基板25上に実装された状態で、底面18上に配置されている。各発光素子3は、それぞれに対応する光束制御部材1が対向配置された前方(
図11における左方)に向けて、ある程度の指向性を有する所定の配光分布(一般的なLEDの場合にはランバーシアン分布)にしたがった光を出射するようになっている。なお、光束制御部材1は、その光軸OAが対応する発光素子3の出射光の中心軸(中心光)と同軸になるように位置合わせがなされている。
【0066】
さらに、
図11に示すように、筐体17の前方には、筐体17の前部開口を遮蔽する光学シート27が配置されており、この光学シート27は、各光束制御部材1の光軸OAに直交するようにして各光束制御部材1および反射面24に対向配置されている。この光学シート27は、後方(
図11における右方)からの入射光を、拡散した上で前方に出射させるようになっている。光学シート27としては、拡散板、拡散シート、プリズムシート、DBEF(3M社製)等を用いてもよい。
【0067】
このような構成の面光源装置16によれば、各発光素子3から出射された光が、それぞれに対応する光束制御部材1によって進行方向を制御されて、各光束制御部材1から側方(Y軸方向)に向けて出射される。そして、このようにして各光束制御部材1から出射された各発光素子3の光は、反射手段としての傾斜反射面24aにおいて面光源装置16の光学シート27に向けて反射された後、光学シート27から前方に出射されることになる。このとき、各光束制御部材1の輝度分布を、Y軸方向に長尺な長方形状への近似度合いが高い輝度分布に形成することができるので、このような各光束制御部材1の輝度分布が合成された面内輝度分布を、互いに隣位する光束制御部材1同士の間での光の重なり合い(干渉)が十分に緩和された均一性が高いものにすることができる。
【0068】
(第2の形態)
次に、
図12は、第2の形態の面光源装置16を示す平面図である。
【0069】
図12に示すように、本形態の面光源装置16の第1の形態との相違点は、発光素子3および光束制御部材1が、第1の形態のように一列ではなく、千鳥状に二列配列されている点にある。
【0070】
図12に示すように、本形態においては、光束制御部材1の各列同士の間で、光束制御部材1のX方向における位置が互いにオフセットされているため、一方の列において得られるY軸方向に長尺な光束制御部材1の輝度分布が、他方の列において得られるY軸方向に長尺な光束制御部材1の輝度分布と大きく重なり合うことを抑制することができる。したがって、X軸方向およびY軸方向において互いに隣位する光束制御部材1同士の間での光の重なり合い(干渉)が十分に緩和された均一性が高い面内輝度分布を実現することができる。
【0071】
(第3の形態)
次に、
図13は、第3の形態の面光源装置16を示す平面図であり、
図14は、
図13のA−A断面図である。
【0072】
図13に示すように、本形態の面光源装置16は、発光素子3および光束制御部材1が、第1の形態のように筐体17の長手方向に沿って一列のみ配列されているのではなく、筐体17の長手方向(左右)に間隔を隔てるようにして、筐体17の短手方向(上下)に沿って二列配列されている。すなわち、本形態においては、X軸方向に所定の整列間隔を設けて整列された光束制御部材1(発光装置4)の列が、Y軸方向に所定の整列間隔を設けて二列並列配置されている。ただし、X軸方向における整列間隔よりも、Y軸方向における整列間隔の方が遥かに大きい。
【0073】
この他にも、
図13および
図14に示すように、本形態においては、底面18が、第1の形態のように単一ではなく、左右二列の光束制御部材1にそれぞれ対応するように二分割されている。また、
図14に示すように、本形態においては、第1の形態のように筐体17の上下の側面21、22上が傾斜反射面24aとされているのではなく、筐体17の左右の側面19、20上が傾斜反射面24aとされている。さらに、
図13および
図14に、本形態においては、底面18の分割位置となる筐体17の長手方向における中央位置に、互いに二等辺三角形状に連接された一対の傾斜反射面24a(以下、中央傾斜反射面と称する)が形成されている。これら一対の中央傾斜反射面24aのうち、
図14における左側の中央傾斜反射面24aは、左側面19上の傾斜反射面24aとともに、主として、左列側の光束制御部材1からの出射光の反射面として機能するようになっている。一方、
図14における右側の中央傾斜反射面24aは、右側面20上の傾斜反射面24aとともに、主として、右列側の光束制御部材1からの出射光の反射面として機能するようになっている。なお、中央傾斜反射面24aの高さは、左右の側面19、20上の傾斜反射面24aの高さと同一とされている。
【0074】
本形態によれば、長方形状への近似度合いが良好な各光束制御部材1の輝度分布を、干渉の影響を回避しつつ面内に満遍なく敷き詰めることができるので、面内輝度分布の均一性を更に効率的に向上させることができる。
【0075】
(第4の形態)
次に、
図15は、第4の形態の面光源装置16を示す断面図である。
【0076】
図15に示すように、本形態の面光源装置16は、第3の形態に対して、中央傾斜面反射面24aの高さが左右の側面19、20上の傾斜反射面24aの高さよりも低く形成されている点が異なっている。
【0077】
本形態によれば、中央傾斜反射面24aにおける反射光量が低減されるため、中央傾斜反射面24a直上における輝度を緩和することができる。
【0078】
(第5の形態)
次に、
図16は、第5の形態の面光源装置16を示す平面図であり、
図17は、
図16のA−A断面図である。
【0079】
図16および
図17に示すように、本形態の面光源装置16は、第3の形態に対して、中央傾斜反射面24aが除去され、これにともなって、底面18が単一となっている点が異なっている。
【0080】
本形態においては、中央傾斜反射面24aを有しない分、中央の輝度が若干低減されるが、その一方で、左列側の光束制御部材1からの右側方への出射光を右側面20上の傾斜反射面24aによって反射させることができるとともに、右列側の光束制御部材1からの左側方への出射光を左側面19上の傾斜反射面24aによって反射させることができるので、面内輝度分布における左右両端の輝度を底上げすることができる。
【実施例】
【0081】
次に、本発明の実施例として、本発明の光束制御部材の特徴的な構成部が輝度分布に与える影響について、具体的なシミュレーション結果を用いて説明する。この説明には、必要に応じて、
図18〜
図21に示す従来の光束制御部材1’に対するシミュレーション結果を比較例として用いることとする。なお、
図18は、従来の光束制御部材1’の正面図、
図19は、
図18の平面図、
図20は、
図18の左側面図、
図21は、
図18の下面図である。
【0082】
(1)第2の全反射面が輝度分布に与える影響
まず、本実施例においては、本発明の光束制御部材の特徴的な構成部の1つとしての第2の全反射面が輝度分布に与える影響を検証するシミュレーションを行った。
【0083】
この項目に用いた本発明の光束制御部材は、次の(a)〜(e)の各条件を満たすものとした。
【0084】
(a)X軸方向の幅(最大幅):7mm
(b)第2の全反射面の湾曲:有り(但し、光軸方向には曲率を有さず、平面視において曲率を有する凹R面であって、曲率中心を第1の仮想平面上にとった曲率半径45mmの凹R面とする。)
(c)出射面の湾曲:無し(平面)
(d)発光素子対向面部の溝部:無し(平面)
(e)反射シート(反射面):無し
【0085】
また、本項目には、比較例として従来の光束制御部材も用いたが、これの条件は、(b)以外は全て本発明の光束制御部材と同じであり、(b)の代わりに次の条件を満たすものとした。
(b’)第2の全反射面の湾曲:無し(平面)
【0086】
さらに、本シミュレーションにおいては、本発明の光束制御部材および従来の光束制御部材ともに、入射面から光軸OA方向に0.5mm離して、発光素子としてのトップビューLEDを配置した。また、本シミュレーションにおいては、光束制御部材の上方に光学シートを配置したと仮定して、この光学シートを透過した直後の光の輝度分布を取得した。
【0087】
このような条件の下で、LEDからの出射光が光束制御部材によって進行方向を制御されることによって得られる輝度分布のシミュレーション結果は、本発明の光束制御部材の場合が
図22、従来の光束制御部材の場合が
図23となった。
【0088】
ここで、具体的な評価の前に、先ず、
図22および
図23に示されるシミュレーション結果の概要について説明すると、同各図には、シミュレーション結果として、輝度〔cd/mm
2〕が高い領域ほどトーンが暗くなる輝度分布が示されている。各領域のトーンに対応する輝度は、
図22に付記されている通りである。また、各図の輝度分布の右側に示されている各数値は、光束制御部材の光軸(換言すれば、LEDの発光中心)を原点としたY軸方向における位置〔mm〕である。一方、各図の輝度分布の下側に示されている各数値は、光束制御部材の光軸を原点としたX軸方向における位置〔mm〕である。
【0089】
そして、シミュレーション結果を考察すると、
図22に示すように、本発明の光束制御部材を用いる場合には、明部として認識される高輝度領域が比較的小さく、かつ、X軸方向の幅(
図22における矢印方向の寸法)がほぼ一定に規制された長方形状に近い輝度分布が得られることが分かる。
【0090】
これに対して、
図23に示すように、従来の光束制御部材を用いる場合には、主に、光束制御部材の直上に対してY軸方向における両外側近傍となる2箇所の領域の輝度が広範囲にわたって周囲よりも高くなり、かつ、X軸方向に向かって長方形状から大きく逸脱する円弧状(扇形)の分布の広がりを示す輝度分布が得られることが分かる。
【0091】
すなわち、本シミュレーション結果によれば、本発明に特有の第2の全反射面の構成が、光束制御部材単体での輝度ムラの抑制および光束制御部材単体の輝度分布の長方形状への近似度合いの向上に寄与できることが実証された。
【0092】
(2)出射面が輝度分布に与える影響
次に、本実施例においては、本発明の光束制御部材の特徴的な構成部の1つとしての出射面が輝度分布に与える影響を検証するシミュレーションを行った。
【0093】
このシミュレーションに用いた本発明の光束制御部材は、前述した(a)、(b)、(d)および(e)の各条件に加えて、更に、次の条件を満たすものとした。
【0094】
(c’)出射面の湾曲:有り(但し、光軸方向に曲率を有し、平面視においては曲率を有さない凸R面であって、曲率半径12.89mmの凸R面とする。)
その他のシミュレーションの条件は、項目(1)と同様である。
【0095】
本シミュレーションの結果は、
図24に示すものとなった。シミュレーション結果の概要は、項目(1)で既に述べた通りである。
【0096】
図24に示すように、全反射面を凸R面に形成する場合には、第2の全反射面を凹R面に形成するだけの場合(
図22の場合)と比べて、輝度分布をY軸方向に向かって広げられることが分かる。
【0097】
すなわち、本シミュレーション結果によれば、本発明に特有の出射面の構成が、広範囲にわたる輝度の均一化およびこれにともなうLEDの灯数削減に寄与し得ることが実証された。
【0098】
(3)発光素子対向面部の溝部が輝度分布に与える影響
次に、本実施例においては、本発明の光束制御部材の特徴的な構成部の1つとしての発光素子対向面部の溝部が輝度分布に与える影響を検証するシミュレーションを行った。
【0099】
このシミュレーションに用いた本発明の光束制御部材は、前述した(a)、(b)、(c’)および(e)の各条件に加えて、更に、次の条件を満たすものとした。
【0100】
(d’)発光素子対向面部の溝部:有り(但し、第1の傾斜面の傾斜角θ1=20°、第2の傾斜面の傾斜角θ2=80°、Y軸方向の幅=2mm、高さ=0.7mm)
その他のシミュレーションの条件は、項目(1)と同様である。
【0101】
本シミュレーションの結果は、
図25に示すものとなった。シミュレーション結果の概要は、項目(1)で既に述べた通りである。
【0102】
図25に示すように、発光素子対向面部の溝部を設ける場合には、第2の全反射面を凹R面に形成し、全反射面を凸R面に形成するだけの場合(
図24の場合)と比べて、LED直上近傍(
図25における破線内)の輝度を低減できることが分かる。
【0103】
すなわち、本シミュレーション結果によれば、本発明に特有の溝部の構成が、光源直上の輝度の低減に寄与し得ることが実証された。
【0104】
また、本項目においては、
図25に対応する各条件(a)、(b)、(c’)、(d’)および(e)に対して、条件(a)のみを次の条件に代えてシミュレーションを行った。
(a’)X軸方向の幅(最大幅):9mm
このシミュレーションの結果は、
図26に示すものとなった。
【0105】
さらに、本項目においては、
図25に対応する各条件に対して、条件(a)のみを次の条件に代えてシミュレーションを行った。
(a”)X軸方向の幅(最大幅):11mm
このシミュレーションの結果は、
図27に示すものとなった。
【0106】
図25〜
図27を比較すると、光束制御部材のX軸方向の幅が狭いほど、長方形状への近似度合いが良好な輝度分布が得られることが分かる。
【0107】
(4)反射シート(反射面)が輝度分布に与える影響
次に、本発明の光束制御部材の特徴的な構成部の1つとして、第2の全反射面と相まっての反射シートが輝度分布に与える影響を検証するシミュレーションを行った。
【0108】
このシミュレーションに用いた本発明の光束制御部材は、前述した(a)、(b)、(c)および(d)の各条件に加えて、更に、次の条件を満たすものとした。
(e’)反射シート(反射面):有り
このシミュレーションの結果は、
図28に示すものとなった。
【0109】
図28に示すように、反射シートを用いる場合には、高輝度領域を長方形状に広げることによって、均一性が高く、なおかつ明るい輝度分布が得られることが分かる。
【0110】
(5)面内輝度分布に与える影響
次に、本発明のベストモードの光束制御部材を
図11および
図12に示したように一列配列した場合における面内輝度分布に与える影響を検証するシミュレーションを行った。
【0111】
ベストモードの光束制御部材は、(a)、(b)、(c’)、(d’)および(e’)の各条件を満たすものである。
このシミュレーションの結果は、
図29に示すものとなった。
【0112】
また、本項目においては、第1の比較例として、(e’)のみを満足し、光束制御部材を有しない(LEDのみを配列した)構成について、
図29の場合と同様のシミュレーションを行った。
このシミュレーションの結果は、
図30に示すものとなった。
【0113】
さらに、本項目においては、第2の比較例として、
図18〜
図21に示した従来の光束制御部材を一列配列した構成について、
図29の場合と同様のシミュレーションを行った。
このシミュレーションの結果は、
図31に示すものとなった。
【0114】
図29〜
図31を比較すれば分かるように、本発明の光束制御部材を面光源に適用すれば、面内に光を満遍なく行き渡らせることができるとともに、局所的に輝度が顕著となることを抑制して、均一性が高い面内輝度分布を実現することができる。
【0115】
なお、本発明は、前述した実施の形態に限定されるものではなく、本発明の特徴を損なわない限度において種々変更することができる。
【0116】
例えば、凹湾曲面状の第2の全反射面8F、8Rの曲率半径を位置に応じて変化させることによって、第2の全反射面8F、8Rにおける光の全反射方向の最適化を狙ってもよい。同様に、凸湾曲面状の出射面7L、7Rの曲率半径を位置に応じて変化させることによって、出射面7L、7Rにおける光の出射方向の最適化を狙ってもよい。
【0117】
また、本発明における第1の全反射面および第2の全反射面は、その面に内部入射する主たる光線(特に発光素子の発光面と光軸との交点から出射する光)を全反射するように形成されたものであって、内部入射する全ての光を全反射するものではない。発光素子の発光部が点ではなく面積を有していることにより、全光線を全反射させることは困難であるため、僅かに漏れ出る光が存在してもよい。