特許第5766125号(P5766125)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5766125多層ポリイミドフィルム及びそれを用いたフレキシブル金属張積層板
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5766125
(24)【登録日】2015年6月26日
(45)【発行日】2015年8月19日
(54)【発明の名称】多層ポリイミドフィルム及びそれを用いたフレキシブル金属張積層板
(51)【国際特許分類】
   B32B 27/34 20060101AFI20150730BHJP
   B32B 15/08 20060101ALI20150730BHJP
   C08G 73/10 20060101ALI20150730BHJP
   H05K 1/03 20060101ALI20150730BHJP
【FI】
   B32B27/34
   B32B15/08 Q
   B32B15/08 J
   C08G73/10
   H05K1/03 610N
   H05K1/03 670A
【請求項の数】9
【全頁数】21
(21)【出願番号】特願2011-549997(P2011-549997)
(86)(22)【出願日】2011年1月13日
(86)【国際出願番号】JP2011050420
(87)【国際公開番号】WO2011087044
(87)【国際公開日】20110721
【審査請求日】2013年12月2日
(31)【優先権主張番号】特願2010-8294(P2010-8294)
(32)【優先日】2010年1月18日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000000941
【氏名又は名称】株式会社カネカ
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】特許業務法人HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】松谷 晃男
(72)【発明者】
【氏名】近藤 康孝
(72)【発明者】
【氏名】藤本 省吾
(72)【発明者】
【氏名】松久保 慎治
(72)【発明者】
【氏名】金城 永泰
【審査官】 横島 隆裕
(56)【参考文献】
【文献】 特開2002−316386(JP,A)
【文献】 特開2001−270035(JP,A)
【文献】 特開2005−205806(JP,A)
【文献】 特開平09−001723(JP,A)
【文献】 特開2002−265894(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B32B 1/00−43/00
C08G 73/10
H05K 1/03
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
非熱可塑性ポリイミド層の少なくとも一方に熱可塑性ポリイミド層を有する多層ポリイミドフィルムであって、熱可塑性ポリイミドを構成する酸二無水物単量体とジアミン単量体の合計モル数の60%以上が、非熱可塑性ポリイミドを構成する酸二無水物単量体とジアミン単量体のそれぞれ少なくとも1種の単量体と同じであることを特徴とする多層ポリイミドフィルム。
【請求項2】
熱可塑性ポリイミドを構成する酸二無水物単量体とジアミン単量体の合計モル数の80%以上が、非熱可塑性ポリイミドを構成する酸二無水物単量体とジアミン単量体のそれぞれ少なくとも1種の単量体と同じであることを特徴とする請求項1記載の多層ポリイミドフィルム。
【請求項3】
上記熱可塑性ポリイミドを構成する酸二無水物単量体は、ピロメリット酸二無水物、3,3´,4,4´−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、および3,3´,4,4´−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物からなる群より選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする請求項1又は2に記載の多層ポリイミドフィルム。
【請求項4】
上記熱可塑性ポリイミドを構成するジアミン単量体は、4,4´−ジアミノジフェニルエーテル、または2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパンであることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の多層ポリイミドフィルム。
【請求項5】
上記熱可塑性ポリイミドを構成する酸二無水物単量体が、ピロメリット酸二無水物と3,3´,4,4´−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物とであり、上記熱可塑性ポリイミドを構成するジアミン単量体が、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパンであることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の多層ポリイミドフィルム。
【請求項6】
上記熱可塑性ポリイミドを構成する酸二無水物単量体である、ピロメリット酸二無水物と3,3´,4,4´−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物の比率が、70/30〜95/5であることを特徴とする請求項5に記載の多層ポリイミドフィルム。
【請求項7】
上記熱可塑性ポリイミドを構成する酸二無水物単量体が、ピロメリット酸二無水物であり、上記熱可塑性ポリイミドを構成するジアミン単量体が、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパンであることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の多層ポリイミドフィルム。
【請求項8】
多層共押出によって製造することを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載の多層ポリイミドフィルム。
【請求項9】
請求項1〜8のいずれか1項に記載の多層ポリイミドフィルムに金属箔を貼り合わせて得られることを特徴とするフレキシブル金属張積層板。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フレキシブルプリント配線板に好適に使用できる多層ポリイミドフィルムおよびフレキシブル金属張積層板に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、エレクトロニクス製品の軽量化、小型化、高密度化にともない、各種プリント基板の需要が伸びているが、中でも、フレキシブル積層板(フレキシブルプリント配線板(FPC)等とも称する)の需要が特に伸びている。フレキシブル積層板は、ポリイミドフィルム等の絶縁性フィルム上に金属層からなる回路が形成された構造を有している。
【0003】
上記フレキシブルプリント配線板の元になるフレキシブル金属張積層板は、一般に、各種絶縁材料により形成され、柔軟性を有する絶縁性フィルムを基板とし、この基板の表面に、各種接着材料を介して金属箔を加熱・圧着することにより貼り合わせる方法により製造される。上記絶縁性フィルムとしては、ポリイミドフィルム等が好ましく用いられる。上記接着材料としては、エポキシ系、アクリル系等の熱硬化性接着剤が一般的に用いられている。
【0004】
熱硬化性接着剤は、比較的低温での接着が可能であるという利点があるが、耐熱性、屈曲性、電気的信頼性といった要求特性が厳しくなるに従い、熱硬化性接着剤を用いた三層FPCでは対応が困難になると考えられる。このため、絶縁性フィルムに直接金属層を設けたり、接着層に熱可塑性ポリイミドを使用した二層FPCが提案されている。この二層FPCは、三層FPCよりも優れた特性を有し、今後需要が伸びていくと期待される。
【0005】
多層ポリイミドフィルムの製造方法として、予め製造しておいたポリイミドフィルムに、熱可塑性ポリアミド酸溶液を塗布・乾燥した後、高温加熱にて多層ポリイミドフィルムを製造する方法(特許文献1参照)、金属箔の上に、ポリアミド酸溶液を塗布・乾燥することを複数回繰り返した後、高温加熱にて多層ポリイミドフィルムを製造する方法(以下、溶液キャスト法)(特許文献2、4参照)、多層押出により、同時に多層ポリアミド酸をドラム、エンドレスベルト等の支持体に塗布・乾燥した後、ゲルフィルムを支持体から剥がし、高温加熱にて多層ポリイミドフィルムを製造する方法がある(以下、多層押出法)(特許文献3参照)。
【0006】
溶液キャスト法と多層押出法のいずれも、高温加熱させる際、内部層から溶剤や水等が最外層を通過する。しかし、内部層から溶剤や水等の排出する速度が、最外層を通過する速度よりも速い場合、内部層と最外層の間に、溶剤や水等が溜まり、層の間で剥がれる又は白濁(白色化)することがあった。
【0007】
従って、市場からは、層間の剥がれや、層間での白濁(白色化、以下、本明細書において、「白化」と称することがある。)が生じにくい多層ポリイミドフィルムが望まれている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】日本国公開特許公報「特開平8−197695号(1996年8月6日公開)」
【特許文献2】日本国特許公報「特許第2746555号(1998年5月6日発行)」
【特許文献3】日本国公開特許公報「特開2006−297821号(2006年11月2日公開)」
【特許文献4】日本国公開特許公報「特開2006−321229号(2006年11月30日公開)」
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、上記の課題に鑑みてなされたものであって、その目的は、高温加熱させる際に生じる層間の剥がれ、又は層間の白濁(白色化)が少ない多層ポリイミドフィルム及びそれを用いたフレキシブル金属張積層板を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明者らは、上記の課題に鑑み鋭意検討した結果、本発明に至った。
【0011】
すなわち本発明は、非熱可塑性ポリイミド層の少なくとも一方に熱可塑性ポリイミド層を有する多層ポリイミドフィルムであって、熱可塑性ポリイミドを構成する酸二無水物単量体とジアミン単量体の合計モル数の60%以上が、非熱可塑性ポリイミドを構成する酸二無水物単量体とジアミン単量体のそれぞれ少なくとも1種の単量体と同じであることを特徴とする多層ポリイミドフィルムに関する。
【発明の効果】
【0012】
本発明により、高温加熱させる際に生じる層間の剥がれ、又は層間の白濁(白色化)が少ない多層ポリイミドフィルム及びそれを用いたフレキシブル金属張積層板を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明の実施の一形態について、以下に説明する。
【0014】
非熱可塑性ポリイミド層の少なくとも一方に熱可塑性ポリイミド層を有する多層ポリイミドフィルムであって、熱可塑性ポリイミドを構成する酸二無水物単量体及びジアミン単量体の合計モル数の60%以上が非熱可塑性ポリイミドを構成する酸二無水物単量体とジアミン単量体のそれぞれ少なくとも1種の単量体と同じである多層ポリイミドフィルムに関する。熱可塑性ポリイミドで用いられる酸二無水物及びジアミンを基準にし、非熱可塑性ポリイミドで用いられている酸二無水物及びジアミンの割合を算出する。算出する方法は、熱可塑性ポリイミドで用いる酸二無水物及びジアミンの総モル数を算出する(総モル数)。次に、熱可塑性ポリイミドを構成する酸二無水物及びジアミンであって、非熱可塑性ポリイミドで用いる酸二無水物及びジアミンのモル数を算出する(同種モル数)。最後に、(同種モル数)/(総モル数)で、熱可塑性ポリイミドで用いられる酸二無水物及びジアミンを基準にし、非熱可塑性ポリイミドで用いられている酸二無水物及びジアミンの割合を算出する。
【0015】
熱可塑性ポリイミドを構成する酸二無水物単量体とジアミン単量体の合計モル数の60%以上、より好ましくは70%以上、さらに好ましくは80%以上が、非熱可塑性ポリイミドを構成する酸二無水物単量体とジアミン単量体のそれぞれ少なくとも1種の単量体と同じである。
【0016】
多層ポリイミドフィルムの製造方法として、[1]予め製造しておいたポリイミドフィルムに、熱可塑性ポリアミド酸溶液を塗布・乾燥した後、高温加熱にて多層ポリイミドフィルムを製造する方法、[2]金属箔の上に、ポリアミド酸溶液を塗布・乾燥することを複数回繰り返した後、高温加熱にて多層ポリイミドフィルムを製造する方法(以下、溶液キャスト法)、[3]多層押出により、同時に多層ポリアミド酸をドラム、エンドレスベルト等の支持体に塗布・乾燥した後、ゲルフィルムを支持体から剥がし、高温加熱にて多層ポリイミドフィルムを製造する方法がある(以下、多層押出法)。ここでの高温加熱とは、80℃以上の加熱のことを言う。
【0017】
溶液キャスト法と多層押出法のいずれも、高温加熱させる際、内部層から溶剤や水等が最外層を通過する。しかし、内部層から溶剤や水等の排出する速度が、溶剤や水等が最外層を通過する速度よりも極端に速い場合、内部層と最外層の間に、溶剤、水等が溜まり、層の間で剥がれる又は白濁(白色化)することがあった。また、内部層のイミド化速度が最外層よりも極端に速いと、内部層と最外層の密着性が低下し、層の間で剥がれる又は白濁(白色化)することがあった。非熱可塑性ポリイミド層と熱可塑性ポリイミド層に用いる酸二無水物とジアミンが、同じものである割合が高いほど、最外層では、内部層から排出された溶剤や水等が同程度に排出されやすく、また、同様の構造であるため、最外層と内部層との密着性が向上することが分かった。特に、多層押出法では、内部層からの溶剤や水等の排出量が多いため、上記問題が顕著に現れることが多かった。
【0018】
本発明者らは、上記の課題に鑑み鋭意検討した結果、非熱可塑性ポリイミド層の少なくとも一方に熱可塑性ポリイミド層を有する多層ポリイミドフィルムであって、熱可塑性ポリイミドを構成する酸二無水物単量体及びジアミン単量体の合計モル数の60%以上が非熱可塑性ポリイミドを構成する酸二無水物単量体とジアミン単量体のそれぞれ少なくとも1種の単量体と同じであることを特徴とする多層ポリイミドフィルムにより、高温加熱させる際に生じる層間の剥がれ、又は層間の白濁(白色化)が少なくなることを見出し、本発明に至った。
【0019】
多層ポリイミドフィルムの非熱可塑性ポリイミド層及び熱可塑性ポリイミド層で用いる芳香族酸二無水物は、特に限定されないが、ピロメリット酸二無水物、2,3,6,7−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、3,3´,4,4´−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、1,2,5,6−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、2,2´,3,3´−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、2,2−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)プロパン二無水物、3,4,9,10−ペリレンテトラカルボン酸二無水物、1,1−ビス(2,3−ジカルボキシフェニル)エタン二無水物、1,1−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)エタン二無水物、ビス(2,3−ジカルボキシフェニル)メタン二無水物、オキシジフタル酸二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)スルホン二無水物、p−フェニレンビス(トリメリット酸モノエステル酸無水物)、エチレンビス(トリメリット酸モノエステル酸無水物)、ビスフェノールAビス(トリメリット酸モノエステル酸無水物)及びそれらの誘導体を含み、これらを単独で、または任意の割合で混合した混合物を好ましく用いることができる。中でも、熱可塑性ポリイミドを構成する酸二無水物単量体は、ピロメリット酸二無水物、3,3´,4,4´−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、および3,3´,4,4´−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物からなる群より選ばれる少なくとも1種の酸二無水物であることが好ましく、ピロメリット酸二無水物、および3,3´4,4´−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物の少なくともいずれかを用いることが、熱ロールラミネートによる金属張積層体の製造のしやすさと、金属張積層体の金属層と多層ポリイミドフィルムの引き剥がし強度とのバランスがとれる面で特に好ましい。
【0020】
多層ポリイミドフィルムの非熱可塑性ポリイミド層及び熱可塑性ポリイミド層で用いる芳香族ジアミンは、特に限定されないが、4,4´−ジアミノジフェニルエーテル、3,4´−ジアミノジフェニルエーテル、1,3−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,4−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、p−フェニレンジアミン、4,4´−ジアミノジフェニルプロパン、4,4´−ジアミノジフェニルメタン、ベンジジン、3,3’−ジクロロベンジジン、4,4´−ジアミノジフェニルスルフィド、3,3´−ジアミノジフェニルスルホン、4,4´−ジアミノジフェニルスルホン、4,4´−ジアミノジフェニルエーテル、3,3´−ジアミノジフェニルエーテル、3,4´−ジアミノジフェニルエーテル、1,5−ジアミノナフタレン、4,4´−ジアミノジフェニルジエチルシラン、4,4’−ジアミノジフェニルシラン、4,4´−ジアミノジフェニルエチルホスフィンオキシド、4,4´−ジアミノジフェニルN−メチルアミン、4,4´−ジアミノジフェニル N−フェニルアミン、1,4−ジアミノベンゼン(p−フェニレンジアミン)、1,3−ジアミノベンゼン、1,2−ジアミノベンゼン、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン及びそれらの誘導体などが挙げられ、これらを単独で、または任意の割合で混合した混合物を好ましく用いることができる。中でも、熱可塑性ポリイミドを構成するジアミン単量体は、4,4´−ジアミノジフェニルエーテル、または2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパンであることが好ましい。
【0021】
本発明において熱可塑性ポリイミドを構成する酸二無水物が、ピロメリット酸二無水物であり、熱可塑性ポリイミドを構成するジアミンが、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパンであることが、吸湿状態での半田作業時の膨れを抑制できる点で特に好ましい。
【0022】
また、熱可塑性ポリイミドを構成する酸二無水物としては、金属張積層板加工後の金属箔引き剥がし強度が高い点で、3,3´,4,4´−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物を用いることが好ましい。
【0023】
さらには、熱可塑性ポリイミドを構成する酸二無水物として、ピロメリット酸二無水物と、3,3´,4,4´−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物とを併用することがより好ましい。これにより、金属箔引き剥がし強度と半田耐熱性を両立させることができる。上記熱可塑性ポリイミドを構成する酸二無水物単量体が、ピロメリット酸二無水物と3,3´,4,4´−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物とである場合において、上記熱可塑性ポリイミドを構成するジアミン単量体は特に限定されるものではないが、例えば、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパンであることが好ましい。
【0024】
熱可塑性ポリイミドを構成する酸二無水物として、ピロメリット酸二無水物と、3,3´,4,4´−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物とを併用する場合、特に金属箔引き剥がし強度と半田耐熱性を好適に両立させる点から、ピロメリット酸二無水物と3,3´,4,4´−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物の比率が、モル比で、70/30〜95/5であることがより好ましく、75/25〜95/5であることがさらに好ましい。
【0025】
本発明においてポリアミド酸を合成するための好ましい溶媒は、ポリアミド酸を溶解する溶媒であればいかなるものも用いることができるが、アミド系溶媒、すなわちN,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドンなどを例示することができる。中でも、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミドを特に好ましく用いることができる。
【0026】
本発明における非熱可塑性ポリイミドとは、一般に加熱しても軟化、接着性を示さないポリイミドをいう。本発明では、フィルムの状態で380℃、2分間加熱を行い、シワが入ったり伸びたりせず、形状を保持しているポリイミド、若しくは実質的にガラス転移温度を有しないポリイミドをいう。
【0027】
また、熱可塑性ポリイミドとは、一般的にDSC(示差走査熱量測定)で、ガラス転移温度を有するポリイミドをいう。本発明における熱可塑性ポリイミドは、前記ガラス転移温度が、150℃〜350℃であるものをいう。
【0028】
本発明において非熱可塑性ポリアミド酸の重合にはいかなるモノマーの添加方法を用いても良い。代表的な重合方法として、次のような方法が挙げられる。すなわち、
1)芳香族ジアミンを有機極性溶媒中に溶解し、これと実質的に等モルの芳香族テトラカルボン酸二無水物を反応させて重合する方法、
2)芳香族テトラカルボン酸二無水物とこれに対し過小モル量の芳香族ジアミン化合物とを有機極性溶媒中で反応させ、両末端に酸無水物基を有するプレポリマーを得る。続いて、全工程において芳香族テトラカルボン酸二無水物と芳香族ジアミン化合物が実質的に等モルとなるように芳香族ジアミン化合物を用いて重合させる方法、
3)芳香族テトラカルボン酸二無水物とこれに対し過剰モル量の芳香族ジアミン化合物とを有機極性溶媒中で反応させ、両末端にアミノ基を有するプレポリマーを得る。続いてここに芳香族ジアミン化合物を追加添加後、全工程において芳香族テトラカルボン酸二無水物と芳香族ジアミン化合物が実質的に等モルとなるように芳香族テトラカルボン酸二無水物を用いて重合する方法、
4)芳香族テトラカルボン酸二無水物を有機極性溶媒中に溶解および/または分散させた後、実質的に等モルとなるように芳香族ジアミン化合物を用いて重合させる方法、
5)実質的に等モルの芳香族テトラカルボン酸二無水物と芳香族ジアミンの混合物を有機極性溶媒中で反応させて重合する方法、などのような方法である。これらの方法を単独で用いても良いし、部分的に組み合わせて用いることもできる。
【0029】
中でも、非熱可塑性ポリアミド酸は、下記の工程(a)〜(c):
(a)芳香族酸二無水物と、これに対し過剰モル量の芳香族ジアミンとを有機極性溶媒中で反応させ、両末端にアミノ基を有するプレポリマーを得る、
(b)続いて、ここに芳香族ジアミンを追加添加する、
(c)更に、全工程における芳香族酸二無水物と芳香族ジアミンが実質的に等モルとなるように芳香族酸二無水物を添加して重合する、
を経ることによって得られることが好ましい。
【0030】
前記方法で得られたポリアミド酸が、イミド化され、多層ポリイミドフィルムが得られる。
【0031】
熱可塑性ポリイミドの製造に用いる熱可塑性ポリアミド酸の製造方法は、(a)芳香族酸二無水物と、これに対して過剰モル量の芳香族ジアミンとを有機極性中で反応させ、両末端にアミノ基を有するプレポリマーを得る工程、(b)続いて、全工程における芳香族酸二無水物と芳香族ジアミンの比が、決めた比になるように、芳香族酸二無水物を添加して重合することが好ましい。(b)で、芳香族酸二無水物を添加する方法として、粉末を投入する方法、予め酸二無水物を有機極性溶媒に溶解した酸溶液を投入する方法等があるが、反応が均一に進行しやすい面で、酸溶液を投入する方法が好ましい。
【0032】
非熱可塑性ポリアミド酸および熱可塑性ポリアミド酸の重合時の固形成分濃度は、10〜30重量%であることが好ましい。固形成分濃度は、重合速度、重合粘度で決めることができる。重合粘度は、熱可塑性ポリイミドのポリアミド酸溶液を、支持体フィルムに塗工する場合、又は非熱可塑性ポリイミドと共押出する場合に合わせて設定することができるが、塗工する場合、例えば、固形成分濃度14重量%において重合粘度は100poise以下であることが好ましい。また、共押出する場合、例えば、固形成分濃度14重量%において重合粘度が100poise〜1200poiseであることが好ましく、150poise〜800poiseであることが、得られる多層ポリイミドフィルムの膜厚を均一にできることでより好ましい。前記で説明した芳香族酸二無水物と芳香族ジアミンは、多層ポリイミドフィルムの特性及び生産性を考慮し、順番を変更して用いることができる。
【0033】
また、非熱可塑性ポリアミド酸および熱可塑性ポリアミド酸には、摺動性、熱伝導性、導電性、耐コロナ性等のフィルムの諸特性を改善する目的でフィラーを添加することもできる。フィラーとしては特に制限されないが、好ましい例としてはシリカ、酸化チタン、アルミナ、窒化珪素、窒化ホウ素、リン酸水素カルシウム、リン酸カルシウム、雲母などが挙げられる。
【0034】
フィラーの粒子径は改質すべきフィルム特性と添加するフィラーの種類によって決定されるため、特に限定されるものではないが、一般的には平均粒径が0.05〜20μm、好ましくは0.1〜10μm、更に好ましくは0.1〜7μm、特に好ましくは0.1〜5μmである。粒子径がこの範囲を下回ると改質効果が現れにくくなり、この範囲を上回ると表面性を大きく損なったり、機械的特性が大きく低下したりする可能性がある。また、フィラーの添加部数についても改質すべきフィルム特性やフィラー粒子径などにより決定されるため特に限定されるものではない。一般的にフィラーの添加量はポリイミド100重量部に対して0.01〜50重量部、好ましくは0.01〜20重量部、更に好ましくは0.02〜10重量部である。フィラー添加量がこの範囲を下回るとフィラーによる改質効果が現れにくく、この範囲を上回るとフィルムの機械的特性が大きく損なわれる可能性がある。
【0035】
フィラーの添加は、例えば、
(1)重合前または途中に重合反応液に添加する方法
(2)重合完了後、3本ロールなどを用いてフィラーを混錬する方法
(3)フィラーを含む分散液を用意し、これをポリアミド酸有機溶媒溶液に混合する方法
(4)ビーズミル等により分散する方法
などいかなる方法を用いてもよいが、フィラーを含む分散液をポリアミド酸溶液に混合する方法、特に製膜直前に混合する方法が、製造ラインのフィラーによる汚染が最も少なくてすむため、好ましい。
【0036】
フィラーを含む分散液を用意する場合、ポリアミド酸の重合溶媒と同じ溶媒を用いるのが好ましい。また、フィラーを良好に分散させ、また分散状態を安定化させるために、分散剤、増粘剤等をフィルム物性に影響を及ぼさない範囲内で用いることもできる。
【0037】
フィルムの摺動性改善のために添加する場合、粒子径は0.1〜10μm、好ましくは0.1〜5μmである。粒子径がこの範囲を下回ると摺動性改善の効果が発現しにくく、この範囲を上回ると高精細な配線パターンを作成し難くなる傾向にある。またさらにこの場合、フィラーの分散状態も重要であり、20μm以上のフィラーの凝集物が50個/m以下、好ましくは40個/m以下である。20μm以上のフィラー凝集物がこの範囲よりも多いと、接着剤塗工時にはじきの原因となったり、高精細配線パターンを作成したときに接着面積の減少をきたしてフレキシブルプリント基板そのものの絶縁信頼性を落とす傾向にある。
【0038】
本発明においては、少なくとも熱可塑性ポリイミドおよび/または熱可塑性ポリイミドの前駆体を含む溶液層(a)、非熱可塑性ポリイミド前駆体を含む溶液層(b)を含む多層膜を得ることが重要である。溶液層が積層された状態を形成しうる方法であれば、どのような方法を採用してもかまわないが、溶液(a)および溶液(b)を用いて、溶液キャスト法、多層押出法(共押出−流延塗布法)などの方法で、ポリイミド前駆体の多層膜を得ればよい。
【0039】
以下に、多層共押出により支持体上に流延する工程を含む共押出−流延塗布法について説明する。多層共押出とは、ポリアミド酸溶液を二層以上の多層ダイへ同時に供給し、前記ダイの吐出口から少なくとも二層以上の薄膜状体として支持体上に押出す工程を含むフィルムの製造方法である。
【0040】
一般的に用いられる方法について説明すると、二層以上の多層ダイから押出された前記の溶液を、平滑な支持体上に連続的に押し出し、次いで、前記支持体上の多層の薄膜状体の溶媒の少なくとも一部を揮散せしめることで、自己支持性を有する多層膜を得る。支持体上の塗膜を最高温度が100〜200℃で加熱することが好ましい。
【0041】
さらに、当該多層膜を前記支持体上から剥離し、最後に、当該多層膜を高温(250−600℃)で充分に加熱処理することによって、溶媒を実質的に除去すると共にイミド化を進行させることで多層ポリイミドフィルムを得ることができる。支持体から引き剥がした多層膜は、ポリアミド酸からポリイミドへの硬化の中間段階にあり、自己支持性を有し、式(1)
(A−B)×100/B・・・・(1)
式(1)中
A,Bは以下のものを表す。
A:多層膜の重量
B:多層膜を450℃で20分間加熱した後の重量
から算出される揮発分含量は5〜200重量%の範囲、好ましくは10〜100重量%、より好ましくは30〜80重量%の範囲にある。この範囲のフィルムを用いることが好適であり、この範囲内では、焼成過程でフィルム破断、乾燥ムラによるフィルムの色調ムラ、特性ばらつき等の不具合が起こりにくい。また、接着層の熔融流動性を改善する目的で、意図的にイミド化率を低くする及び/又は溶媒を残留させてもよい。
【0042】
本発明において、支持体とは、多層ダイから押出された多層液膜を、その上に流延するためのもので、当該支持体上で多層液膜を加熱乾燥せしめ、自己支持性を付与するものである。該支持体の形状は特に問わないが、接着フィルムの生産性を考慮すると、ドラム状若しくはベルト状であることが好ましい。また、該支持体の材質も特に問わず、金属、プラスチック、ガラス、磁器などが挙げられ、好ましくは金属であり、更に好ましくは耐腐食性に優れるSUS材である。また、Cr、Ni、Snなどの金属メッキをしても良い。
【0043】
一般的にポリイミドは、ポリイミドの前駆体、即ちポリアミド酸からの脱水転化反応により得られ、当該転化反応を行う方法としては、熱によってのみ行う熱キュア法と、化学脱水剤(以下、本明細書において、単に「脱水剤」と称することがある。)を使用する化学キュア法の2法が最も広く知られている。しかしながら、生産性に優れていることから、化学キュア法の採用がより好ましい。
【0044】
ここで、化学硬化剤(以下、本明細書において、単に「硬化剤」と称することがある。)とは、脱水剤及び触媒を含むものである。ここでいう脱水剤とは、ポリアミック酸に対する脱水閉環剤であり、その主成分として、脂肪族酸無水物、芳香族酸無水物、N,N′−ジアルキルカルボジイミド、低級脂肪族ハロゲン化物、ハロゲン化低級脂肪族酸無水物、アリールスルホン酸ジハロゲン化物、チオニルハロゲン化物またはそれら2種以上の混合物を好ましく用いることができる。その中でも特に、脂肪族酸無水物及び芳香族酸無水物が良好に作用する。また、触媒とは脱水剤のポリアミック酸に対する脱水閉環作用を促進する効果を有する成分であり、例えば、脂肪族3級アミン、芳香族3級アミン、複素環式3級アミンを用いることができる。そのうち、イミダゾ−ル、ベンズイミダゾ−ル、イソキノリン、キノリン、またはβ−ピコリンなどの含窒素複素環化合物であることがより好ましい。さらに、脱水剤及び触媒からなる溶液中に、有機極性溶媒を導入することも適宜選択されうる。
【0045】
化学キュア法を採用する場合、溶液(a)、溶液(b)の少なくとも一つの溶液に脱水剤及び触媒を含有させることが好ましい。この中でも溶液(b)に脱水剤及び触媒を含有させることがより好ましい。溶液(a)に脱水剤及び触媒を含有させると、場合によっては熱可塑性ポリイミドを含む接着層の特性が十分生かしきれないこともあるが、溶液(a)に用いることを排除するものではない。また、溶液(b)にのみ脱水剤及び触媒を含有させることがさらに好ましい。一つの溶液層にのみ脱水剤及び触媒を含有させる方法は、生産設備の簡略化につながり好ましいが、溶液(b)に脱水剤及び触媒を含有させることにより、得られる多層ポリイミドフィルムに十分な特性を与えることが本発明者らの検討によって見出された。従って、溶液(b)にのみ脱水剤及び触媒を含有させることが最も好ましい。
【0046】
化学脱水剤の含有量は、化学脱水剤及び触媒を含有せしめる溶液に含まれるポリアミド酸中のアミド酸ユニット1モルに対して、0.5〜4.0モルが好ましく、1.0〜3.0モル、さらには1.2〜2.5モルが特に好ましい。
【0047】
同様の理由で、触媒の含有量は、化学脱水剤及び触媒を含有せしめる溶液に含まれるポリアミド酸中のアミド酸ユニット1モルに対して、0.05〜2.0モルが好ましく、0.05〜1.0モル、さらには0.3〜0.8モルが特に好ましい。
【0048】
また、脱水剤と触媒をポリアミド酸に混合するタイミングは、多層ダイに投入する直前が、均一な厚みの多層ポリイミドフィルムを得る点で好ましい。
【0049】
多層ダイから押出された少なくとも三層、または少なくとも二層の薄膜状体中の溶媒の揮散方法に関しては特に限定されないが、加熱かつ/または送風による方法が最も簡易な方法である。上記加熱の際の温度は、高すぎると溶媒が急激に揮散し、当該揮散の痕が最終的に得られる接着フィルム中に微小欠陥を形成せしめる要因となるため、用いる溶媒の沸点+50℃未満であることが好ましい。
【0050】
イミド化時間に関しては、実質的にイミド化および乾燥が完結するに十分な時間を取ればよく、一義的に限定されるものではないが、一般的には、化学キュア法を採用する場合、1〜600秒程度、熱キュア法を採用する場合、60〜1800秒の範囲で適宜設定される。
【0051】
イミド化する際にかける張力としては、1kg/m〜15kg/mの範囲内とすることが好ましく、5kg/m〜10kg/mの範囲内とすることが特に好ましい。張力が上記範囲より小さい場合、フィルム搬送時にたるみや蛇行が生じ、巻取り時にシワが入ったり、均一に巻き取れない等の問題が生じる可能性がある。逆に上記範囲よりも大きい場合、強い張力がかかった状態で高温加熱されるため、金属張積層板用基材を用いて作製される金属張積層板の寸法特性が悪化することがある。
【0052】
上記の多層ダイとしては各種構造のものが使用できるが、例えば複数層用フィルム作成用のTダイス等が使用できる。また、従来既知のあらゆる構造のものを好適に使用可能であるが、特に好適に使用可能なものとして、フィードブロックTダイやマルチマニホールドTダイが例示される。
【0053】
本発明にかかるフレキシブル金属張積層板の製造方法について説明すると、以下の通りであるが、これに限定されるものでない。
【0054】
本発明にかかるフレキシブル金属張積層板の製造方法は、上記多層ポリイミドフィルムに金属箔を貼り合わせる工程を含むことが好ましい。フレキシブル金属積層板で用いられる銅箔としては、厚みが1〜25μmの銅箔を用いることができ、圧延銅箔、電解銅箔のどちらを用いても良い。
【0055】
多層ポリイミドフィルムと金属箔の貼り合わせ方法としては、例えば、一対以上の金属ロールを有する熱ロールラミネート装置、またはダブルベルトプレス(DBP)による連続処理を用いることができる。中でも、装置構成が単純であり保守コストの面で有利であるという点から、一対以上の金属ロールを有する熱ロールラミネート装置を用いることが好ましい。
【0056】
ここでいう「一対以上の金属ロールを有する熱ロールラミネート装置」とは、材料を加熱加圧するための金属ロールを有している装置であればよく、その具体的な装置構成は特に限定されるものではない。
【0057】
なお、多層ポリイミドフィルムと金属箔とを熱ラミネートにより貼り合わせる工程を、以下、「熱ラミネート工程」と称する。
【0058】
上記熱ラミネートを実施する手段(以下、本明細書において、「熱ラミネート手段」と称することがある。)の具体的な構成は特に限定されるものではないが、得られる積層板の外観を良好なものとするために、加圧面と金属箔との間に保護材料を配置することが好ましい。
【0059】
上記保護材料としては、熱ラミネート工程の加熱温度に耐えうる材料、例えば、非熱可塑性ポリイミドフィルム等の耐熱性プラスチック、銅箔、アルミニウム箔、SUS箔等の金属箔等が挙げられる。中でも、耐熱性、再使用性等のバランスが優れる点から、非熱可塑性ポリイミドフィルム、もしくは、ガラス転移温度(Tg)がラミネート温度よりも50℃以上高い熱可塑性ポリイミドからなるフィルムが好ましく用いられる。熱可塑性ポリイミドを使用する場合、上記の条件を満たすものを選択することによって、熱可塑性ポリイミドのロールへの付着を防ぐことができる。
【0060】
また、保護材料の厚みが薄いと、ラミネート時の緩衝並びに保護の役目を十分に果たさなくなるため、非熱可塑性ポリイミドフィルムの厚みは75μm以上であることが好ましい。
【0061】
また、この保護材料は、必ずしも1層である必要はなく、異なる特性を有する2層以上の多層構造でもよい。
【0062】
また、ラミネート温度が高温の場合、保護材料をそのままラミネートに用いると、急激な熱膨張により、得られるフレキシブル金属張積層板の外観や寸法安定性が充分でない場合がある。従って、ラミネート前に、保護材料に予備加熱を施すことが好ましい。このように、保護材料の予備加熱を行った後、ラミネートする場合、保護材料の熱膨張が終了しているため、フレキシブル金属張積層板の外観や寸法特性に影響を与えることが抑制される。
【0063】
予備加熱の手段としては、保護材料を加熱ロールに抱かせるなどして接触させる方法が挙げられる。接触時間としては、1秒間以上が好ましく、3秒間以上がさらに好ましい。接触時間が上記よりも短い場合、保護材料の熱膨張が終了しないままラミネートが行われるため、ラミネート時に保護材料の急激な熱膨張が起こり、得られるフレキシブル金属張積層板の外観や寸法特性が悪化することがある。保護材料を加熱ロールに抱かせる距離については、特に限定されず、加熱ロールの径と上記接触時間から適宜調整すればよい。
【0064】
上記熱ラミネート手段における被積層材料の加熱方式は、特に限定されるものではなく、例えば、熱循環方式、熱風加熱方式、誘導加熱方式等、所定の温度で加熱しうる従来公知の方式を採用した加熱手段を用いることができる。同様に、上記熱ラミネート手段における被積層材料の加圧方式も、特に限定されるものではなく、例えば、油圧方式、空気圧方式、ギャップ間圧力方式等、所定の圧力を加えることができる従来公知の方式を採用した加圧手段を用いることができる。
【0065】
上記熱ラミネート工程における加熱温度、すなわちラミネート温度は、多層ポリイミドフィルムのガラス転移温度(Tg)+50℃以上の温度であることが好ましく、多層ポリイミドフィルムのTg+100℃以上がより好ましい。Tg+50℃以上の温度であれば、多層ポリイミドフィルムと金属箔とを良好に熱ラミネートすることができる。また、Tg+100℃以上であれば、ラミネート速度を上昇させてその生産性をより向上させることができる。
【0066】
特に、本発明の多層ポリイミドフィルムのコアとして使用しているポリイミドフィルムは、Tg+100℃以上でラミネートを行った場合に、熱応力の緩和が有効に作用するように設計しているため、寸法安定性に優れたフレキシブル金属張積層板が、生産性良く得られる。
【0067】
加熱ロールへの接触時間は、0.1秒間以上が好ましく、より好ましくは0.2秒間以上、0.5秒間以上が特に好ましい。接触時間が上記範囲より短い場合、緩和効果が十分に発生しない場合がある。接触時間の上限は、5秒間以下が好ましい。5秒間よりも長く接触させても緩和効果が、より大きくなるわけではなく、ラミネート速度の低下やラインの取り回しに制約が生じるため好ましくない。
【0068】
また、ラミネート後に加熱ロールに接触させて徐冷を行ったとしても、依然としてフレキシブル金属張積層板と室温との差は大きく、また、残留歪みを緩和しきれていない場合もある。そのため、加熱ロールに接触させて徐冷した後のフレキシブル金属張積層板は、保護材料を配したままの状態で、後加熱工程を行うことが好ましい。この際の張力は、1〜10N/cmの範囲とすることが好ましい。また、後加熱の雰囲気温度は(徐冷した後のフレキシブル金属張積層板の温度−200℃)〜(ラミネート温度+100℃)の範囲とすることが好ましい。
【0069】
ここでいう「雰囲気温度」とは、フレキシブル金属張積層板の両面に密着させている保護材料の外表面温度をいう。実際のフレキシブル金属張積層板の温度は、保護材料の厚みによって多少変化するが、保護材料表面の温度を上記範囲内にすれば、後加熱の効果を発現させることが可能である。保護材料の外表面温度測定は、熱電対や温度計などを用いて行うことができる。
【0070】
上記熱ラミネート工程におけるラミネート速度は、0.5m/分以上であることが好ましく、1.0m/分以上であることがより好ましい。0.5m/分以上であれば、十分な熱ラミネートが可能になり、さらに、1.0m/分以上であれば、生産性をより一層向上することができる。
【0071】
上記熱ラミネート工程における圧力、すなわちラミネート圧力は、高ければ高いほどラミネート温度を低く、かつラミネート速度を速くすることができる利点があるが、一般に、ラミネート圧力が高すぎると、得られる積層板の寸法変化が悪化する傾向がある。逆に、ラミネート圧力が低すぎると、得られる積層板の金属箔の接着強度が低くなる。そのため、ラミネート圧力は、49〜490N/cm(5〜50kgf/cm)の範囲内であることが好ましく、98〜294N/cm(10〜30kgf/cm)の範囲内であることがより好ましい。この範囲内であれば、ラミネート温度、ラミネート速度、およびラミネート圧力の三条件を良好なものにすることができ、生産性をより一層向上することができる。
【0072】
上記ラミネート工程における接着フィルム張力は、0.01〜4N/cmの範囲内であることが好ましく、0.02〜2.5N/cmの範囲内であることがより好ましく、0.05〜1.5N/cmの範囲内であることが特に好ましい。張力が上記範囲を下回ると、ラミネートの搬送時に、たるみや蛇行が生じ、均一に加熱ロールに送り込まれないために、外観の良好なフレキシブル金属張積層板を得ることが困難となることがある。逆に、上記範囲を上回ると、接着層のTgと貯蔵弾性率の制御では緩和できないほど張力の影響が強くなり、寸法安定性が劣ることがある。
【0073】
本発明にかかるフレキシブル金属張積層板を得るためには、連続的に被積層材料を加熱しながら圧着する熱ラミネート装置を用いることが好ましい。さらに、この熱ラミネート装置では、熱ラミネート手段の前段に、被積層材料を繰り出す被積層材料繰出手段を設けてもよいし、熱ラミネート手段の後段に、被積層材料を巻き取る被積層材料巻取手段を設けてもよい。これらの手段を設けることで、上記熱ラミネート装置の生産性をより一層向上させることができる。
【0074】
上記被積層材料繰出手段および被積層材料巻取手段の具体的な構成は特に限定されるものではなく、例えば、接着フィルムや金属箔、あるいは得られる積層板を巻き取ることのできる公知のロール状巻取機等を挙げることができる。
【0075】
さらに、保護材料を巻き取ったり繰り出したりする保護材料巻取手段や保護材料繰出手段を設けると、より好ましい。これら保護材料巻取手段・保護材料繰出手段を備えていれば、熱ラミネート工程で、一度使用された保護材料を巻き取って繰り出し側に再度設置することで、保護材料を再使用することができる。
【0076】
また、保護材料を巻き取る際に、保護材料の両端部を揃えるために、端部位置検出手段および巻取位置修正手段を設けてもよい。これによって、精度よく保護材料の端部を揃えて巻き取ることができるので、再使用の効率を高めることができる。なお、これら保護材料巻取手段、保護材料繰出手段、端部位置検出手段および巻取位置修正手段の具体的な構成は特に限定されるものではなく、従来公知の各種装置を用いることができる。
【0077】
本発明にかかるフレキシブル金属張積層板は、本発明の多層ポリイミドフィルムに金属箔を貼り合わせて得られるものであればよいが、フレキシブル金属張積層板の多層ポリイミドフィルムと金属箔の引き剥がし強度が、10N/cm以上であればより好ましい。多層ポリイミドフィルムの層間の剥がれ、白化が生じている場合、多層ポリイミドフィルムの内部で、簡単に剥がれてしまうことがあった。本発明にかかるフレキシブル金属張積層板は、層間の剥がれ及び層間の白濁(白色化)が少ない本発明の多層ポリイミドフィルムを用いるため、少なくとも多層ポリイミドフィルムの内部での剥がれが起こりにくいという効果を得ることができると考えられる。また、多層ポリイミドフィルムの熱可塑性ポリイミドを構成する酸二無水物として、3,3´,4,4´−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物を用いることにより、金属張積層板加工後の金属箔引き剥がし強度をさらに向上させることができるという更なる効果を得ることができる。
【0078】
本発明にかかるフレキシブル金属張積層板の半田耐熱性は、常態測定では300℃以上であればよいが、320℃以上であることがより好ましく、330℃以上であることがさらに好ましく、340℃以上であることが特に好ましい。また、フレキシブル金属張積層板の半田耐熱性は、吸湿後測定では250℃以上であればよいが、280℃以上であることがより好ましく、290℃以上であることがさらに好ましく、300℃以上であることが特に好ましい。
【0079】
従来、半田耐熱性300℃をクリアできるフレキシブル金属箔積層体が提案されているが、ポリイミドは吸湿率が高いため、積極的に吸湿させた状態では、半田加工時に膨れが発生し問題となることがあった(例えば、特開平9−116254号、特開2001−270037号)。これに対し、市場からは、積極的に吸湿させた状態で、半田加工時に膨れが生じない多層ポリイミドフィルムが望まれている。本発明では、多層ポリイミドフィルムの熱可塑性ポリイミドを構成する酸二無水物として、ピロメリット酸二無水物を用い、熱可塑性ポリイミドを構成するジアミンとして、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパンを用いることにより、吸湿状態での半田作業時の膨れをさらに抑制することができるという更なる効果を得ることができる。
【0080】
さらには、熱可塑性ポリイミドを構成する酸二無水物として、ピロメリット酸二無水物と、3,3´,4,4´−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物とを併用することにより、金属箔引き剥がし強度と半田耐熱性を両立させることができるという更なる効果を得ることができる。
【0081】
すなわち、本発明は、非熱可塑性ポリイミド層の少なくとも一方に熱可塑性ポリイミド層を有する多層ポリイミドフィルムであって、熱可塑性ポリイミドを構成する酸二無水物単量体とジアミン単量体の合計モル数の60%以上が、非熱可塑性ポリイミドを構成する酸二無水物単量体とジアミン単量体のそれぞれ少なくとも1種の単量体と同じであることを特徴とする多層ポリイミドフィルムに関する。
【0082】
好ましい実施態様としては、熱可塑性ポリイミドを構成する酸二無水物単量体とジアミン単量体の合計モル数の80%以上が、非熱可塑性ポリイミドを構成する酸二無水物単量体とジアミン単量体のそれぞれ少なくとも1種の単量体と同じであることを特徴とする多層ポリイミドフィルムに関する。
【0083】
好ましい実施態様としては、上記熱可塑性ポリイミドを構成する酸二無水物単量体は、ピロメリット酸二無水物、3,3´,4,4´−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、および3,3´,4,4´−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物からなる群より選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする多層ポリイミドフィルムに関する。
【0084】
好ましい実施態様としては、上記熱可塑性ポリイミドを構成するジアミン単量体は、4,4´−ジアミノジフェニルエーテル、または2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパンであることを特徴とする多層ポリイミドフィルムに関する。
【0085】
好ましい実施態様としては、上記熱可塑性ポリイミドを構成する酸二無水物単量体が、ピロメリット酸二無水物であり、上記熱可塑性ポリイミドを構成するジアミン単量体が、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパンであることを特徴とする多層ポリイミドフィルムに関する。
【0086】
好ましい実施態様としては、上記熱可塑性ポリイミドを構成する酸二無水物単量体が、ピロメリット酸二無水物と3,3´,4,4´−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物とであり、上記熱可塑性ポリイミドを構成するジアミン単量体が、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパンであることを特徴とする多層ポリイミドフィルムに関する。
【0087】
好ましい実施態様としては、上記熱可塑性ポリイミドを構成する酸二無水物単量体である、ピロメリット酸二無水物と3,3´,4,4´−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物の比率が、70/30〜95/5であることを特徴とする多層ポリイミドフィルムに関する。
【0088】
好ましい実施態様としては、多層共押出によって製造することを特徴とする多層ポリイミドフィルムに関する。
【0089】
また本発明は、上記記載の多層ポリイミドフィルムに金属箔を貼り合わせて得られることを特徴とするフレキシブル金属張積層板に関する。
【実施例】
【0090】
以下、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれら実施例のみに限定されるものではない。なお、合成例、実施例及び比較例における多層ポリイミドフィルムと金属箔の引き剥がし強度および半田耐熱性の評価法は次の通りである。
【0091】
(金属張積層板の作製方法)
多層ポリイミドフィルムの両面に18μmの圧延銅箔(BHY−22B−T;日鉱金属製)、さらにその両側に保護材料(アピカル125NPI;カネカ製)を配して、熱ロールラミネート機を用いて、ラミネート温度380℃、ラミネート圧力196N/cm(20kgf/cm)、ラミネート速度1.5m/分の条件で連続的に熱ラミネートを行い、フレキシブル金属張積層板を作製した。
【0092】
(金属箔の引き剥がし強度)
JIS C6471の「6.5 引きはがし強さ」に従って、サンプルを作製し、5mm幅の金属箔部分を、180度の剥離角度、50mm/分の条件で剥離し、その荷重を測定した。
【0093】
(半田耐熱性評価)
IPC−TM−650 No.2.4.13に準拠して測定した。常態測定は、試験片を23℃/55%RHで24時間調整した後、250℃〜350℃を10℃刻みに加熱した半田浴を用い、30秒フロートさせて評価した。吸湿後測定は、85℃/85%RHで24時間調整した後、加熱した半田浴を用い、10秒フロートで評価した。いずれも膨れが発生しなかった最高温度を評価値とした。
【0094】
以下に、合成例で用いるモノマーおよび溶媒の略称を示す。
DMF:N,N−ジメチルホルムアミド
BAPP:2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン
ODA:4,4´−ジアミノジフェニルエーテル
PDA:p−フェニレンジアミン
BPDA:3,3´,4,4´−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物物
BTDA:3,3´,4,4´−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物
PMDA:ピロメリット酸二無水物
以下に、ポリアミド酸溶液の合成例を示す。
【0095】
(合成例1)
10℃に冷却したDMF(1173.5g)に、BAPP(57.3g:0.140mol)、ODA(18.6g:0.093mol)、を溶解した。ここに、BPDA(27.4g:0.093mol)、PMDA(25.4g:0.116mol)を添加して、30分間均一攪拌し、プレポリマーを得た。
【0096】
この溶液にPDA(25.2g:0.232mol)を溶解した後、PMDA(46.4g:0.213mol)を溶解し、別途調製してあったPMDAの7.2重量%DMF溶液を注意深く115.1g(PMDA:0.038mol)添加し、粘度が2500poise程度に達したところで添加を止めた。1時間撹拌を行って、23℃での回転粘度が2600ポイズのポリアミック酸溶液を得た。
【0097】
このポリアミック酸溶液100gに対して、無水酢酸/イソキノリン/DMF(重量比25.6g/7.3g/67.1g)からなる硬化剤を50g添加して、0℃以下の温度で撹拌・脱泡し、非熱可塑性ポリアミド酸溶液を得た。使用した単量体のモル数を表1に示す。
【0098】
(合成例2)
10℃に冷却したDMF(1173.5g)に、BAPP(57.3g:0.140mol)、ODA(18.6g:0.093mol)、を溶解した。ここに、BTDA(30.0g:0.093mol)、PMDA(25.4g:0.116mol)を添加して、30分間均一攪拌し、プレポリマーを得た。
【0099】
この溶液にPDA(25.2g:0.232mol)を溶解した後、PMDA(46.4g:0.213mol)を溶解し、別途調製してあったPMDAの7.2重量%DMF溶液を注意深く115.1g(PMDA:0.038mol)添加し、粘度が2500poise程度に達したところで添加を止めた。1時間撹拌を行って、23℃での回転粘度が2600ポイズのポリアミック酸溶液を得た。
【0100】
このポリアミック酸溶液100gに対して、無水酢酸/イソキノリン/DMF(重量比25.6g/7.3g/67.1g)からなる硬化剤を50g添加して、0℃以下の温度で撹拌・脱泡し、非熱可塑性ポリアミド酸溶液を得た。使用した単量体のモル数を表1に示す。
【0101】
(合成例3)
N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)843.4gに、BAPP(118.6g:0.289mol)を溶解した。ここに、BPDA(67.7g:0.230mol)を投入し、50℃に加熱した後、10℃に冷却し、BTDA(14.5g:0.045mol)を添加し、プレポリマーを得た。
【0102】
その後、別途調製してあったBTDAの7重量%DMF溶液55.2g(BTDA:0.012mol)を注意深く添加し、固形成分濃度約17重量%で粘度が23℃において800poiseのポリアミド酸溶液を得た。その後、DMFを加え、固形成分濃度14重量%のポリアミド酸溶液を得た。使用した単量体のモル数を表1に示す。
【0103】
(合成例4)
N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)843.4gに、BAPP(118.6g:0.289mol)を溶解した。ここに、BPDA(50.6g:0.172mol)を投入し、50℃に加熱した後、10℃に冷却し、BTDA(32.2g:0.100mol)を添加し、プレポリマーを得た。
【0104】
その後、別途調製してあったBTDAの7重量%DMF溶液69.0g(BTDA:0.015mol)を注意深く添加し、固形成分濃度約17重量%で粘度が23℃において800poiseのポリアミド酸溶液を得た。その後、DMFを加え、固形成分濃度14重量%のポリアミド酸溶液を得た。使用した単量体のモル数を表1に示す。
【0105】
(合成例5)
N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)937.6gに、BPDA(85.6g:0.291mol)を添加した後、BAPP(118.6g:0.289mol)を添加し、固形成分濃度約17%で粘度が23℃において800poiseのポリアミド酸溶液を得た。その後、DMFを加え、固形成分濃度14重量%のポリアミド酸溶液を得た。使用した単量体のモル数を表1に示す。
【0106】
(合成例6)
N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)843.4gに、BAPP(118.6g:0.289mol)を溶解した。ここに、BPDA(12.7g:0.043mol)を投入し、50℃に加熱した後、10℃に冷却し、PMDA(48.6g:0.223mol)を添加し、プレポリマーを得た。
【0107】
その後、別途調製してあったPMDAの7重量%DMF溶液65.4g(PMDA:0.021mol)を注意深く添加し、固形成分濃度約17%で粘度が23℃において800poiseのポリアミド酸溶液を得た。その後、DMFを加え、固形成分濃度14重量%のポリアミド酸溶液を得た。使用した単量体のモル数を表1に示す。
【0108】
(合成例7)
N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)843.4gに、BAPP(118.6g:0.289mol)を溶解した。ここに、BPDA(21.5g:0.073mol)を投入し、50℃に加熱した後、10℃に冷却し、PMDA(42.1g:0.193mol)を添加し、プレポリマーを得た。
【0109】
その後、別途調製してあったPMDAの7重量%DMF溶液65.4g(PMDA:0.021mol)を注意深く添加し、23℃において800poiseのポリアミド酸溶液を得た。その後、DMFを加え、固形成分濃度14重量%のポリアミド酸溶液を得た。使用した単量体のモル数を表1に示す。
【0110】
(合成例8)
N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)843.4gに、BAPP(118.6g:0.289mol)を溶解した。ここに、BPDA(25.6g:0.087mol)を投入し、50℃に加熱した後、10℃に冷却し、PMDA(39.0g:0.179mol)を添加し、プレポリマーを得た。
【0111】
その後、別途調製してあったPMDAの7重量%DMF溶液65.4g(PMDA:0.021mol)を注意深く添加し、23℃において800poiseのポリアミド酸溶液を得た。その後、DMFを加え、固形成分濃度14重量%のポリアミド酸溶液を得た。使用した単量体のモル数を表1に示す。
【0112】
(合成例9)
N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)843.4gに、BAPP(118.6g:0.289mol)を溶解した。ここに、BPDA(42.4g:0.144mol)を投入し、50℃に加熱した後、10℃に冷却し、PMDA(26.6g:0.122mol)を添加し、プレポリマーを得た。
【0113】
その後、別途調製してあったPMDAの7重量%DMF溶液65.4g(PMDA:0.021mol)を注意深く添加し、23℃において800poiseのポリアミド酸溶液を得た。その後、DMFを加え、固形成分濃度14重量%のポリアミド酸溶液を得た。使用した単量体のモル数を表1に示す。
【0114】
(合成例10)
N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)843.4gに、BAPP(118.6g:0.289mol)を溶解した。ここに、BPDA(4.1g:0.014mol)を投入し、50℃に加熱した後、10℃に冷却し、PMDA(55.0g:0.252mol)を添加し、プレポリマーを得た。
【0115】
その後、別途調製してあったPMDAの7重量%DMF溶液65.4g(PMDA:0.021mol)を注意深く添加し、23℃において800poiseのポリアミド酸溶液を得た。その後、DMFを加え、固形成分濃度14重量%のポリアミド酸溶液を得た。使用した単量体のモル数を表1に示す。
【0116】
(合成例11)
N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)843.4gに、BAPP(118.6g:0.289mol)を溶解した。10℃に冷却し、PMDA(58.0g:0.266mol)を添加し、プレポリマーを得た。
【0117】
その後、別途調製してあったPMDAの7重量%DMF溶液65.4g(PMDA:0.021mol)を注意深く添加し、23℃において800poiseのポリアミド酸溶液を得た。その後、DMFを加え、固形成分濃度14重量%のポリアミド酸溶液を得た。使用した単量体のモル数を表1に示す。
【0118】
(実施例1)
リップ幅200mmのマルチマニホールド式の3層共押出多層ダイを用い、合成例3で得られたポリアミド酸溶液/合成例1で得られたポリアミド酸溶液/合成例3で得られたポリアミド酸溶液の順の3層構造でアルミ箔上に押出し流延した。次いで、この多層膜を150℃×100秒で加熱した後、自己支持性を有するゲルフィルムを引き剥がして、金属枠に固定し、250℃×40秒、300℃×60秒、350℃×60秒、370℃×30秒で乾燥・イミド化し、熱可塑性ポリイミド層/非熱可塑性ポリイミド層/熱可塑性ポリイミド層の厚みが、4μm/17μm/4μmの多層ポリイミドフィルムを得た。得られた多層ポリイミドフィルムの外観を観察した結果を表2に示す。外観観察の結果、白色化も剥がれも認められない場合(表2中、「問題なし」と記載)を◎、白色化には至らないがヘイズが認められる場合(表2中、「ヘイズあり」と記載)を○、白色化と剥がれがともに認められる場合(表2中、「白化+剥がれ」と記載)を×とした。
【0119】
多層ポリイミドフィルムを用い金属張積層板を作製した後、金属箔の引き剥がし強度の測定、および半田耐熱性の評価を行った。結果は表2にまとめた。
【0120】
(実施例2)
合成例4で得られたポリアミド酸溶液/合成例1で得られたポリアミド酸溶液/合成例4で得られたポリアミド酸溶液の順の3層構造であること以外は実施例1と同様に実施した。結果は表2にまとめた。
【0121】
(実施例3)
合成例5で得られたポリアミド酸溶液/合成例1で得られたポリアミド酸溶液/合成例5で得られたポリアミド酸溶液の順の3層構造であること以外は実施例1と同様に実施した。結果は表2にまとめた。
【0122】
(実施例4)
合成例3で得られたポリアミド酸溶液/合成例2で得られたポリアミド酸溶液/合成例3で得られたポリアミド酸溶液の順の3層構造であること以外は実施例1と同様に実施した。結果は表2にまとめた。
【0123】
(実施例5)
合成例4で得られたポリアミド酸溶液/合成例2で得られたポリアミド酸溶液/合成例4で得られたポリアミド酸溶液の順の3層構造であること以外は実施例1と同様に実施した。結果は表2にまとめた。
【0124】
(実施例6)
合成例6で得られたポリアミド酸溶液/合成例2で得られたポリアミド酸溶液/合成例6で得られたポリアミド酸溶液の順の3層構造であること以外は実施例1と同様に実施した。結果は表2にまとめた。
【0125】
(実施例7)
合成例7で得られたポリアミド酸溶液/合成例2で得られたポリアミド酸溶液/合成例7で得られたポリアミド酸溶液の順の3層構造であること以外は実施例1と同様に実施した。結果は表2にまとめた。
【0126】
(実施例8)
合成例8で得られたポリアミド酸溶液/合成例2で得られたポリアミド酸溶液/合成例8で得られたポリアミド酸溶液の順の3層構造であること以外は実施例1と同様に実施した。結果は表2にまとめた。
【0127】
(実施例9)
合成例9で得られたポリアミド酸溶液/合成例2で得られたポリアミド酸溶液/合成例9で得られたポリアミド酸溶液の順の3層構造であること以外は実施例1と同様に実施した。結果は表2にまとめた。
【0128】
(実施例10)
合成例10で得られたポリアミド酸溶液/合成例2で得られたポリアミド酸溶液/合成例10で得られたポリアミド酸溶液の順の3層構造であること以外は実施例1と同様に実施した。結果は表2にまとめた。
【0129】
(実施例11)
合成例11で得られたポリアミド酸溶液/合成例2で得られたポリアミド酸溶液/合成例11で得られたポリアミド酸溶液の順の3層構造であること以外は実施例1と同様に実施した。結果は表2にまとめた。
【0130】
(比較例1)
合成例5で得られたポリアミド酸溶液/合成例2で得られたポリアミド酸溶液/合成例5で得られたポリアミド酸溶液の順の3層構造であること以外は実施例1と同様に実施した。結果は表2にまとめた。
【0131】
【表1】
【0132】
【表2】
【産業上の利用可能性】
【0133】
本発明によれば、高温加熱させる際に生じる層間の剥がれ、又は層間の白濁(白色化)が少ない多層ポリイミドフィルム及びそれを用いたフレキシブル金属張積層板を提供することができる。それゆえ、フレキシブル金属張積層板を製造または利用する産業分野において広く応用することができる。