(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5766054
(24)【登録日】2015年6月26日
(45)【発行日】2015年8月19日
(54)【発明の名称】一つまたは複数の乾燥機を備える枚葉紙処理機
(51)【国際特許分類】
B41F 23/04 20060101AFI20150730BHJP
F26B 13/10 20060101ALI20150730BHJP
F26B 21/04 20060101ALI20150730BHJP
【FI】
B41F23/04 A
F26B13/10 C
F26B21/04 A
【請求項の数】16
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2011-152896(P2011-152896)
(22)【出願日】2011年7月11日
(65)【公開番号】特開2012-16949(P2012-16949A)
(43)【公開日】2012年1月26日
【審査請求日】2014年1月22日
(31)【優先権主張番号】10 2010 026 604.3
(32)【優先日】2010年7月9日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】390009232
【氏名又は名称】ハイデルベルガー ドルツクマシーネン アクチエンゲゼルシヤフト
【氏名又は名称原語表記】Heidelberger Druckmaschinen AG
(74)【代理人】
【識別番号】100099483
【弁理士】
【氏名又は名称】久野 琢也
(74)【代理人】
【識別番号】100061815
【弁理士】
【氏名又は名称】矢野 敏雄
(74)【代理人】
【識別番号】100112793
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 佳大
(74)【代理人】
【識別番号】100114292
【弁理士】
【氏名又は名称】来間 清志
(74)【代理人】
【識別番号】100128679
【弁理士】
【氏名又は名称】星 公弘
(74)【代理人】
【識別番号】100135633
【弁理士】
【氏名又は名称】二宮 浩康
(74)【代理人】
【識別番号】100156812
【弁理士】
【氏名又は名称】篠 良一
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(72)【発明者】
【氏名】ヨヘン ユング
(72)【発明者】
【氏名】ロルフ ミュラー
【審査官】
鈴木 友子
(56)【参考文献】
【文献】
特開2009−092374(JP,A)
【文献】
特開2007−331393(JP,A)
【文献】
米国特許第2113770(US,A)
【文献】
米国特許第3208158(US,A)
【文献】
特開2007−303756(JP,A)
【文献】
特開2009−213531(JP,A)
【文献】
特開平7−91835(JP,A)
【文献】
特表2003−534146(JP,A)
【文献】
米国特許第4549362(US,A)
【文献】
米国特許第5174044(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41F 23/04
F26B 13/10
F26B 21/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
一つまたは複数の乾燥機(10a,b;11a〜d;21;31)と、乾燥機用の空気供給装置と、加熱された排気空気のための空気排出装置(12;13)と、暖かい乾燥機排気空気を乾燥機吸気空気と混合するための混合装置(29a,b;39a,b)とを備えている枚葉紙処理装置において、
前記乾燥機排気空気と前記乾燥機吸気空気との混合程度を、前記排気空気の湿気含有量と相関する測定量または調整値に基づいて制御または調整する制御または調整装置(28;38)を有し、
前記制御または調整装置(28;38)は、前記乾燥機排気空気の湿度(rF)を測定するセンサと接続されており、前記乾燥機排気空気の混合程度を、前記制御または調整装置(28;38)に記憶された、測定値、および/または、前記排気空気の水蒸気飽和率もしくは水分吸収能力を表す特性曲線に基づいて決定することを特徴とする枚葉紙処理装置。
【請求項2】
前記制御または調整装置(28;38)は、さらに、
前記一つまたは複数の乾燥機(10a,b;11a〜d;21;31)の出力、
前記一つまたは複数の乾燥機(10a,b;11a〜d;21;31)から枚葉紙へ放出される空気の温度、および、
前記枚葉紙に吹き付けられる空気量、
を制御または調整することを特徴とする、請求項1記載の枚葉紙処理装置。
【請求項3】
前記混合装置は、前記制御または調整装置(28;38)により操作され、電動駆動される一つまたは複数の混合フラップ(29a,b;39a,b)を有する、請求項1または2記載の枚葉紙処理装置。
【請求項4】
前記制御または調整装置(28;38)は、前記乾燥機排気空気の温度(T)を測定するセンサと追加で接続されている、請求項3記載の枚葉紙処理装置。
【請求項5】
前記乾燥機吸気空気の湿度(rF)および/または温度(T)を測定する付加的なセンサ(26b、36b)が、前記制御または調整装置(28;38)と接続されている、請求項1から3までのいずれか一項記載の枚葉紙処理装置。
【請求項6】
前記混合フラップ(29a,b;39a,b)は段階的に調整可能であり、前記制御または調整装置(28;38)の出力信号が、記憶された閾値との比較によって直接または間接的に発生される、請求項3または4記載の枚葉紙処理装置。
【請求項7】
前記枚葉紙処理装置は、形式の種々異なる乾燥機(10a,b;11a〜d;21;31;101)を有し、
少なくとも一つの乾燥機の排気空気が、同じ形式および/または異なる形式の一つまたは複数の乾燥機の吸気空気、または同じ形式の乾燥機(21;31)の吸気空気に混合される、請求項1から6までのいずれか一項記載の枚葉紙処理装置。
【請求項8】
前記枚葉紙処理装置は、前記乾燥機吸気空気に直接供給されない前記乾燥機排気空気の排熱を利用する機構(80)を有する、請求項1から7までのいずれか一項記載の枚葉紙処理装置。
【請求項9】
前記機構は、一つまたは複数の熱交換器(80)またはヒートポンプである、請求項8記載の枚葉紙処理装置。
【請求項10】
前記熱交換器(80)またはヒートポンプが前記乾燥機吸気空気を、好ましくは、前記乾燥機排気空気が前記乾燥機吸気空気に混合される前の個所で加熱する、請求項9記載の枚葉紙処理装置。
【請求項11】
前記枚葉紙処理装置は、枚葉紙案内エレメント(46)の排熱が前記乾燥機(31)の領域で供給される熱交換器(40)を有する、請求項1から7までのいずれか一項記載の枚葉紙処理装置。
【請求項12】
前記熱交換器(40)を介して乾燥機吸気空気が加熱され、および/または前記枚葉紙処理装置(1)の別のコンポーネントにプロセス熱が供給される、請求項11記載の枚葉紙処理装置。
【請求項13】
印刷された枚葉紙および/またはラッカー塗布された枚葉紙を、暖かい乾燥機排気空気を乾燥機吸気空気と混合するための装置を備える枚葉紙処理装置で乾燥するための方法であって、前記枚葉紙処理装置は、制御または調整装置(28;38)を備えている、方法において、
前記制御または調整装置(28;38)は、前記乾燥機吸気空気と前記乾燥機排気空気との混合程度を、乾燥機排気空気の湿気含有量と相関する測定量または調整値に基づいて制御または調整し、
ここで、前記制御または調整装置(28;38)は、前記乾燥機排気空気の混合程度を、前記制御または調整装置(28;38)に記憶された、測定値、および/または、前記排気空気の水蒸気飽和率もしくは水分吸収能力を表す特性曲線に基づいて決定することを特徴とする方法。
【請求項14】
前記枚葉紙処理装置は、一つまたは複数の乾燥機(10a,b;11a〜d;21;31)をさらに備えており、
前記制御または調整装置(28;38)は、さらに、
前記一つまたは複数の乾燥機(10a,b;11a〜d;21;31)の出力、
前記一つまたは複数の乾燥機(10a,b;11a〜d;21;31)から枚葉紙へ放出される空気の温度、および、
前記枚葉紙に吹き付けられる空気量、
を制御または調整することを特徴とする、請求項13記載の方法。
【請求項15】
前記測定量は、乾燥機排気空気の相対湿度および温度値、ならびに乾燥機吸気空気の相対湿度および温度値である、請求項13または14記載の方法。
【請求項16】
前記調整値は、枚葉紙サイズ、ラッカー塗布、乾燥機放射器の赤外線出力、ヒーターバッテリーの熱風、機械速度、印刷した枚葉紙のインキ被覆率、の一つまたは複数から計算される、請求項13から15までのいずれか一項記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、印刷された枚葉紙および/またはカッター塗布された枚葉紙を枚葉紙処理機で乾燥するための方法、ならびに一つまたは複数の乾燥機と、乾燥機のための空気供給装置と、加熱された排気空気のための空気排出装置と、排気空気の一部を乾燥機吸気空気に混合するための混合装置とを備える枚葉紙処理機、とりわけ枚葉紙印刷機に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の枚葉紙印刷機は、それ自体公知である。エネルギー費用の上昇と共に、印刷機のエネルギー消費を最適化することがますます重要になってきており、とりわけ印刷機の他のコンポーネントと比較してエネルギー消費の大きい乾燥機の領域で、乾燥機で加熱された排気空気またはその中に含まれる熱を再利用するための措置を見出すべきである。たとえば特許文献1から、枚葉紙オフセット印刷機の一部からの暖かい排気空気を、印刷機の他の部分からの空気と混合し、印刷機の乾燥機に供給することが公知である。別の提案は、印刷機の排熱によって駆動される乾燥機空気を、熱交換器を介して加熱することを目的とするものであり、熱交換器の下流に暖かい乾燥機排気空気が生じる。このような解決手段は、特許文献2、特許文献3または特許文献4に記載されている。
【0003】
さらに特許文献5からも、可動のフラップを設け、このフラップによって乾燥機内の熱空気の滞留時間を制御して、熱空気を最適の動作温度に迅速にもたらすことが公知である。この制御は、乾燥機領域での温度測定によって行われる。
【0004】
公知の解決手段は、高い装置の付加コストと部分的に結び付いており、とくに前記の特許文献4に記載されたものがそうである。それでもなお、乾燥機排気空気が最適に利用されることが保障されない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】DE102004048857
【特許文献2】EP2047991A2
【特許文献3】DE102005042956A1
【特許文献4】WO01/68223A1
【特許文献5】EP1319506B1
【特許文献6】DE102007056899A1
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
したがって本発明の課題は、枚葉紙処理機のために、簡単かつ安価なやり方で、乾燥機のエネルギー効率の向上に有意に寄与することのできる装置を設けることである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この課題は、請求項1の特徴部分の記載にしたがい、乾燥機排気空気と乾燥機吸気空気との混合程度を、排気空気の湿気含有量と相関された測定量または調整値に基づいて制御または調整する制御または調整装置によって解決される。
【0008】
本発明は、乾燥機での空気供給を制御するためには、温度測定を行うだけでは十分でないという知識から出発する。還流される熱空気を、湿った枚葉紙を乾燥させるために再利用することのできる程度は、むしろ排気空気がどの程度すでに水蒸気により飽和されているかに依存する。したがって本発明は、循環空気の割合、すなわち乾燥機吸気空気に帰還される排気空気の割合、または別の言い方をすれば、乾燥機排気空気の混合の程度を、排気空気の絶対湿度に対応して制御または調整する。そのために一つまたは複数の、好ましくは電動駆動される混合フラップが使用される。このような混合フラップは、電動制御という形ではなく、現在すでに部分的に存在している。
【0009】
乾燥機排気空気の混合程度を制御する制御または調整装置は、乾燥機排気空気の温度を測定するセンサと付加的に接続されている。なぜなら温度と相対湿度を同時に測定することにより、排気空気に含まれる水蒸気の量を決定することができるからである。混合比を制御または調整する適当な特性曲線が、制御部に記憶される。
【0010】
さらに、乾燥機吸気空気の空気湿度および/または温度を測定する追加のセンサを設けることもできる。供給される部分的に湿った排気空気の量は、とくに吸気空気が濾過されずに印刷室または環境から取り出される場合、環境の空気湿度の高さにも依存するからである。乾燥機排気空気の帰還される循環空気割合は、エネルギー効率が高く、それでもなお、存在する水分吸収能力のために乾燥が格段に悪化しないように選択される。乾燥過程の効率は、モリエル線図でいわゆる縁部尺度に基づいて求められる。
【0011】
混合フラップを混合装置内で無段階に調節する必要はない。混合フラップが離散的にステップで調節可能であれば十分であり、制御または調整装置の出力信号は、固定的に記憶された閾値との比較により、階段形状の信号として、またはステップモータを制御するためにパルス状の経過として発生することができる。
【0012】
本発明に対応して装備された枚葉紙処理機、たとえば枚葉紙印刷機は、種々異なる形式の乾燥機を有することができる。乾燥機の排気空気は、別の形式の乾燥機の吸気空気に混合することができる。しかし同じようにして、前記の措置を、同じ形式の乾燥機または一つの同じ乾燥機でとることもできる。
【0013】
エネルギー効率を基準にしたさらなる利点は、乾燥機排気空気の帰還されない排気空気の排熱が、印刷機にある別の付加的な機構に供給され、この機構で排気空気が有意義に使用することができる場合に得られる。これは一つまたは複数の熱交換器とすることができ、この熱交換器を介して、乾燥機吸気空気に直接供給されない乾燥機排気空気の一部が案内される。このようにエネルギー効率をさらに改善するためには、通例、追加の措置が必要であり、効率を高くしようとすると通常はコストが上昇する。さらなるステップで、熱交換器が乾燥機吸気空気を、好ましくは乾燥機排気空気が乾燥機吸気空気に混合される前の個所で加熱する。この熱交換器は、帰還されない排気空気によって駆動することができる。または乾燥機の領域の枚葉紙案内要素または印刷ドラムが発生した排熱によっても駆動することができる。帰還されない乾燥機排気空気により、枚葉紙処理機の他の領域にもプロセス熱を供給することができる。これはたとえば温度調整可能な対向圧ドラムであり、それぞれの乾燥機領域に入る前に印刷枚葉紙を予加熱するために用いられる。このことはたとえば特許文献6に記載されており、この文献をここでは全体として参照する。
【0014】
乾燥機排気空気の直接帰還されない部分と乾燥機吸気空気とがそれぞれ二つの熱交換器を介して供給されると、乾燥機排気空気がとりわけ効率的に利用される。ここでは通流方向で第1の熱交換器は単純な空気・空気熱交換器とすることができる。一方、通流方向でそれぞれ後続の熱交換器はコンプレッサと接続されており、コンプレッサは通流方向で後続の二つの熱交換器を、乾燥機排気空気と乾燥機吸気空気の領域で互いに接続する。このようにして、外部に吐き出される排気空気を、環境空気の領域までに冷却することができ、一方、エネルギーコンテンツはヒートポンプの原理にしたがい、コンプレッサを介して所定の温度レベルまで上昇される。この温度レベルからは、乾燥機に必要な温度に空気をもたらすのに、ヒーターバッテリーによって非常にわずかな電気エネルギーしか必要ない。これにより、コンプレッサはヒーターバッテリーの役目も、非常に高い作用効率で引き受ける。同時に湿って暖かい乾燥機排気空気の冷却により、露点を下回る。したがってここには脱水装置および/または乾燥機排気空気から溶剤を除去する装置を簡単に配置することができる。このようにして脱水および/または溶剤除去された排気空気は、当然のこととして吸気空気の第2の循環路を介して供給することができ、排出物のない閉じたシステムが得られる。
【0015】
本発明のさらなる利点は、添付図面の
図1から4に基づく実施例の以下の説明から得られる。
【発明を実施するための形態】
【0017】
図1は、オフセット印刷機1を示し、順番に、未印刷の紙積層体3が存在する紙送り装置2と、4つの基本色および場合により二つのさらなる特別色用の6つの印刷機構8a〜8fと、第1のラッカー機構9aと、これに続く二つの乾燥機ユニット10a、10bと、別のラッカー機構9bと、枚葉紙搬出積層体6を備える搬出装置5とを有する。搬出装置5のチェーン案内部の領域には、4つの別の乾燥機ユニット11a〜11dが、枚葉紙搬送方向に順次配置されている。
【0018】
この種の印刷機は、たとえばHeidelberger Druckmaschinen AGからSpeedmaster XL105-6-LYYLX3の名称で提供されている。
【0019】
乾燥機ユニット10aと10bには、吸気空気が吹き込まれ、この吸気空気は続いてヒーターバッテリーによって加熱される。乾燥装置10aと10bの上方には、送風機を備える排気チャネル12が示されている。送風機は、湿った暖かい排気空気を乾燥機ユニットから吸引し、詳細に図示しない管路システムを介して印刷室から外部へ案内する。
【0020】
印刷機の搬出装置5の乾燥機11a〜11dは、カセット状のモジュールの形式に実施されている。この乾燥機モジュールは、熱風乾燥機、赤外線乾燥機、UV乾燥機またはいわゆるコンビネーション型乾燥機とすることができ、コンビネーション型乾燥機は熱風と光線エネルギーの両方によって乾燥すべき枚葉紙に作用する。乾燥機モジュール11a〜dの排気空気も同様に、図示のように排気チャネル13を介して外部に導かれる。
【0021】
第1の実施例では、本発明が単純化された電気機械的ブロック回路図に基づいて詳細に説明される。
図2には、21により搬出装置5内にある乾燥機モジュールの一つが示されている。乾燥機モジュールには、送風機24aとヒーターバッテリー32を介して熱風が供給される。ここで送風機24aの回転数は、圧力センサ45aが送出する乾燥機21内の圧力pに対応して制御部28によって調整可能である。吸気チャネル内には送風機24aの上流に第1の絞りフラップ29aが配置されている。すなわち流体技術的に、第2の絞りフラップ29bを介して乾燥機21の加熱された排気空気の一部が吸気空気に供給されるポイントMの上流に配置されている。排気チャネル22には送風機24bが配置されており、その駆動部25bも同様に制御部28により、第2の圧力センサ45bが通知する排気チャネルの圧力pに対応して回転数が調整される。さらに排気チャネルには、送風機24bの下流にセンサユニット26aが取り付けられており、このセンサユニットは、湿度センサrFと温度センサTを含む。二つのセンサの出力信号は制御部28に供給される。同様に制御部28には、吸気チャネル内で絞りフラップ29aの上流にある別の湿度および温度センサ26bが接続されている。最後に制御部28には、IRサーモセンサ27bの出力信号も供給される。このIRサーモセンサ27bは乾燥機から搬出される枚葉紙Bの温度を測定する。制御部28は、この信号を考慮して、ヒーターバッテリー23bの電気的加熱能力を調整し、枚葉紙Bがオーバーヒートされないにする。
【0022】
さらに制御部28は、コンビネーションセンサ26aの湿度センサrFと温度センサTの信号から、排気空気がまだどれだけ湿気を吸収できるかを決定する。もっとも簡単な場合、測定された湿度値と記憶された値を比較することにより、それぞれ特定の温度値が得られる。比較結果から、制御部によってフラップ29aと29bが調整され、これによりポイントMで混合されて送風機24aに供給される吸気空気と排気空気との混合比が変化する。加えて
図2に示すように、第2のコンビネーションセンサ26bの信号を評価すると、すなわちフラップK1の上流の吸気空気の相対湿度rFと温度Tを求めると、さらに改善された調整ストラテジーが得られる。この場合、制御部は二つのコンビネーションセンサ26aと26bの測定値を相互に比較し、絞りフラップ29aと29bの位置を、以下に説明する調整ストラテジーにしたがって調整する。
【0023】
コンビネーション型赤外線/熱風乾燥機は、以下の最適化すべき4つの調整パラメータを有する。
1.赤外線放射器の出力
2.熱風の温度
3.枚葉紙に吹き付けられる空気量(吹き付け空気量)
4.乾燥機に再び帰還される排気空気(循環空気)の割合
【0024】
通例、赤外線放射器の出力および/または熱風温度は、前もって調整された枚葉紙温度または積層体温度に達するよう制御される。さらに吹き付け空気量はできるだけ大きく調整されるが、少なくとも枚葉紙の走行が空気流によって負の影響を受けない程度に調整される。循環空気の割合は本発明によれば、あらかじめ調整された値または標準値から出発して、蒸発する溶剤(水)1kg当たりに使用される比エネルギーが所定の値を上回らないように変化される。この値は乾燥機プロセスの効率を記述する。ジョブデータから出発して、この値は、計算に入り込む物理的パラメータについて仮定することにより計算的に求めることができる。これについて引き続き説明する。1kgの水を蒸発させるためには、理想的には約2500kJが必要である。枚葉紙オフセット印刷機の実際の技術的印刷プロセスでは、この値はしばしば5〜10倍に高くなる。これはエネルギー損失とも関連しているが、とりわけ乾燥のために使用される空気質量がわずかな水蒸気しか吸収できないためである。なぜなら、暖かい排気空気は印刷枚葉紙に一度当たった後はプロセスから取り除かれ、新たに加熱された空気と置換されるからである。しかし吹き付け空気速度と吹き付け空気フィールドの面積から得られる吹き付け空気量の多いことが、枚葉紙が乾燥機内に存在する比較的短時間で分散ラッカーを良好に乾燥させるためには絶対的に必要である。しかし吹き付けられる空気のわずかな部分しか枚葉紙の表面に達せず、この部分だけが溶媒(水蒸気)により飽和される。すなわち、枚葉紙案内板またはドラムもしくは別の機械部分に当たる空気流の部分は湿気をまったく吸収しない。多くの場合、これは、連続する枚葉紙の紙サイズに依存して、使用される熱風量の半分以上である。
【0025】
吸気空気と排気空気の湿度状態量を介して投入エネルギーの効率を計算することができる。このことは幾何学的または図面的に、たとえば
図4に示されたモリエル線図で、そこにRによって示されたいわゆる「縁部尺度」を介して実行される。モリエル線図の縁部尺度には、気化エンタルピーがたとえばkJ/kg H
2Oでプロットされている。乾燥プロセスに使用される値は、吸気空気の温度T1および吸気空気の相対湿度X1の値ペアから形成されるポイントを、排気空気の温度T2および排気空気の相対湿度X2の値ペアから形成されるポイントと直線で結び、線図でこの直線に、温度(0℃)と絶対湿度のゼロ点と交差する平行線を割り当てることにより得られる。この直線が縁部尺度に達する値が、乾燥プロセスで使用されるエネルギーに対する尺度であり、特定の量の水を被印刷材料から蒸発させるのにどれだけのエネルギーが使用されたかを表す。同じ温度または低い温度でより多くの水蒸気が排気空気に含まれているとき、すなわち測定値を結ぶ直線の勾配が小さいときにプロセスはより効率的である。従来の乾燥機では、測定値から10,000kJ/kg以上の気化エンタルピーが生じている。すなわち2,500kJ/kgである水の理論的気化エンタルピーの4倍以上である。ここからどの程度、この個所での最適化が可能であるか判断できる。
【0026】
気化エンタルピーを決定するためには、もちろん前記のモリエル線図での図面的やり方の代わりに気化エンタルピーを、それぞれの公式を介して計算で求めることができ、制御部28にプログラミングすることができる。
【0027】
しかし排気空気をより多く吸気空気に混合することによっては、水の2,500kJ/kgの理論値に達することはできない。湿った排気空気がより多く吸気空気に混合されれば、乾燥すべき枚葉紙の乾燥度も小さくなるからである。この関係が
図5に示されている。線図の左の座標には乾燥度が、右には乾燥機の全体効率がプロットされており、両者は循環空気のパーセント割合に依存する。下方の曲線は乾燥度を表す。この曲線は、循環空気が0%のとき、すなわち循環空気フラップが閉じられているときの最適値から、100%のとき、すなわち循環空気フラップが完全に開いているときの値まで単調に次第に強く降下する。これに対して全体効率に対してプロットされている曲線は、前記の例で循環空気フラップが約80%開いているときに最大値を有し、その後同様に0まで急速に降下する(後者は、循環空気フラップが完全に開いている場合に対応する。すなわち乾燥機から空気が取り出されず、新鮮空気も供給されない場合であり、エネルギー消費はないが、枚葉紙も乾燥しない)。
【0028】
両方の曲線の経過は、非常に多くのパラメータに依存する。そこに示された支持点は、一方では乾燥機の排気空気または吸気空気ならびに乾燥した枚葉紙での湿度測定および温度測定からのものであるが、他方では印刷ジョブのパラメータに基づいて求めることもできる。これらの特性曲線は、枚葉紙サイズ、枚葉紙上のラッカー塗布、コンビネーション型IR/熱風乾燥機の赤外線放射器の赤外線出力、印刷機速度、印刷された枚葉紙のインキ被覆率等に依存するが、これらは重要なパラメータのいくつかを例示したものである。したがって基本的には、前記の湿度測定の代わりに、作用効率と乾燥度に関する特性曲線をこれらのパラメータから決定することもできる。この場合、操作者は、循環空気割合が60%のときの矢印により示されているように、乾燥度をわずかに犠牲にしなければならないが、乾燥機の効率を約50%高めることとなり、これにより必要な電力が対応して低下する。
【0029】
しかし制御部28はまた種々異なる動作形式に対して構成することもできる。たとえば少量のラッカーまたは急速に架橋するラッカーが塗布されるようなシビアでない印刷ジョブに対しては、循環空気割合を非常に高くすることができる(エネルギー節約モード)。これに対しクリティカルな印刷ジョブでは、操作者は循環空気割合を低く調整する。すなわち操作者は、エネルギー節約モードを選択しないか、または一段階以上これを戻す。さらに制御部には、吹き付け空気温度が比較的高く調整された際(たとえばT>70℃の場合)でも、たとえばT>60℃の極めて普通の空気温度のときよりも大きな循環空気の空気量割合で運転することができるようファイルすることができる。この関係も、
図4に示されたモリエル線図から導かれる。
【0030】
したがって一般的に制御部は、乾燥機のエネルギー効率ができるだけ高くなるように、しかし乾燥が格段に悪化しないようにする。このことは、フラップ29aと29bを介して形成される新鮮空気と排気空気との混合気が、水分に対して十分に高い吸収能力を有するようにすることによって行われる。
【0031】
図3の実施例は、
図2の実施例とは、吸気空気チャネル内に付加的な空気/水熱交換器40が設けられている点で実質的に異なる。この空気/水熱交換器40を通るように、吸気空気が別の送風機34cによって搬送される。それ以外は
図2と比較して、同じ部材には10だけ大きな参照番号を付してあり、再度説明しない。乾燥機モジュール31はこの場合、いわゆるコンビネーション型乾燥機であり、熱風が送風機34とヒーターバッテリー33を介して供給される。しかしこの乾燥機はその他に、4つの赤外線放射器31a〜dを有し、通過する枚葉紙Bがこれらにより照射される。46により冷却された枚葉紙案内板が示されている。この枚葉紙案内板の上を枚葉紙Bが、搬送チェーンを介して駆動される詳細に図示しないグラブバーにより、エアクッションを通って無接触で案内される。案内板46は、乾燥機内で熱風によってもIR放射器31a〜dによっても加熱されるが、水によって冷却される。案内板は、ポンプ41から混合弁42を介して熱交換器40と接続されている。さらに付加的な温度センサ44が吸気空気中に熱交換器40の下流で配置されており、温度センサの信号も制御部38に供給される。
【0032】
熱交換器40を通過した後の吸気空気の絶対空気湿度に変化はないから、吸気空気用のコンビネーション型センサ26bの湿度値は、熱交換器の下流のこの個所の吸気空気に対しても相変わらず有効である。これに対して、絞りフラップ39の上流の吸気空気を比較的高いレベルに上昇させる熱交換器40を通過した後の温度は変化する。対応してヒーターバッテリー33用の電気エネルギーを低減することができる。なぜなら吸気空気が、
図2の実施例の場合よりもすでに格段に高い温度でヒーターバッテリー33に流入するからである。
【0033】
前記の措置により、完全動作時、すなわち75×105サイズの枚葉紙を毎時16,000枚処理する印刷機速度で典型的には100kWである乾燥機のエネルギー消費が約20〜30kW低減される。同じように約10〜15kWが排気空気の帰還制御と、熱交換器40によるものである。乾燥31の領域にある枚葉紙案内板46は、黒塗りされている。このようにして、案内板表面の吸収特性を改善し、付加的な吸気空気加熱の効率を高めるためである。
【0034】
乾燥機電力を約10kWさらに低減することができる。これは、排気空気からの処理熱を温度調整可能な対向ドラムに伝達することにより、または帰還されない排気空気の熱の一部を空気/空気熱交換器を介して新鮮空気に伝達することにより、乾燥すべき枚葉紙を予熱することによって行われる。これが
図6に概略的に示されている。
図6の実施例は、多くの機能が
図2に対応する。同じ部材には、
図2よりも50だけ多い参照番号が付してあり、したがってここで再度説明しない。
【0035】
しかし
図2との相違は、排気空気チャネル内の送風機74bと測定個所76aとの間に空気/空気熱交換器80が挿入されていることである。このような熱交換器はたとえば、Klingenburg社、Gladbeck、ドイツから型番PWT10で提供されている。熱交換器は好ましくは、印刷機の側壁の間に収納され、乾燥機11a〜d(
図1)と同じようにモジュール形式に構成することができる。モジュールはたとえば清掃目的で、印刷機の側壁にある対応する開口部から取り出すことができる。
【0036】
絞りフラップ79に供給される新鮮空気は、測定個所76bを通過した後、同様に熱交換器80に供給され、排気空気に含まれる熱の大部分をそこで吸収する。対応して上の実施例のように、ヒーターバッテリー73で提供しなければならない加熱能力が減少する。
【符号の説明】
【0037】
1 印刷機
2 紙送り装置/送風機
3 紙積層体
5 搬出装置
6 枚葉紙搬出積層体
8a〜f 印刷機構
9a,b ラッカーユニット
10a,b 乾燥機ユニット
11a〜d 乾燥機ユニット
12 排気空気チャネル
13 排気空気チャネル
21,71 乾燥機モジュール
22,72 排気空気チャネル
23,73 ヒーターバッテリー
24a,b;74a,b 送風機
25a,b;75a,b 駆動部、送風機
26a,b;76a,b センサユニット
27,77 赤外線センサ
28,78 調整装置/制御部
29a,b;79a,b 絞りフラップ
31 乾燥機モジュール
31a〜d 赤外線放射器
32 排気空気チャネル
33 ヒーターバッテリー
34a,b,c 送風機
35a,b,c 駆動部
36a,b センサユニット
37 赤外線センサ
38 調整装置
39a,b 絞りフラップ
40 空気/水熱交換器
41 ポンプ
42 混合弁
44 温度センサ
45a,b;95a,b 圧力測定個所
46 冷却された枚葉紙案内板
55a,b,c 圧力測定個所
80 空気/空気熱交換器
B 通過する枚葉紙
rF 相対湿度
T 温度
M 混合点
p 圧力
R 縁部尺度