(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5766276
(24)【登録日】2015年6月26日
(45)【発行日】2015年8月19日
(54)【発明の名称】加熱調理器
(51)【国際特許分類】
H05B 6/12 20060101AFI20150730BHJP
【FI】
H05B6/12 308
H05B6/12 303
H05B6/12 305
【請求項の数】6
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2013-502172(P2013-502172)
(86)(22)【出願日】2012年2月16日
(86)【国際出願番号】JP2012001006
(87)【国際公開番号】WO2012117679
(87)【国際公開日】20120907
【審査請求日】2013年7月30日
(31)【優先権主張番号】特願2011-42786(P2011-42786)
(32)【優先日】2011年2月28日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000006013
【氏名又は名称】三菱電機株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000176866
【氏名又は名称】三菱電機ホーム機器株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100085198
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 久夫
(74)【代理人】
【識別番号】100098604
【弁理士】
【氏名又は名称】安島 清
(74)【代理人】
【識別番号】100087620
【弁理士】
【氏名又は名称】高梨 範夫
(74)【代理人】
【識別番号】100125494
【弁理士】
【氏名又は名称】山東 元希
(74)【代理人】
【識別番号】100141324
【弁理士】
【氏名又は名称】小河 卓
(74)【代理人】
【識別番号】100153936
【弁理士】
【氏名又は名称】村田 健誠
(74)【代理人】
【識別番号】100160831
【弁理士】
【氏名又は名称】大谷 元
(72)【発明者】
【氏名】田仲 導生
【審査官】
土屋 正志
(56)【参考文献】
【文献】
実開昭63−164196(JP,U)
【文献】
特開2005−005132(JP,A)
【文献】
特開平10−027681(JP,A)
【文献】
国際公開第2010/137271(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05B 6/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
外郭を構成する本体と、
前記本体の上面に設けられ、調理容器が載置されるトッププレートと、
前記トッププレートの下に設置されたコイルベースと、
前記コイルベースの中央に前記トッププレートと対向するように設置された1つあるいは複数の第1加熱コイル、及び前記コイルベースに当該第1加熱コイルを中心として互いに対向するように周方向に配置された複数の第2加熱コイルと、
互いに対向する第2加熱コイルの双方のリード線が接続される接続手段と
を備え、
前記接続手段は、前記コイルベースの内側であって、かつ前記第1加熱コイルを中心とする周方向のうち、互いに対向する第2加熱コイルの間の中央に配置されていることを特徴とする加熱調理器。
【請求項2】
前記接続手段は、前記トッププレートと対向する前記コイルベースの下面に設けられていることを特徴とする請求項1記載の加熱調理器。
【請求項3】
前記接続手段は、前記コイルベース内に放射状に設けられた磁性体の間に設けられていることを特徴とする請求項1又は2記載の加熱調理器。
【請求項4】
前記接続手段に接続されるリード線は、前記コイルベースの内側に配線されていることを特徴とする請求項1〜3の何れか1項に記載の加熱調理器。
【請求項5】
前記第1及び第2加熱コイルの外部リード線の本数は、前記第1及び第2加熱コイルの個数より少ないことを特徴とする請求項1〜4の何れか1項に記載の加熱調理器。
【請求項6】
前記第2加熱コイルの各リード線は、長さが同じであることを特徴とする請求項1〜5の何れか1項に記載の加熱調理器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、調理容器である鍋を加熱コイルで誘導加熱する加熱調理器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の加熱調理器として、トッププレートの下に配置された加熱コイルを、加熱コイルの内周から外周にわたるU字形状のコイルベース(フェライト)の凹部に設置しているものがある(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2003−100429号公報(
図1)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、複数の加熱コイルが載置されたコイルベースでは、加熱コイルの外部リード線が加熱コイルの個数分コイルベースから出ていた。複数の加熱コイルの数が増えた場合には、外部リード線も増えるため、コイルベースから出る外部リード線も多くなってしまい、コイルユニットの組み立ての作業性に課題があった。また、加熱コイルの外部リード線の本数が多くなった場合には、冷却風を遮ることがあり、冷却効果を低下させる虞があった。
【0005】
本発明は、前述のような課題を解決するためになされたものであり、複数の加熱コイルであっても外部リード線の本数を増やすことなく、また、冷却効果を低下させることなく、組み立て作業性の良い加熱調理器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る加熱調理器は、外郭を構成する本体と、本体の上面に設けられ、調理容器が載置されるトッププレートと、トッププレートの下に設置されたコイルベースと、コイルベースの中央にトッププレートと対向するように設置された1つあるいは複数の第1加熱コイル、及びコイルベースに第1加熱コイルを中心として
互いに対向するように周方向に配置された複数の第2加熱コイルと、互いに対向する第2加熱コイルの双方のリード線が接続される接続手段とを備え、接続手段
は、コイルベースの内側であって、
かつ第1加熱コイルを中心とする周方向のうち、互いに対向する第2加熱コイルの間の中央に
配置されている。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、コイルベースの内側に設けた接続手段により、複数の加熱コイルのうち互いに接続される加熱コイルの双方のリード線を接続するようにしているので、リード線をコイルベースからはみ出すことなく容易に接続することが可能になり、作業性が向上する。また、前述したように加熱コイルの双方のリード線を接続手段を介して接続できるようにしているので、コイルベースから出る外部リード線を少なくできる。さらに、コイルベースの内側でリード線を配線でき、加熱コイルの数が増えたとしても外部リード線の本数を抑えることができるので、冷却風を遮るようなことがなくなった。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】実施の形態に係る加熱調理器の斜視図である。
【
図2】実施の形態に係る加熱調理器のトッププレートを取り外して示す斜視図である。
【
図3】
図2の加熱調理器において左側のコイルユニットを拡大して示す上面図である。
【
図4】
図3のコイルユニットを180度反転して示す下面図である。
【
図5】
図4の下面図において3個の端子台のうち下側に位置する端子台を拡大して示す平面図である。
【
図6】
図4の端子台部分を拡大して示す側面視の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
図1は実施の形態に係る加熱調理器の斜視図、
図2は実施の形態に係る加熱調理器のトッププレートを取り外して示す斜視図、
図3は
図2の加熱調理器において左側のコイルユニットを拡大して示す上面図、
図4は
図3のコイルユニットを180度反転して示す下面図、
図5は
図4の下面図において3個の端子台のうち下側に位置する端子台を拡大して示す平面図、
図6は
図4のコイルユニットの端子台部分を拡大して示す側面視の断面図である。
【0010】
これらの図において、本実施の形態の加熱調理器は、外郭を構成する加熱調理器本体1と、加熱調理器本体1の上部開口面を覆うように取り付けられ、外周に外枠を有するトッププレート2と、トッププレート2の後部の外枠に着脱自在に設けられた吸排気口のカバー3と、加熱調理器本体1の前面に配置された操作部4と、加熱調理器本体1の前面に操作部4と隣接して設けられたグリル扉5を備えている。トッププレート2は、例えば耐熱強化ガラスより構成されている。そのトッププレート2の下には、例えば2つのコイルユニット6、7と、1つのヒーターユニット8が配置されている。
【0011】
コイルユニット6には、後述するが、複数の加熱コイルが設けられ、コイルユニット7には、小径および大径のリング状の加熱コイルが設けられている。また、ヒーターユニット8には、ラジエントヒーターが設けられている。前述の加熱コイルに高周波電流が流れると、加熱コイルから高周波電流に応じた磁束が発生し、その磁束によりトッププレート2に載置された調理容器である鍋などが誘導加熱される。なお、ヒーターユニット8に代えて、コイルユニット7の外径より小さいコイルユニットを用いてもよい。
【0012】
前述のコイルユニット6は、
図3、
図4に示すように、コイルベース61と、複数のフェライト63と、複数の加熱コイル64、65、66を備えている。コイルベース61は、中央に位置する中央支持体62と、この中央支持体62を中心に放射状に伸びる複数の梁部62aと、この梁部62aの端部と連結されたリング形状の側板62bを有し、円盤状に形成されている。そして、梁部62aは、断面形状が下方向に開口するコの字状に形成され、その開口にフェライト63が嵌め込まれて固着されている。また、コイルベース61の上側面、つまり、梁部62aのフェライト63側の反対側の面には、後述する加熱コイル64、65、66が設けられている。
【0013】
フェライト63は、加熱コイル64、65、66から発生する磁束のうち下方や側方に漏洩する磁束の磁路としての役割をなしている。これによって、コイルユニット6から漏れる磁束を防止でき、操作部4に設けられた回路基板上の電子部品や、加熱コイル64、65、66に高周波電流を供給するための回路基板上の電子部品などへの悪影響を与えないように防いでいる。
【0014】
コイルユニット6の加熱コイル64は、リング状に形成され、中央支持体62を中心として中央支持体62の外周を囲むように配置されている。加熱コイル65は、加熱コイル64の外径より大きいリング状に形成され、その加熱コイル64の外周を囲むように配置されている。加熱コイル66は、例えば4個の加熱コイル66a、66b、66c、66dによって構成されている。その各加熱コイル66a、66b、66c、66dは、コイルベース61の周方向に延びた変形リング状に形成され、加熱コイル65の周囲に周方向に等間隔に配置されている。
【0015】
コイルユニット6の中央部分に配置された加熱コイル64、65は、例えば直列に接続されている。加熱コイル64の一端には外部リード線13が接続され、加熱コイル65の一端には外部リード線12が接続されている。加熱コイル65の周囲に配置されている4個の加熱コイル66a、66b、66c、66dのうち、加熱コイル66aと加熱コイル64cが互いに対向するように配置され、加熱コイル66bと加熱コイル64dが互いに対向するように配置されている。
【0016】
また、コイルユニット6の下面には、周方向に例えば3個の端子台17が配置されている。端子台17は、
図5に示すように、第1の溝部17aと、この第1の溝部17aの一方の端部から略直角に折り曲げられて形成された第2の溝部17bと、第1の溝部17aの他方の端部から第2の溝部17bと反対方向に略直角に折り曲げられた第3の溝部17cからなっている。前述の第1の溝部17a、第2の溝部17bおよび第3の溝部17cは、一体的に断面形状がコの字状の溝形状となっている。この端子台17を平面視した場合には、形状がクランク形状をなしている。
【0017】
また、端子台17の第1の溝部17aの内部には、第2の溝部17bと第3の溝部17cにそれぞれ配置されたリード線の端子17dを電気的に接続する接続手段16が取り付けられている。この接続手段16は、導電性を有する金属の板金で構成され、ネジ17eによって端子台17に固定されている。なお、リード線の端子17dは、接続手段16に対してネジ17fにより固定されている。
このように構成された端子台17は、接続手段16が設けられた第1の溝部17aの長手方向がコイルベース61の中心を向くように配置されていると共に、隣り合うフェライト63の間に端子台17の一部が入り込むように、コイルベース61にネジ17gにより固定されている(
図6参照)。
なお、端子台17をコイルベース61に固定するために用いるネジ17gは、接続手段16を端子台17に固定するためのネジ17eと共通化を行ってもよい。例えば、接続手段16と端子台17をコイルベース61に1つのネジで共締めにする。これにより、部品点数の低減と、製造過程における工数の低減(ネジ締め工程の低減)を図ることができる。
前述した端子台17の構成は、接続手段16が取り付けられた端子台17について述べたが、接続手段14、15が取り付けられた他の2個の端子台17も同じ構成となっている。
【0018】
加熱コイル66aは、一端が外部リード線9と接続され、他端がリード線91と接続されている。そのリード線91は、加熱コイル66bの下に配置された接続手段15と接続されている。加熱コイル66aと対向配置された加熱コイル66cは、一端がリード線92と接続され、他端がリード線93と接続されている。また、そのリード線92は、前述の接続手段15と接続され、もう一方のリード線93は、本コイル66cの下に配置された接続手段16と接続されている。
【0019】
また、加熱コイル66dは、一端が外部リード線10と接続され、他端がリード線101と接続されている。そのリード線101は、加熱コイル66aの下に配置された接続手段14と接続されている。加熱コイル66dと対向配置された加熱コイル66bは、一端がリード線102と接続され、他端がリード線103と接続されている。また、そのリード線102は、前述の接続手段14と接続され、もう一方のリード線103は、前述の接続手段16と接続されている。その接続手段16には、コモン線11が接続されている。
【0020】
各加熱コイル66a、66b、66c、66dの渡り配線として使用された6本のリード線91、92、93、101、102、103は、同じ長さで、コイルベース61の内側に配線されている。
【0021】
本実施の形態においては、加熱コイル64、65を1個のコイルとして1回路が構成され、2個の加熱コイル66a、66cで1回路が構成され、2個の加熱コイル66b、66dで1回路が構成され、全部で3回路となっている。5個の加熱コイルに対して外部リード線9、10、12、13の本数が4本で、コモン線11を含め5本となっている。そのコモン線11は、加熱コイル66a、66cの回路と加熱コイル66b、66dの回路のコモン線である。これら3つの回路は、鍋の大きさや調理に応じて切り替えられている。
【0022】
以上のように本実施の形態によれば、以下に示す効果が得られている。
(1)対向配置された加熱コイル66a、66cと加熱コイル66b、66dの各リード線91、92、93、101、102、103を、コイルベース61の内側に配置されたクランク形状の端子台17を用いて互いに接続するようにしている。これにより、コイルベース61の外部から出る外部リード線9、10の本数が少なくなり、そのため、加熱コイル64、65の外部リード線12、13とコモン線11の本数も含め5本と少なくなっている。
【0023】
(2)端子台17がクランク形状であるため、各リード線91、92、93、101、102、103を交差させることなくコイルベース61の内側に周方向に沿わせて配線することが可能になっている。特に、端子台17は、接続手段14、15、16が設けられた第1の溝部17aの長手方向がコイルベース61の中心を向くように配置されているので、コイルベース61の直径方向のスペースを有効に利用して、端子台17を配置することができる。
また、端子台17は、コイルベース61の厚み方向から極力はみ出ないように、隣り合うフェライト63の間に一部が入り込むように設けているので、コイルベース61の厚みを抑えることができる。
【0024】
(3)コイルベース61の内側に周方向に沿わせて配線することで、基板と接続される外部リード線9、10、12、13(コモン線11を含む)以外のリード線がはみ出ない構造となっている。そのため、コイルユニット6の周囲のスペースを確保でき、他機種の加熱調理器への流用がし易くなった。
【0025】
(4)コイルベース61から外部リード線9、10、12、13(コモン線11を含む)だけが露出する構造となっているので、次の工程でのリード線の接続が容易となり、組み立て作業におけるミスを低減できる。
【0026】
(5)コイルベース61の内側の配線により、コイルユニット6の下面に送風される冷却風を遮るということがなくなっている。
【0027】
(6)各リード線91、92、93、101、102、103の長さを同一としているので、リード線の製造が容易で管理しやすくなり、また、配線作業が容易となる。
【符号の説明】
【0028】
1 加熱調理器本体、2 トッププレート、3 カバー、4 操作部、5 グリル扉、6 コイルユニット、61 コイルベース、62 中央支持体、62a 梁部、62b コイルベースの側板、63 フェライト、64、65、66 加熱コイル、67 コイルベースの支持体、7 コイルユニット、8 ヒーターユニット、9 外部リード線、91、92、93 リード線、10 外部リード線、101、102、103 リード線、11 コモン線、12、13 外部リード線、14、15、16 接続手段、17 端子台、17a 第1の溝部、17b 第2の溝部、17c 第3の溝部、17d リード線の端子、17e、17f、17g、 ネジ。