【実施例】
【0037】
本発明の実施例を図面に沿って説明する。
図1は本発明を実施する機能ブロック図であり、本発明を各種の態様で実施することができるようにした例を示している。したがって、本発明はこれらの機能ブロックの内任意のものを選択して、各種の態様で実施することができる。なお、
図1における各機能部は、各機能を行う手段と言うこともできる。
【0038】
図1に示す機能ブロック図においては、本発明による方向距離マークの表示を利用して、それぞれ異なった各種の態様で実施できるため、それらの主たる機能を「モード」として、方向距離マーク使用モード選択部1で選択可能としている。そのため、方向距離マークを表示する時に
図1に示すような各種のモードのいずれを用いるかを選択し、或いは他の機能を行っている途中でいずれかのモードを用いる指示を行う、等によって、それらの機能を用いることができる
【0039】
図1に示す方向距離マーク使用モード選択部1には、地図スクロールモード2を備え、後に詳述するようにこのモードにおいては、地図画面の中心位置を基準点として、方向の目安となる方向マークを表示すると共に、その基準点を中心とする、基準点からの距離を示す円又は楕円を複数同心円状に表示し、各同心円が基準点から何km又は何mであるか等のスケールを表示した「方向距離マーク」に対して、利用者が任意の地点をタッチパネルの機能等によって指示することにより、その地点の地図を直ちに表示する機能を行うモードとしている。
【0040】
また、等距離範囲指定モード3においては、前記のような方向距離マークを表示している画面に於いて、同心円で示す距離スケールのいずれかを指示することにより、現在表示されている地図の基準点を中心として等距離の範囲の地図を、適切な縮尺で表示する機能を行う。
【0041】
また、任意範囲指定モード4においては、前記のような方向距離マークを表示している画面に於いて、任意の3個以上の複数の地点を利用者が指示することにより、指示した範囲が適切な縮尺の地図画面を表示する機能を行う。
【0042】
また、POI表示モード5では、前記のような方向距離マークを表示している画面に於いて、地図におけるPOI(Points Of Interest)について、予め指定した条件に適するPOIを、地図データベースから検索し、これを方向距離マークの対応した位置に表示する機能を行う。
【0043】
上記のように、方向距離マーク使用モードとしては種々の機能を行うモードを備えているものであるが、それ以外にもこの方向距離マークを利用して種々の機能を行うことができるばかりでなく、例えば地図スクロールモード2や等距離範囲指定モード3と、POI表示モード5とを組み合わせて、スクロールした後の画面、或いは等距離範囲を指定して表示した後の地図画面に、自動的にPOI表示モードによる表示をする等、各種のモードを組み合わせて利用することもできる。また、方向距離マーク使用モード選択部1でのモードの選択により、例えば方向距離マーク表示部6等、各機能部ではそのモードに対応した作動を行うこととなる。
【0044】
方向距離マーク表示部6においては、前記のように、また
図4(b)(c)に示すように、地図画面の中心位置を基準点として、方向の目安となる方向マークを表示すると共に、その基準点を中心とする、基準点からの距離を示す円[
図4(b)]、または楕円[
図4(c)]を複数同心円状に表示し、各同心円が基準点から何km又は何mであるか等のスケールを表示した「方向距離マーク」を表示する。
【0045】
そのため
図1に示す方向距離マーク表示部6においては、方向マーク表示部7で、前記
図4に示すように、画面の中心の基準点から四方に、東西南北を示す方向マークのほか、それぞれの中間の方向である北西、南西、南東、北東を示す方向マークを表示する。そのほか必要に応じて更に細かな方向マークを表示することもできるが、東西南北のみの方向マークのみ表示しても良い。
【0046】
距離マーク表示部8においては、
図4(b)に示すような基準点を中心とした同心円、或いは同図(c)に示すような同心状の楕円によって、その線上は基準点から等距離であることを示している。なお、
図4(c)のような楕円で示すのは、同図(b)のように同心円で示すと基準点からの距離感はわかりやすいが、通常の地図を表示するモニタは、特に近年はワイド画面表示用が多くなってきていることから、特に横長の画面を有効に用いて、互いの距離の間が大きくとれるようにするためである。
【0047】
距離マーク表示部8においては、前記のような等距離を示す円または楕円を表示すると共に、そのときの各線は基準点からどのくらいの距離であるかのスケールを表示している。
図4(b)及び(c)の例においては、描く円の中心である基準点側から順に1km、10km、100km、1000kmと表示した例を示している。
【0048】
このようなスケールは必要に応じて任意に設定することができるものであり、例えば最も遠い円が同じ1000kmでも、それから内側に例えば500km、100km、10kmのようにスケールを異ならせて表示することもできる。これらの場合はいずれも、等間隔の距離円を表示していても、外側程線の間隔に対応する距離を大きくし、遠い範囲をおおよその位置でも広範囲に指示や表示を可能とし、近い程より詳細な地点の指示や表示等を可能にしている。
【0049】
図1に示す距離マーク表示部8には距離スケール変更部9を備え、通常の作動時には前記
図4(b)及び(c)のような、1000kmを最も外側とする縮尺を表示する時でも、そのような遠くの地図は必要とせず、比較的近い範囲をスクロールしたいと思ったときには、その距離スケールを、例えば
図6(a)と(b)で後述するように、10kmを最も外側にする、等のスケールの変更を行う。
【0050】
また、距離表示単位選択部10では、km単位11において、前記
図4(b)(c)に示すような、例えば10km等の「km」単位のスケール表示を標準としている場合でも、徒歩○○分単位12では、利用者の指示によりこれを選択する時、例えば
図6(c)に示すように、「徒歩○○分」のような徒歩で何分かかるかの直接入力を可能とする表示を行う。
【0051】
また、車○○分単位13では、利用者の指示によりこれを選択する時、例えば
図6(d)に示すように、「車で○○分」の単位のスケール表示を行う。このような単位表示の変更により、各種の施設案内等で、○○駅下車、南に徒歩○○分、○○インターチェンジから北に10分、等の案内がある時、その地点を容易に探すことができるようになる。前記のような方向距離マーク表示部6で表示処理される方向距離マークの表示データは、画像出力部23に出力し、後述するように地図表示部18からの地図画像と重ねて表示可能としている。
【0052】
表示地図縮尺選択部14では、方向距離マーク表示画面で、利用者が地図のスクロール指示等の各種モードに応じた何らかの指示を行う時、その指示によってスクロール先の地図を表示する等の何らかの地図表示を行う際には、その地図の縮尺を適切に選択する機能を行う。その中の縮尺指示入力部15では、利用者が予め設定した縮尺の指示を読み出し、或いは、例えばスクロール指示の時に、最初から詳細な地図を表示したいと思った時に、適当な縮尺を指示する場合、その指示をここで入力する。
【0053】
また、指示距離対応縮尺選択部16では、例えば地図スクロールモード1において、通常の作動を行う通常モードの時にはスクロール先の地図は現在表示している地図等の、予め設定している地図の縮尺で表示する場合でも、詳細な設定を行う詳細モードでは、例えば
図5(a)に示すように比較的近い地点を指示した時には、同図(b)に示すようにその距離に対応して小さい縮尺で詳細な地図表示を行い、逆に同図(c)のように比較的遠い地点を指示した時には、それに対応して同図(d)のように大きい縮尺で広域地図を表示する等の、指示地点に対応した縮尺を選択する。
【0054】
指示範囲対応縮尺選択部17では、例えば等距離範囲指定モード3、或いは任意範囲指定モード4を選択している時、指定された範囲ができる限り表示画面に広く表示されるように、即ち一部のみに表示されることの無いように、適切な縮尺を選択して表示するための縮尺選択を行う。上記のような表示地図縮尺選択部14で選択した地図の縮尺は、後述する地図表示部18に出力する。
【0055】
地図表示部18では従来からの通常の地図表示を初め、本発明特有の地図表示も行うものであり、その中の現在地基準点移動部19では、例えば通常のナビゲーション装置においては現在地マークを車両が進行する方向を広く表示できるように、現在地マークは画面の下方に表示している場合が多いが、本発明においては前記のような方向距離マークを表示して利用者の指示を行い易くするため、方向距離マークの基準点を画面中心に配置することが好ましい。そのため、方向距離マークを表示する時には、現在地マークが画面上のどこにあっても方向距離マークの基準点に現在地が存在するように移動して表示する。
【0056】
その際には、画面に表示する方向距離マークの方向に合わせて地図の方位を変更して表示しておくことは、利用者がこれからスクロールしようとする方向感覚を正しくするためにも好ましい。但し、本発明においては必ずしも方向距離マークに現在の地図表示を合わせることなく、その地図表示を無視して方向距離マークに対する利用者の指示のみを検出し、本発明を作動させることも可能である。
【0057】
地図表示部18における縮尺指示入力部20では、表示地図縮尺選択部14で前記のようにして選択した地図の縮尺指示を入力して、実際に表示する地図の縮尺を決定する。地図データ取込部21では、地図表示に際しての各種の要求に対応して、また指示地点検出部30で方向距離マークに対する利用者が指示した地点を検出した時これを入力し、それらの地点を中心にした、所定縮尺の地図を地図データベース31から取り込んで地図の表示を行う。
【0058】
POIデータ検索部22では、本発明が例えばPOI表示モード5でPOIを表示する時、或いは等距離範囲指定モード3で特定の距離の範囲内の施設等を表示する時、そのための検索を地図データベース31を用いて行う。その検索結果はこの地図表示部18において、実際の地図上、或いは方向距離マーク上に重ねて表示する。
【0059】
指定範囲設定部24では、特に本発明が等距離範囲指定モード3、及び任意範囲指定モードで作動する時、その範囲を指定して設定する機能を行う。その中の基準点間距離指示入力部25においては、特に等距離範囲指定モード3において、例えば現在地から10kmの範囲内、或いは現在地から徒歩20分の範囲内、或いは現在地から車で10分以内等の、基準点からの所定の距離内の施設を検索して表示する時のような場合、基準点からの検索する距離の指示をここで入力する。
【0060】
また、複数地点指示範囲入力部26では、本発明が特に任意範囲指定モード4で作動する時、3箇所以上の複数点を指示することにより、その範囲を指定する際に、その複数地点の指示、及びその指示による範囲をここで入力する。その入力に際しては、範囲指示開始終了入力部27で、これから任意範囲の設定のための入力を開始する旨、またその入力が終了した旨の利用者の指示を入力する。
【0061】
指示地点位置入力部28では、前記のようにこの複数地点指示範囲入力部26で所定の範囲を指示するために複数地点の指示がなされる時、これをここで入力する。その際に実際に利用者が指示した地点は、指示地点検出部30で、タッチパネルに利用者の指等がタッチしたことを検出した時、その画面上の位置により指示地点を検出し、指示地点位置入力部28ではこれを入力することにより行っている。
【0062】
指示範囲検出部29では、前記のようにして入力した3箇所以上の指示地点を入力し、それにより入力した地点で囲まれる範囲を検出する。このような複数地点から所定の範囲を検出することは、ナビゲーション装置等で広く用いられている各種の手法を使用して実施することができる。
【0063】
指示地点検出部では前記のように、画面に貼ったタッチパネルに利用者の指等がタッチしたことを検出した時、その画面上の位置により指示地点を検出するものであり、本発明における各種のモードで同様に作動する。地図データベース31は、近年はメモリチップやメモリカード等にも莫大な地図データの保存が可能となっているが、そのほかにインターネット網を利用して地図データを取り込むことも可能となっている。
【0064】
モニタ32には画像出力部23から、前記のような地図表示部18からのPOIを含む地図データ、及び方向距離マーク表示部6からの方向距離マーク等の種々の画像を表示している。なお、利用者に対する操作案内、検索結果案内等のため、適宜スピーカから音声案内を出力しても良い。
【0065】
図1に示すような機能ブロックからなる本発明は、前記のように各種機能部を選択して用いることにより、種々の態様で実施することができるものであるが、例えば
図3、
図4及び
図9に示すような作動フローにより、本発明を各作動モードに応じて実施することができる。これを
図1の機能ブロック図、及び
図4〜
図9の画面表示例を参照しつつ説明する。
【0066】
図2に示す方向距離ワンタッチ指示地図表示処理の例においては、
図1の方向距離マーク使用モード選択部1における、地図スクロールモード2と、等距離範囲指定モード3と、任意範囲指定モード4とを実施する作動フローを示している。なお、POI表示モードは
図9(a)に示す作動フローにより実施することができる。
【0067】
図2の方向距離ワンタッチ指示地図表時処理では、最初に地図をスクロールするか否か、即ち地図スクロールモードを行うか否かを判別している(ステップS1)。ここで地図スクロールモードを利用者が選択したことを検出した場合は、ステップS2に進んで、任意縮尺の地図を表示している状態で、スクロール開始の基準点を指示する。この時の多くの場合は現在表示されている地図からのスクロールであるため、現在表示されている地図の現在地がスクロール開始点となるが、利用者が改めて特定の地点を指示することも可能である。
【0068】
この時のスクロール開始点については、
図1の地図表示部18における現在地基準点移動部19の説明でも述べたように、ナビゲーション装置等において通常は現在地のマークを、進行方向を広く表示できるように、現在地は画面の中心に配置しない場合が多いが、ここでは現在地からの地図の移動を、画面の中心を基準点とする方向距離マークと重ねるため、現在地マークが画面中心になるように移動させることが、これから移動させる方向感覚を正しくするためにも好ましい。更にその地図の方位を方向距離マークが画面上方を北向きに表示する時、その方向と一致させて画面上方を北向きに表示する処理を行っても良い。このような処理を行った状態を
図4(a)に示している。
【0069】
その後ステップS3において、方向距離マークを重ねて表示する。この処理は
図1の方向距離マーク表示部6における方向マーク表示部7で、
図4(b)(c)に示すような方向を示す線を表示し、距離マーク表示部8で同図(b)のような等距離円の表示、或いは同図(c)のように等距離楕円のマーク表示を行う。なお、以降は等距離円及び等距離楕円をまとめて「等距離円」と総称する。
【0070】
図2に示す例においては、その後ステップS4において、簡易モードを行うか否かを判別している。即ち、本発明においては
図3に示すような詳細に設定するモードも存在するが、できる限り簡単な操作で、利用者が多くの場合満足できるスクロール操作を行うことができるように簡易モードを用意しておき、特に詳細モードを行う旨の指示がない時には簡易モードを行うものとしている。
【0071】
したがってステップS4で簡易モードを行うと判別した時には、ステップS6に進み、利用者が指示した方向距離マークに対応した任意の点を検出する。この状態は
図4(b)及び(c)のように、地図上に表示されている方向距離マークに対応して利用者が例えば「北東50km」の地点を指示した時、これを検出することにより行う。
【0072】
なお、同図に示す例では、利用者が方向距離マークを指示する時、どの地点を指示しているのかをわかり易くするため、指等を画面に近接させた時の位置、或いは軽く接触させた時の位置を、画面上に吹き出しで表示する例を示している。このような表示は、特に本発明において、等距離円を外側程粗く、即ち同じ画面上の長さでも、地図上の距離は画面の外側程大きくなるようにしているので、タッチする位置が実際にはどの位置なのかがわかりにくいため、このような吹き出し等による指示位置の表示は重要となる。
【0073】
次いでステップS7に進み、指定地点中心の任意縮尺の地図を表示する。この作動の結果、
図4に示す例では、同図(d)に示すような、同図(a)に示された現在地から北東50kmに当たる地図を、今まで表示していた地図の縮尺と同じ縮尺で表示している。
【0074】
上記作動はステップS4で簡易モードを選択するものとした時の作動を示したが、ここで簡易モードではなく詳細モードを選択する場合には、ステップS4において利用者が「詳細モード」を選択する等により、例えば
図3に示すような作動を行う。
図3に示す例においては、前記のような地図スクロールを行う時、ステップS22で任意スケールに表示変更する処理を行うか、ステップS24で距離表示単位を変更する処理を行うか、またはステップS27で指定した距離に応じて縮尺を変更する処理を行うか、或いはこれらの処理を任意に組み合わせるか、の各処理を行う例を示している。
【0075】
図3に示す詳細モード処理の例においては、
図2に於ける前記ステップS5の処理として行うほか、後述する
図2のステップS12の処理としても行うことができる。
図3の詳細モードに於いて
図2のステップS5を行った後はステップS21に進み、基準地点からの距離スケールを変更するか否かを判別する。
【0076】
ここで基準地点からの距離スケールを変更すると判別した時には、ステップS22に進んで、例えば
図6(a)のように表示画面で両指を広げるようになぞる操作を行う等により、任意スケールに表示変更を行う。
図6に示す例においては、前記動作により、同図(b)に示すように、最初は最大外径部分が1000kmであったスケールが、これを広げることにより最大外径が10kmにスケール変更した例を示している。
【0077】
その後前記ステップS21で、今回はスケールの単位を変更する必要がないと判別した時と共にステップS23に進み、スケールの単位を変えるか否かを判別する。ここでスケールの単位を変えると判別した時には、当初の方向距離マークの距離の単位が「km」で表示されている時、例えば「徒歩○○分」「車で○○分」等の単位に変更する。この作動は
図1の方向距離マーク表示部8における距離マーク表示部8において、距離表示単位選択部10で選択することにより行っている。
【0078】
また、この状態は
図6(c)に「徒歩○○分」の単位表示を行った例を示し、同図(d)に「車で○○分」の単位表示を行った例を示している。このような単位表示を行うことにより、各種の施設案内や店の案内に、「○○駅下車、東へ1km」、或いは「○○駅下車、東に徒歩15分」のような案内がある時、それぞれの単位で直ちに所望の地図を表示し、施設を容易に見つけることができるようになる。
【0079】
また、同様に「○○ICから西へ約10km」、或いは「○○ICから西へ約10分」のような案内に対しても、更には「○○駅から南へ○○バス約10分」のような表示にも、その駅を中心とした方向距離マークにおける「車で○○分」の単位表示によって容易に所望の地点の地図を表示できる。
【0080】
上記のような案内表示は、観光マップ等に広く用いられているものであるが、あまり有名ではない観光地は詳細な案内がない場合が多く、ナビゲーション装置にも詳細なデータがない場合もある。そのような場合でも本発明に於ける前記のような手法を用いることにより、駅等の主要な施設からの方向と距離の目安が存在するだけで、直ちに、且つ容易に所望の地図を表示し、所望の施設等のPOIを見つけることが可能となる。
【0081】
図3の例においては、その後、前記ステップS23でスケールの単位を変えないと判別した時と共にステップS25に進み、現在のモードは地図スクロールモードであるか否かを判別し、地図スクロールモードであると判別した時にはステップS26に進んで、スクロール先の地図の縮尺を、例えば近距離の場合は詳細地図の表示を行う、というような、表示変更を行うか否かを判別する。
【0082】
即ち、
図3に於ける詳細モード処理は、
図2のステップS5の地図スクロールモードの処理と、後述するステップS12の等距離範囲指定モードの両方に共通で行う処理として示しているため、このステップS26以降の処理は地図スクロールモードの時にのみ適用する。ここで地図スクロールモードであると判別した時、前記のようにステップS26でスクロール先に地図の縮尺を変更するか否かを判別し、変更すると判別した時、即ち変更する旨予め設定しているような場合は、例えば近距離程詳細な地図を表示するような縮尺の変更を行う。
【0083】
この状態は
図5に示しており、同図(a)の例では、1目盛が300mの地図上で、北東1kmのような比較的近い位置の地図表示を行う指示があった時には、同図(b)に示すように、1目盛が50mの詳細地図を表示した例を示している。それに対して、同図(c)に示す例においては、南南西400kmの比較的遠い地点を指示した時には、例えば同図(d)のように1目盛が2kmの広域地図を表示する例を示している。
【0084】
図3においてはステップS27でこのような処理を行った後は前記ステップS26でスクロール先の地図の縮尺を変更しないと判別した時と共にステップS28で
図2のステップS6に進み、前記のような作動を行う。また、前記ステップS25で現在は地図スクロールモードではないと判別した時には、
図3の例では前記のように
図2の等距離範囲指定モードであるので、ステップS29において
図2のステップS13に進むこととなる。
【0085】
上記のような地図スクロールモードを行うことにより、方向距離マークを表示してワンタッチにより所望の位置にスクロールし、適切な地図を表示することができるものであるが、この手法は特に米国のナビゲーション装置に於いて極めて有効である。即ち、米国では車両に方位磁石を備えておき、方位と距離で各種案内を行うことが多いため、そのような案内に対して本発明においては、方向距離マークを表示して、特定の地点からの方向と距離の案内の表示をそのまま用いて、案内される場所を直ちに表示させることができるようになる。
【0086】
また、船舶に搭載したナビゲーション装置に於いて、周辺に何も目印がないことにより地図をスクロールしても所望の島や、漁場、釣り場のポイント地点等の地図を表示することができないのに対して、本発明によれば方向距離マークを表示して海上からでも所望の地点の地図を容易に表示させることができ、極めて有用である。
【0087】
図2のステップS1で地図スクロールモードを行うものとした時には前記のような処理によって、本発明の当該モードを実施することができるものであるが、ステップS1において地図スクロールモードではないと判別した時には、図示の例ではステップS8に進み、指定基準点からの等距離範囲の指定を行うか、即ち、等距離範囲指定モードを行うか否かの判別を行う。
【0088】
図2に示す例においては、ステップS1において地図スクロールモード以外のモードとして、
図2の 方向距離ワンタッチ指示地図表示処理を行うモードは、
図1の等距離範囲指定モード3と、任意範囲指定モード4を行うため、前記ステップS8では、等距離範囲指定モードである時にはステップS9に進むものとしている。
【0089】
ステップS9ではこのような等距離範囲指定モードを行うに際して、最初に基準点を指定することから行っている。即ち、この等距離範囲指定モードでは、特定の指定地点から○○km等のような所定の範囲に存在する所望の地点、或いは方向はわからないが距離はわかる所定の場所、施設等からの距離がわかる場合等に、このモードを採用するため、最初にその基準となる地点の指示から行っている。
【0090】
そのため、ここでの処理は現在地から○○kmの地点、或いは現在地から○○kmの範囲内にあるコンビニを探す、等の現在地を基準とする場合には、現在表示している地図で、単に基準点を画面の中心に配置するのみで良いが、例えば「○○駅から○○m」のような地点を探す時のような場合は、最初に「○○駅」を表示し、これを基準点にすることとなる。
【0091】
その後ステップS10に進み、前記基準点が表示される地図について、必要に応じてこれを任意縮尺の地図とし、その画面上に距離マークを表示する。ここで前記のような「方向距離マーク」ではなくて「距離マーク」と称するのは、この等距離範囲モードでは方向に関係なく、所定の基準点からの等距離範囲を指示するため、ここではあえて「距離マーク」と称している。したがって、ここでは単に基準点からの距離を示すスケールを表示するのみでよいが、前記と同様の方向距離マークを利用して表示しても良いことは当然である。
【0092】
その後ステップS11において、前記ステップS4と同様に簡易モードとするか否かを判別し、簡易モードではなく詳細モードを行うと判別した時にはステップS12に進み、前記
図3の詳細モードを行う。
図3の処理については前記のとおりであるので、ここでの詳細な説明は省略するが、ステップS22の処理によって基準点からの距離スケールを任意スケールに表示変更し、ステップS24で距離表示単位を「km」「徒歩○○分」「車で○○分」等の単位の表示変更を、必要に応じて行う。
【0093】
その後前記ステップS11で簡易モードを行うとした場合と共にステップS13に進み、利用者が距離マークの任意の点の指示を行い、それによりステップS14において指示した範囲が含まれる最小縮尺の地図を表示する。
【0094】
この状態は
図7に示しており、同図(a)では等距離範囲指定モードで1目盛が300mの地図を表示し、基準点をその地図の中心とした状態で、前記と同様に方向距離マークを表示し、利用者が10kmの地点を指示している。それにより同図(b)に示すように、指定した距離範囲が画面にできる限り大きく表示できるように、1目盛1kmの比較的広域の縮尺の地図を表示し、指定した範囲がわかるように、例えば範囲内、或いは範囲外を適宜の薄い色で着色して表示する等、指定範囲をわかりやすく表示する。
【0095】
また、
図7(c)に示すように、500mのような比較的近い距離を指定した場合には、同図(d)に示すように指定した距離範囲が画面にできる限り大きく表示できるように、1目盛100mのように比較的詳細な地図を表示する。このように、同じ指示画面からの等距離範囲の指示であっても、指示した距離範囲により地図の縮尺を変えることにより、見やすい地図を表示することが可能となる。
【0096】
図2に示す例に於いて、前記ステップS8で等距離範囲指定モードを行わないと判別した時にはステップS15に示すように、以降は複数地点指定による任意範囲指定モードを行うこととなる。その際にはステップS16において、基準点を中心にした地図上に、方向距離マークを重ねて表示する。この処理は基準点から全方位に容易に各種地点を指示するために行っているが、例えば東側は海のため、その方向の指定はないと推測される時には、基準点を東側に移動させておくこともできる。
【0097】
次いでこれから複数の箇所を指定する旨の「開始」指示の入力を行い(ステップS17)、その後ステップS18で、利用者が方向距離マーク上の任意の、範囲を示すために必要な3点以上の複数の点を指示する。その後利用者が所望の範囲を示すための指示は終了したと判断した時、「入力終了」の指示を行う(ステップS19)。その後前記ステップS14に進み、等距離範囲指定モードの時と同様に、指示した範囲が含まれる最小縮尺の地図を表示する。
【0098】
この処理の状態は
図8に示しており、最初は同図(a)のように1目盛が300mの縮尺の地図表示状態で、方向距離マークを重ねて表示する。それに対して図示の例では同図(b)の表に示すように、地点Aとして基準点から北の方向に30kmの地点を指示し、同様に地点Bとして基準点の北西40km、地点Cとして基準点から西に50kmと最も遠くを指定している。更に、地点Dとして基準点から南西に30km、地点Eとして基準点から南に25km、地点Fとして基準点から南東に20km、地点Gとして基準点から同じく20km、地点Hとして基準点から北東に同じく20kmを指示した例を示している。
【0099】
それにより
図8(c)に示すような、指定範囲が画面に最大限入る縮尺の地図が表示される。この時の表示についても範囲外と範囲内を適宜の着色によって容易にわかるように表示する。このような範囲表示は、例えば特定の地点から所定の範囲は近付かない方が良い、という情報がある時、その範囲を指定して表示することができ、ナビゲーション装置ではその範囲に存在する施設にはどのようなものがあるかを容易に知ることがでる。
【0100】
更に、指定した範囲は危険であるから通らないルートを探索する、等のナビゲーション装置に於ける処理にも用いることができる。同様に、例えば首都圏の所定範囲は道路が混雑しているので、この所定の範囲を指定して、その範囲を通らずに通過できるルートを探索する、等にも有効に用いることができる。
【0101】
本発明においては
図1の前記のような方向距離マークを利用して、地図を表示させるのではなく、方向距離マーク上に各種のPOIを表示させるPOI表示モードを行うことができるが、その処理は
図9に示している。即ち、
図9に示すPOI表示モードの例においては、同図(a)に示すような作動フローによって処理を行い、それにより同図(b)に示すようなPOI表示を行う例を示している。
【0102】
即ち
図9(a)の方向距離マークを利用したPOI表示モード処理を行う例においては、最初に、検索して表示するPOIの最大距離を設定するか否かを判別している。ここにおいては、このモードの使用態様は多くの場合、特定の観光地等において、その周辺に存在する名所旧跡等を探索する時に用いることが多いため、徒歩で行ける範囲を探す時のように、遠方の施設等の表示は必要ないと思われる場合が存在し、例えば最大で5km以内のPOIを表示するのみで良いと思われる時には、ステップS31で最大距離の設定をする判別を行い、ステップS32に進む。
【0103】
ステップS32では、前記のように例えば5kmのように設定した最大距離に対応した、方向距離マークを表示する。次いでステップS33において、設定した最大距離範囲、或いはそれよりもわずかであるならばその外側を含めたPOIを検索する。その後このようにして検索したPOIを、現在表示している方向距離マークの対応する位置に、それぞれの名称等と共に表示する。
【0104】
また、前記ステップS31において、検索して表示するPOIの最大距離を設定するか否かの判別で、特に設定の必要はなく、周辺の広い範囲で名所旧跡等があれば知りたいと思うような場合は、特に指定することなく、遠方のPOIは最大外径の距離円外に適宜表示するものとして、ステップS35に進む。
【0105】
ステップS35においては、前記のように遠方のPOIも表示できる程度の所定スケールの方向距離マークを表示し、その後この方向距離マークに表示できる程度の広さにおけるPOIを検索し、その後ステップS34に進んで前記と同様に、検索したPOIを方向距離マーク内の対応する位置にそれぞれ表示する。
【0106】
前記のような処理を行う結果、このPOI表示モードにおいては、例えば
図9(b)に示すように、背景に表示される地図とは基準点以外は関係なく、検索したPOIを画面上に表示させることができる。したがって、この時には背景となる地図は薄く表示する等によって、方向距離マークに対応して表示されるPOIが見やすくなるような表示を行うことが好ましい。
【0107】
POI表示モードにおいては、
図9(a)のような処理によって同図(b)に示すような表示を行うことができるが、この表示に於いて、利用者がいずれかのPOIにタッチした時、そのPOIの説明を地図データベース等から取り込み、それを表示するようにしても良い。更にそのPOIを指示することにより、そのPOIが存在する周辺の地図を表示するようにしても良く、更にそれを目的地に設定して、ナビゲーション装置で経路の探索を行うようにしても良い。
【0108】
本発明は前記のように、方向距離マークを利用して、第1にワンタッチで所定の位置にスキップした地図を表示することができ、その方向距離マークを用いて前記各種のモードを行うことも可能となり、極めて有用な地図表示を行うことが可能となる。