特許第5766337号(P5766337)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5766337
(24)【登録日】2015年6月26日
(45)【発行日】2015年8月19日
(54)【発明の名称】化粧料
(51)【国際特許分類】
   A61K 8/81 20060101AFI20150730BHJP
   A61K 8/02 20060101ALI20150730BHJP
   A61K 8/37 20060101ALI20150730BHJP
   A61K 8/34 20060101ALI20150730BHJP
   A61K 8/35 20060101ALI20150730BHJP
   A61K 8/60 20060101ALI20150730BHJP
   A61Q 19/04 20060101ALI20150730BHJP
【FI】
   A61K8/81
   A61K8/02
   A61K8/37
   A61K8/34
   A61K8/35
   A61K8/60
   A61Q19/04
【請求項の数】9
【全頁数】20
(21)【出願番号】特願2014-127826(P2014-127826)
(22)【出願日】2014年6月23日
(65)【公開番号】特開2015-28000(P2015-28000A)
(43)【公開日】2015年2月12日
【審査請求日】2014年6月24日
(31)【優先権主張番号】特願2013-137449(P2013-137449)
(32)【優先日】2013年6月28日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000000918
【氏名又は名称】花王株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000084
【氏名又は名称】特許業務法人アルガ特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100077562
【弁理士】
【氏名又は名称】高野 登志雄
(74)【代理人】
【識別番号】100096736
【弁理士】
【氏名又は名称】中嶋 俊夫
(74)【代理人】
【識別番号】100117156
【弁理士】
【氏名又は名称】村田 正樹
(74)【代理人】
【識別番号】100111028
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 博人
(72)【発明者】
【氏名】勝倉 浩昭
【審査官】 山本 吾一
(56)【参考文献】
【文献】 特開2010−132566(JP,A)
【文献】 特表2007−523869(JP,A)
【文献】 特開平06−056630(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2007/0183994(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2007/0122364(US,A1)
【文献】 特表2001−505570(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 8/00
A61Q
CAplus/REGISTRY/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記(A)〜(E)成分を含有し、粘度が2000〜20000mPa・sである化粧料。
(A)アクリル酸塩及びアクリル酸ヒドロキシエチルから選択される1種以上と2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸又はその塩とを構成単位として含むコポリマー若しくはクロスポリマー、ポリアクリルアミド、又はこれらの混合物
(B)グリセリンの縮合度が6〜10であり、脂肪酸が炭素数14〜18の飽和又は不飽和脂肪酸であり、エステル化度が20〜75%であり、HLB10〜18のポリグリセリン脂肪酸エステル
(C)多価アルコール 10〜35質量%
(D)液状油 0.1〜20質量%
(E)タンニング剤
【請求項2】
(D)成分中に、炭素数5〜22の脂肪酸基を1以上有する脂肪酸トリグリセリドを70質量%以上含有する請求項1に記載の化粧料。
【請求項3】
(B)成分が、ミリスチン酸ポリグリセリル−10及びステアリン酸ポリグリセリル−10からなる群から選択される1種又は2種である請求項1又は2に記載の化粧料。
【請求項4】
(A)成分が、(アクリル酸ヒドロキシエチル/アクリロイルジメチルタウリンNa)コポリマー、(アクリル酸Na/アクリロイルジメチルタウリンNa)コポリマー及びポリアクリルアミドからなる群から選択される1種又は2種以上である請求項1〜のいずれかに記載の化粧料。
【請求項5】
(D)成分が、炭素数5〜22の脂肪酸基を2個以上有する脂肪酸トリグリセリドを70質量%以上含有する液状油である請求項1〜のいずれかに記載の化粧料。
【請求項6】
(E)成分が、ジヒドロキシアセトン及びエリスルロースである請求項1〜のいずれかに記載の化粧料。
【請求項7】
さらに(F)固形油を含有し、その含有量が(D)成分の総量に対して25質量%以下である請求項1〜のいずれかに記載の化粧料。
【請求項8】
(A)成分以外の高分子の含有量が、0.01〜5質量%である請求項1〜のいずれかに記載の化粧料。
【請求項9】
pHが、7以下である請求項1〜のいずれかに記載の化粧料。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はタンニング剤を含有する化粧料に関する。
【背景技術】
【0002】
セルフタンニング化粧料は、ジヒドロキシアセトン等のタンニング剤を含有し、タンニング剤が皮膚上のアミノ酸とメイラード反応を生じ、日焼けした肌のようなタンニング肌を作り出すことができる化粧料である。
【0003】
一般にタンニング剤は発色するまでに時間がかかり、タンニング効果が十分発現するまでに、5、6時間の時間を必要する。セルフタンニング化粧料を皮膚に塗った直後は無色であるため、均一に塗布したか否かが判定できず、皮膚に均一に塗布できなかった場合には、肌がオレンジ色に着色されてしまう、肌の色がまだらに見えるなどの問題が生じることになる。そのため、タンニング化粧料を均一に塗り広げられるよう、増粘剤等を用いて一定以上の粘度を有するよう調整される。
一方、タンニング剤は反応性の高い不安定な物質であるため、貯蔵安定性の確保が大きな課題である。例えば、タンニング剤の1つであるジヒドロキシアセトンは、pHが7以上になると異性化と縮合により、タンニング効果が失われてしまうことが知られている。
そのため、セルフタンニング化粧料を酸性側に調整することが必要となるが、安価で増粘効果が高く、化粧品分野で汎用されているカルボキシビニルポリマーは、増粘可能なpH範囲が限られており、弱酸性以下のpH領域ではカルボキシビニルポリマーは増粘しないため、利用出来ないという問題があった。
【0004】
上記のような問題を解決するため、例えば特許文献1では水溶性又は水分散性のアクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸ポリマーを配合することで貯蔵安定性を高めた透明な自己サンタン水性ゲルが提案されている。さらに、特許文献2では3.5〜4.5を有し、セルフタンニング剤、ポリマー及び多価アルコール湿潤剤を含む安定な化粧品組成物が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許3876266号公報
【特許文献2】特表2007−526216号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に記載の発明では、水溶性又は水分散性のアクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸コポリマーを配合することで貯蔵安定性を高めているが、油剤量が少ない自己サンタン水性ゲルでは保湿力が十分でなく、消費者が使用時に乾燥感を感じるという問題があった。また、特許文献2に記載の発明では、一定以上の粘度を持たせることで貯蔵安定性が確保されているが、粘度が高いことによりタンニング速度が遅くなるという問題があった。さらに保湿剤や油剤を多く配合した場合、べたつき感が強く感じられるばかりでなく、乾くまでに時間がかかり、均一に塗布することが難しくなるという問題があった。
【0007】
従って、本発明の目的は、貯蔵安定性に優れ、かつ保湿力に優れ、タンニング速度とタンニングの均一性に優れた化粧料を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
そこで、本発明者は、鋭意検討した結果、特定のアクリル系ポリマー、ポリグリセリン脂肪酸エステル、多価アルコール、液状油及びタンニング剤を併用すれば、全く意外にも低粘度であるにもかかわらず、保湿性が良好で、タンニング剤の貯蔵安定性に優れ、タンニング速度が速く、均一塗布性に優れる化粧料が得られることを見出し、本発明を完成した。
【0009】
すなわち、本発明は下記(A)〜(E)成分を含有し、粘度が2000〜20000mPa・sである化粧料に関する。
(A)アクリル酸塩及びアクリル酸ヒドロキシエチルから選択される1種以上と2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸又は塩とを構成単位として含むコポリマー若しくはクロスポリマー、ポリアクリルアミド、又はこれらの混合物
(B)ポリグリセリン脂肪酸エステル
(C)多価アルコール 10〜35質量%
(D)液状油 0.1〜20質量%
(E)タンニング剤
【0010】
また、本発明は、上記の化粧料のセルフタンニング化粧料としての使用に関する。
さらに、本発明は、上記の化粧料を皮膚に局所適用することを含む、皮膚の色調を調整する方法に関する。
【発明の効果】
【0011】
本発明の化粧料は、低粘性でありながら、タンニング剤の貯蔵安定性に優れ、保湿力が高く、自然な色合いのタンニング肌を作り出すことができる。さらに、タンニング速度とタンニングの均一性に優れ、べたつき感のない、優れた使用感を有する化粧料である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の構成を詳述する。
【0013】
本発明の化粧料は、上記(A)〜(E)成分を含有する。
【0014】
本発明における(A)成分はアクリル酸塩及びアクリル酸ヒドロキシエチルから選択される1種以上と2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸又はその塩とを構成単位として含むコポリマー若しくはクロスポリマー、ポリアクリルアミド、又はこれらの混合物である。
【0015】
化粧料の貯蔵安定性、べたつき感の抑制の点から、ポリアクリルアミド、アクリル酸塩とアクリロイルジメチルタウリン塩との共重合体、及びアクリル酸ヒドロキシエチルとアクリロイルジメチルタウリン塩との共重合体から選択される1種又は2種以上を用いることが好ましく、ポリアクリルアミド及びアクリル酸ヒドロキシエチルとアクリロイルジメチルタウリン塩との共重合体から選択される1種又は2種以上を用いることがより好ましく、アクリル酸ヒドロキシエチルとアクリロイルジメチルタウリン塩との共重合体を用いるのがさらに好ましい。具体的には、(アクリル酸ヒドロキシエチル/アクリロイルジメチルタウリンNa)コポリマー、(アクリル酸Na/アクリロイルジメチルタウリンNa)コポリマー及びポリアクリルアミドからなる群から選択される1種又は2種以を用いるのがさらに好ましい。
【0016】
これらは、SEPPIC社より、(アクリル酸ヒドロキシエチル/アクリロイルジメチルタウリンNa)コポリマーとしては、SEPINOV EMT10、SIMULGEL NS、SIMULGEL FL、SIMULGEL Sが、(アクリル酸Na/アクリロイルジメチルタウリンNa)コポリマーとしてはSIMULGEL EGが、ポリアクリルアミドとしてはSEPIGEL305、SEPIGEL501が市販されている。
【0017】
(A)成分の化粧料中の含有量は、化粧料の貯蔵安定性の点、タンニングの均一性、タンニング速度及びべたつき感の低減の点から、0.3質量%以上が好ましく、0.5質量%以上がより好ましく、また2質量%以下が好ましく、1.5質量%以下がより好ましい。具体的な範囲としては、0.3〜2質量%が好ましく、0.3〜1.5質量%がより好ましく、0.5〜1.5質量%がさらに好ましい。
【0018】
本発明における成分(B)ポリグリセリン脂肪酸エステルを構成する脂肪酸としては、複数の種類の脂肪酸を混合して用いても良く、飽和の合成脂肪酸、天然由来の動物脂肪酸、植物油脂由来脂肪酸等の脂肪酸混合物を用いても良い。ポリグリセリン脂肪酸エステルを構成する脂肪酸としては、例えば、炭素数12〜22の飽和脂肪酸又は不飽和脂肪酸が用いられ、その中でも炭素数14〜18の飽和脂肪酸又は不飽和脂肪酸が好ましい。例えば、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘン酸等が挙げられ、これらを1種又は2種以上用いることができる。中でも特に、ミリスチン酸、パルミチン酸及びステアリン酸からなる群から選択される1種又は2種以上を用いると、皮膚に適用したときに刺激が低く安全性が高い点から好ましい。
【0019】
(B)ポリグリセリン脂肪酸エステルにおけるグリセリンの縮合度は、2〜10の範囲が好ましく、6〜10の範囲がより好ましい。また、(B)ポリグリセリン脂肪酸エステルのエステル化度(ポリグリセリンの有する水酸基に対して脂肪酸がエステル結合している割合(%))は、20〜75%が好ましく、30〜55%がより好ましい。
【0020】
(B)成分としては、ポリグリセリンの縮合度が2〜10であり、脂肪酸が炭素数12〜22の飽和又は不飽和脂肪酸のエステルであり、エステル化度が20〜75%であるポリグリセリン脂肪酸エステルが好ましい。
【0021】
好適に用いられるポリグリセリン脂肪酸エステルの具体的な例としては、ヘキサグリセリンのトリ、テトラ、ペンタ、ヘキサ、又はヘプタ脂肪酸エステル;デカグリセリンのトリ、テトラ、ペンタ、ヘキサ、ヘプタ、オクタ、ノナ、デカ、又はウンデカ脂肪酸エステル等が挙げられる。
【0022】
市販品としては、具体的には、サンソフトQ14Y−C(ミリスチン酸ポリグリセリル−10、HLB=16.7)、Q142Y−C(ジミリスチン酸ポリグリセリル−10、HLB=12.3)、Q18Y−C(ステアリン酸ポリグリセリル−10、HLB=17.5)、Q18S−C(ステアリン酸ポリグリセリル−10、HLB=15.1)、A14E−C(ミリスチン酸ポリグリセリル−、HLB=15.4)、A18E−C(ステアリン酸ポリグリセリル−5、HLB=13.0)(太陽化学社製)、SフェイスM1001(ミリスチン酸ポリグリセリル−10、HLB=14.8)、S1001(ステアリン酸ポリグリセリル−10、HLB=14.1)(阪本薬品工業社製)、NIKKOL Hexaglyn1−M(ミリスチン酸ポリグリセリル−6、HLB=11.0)、1−SV(ステアリン酸ポリグリセリル−6、HLB=9.0)(日光ケミカルズ社製)等が挙げられる。これら市販品から選ばれる1種又は2種以上を用いるのが好ましい。
【0023】
(B)ポリグリセリン脂肪酸エステルは、25℃にて流動性を有する状態(ペースト状を含む)である液状のポリグリセリン脂肪酸エステルであることが好ましい。また、(B)ポリグリセリン脂肪酸エステルとしては、化粧料の貯蔵安定性、タンニング効果を得る点から、HLBが9以上であるものが好ましく、HLBが10以上であるものがより好ましく、HLBが12以上であるものがさらに好ましく、HLBが20以下であるものが好ましく、HLBが18以下であるものがより好ましく、HLBが16以下であるものがさらに好ましい。HLBの具体的な範囲としては、9〜20が好ましく、10〜18がより好ましく、12〜16がさらに好ましい。
ここで、HLBは、次式(Griffinの式):
HLB値=20(1−S/A)
(S:ケン化価、A:脂肪酸の中和価)
で求められる。また、2種以上のポリグリセリン脂肪酸エステルを用いる場合、これらの混合物のHLBは、各ポリグリセリン脂肪酸エステルのHLBの加重平均から求めることができる。
【0024】
これらのポリグリセリン脂肪酸エステルは混合物として得られることが多く、この場合、グリセリン縮合度及び/又はエステル化度の異なる成分から構成される。
【0025】
(B)ポリグリセリン脂肪酸エステルの化粧料中の含有量は、化粧料の貯蔵安定性、タンニングの均一性、タンニング速度及びべたつき感の抑制の点から、0.1質量%以上が好ましく、0.3質量%以上がより好ましく、0.5質量%以上がさらに好ましく、また5質量%以下が好ましく、3質量%以下がより好ましく、1質量%以下がさらに好ましい。具体的な範囲としては、0.1〜5質量%が好ましく、0.3〜3質量%がより好ましく、0.3〜1質量%がさらに好ましく、0.5〜1質量%がさらに好ましい。
【0026】
本発明で用いる(C)多価アルコールとしては、分子内に2個以上の水酸基を持つ化合物であり、好ましくは2〜4価アルコールを用いることができる。多価アルコールとしては、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール(平均分子量650未満)、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール(平均分子量650未満)、イソプレングリコール、1,3−ブチレングリコール等のグリコール類;グリセリン、ジグリセリン、ポリグリセリン;ペンタエリスリトール等が挙げられる。これらの多価アルコールは、1種又は2種以上を適宜組み合わせて使用することができる。
【0027】
これらのうち、溶解性及び使用性の点から、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、グリセリン、ジグリセリン及びペンタエリスリトールから選ばれる1種又は2種以上が好適に利用でき、さらに好ましくはジプロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、グリセリン及びジグリセリンから選ばれる1種又は2種以上である。
【0028】
(C)多価アルコールの化粧料中における含有量は、化粧料の貯蔵安定性及びタンニングの均一性の点から、10質量%以上が好ましく、13質量%以上がより好ましく、16質量%以上がさらに好ましい。また、タンニング速度の点から、35質量%以下が好ましく、31質量%以下がより好ましく、27質量%以下がさらに好ましい。具体的な範囲としては、10〜35質量%が好ましく、より好ましくは13〜31質量%であり、さらに好ましくは16〜27質量%である。当該範囲内であれば、しっとり感が良好で、きしみ感、べたつき感もなく好ましい。
【0029】
本発明に用いる(D)液状油としては、融点が30℃以下の油剤である。これらの油剤は、1気圧下、25℃にて流動性を有する油剤である。なお、融点の測定法は、化粧品原料基準記載の第3法によるものである。
(D)液状油中に含まれる油剤としては、1気圧下、25℃の環境下において液状であれば特に限定されない。具体的には、α−オレフィンオリゴマー、流動イソパラフィン、流動パラフィン、スクワラン等の炭化水素油;トリオクタン酸グリセリル、アボカド油、オリーブ油、ゴマ油、コメヌカ油、サフラワー油、ダイズ油、トウモロコシ油、ナタネ油、ヒマシ油、綿実油、ミンク油等のトリグリセリド;オレイン酸、イソステアリン酸等の脂肪酸;ミリスチン酸イソプロピル、ミリスチン酸ブチル、パルミチン酸イソプロピル、オレイン酸エチル、リノール酸エチル、リノール酸イソプロピル、カプリル酸セチル、ラウリン酸ヘキシル、ミリスチン酸デシル、オレイン酸デシル、オレイン酸オレイル、ラウリン酸イソステアリル、ミリスチン酸イソトリデシル、ミリスチン酸イソセチル、ミリスチン酸イソステアリル、ミリスチン酸オクチルドデシル、パルミチン酸オクチル、パルミチン酸イソセチル、パルミチン酸イソステアリル、オレイン酸イソデシル、イソステアリン酸イソプロピル、2−エチルヘキサン酸セチル、2−エチルヘキサン酸ステアリル、ジカプリン酸プロピレングリコール、ジオレイン酸プロピレングリコール、トリ2−エチルヘキサン酸グリセリル、炭酸ジカプリリル、トリ(カプリル酸・カプリン酸)グリセリル、イソノナン酸イソノニル、セバシン酸ジイソプロピル、イソステアリン酸プロピレングリコール、パラメトキシケイ皮酸2−エチルヘキシル、パラメトキシケイ皮酸2−エトキシエチル、パラメトキシケイ皮酸イソプロピル・ジイソプロピルケイ皮酸エステル混合物、トリメトキシケイ皮酸メチルビス(トリメチルシロキシ)シリルイソペンチル、パラジメチルアミノ安息香酸アミル、パラジメチルアミノ安息香酸2−エチルヘキシル、サリチル酸エチレングリコール、サリチル酸2−エチルヘキシル、サリチル酸ベンジル、サリチル酸ホモメンチル、オクトクリレン、ジメチルジエチルベンザルマロネート等のエステル油;2−オクチルドデカノール、イソステアリルアルコール、オレイルアルコール等の分岐又は不飽和の高級アルコール;ジメチルポリシロキサン、デカメチルテトラシロキサン、ドデカメチルペンタシロキサン、メチルフェニルポリシロキサンなどのシリコーン油を挙げることができる。
【0030】
本発明においては、貯蔵安定性、タンニング速度及び塗布時の滑らかな感触を得る点から、(D)液状油中に、炭素数5〜22の脂肪酸基を1個以上有する脂肪酸トリグリセリドを50質量%超含有することが好ましい。当該脂肪酸トリグリセリドとしては、水中油型乳化系を得て、皮膚に塗布したときの使用感、特に軽さ、さっぱり感の点で炭素数5〜22の脂肪酸基を2個以上有する脂肪酸トリグリセリドが好ましく、特に炭素数5〜22の脂肪酸基を3個有する脂肪酸トリグリセリドが好ましい。
このような脂肪酸トリグリセリドとしては、例えばオリーブ油、マカデミアナッツ油、メドフォーム油、ヒマシ油、紅花油、ヒマワリ油、アボカド油、キャノーラ油、キョウニン油、米胚芽油、米糠油などの植物油;トリカプロイン、トリカプリリン、トリイソステアリン、トリエライジン、トリエルシン、トリリノレイン、トリオレイン、トリ(カプリル・カプリン酸)グリセリル、トリ(カプリル・カプリン・リノール酸)グリセリル、トリ(リシノレイン・カプロン・カプリル・カプリン酸)グリセリル等の合成グリセリドが挙げられ、化粧品、医薬品用原料として市販されているものを利用することができる。本発明においては、これらを1種又は2種以上を選択して用いることができる。
【0031】
これらのうち、貯蔵安定性の良さ、タンニング速度及びタンニングの均一性を得る点から、好ましくはオリーブ油、マカデミアナッツ油、メドフォーム油、ヒマシ油、紅花油、ヒマワリ油、アボカド油、キャノーラ油、キョウニン油、米胚芽油、米糠油から選択される1種以上の植物油、又は脂肪酸トリグリセリドを構成する脂肪酸残基の炭素数が6〜10である脂肪酸トリグリセリドであり、より好ましくはオリーブ油、マカデミアナッツ油、トリ(カプリル・カプリン)酸グリセリルから選択される1種以上の脂肪酸トリグリセリドである。
【0032】
(D)液状油中の前記脂肪酸トリグリセリドの含有量は、貯蔵安定性の良さ、タンニング速度、タンニングの均一性及び塗布時のなめらかな感触を得る点で、50質量%超が好ましく、60〜100質量%がより好ましく、70〜100質量%がさらに好ましく、75〜100質量%がさらに好ましい。また、(D)成分は、(D)成分中に、炭素数5〜22の脂肪酸基を1個以上有する脂肪酸トリグリセリドを70質量%以上含有する液状油が好ましく、さらに炭素数5〜22の脂肪酸基を2個以上有する脂肪酸トリグリセリドを70質量%以上含有する液状油がより好ましく、5〜22の脂肪酸基を3個有する脂肪酸トリグリセリドを70質量%以上含有する液状油がさらに好ましい。
【0033】
(D)液状油の化粧料中の含有量は、タンニング速度、タンニングの均一性及び保湿感の良さの点から、0.1質量%以上が好ましく、2質量%以上がより好ましく、5質量%以上がさらに好ましく、化粧料の貯蔵安定性、べたつき感の抑える点から、20質量%以下が好ましく、18質量%以下がより好ましく、15質量%以下がさらに好ましい。より具体的には、0.1〜20質量%が好ましく、2〜18質量%がより好ましく、5〜15質量%がさらに好ましい。
【0034】
また、本発明においては、粘度調整、感触調整のため、任意成分として(F)固形油を用いることもできるが、タンニング速度及びタンニングの均一性の点から、(D)液状油の総量に対して、25質量%以下であることが好ましく、0〜20質量%とすることがより好ましく、0〜10質量%とすることがさらに好ましく、0〜5質量%とすることがさらに好ましい。
なお、本発明において固形油とは、融点が30℃超の油剤である。これらの油剤は、25℃にて流動性を有さない又は低い状態であり、ペースト(半固形)状の油剤を含むものである。なお、融点の測定法は、化粧品原料基準記載の第3法によるものである。
(F)固形油中に含まれる油剤としては、トリラノリン脂肪酸グリセリル、軟質ラノリン脂肪酸、ジペンタエリトリット脂肪酸エステル(ヘキサオキシステアリン酸ジペンタエリトリット等)、イソステアリン酸硬化ヒマシ油、モノヒドロキシステアリン酸硬化ヒマシ油、トリ(カプリル・カプリン・ミリスチン・ステアリン酸)グリセリド、乳酸ミリスチル等のエステル油、セレシン、パラフィンロウ、ポリエチレン末、マイクロクリスタリンワックス、ワセリン等の炭化水素、ヤシ油、シア脂、牛脂、硬化油、馬油等の油脂、カルナウバロウ、キャンデリラロウ、コメヌカロウ、セラック、ラノリン、ミツロウ等のロウ類、ラウリン酸、ミリスチン、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘン酸、12−ヒドロキシステアリン酸等の脂肪酸、ミリスチルアルコール、セチルアルコール、ステアリルアルコール、ベヘニルアルコール、コレステロール、フィトステロール等の高級アルコールなどが挙げられる。
【0035】
本発明における(E)タンニング剤としては、肌に塗布した際に皮膚上のアミノ酸とメイラード反応を起こすことで、日焼け肌のような色合いに茶褐変させることのできる成分であり、具体的にはジヒドロキシアセトン、グリセリルアルデヒド、2,3−ジヒドロキシ−スクシンジアルデヒド、2,3−ジメトキシスクシンジアルデヒド、エリスルロース、エリトロース、2−アミノ−3−ヒドロキシ−スクシンジアルデヒド、2−ベンジルアミノ−3−ヒドロキシ−スクシンジアルデヒド等が挙げられる。これらは1種又は2種以上を用いることができる。
これらのうち、タンニング効果、タンニングの均一性の点から、ジヒロドキシアセトン、エリスルロースを含有することが好ましく、ジヒロドキシアセトンとエリスルロースを2種含有することがより好ましい。これらは一般的に市販されており、DHAPlus、DHArapid(メルク社製)、エリスルロース(DSN社製)等が挙げられる。
タンニング剤の化粧料中における含有量は、良好なタンニング効果、タンニングの均一性、タンニング速度の点から、0.5質量%以上が好ましく、2質量%以上がより好ましく、3質量%以上がさらに好ましく、また10質量%以下が好ましく、8質量%以下がより好ましく、5質量%以下がより好ましい。具体的な範囲としては、0.5〜10質量%が好ましく、より好ましくは2〜8質量%であり、さらに好ましくは2〜5質量%であり、さらに好ましくは3〜5質量%である。
【0036】
本発明の化粧料には、水溶性のカチオン性高分子、アニオン性高分子、非イオン性高分子、及び、両性高分子又は双極性高分子等の(A)成分以外の高分子を本発明の効果を損なわない範囲で含有することができる。
カチオン性高分子としては、具体的には、塩化O−[2−ヒドロキシ−3−(トリメチルアンモニオ)プロピル]基を有するヒドロキシエチルセルロース(ポリクオタニウム−10)、(ビニルピロリドン-ジメチルアミノメチルエチルメタクリレート共重合体ジエチル硫酸塩(ポリクオタニウム−11)、塩化メチルビニルイミダゾリウム・ビニルピロリドン共重合体などが挙げられる。
アニオン性高分子としては、具体的には、カルボキシビニルポリマー、カルボキシメチルセルロース、カラギーナン、キサンタンガム、ポリスチレンスルホネート、寒天、ガッチガム、カラヤガム、ペクチン、アルギネート塩、アクリル酸・メタクリル酸アルキル共重合体、ポリ(アクリル酸)、アクリル酸又はメタクリル酸のアルカリ金属及びアンモニウム塩などのアクリル酸又はメタクリル酸誘導体、ヒアルロン酸又はそのアルカリ金属塩が挙げられる。
非イオン性高分子としては、具体的には、セルロースエーテル(ヒドロキシブチルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロール、エチルヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース等)、プロピレングリコールアルギネート、ポリアクリル酸又はその塩、ポリ(エチレンオキシド)、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ヒドロキシプロピルグアーゴム、ローカストビーンゴム、グアーガム、タマリンド種子ガム、アミロース、ヒドロキシエチルアミロース、澱粉及び澱粉誘導体及びこれらの混合物などが挙げられる。
両性高分子又は双極性高分子として、具体的には、オクチルアクリルアミド/アクリレート/ブチルアミノエチルメタクリレートコポリマー、ポリクオタニウム−47、ポリクオタニウム−43などが挙げられる。
【0037】
これらのうち、好ましくはキサンタンガム、カラギーナン、ローカストビーンガム、グアーガム、タマリンド種子ガムであり、より好ましくはキサンタンガム、ローカストビーンガム、グアーガムであり、さらに好ましくはキサンタンガムである。これらは1種又は2種以上を用いることができる。
【0038】
これらの(A)成分以外の高分子の化粧料中における含有量は、使用感の調整、粘度の調整の点から、0.01質量%以上が好ましく、0.1質量%以上がより好ましく、0.15質量%以上がさらに好ましく、また5質量%以下が好ましく、3質量%以下がより好ましく、2質量%以下がさらに好ましく、1質量%以下がさらに好ましい。具体的な範囲としては、0.01〜5質量%が好ましく、0.1〜3質量%がより好ましく、0.15〜2質量%がさらに好ましく、0.15〜1質量%がさらに好ましい。
【0039】
本発明において、発明の効果を損なわない範囲であれば、上記必須成分の他に、両性界面活性剤、非イオン性界面活性剤、ガム質、噴射剤、防腐剤、キレート剤、酸化防止剤、pH調整剤、色素、香料、粉体等を配合することも可能である。
【0040】
本発明における化粧料の粘度は、タンニング速度、タンニングの均一性の点から、2000〜20000mPa・sであることが必要であり、好ましくは2500mPa・s以上であり、より好ましくは3000mPa・s以上であり、さらに好ましくは4000mPa・sであり、また好ましくは15000mPa・s以下であり、より好ましくは12000mPa・s以下であり、さらに好ましくは9000mPa・sある。具体的に好ましくは2500〜15000mPa・sであり、より好ましくは3000〜12000mPa・sであり、さらに好ましくは4000〜9000mPa・sである。
【0041】
本発明における粘度は、B型粘度計(ビスメトロン粘度計:型式VS−A1(芝浦システム製)を用いて、1気圧下、25℃の条件にて測定された粘度である。
具体的には、500超〜10000mPa・sの範囲の粘度を測定するには、スピンドル番号3、12rpm(回転/分)、30秒にて、10000超〜20000mPa・sの範囲の粘度を測定するには、スピンドル番号4、12rpm(回転/分)、30秒にて測定される。
【0042】
本発明の化粧料のpH値は、化粧料の貯蔵安定性、タンニング効果の点から、7以下であることが好ましく、6以下であることがより好ましく、5以下であることがさらに好ましく、4以下であることがさらに好ましく、また3以上であることが好ましい。具体的にpH値は、7以下であることが好ましく、3〜6の範囲であることがより好ましく、3〜5の範囲であることがさらに好ましく、3〜4の範囲であることがさらに好ましい。本発明のpH値は、pHメーター(堀場製作所製、型番F−22)を用いて、1気圧下、25℃の条件にて測定されたpH値である。
【0043】
本発明の化粧料は、化粧料の貯蔵安定性、タンニング効果、保湿感、さっぱりとした使用感の点から、乳化組成物とすることが好ましく、水中油型乳化型組成物とすることがより好ましい。乳化組成物における油相と水相の質量比率(油相/水相)は、安定性、さっぱりとした使用感の点から、0.01以上が好ましく、0.05以上がより好ましく、また、0.4以下が好ましく、0.2以下がより好ましい。具体的な範囲としては0.01〜0.4が好ましく、0.05〜0.2がより好ましい。
また、乳化組成物における水の含有量は組成物全体に対して50質量%以上が好ましく、55質量%以上がより好ましく、また80質量%以下が好ましく、75質量%以下がより好ましい。具体的な範囲としては、50〜80質量%が好ましく、55〜75質量%がより好ましい。
【0044】
本発明の化粧料は、セルフタンニング化粧料として使用できる他、日焼け止め化粧料、化粧下地化粧料等として利用することができる。また、本発明の化粧料の剤形としては、ローション、乳液の形態以外にシート剤、スプレー剤、ムース剤としても適用できる。本発明の化粧料を皮膚に局所適用すれば、皮膚の色調を調整することができる。
【0045】
上述した実施形態に関し、本発明はさらに以下の化粧料、使用及び方法を開示する。
【0046】
<1>下記(A)〜(E)成分を含有し、粘度が2000〜20000mPa・sである化粧料。
(A)アクリル酸塩及びアクリル酸ヒドロキシエチルから選択される1種以上と2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸又はその塩とを構成単位として含むコポリマー若しくはクロスポリマー、ポリアクリルアミド、又はこれらの混合物
(B)ポリグリセリン脂肪酸エステル
(C)多価アルコール 10〜35質量%
(D)液状油 0.1〜20質量%
(E)タンニング剤
<2>(A)成分が、好ましくは、ポリアクリルアミド、アクリル酸塩とアクリロイルジメチルタウリン塩との共重合体、及びアクリル酸ヒドロキシエチルとアクリロイルジメチルタウリン塩との共重合体から選択される1種又は2種以上であり、より好ましくはポリアクリルアミド及びアクリル酸ヒドロキシエチルとアクリロイルジメチルタウリン塩との共重合体から選択される1種又は2種以上であり、さらに好ましくはアクリル酸ヒドロキシエチルとアクリロイルジメチルタウリン塩との共重合体である<1>の化粧料。
<3>(A)成分が、(アクリル酸ヒドロキシエチル/アクリロイルジメチルタウリンNa)コポリマー、(アクリル酸Na/アクリロイルジメチルタウリンNa)コポリマー及びポリアクリルアミドからなる群から選択される1種又は2種以である<1>又は<2>の化粧料。
<4>(A)成分の化粧料中の含有量が、好ましくは0.3質量%以上、より好ましくは0.5質量%以上であり、また好ましくは2質量%以下、より好ましくは1.5質量%以下である<1>〜<3>のいずれかの化粧料。
<5>(A)成分の化粧料中の含有量が、好ましくは0.3〜2質量%であり、より好ましくは0.3〜1.5質量%であり、さらに好ましくは0.5〜1.5質量%である<1>〜<4>のいずれかの化粧料。
<6>(B)成分が、ポリグリセリンの縮合度が好ましくは2〜10、より好ましくは6〜10であり、脂肪酸が好ましくは炭素数12〜22、より好ましくは炭素数14〜18の飽和又は不飽和脂肪酸のエステルである<1>〜<5>のいずれかの化粧料。
<7>(B)成分が、エステル化度が好ましくは20〜75%、より好ましくは30〜55%のポリグリセリン脂肪酸エステルである<1>〜<6>のいずれかの化粧料。
<8>(B)成分が、ポリグリセリンの縮合度が2〜10であり、脂肪酸が炭素数12〜22の飽和又は不飽和脂肪酸のエステルであり、エステル化度が20〜75%である<1>〜<7>のいずれかの化粧料。
<9>(B)成分が、好ましくはHLB9以上、より好ましくはHLB10以上、さらに好ましくはHLB12以上、また好ましくはHLBが20以下、より好ましくはHLB18以下、さらに好ましくはHLB16以下のポリグリセリン脂肪酸エステルである<1>〜<8>のいずれかの化粧料。
<10>(B)成分が、HLB9〜20のポリグリセリン脂肪酸エステルであり、好ましくはHLB10〜18のポリグリセリン脂肪酸エステルであり、より好ましくはHLB12〜16のポリグリセリン脂肪酸エステルである<1>〜<9>のいずれかの化粧料。
<11>(B)成分が、ミリスチン酸ポリグリセリル−10、ジミリスチン酸ポリグリセリル−10、ステアリン酸ポリグリセリル−10、ステアリン酸ポリグリセリル−10、ミリスチン酸ポリグリセリル−10、ステアリン酸ポリグリセリル−5、ミリスチン酸ポリグリセリル−10、ステアリン酸ポリグリセリル−10、ミリスチン酸ポリグリセリル−6、ステアリン酸ポリグリセリル−6からなる群から選択される1種又は2種以上である<1>〜<10>のいずれかの化粧料。
<12>(B)成分の化粧料中の含有量が、好ましくは0.1質量%以上、より好ましくは0.3質量%以上、さらに好ましくは0.5質量%以上、また好ましくは5質量%以下、より好ましくは3質量%以下、さらに好ましくは1質量%以下である<1>〜<11>のいずれかの化粧料。
<13>(B)成分の化粧料中の含有量が、好ましくは0.1〜5質量%、より好ましくは0.3〜3質量%、さらに好ましくは0.3〜1質量%であり、さらに好ましくは0.5〜1質量%である<1>〜<12>のいずれかの化粧料。
<14>(C)成分が、2〜4価アルコールである<1>〜<13>のいずれかの化粧料。
<15>(C)成分が、好ましくはエチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール(平均分子量650未満)、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール(平均分子量650未満)、イソプレングリコール、1,3−ブチレングリコール、グリセリン、ジグリセリン、ポリグリセリン及びペンタエリスリトールから選ばれる1種又は2種以上であり、より好ましくはエチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、グリセリン、ジグリセリン及びペンタエリスリトールから選ばれる1種又は2種以上であり、さらに好ましくはジプロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、グリセリン及びジグリセリンから選ばれる1種又は2種以上である<1>〜<14>のいずれかの化粧料。
<16>(C)成分の化粧料中の含有量が、好ましくは10質量%以上、より好ましくは13質量%以上、さらに好ましくは16質量%以上であり、また、好ましくは35質量%以下、より好ましくは31質量%以下、さらに好ましくは27質量%以下である<1>〜<15>のいずれかの化粧料。
<17>(C)成分の化粧料中の含有量が、好ましくは10〜35質量%、より好ましくは13〜31質量%、さらに好ましくは16〜27質量%である<1>〜<16>のいずれかの化粧料。
<18>(D)成分が、融点が30℃以下の油剤であり、好ましくは炭化水素油、トリグリセリド、脂肪酸、エステル油、分岐又は不飽和の高級アルコール、及びシリコーンから選ばれる1種又は2種以上である<1>〜<17>のいずれかの化粧料。
<19>(D)成分が、(D)成分中に、炭素数5〜22の脂肪酸基を1以上有する脂肪酸トリグリセリドを50質量%超、より好ましくは60〜100質量%、さらに好ましくは70〜100質量%、さらに好ましくは75〜100質量%含有する液状油である<1>〜<18>のいずれかの化粧料。
<20>(D)成分が、(D)成分中に炭素数5〜22の脂肪酸基を1以上有する脂肪酸トリグリセリドを70質量%以上含有する液状油であり、好ましくは炭素数5〜22の脂肪酸基を2個以上有する脂肪酸トリグリセリドを70質量%含有する液状油であり、より好ましくは炭素数5〜22の脂肪酸基を3個有する脂肪酸トリグリセリドを70質量%含有する液状油である<1>〜<19>のいずれかに記載の化粧料。
<21>(D)成分の化粧料中の含有量が、好ましくは0.1質量%以上、より好ましくは2質量%以上、さらに好ましくは5質量%以上であり、また、好ましくは20質量%以下、より好ましくは18質量%以下、さらに好ましくは15質量%以下である<1>〜<20>のいずれかの化粧料。
<22>(D)成分の化粧料中の含有量が、好ましくは0.1〜20質量%、より好ましくは2〜18質量%、さらに好ましくは5〜15質量%である<1>〜<21>のいずれかの化粧料。
<23>さらに、(E)成分の融点が30℃超の固形油を含有し、その含有量が(D)液状油の総量に対して好ましくは25質量%以下、より好ましくは0〜20質量%、さらに好ましくは0〜10質量%であり、さらに好ましくは0〜5質量%である<1>〜<22>のいずれかの化粧料。
<24>(E)成分が、ジヒドロキシアセトン、グリセリルアルデヒド、2,3−ジヒドロキシ−スクシンジアルデヒド、2,3−ジメトキシスクシンジアルデヒド、エリスルロース、エリトロース、2−アミノ−3−ヒドロキシ−スクシンジアルデヒド及び2−ベンジルアミノ−3−ヒドロキシ−スクシンジアルデヒドから選ばれる1種又は2種以上であり、好ましくはジヒロドキシアセトン及びエリスルロースから選ばれる1種又は2種以上あり、より好ましくはジヒドロキシアセトン及びエリスルロースである<1>〜<23>のいずれかの化粧料。
<25>(E)成分の化粧料中の含有量が、好ましくは0.5質量%以上、より好ましくは2質量%以上、さらに好ましくは3質量%以上であり、また好ましくは10質量%以下、より好ましくは8質量%以下、さらに好ましくは5質量%以下である<1>〜<24>のいずれかの化粧料。
<26>(E)成分の化粧料中の含有量が、好ましくは0.5〜10質量%、より好ましくは2〜8質量%であり、さらに好ましくは2〜5質量%であり、さらに好ましくは3〜5質量%である<1>〜<25>のいずれかの化粧料。
<27>さらに、(A)成分以外の高分子を含有する、好ましくは(A)成分以外の高分子として、キサンタンガム、カラギーナン、ローカストビーンガム、グアーガム及びタマリンド種子ガムから選択される1種又は2種以上を含有する、より好ましくは(A)成分以外の高分子として、キサンタンガム、ローカストビーンガム、グアーガムから選択される1種又は2種以上を含有する、さらに好ましくは(A)成分以外の高分子として、キサンタンガムを含有する<1>〜<26>のいずれかの化粧料。
<28>(A)成分以外の高分子の含有量が、好ましくは0.01質量%以上、より好ましくは0.1質量%以上、さらに好ましくは0.15質量%以上、また好ましくは5質量%以下、より好ましくは3質量%以下、さらに好ましくは2質量%以下であり、さらに好ましくは1質量%以下である<27>の化粧料。
<29>(A)成分以外の高分子の含有量が、好ましくは0.01〜5質量%、より好ましくは0.1〜3質量%、さらに好ましくは0.15〜2質量%であり、さらに好ましくは0.15〜1質量%である<27>又は<28>の化粧料。
<30>粘度が、好ましくは2500mPa・s以上、より好ましくは3000mPa・s以上であり、さらに好ましくは4000mPa・s以上であり、また好ましくは15000mPa・s以下であり、より好ましくは12000mPa・s以下であり、さらに好ましくは9000mPa・s以上である<1>〜<29>のいずれかの化粧料。
<31>粘度が、好ましくは2500〜15000mPa・sであり、より好ましくは3000〜12000mPa・sであり、さらに好ましくは4000〜9000mPa・sである<1>〜<30>のいずれかの化粧料。
<32>pHが、好ましくは7以下、より好ましくは6以下、さらに好ましくは5以下であり、さらに好ましくは4以下であり、また好ましくは3以上である<1>〜<31>のいずれかの化粧料。
<33>pHが、好ましくは3〜6、より好ましくは3〜5であり、さらに好ましくは3〜4である<1>〜<32>のいずれかの化粧料。
<34>乳化組成物、好ましくは水中油型乳化型組成物である<1>〜<33>のいずれかの化粧料。
<35>乳化組成物における油相と水相の質量比率(油相/水相)が、好ましくは0.01以上、より好ましくは0.05以上であり、また好ましくは0.4以下、より好ましくは0.2以下である<34>の化粧料。
<36>乳化組成物における油相と水相の質量比率(油相/水相)が、好ましくは0.01〜0.4、より好ましくは0.05〜0.2である<34>又は<35>の化粧料。
<37>乳化組成物における水の含有量が、組成物全体に対して好ましくは50質量%以上、より好ましくは55質量%以上であり、また好ましくは80質量%以下、より好ましくは75質量%以下である<34>〜<36>のいずれかの化粧料。
<38>乳化組成物における水の含有量が、組成物全体に対して好ましくは50〜80質量%、より好ましくは55〜75質量%である<34>〜<37>のいずれかの化粧料。
<39><1>〜<38>のいずれかの化粧料のセルフタンニング化粧料としての使用。
<40><1>〜<38>のいずれかの化粧料を皮膚に適用することを含む、皮膚の色調を調整する方法。
【実施例】
【0047】
以下に実施例、比較例を挙げて本発明を説明する。本発明は、これらにより限定されるものではない。
【0048】
実施例1〜20、比較例1〜13
実施例、比較例に示した物性試験、官能試験の試験方法は下記の通りである。また、結果につき、表1〜表3に記載する。尚、以下の表に示す組成物の含有量は、それぞれ質量%で示す。
【0049】
(1)タンニング速度試験
試料を皮膚上に2mg/cm2塗布し、塗布直後から塗布後24時間経過時まで皮膚色を測定し、塗布前からの明度の変化を評価した。具体的には、測色計としてコニカミノルタ社のCM−2600dを用い、塗布前のL*値と塗布後のL*値の差(ΔL*値)の絶対値が2以上となった場合にタンニング効果が認められたと評価し、以下の基準により、タンニング速度の評価を行った。
【0050】
タンニング速度の評価基準
A:塗布後0〜4時間にてタンニング効果が認められる
B:塗布後4時間超7時間にてタンニング効果が認められる
C:塗布後7時間超にてタンニング効果が認められる
Z:塗布後24時間経過時おいてタンニング効果が認められない。
【0051】
(2)タンニングの均一性試験
前記タンニング速度試験において、ΔL*値の絶対値が2以上となった時点で、5人の専門判定者によってタンニングの均一性を目視にて5段階評価し、平均評価点を求めた。評価基準は以下の通りである。なお、塗布後24時間経過時にタンニング効果が認められない試料については、タンニングの均一性は評価していない。
【0052】
タンニングの均一性の評価基準
4:非常に均一(まだらに見える箇所が全くない)
3:均一(部分的にうっすらとまだらに見える箇所がある)
2:やや均一(全体的にうっすらとまだらに見える)
1:均一でない(部分的にはっきりとまだらに見える箇所がある)
0:全く均一でない(全体的にはっきりとまだらに見える)
【0053】
(3)貯蔵安定性試験
40℃6ヶ月保管後の試料を目視にて外観観察し、貯蔵安定性を以下の評価基準にて実施した。
【0054】
貯蔵安定性の評価基準
A:安定性は全く問題ない
B:わずかな物性の変化がみられる
Y:明らかな物性の変化が認められる
Z:分離、クリーミング等の現象が認められる。
【0055】
【表1】
【0056】
【表2】
【0057】
【表3】
【0058】
〔実施例 製造方法〕
(1)成分1〜11、19、20を25℃にて、均一に攪拌混合する(水相1)。
(2)成分12〜16を25℃にて、均一に攪拌混合する(油相1)
(3)工程(1)で得られた水相1に対し、工程(2)で得られた油相1を25℃にて徐々に添加し、ホモジナイザーで均一に攪拌混合する(乳化物1)。
(4)工程(3)で得られた乳化物1に、25℃にて成分17、18を添加し、ホモジナイザーにて均一に攪拌混合する。
〔比較例 製造方法〕
(1)成分1〜14、20、21を25℃にて、均一に攪拌混合する(水相1)。
(2)成分15〜17を25℃にて、均一に攪拌混合する(油相1)。
(3)工程(1)で得られた水相1に対し、工程(2)で得られた油相1を25℃にて徐々に添加し、ホモジナイザーで均一に攪拌混合する(乳化物1)。
(4)工程(3)で得られた乳化物1に、25℃にて成分18、19を添加し、ホモジナイザーにて均一に攪拌混合する。
【0059】
表1〜表3から、成分(A)〜成分(E)を含有し、粘度を2000〜20000mPa・sに調整した本発明の化粧料は、貯蔵安定性、タンニング速度及びタンニングの均一性の全てにおいて優れていた。一方、粘度が本発明の範囲より低い比較例1では、貯蔵安定性が悪く、タンニングの均一性に劣っていた。粘度が本発明の範囲より高い比較例2は、タンニング速度及びタンニングの均一性において劣っていた。(A)成分を含有しない比較例3、4では、貯蔵安定性が悪く、タンニングの均一性において劣っていた。(C)成分の含有量が本発明の範囲外である比較例5及び6では、貯蔵安定性の低下又はタンニング速度の低下がみられ、タンニングの均一性においても劣っていた。(D)成分を含有しないか又は含有量が多すぎる比較例7及び8では、貯蔵安定性が悪く、タンニングの均一性において劣っていた。(B)成分を含有しない比較例9、10、12では貯蔵安定性が悪く、比較例11、13においては粘度が高くなってしまい、タンニングの均一性が劣っていた。
【0060】
実施例21 セルフタンニング化粧料(水中油型乳液)
【0061】
【表4】
【0062】
上記組成を常法により作成し評価したところ、貯蔵安定性がよく、優れたタンニング性能を有していた。
尚、上記の実施例21において使用した香料の組成は表5に示す。
【0063】
【表5】
【産業上の利用可能性】
【0064】
本発明によれば、貯蔵安定性が良好で保湿性が高く、自然な色合いタンニング肌を速やかに形成することができるセルフタンニング化粧料を提供できる。