(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5766435
(24)【登録日】2015年6月26日
(45)【発行日】2015年8月19日
(54)【発明の名称】冷却・洗浄液体用の再生装置および再生方法
(51)【国際特許分類】
B23Q 11/00 20060101AFI20150730BHJP
B01D 29/62 20060101ALI20150730BHJP
B01D 37/04 20060101ALI20150730BHJP
【FI】
B23Q11/00 U
B01D29/38 580Z
B01D37/04
【請求項の数】11
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2010-280800(P2010-280800)
(22)【出願日】2010年12月16日
(65)【公開番号】特開2011-126005(P2011-126005A)
(43)【公開日】2011年6月30日
【審査請求日】2013年11月26日
(31)【優先権主張番号】10 2009 054 962.5
(32)【優先日】2009年12月18日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】591010170
【氏名又は名称】ヒルティ アクチエンゲゼルシャフト
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【弁理士】
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】100134005
【弁理士】
【氏名又は名称】澤田 達也
(74)【代理人】
【識別番号】100149249
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 達也
(72)【発明者】
【氏名】ゲオルク ホルツマイエル
(72)【発明者】
【氏名】ラルフ プファイファー
(72)【発明者】
【氏名】マルク シュスター
(72)【発明者】
【氏名】アンドレアス ブルクハルト
【審査官】
山本 忠博
(56)【参考文献】
【文献】
米国特許出願公開第2007/0062867(US,A1)
【文献】
特開2006−341166(JP,A)
【文献】
実開昭62−190612(JP,U)
【文献】
特開2003−62411(JP,A)
【文献】
特開平11−311083(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B23Q 11/00,
B01D 29/62,37/02−37/04,35/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
混濁液体(15)をろ過して清浄な冷却・洗浄液体に再生するための再生装置(2; 50)であって、前記混濁液体(15)を前記再生装置に導入するための導入管(27)と、該導入管(27)に接続している第1容器(20)と、再生された冷却・洗浄液体(36)を前記再生装置(2; 50)から導出するための導出管(38;55)と、該導出管(38;55)に接続している第2容器(21)と、該第2容器(21)内に配置されているフィルタ素子(30;51)と、前記第1容器(20)内で予備ろ過された混濁液体(29)を前記第2容器内における前記フィルタ素子(30;51)に供給可能とする接続管(31;51)とを備える再生装置において、
前記導出管(38;55)を前記接続管(31;51)と接続することにより、該接続管(31;51)、前記フィルタ素子(30;51)及び前記導出管(38;55)を前記フィルタ素子(30: 51)によりろ過された冷却・洗浄液体(36)で洗浄可能とするためのバイパス管(41)を更に備えることを特徴とする再生装置。
【請求項2】
請求項1記載の装置において、前記バイパス管(41)が制御弁(44)を有し、該制御弁(44)が、制御装置(45)によって液体の流れを許容する開放状態と、液体の流れを阻止する閉鎖状態との間で調整可能であることを特徴とする再生装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載の装置において、前記導出管(38;55)内に制御弁(43)が配置され、該制御弁(43)が、制御装置(45)によって液体の流れを許容する開放状態と、液体の流れを阻止する閉鎖状態との間で調整可能であり、該閉鎖状態において前記再生装置からの冷却・洗浄液体の導出を中断すると共に前記導出管(38;55)内の冷却・洗浄液体を、前記バイパス管(41)、前記接続管(31;51)、前記フィルタ素子(30;51)及び前記導出管(38;55)を含むループに沿って循環させることを特徴とする再生装置。
【請求項4】
請求項1〜3の何れか一項に記載の装置において、前記接続管(31;51)に過圧発生装置(32)が配置され、該過圧発生装置(32)は、前記第1容器(20)からの予備ろ過された混濁液体(29)と、前記バイパス管(41)からの冷却・洗浄液体(36)を選択的に加圧可能であることを特徴とする再生装置。
【請求項5】
請求項1〜4の何れか一項に記載の装置において、前記接続管(31;51)を前記導入管(27)と接続する更なるバイパス管(40)が設けられていることを特徴とする再生装置。
【請求項6】
請求項5記載の装置において、前記更なるバイパス管(40)が制御弁(42)を有し、該制御弁(42)は、制御装置(45)によって液体の流れを許容する開放状態と、液体の流れを阻止する閉鎖状態との間で調整可能であることを特徴とする再生装置。
【請求項7】
請求項1〜6の何れか一項に記載の装置において、前記フィルタ素子(30)が前記第2容器(21)の入口側に配置されていることを特徴とする再生装置。
【請求項8】
請求項1〜6の何れか一項に記載の装置において、前記フィルタ素子(52)が前記第2容器(21)の出口側に配置されていることを特徴とする再生装置。
【請求項9】
請求項1〜8の何れか一項に記載の装置において、前記導出管(38;55)内に圧力測定用の圧力スイッチ(46)が設けられていることを特徴とする再生装置。
【請求項10】
請求項1〜9の何れか一項に記載の装置において、前記導出管(55)内にメンブレン式アキュムレータ(56)が配置されていることを特徴とする再生装置。
【請求項11】
請求項1に記載の、冷却・洗浄液体用の再生装置(2;50)内において冷却・洗浄液体を再生するための方法であって、
前記導出管(38;55)内の制御弁(43)を前記接続管(31;51)に配置されている過圧発生装置(32)の使用時に閉鎖し、前記バイパス管(41)に配置した制御弁(44)により該バイパス管(41)を所定の時間にわたって開放して前記導出管(38;55)を前記接続管(31;51)とバイパス接続し、これにより該接続管(31;51)、前記過圧発生装置(32)、前記フィルタ素子(30;51)及び前記導出管(38;55)を、前記フィルタ素子(30: 51)によりろ過された冷却・洗浄液体(36)で洗浄することを特徴とする再生方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1の前段に記載した冷却・洗浄液体用の再生装置と、請求項11の前段に記載した冷却・洗浄液体用の再生方法に関する。
【0002】
ダイヤモンド粒子を被覆した工具(いわゆる「ダイヤモンド工具」)、例えばダイヤモンド・コアドリルビットやダイヤモンド・ソーによる加工に際しては、摩擦、摩耗等の対策として、ダイヤモンド工具を加工領域において冷却し、過熱によるダイヤモンド工具の損傷を回避する必要がある。また、ダイヤモンド工具の切削刃は加工時に冷却液によって冷却される。これは、加工工程を支持し、切削刃の耐用寿命を延ばすためである。さらに上記液体は、ダイヤモンド工具による切削屑等の固形物を加工領域から除去する機能も有する。本明細書においては、このような目的で送給される液体を「冷却・洗浄液体」と称し、固形物が混入した液体を「混濁液体」と称する。
【背景技術】
【0003】
特許文献1(日本特許第4080626号明細書)は、混濁液体をろ過して清浄な冷却・洗浄液体に再生するための既知の再生装置を記載しており、再生した冷却・洗浄液体を電動工具、例えばコアドリル装置に送給することを開示している。この再生装置は、気密かつ液密にシールされた二個の容器を有する。使用に際しては、第1容器が負圧発生装置により負圧容器として機能し、第2容器が過圧発生装置により過圧容器として機能する。負圧容器は、
接続管を介して過圧容器と接続される。混濁液体は、負圧発生装置により
導入管を経て負圧容器に吸引される。この負圧容器は、混濁液体を予備ろ過するためにも使用される。
接続管中に配置される過圧発生装置は、予備ろ過された混濁液体を、
接続管を通して負圧容器から過圧容器に送給する。過圧容器の蓋にはフィルタ素子が備えられており、そのフィルタ素子の表面は、予備ろ過された混濁液体と接触する。過圧発生装置で発生させた正圧によって、予備ろ過された混濁液体はフィルタ素子内部に流入する。予備ろ過された混濁液体中に残留している固形物は、フィルタ素子に付着する。これにより再生された冷却・洗浄液体はフィルタ素子内部に溜められ、正圧により
導出管を経て工具まで送給可能である。
【0004】
導入管、接続管および過圧発生装置に混濁液体または予備ろ過された混濁液体が流通する。混濁液体および予備ろ過された混濁液体は、共に
導入管、接続管および過圧発生装置を詰まらせる可能性がある固形物を含んでいる。再生装置の機能性を保証し、十分な量の冷却・洗浄液体を送給するために、
導入管、接続管および過圧発生装置を定期的に洗浄する必要がある。
【0005】
既知の再生装置の取扱方法は、長めの作業中断の前および作業日の終了後に、上述した両容器を洗浄し、フィルタ素子を再生することを想定している。既知の再生装置は、送給管、導管および過圧発生装置を作業者が手動で洗浄しなくてはならず、自動洗浄機能が備わっていないという問題点を有する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の課題は、上述した従来技術の問題点を解消し、再生装置に自動洗浄機能を持たせ、再生装置内における詰まりを回避可能とすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この課題は、本発明によれば、独立請求項に記載した特徴を有する再生装置および再生方法によって解決可能である。本発明の有利な実施形態は、従属請求項に記載した通りである。
【0008】
本発明は、混濁液体をろ過して清浄な冷却・洗浄液体に再生するための再生装置を提案するものであり、
該再生装置は、混濁液体を再生装置に導入するための導入管と、該導入管に接続している第1容器と、再生された冷却・洗浄液体を再生装置から導出するための導出管と、該導出管に接続している第2容器と、該第2容器内に配置されているフィルタ素子と、第1容器内で予備ろ過された混濁液体を第2容器内におけるフィルタ素子に供給可能とする接続管とを備える。
【0009】
本発明においては、
導出管を接続管と接続することにより、接続管、フィルタ素子及び導出管をフィルタ素子によりろ過された冷却・洗浄液体で洗浄可能とするためのバイパス管が設けられている。その際、望ましくは、
バイパス管が制御弁を備え、この制御弁を制御装置によって液体の流れを許容する開放状態と、液体の流れを阻止する閉鎖状態との間で調整可能とする。
【0010】
望ましい実施形態に従えば、
導出管に制御弁が備えられ、この制御弁を制御装置によって、液体の流れを許容する開放状態と、液体の流れを阻止する閉鎖状態との間で調整可能とする。
導出管に設けられた制御弁の閉鎖状態において冷却・洗浄液体のコアドリル装置への送給を中断すると共に導出管内の冷却・洗浄液体を、バイパス管、接続管、フィルタ素子及び導出管を含むループに沿って循環させてこれらを洗浄することが可能である。
【0011】
別の望ましい実施形態によれば、
接続管に過圧発生装置が配置され、該過圧発生装置は、第1容器からの予備ろ過された混濁液体と、前記バイパス管からの冷却・洗浄液体を選択的に加圧可能である。この構成により、過圧発生装置等が確実に洗浄される。
【0012】
別の望ましい実施形態によれば、
接続管を
導入管と接続する
第2のバイパス管が設けられている。その際、望ましくは、
第2のバイパス管が制御弁を備え、この制御弁を制御装置によって、液体の流れを許容する開放状態と、液体の流れを阻止する閉鎖状態との間で調整可能に構成する。
【0013】
更に別の望ましい実施形態においては、
第2容器の入口側にフィルタ素子が配置される。この実施形態は、フィルタ素子によりろ過された固形物を、フィルタ素子内部に滞留させ得る利点を有する。
【0014】
望ましい代案としての実施形態によれば、フィルタ素子は
第2容器の出口側に配置される。
【0015】
望ましくは、送給管に圧力測定のための圧力スイッチおよび/またはメンブレン式アキュムレータが設けられている。圧力スイッチによって、一定の圧力値を超えた際に、制御装置が自動的にメンブレン式アキュムレータに蓄えられた冷却・洗浄液体を放出することが可能となる。メンブレン式アキュムレータに蓄えられた冷却・洗浄液体は、特にフィルタ素子の洗浄に適している。
【0016】
本発明は、上述した構成の再生装置を用いる冷却・洗浄液体の再生方法を更に提案するものであり、該再生方法は、
接続管に配置されている過圧発生装置の使用に際して
導出管内の制御弁を閉鎖し、
バイパス管を制御弁により一定時間開放
して導出管を接続管とバイパス接続するものである。
これにより、接続管、過圧発生装置、フィルタ素子及び導出管を、ろ過された冷却・洗浄液体で洗浄することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】本発明の第1実施形態に係る再生装置をコアドリル装置との接続状態で示す説明図である。
【
図2】本発明の第2実施形態に係る再生装置を
図1のコアドリル装置との接続状態で示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明を図示の実施形態について更に詳述する。なお、図中、特に言及しない限り、構造または機能において対応する構成要素は同一の参照数字を付して表す。
【0019】
図1に示す電動工具は、コアドリル装置1として形成され、冷却・洗浄液体をろ過するための本発明に係る再生装置2と接続されている。
【0020】
コアドリル装置1は駆動ユニット3を含み、この駆動ユニット3は、切削刃4を備えるドリルビット5を、回転軸6を介して回転方向7に駆動するものである。冷却・洗浄液体は、駆動ユニット3の流入口8を経て送給される。流入口8は、送給管9を介して再生装置2の流出口10と接続されている。代案として、冷却・洗浄液体を、その流れ方向に見て駆動ユニット3の下流側に配置されている吸込みヘッドまたはフラッシュヘッドに送給してもよい。
【0021】
駆動ユニット3の流入口8と接続し、作業者によって手動で操作される調整装置11により、冷却・洗浄液体の駆動ユニット3への流入量を調整することが可能である。調整装置11は、冷却・洗浄液体が駆動ユニット3に流入可能な開放位置と、冷却・洗浄液体の駆動ユニット3への流入を遮断する閉鎖位置との間で調整可能な遮断装置として構成される。代案として、調整装置11は、冷却/洗浄液体の流入量を、0%(閉鎖状態)と100%(開放状態)との間で段階的または連続的に調整可能に構成することも可能である。
【0022】
穿孔時、すなわち、ドリルビット5が回転軸6を介して駆動され、切削刃4を穿孔方向12に向けた状態で、穿孔すべき基盤13に貫入する間、ドリルビット5を、冷却・洗浄液体によってすすぎ、穿孔領域を冷却する。穿孔すべき基盤13上には、捕集手段14が配置される。この捕集手段14は、穿孔領域を包囲し、固形物が混入し、加熱された冷却・洗浄液体を捕集する。この段階における冷却・洗浄液体を、混濁液体15と称する。捕集手段14は、吸引管16を介して再生装置2の流入口17に接続する。
【0023】
再生装置2は、第1容器20および第2容器21を含む。再生装置2をコンパクトに形成するために、第2容器21は第1容器20内に配置される。両容器20,21とも、蓋22, 23により気密かつ液密にシールされる。代案として、両容器20,21を並べて配置してもよい。
【0024】
穿孔に際し、第1容器20は、捕集手段14から混濁液体15を第1容器20まで搬送する吸引装置24と協働する。吸引装置24は、例えば負圧を発生させる装置(以下、「負圧発生装置」と称する。)として構成される。第1容器20は、以下、「負圧容器」と称する。負圧発生装置24は吸引管25に配置され、その一端は負圧容器20に接続され、他端は大気26に開放している。収納装置14に対して、負圧容器20内に作用する負圧により、混濁液体15が、吸引管16および
導入管27を介して、負圧容器20まで吸引搬送される。
導入管27の一端は再生装置2の流入口17に接続し、他端は負圧容器20に通じている。
【0025】
負圧容器20は、混濁液体15の予備ろ過手段としても機能する。混濁液体15に混入している基盤の切削屑は、負圧容器20内で重力により沈殿し、負圧容器20の底部に固形物28として堆積する。堆積した固形物28上には、予備ろ過された混濁液体29が溜められる。
【0026】
第2容器21内にはフィルタ素子30が配置され、このフィルタ素子30は
接続管31を介して負圧容器20と接続されている。負圧容器20内で重力沈降によって堆積した固形物28がフィルタ素子30に到達するのを阻止するために、負圧容器20内に位置する
接続管31の部分は、負圧容器20の底部から離れた立ち上がり管として形成されている。
接続管31には、過剰圧力を発生させる装置32(以下、「過圧発生装置」と称する。)として、例えば圧力ポンプが配置されている。過圧発生装置32は、1〜6バールの過剰圧力を発生させる。第2容器21は、以下、「過圧容器」と称する。
【0027】
過剰圧力により、予備ろ過された混濁液体29が、
接続管31を通して、負圧容器20からフィルタ素子30に流入する。
接続管31の流れ方向33に見て過圧発生装置32の上流側に逆止弁34が設けられており、予備ろ過された混濁液体29が負圧容器20に逆流するのを防止する。
【0028】
フィルタ素子30の過剰圧力により、予備ろ過された混濁液体29は、その流れ方向35において、フィルタ素子30を経て容器21に流入する。予備ろ過された混濁液体29に含まれている固形物は、重力により、フィルタ素子30の底部に沈殿するか、またはフィルタ素子30に付着する。再生された冷却・洗浄液体36は過圧容器21に溜まり、この液体36はコアドリル装置1に送給することが可能となる。これにより、再生循環が完了する。再生された冷却・洗浄液体36は、圧力差により、
導出管38を経て流れ方向37に流れる。
導出管38は、一端が過圧容器21に、他端が再生装置2の流出口に接続している。送給管9は、コアドリル装置1と接続している。
【0029】
導入管27、
接続管31、第1バイパス管
40、第1制御弁
42および過圧発生装置
32には、いずれも混濁液体15または予備ろ過された混濁液体29が流通する。混濁液体15および予備ろ過された混濁液体29は上述した各管、第1制御弁42および過剰発生装置32を詰まらせる可能性のある固形物を含むため、
導入管27、
接続管31、
第1バイパス管40、第1制御弁
42および過圧発生装置32を定期的に洗浄する必要がある。
導入管27、
接続管31、
第1バイパス管40、第1制御弁42および過圧発生装置32の洗浄は、流れ方向の転換を通じて再生された冷却・洗浄液体36および予備ろ過された混濁液体29によりなされる。その際、再生装置2は洗浄モード状態にある。
【0030】
本発明の再生装置2は、第1
バイパス管40および第2
バイパス管41を備える。第1
バイパス管40は、
接続管31と
導入管27とを接続し、流れ方向33に見て過圧発生装置32の下流側において、
接続管31から分岐する。第1
バイパス管40および
導入管27の接続は、再生装置2における流入口17のすぐ上流側で確立される。これは、
導入管27を入念に洗浄するためである。第2
バイパス管41は、
導出管38と
接続管31とを接続し、流れ方向37から見て流出口10の上流側で
導出管38から分岐し、流れ方向33に見て、過圧発生装置32および逆止弁34の上流側において、
接続管31から分岐する。
【0031】
第1および第2
バイパス管40,41を介して再生された冷却・洗浄液体36および予備ろ過された混濁液体29の流れ方向を転換するために、
上述した三個の制御弁42,43,44が設けられており、各制御弁は制御装置45によって開放状態と閉鎖状態との間で調整可能とされている。第1
バイパス管40は、上記三個の制御弁のうち、第1制御弁42(「洗浄弁」とも称する。)を介して閉鎖可能である。第1制御弁42は、第1
バイパス管の流入口に配置されている。流れ方向37に見て第2
バイパス管41の下流側に配置されている第2制御弁43を介して、再生された冷却・洗浄液体の送給管9およびコアドリル装置1への送給を調整可能とする。第3制御弁44は第2
バイパス管41に配置され、第2
バイパス管41を閉鎖するために機能する。過圧発生装置32が発する圧力を測定するために、
導出管38に圧力スイッチ46が配置されており、制御装置45と接続されている。
【0032】
再生装置2は、互いに異なる少なくとも二種の動作モード、すなわち作業モードおよび洗浄モードを有する。作業モードにおいては、再生装置2が再生された冷却・洗浄液体をコアドリル装置1に送給し、混濁液体15を捕集手段14から吸引する。作業モードにおいて、第1および第2
バイパス管40,41は、いずれも閉鎖状態にある第1および第3制御弁42,44によって、遮断状態にある。第2制御弁43は開放状態にあるため、再生された冷却・洗浄液体36が第2制御弁43を介して送給管9に流入することができる。
【0033】
再生装置2の洗浄モードは、予め設定可能な時間間隔で、または特定の条件下で自動的に実施される。特定の条件とは、例えば再生装置2が待機モードにある場合等である。
導入管27、第1
バイパス管40、第1制御弁42、
接続管31および過圧発生装置32の洗浄は複数のステップで実施される。第1ステップにおいては、第1制御弁42、第1バイパス管40および
導入管27を大まかに予備的にすすぐ。制御装置45により
導出管38の第2制御弁43が閉鎖される。これにより、再生装置2によって再生された冷却・洗浄液体36のコアドリル装置1への送給が中断される。
【0034】
圧力スイッチ46により
導出管38内の圧力を測定し、予定された圧力値を超えた場合、制御装置45に再生装置の作動を司るコマンド・パルスを伝達する。代案として、予め設定した時間の経過後に、コマンド・パルスを伝達してもよい。これにより制御装置45が短時間にわたって、第1
バイパス管40に配置されている第1制御弁42を開放する。この際に、
接続管31から予備ろ過された混濁液体29が第1
バイパス管40、
導入管27に流通後、負圧容器20に流入する。予め設定した時間の経過後、制御装置45によって第1制御弁42を閉鎖する。
【0035】
洗浄工程の第2ステップにおいて、過圧発生装置32および
接続管31が再生された冷却・洗浄液体により洗浄される。制御装置45が、過圧発生装置32の使用に際して第3の制御弁44を開放する。その際、第1および第2制御弁42,43は閉鎖状態にある。再生された冷却・洗浄液体36が、流れ方向37において
導出管38を介して
第2バイパス管41に流入し、そこから流れ方向33に沿って再び過圧発生装置32を経て過圧容器21内に流入する。この第2ステップの循環は、フィルタ素子30および
導出管38を介して完了する。
【0036】
洗浄工程の第3ステップでは、再生された冷却・洗浄液体によって、第1制御弁42の洗浄がなされる。制御装置45により、第1の制御弁42が、短い時間間隔にわたって開放され、この間に再生された冷却・洗浄液体36が、
接続管31から
第1バイパス管40を経て
導入管27に流入後、負圧容器20に流入する。短時間の経過後、制御装置45が第1制御弁42を閉鎖する。その後、過圧発生装置32により一定の時間にわたって圧力が蓄積され、第1制御弁42が短時間にわたり開放される。この第3ステップは、第1制御弁42が再生された冷却・洗浄液体36により十分に洗浄されるまで複数回反復される。
【0037】
洗浄工程における第3ステップが完了すると、過圧発生装置32が停止される。
導出管38および
第2バイパス管41に残留している再生された冷却・洗浄液体36が、
接続管31を介して負圧容器20内に逆流し、その際に導管を洗浄する。
【0038】
図2は、
図1におけるコアドリル装置に第2実施形態に係る冷却・洗浄液体の再生装置50を接続した状態を示すものである。
【0039】
第2実施形態に係る再生装置50は、作業モードにおいて、フィルタ素子が流れ方向に見て過圧容器21の下流側に配置されている点で、
図1に示した第1実施形態の再生装置2とは異なっている。混濁液体15は、負圧発生装置24によって負圧容器20内に搬送され、負圧容器20内で混濁液体15が予備ろ過される。
【0040】
負圧容器20は、
接続管51を介して過圧容器21と接続されている。重力沈降によって堆積した固形物28が過圧容器21に到達するのを阻止するために、負圧容器20内に位置する
接続管51の部分は、負圧容器20の底部から離れた立ち上がり管として形成されている。また
接続管51には、過圧発生装置32が配置されている。
【0041】
過圧容器21にはフィルタ素子52が配置され、そのフィルタ素子52の表面部53が予備ろ過された混濁液体29と接触している。過圧容器21における過圧により、予備ろ過された混濁液体29が表面部53に沿う流れ方向54に沿ってフィルタ素子52内に流入する。予備ろ過された混濁液体29に残留している固形物は、フィルタ素子52に付着する。フィルタ素子52内に、再生された冷却・洗浄液体36が溜まり、コアドリル装置2に送給されることが可能となる。フィルタ素子52は、
導出管55を介して再生装置50の流出口10と接続されている。再生された冷却・洗浄液体36は、
導出管55及び送給管9を介して駆動ユニット3に流入する。
【0042】
更に
導出管55には、メンブレン式アキュムレータ56が設けられている。メンブレン式アキュムレータ56は、メンブレンによって分割される第1チャンバおよび第2チャンバから構成される。両チャンバは、互いに異なる媒体で充填されている。例えば、第1チャンバには空気が充填されており、充填された空気は加圧により圧縮可能である。他方、第2チャンバには冷却・洗浄液体が充填されているが、液体は元来が非圧縮性であり、加圧により圧縮性を示すものではない。メンブレン式アキュムレータの性能は、該アキュムレータがフィルタ素子52を洗浄し、上述した洗浄工程を支持するのに十分な量の冷却・洗浄液体36を貯留できるか否かに基づいて選択される。
【0043】
第2実施形態に係る再生装置50における
導入管27、
接続管51、過圧発生装置32、第1
バイパス管40および第1制御弁42の洗浄は、第1実施形態に係る再生装置2における
バイパス管40,41および制御弁42,43,44によって実施される洗浄方式に対応している。
【符号の説明】
【0044】
1 コアドリル装置
2 再生装置
3 駆動ユニット
4 切削刃
5 ドリルビット
6 回転軸
7 回転方向
8 流入口
9 送給管
10 流出口
11 調整装置
12 穿孔方向
13 基盤
14 捕集手段
15 混濁液体
16 吸引管
17 流入口
20 第1容器
21 第2容器
22 第1容器の蓋
23 第2容器の蓋
24 負圧発生装置(吸引装置)
25 吸引管
26 大気
27
導入管
28 固形物
29 混濁液体
30 フィルタ素子
31
接続管
32 過圧発生装置(圧力ポンプ)
33 流れ方向
34 逆止弁
35 流れ方向
36 冷却・洗浄液体
37 流れ方向
38 送給管
40 第1
バイパス管
41 第2
バイパス管
42 第1制御弁
43 第2制御弁
44 第3制御弁
45 制御装置
46 圧力スイッチ
50 再生装置
51
接続管
52 フィルタ素子
53 表面部
54 流れ方向
55
導出管
56 メンブレン式アキュムレータ