(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5766147
(24)【登録日】2015年6月26日
(45)【発行日】2015年8月19日
(54)【発明の名称】電子装置および操作表示装置
(51)【国際特許分類】
B41J 29/46 20060101AFI20150730BHJP
B41J 29/38 20060101ALI20150730BHJP
B41J 29/00 20060101ALI20150730BHJP
B41J 29/42 20060101ALI20150730BHJP
H04N 1/00 20060101ALI20150730BHJP
G03G 15/00 20060101ALI20150730BHJP
G03G 21/00 20060101ALI20150730BHJP
【FI】
B41J29/46 H
B41J29/38 D
B41J29/38 Z
B41J29/00 T
B41J29/42 F
H04N1/00 C
G03G15/00 550
G03G21/00 500
G03G21/00 386
【請求項の数】11
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2012-86025(P2012-86025)
(22)【出願日】2012年4月5日
(65)【公開番号】特開2013-215906(P2013-215906A)
(43)【公開日】2013年10月24日
【審査請求日】2014年3月19日
(73)【特許権者】
【識別番号】000006150
【氏名又は名称】京セラドキュメントソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100114971
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 修
(72)【発明者】
【氏名】大柳 麻里子
(72)【発明者】
【氏名】森 幸広
【審査官】
名取 乾治
(56)【参考文献】
【文献】
特開平07−076154(JP,A)
【文献】
特開2008−286864(JP,A)
【文献】
特開2003−216315(JP,A)
【文献】
実用新案登録第3174635(JP,Y2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41J 29/46
B41J 29/00
B41J 29/38
B41J 29/42
G03G 15/00
G03G 21/00
H04N 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
装置本体と、
前記装置本体に対し着脱可能な操作表示装置とを備え、
前記装置本体は、第1通信回路を有し、
前記操作表示装置は、
ユーザー操作を検出する入力装置と、
表示装置と、
前記装置本体から供給される電力を蓄電する蓄電部と、
前記装置本体の前記第1通信回路との通信を行う第2通信回路と、
前記装置本体を制御するための操作画面を前記表示装置に表示させ、前記入力装置により検出された前記操作画面に対するユーザー操作の情報を前記装置本体へ前記第2通信回路を介して送信し、前記装置本体への商用電源からの電力供給が異常停止したことを検出した後、前記蓄電部に蓄電された電力を使用して前記表示装置からの発光量を増加させるコントローラーと、
を有することを特徴とする電子装置。
【請求項2】
前記コントローラーは、前記装置本体への商用電源からの電力供給が異常停止したことを検出した後、前記操作画面の表示を終了し、前記蓄電部に蓄電された電力を使用して前記表示装置からの発光量を増加させることを特徴とする請求項1記載の電子機器。
【請求項3】
前記コントローラーは、前記装置本体への商用電源からの電力供給が異常停止したことを検出した後、ただちに非常用操作部を前記表示装置に表示させ、前記非常用操作部に対するユーザー操作が前記入力装置により検出されると、ただちに前記操作画面の表示を終了し、前記蓄電部に蓄電された電力を使用して前記表示装置からの発光量を増加させることを特徴とする請求項1記載の電子装置。
【請求項4】
装置本体に対し着脱可能な操作表示装置であって、
ユーザー操作を検出する入力装置と、
表示装置と、
前記装置本体から供給される電力を蓄電する蓄電部と、
前記装置本体との通信を行う通信回路と、
前記装置本体を制御するための操作画面を前記表示装置に表示させ、前記入力装置により検出された前記操作画面に対するユーザー操作の情報を前記装置本体へ前記通信回路を介して送信し、前記装置本体への商用電源からの電力供給が異常停止したことを検出した後、前記蓄電部に蓄電された電力を使用して前記表示装置からの発光量を増加させるコントローラーと、
を備えることを特徴とする操作表示装置。
【請求項5】
前記コントローラーは、前記装置本体への商用電源からの電力供給が異常停止したことを検出した後、前記操作画面の表示を終了し、前記蓄電部に蓄電された電力を使用して前記表示装置からの発光量を増加させることを特徴とする請求項4記載の操作表示装置。
【請求項6】
前記コントローラーは、前記装置本体への商用電源からの電力供給が異常停止したことを検出した後、ただちに非常用操作部を前記表示装置に表示させ、前記非常用操作部に対するユーザー操作が前記入力装置により検出されると、ただちに、前記操作画面および前記非常用操作部の表示を終了し、前記蓄電部に蓄電された電力を使用して前記表示装置からの発光量を増加させることを特徴とする請求項4記載の操作表示装置。
【請求項7】
前記コントローラーは、前記非常用操作部に対するユーザー操作が前記入力装置により検出されると、前記表示装置からの発光量を調節するための光量調節操作部を前記表示装置に表示させることを特徴とする請求項6記載の操作表示装置。
【請求項8】
前記コントローラーは、前記装置本体に対するユーザーによる電源オフ操作に対応する正常通電オフ通知と、前記装置本体への商用電源からの電力供給が異常停止したことを示す異常通電オフ通知とを前記通信回路で前記装置本体から受信し、前記正常通電オフ通知を受信した場合、当該操作表示装置をシャットダウンし、前記異常通電オフ通知を受信した場合、前記操作画面の表示を終了し、前記蓄電部に蓄電された電力を使用して前記表示装置からの発光量を増加させること、
を特徴とする請求項4記載の操作表示装置。
【請求項9】
前記コントローラーは、前記表示装置からの発光量を増加させる場合、前記通信回路への電力供給を遮断すること、
を特徴とする請求項4記載の操作表示装置。
【請求項10】
前記入力装置は、ハードウェアボタンを有し、
前記コントローラーは、前記表示装置からの発光量を増加させる場合、前記ハードウェアボタンに割り当てられる動作を変更すること、
を特徴とする請求項4記載の操作表示装置。
【請求項11】
前記コントローラーは、前記表示装置の画素の出力光量またはバックライトの出力光量を増加させるか、前記表示装置の発光色を白色に変更することで、前記表示装置からの発光量を増加させることを特徴とする請求項4から請求項10のうちのいずれか1項記載の操作表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子装置および操作表示装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
通常、商用電源を使用する電子装置(例えば複合機などの画像形成装置)は、災害発生時に商用電源からの電力供給が停止すると動作を継続できなくなるため、災害発生時に有効に利用されていない。そこで、本出願人は、災害発生時に被害状況の情報を収集する画像形成装置を提案している(特許文献1参照)。
【0003】
また、他の技術として、装置本体に対して着脱可能な操作部を有する画像形成装置が提案されている(例えば特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−236484号公報
【特許文献2】特開平5−19551号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
地震などの災害が夕方や夜間といった人工照明を使用する時間帯に発生した場合、商用電源からの通電が停止すると、人工照明からの光がなくなり、ユーザーの周囲が暗く避難等が困難になる可能性がある。
【0006】
大規模なオフィスでは、非常用電源および非常用照明の設備があるが、中規模および小規模のオフィスでは、非常用電源および非常用照明の設備がないことが多い。また、非常用ライトを常備しておいたとしても、画像形成装置のようなオフィス機器を操作しているときに災害が発生し一瞬のうちに周囲が真っ暗になった場合、非常用ライトが手元になければ、真っ暗なオフィス内を移動して非常用ライトを取りにいかなければならず、用をなさない。
【0007】
操作パネルを有する画像形成装置のようなオフィス機器の場合、例えば無停電電源が接続されていれば、操作パネルの表示装置を発光させることはできるが、通常、操作パネルの表示装置には操作画面が表示されており、そのような操作画面は、その機器を操作するためのボタンなどを有するため、それほど発光量が多くなく、非常用のライトとして使用するには、不十分である。
【0008】
本発明は、上記の問題に鑑みてなされたものであり、商用電源からの電力供給が異常停止した場合に、非常用ライトをユーザーに提供可能な電子装置およびその電子装置に使用可能な操作表示装置を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の課題を解決するために、本発明では以下のようにした。
【0010】
本発明に係る電子装置は、装置本体と、装置本体に対し着脱可能な操作表示装置とを備える。そして、
装置本体は、第1通信回路を有する。操作表示装置は、ユーザー操作を検出する入力装置と、表示装置と、装置本体から供給される電力を蓄電する蓄電部と、
装置本体の第1通信回路との通信を行う第2通信回路と、装置本体を制御するための操作画面を表示装置に表示させ、入力装置により検出された操作画面に対するユーザー操作の情報を装置本体へ
第2通信回路を介して送信し、装置本体への商用電源からの電力供給が異常停止したことを検出した後、蓄電部に蓄電された電力を使用して表示装置からの発光量を増加させるコントローラーとを有する。
【0011】
これにより、装置本体への商用電源からの電力供給が異常停止した場合に、操作表示装置が非常用ライトとして使用可能となり、非常用ライトをユーザーに提供できる。
【0012】
また、本発明に係る電子装置は、上記の電子装置に加え、次のようにしてもよい。この場合、コントローラーは、装置本体への商用電源からの電力供給が異常停止したことを検出した後、操作画面の表示を終了し、蓄電部に蓄電された電力を使用して表示装置からの発光量を増加させる。
【0013】
また、本発明に係る電子装置は、上記の電子装置に加え、次のようにしてもよい。この場合、コントローラーは、装置本体への商用電源からの電力供給が異常停止したことを検出した後、ただちに非常用操作部を表示装置に表示させ、非常用操作部に対するユーザー操作が入力装置により検出されると、ただちに操作画面の表示を終了し、蓄電部に蓄電された電力を使用して表示装置からの発光量を増加させる。
【0014】
これにより、ユーザーが操作表示装置を非常用ライトとしてただちに使用する必要がない場合には、蓄電部に蓄電された電力の、電力供給の異常停止直後の不要な消費を抑えられる。したがって、ユーザーが操作表示装置を非常用ライトとして使用したいときまで、蓄電部に電力を残しておくことができる。
【0015】
本発明に係る操作表示装置は、装置本体に対し着脱可能であって、ユーザー操作を検出する入力装置と、表示装置と、装置本体から供給される電力を蓄電する蓄電部と、
装置本体との通信を行う通信回路と、装置本体を制御するための操作画面を表示装置に表示させ、
入力装置により検出された操作画面に対するユーザー操作の情報を装置本体へ通信回路を介して送信し、装置本体への商用電源からの電力供給が異常停止したことを検出した後、蓄電部に蓄電された電力を使用して表示装置からの発光量を増加させるコントローラーとを備える。
【0016】
これにより、装置本体への商用電源からの電力供給が異常停止した場合に、操作表示装置が非常用ライトとして使用可能となり、非常用ライトをユーザーに提供できる。
【0017】
また、本発明に係る操作表示装置は、上記の操作表示装置に加え、次のようにしてもよい。この場合、コントローラーは、装置本体への商用電源からの電力供給が異常停止したことを検出した後、操作画面の表示を終了し、蓄電部に蓄電された電力を使用して表示装置からの発光量を増加させる。
【0018】
また、本発明に係る操作表示装置は、上記の操作表示装置に加え、次のようにしてもよい。この場合、コントローラーは、装置本体への商用電源からの電力供給が異常停止したことを検出した後、ただちに非常用操作部を表示装置に表示させ、非常用操作部に対するユーザー操作が入力装置により検出されると、ただちに、操作画面および非常用操作部の表示を終了し、蓄電部に蓄電された電力を使用して表示装置からの発光量を増加させる。
【0019】
これにより、ユーザーが操作表示装置を非常用ライトとしてただちに使用する必要がない場合には、蓄電部に蓄電された電力の、電力供給の異常停止直後の不要な消費を抑えられる。したがって、ユーザーが操作表示装置を非常用ライトとして使用したいときまで、蓄電部に電力を残しておくことができる。
【0020】
また、本発明に係る操作表示装置は、上記の操作表示装置に加え、次のようにしてもよい。この場合、コントローラーは、非常用操作部に対するユーザー操作が入力装置により検出されると、表示装置からの発光量を調節するための光量調節操作部を表示装置に表示させる。
【0021】
これにより、ユーザーが所望の光量で操作表示装置を非常用ライトとして使用でき、蓄電部に蓄電されている電力を有効に使用することができる。
【0022】
また、本発明に係る操作表示装置は、上記の操作表示装置に加え、次のようにしてもよい。この場合
、コントローラーは、装置本体に対するユーザーによる電源オフ操作に対応する正常通電オフ通知と、装置本体への商用電源からの電力供給が異常停止したことを示す異常通電オフ通知とを通信回路で装置本体から受信し、正常通電オフ通知を受信した場合、当該操作表示装置をシャットダウンし、異常通電オフ通知を受信した場合、操作画面の表示を終了し、蓄電部に蓄電された電力を使用して表示装置からの発光量を増加させる。
【0023】
これにより、ユーザーによる通常の通電オフの場合には、蓄電部に蓄電された電力は使用されないため、次回の装置使用開始時に、蓄電部への充電が不要か、蓄電部への充電時間が短くて済む。
【0024】
また、本発明に係る操作表示装置は、上記の操作表示装置に加え、次のようにしてもよい。この場合
、コントローラーは、表示装置からの発光量を増加させる場合、通信回路への電力供給を遮断する。
【0025】
これにより、操作表示装置を非常用ライトとして使用しているときに、蓄電部に蓄電された電力の無駄な消費が抑えられる。
【0026】
また、本発明に係る操作表示装置は、上記の操作表示装置に加え、次のようにしてもよい。この場合、入力装置は、ハードウェアボタンを有し、コントローラーは、表示装置からの発光量を増加させる場合、ハードウェアボタンに割り当てられる動作を変更する。
【0027】
これにより、操作表示装置を非常用ライトとして使用しているときに、表示装置に表示させるソフトウェアボタンの数を少なくすることができ、表示装置から出力される光量が多くなる。
【0028】
また、本発明に係る操作表示装置は、上記の操作表示装置に加え、次のようにしてもよい。この場合、コントローラーは、表示装置の画素の出力光量またはバックライトの出力光量を増加させるか、表示装置の発光色を白色に変更することで、表示装置からの発光量を増加させる。
【発明の効果】
【0029】
本発明によれば、電子装置等で、商用電源からの電力供給が異常停止した場合に、非常用ライトをユーザーに提供可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【
図1】
図1は、本発明の実施の形態1に係る電子装置を示す斜視図である。
【
図2】
図2は、実施の形態1において、装置本体から操作表示装置を取り外した際の電子装置を示す斜視図である。
【
図3】
図3は、実施の形態1における操作表示装置を示す斜視図である。
【
図4】
図4は、実施の形態1に係る電子装置の電気的な構成を示すブロック図である。
【
図5】
図5は、商用電源からの電力供給が異常停止した際の実施の形態1に係る電子装置の動作を説明するシーケンス図である。
【
図6】
図6は、商用電源からの電力供給が異常停止した際の実施の形態2に係る電子装置の動作を説明するシーケンス図である。
【
図7】
図7は、実施の形態2における操作表示装置による操作画面に表示される緊急メニューボタンの一例を示す図である。
【
図8】
図8は、実施の形態2における操作表示装置の表示装置に表示される光量調節ボタンの一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下、図に基づいて本発明の実施の形態を説明する。
【0033】
図1は、本発明の実施の形態1に係る電子装置を示す斜視図である。この電子装置は、複合機である。なお、この電子装置の形態は、プリンター、複写機などの他の画像形成装置としてもよい。
【0034】
図2は、実施の形態1において、装置本体1から操作表示装置2を取り外した際の電子装置を示す斜視図である。
図2に示すように、実施の形態1では、装置本体1に対し操作表示装置2が着脱可能となっている。操作表示装置2は、略平板状の形状を有し、図示せぬ結合構造で、装置本体1に対して固定および取り外し可能となっている。この結合構造としては、例えば、装置本体1および操作表示装置2の一方に凹部を形成し、他方に凸部を形成して、その凸部を凹部に嵌め込むことで、操作表示装置2を装置本体1に固定し、その凸部を凹部から外すことで、操作表示装置2を装置本体1から取り外すことができる構造が考えられる。
【0035】
なお、装置本体1から操作表示装置2への電力供給、および装置本体1と操作表示装置2との間の通信は、接続端子を双方に(例えば上述の凹部と凸部に)設けて有線で行うようにしてもよいし、無線で行うようにしてもよい。なお、無線で電力供給を行う場合、電磁誘導などで電力が伝送される。
【0036】
図3は、実施の形態1における操作表示装置2を示す斜視図である。
図3に示すように、操作表示装置2の筐体には、表示装置21および入力装置22が設けられており、通常時には、表示装置21および入力装置22が、この電子装置のユーザーインターフェイスとして機能する。つまり、装置本体1からの要求に応じて表示装置21に操作画面が表示され、その操作画面に対するユーザー操作が入力装置22で検出されると、その操作情報が装置本体1へ送信され、装置本体1は、その操作情報に基づいて各種処理を行う。
【0037】
図4は、実施の形態1に係る電子装置の電気的な構成を示すブロック図である。なお、
図4において、破線は、電力供給を示し、実線はデータ通信および/または制御を示している。
【0038】
図4に示すように、装置本体1は、電源部11、電源スイッチ12、蓄電部13、電力供給部14、メインコントローラー15、および通信回路16を有する。
【0039】
電源部11は、電源スイッチ12を介して商用電源101に接続されており、変圧、AC/DC変換などを行って所定の電源電圧を生成し、装置本体1内の各部に印加する回路である。
【0040】
電源スイッチ12は、ユーザーによって操作され、オン状態では、電源部11が商用電源101に接続され、オフ状態では、電源部11が商用電源101から切断される。
【0041】
蓄電部13は、電源部11に接続され、電源部11による電力を内蔵のキャパシターや蓄電池に蓄電する。電源部11は、商用電源101からの電力供給が異常停止したときに、蓄電部13に蓄電された電力を使用して、装置本体1内の電力供給を一時的に継続する。
【0042】
電力供給部14は、電源部11から供給される電力を操作表示装置2へ供給する。電力供給部14としては、例えば、操作表示装置2側の接続端子に接触または接続される接続端子が使用される。あるいは、非接触給電の場合には、電力供給部14としては、例えば、インバーターおよび電磁誘導用コイルなどが使用される。
【0043】
メインコントローラー15は、図示せぬ内部装置(画像形成装置の場合、画像読取装置、印刷装置など)を制御して各種処理を実行させる。また、メインコントローラー15は、操作表示装置2をユーザーインターフェイスとして使用し、ユーザーに対する各種情報の表示、ユーザー操作の検出を行う。
【0044】
通信回路16は、操作表示装置2と無線または有線で通信するための回路である。
【0045】
他方、操作表示装置2は、表示装置21、入力装置22、電源回路23、蓄電部24、コントローラー25、および通信回路26を有する。
【0046】
表示装置21は、例えば液晶ディスプレイであって、通常時には、装置本体1からの要求に応じた操作画面を表示する。
【0047】
入力装置22は、例えば、タッチパネル、ハードウェアボタンなどであって、通常時には、表示装置21に表示された操作画面に対するユーザー操作を検出し、その操作に対応する電子信号を出力する。
【0048】
電源回路23は、通常時には、装置本体1の電力供給部14から供給される電力を、蓄電部24に蓄電する他、操作表示装置2内の各部に電源電力として供給し、装置本体1の異常通電オフ時には、蓄電部24に蓄電されている電力を、操作表示装置2内の各部に電源電力として供給する。
【0049】
蓄電部24は、例えば蓄電池を内蔵しており、電源回路23を介して供給される装置本体1からの電力を蓄電する。
【0050】
コントローラー25は、通常時には、装置本体1からの要求に応じて操作画面を表示装置21に表示させ、その操作画面に対するユーザー操作を入力装置22で検出し、その操作情報を装置本体1へ送信する。そして、コントローラー25は、装置本体1への商用電源101からの電力供給が異常停止したことを検出した後、表示装置21での通常時の操作画面の表示を終了し、蓄電部24に蓄電された電力を使用して表示装置21からの発光量を(例えば最大光量に)増加させる。
【0051】
具体的には、コントローラー25は、装置本体1に対するユーザーによる電源オフ操作に対応する正常通電オフ通知と、装置本体1への商用電源101からの電力供給が異常停止したことを示す異常通電オフ通知とを通信回路26で装置本体1から受信し、正常通電オフ通知を受信した場合、操作表示装置2をシャットダウンし、異常通電オフ通知を受信した場合、上述の操作画面の表示を終了し、蓄電部24に蓄電された電力を使用して表示装置21からの発光量を増加させる。
【0052】
表示装置21が液晶ディスプレイのようにバックライトを有する場合には、コントローラー25は、バックライトの出力光量を増加させて、表示装置21からの発光量を増加させる。また、表示装置21がバックライトを有さず、画素自体が発光する場合には、コントローラー25は、その画素の出力光量を増加させて、表示装置21からの発光量を増加させる。さらに、コントローラー25は、表示装置21の発光色を白色に変更して、表示装置21からの発光量を増加させるようにしてもよい。
【0053】
通信回路26は、装置本体1の通信回路16と有線または無線で通信する回路である。
【0054】
次に、上記実施の形態1に係る電子装置の動作について説明する。
【0055】
(1)商用電源101から装置本体1への電力供給がある場合
【0056】
商用電源101から装置本体1への電力供給がある場合、操作表示装置2は、装置本体1に接続された状態で、装置本体1のユーザーインターフェイスとして機能する。
【0057】
操作表示装置2のコントローラー25は、メインコントローラー15からの要求を、通信回路16,26を介して受信し、その要求に応じた操作画面を表示装置21に表示する。そして、その操作画面に対するユーザー操作が入力装置22により検出されると、コントローラー25は、その操作情報を、通信回路16,26を介してメインコントローラー15へ送信する。メインコントローラー15は、その操作情報に応じた処理を実行する。
【0058】
また、このとき、操作表示装置2の電源回路23は、装置本体1の電力供給部14から電力を供給され、その電力で蓄電部24を充電するとともに、その電力を、電源電力として、操作表示装置2内の各部に供給する。
【0059】
(2)ユーザーが装置本体1をシャットダウンする場合
【0060】
ユーザーが電源スイッチ12を操作して装置本体1をシャットダウンする場合、電源部11は、ユーザーによる電源スイッチ12の操作を検出し、正常通電オフ通知の送信が完了するまで、蓄電部13の電力をメインコントローラー15に供給する。メインコントローラー15は、その蓄電部13の電力を使用して、通信回路16で、正常通電オフ通知を送信する。
【0061】
コントローラー25は、その正常通電オフ通知を通信回路26で受信すると、電源回路23に対して指令を出力して、操作表示装置2内の各部への電源電力の供給を停止させる。
【0062】
このように、ユーザーが電源スイッチ12を操作して意図的に装置本体1をシャットダウンさせた場合には、操作表示装置2も併せてシャットダウンする。
【0063】
(3)商用電源101から装置本体1への電力供給が異常停止した場合
【0064】
図5は、商用電源101からの電力供給が異常停止した際の実施の形態1に係る電子装置の動作を説明するシーケンス図である。
【0065】
装置本体1において、電源部11は、電源スイッチ12がオン状態であるにも拘わらず、商用電源101からの電力供給がなくなった場合、商用電源101からの電力供給が異常停止したと判定し、蓄電部13の電力を使用して、各部への電源電力の供給を維持するとともに、商用電源101からの電力供給が異常停止したことをメインコントローラー15へ通知する(ステップS1)。
【0066】
メインコントローラー15は、商用電源101からの電力供給が異常停止したことの通知を受け付けると、異常通電オフ通知を通信回路16で送信する(ステップS3)。
【0067】
その後、メインコントローラー15は、シャットダウン前に実行すべき処理(例えば、開始したが終了していないジョブ、データ保存など)を実行した後に、装置本体1をシャットダウンさせる(ステップS3)。
【0068】
一方、操作表示装置2では、コントローラー25は、その異常通電オフ通知を通信回路26で受信すると、操作表示装置2の動作モードを通常モードから非常時モードへ切り替える(ステップS4)。このとき、コントローラー25は、電源回路23を制御して、蓄電部24の電力を使用して、電源電力の供給を維持させるとともに、非常用ライトとしての自律的な動作を開始する。そして、コントローラー25は、異常通電オフ通知の受信後、ただちに、通常時の操作画面の表示を終了して表示装置21の出力光量を増加させる(ステップS5)。このとき、例えば、表示装置21からの出力光量を大きくするために、コントローラー25は、表示装置21には、画像や文字などのオブジェクトの表示を行わない。例えば液晶ディスプレイの場合、バックライトからの光が液晶パネルを透過しやすくなり、表示装置21からの出力光量が大きくなる。例えば有機EL(Electro-Luminescence)ディスプレイの場合、画素が発光するため、画像や文字などのオブジェクトの表示を行わず、全域で白色を表示することで、表示装置21からの出力光量が大きくなる。
【0069】
このように、非常時モードでは、蓄電部24に蓄電された電力が操作表示装置2内の各部の電源電力として使用され、操作表示装置2が表示装置21を光源とした非常用ライトとして動作する。そして、ユーザーは、操作表示装置2を装置本体1から取り外すことで、操作表示装置2を携帯して非常用ライトとして使用することができる。
【0070】
以上のように、上記実施の形態1によれば、操作表示装置2は装置本体1に対し着脱可能であって、操作表示装置2のコントローラー25は、通常時には、装置本体1を制御するための操作画面を表示装置21に表示させ、入力装置22により検出された操作画面に対するユーザー操作の情報を装置本体1へ送信し、そして、装置本体1への商用電源101からの電力供給が異常停止したことを検出した後、ただちに、蓄電部24に蓄電された電力を使用して表示装置21からの発光量を増加させる。
【0071】
これにより、装置本体1への商用電源101からの電力供給が異常停止した場合に、操作表示装置2が非常用ライトとして使用可能となり、非常用ライトをユーザーに提供できる。
【0073】
本発明の実施の形態2に係る電子装置では、操作表示装置2が、装置本体1への商用電源からの電力供給が異常停止したことを検出した後、ただちに緊急メニューボタンを表示し、その緊急メニューボタンに対するユーザー操作が入力装置により検出されると、ただちに、操作画面の表示を終了し表示装置21からの発光量を増加させる。
【0074】
なお、実施の形態2に係る電子装置の基本的な構成は実施の形態1のものと同様である。ただし、実施の形態2では、コントローラー25は以下のように動作する。
【0075】
図6は、商用電源からの電力供給が異常停止した際の実施の形態2に係る電子装置の動作を説明するシーケンス図である。
【0076】
コントローラー25は、実施の形態1では、異常通電オフ通知の受信後、ただちに、表示装置2の光量を増加させたが、実施の形態2では、緊急メニューボタンに対するユーザー操作があった後に、表示装置2の光量を増加させる。
【0077】
つまり、実施の形態2では、コントローラー25は、異常通電オフ通知に基づき、装置本体1への商用電源101からの電力供給が異常停止したことを検出した後、ただちに緊急メニューボタンを表示装置21に表示させる(ステップS11)。
【0078】
図7は、実施の形態2における操作表示装置2における操作画面に表示される緊急メニューボタンの一例を示す図である。
図7に示すように、緊急メニューボタン41が操作画面において表示される。
【0079】
そして、コントローラー25は、その緊急メニューボタン41に対するユーザー操作が入力装置22により検出されると(ステップS12)、ただちに、実施の形態1と同様の動作モードの切り替えと、表示装置21からの発光量の増加を実行する(ステップS4,S5)。
【0080】
また、実施の形態2では、コントローラー25は、緊急メニューボタン41に対するユーザー操作が入力装置22により検出されると、操作画面および緊急メニューボタン41の表示を終了し、表示装置21からの発光量を調節するための光量調節ボタンを表示装置21に表示させる(ステップS13)。
【0081】
図8は、実施の形態2における操作表示装置2の表示装置21に表示される光量調節ボタンの一例を示す図である。
図8に示すように、操作画面の表示が終了した後、操作表示装置2の表示装置21には、光量を多くするための光量調節ボタン51、光量を少なくするための光量調節ボタン52、動作モードを通常モードに戻すための非常時動作オフボタン53が、表示装置21の矩形表示面の隅に表示される。
【0082】
入力装置22に対する操作で光量調節ボタン51が押下されると、コントローラー25は、表示装置21の発光量を増加させ、入力装置22に対する操作で光量調節ボタン52が押下されると、コントローラー25は、表示装置21の発光量を減少させる。また、入力装置22に対する操作で非常時動作オフボタン53が押下されると、コントローラー25は、例えば
図7に示すように元の操作画面(緊急メニューボタン41を含む)を表示装置21に表示させる。
【0083】
なお、非常時動作オフボタン53を表示装置21に表示せずに、ステップS5において表示装置21からの発光量を増加させた時点から、入力装置22のハードウェアボタンのうちの最も大きいボタン54に対する動作割り当てを変更し、ボタン54を非常時動作オフボタン53の代わりに使用するようにしてもよい。
【0084】
以上のように、上記実施の形態2によれば、コントローラー25は、装置本体1への商用電源101からの電力供給が異常停止したことを検出した後、ただちに緊急メニューボタン41を表示装置21に表示させ、緊急メニューボタン41に対するユーザー操作が入力装置22により検出されると、ただちに、表示装置21からの発光量を増加させる。
【0085】
これにより、ユーザーが操作表示装置2を非常用ライトとしてただちに使用する必要がない場合には、蓄電部24に蓄電された電力の、電力供給の異常停止直後の不要な消費を抑えられる。したがって、ユーザーが操作表示装置2を非常用ライトとして使用したいときまで、蓄電部24に電力を残しておくことができる。
【0086】
なお、上述の各実施の形態は、本発明の好適な例であるが、本発明は、これらに限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、種々の変形、変更が可能である。
【0087】
例えば、上記実施の形態1,2において、操作表示装置2のコントローラー25が、表示装置21からの発光量を増加させる場合、通信回路26への電力供給を遮断するようにしてもよい。
【0088】
また、上記実施の形態1において、
図8に示すような、光量調節ボタン51,52を表示装置21に表示するようにしてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0089】
本発明は、例えば、画像形成装置などの、オフィスに備え付けられるオフィス機器に適用可能である。
【符号の説明】
【0090】
1 装置本体
2 操作表示装置
21 表示装置
22 入力装置
24 蓄電部
25 コントローラー
26 通信回路