【文献】
後藤隆男 他,MRI肝臓スキャンにおけるスライスおよびNavigator Tracker位置決めの自動化の検討,MEDICAL IMAGING TECHNOLOGY,2010年 9月,Vol.28 No.4,pp.245-251
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記候補点決定手段が複数の候補点を決定した場合、前記位置決定手段は、前記複数の候補点の中から、一つの候補点を選択する、請求項2に記載の画像データ処理装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
また、近年、脳や肝臓などの部位についても、スライス位置を自動で設定する技術が研究されている。例えば、肝臓のスライス位置を自動で設定する方法の一つとして、スライス位置決め用の画像データを収集し、収集した画像データから肝臓の特徴点(例えば、肝臓の上端および下端)を検出し、検出した肝臓の特徴点に基づいて、肝臓のスライス位置を設定する方法がある。しかし、患者の肝臓が変形している場合や、脂肪が十分に抑制されていない場合などは、肝臓の特徴点の検出精度が悪くなるという問題がある。したがって、撮影したい部位の特徴点の検出精度を向上させることが望まれている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の第1の態様は、被検体の所定の部位を含む撮影部位の画像データを作成する画像データ作成手段と、
前記画像データの第1の投影データを作成する投影データ作成手段と、
前記第1の投影データの中から、前記所定の部位が投影された領域を横切る複数のライン上のデータを取り出し、各ライン上のデータと、前記撮影部位の特徴点の所定方向の位置を検出するために用いられるテンプレートデータとの相関を算出する算出手段と、
前記相関に基づいて、前記撮影部位の特徴点の前記所定方向の位置を検出する検出手段と、を有する画像データ処理装置である。
【0006】
本発明の第2の態様は、上記の画像データ処理装置を有する磁気共鳴装置である。
【0007】
本発明の第3の態様は、被検体の所定の部位を含む撮影部位の画像データを作成する画像データ作成ステップと、
前記画像データの第1の投影データを作成する投影データ作成ステップと、
前記第1の投影データの中から、前記所定の部位が投影された領域を横切る複数のライン上のデータを取り出し、各ライン上のデータと、前記撮影部位の特徴点の所定方向の位置を検出するために用いられるテンプレートデータとの相関を算出する算出ステップと、
前記相関に基づいて、前記撮影部位の特徴点の前記所定方向の位置を検出する検出ステップと、を有する画像データ処理方法である。
【0008】
本発明の第4の態様は、被検体の所定の部位を含む撮影部位の画像データを作成する画像データ作成処理と、
前記画像データの第1の投影データを作成する投影データ作成処理と、
前記第1の投影データの中から、前記所定の部位が投影された領域を横切る複数のライン上のデータを取り出し、各ライン上のデータと、前記撮影部位の特徴点の所定方向の位置を検出するために用いられるテンプレートデータとの相関を算出する算出処理と、
前記相関に基づいて、前記撮影部位の特徴点の前記所定方向の位置を検出する検出処理と、を計算機に実行させるためのプログラムである。
【発明の効果】
【0009】
前記第1の投影データの中から、前記所定の部位が投影された領域を横切る複数のライン上のデータを取り出し、各ライン上のデータと、テンプレートデータとの相関を算出し、前記相関に基づいて、前記撮影部位の特徴点の前記所定方向の位置を検出している。したがって、特徴点の所定方向の位置の検出精度を向上させることができる。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、発明を実施するための形態について説明するが、本発明は、以下の形態に限定されることはない。
【0012】
図1は、本発明の一形態の磁気共鳴装置の概略図である。
磁気共鳴装置(以下、「MR装置」と呼ぶ。MR:Magnetic Resonance)100は、マグネット2、テーブル3、受信コイル4などを有している。
【0013】
マグネット2は、被検体12が収容されるボア21と、超伝導コイル22と、勾配コイル23と、送信コイル24とを有している。超伝導コイル22は静磁場を印加し、勾配コイル23は勾配パルスを印加し、送信コイル24はRFパルスを送信する。尚、超伝導コイル22の代わりに、永久磁石を用いてもよい。
【0014】
テーブル3は、クレードル3aを有している。クレードル3aは、ボア21内に移動できるように構成されている。クレードル3aによって、被検体12はボア21に搬送される。
【0015】
受信コイル4は、被検体12の腹部に取り付けられている。受信コイル4は、被検体12からの磁気共鳴信号を受信する。
【0016】
MR装置100は、更に、シーケンサ5、送信器6、勾配磁場電源7、受信器8、中央処理装置9、操作部10、および表示部11などを有している。
【0017】
シーケンサ5は、中央処理装置9の制御を受けて、パルスシーケンスの情報を送信器6および勾配磁場電源7に送る。
【0018】
送信器6は、シーケンサ5から送られた情報に基づいて、RFコイル24を駆動する駆動信号を出力する。
【0019】
勾配磁場電源7は、シーケンサ5から送られた情報に基づいて、勾配コイル23を駆動する駆動信号を出力する。
【0020】
受信器8は、受信コイル4で受信された磁気共鳴信号を信号処理し、中央処理装置9に出力する。
【0021】
中央処理装置9は、シーケンサ5および表示部11に必要な情報を伝送したり、受信器8から受け取ったデータに基づいて画像を再構成するなど、MR装置100の各種の動作を実現するように、MR装置100の各部の動作を制御する。中央処理装置9は、例えばコンピュータ(computer)によって構成される。中央処理装置9は、画像データ作成手段91〜検出手段96などを有している。
【0022】
画像データ作成手段91は、被検体の肝臓を含む撮影部位の画像データを作成する。
投影データ作成手段92は、画像データ作成手段91により作成された画像データの投影データを作成する。
投影プロファイル作成手段93は、投影データ作成手段92により作成された投影データの投影プロファイルを作成する。
範囲決定手段94は、投影プロファイル作成手段93によって作成された投影プロファイルに基づいて、被検体の内側の範囲を決定する。
算出手段95は、ラインL
1〜L
n上のデータとテンプレートデータDTとの相関を算出する(
図7参照)。
【0023】
検出手段96は、肝臓の特徴点(上端および下端)のSI方向の位置を検出する。検出手段96は、候補点決定手段96aおよび位置決定手段96bなどを有している。
【0024】
候補点決定手段96aは、算出手段95によって算出された相関に基づいて、肝臓の特徴点のSI方向の位置を検出するための候補点を決定する。
【0025】
位置決定手段96bは、候補点決定手段96aが決定した候補点に基づいて、肝臓の特徴点の所定方向の位置を決定する。
【0026】
中央処理装置9は、画像データ作成手段91〜検出手段96の一例であり、所定のプログラムを実行することにより、これらの手段として機能する。中央処理装置9は、画像データ処理装置に相当する。
【0027】
操作部10は、オペレータ13により操作され、種々の情報を中央処理装置9に入力する。表示部11は種々の情報を表示する。
MR装置100は、上記のように構成されている。
【0028】
図2は本形態で実行されるスキャンを示す図、
図3は撮影部位を概略的に示す図である。
本形態では、スカウトスキャンと本スキャンが実行される。
【0029】
スカウトスキャンは、肝臓を含む撮影部位の画像データを取得するためのスキャンである。スカウトスキャンによって取得された画像データは、肝臓の上端のSI方向の位置z
wと、肝臓の下端のSI方向の位置z
zとを検出するために使用される。スカウトスキャンは、3Dスキャンでもよいし、2Dスキャンでもよい。
【0030】
本スキャンは、肝臓の上端および下端のSI方向の位置z
wおよびz
zに基づいて肝臓の画像データを取得するためのスキャンである。
【0031】
図4は、本形態において被検体を撮影するときのフローを示す図、
図5〜
図14は、
図4に示すフローの各ステップを説明するときに使用される図である。
【0032】
ステップST1では、スカウトスキャン(
図2参照)を実行する。画像データ作成手段91(
図1参照)は、スカウトスキャンにより収集された磁気共鳴信号に基づいて、撮影部位の画像データVDを作成する。
図5(a)に、スカウトスキャンにより取得された画像データVDを概略的に示す。スカウトスキャンを実行した後、ステップST2に進む。
【0033】
ステップST2では、投影データ作成手段92(
図1参照)が、
図5(b)に示すように、ステップST1で取得された画像データVDの右半分のデータVDrのサジタル投影データDSを作成する。サジタル投影データDSを作成した後、ステップST3に進む。
【0034】
ステップST3では、投影プロファイル作成手段93(
図1参照)が、
図5(c)に示すように、ステップST2で作成されたサジタル投影データDSをSI方向に投影し、投影プロファイルPPを作成する。投影プロファイルPPを作成した後、ステップST4に進む。
【0035】
ステップST4では、範囲決定手段94(
図1参照)が、投影プロファイルPPに基づいて、被検体の内側の範囲を決定する。被検体の内側の信号値は、被検体の外側(体外領域)の信号値よりも高くなるので、投影プロファイルPPの値が大きくなる範囲が、被検体の内側の範囲Rと考えられる。したがって、
図6(d)に示すように、投影プロファイルPPに対して、被検体の内側の範囲Rを決定するための基準ラインFを算出し、基準ラインFと投影プロファイルPPとの交点を検出することによって、被検体の内側の範囲Rの両端の位置Th1およびTh2を求めることができる。基準ラインFの算出方法としては、例えば、以下の式を用いることができる。
【0036】
F=Noise+k*σ ・・・(1)
ここで、Noise:投影プロファイルPPの体外領域から抽出されたデータの平均値
σ:体外領域から抽出されたデータの標準偏差
k:係数
kは、例えば、k=3とすることができる。
【0037】
範囲決定手段94は、Noiseの値を求めるために、投影プロファイルPPの端部の範囲R
outからデータを抽出する。この範囲R
outは、投影プロファイルPPの中心から十分に離れているので、この範囲R
outからデータを抽出することによって、体外領域のデータのみが抽出される。したがって、抽出するデータの中に、体内領域のデータが含まれないようにすることができる。範囲決定手段94は、体外領域からデータを抽出した後、Noiseおよびσを求めて基準ラインFを算出し、被検体の内側の範囲Rの両端の位置Th1およびTh2を求める。したがって、被検体の内側の範囲Rを決定することができる。被検体の内側の範囲Rを決定したら、ステップST5に進む。
【0038】
ステップST5では、投影データ作成手段92が、
図6(e)に示すように、画像データVDの中から、ステップST4で求められた位置Th1とTh2との間のデータVDmを取り出し、このデータVDmのコロナル投影データDCを作成する。コロナル投影データDCを作成した後、ステップST6に進む。
【0039】
ステップST6では、肝臓の上端のSI方向の位置を求める。以下に、ステップST6に含まれているステップST61〜ST63について順に説明する。
【0040】
図7(f)は、ステップST61の説明図である。
ステップST61では、算出手段95(
図1参照)が、肝臓が投影された領域を横切る複数のラインL
1〜L
n上のデータを取り出す。
図7(f)の右側には、代表して、ラインL
i+2上のデータD
i+2が示されている。そして、算出手段95は、各ラインL
1〜L
n上のデータと、テンプレートデータDTとの相関を算出する。テンプレートデータDTは、肝臓の上端のSI方向の位置を検出するために用いられるデータであり、被検体を撮影する前に事前に作成されている。以下に、テンプレートデータDTの作成方法の一例について説明する。
【0041】
図8は、テンプレートデータDTの作成方法の一例の説明図である。
先ず、ステップST1〜ST5と同様の手順で、複数の被検体SUB
1〜SUB
nの各々のコロナル投影データDC
1〜DC
nを作成する(
図8(a1)〜(an))。
【0042】
コロナル投影データDC
1〜DC
nを作成したら、コロナル投影データDC
1〜DC
nに基づいて、被検体SUB
1〜SUB
nの肝臓の上端のコロナル面内における位置PU
1〜PU
nを特定する。この特定は、テンプレートデータを作成する者が、コロナル投影データDC
1〜DC
nを参考にして手作業で行う。肝臓の上端のSI方向の位置PU
1〜PU
nを特定したら、これらの位置PU
1〜PU
nを横切るラインM
1〜M
n上のデータを抽出する(
図8(b1)〜(bn))。そして、ラインM
1〜M
n上のデータに基づいて、テンプレートデータDTを作成する(
図8(c)参照)。本形態では、ラインM
1〜M
n上のデータを平均することにより得られたデータを、テンプレートデータDTとしている。テンプレートデータDTには、肝臓の上端のSI方向の位置を表す特徴点PUの位置情報が対応付けられている。尚、ラインM
1〜M
n上のデータを平均化する前に、ラインM
1〜M
n上のデータに重み付け処理を実行するなど、
図8とは別の方法でテンプレートデータTDを作成してもよい。また、テンプレートデータDTは、一人の被検体のデータのみを用いて作成してもよい。
【0043】
算出手段95は、被検体12の各ラインL
1〜L
n上のデータとテンプレートデータDTとの相関R
gを算出する。例えば、ラインL
i+2上のデータとテンプレートデータDTとの相関R
gを算出する場合は、テンプレートデータDTをSI方向に1ピクセルずつ移動させ、テンプレートデータDTを移動させるたびに、ラインL
i+2上のデータとテンプレートデータDTとの相関を求める。
図7には、テンプレートデータDTの特徴点PUが、ラインL
i+2上のSI方向の位置z
fに移動したときの相関R
g=R
gfが示されている。その他のライン上のデータとテンプレートデータDTとの相関R
gについても、テンプレートデータDTをSI方向に移動しながら、テンプレートデータDTを移動させるたびに、相関を算出する。
【0044】
相関が算出されたら、候補点決定手段96a(
図1参照)は、各ラインL
1〜L
nごとに、相関R
gが所定値R
th(例えば、R
th=0.85)以上になったときのテンプレートデータDTの特徴点PUの位置を検出する。
図9(g)に、検出された位置の一例を示す。ここでは、テンプレートデータDTの特徴点PUが位置E
1〜E
7に移動したときに、相関R
gが所定値R
th以上になったとする。これらの位置E
1〜E
7が、被検体の肝臓の上端のSI方向の位置を検出するために用いられる候補点E
1〜E
7として決定される。候補点E
1〜E
7を決定したら、ステップST62に進む。
【0045】
ステップST62では、位置決定手段96b(
図1参照)が、ステップST61で決定された候補点E
1〜E
7の中から、SI方向の座標値が中央値(メジアン)となる候補点を選択する。ここでは、候補点E
3のSI方向の座標値が中央値(メジアン)になったとする。したがって、候補点E
1〜E
7の中から、候補点E
3が選択される。
図9(h)に、選択された候補点E
3を示す。候補点E
3を選択したら、ステップST63に進む。
【0046】
ステップST63では、位置決定手段96bが、候補点E
3のSI方向の位置z
3に基づいて、被検体の肝臓の上端のSI方向の位置を決定する。以下に、この決定方法について、
図10〜
図13を参照しながら説明する。
【0047】
位置決定手段96bは、肝臓の上端のSI方向の位置を決定するために、ステップST2で作成したサジタル投影データDS(
図5(b)参照)を用いる。
図10(i)には、ステップST2で作成したサジタル投影データDSが示されている。尚、
図10(i)のサジタル投影データDSには、ステップST4で求めたAP方向の座標値Th1およびTh2(
図6(d)参照)と、ステップST62で決定した候補点E
3のSI方向の位置z
3(
図9(h)参照)も示されている。
【0048】
位置決定手段96bは、先ず、
図10(j)に示すように、サジタル投影データDSに対して、サジタル面内における肝臓の上端側の輪郭を表す形状モデルMを位置決めする。形状モデルMは、被検体を撮影する前に事前に作成されている。以下に、形状モデルMの作成方法の一例について説明する。
【0049】
図11は、形状モデルMの作成方法の一例の説明図である。
先ず、ステップST1およびST2と同様の手順で、複数の被検体SUB
1〜SUB
nの各々のサジタル投影データDS
1〜DS
nを作成する(
図11(a1)〜(an))。
【0050】
サジタル投影データDS
1〜DS
nを作成したら、サジタル投影データDS
1〜DS
nに基づいて、被検体SUB
1〜SUB
nのサジタル面内における肝臓の上端側の輪郭OL
1〜OL
nを特定する(
図11(b1)〜(bn))。輪郭OL
1〜OL
nの特定は、形状モデルMを作成する者が、サジタル投影データDS
1〜DS
nを参考にして手作業で行う。輪郭OL
1〜OL
nを特定したら、この輪郭OL
1〜OL
nのデータを抽出する。そして、被検体SUB
1〜SUB
nごとに得られた輪郭OL
1〜OL
nのデータに基づいて、形状モデルMを作成する(
図11(c)参照)。本形態では、輪郭OL
1〜OL
nのデータを平均することにより得られたモデルを、形状モデルMとしている。尚、輪郭OL
1〜OL
nのデータを平均化する前に、輪郭OL
1〜OL
nのデータに重み付け処理を実行するなど、
図11とは別の方法で形状モデルMを作成してもよい。形状モデルMは、肝臓のエッジの特徴点c1〜c6を有している。
【0051】
図10(j)に戻って説明を続ける。
位置決定手段96bは、AP方向の位置Th1とTh2との中間位置Thmを求める。そして、形状モデルMの特徴点c1〜c6のうち、SI方向の座標値が最大となる特徴点c3が、SI方向の位置z
3とAP方向の位置Thmとの交点に重なるように、形状モデルMを位置決めする。
【0052】
形状モデルMを位置決めした後、位置決定手段96bは、
図12(k)に示すように、形状モデルMの各特徴点c1〜c6を横切るラインH1〜H6を設定する。本形態では、ラインH1は、形状モデルMの特徴点c1における接線の垂直方向に延在するラインとして設定される。その他のラインH2〜H6も、それぞれ、形状モデルMの特徴点c2〜c6における接線の垂直方向に延在するラインとして設定される。しかし、他の方法でラインH1〜H6を設定してもよい。ラインH1〜H6を設定したら、各ラインH1〜H6ごとに、被検体の肝臓の上端側のエッジK1〜K6を検出する。肝臓は高信号であるが、肝臓の周囲の組織は低信号であるので、各ラインH1〜H6上のデータを調べると、データ値が急激に低下する位置が現れる。このデータ値が急激に低下する位置が、被検体の肝臓の上端側のエッジK1〜K6となる。位置決定手段96bは、形状モデルMの特徴点c1〜c6が、検出されたエッジK1〜K6に位置決めされるように、形状モデルMを変形する。
図12(l)に、変形後の形状モデルMを示す。
【0053】
位置決定手段96bは、変形後の形状モデルMの位置に基づいて、SI方向の座標値が最大となる点Wを検出する。
図13(m)に、検出された点Wを示す。この点Wを検出することによって、被検体の肝臓の上端のSI方向の位置z
wが決定される。
図13(n)には、コロナル投影データDCにおける肝臓の上端のSI方向の位置z
wが示されている。被検体の肝臓の上端のSI方向の位置z
wを決定した後、ステップST7に進む。
【0054】
ステップST7では、検出手段96(
図1参照)が、被検体の肝臓の下端のSI方向の位置を検出する。肝臓の下端のSI方向の位置を検出する場合、肝臓の上端のSI方向の位置z
wの検出方法と同じ方法を用いてもよいし、別の方法でもよい。別の方法の一例としては、コロナル投影データDCをRL方向に投影して投影プロファイルを作成し、投影プロファイルの信号変化に基づいて肝臓の下端を検出する方法などが考えられる。
図14(o)に、検出した肝臓の下端のSI方向の位置z
zを示す。下端の位置を検出したら、ステップST8に進む。
【0055】
ステップST8では、検出された肝臓の上端および下端のSI方向の位置z
wおよびz
zに基づいて、肝臓の全体が含まれるようにスキャン領域を設定する。そして、設定されたスキャン領域の画像データを取得するための本スキャンを実行し、フローを終了する。
【0056】
本形態では、コロナル投影データDCの中から、肝臓が投影された領域を横切る複数のラインL
1〜L
n上のデータを取り出し、各ラインL
1〜L
n上のデータと、テンプレートデータDTとの相関R
gを算出している。そして、相関R
gが高くなるときの候補点E
1〜E
7を決定し、これらの候補点E
1〜E
7に基づいて、肝臓の上端のSI方向の位置を求めている。したがって、肝臓の上端のSI方向の位置の検出精度を向上させることができる。
【0057】
また、本形態では、ステップST62において、候補点E
1〜E
7の中から、SI方向の座標値が中央値(メジアン)となる候補点E
3を選択している。SI方向の座標値が中央値(メジアン)になる候補点を選択することによって、候補点E
6やE
7のように、肝臓の上端からの位置ずれが大きい候補点は、選択されないようにすることができる。したがって、ステップST63において肝臓の上端のSI方向の位置を決定するときの精度を高めることができる。
【0058】
尚、本形態では、肝臓の上端のSI方向の位置を検出しているが、SI方向とは別の方向(例えば、AP方向やRL方向、又はSI方向に斜めに交差する方向)の位置を検出してもよい。また、本形態では、検出対象は肝臓の上端であるが、肝臓の上端とは別の特徴点(例えば、肝臓の左端)を検出対象としてもよいし、肝臓とは別の部位の特徴点を検出対象としてもよい。