(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5766215
(24)【登録日】2015年6月26日
(45)【発行日】2015年8月19日
(54)【発明の名称】リテーナ、真空遮断器、及びこれらを含む電気スイッチ装置
(51)【国際特許分類】
H01H 33/662 20060101AFI20150730BHJP
【FI】
H01H33/662 Z
【請求項の数】20
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2012-554438(P2012-554438)
(86)(22)【出願日】2011年2月24日
(65)【公表番号】特表2013-520780(P2013-520780A)
(43)【公表日】2013年6月6日
(86)【国際出願番号】IB2011000378
(87)【国際公開番号】WO2011104619
(87)【国際公開日】20110901
【審査請求日】2014年2月17日
(31)【優先権主張番号】12/711,545
(32)【優先日】2010年2月24日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】390033020
【氏名又は名称】イートン コーポレーション
【氏名又は名称原語表記】EATON CORPORATION
(74)【代理人】
【識別番号】100068618
【弁理士】
【氏名又は名称】萼 経夫
(74)【代理人】
【識別番号】100104145
【弁理士】
【氏名又は名称】宮崎 嘉夫
(74)【代理人】
【識別番号】100109690
【弁理士】
【氏名又は名称】小野塚 薫
(74)【代理人】
【識別番号】100135035
【弁理士】
【氏名又は名称】田上 明夫
(74)【代理人】
【識別番号】100131266
【弁理士】
【氏名又は名称】▲高▼ 昌宏
(72)【発明者】
【氏名】ダン ジェイ. マンガン
(72)【発明者】
【氏名】ベンジャミン エイ. ローゼンクランス
(72)【発明者】
【氏名】エリック ディー. スミス
【審査官】
出野 智之
(56)【参考文献】
【文献】
実開昭57−082037(JP,U)
【文献】
特開昭63−246517(JP,A)
【文献】
特開2007−087845(JP,A)
【文献】
特開平06−309998(JP,A)
【文献】
特開昭59−063626(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01H 33/662
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
真空遮断器(6)であって、
第1開口端(58)及び第2開口端(60)を含む多数の絶縁チューブ(38);
該絶縁チューブの第1開口端に固定される第1端部材(42);
該絶縁チューブの第2開口端に固定される第2端部材(40);
前記第2端部材を貫通する固定電極(48)上に取り付けられる固定接点(46);
複数の脚部(10)及び1つの開口(12)を含む剛性リテーナ(8)と、1つの開口(16)を有する絶縁ブッシュ(14)とを含む1つのリテーナ(2);及び、
前記第1端部材を貫通しかつ前記絶縁ブッシュの開口を貫通する可動電極に取り付けられて、前記固定接点に接触または離間するために軸方向に往復移動できる可動接点(50)を含み、
前記絶縁ブッシュの開口は、前記剛性リテーナの開口より小さく、前記絶縁ブッシュは、前記剛性リテーナの一部分を覆って成形され、前記絶縁ブッシュの開口が、前記剛性リテーナの開口内にあり、かつ、可動電極(4)を受け入れるように構成されており、
前記第1端部材は、複数の取付部材(56)を含み、該取付部材は、前記第1端部材から離れて伸びかつ多数の前記絶縁チューブ(38)の第1開口端から離れて伸びており、前記可動電極(4)は、前記複数の取付部材の間に配置され、前記複数の脚部の各々は、前記複数の取付部材の隣接する対の間に伸びていることを特徴とする真空遮断器。
【請求項2】
前記剛性リテーナは、金属で作られることを特徴とする請求項1記載の真空遮断器。
【請求項3】
前記剛性リテーナは、ステンレス鋼で作られることを特徴とする請求項1記載の真空遮断器。
【請求項4】
前記絶縁ブッシュは、熱可塑性樹脂で作られることを特徴とする請求項1記載の真空遮断器。
【請求項5】
前記絶縁ブッシュは、この絶縁ブッシュの開口を形成する導管部分(18)をさらに含むことを特徴とする請求項1記載の真空遮断器。
【請求項6】
前記導管部分は、第1の径(22)を有する第1端部(20)と、反対側に位置して前記第1の径より大きい第2の径(26)を有する第2端部(24)を含むことを特徴とする請求項5記載の真空遮断器。
【請求項7】
前記剛性リテーナの複数の脚部が、前記第2端部から離れて伸び、かつ、前記絶縁ブッシュの導管部分から離れて伸びていることを特徴とする請求項6記載の真空遮断器。
【請求項8】
前記剛性リテーナの複数の脚部の各々が、前記第2端部から離れて伸びかつ前記絶縁ブッシュの導管部分から離れて伸びる第1部分(28)と、前記第1部分から離れて伸びかつ前記第1端部に向けて伸びる第2部分(30)と、前記第2部分から離れて伸びかつ前記絶縁ブッシュの導管部分から離れて伸びる第3部分(32)とを含むことを特徴とする請求項7記載の真空遮断器。
【請求項9】
前記第3部分は、前記第1端部と、反対側に位置する前記第2端部との間に配置され、前記複数の脚部の各々の第3部分が、前記第1端部材に固定され、前記導管部分の第1端部が前記第1端部材内に伸び、前記導管部分の前記反対側の第2端部が、前記第1端部材から離れて伸びていることを特徴とする請求項8記載の真空遮断器。
【請求項10】
真空遮断器の可動電極(4)のためのリテーナ(2)であって、
前記真空遮断器は、
第1開口端(58)及び第2開口端(60)を含む多数の絶縁チューブ(38);
該絶縁チューブの第1開口端に固定される第1端部材(42);
該絶縁チューブの第2開口端に固定される第2端部材(40);
前記第2端部材を貫通する固定電極(48)上に取り付けられる固定接点(46);及び、
前記第1端部材を貫通する前記可動電極に取り付けられて、前記固定接点に接触または離間するために軸方向に往復移動できる可動接点(50)を含み、
前記第1端部材は、複数の取付部材(56)を含み、該取付部材は、前記第1端部材から離れて伸びかつ多数の前記絶縁チューブ(38)の第1開口端から離れて伸びており、前記可動電極(4)は、前記複数の取付部材の間に配置されており、
前記リテーナは、
複数の脚部(10)と1つの開口(12)を含む剛性リテーナ(8)、及び1つの開口(16)を含む絶縁ブッシュ(14)を含み、
前記絶縁ブッシュの開口は、前記剛性リテーナの開口より小さく、前記絶縁ブッシュは、前記剛性リテーナの一部分を覆って成形され、
前記絶縁ブッシュの開口は、前記剛性リテーナ開口の中にあり、かつ、前記可動電極を受け入れるように構成されており、
前記第1端部材に固定されたときに、前記可動電極が、前記絶縁ブッシュの開口を貫通し、かつ、前記複数の脚部の各々が、前記複数の取付部材の隣接する対の間に伸びるように構成されていることを特徴とするリテーナ。
【請求項11】
前記剛性リテーナは、金属で作られることを特徴とする請求項10記載のリテーナ。
【請求項12】
前記剛性リテーナは、ステンレス鋼で作られることを特徴とする請求項10記載のリテーナ。
【請求項13】
前記絶縁ブッシュは、熱可塑性樹脂で作られることを特徴とする請求項10記載のリテーナ。
【請求項14】
前記絶縁ブッシュは、この絶縁ブッシュの開口を形成する導管部分(18)をさらに含むことを特徴とする請求項10記載のリテーナ。
【請求項15】
前記導管部分は、第1の径(22)を有する第1端部(20)と、反対側に位置して前記第1の径より大きい第2の径(26)を有する第2端部(24)を含むことを特徴とする請求項14記載のリテーナ。
【請求項16】
前記剛性リテーナの複数の脚部が、前記第2端部から離れて伸び、かつ、前記絶縁ブッシュの導管部分から離れて伸びていることを特徴とする請求項15記載のリテーナ。
【請求項17】
前記剛性リテーナの複数の脚部の各々が、前記第2端部から離れて伸びかつ前記絶縁ブッシュの導管部分から離れて伸びる第1部分(28)と、前記第1部分から離れて伸びかつ前記第1端部に向けて伸びる第2部分(30)と、前記第2部分から離れて伸びかつ前記絶縁ブッシュの導管部分から離れて伸びる第3部分(32)とを含むことを特徴とする請求項16記載のリテーナ。
【請求項18】
前記第3部分は、前記第1端部と、反対側に位置する前記第2端部との間に配置されることを特徴とする請求項17記載のリテーナ。
【請求項19】
電気スイッチ装置(100)であって、
真空遮断器(6)が、
第1開口端(58)及び第2開口端(60)を含む多数の絶縁チューブ(38);
該絶縁チューブの第1開口端に固定される第1端部材(42);
該絶縁チューブの第2開口端に固定される第2端部材(40);
前記第2端部材を貫通する固定電極(48)上に取り付けられる固定接点(46);
複数の脚部(10)及び1つの開口(12)を含む剛性リテーナ(8)と、1つの開口(16)を有する絶縁ブッシュ(14)とを含む1つのリテーナ(2);
前記第1端部材を貫通しかつ前記絶縁ブッシュの開口を貫通する可動電極に取り付けられて、前記固定接点に接触または離間するために軸方向に往復移動できる可動接点(50);及び、
前記可動電極を軸方向に往復運動させ、前記可動接点を移動して前記固定接点に接触または離間させる作動機構(54)を含み、
前記絶縁ブッシュの開口は、前記剛性リテーナの開口より小さく、前記絶縁ブッシュは、前記剛性リテーナ上に成形され、前記絶縁ブッシュの開口が、前記剛性リテーナの開口内にあり、かつ、可動電極(4)を受け入れるように構成されており、
前記第1端部材は、この部材から離れて伸び、かつ、前記絶縁チューブ(38)の各第1開口端から離れて伸びる複数の取付部材(56)を含み、前記可動電極(4)は、前記複数の取付部材の間に配置され、かつ、前記複数の脚部の各々が、前記複数の取付部材の隣接する対の間に伸びていることを特徴とする電気スイッチ装置。
【請求項20】
前記絶縁ブッシュの開口は、多数の平坦面(34,36)を有する略円形断面を含み、前記可動電極(4)は、同数の平坦面(34',36’)を有する前記絶縁ブッシュと同一の略円形断面を含むことを特徴とする請求項19記載の電気スイッチ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
ここで開示する概念は、一般的に、電源回路を保護するための真空遮断器に関連し、特に、可動電極を含む真空遮断器または真空包囲体に関連する。また、この開示された概念は、真空遮断器の可動電極のためのリテーナに関連する。さらに、この開示された概念は、多数の真空遮断器を含んでいる、真空回路遮断器等の電気スイッチ装置に関連する。
【背景技術】
【0002】
真空遮断器は、絶縁されかつ密閉してシールされた真空室内に配置される分離可能な主接点を含む。真空室は、一般的に、真空を引き入れる包囲体を形成するために、多数の端部材(たとえば、制限するものではないが、金属端部プレート、端部キャップ、シールカップ等の金属部品)によって覆われた電気絶縁用の多数のセラミック部分(たとえば、多数の筒状のセラミック部分)を含む。
【0003】
このセラミック部分は、一般的に円筒形であるが、他の適当な断面形状を用いることができる。2つの端部材が一般的に用いられる。多数のセラミック部分があると、内部中央遮蔽体が、これらのセラミック間に配置される。
【0004】
真空回路遮断器(たとえば、限定するものではないが、真空回路ブレーカ、真空スイッチ、負荷遮断スイッチ)は、電流負荷、短絡回路、及び低レベル電圧状態等の電気故障状態から電気システムを保護する。一般的に、真空回路遮断器は、ばね駆動式、または他の適当な作動機構を含み、異常状態に応答して電気システム内の導体を通って流れる電流を遮断するために多数の真空遮断器内部の電気接点を開成する。
【0005】
真空遮断器の主接点は、一般的に高純度の銅から作られた伸長部材の電極ステムによって、真空回路遮断器により保護される外部回路に電気的に接続される。一般的に、接点の一方は、外部回路と同様に真空室に対して固定される。この固定接点は、真空包囲体内で、一方の端部材を介して伸びている第1電極に取り付けられる。他方の接点は真空包囲体に対して移動可能である。この可動接点は、他方の端部材を介して軸方向に摺動可能な可動電極に取り付けられる。可動接点は、作動機構によって駆動され、作動機構の動作は、シールされた金属ベローズを含むカップリングによって真空包囲体内を移動する。
【0006】
固定接点及び可動接点は、一対の分離接点を形成し、真空包囲体の外側に配置された作動機構に応じて可動電極の動きにより開成及び閉成される。複数の電極、端部材、ベローズ、セラミックシェル、及び内部シールドは、もしあれば、一緒に結合され、延長された時間周期に対して適当なレベルで真空を維持することができる真空遮断器を形成する。
【0007】
真空遮断器の可動電極用のブッシュに関する公知に技術は、樹脂製ブッシュを可動電極と金属リテーナに接触させるのに用いられ、このブッシュを適所に保持する。たとえば、樹脂製ブッシュと金属リテーナは、八角形のかみ合い形状を含む、樹脂製ブッシュと可動電極は、真空遮断器の底部(または頂部)に配置されかつ突き出ている。また、金属リテーナは、樹脂製ブッシュの底部(または頂部)に配置されている。金属リテーナの部分は、1つの真空遮断器の端部材またはシールカップにスポット溶接される。
【0008】
いくつかの真空遮断器は、真空回路遮断器の構造体に取り付けるために、真空遮断器の底部(または頂部)に位置する、可動電極の近くの取付スタッドを用いる。樹脂製ブッシュは、金属リテーナが樹脂製ブッシュを強固に保持するために、いくつかのかみ合い特徴部を必要とするので、可動電極と取付スタッドの間の制限された空間により、樹脂製ブッシュ及び金属リテーナの使用が妨げられる。
【0009】
可動電極用のリテーナ及びブッシュを使用する、真空包囲体及び真空遮断器の改良の余地がある。
また、可動電極用のリテーナ及びブッシュを含む真空遮断器に使用する真空回路遮断器における改良の余地がある。
さらに、真空遮断器の可動電極用のリテーナ及びブッシュにおいても、改良の余地がある。
【発明の概要】
【0010】
これらのニーズ及び他のものは、ここで開示される概念の実施形態に合致しており、この概念は、剛性リテーナを提供し、剛性リテーナは複数の脚部と1つの開口を含み、絶縁ブッシュは1つの開口を含んでいる。絶縁ブッシュの開口は、剛性リテーナの開口よりも小さい。絶縁ブッシュは、剛性リテーナの一部分を覆って成形される。絶縁ブッシュの開口は、リテーナ開口の中にあり、可動電極を受け入れるように構成されている。
【0011】
ここで開示の概念の1つの構成によれば、真空遮断器は、第1開口端及び第2開口端を含む多数の絶縁チューブ;該絶縁チューブの第1開口端に固定される第1端部材;該絶縁チューブの第2開口端に固定される第2端部材;前記第2端部材を貫通する固定電極上に取り付けられる固定接点;複数の脚部及び1つの開口を含む剛性リテーナと、1つの開口を有する絶縁ブッシュとを含む1つのリテーナ;及び、第1端部材を貫通しかつ絶縁ブッシュの開口を貫通する可動電極に取り付けられて、固定接点に接触または離間するために軸方向に往復移動できる可動接点を含んでいる。
また、前記絶縁ブッシュの開口は、前記剛性リテーナの開口より小さく、かつ、前記絶縁ブッシュは、前記剛性リテーナの一部分の上に成形され、前記絶縁ブッシュの開口が、前記剛性リテーナの開口内にあり、かつ、可動電極を受け入れるように構成されている。
【0012】
絶縁ブッシュは、さらに、絶縁ブッシュの開口を形成する導管部分を含む。この導管部分は、第1の径を有する第1端部と、第1の径よりも大きい第2の径を有して、対向配置される第2端部を含む。剛性リテーナの複数の脚部は、前記対向配置された第2端部から離れて伸びかつ絶縁ブッシュの導管部分から離れて伸びている。
【0013】
剛性リテーナの複数の脚部の各々は、対向した第2端部から離れて伸びかつ絶縁ブッシュの導管部分から離れて伸びている第1部分と、該第1部分から離れかつ第1端部に向けて伸びている第2部分と、該第2部分から伸びかつ絶縁ブッシュの導管部分から離れて伸びている第3部分とを含んでいる。
【0014】
第3部分は、第1端部とこれに対向する第2端部との間に配置される。複数の脚部の各々の第3部分は、第1端部材に固定される。導管部分の第1端部は、第1端部材の中に伸び、かつ、導管部分の対向する第2端部は、前記第1端部材から離れて伸びている。
【0015】
第1端部材は、この第1端部材から離れて伸びかつ多数の絶縁チューブの第1開口端から離れて伸びる複数の取付部材を含む。可動電極は、複数の取付部材の間に配置され、複数の脚部の各々は、複数の取付部材の隣接する対の間に伸びている。
【0016】
ここに開示された概念の別の構成によれば、リテーナは、可動電極用である。このリテーナは、複数の脚部と1つの開口を含む剛性リテーナと、1つの開口を含む絶縁ブッシュとから成り、絶縁ブッシュの開口は、剛性リテーナの開口より小さく、かつ、絶縁ブッシュは、前記剛性リテーナの一部分の上に成形され、前記絶縁ブッシュの開口が、前記剛性リテーナの開口内にあり、かつ、可動電極を受け入れるように構成されている。
【0017】
ここに開示された概念の別の構成によれば、電気スイッチ装置は、真空遮断器を含み、この真空遮断器は、第1開口端及び第2開口端を含む多数の絶縁チューブ、該絶縁チューブの第1開口端に固定される第1端部材、前記絶縁チューブの第2開口端に固定される第2端部材、前記第2端部材を貫通する固定電極に取り付けられる固定接点、複数の脚部と1つの開口を含む剛性リテーナと、1つの開口を含む絶縁ブッシュとからなるリテーナ、第1端部材を貫通しかつ絶縁ブッシュの開口を貫通する可動電極に取り付けられて、固定接点に接触または離間するために軸方向に往復移動できる可動接点、及び、前記可動電極を軸方向に往復移動させるように構成され、かつ前記可動接点を動かして、前記固定接点に対して接触及び離間させる作動機構を含んでいる。
さらに、絶縁ブッシュの開口は、剛性リテーナの開口より小さく、かつ、前記絶縁ブッシュは、前記剛性リテーナの一部分の上に成形され、前記絶縁ブッシュの開口が、前記剛性リテーナの開口内にあり、かつ、可動電極を受け入れるように構成されている。
【0018】
ここで開示された概念の全体の理解は、添付の図面を関連して読むとき、以下の好ましい実施形態の記述から得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】
図1は、ここで開示される概念の実施形態に従う、真空遮断器用のリテーナの斜視図である。
【
図2】
図2は、
図1の線2−2に沿う、覆うように成形されたリテーナの断面図である。
【
図3】
図3は、覆うように成形された
図1のリテーナの頂部平面図である。
【
図4】
図4は、覆うように成形された
図1のリテーナの底部平面図である。
【
図6】
図6は、
図5の線6−6に沿う金属リテーナの断面図である。
【
図7】
図7は、開示された概念の実施形態に従う真空遮断器の垂直正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
ここで使用される語句「部材」は、1つまたは1つより多くの(即ち、複数)整数を意味する。
ここで開示される概念は、多数の磁極を有する電気スイッチ装置の広範囲に適用可能であるが、真空回路遮断器に関連して記載される。
【0021】
図1−4において、真空遮断器6(
図7)可動電極4(
図7)のためのリテーナ2が示されている。このリテーナ2は、複数の脚部10及び1つの開口12を有する剛性リテーナ8(
図5,6に最もよく示されている)と、1つの開口16を有する絶縁ブッシュ14を含む。絶縁ブッシュ14の開口は、剛性リテーナ8の開口12よりも小さい。絶縁ブッシュ14は、剛性リテーナ8の一部分を覆って成形されている。絶縁ブッシュ14の小さい開口16は、剛性リテーナ8のより大きい開口内にある。絶縁ブッシュ14の開口16は、可動電極4(
図7)を受け入れるように構成されている。
【0022】
たとえば、限定なしに、剛性リテーナ8は、例として限定されるものではないが、ステンレス鋼等の金属で作ることができる。同様に限定されるものではないが、絶縁ブッシュ14は、ナイラトロン(Nylatron「登録商標」)GS-HS 44769AA等の適当な熱可塑性樹脂で作ることができる。例示の成形されたリテーナ2は、熱可塑性樹脂のブッシュ14内に埋設された例示のステンレス鋼製リテーナ8を含み、この剛性リテーナ8の一部分を覆って成形されている。
【0023】
この絶縁ブッシュ14は、絶縁ブッシュ開口16を形成する導管部分18を含む。導管部分18は、第1の径22を有する第1端部20と、第1の径22より大きい第2の径26を有して、反対側に位置する第2端部24とを含む。剛性リテーナの脚部10(たとえば、限定なしに、4つの脚部10が図示されている)は、反対側の第2端部24から離れて伸び、かつ、絶縁ブッシュの導管部分18から離れて伸びている。
【0024】
図2に最もよく示すように、剛性リテーナの各脚部10は、反対側の第2端部24から離れて伸びかつ導管部分18から離れて伸びる第1部分28と、第1部分28から離れて伸びかつ第1端部20に向かって伸びる第2部分30と、第2部分30から離れて伸びかつ導管部分18から離れて伸びる第3部分32と、を含む。この第3部分32は、第1端部20と反対側の第2端部24との間に配置される。
【0025】
図3に最もよく図示されるように、絶縁ブッシュ14の開口16は、多数の平坦面(たとえば、限定なしに、2つの平坦面34,36が示されている)を有する略円形断面を含む。これらの平坦面は、可動電極4のねじれ動作(図面の仮想線で示されている)を防止する。可動電極4は、同一数の多数の平坦面34’,36’を有する同一の絶縁ブッシュの略円形断面を含む。絶縁ブッシュ14と可動電極4は、
図7の真空包囲体44内の真空を維持するために協働することが理解できよう。
【0026】
代わりに、絶縁ブッシュ14は、ねじれから可動電極4を防止するための機構として、キー溝(図示略)または開示された平坦面34,36以外の他の適当な構造体を使用することができる。
ここで開示された絶縁ブッシュ14は、作動中、可動電極を案内し、また一方で、ねじれから可動電極4を防止するために、開示された平坦面34,36等の多数の特徴を与える機能を有する。
【0027】
図7−9において、真空遮断器6は、たとえば、多数のセラミックチューブ38等の絶縁チューブを含み、このチューブは、端部材40,42(たとえば、限定なしで、複数のシールカップ)を備え、真空包囲体44を形成する。固定接点46(
図10に破線で示された)は、端部材40を貫通する固定電極48に取り付けられている。可動接点50(
図10に破線で示された)は、可動電極4によって担持されかつ他の端部材42を貫通して伸びている。固定接点46と可動接点50は、分離可能な接点52(
図10に破線で示された)を形成し、接点が閉成したとき、固定電極48と可動電極4との間の電気回路を完成し、そして可動電極4の軸方向移動によって接点が開成したとき、真空遮断器6を通って流れる電流を遮断する。可動電極4は、真空包囲体44の外側で可動電極4に接続される作動機構54(
図10)によって、分離可能な接点52を開閉するために、軸方向に移動する。
【0028】
2対のセラミックチューブ38(たとえば、限定なしで、上部セラミックと下部セラミックで、その間に挟まれた中央シールドフランジを有して)が図示されるけれども、開示された概念は、多数のセラミック製またはガラス製のチューブを含む真空遮断器に利用可能である。
【0029】
図9に最もよく示されるように、リテーナ2の剛性リテーナの各脚部10の第3部分32は、端部材42に適当に固定される(たとえば、限定なしで、スポット溶接で)。この端部材42は、複数の(限定するものではないが、例えば4つの取付部材56が図示されている)取付部材56(制限なしで、スタッド)を含む。取付部材は、端部材42から離れて伸びかつセラミックチューブ38(
図7)の開口端58(
図7)から離れて伸びている。可動電極4は、複数の取付部材56の間に配置される。脚部10の各々は、取付部材56の隣接する対の間に伸びている。
【0030】
図7に破線で示すように、絶縁ブッシュ14の導管部分(
図2)の第1端部20は、端部材42内に伸びている。導管部分18の反対側の第2端部24は、端部材42から離れて伸びている。
【0031】
真空遮断器6のセラミックチューブ38は、第1開口端58と反対側に位置する第2開口端60を含む。第1端部材42は、第1開口端58に固定され、第2端部材40は、セラミックチューブ38の反対側の第2開口端60に固定される。
【0032】
図10に最もよく示されるように、固定接点46(図面に破線で示される)は、固定電極48に取り付けられかつ第2端部材40を貫通して伸びている。可動接点50(図面に破線で示される)は、固定接点46と開成及び閉成して軸方向に往復移動することができる。
【0033】
図10は、たとえば、
図7の真空遮断器6を含んでいる真空回路遮断器100等の電気スイッチ装置を示す。この真空回路遮断器100は、作動機構54を含み、この作動機構は、可動電極4を軸方向に往復移動するように構成され、かつ、可動接点50を固定接点46と接触及び離間させるように動かす。真空遮断器6は、たとえば、可動電極4を有して対面配置された(
図1に関して)真空回路遮断器100内に組み込まれる。代わりに、開示された概念は、(
図10に関して)可動電極4が、適当な方向において(例えば、限定なしで)対面する構造に利用可能である。
【0034】
開示されたリテーナ2は、比較的強いブッシュ/リテーナを提供する。絶縁ブッシュ14内の剛性リテーナ8は、絶縁ブッシュ14を補強する。これは、公知の従来の真空遮断器用ブッシュと比較して、十分な使用空間を与える。またこれは、例示の真空遮断器6の組立を容易にする。
【0035】
開示された概念の特定な実施形態を詳細に説明してきたが、当業者であれば、これらの詳細に対して種々の修正例及び代替例をこの開示の全体の説明から展開することができる。したがって、開示された特定の装置は、説明的なものであり、添付された特許請求の範囲の全体にわたりかつこれに等価なものとして与えられる開示された概念の範囲に関して、制限されないことを意味している。